当社グループの基本方針は粗利益率及び在庫回転率の最大化を目的とし、市場環境に応じて適正在庫を管理し、適正価格で販売する事により限界収益の極大化を図ることにあります。その中にあって、中古ブランド品の流通は越境ECを始め全世界的規模で拡大し、当社グループが展望していた通り、中古ブランド品事業の物品はその物流がグローバルに展開しております。
かかる状況下、当社グループのビジネスモデルはCtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する事により、一般顧客より高く買取り、その都度市場状況を判断し、在庫リスクを極小化しつつ、在庫回転率を最大化する事で商品リスクを回避して顧客に商品を提供してきております。更に不況期に強い安定的な収入が期待できる質屋業を併営しており、コロナ下で厳しい小売業界にあって古物売買のみでは店舗の損益分岐点が低いため、併設している質料収入及び上記適正在庫管理、収益管理により、コロナ下における影響を最小限に留めております。
一方、当連結会計年度に転じますと、国内でのCOVID-19拡大による影響が長期化する中、インバウンド需要の低迷、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令された事による個人行動規制や営業規制の強化の影響もあり、依然として厳しい状況が続いております。世界経済においては、ワクチン接種が進んでいる欧米諸国が牽引する形で各種経済政策が進められ一定の回復は見せつつも、ウクライナ情勢の緊迫化や中国における上海を中心に爆発的に広まったCOVID-19拡大によるロックダウン等の影響から景気動向の先行きは極めて不透明な状況で推移しております。
このような環境の中、今後の当社グループの連結収益の改善並びに経営基盤の強化を図るために対処すべき課題とその対処方針は以下のとおりであります。
①オンライン買取販売事業の強化
新たな成長戦略の一環として、オンライン事業拡大方針の下、強化してきましたEC事業は、当連結会計年度において、当社グループのネット店舗商品売上高は2,203百万円(前期比28.8%増)となりました。コロナ禍にあって外出自粛やリモートワーク等の影響でEC利用の需要が拡大している中で、当社がグループをあげて継続的且つ積極的に取り組んでおります、(a)顧客にわかりやすいECサイトの開発、(b)EC掲載商品点数の向上、(c)EC広告の効率改善活動を一層進めて参ります。当社グループでは、ECにおける買取販売事業を更に強化するため、システムにより情報を一元管理する事により店舗及びEC上の顧客を一元管理する事により顧客ニーズにあった商品やサービスの提供及び業務効率化のシステムを再構築するため令和2年11月にECサイトを一新しました。今後は同社のシステムをベースとした、グローバル化の一環として英語及び中国語による買取販売を更に強化して参ります。
また、買取販売事業の業務効率化及び顧客利便性向上のため、AIを駆使したデータベース分析に基づき、オンラインによる(a)グローバルでの中古ブランド品価格の適正化、(b)商品区分の整理の自動化による消費者の当社サイトへの商品掲載の容易化、(c)真贋鑑定の強化を推し進めて参ります。
②新たな事業の展開強化
令和3年5月14日に公表しました大黒屋における新たな事業(a)オンラインオークション事業(b)ブランドバッグ・時計等のシェアリング事業の開始に向けては、コロナロスにより遅れてはいますが当社グループの多様な人材を再配置しシステム構築を図って参ります。
③質屋事業の強化
令和2年4月に発せられた第1回目の緊急事態宣言時に庶民金融である質屋業が個人の逼迫した資金ニーズを賄うものとして改めて再認識されました。かかる状況下大黒屋では創業以来75年で培った「質の大黒屋」としてのノウハウを活用して、顧客ニーズに応えるべく値付・真贋のできる店舗スタッフを育成・強化するとともに、来店出来ない顧客には訪問質預りで対応する等顧客の要望に応えて参りました。質屋業界最大手として今後も更に一層庶民金融の一翼を担って参ります。
④中国事業の強化
当社グループは、現在アリババグループから戦略的パートナーとして認定されており同グループが運営するオンラインプラットフォームTmallでの当社100%子会社上海黛庫を上海に設立した事でブランディング及びマーケティング戦略の一貫した活動を行うことが可能となり、越境EC、そして、積極的に同国での買取販売事業を強化していきます。その一環として、上海黛庫では昨年12月下旬にアリババグループの盒馬鮮生内に買取の第1号店として大黒屋高青路店を開設しました。その後中国国内ではコロナ禍におけるロックダウンで人流が止まる等の影響はあるものの現地スタッフ等の在宅ワークにより各種イベント向けてのネット販売買取は大幅に増加しており、更にネット売買と共にアフターコロナを見据え店舗網を拡大していく見込みです。
⑤相場変動への適時対応、適正価格での在庫保有
COVID-19による各国の渡航制限・活動自粛等の影響により、令和2年前半にかけて落ち込んでいたブランド品相場はその後いち早く経済回復した中国の影響や、昨今の金利格差に基づく円安の影響を受け高止まり状態が依然として続いております。かかる状況下、大黒屋ではブランド品相場の上昇の兆候のあった令和2年後半より商品の早期販売を需要の多い中国に定め、収益の拡大を果たすと共にリアルからネット化、グローバル化への展開をしてきました。CtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開する際に、相場変動への適時対応やシステム内に構築された価格データを駆使して一般顧客より高く買取り、他の顧客に安く販売するというビジネスモデルを展開しております。特にバックにおいては在庫回転期間が30日以内で推移しています。かかる状況を踏まえ、引き続き、相場の状況を注視しながら余剰在庫を削減し、適正価格による在庫の確保を進めて参ります。
⑥電機事業の事業構造改革の実施
電機事業については、生産体制の更なる効率化や製品の統廃合や在庫管理の強化により製造原価の逓減を進め、結果として利益率が向上して参りました。今後も引き続きお取引先に理解を得ながら不採算製品の削減や在庫圧縮を徹底するとともに製造間接費の更なる削減を実施して参ります。
⑦キャッシュ・フロー重視の経営と経営基盤の拡充
質屋、古物売買業の強化、電機事業の抜本的な事業構造改革及び本社経費の削減等により、営業利益拡大を図るとともに事業リスクを逓減させ投資の回収を図り、キャッシュ・フローを重視した経営を進めて参ります。
⑧異業種との業務提携
大黒屋が1947年の創業以来75年で培った正確な真贋鑑定能力、過去の知見に起因するデータの蓄積及びそのDX化の結果として、当社グループが構築した真贋鑑定システム、買取システム、Dynamic Pricing システム及びキュレーションシステム等の展開を更に推し進め当社グループと異業種との業務提携等を含め国内外のプラットフォーマーやブランド品関連企業へ提供していきます。
その第1弾として大黒屋では令和4年4月20日に株式会社JTBと業務提携を開始しております。
⑨次期の見通し
当社グループの基本方針は粗利益率及び在庫回転率の最大化を目的とし、市場環境に応じて適正在庫を管理し、適正価格で販売する事により限界収益の極大化を図ることにあります。その中にあって、中古ブランド品の流通は越境ECを始め全世界的規模で拡大し、当社グループが展望していた通り、中古ブランド品事業の物品はその物流がグローバルに展開しております。当社グループではオフライン・オンライン及び国内外を一元として捉え、グループ全体での在庫回転率、粗利益及び交差比率を最大化するビジネスモデルを基本として的確且つ最適なタイミングでグローバル化、オンライン・オフラインでの店頭やネットでの需要に対し当社グループ販売員が夫々の顧客のニーズを把握し、買取状況を踏まえ、重畳的に店舗網を結びつけると共に中国現地に於いて展開している当社グループの強みを最大限に活用し、在庫回転率極大化、粗利益極大化していくと同時にエンドユーザーの状況を的確に把握し、在庫調整により商品リスクを回避しつつ利益の極大化を図って参ります。
一方大黒屋では同業他社と違い、質屋業という庶民金融を提供している事により、不況下、コロナ禍にあっても安定的な質料収益を確保出来る事により小売り店舗の収益のボラティリティーを補完し、コロナ禍においても店舗及びオペレーションの期待収益率を抑え、安定的な経営基盤を有している事から、かかるコロナ下でも業界同業他社と比較して影響を最小限に留めて参りました。
今後の見通しにつきましては、欧米各国でワクチン接種の効果によりコロナ感染率が低下すると思料される一方、当社グループの今後の主力市場である中国ではコロナ感染によるロックダウンで人流が止まる等の影響があるものの、在宅に伴う各種イベントによるネット販売は大幅に増加しております。しかしながら、わが国においては、年初から緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令され、更にその期限も延長される等、当業界においても、国内外の感染症拡大の動向や世界経済の変動の影響は依然として大きく、先行きについては当面予断を許さない状況が続くとものと思料され、ウイズコロナ・アフターコロナ時代を見据えた持続可能な事業展開の確立が急務であると予想されます。
係る状況にあって当社グループでは、既にオフライン・オンラインでの買取販売のプラットフォームを構築しており、更に顧客ニーズに沿った買取販売システムを強化するため、当社グループの買取人及び販売員の“One to One CRMマーケッティング”を強化していきます。
更に次期は、本年度より始まった「5カ年事業計画」に基づき、従来の大黒屋の強みである、顧客ニーズ及び質屋業で培ったKYC管理能力を強化し、同社独自のサブスクリプションビジネスモデルを提示いたします。同ビジネスは現況国内外で伸長しており、今後とも成長が期待出来る分野であると考えております。
また、従来より同業他社が展開しているにも関わらず、大黒屋が展開して来なかったBtoBオンラインオークション事業を新たに展開していきます。同社は業者間市場において売り買いの最大手であり、同社内に市場を構築する事で同社のビジネスの基本である、在庫回転率最小化による、中古ブランド品のマーケットメーキング業務を強化し、同社の強みである値付力・真贋力を更に強化出来るものと考えております。以上の通り、当社グループでは事業強化の為に①オンライン買取販売事業の拡大②訪問買取・訪問質預り事業による新たな顧客の発掘③庶民金融としての質屋事業の強化④上海黛庫商業有限公司による中国におけるアリババグループを始め、TikTokやREDでの現地マーケッティング強化により、中古ブランド品越境EC販売、中国国内での買取販売事業を強化、を掲げ事業展開を行っており、次期においてもこの四本柱を強化拡大する事で新たな収益機会を見出します。更に、大黒屋の新たな事業として掲げるもコロナロスにより遅れている⑤高級バックのシェアリングサービス事業⑥BtoBオンラインオークション事業の実現に加え⑦大黒屋創業来75年で培った正確な真贋鑑定能力、過去の知見に起因するデータの蓄積及びそのDX化の結果として、当グループが構築した真贋鑑定システム、買取システム、Dynamic Pricing システム及びキュレーションシステム等の展開を奇貨として異業種との業務提携等を含め国内外のプラットフォーマーやブランド品関連企業へ提供していきます。
これらにより、増収・増益につなげて参ります。
以上の状況を踏まえ、次期の令和5年3月期(令和4年4月1日~令和5年3月31日)は次の通り見込んでおります。
令和5年3月期連結業績見通し(令和4年4月1日~令和5年3月31日)
〔連結〕 (単位:百万円)
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売上高 |
営業利益 |
経常利益 |
親会社株主に帰属する当期(四半期)純損益 |
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第2四半期 |
9,550 |
217 |
169 |
△3 |
|
通期 |
19,780 |
801 |
705 |
237 |
本資料に記載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①全社的なリスク
ⅰ.企業買収及び業務提携等について
当社グループは、経営の効率化と競争力強化を行い株主利益最大化のため、企業買収および資本参加を含む投資、他社との業務提携等による事業の拡大を行うことを目指しております。しかしながら、企業買収及び業務提携等が円滑に進まない、あるいは当初期待した効果が得られない可能性があります。また、他社が事業戦略を変更した場合には、当社グループは資本参加、業務提携関係等を維持することが困難になる可能性もあります。
ⅱ.資金調達に関するリスク
当社グループは、企業買収等や運転資金のため必要に応じてエクイティファイナンスにより資金調達することがあります。当社の事業内容や将来のビジネスの潜在性に興味を持つ投資家はおりますが、ファイナンスの条件やスキームについては交渉を要することから、機動的な調達には制限があり、事業活動に影響を与える可能性があります。
ⅲ.情報システムに関するリスクについて
当社グループは、多くの業務において情報システムを利用しております。当社グループは、情報システム利用に係る信頼性向上のため様々な対策を実施し、業務を継続的に運営できる体制を整備していますが、テロ、自然災害、ハッキング、人為的ミス、コンピュータウィルス等により情報システムの不具合、故障が生じる可能性があります。この場合、業務が一時的に中断し、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を受ける可能性があります。
ⅳ.海外子会社について
当社グループの中には海外子会社(SFLグループ及び上海黛庫商業有限公司)がありますが、海外子会社の運営に際しては為替変動リスクがあるほか、各国及び各地域等の経済情勢、政治情勢、法規制、税制等の変化による影響や、ビジネス慣習の違い等、特有の業務上のリスクがあります。そのため、事業撤退段階にあるSFLグループにつきましては、当社が想定する撤退計画に遅れが生じるリスクがあります。その他、当社が想定する海外の新規店舗の出店時期に遅れが生じるリスクがあります。また、今後、当社グループ内に占める海外子会社の売上、利益の割合が増加し、各国及び各地域等の経済情勢等に変動があった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
ⅴ.会計基準および税制等の変更について
新たな会計基準の適用や新たな税制の導入・変更によって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、税制等の改正により、当社グループの税負担が増加する可能性があります。
ⅵ.情報の流出について
当社グループは、事業活動において顧客等のプライバシーや信用に関する情報(顧客等の個人情報を含む)を入手し、他企業等の情報を受け取ることがあります。当社グループは、これらの情報の秘密保持に細心の注意を払い、情報の漏えいが生じないよう最大限の管理に努めていますが、不測の事態により情報が外部に流出する可能性があります。この場合には、損害賠償等の多額な費用負担が生じ、また、当社グループの事業活動やブランドイメージに影響が及ぶ可能性があります。また当社グループの事業上の重要機密が第三者に不正流用される恐れもあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②質屋、古物売買業のリスク
ⅰ.中古品の仕入について
中古品は新品と異なり仕入数量の調整が難しく、安定的に商品を確保することが経営施策上極めて重要であります。このため商品の仕入については、店舗にて個人顧客から買取他、出張買取、宅配買取及び中古ブランド売買市場で中古ブランド品の調達を行っております。
中古品は新品に比して粗利が高い傾向にありますが、今後の景気動向や新たな競合先の出現等による仕入価格の上昇や商品数の不足等により、安定的な商品の確保に支障をきたした場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ.コピー品の買取及び質預りリスクについて
中古ブランド品小売業界及び質屋業界において、コピー品に関するトラブルは社会的に重要な問題となってきており、質屋、古物売買業を営む株式会社大黒屋(以下「大黒屋」という。)にも買取品或いは質草としてコピー品が持込まれる可能性があります。大黒屋におきましては、日頃から買取担当者の真贋鑑定能力を養い、高度な専門知識と豊富な経験を持った買取担当者を育成することにより、コピー品の買取及び質預り防止に努めており、誤ってコピー品の買取及び質預りをしてしまう件数は極僅かです。しかしながら、当業界においては、常にコピー品に関するトラブル発生のリスクが潜んでおり、大きなトラブルが発生した場合、大黒屋の取扱品に対する信頼性が低下することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅲ.盗品の買取及び質預りリスクについて
大黒屋が買取った商品或いは質預り品が盗品であると発覚した場合、古物営業法及び質屋営業法では1年以内は、これを無償で被害者又は遺失主に回復することとされております。大黒屋においては、コンプライアンスの観点から、古物においては古物営業法に基づく古物台帳、質物においては質屋営業法に基づく帳簿の徹底管理を行うことで、被害者又は遺失主に対し適切な対応が出来る体制を整えており、盗品の買取及び質預りをしてしまう件数は極僅かです。しかしながら、盗品を取り扱った場合には、大黒屋の取扱品に対する信頼性が低下することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅳ.買取担当者等について
当業界における中古品の仕入買取価格については、金等のように相場があるものを除き、あらかじめ価格が決定しているものではありません。従って、商品の真贋鑑定を適正に行い適正価格で買取を行うことや質物の預りにおいても同様に真贋鑑定を適正に行う必要があります。そのため、大黒屋にあっては、人材の養成と確保への取り組みの強化が重要です。人材育成のため研修制度の充実や賃金体系を含めた人事制度の構築により対応しておりますが、このような買取担当者等の養成や確保が進まない場合や、買取担当者等の退職は大黒屋の仕入や店舗施策等に重要な影響を与え、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅴ.為替変動について
大黒屋が取り扱う中古品は、大半が輸入ブランド品ではありますが、これらの仕入は円建で行われ、また、販売価格は仕入買取価格に連動して変動するため業績への影響は限定的と認識しておりますが、急激な為替相場の変動による国内外の需要の変化によって当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。なお、為替の円安傾向への変動は、販売において外国人旅行客にとって割安感が生まれ免税売上が増加します。一方、円高傾向への変動は、国内の購買層に割安感が生まれ国内売上増加に寄与します。
ⅵ.商品在庫について
大黒屋の取扱商品は時代の流行や市場ニーズに合わせながら変化する商品が大半であり、商品が陳腐化し長期滞留在庫とならないように、常に在庫回転期間の目安として平均90日を維持することを念頭に置き販売価格を設定し適正在庫の維持に努めておりますが、その流行やニーズの変化により商品が陳腐化し長期滞留在庫を招く可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅶ.質草の取扱について
質取引は、質屋営業法に基づき、顧客(質置主)から物品(有価証券等を含む)を質草として預り、流質期限まで当該質物で担保される債権の弁済を受けないときは、当該質草をもってその弁済に充てる旨の約款を附して顧客に金銭を貸付けるものです。また、質契約の期限が経過したもの及び経過しようとするものに対して、利入れすることにより期限延長することが出来ます。顧客は流質期限前に、いつでも元利金を返済して、その質草を受け戻すことが出来ます。そのため、顧客に返却する質草については、劣化や盗難による紛失等に備えるため、法的に定められた保管場所である質蔵にて厳重に保管しており、劣化や盗難による紛失等による影響は限定的であると認識しておりますが、保管中の質草の劣化や盗難による紛失等があった場合には当社グループの業績に重要な影響を与える可能性があります。
ⅷ.出店施策について
a.新規出店について
大黒屋は、現在首都圏(17店舗)を中心に関西圏(5店舗)、東海地区(1店舗)及び九州地区(1店舗)にて24店舗を展開しております。
出店先の選定にあたっては、物件の状況、契約条件、周辺地域の人口やその動態、交通の便、競合他社の店舗の状況等を勘案して判断しております。このため、大黒屋の望む時期に望むような物件を確保出来ない場合、更に新店舗への設備投資、商品供給及び人材確保等が遅延した場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
b.賃借契約等について
大黒屋では、出店に際して賃借物件による店舗施策を基本方針としております。よって、当該物件を借り受けるに際し、賃貸人に対し、敷金及び保証金を差入れております。敷金及び保証金は、契約解消時に返還されることになっておりますが、賃貸人の事情によっては、その一部又は全額が回収出来なくなる可能性があります。また、大黒屋の都合で契約を中途解約した場合には、契約内容によってはこれらの一部が返還されなくなる場合があります。また、大半の店舗が賃借店舗であることから、何らかの理由により契約が更新できない場合、また、契約更新時などに賃料が上昇した場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
c.営業エリアの集中について
大黒屋においては、経営の効率化及び経営資源の集約化を図るべく首都圏、関西圏及び中部圏といった日本における三大都市圏に店舗展開しています。このため各都市圏において地震、風水害及びその他の異常な自然現象により、大黒屋が物的及び人的な損害を受けた場合、事業拠点の移転や損害を被った設備等の修復の為に多額の費用が発生し、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
更に、大黒屋が出店している地域において自然災害に起因して生じる電力不足、通信途絶及び運輸機能の停止等ライフラインの途絶が発生した場合、また、行政からの避難命令・勧告等により営業継続が困難となった場合にも当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
ⅸ.法的規制について
a.古物営業法に関する規制について
大黒屋が取扱う商品は「古物営業法」に定められた「古物」に該当するため、出店に際しては管轄する各都道府県公安委員会から営業許可を受けております。大黒屋では同法に従って適切に業務を遂行するため、古物台帳による管理の徹底、古物営業法に基づく社内マニュアルの整備、社員教育等を実施しております。本日現在大黒屋において許可の取消し事由は発生しておりませんが、万一同法に定める規則に違反した場合には、営業許可の取消し、又は営業停止等の処分を受ける可能性があり、その場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.質屋営業法に関する規制について
大黒屋は古物以外に「質屋営業法」に定められた質屋業を営んでおり、質屋の出店に際しては管轄する各都道府県公安委員会から営業許可を受けております。大黒屋では同法に従って適切に業務を遂行するため、質帳簿による管理の徹底、質屋営業法に基づく社内マニュアルの整備、社員教育等を実施しております。本日現在大黒屋において許可の取消し事由は発生しておりませんが、万一同法に定める規則に違反した場合には、営業許可の取消し、又は営業停止等の処分を受ける可能性があり、その場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c.その他の法的規制について
大黒屋が規制を受けているその他の法律には、「特定商取引に関する法律」、「建築基準法」、及び「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等があります。なお、短時間労働者に対する社会保険適用基準の拡大等の各種法令の改正等に伴い、新たな対応コストが発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ⅹ.有利子負債依存度について
株式会社大黒屋では、当連結会計年度末現在、資金調達は金融機関からの借入で行っております。大黒屋の仕入商品の買取は全て現金決済にて行われているため、常に運転資金が必要な事業形態となっております。また、業容拡大に伴う出店及び改装に係る費用を、主として金融機関からの借入により調達していることから、今後の出店及び商品調達の状況により、大黒屋の有利子負債依存度は比較的高水準で推移する可能性があります。
今後は業績拡大、収益性の向上により内部留保を確保し、財務体質の強化に努める方針でありますが、金利動向等の金融情勢や取引金融機関の融資姿勢等の変化により、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
ⅺ.借入金の返済について
借入金は、資金調達に係る流動性リスク(支払期日に支払いを実行できなくなるリスク)に晒されております。資金繰り計画を作成・更新するとともに、手元流動性を一定額以上維持すること等により流動性リスクを管理しておりますが、業績の悪化等により借換先が見つからない場合や一時的な資金支出の増加により、弁済期日通りに借入金を返済できない場合、当社グループの事業及び財政状態に著しい影響を及ぼす可能性があります。
ⅻ.財務制限条項について
一部の借入金については、金融機関に流動資産及び固定資産の一部を担保に供しており、財務制限条項(レバレッジ・レシオ、利益維持、純資産維持)が付与されています。本条項に抵触し、金融機関より債権行使がなされた場合には、当社グループの財政状態に著しい影響を及ぼす可能性があります。
ⅻ.COVID-19の感染拡大によるリスク
今後、COVID-19の感染症拡大が長期化した場合は、各国の渡航制限や日本政府による緊急事態宣言等により経済活動の停滞や悪化が発生するリスクがあります。その場合、来日旅行客の減少や、商業施設の閉鎖により売上高の悪化が生じる可能性があります。
③電機事業のリスク
ⅰ.製品の安全性について
電機事業においては、一世紀弱に及ぶ技術開発の成果として、多くの製品に工業所有権・ノウハウを有しておりますが、そもそも可燃性物質を取り扱う等厳しい環境下で使用される製品であること、昨今の仕入先の状況から来る品質の低下及び品質検査漏れ及び熟練工確保状況等によっては、製品の使用に関連して火災事故等の人命に関わる事態に巻き込まれる可能性があります。かかる状況においては、報道等の行われ方いかんによっては、問題のない製品及び当社グループへの信頼性の低下を招き、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ.法的規制について
当社グループは、防爆仕様の製品を製造することから、さまざまな法的(ガイドライン)規制を受けております。たとえば、労働安全衛生法に基づく国家検定に合格する必要がある製品や、電気用品技術基準に合格することが必要な製品等があります。当社グループは事業遂行にあたってこれら法令等に違反しないように監視する内部統制機能の充実に努めておりますが、結果として規制に適合しない可能性を完全に排除できる保証はありません。これら法令等の規制等を遵守できなかったことにより、企業としての信頼性の失墜につながる可能性があり、その場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
業績等の概要
(1)業績
事業の経過及びその成果
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス(以下「COVID-19」という。)感染症の感染拡大による影響が長期化する中、インバウンド需要の低迷、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令された事による個人行動規制や営業規制の強化の影響もあり、依然として厳しい状況が続いております。世界経済においては、ワクチン接種が進んでいる欧米諸国が牽引する形で各種経済政策が進められる一方で、わが国においてもワクチン接種の広がりにより一定の回復は見せつつも新たな変異株であるオミクロン株の発生による第6波の感染再拡大の懸念や、ウクライナ情勢の一層の緊迫化による下振れ懸念が強まる等、国内外共に景気動向の先行きは極めて不透明な状況で推移しておりました。
このような状況の中にあって、当社グループでは、ダイバーシティマネジメントに基づき株式会社大黒屋(以下「大黒屋」という。)を中心に既存のブランド中古品の買取販売業及び質屋業に加え、今般のコロナ禍を奇貨として、当社グループの従来の方針であるオムニチャンネルに対応したDX化を進めグローバリゼーションへの対応を強化するべく、既存店舗での買取販売業務に加え、ウイズ・コロナ、ポスト・コロナを見据えた買取販売事業をオンライン・オフライン上で一元管理し、ネット事業を更に成長させるために新たにシステムを再構築し、それをDX化する事で、セールスフォースを中心としたオムニチャンネル・マーケティングの強化に向けて努めて参りました。大黒屋の強みである真贋鑑定、適切な値付査定に基づき交叉比率(在庫回転率×粗利率)を最大化する事で収益極大化を図るという当社グループの基本方針が、今般各店舗で培ったアナログ的な知見を基にそのデジタル化、即ちデータベースの整備、機械学習による商品区分の整理等への移行が完了しました。当社グループでは、今後アナログ的知見を基に更に強化されたデジタル化のノウハウに基づく、在庫回転率、粗利益の極大化、「Dynamic Pricing」を確立する事でアナログ、デジタルの一元管理を図るとともにプラットフォーマーとしてのCtoB・BtoCマーケット強化の一翼に繋がると確信しております。具体的には①真贋鑑定:大黒屋が長年にわたり培った真贋鑑定ノウハウはDynamic Pricingのために最も重要なのは商品属性データです。それぞれ属性により微妙な違いがあり、それらをデータとしてクレンジング(整理)することが最も重要であると考え、データとして有効に活用できるようにクレンジングしてきました。結果として、タイムリーな真贋鑑定サービスの他社へのAPI提供が可能なシステムを構築しました。②Dynamic Pricing: 現在大黒屋はバックの場合在庫回転期間30日で買取販売してきており、タイムリーに商品価格等を需給状況に合わせて変動が可能となっております。当グループが今後提供する在庫適正化データベースに基づくDynamic Pricing戦略はデータのみではなく、そのデータは大黒屋の実店舗での長年にわたる蓄積、知識に基づきデータを整理統合したものであり、データがたんにあるだけではなく、また意味もなくデータを分析した結果ではなく、大黒屋社独自の知見に基づき、商品属性を補正し、値段を修正した事により、日々の買取販売で実用として使用されている動的価格戦略であり、これらは当に生きたデータです。今後、当グループでは国内外のプラットフォーマーやブランド関連会社等へAPI経由しての提供を検討して参ります。③上記商品属性データ及びDynamic Pricingにより顧客ニーズを的確に掴む事により、顧客ニーズに沿った商品の提供が可能となります。これらをAPI経由必要に応じて他社への提供も検討していきたいと考えます。④上記を踏まえ、オンラインを活用したAPI経由買取事業を広く他社へ提供することを検討しております。
大黒屋では、昨年6月に今後のビジネス展開として、「テクノロジーとフィジカルとの一体化によるDX~DXのノウハウを活用したビジネスの展開~」を掲げ「5カ年事業計画」を策定し、現在更なる収益力の向上に向け取り組んでおります。
本プロジェクトは顧客のニーズを把握した当社グループの各店舗での買取販売員の能力をオンライン・オフライン上において高度化していくものです。更に当社グループの現場で働く中国人の販売買取スタッフの育成に努める等、当社グループの人材の多様性を活用して進めております。デジタル力をより活用する事で更に、アナログ事業が強化されていく事が重要であると考えております。これらは大黒屋の実店舗で培った知見に基づき、商品属性をクレンジング(整理)してきた事により、データを正規化してきています。結果として、実店舗の人材が顧客ニーズに基づいたそれぞれの店舗における顧客特性に沿った品揃えを可能にし、在庫回転期間30日を達成してきた知見をDX化及びAI化として使用出来るようにクレンジング(整理)しました。そのため、顧客ニーズに沿った形での商品のサイトでの新たな価値の提示(キュレーション)を達成できるシステムを構築しました。今後はこれらを他社向けにAPIで提供していく事を検討していきたいと考えております。
買取販売に関しても当社グループの方針の下、グローバル化に呼応し、COVID-19からいち早く経済が再生した中国での事業展開を開始し、越境EC事業の拡大、越境EC強化のため中国大陸で主要なプロモーションとなっているライブ配信イベントを行い、COVID-19等の外部要因に向けて事業対応能力の強化に努めております。
国内においては、当社グループの根幹会社である大黒屋において、創業70有余年で培ったブランドとノウハウを基盤に全国で24店舗を展開しており、コロナ禍に於ける庶民の資金ニーズ及び換金ニーズに応えるべく、従来の庶民金融である質屋事業に合わせて、訪問買取及びオンライン買取のDX化を強化すべくサイトの改修に注力して参りました。
一方海外事業におきましては、COVID-19からいち早く経済回復を見せた中国市場の需要に迅速に対応すべく、当社グループでは前期、上海市に設立した上海黛庫商業有限公司(当社の100%子会社:以下、「上海黛庫」という。)を中心に今後の中国大陸での中古ブランド品販売市場拡大を見据え、当社グループが長年に亘って培ってきた中国に於ける知名度や真贋鑑定力を生かし、中国大陸での買取販売を強化しております。Alibaba Group Holding Limited(以下「アリババグループ」という。)が運営するオンラインプラットフォームkaolaでは既に当社グループの多数の商品が掲載され、順調に販売を伸ばしております。当社はTMALLグローバルでの越境EC販売を開始し、中国現地法人のマーケティング活動により、その他オンラインプラットフォームでも当社グループ商品の販売越境ECが更に強化されます。上記EC商品の販売力に合わせて、中国国内での買取販売に注力していく所存です。また、前期においては当社グループとアリババグループとの越境ECビジネスでの連携実績から上海黛庫が当社グループを代表して戦略的パートナーとして認定されましたが、今後もアリババグループ等との連携を強固なものとし、中国大陸において更に事業拡大を進めて参ります。その一環として、上海黛庫では昨年12月下旬にアリババグループの盒馬鮮生内に買取の第1号店として大黒屋高青路店を開設しました。現在は、上海を中心に爆発的に広まったコロナ禍によるロックダウンの影響を受け在宅ワークを余儀なくされておりますが、中国国内の最大のイベント「6.18年中大促」や「11.11独身の日」に向け今後更に業容を拡大していく見込みです。また、昨年7月より全世界向け越境ECとしてのChrono24を大黒屋本部にて開始しております。かかるコロナ禍においても他社に先立ち中国での事業基盤を確立して来たことより、成長著しい同国でアリババグループから戦略的パートナーとして認定され、更に同グループの盒馬鮮生の上海の店舗に一号店を開店し、更に大黒屋の強みである買取・販売力に裏付けされたデジタルでの買取販売のためにシステムを構築する事でオンライン・オフライン上での買取・販売及び交差比率の最大化に努めて参ります。
当社の強みはコロナ禍において100%子会社の中国現地法人を設立した事で、当社グループのブランディング及びマーケティング戦略の一貫した活動を行うことが可能となり、越境EC、中国大陸に於ける買取販売を更に強化出来る事にあります。また、粗利益率及び在庫回転率の最大化を目的とし、限界収益の極大化を図ることを基本方針としております。今般、中古ブランド品の流通は越境ECを始め全世界的規模に拡大し、中古ブランド品事業の物品はその物流がグローバルに展開しております。その中にあって、当社グループのビジネスモデルはCtoBの商品買取を基本とし、更にBtoCの商品販売を展開することにより、一般顧客より高く買取り、他の顧客に安く販売し新たな顧客の創造する事をビジネスの根幹においております。
当社グループでは、同業他社に先駆けてリアルからネット化、グローバル化への展開を更に進行させ、ライブショッピングの促進、海外サイト、即ち中国、欧米等の今まで販売出来なかった地域で販売を開始しております。例えば、新規のサイトへの商品アップ時に1日1,000万円以上の売上を計上したサイトが複数あり、既に当社グループの努力の成果が出つつあり、これを取り込む事で今後の成長が期待できます。これは当社グループがグローバリゼーションの強化を目標にネット及びリアルでの一元管理販売のシステムをいち早く強化してきた賜であり、また、ただ越境ECを展開するだけではなく、多様化の中で現地でのオペレーション及びマーケティングを増強する事により他社にはない「Daikokuya」ブランド力を強化して来た賜です。更に、新たなネット化の実現に向けて新宿ライブ館を昨年11月下旬にプレオープンし、旧正月明けの2月7日より正式に中国向けネット配信を中心に開始しております。
日本以外の国、特に中国等ではコロナ禍で富裕層が海外旅行、飲食等にお金を使えずその滞留資金がブランド品に流れており、その販売が伸びてきており、且つ一部のビンテージ商品の価格が急速に上がってきております。当社グループでは、その需要に答えるべく、中国を始めとして現地での買取販売を更に展開し、同国での認知力を更に高める事により、今後売上の伸張を図って参ります。
(売上高)
当社グループの当連結会計年度の売上高は、17,195百万円(前期比4,589百万円増、同36.4%増)となりました。その主な要因は以下の通りであります。
まず、当社グループの根幹会社である大黒屋においては、前年コロナ禍の影響から回復傾向が続き当連結会計年度の売上高は16,917百万円(前期比4,597百万円増、同37.3%増)となり大幅な増収とりました。なお、大黒屋の月次売上高は第4四半期以降のまん延防止下にあっても1月1,563百万円、2月1,348百万円、3月1,510百万円と前年同月比増加に転じております。
大黒屋における主な要因は外国人観光客の激減や相次ぐ緊急事態宣言下の外出自粛要請等のコロナロスの影響を大きく受けた前年から比べ経済活動制限が緩和された結果、リアル店舗売上が回復、更にオンライン店舗での売上が増加したことにあります。リアル店舗商品売上高(リアル店舗による販売の事:以下「リアル」という。)は10,435百万円(前期比3,301百万円増、同46.3%増)となり、リアルの第4四半期の月次の売上高については1月1,007百万円、2月786百万円及び3月646百万円と大幅に回復しております。
ネット店舗商品売上高(インターネットによる店舗販売の事:以下「ネット」という。)については2,203百万円(前期比493百万円増、同28.8%増)となりました。また、本部商品売上高(古物業者市場等への販売の事)については、3,348百万円(前期比804百万円増、同31.6%増)となりました。
併営する質料収入においては、コロナ禍の影響下大口が減り小口顧客が増えた事から質料(貸付金利息)は785百万円(前期比31百万円減、同3.9%減)に留まりました。なお、質草預りに伴う営業貸付金残高は前期比187百万円増加している事から来期以降の質料アップが期待出来、更に質屋業はコロナ禍の影響下でも顧客の逼迫した金繰り要請に応える事業である事から、今後も引き続き強化して参ります。
また、中国関連として、新たに開始した越境EC、ライブショッピング等の売上が946百万円と順調に推移しており、またChrono24は442百万円と順調に増加しております。
(利益)
当社グループの営業損失は122百万円(前期比230百万円の改善)となりましたが、その主な要因は以下の通りであります。
まず、大黒屋において売上総利益は3,324百万円(前期比294百万円増、同9.7%増)この要因は店舗商品売上総利益(リアル)が売上高の増加に伴い1,575百万円(前期比239百万円の増加、同17.9% 増)となった上、店舗商品売上総利益(ネット)については346百万円(前期比133百万円の減少、同27.8%減 )となり、本部商品売上高の売上総利益についても479百万円(前期比30百万円の増加、同6.7%増)となった事によります。
また質料(貸付金利息)は785百万円(前期比31百万円の減少、同3.9%減)に留まりました。なお、質料収入はそのすべてが売上総利益となります。
大黒屋の販売費及び一般管理費につきましては、ポスト・コロナを見据え費用対効果の観点から広告宣伝効率を改善しながら広告投資を積極的に行った結果、3,091百万円(前期比16百万円増、同0.5%増)となりました。なお、大黒屋では、のれんを計上しているため、年間償却費541百万円を販売費及び一般管理費に含めておりますが、連結決算においては、のれん償却費を消去するため、当該金額を控除した金額で記載しております。以上の結果、大黒屋の営業利益は233百万円(前年同期比278百万円の増加)となりました。
当社グループの経常利益は、283百万円の経常損失(前期比429百万円の改善)となりました。これは営業損失が前期と比較して230百万円改善した事と銀行への支払手数料の減少(前年同期比179百万円)によるものです。
以上の結果、当社グループの税金等調整前当期純利益につきましては297百万円の損失(前期比474百万円の改善)となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は、462百万円の損失(前年同期比254百万円の改善)となりました。
なお、大黒屋において企業評価指標の一つであるEBITDAは291百万円(前年同期比258百万円の大幅増加)となりました。
さて、当社グループの属する古物売買業界におきましては、外国人観光客の激減によるインバウンド需要の低迷、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令された事による個人行動規制や営業規制の強化等のコロナロスの影響を受けその改善策を模索している現況下、当社グループでは、いち早く店舗販売から、グローバルなオムニチャンネルを通じての販売システムの構築の強化に努めて参りました。
同時に係るコロナロスを回避すべく当社グループでは、プラットフォーマーや当社と近い顧客基盤の持つ企業と共同で、顧客に対して「モノ」の販売から買取までの一貫したサービスの提供ができるように「Reseller as Service」をモットーとしてこれら顧客基盤を持った企業に対してSDGsリサイクルビジネスや販売のみならず、買取ビジネスを促進するために大黒屋の永年に亘り培ったブランド品に関する真贋鑑定力、値付力及び商品とクロスした顧客分析のエンジンをバックエンドで提供していく事業を展開しお互いの業際的共栄を推進しております。
先に記載しました通り、当社グループでは中国においてかかるコンセプトの延長という観点から、アリババグループの盒馬鮮生内に買取の第1号店を出店し、将来的には中国各地に展開する盒馬鮮生の各店舗網を活用し同社のアプリを組み込んだ買取を推進していく予定です。
当社グループが、国内外において大黒屋が培った買取・販売スキームをバックエンドで提供し、商品区分やそれに付随した顧客分析情報等を提供する事により提携先企業においては、その過去において販売一辺倒であった顧客基盤を販売、買取、更に委託販売サービスへと展開する事により、より顧客とのコミュニケーションの密度が高くなるものを考えております。特に大黒屋の場合、在庫回転期間がバックでは30日以内で推移しており、「Dynamic Pricing」査定や真贋鑑定及び顧客分析の強み更にデータ分析システムが確立されており、従来の店舗で培った社員スタッフの知見に加え当社グループのグローバルCTOは米国シリコンバレーからEnablerを提供し、更に中国でもアリババグループにおける越境ECで高級品販売電子商取引のプラットフォームである魅力恵(MEI.com)の責任者であった人物を経営陣として迎え展開しており、彼らを介したデータ分析、AI分析等を加味した顧客分析及びCurationは非常に高いものであると考えます。
当社グループでは、今後とも国内外で「Reseller as Service」として中古品の買取・販売のエンジンを業務提携等により提供していく所存です。
セグメント別の業績の状況につきましては以下の通りであります。
イ.質屋、古物売買業
当連結会計年度における質屋、古物売買業の売上高及び営業利益は、それぞれ16,918百万円(前期比4,599百万円の増加、同37.3%増)、166百万円の営業利益(前期比231百万円の改善)となりました。その主な要因につきましては、業績の概況にて記載しましたように、大黒屋において売上高の大幅な増加により規模の利益生んだ事によるものです。
ロ.電機事業
当連結会計年度における電機事業の売上高及び営業損失は、それぞれ277百万円(前期比9百万円の減少、同3.5%減)、63百万円(前期比0百万円の減少、同0.9%減)となりました。
電機事業においては、今もなお電機業界全体において設備投資の抑制が続いている事もあり、最終ユーザーによる設備の新設工事や点検工事などは年々減少しているのが実情であります。また、資材(原材料)価格の上昇や後継者不足による小規模下請け業者の廃業など、より一層厳しい環境が続いており、当社の電機事業にも大きな影響を与えています。
このような状況の下、当社電機事業部門におきましては、適正な利益を確保するため常に販売価格の見直しを行うとともに、製造原価の上昇を抑えるべく仕入先の転換(新規仕入先の拡充等)、現行取引ユーザーとの協力体制の拡充等、さまざまな手法をとって利益率の確保を目指し改善を行っております。
(2)財政状態に関する説明
当連結会計年度における、資産、負債及び純資産の状況は以下の通りであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、5,921百万円となり、前連結会計年度末に比べ583百万円の減少となりました。これは主に商品及び製品が703百万円減少、現金及び預金が40百万円増加、その他の流動資産が49百万円減少した一方で、営業貸付金が187百万円増加したことによるものであります。固定資産は、1,442百万円となり、前連結会計年度末に比べ161百万円の減少となりました。
この結果、総資産は7,363百万円となり、前連結会計年度末に比べ744百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度における流動負債は4,774百万円となり、前連結会計年度末に比べ129百万円の増加となりました。固定負債は1,298百万円となり前連結会計年度末に比べ393百万円の減少となりました。これは主に長期借入金が400百万円減少した事によるものであります。
この結果、負債合計は、6,073百万円となり、前連結会計年度末に比べ264百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、1,289百万円となり、前連結会計年度末に比べ480百万円の減少となりました。
この結果、自己資本比率は9.3%(前連結会計年度末は14.4%)となりました。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、1,043百万円となり、前連結会計年度末から40百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、422百万円のキャッシュイン(前年同期は、398百万円のキャッシュアウト)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失297百万円に、売上債権の増加128百万円、棚卸資産の減少704百万円が影響を与えております。
(投資活動のキャッシュ・フロー)
投資活動の結果取得した資金は、6百万円(前年同期は、1百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出32百万円及び差入保証金の差入による支出13百万円に対し、差入保証金の回収による収入5百万円が影響を与えております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、400百万円(前年同期は、400百万円の支出)となりました。これは、主に、長期借入金の返済400百万円に影響を与えております。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
電機事業(千円) |
140,439 |
△2.5 |
(注)金額は製造原価によっております。
②商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
電機事業(千円) |
43,994 |
0.8 |
|
質屋、古物売買業(千円) |
12,886,141 |
35.7 |
|
合計(千円) |
12,930,136 |
35.5 |
③受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
電機事業(千円) |
279,621 |
△3.0 |
45,163 |
5.8 |
(注)金額は販売価格に基づいており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
前年同期比(%) |
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電機事業(千円) |
277,137 |
△3.5 |
|
質屋、古物売買業(千円) |
16,918,411 |
37.3 |
|
報告セグメント計(千円) |
17,195,548 |
36.4 |
|
その他(千円) |
- |
- |
|
合計 |
17,195,548 |
36.4 |
(注)金額は販売価格に基づいております。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に際しましては、当連結会計年度末における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、 「業績等の概要(1)業績」 に記載のとおりであります。
(3)当連結会計年度末の財政状態の分析
当連結会計年度における、資産、負債及び純資産の状況は以下の通りであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、5,921百万円となり、前連結会計年度末に比べ583百万円の減少となりました。その主な内訳としては、現金及び預金が1,043百万円(前期比40百万円増加)、営業貸付金が1,802百万円(前期比187百万円増加)、商品及び製品が2,273百万円(前期比703百万円減少)、その他の流動資産が373百万円(前期比49百万円減少)、であります。これらの流動資産の減少は大黒屋の売上減少によるものです。
固定資産は1,442百万円となり、前連結会計年度末に比べ161百万円の減少となりました。その内訳としては有形固定資産が247百万円(前期比15百万円減少)、無形固定資産が395百万円(前期比37百万円減少)、投資その他の資産が798百万円(前期比108百万円減少)であります。なお、これら固定資産の減少は主に有形及び無形固定資産の償却が進捗した事によるものです。
この結果、総資産は7,363百万円となり、前連結会計年度末に比べ744百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は4,774百万円となり、前連結会計年度末に比べ129百万円の増加となりました。その主な内訳としては、短期借入金が3,500百万円(前期比0百万円減少)、1年内返済予定の長期借入金が400百万円(前期比増減なし)であります。なお、これら借入金につきましては、大黒屋において2020年10月に銀行団との間で5,500百万円借り換えがなされたものでその借入金の期間により長短に分けて表示しています。
固定負債は1,298百万円となり前連結会計年度末に比べ393百万円の減少となりました。その主な内訳としては長期借入金1,200百万円であります。
この結果、負債合計は、6,073百万円となり、前連結会計年度末に比べ264百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、1,289百万円となり、前連結会計年度末に比べ480百万円の減少となりました。その主な内訳としては、資本金が2,955百万円、資本剰余金が1,003百万円、利益剰余金△2,254百万円(前期比462百万円減少)為替換算調整勘定△1,017百万円(前期比24百万円減少)となっております。
この結果、自己資本比率は9.3%(前連結会計年度末は14.4%)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要 (2)当期のキャッシュ・フローの概況」 に記載のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
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|
平成30年 3月期 |
平成31年 3月期 |
令和2年 3月期 |
令和3年 3月期 |
令和4年 3月期 |
|
自己資本比率(%) |
28.3 |
29.9 |
20.6 |
14.4 |
9.3 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
45.3 |
26.4 |
23.9 |
60.6 |
77.8 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
10.7 |
7.3 |
- |
12.1 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
1.9 |
4.7 |
- |
3.5 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(注5)平成30年3月期並びに令和3年3月期の「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」及び「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、記載しておりません。
②資金需要の主な内容
当社グループの経常的な資金需要のうち主なものは、電機事業における製品製造のための原材料購入、外注費用及び製造経費、質屋、古物売買業における中古ブランド品の買取及び質草を担保とした資金の貸付け、その他、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。
当社グループは、営業キャッシュ・フローや金融機関からの借入れ、必要に応じて株式発行等を行い、十分な資金を確保し財政基盤を強化してまいります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。