第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

グループ理念(人がいきいきとする環境を創造する)のもと、自由闊達・価値創造・伝統進化の3つの価値を“大成スピリット”として全役職員が共有し、自然との調和の中、安全・安心で魅力ある空間と豊かな価値を生み出し、次世代のための夢と希望に溢れた地球社会づくりに取り組みます。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

当社グループは、中長期的に目指す姿の実現に向け、7年間で取り組んでいく方針と施策を整理した[TAISEI VISION 2030]達成計画及び3年後のマイルストーンとして数値目標等を定めた中期経営計画(2024-2026)を2024年5月に策定しました。 

これらに基づき、各事業セグメントの中長期事業戦略とそれらを支える事業基盤の整備に加え、将来の成長・事業収益機会の獲得に必要な投資を着実に実行してまいります。

 

[TAISEI VISION 2030]達成計画

■中長期事業戦略

 

セグメント

2030年度に目指す姿

 

グループ

国内建築事業

変化する社会ニーズを捉えた成長戦略を描き、技術に裏打ちされた建築関連

サービスの提供により、顧客・社会の価値向上に貢献

~環境技術及びデジタル・スマート化技術の提供、ストック市場でのビジネス

 展開~

 

グループ

国内土木事業

高い技術力とグループの総合力を生かしたインフラ整備のトップランナー

として環境・社会課題の解決に貢献

~国土強靭化/カーボンニュートラル/インフラリニューアル等における

 事業領域の拡大~

 

グループ

国内開発事業

培ってきた「開発ノウハウ」とゼネコンとしての「技術力」を武器に、付加

価値の高いまちづくりに貢献

~持続的かつ発展的なグループ開発事業体制を構築し、グループシナジーの

 最大化を追求~

 

グループ

海外事業

国内で培った技術ノウハウを活用し自らも成長しながら、質の高い社会

インフラ整備により、進出国の経済的・社会的発展に貢献

~海外成長市場での現地化推進・高い技術力による差別化・魅力ある事業

 体制の構築~

 

グループ

エンジニアリング事業

製造施設の最新技術に対応しながら、高いエンジニアリング力とゼネコン

としての建築・土木の設計施工力を生かし、生産施設の企画・設計・施工

から維持管理までの一貫したサービス体制を顧客に提供

~営業・設計への人財投入、外部連携による生産体制の確保、

 エンジニアリング主体工事の確立~

 

 

 

 

中期経営計画(2024-2026)

■数値目標(2026年度)

 

グループ営業利益

1,200億円

 

グループ純利益

800億円

 

ROE

8.5%程度

 

(参考)売上高

19,500億円程度

 

■投資計画

 

成長投資

1,700億円

 

 

事業投資

1,200億円

 

 

基盤維持投資

600億円

 

 

3か年投資額 計

3,500億円

※M&A投資は別枠で実施

 

 

(3) その他経営方針に関する事項

当社は、2020年12月に公正取引委員会からリニア中央新幹線に係る地下開削工法による品川駅及び名古屋駅新設工事に関する排除措置命令を受け、その取消を求めた訴訟に関し、2025年5月に東京高等裁判所より、当社の控訴を棄却する判決が言い渡されました。

当社は、これを受け、同年5月に最高裁判所へ上告及び上告受理の申立てをいたしました。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項については、「(1)共通 ①ガバナンス」に記載の推進体制のもと、取締役会等において合理的な根拠に基づく適切な検討を経たものであります。

 

(1) 共通

当社グループは、「人がいきいきとする環境を創造する」というグループ理念、及びグループ理念を追求するための自由闊達・価値創造・伝統進化という3つの“大成スピリット”のもと、建設業を中核とした事業を通じてサステナビリティ課題の解決を図るというサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を実現し、人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献することをサステナビリティの基本方針としております。サステナビリティ課題の解決にあたっては、それがリスクの減少のみならず、新たな収益機会にもつながることを認識し、積極的・能動的に取り組むこととしております。

この方針のもと、当社グループは、サステナビリティ課題のうち、特に重要なものをマテリアリティ(重要課題)としており、2024年5月に見直し、改めて5つを特定しました。それぞれのマテリアリティについて、併せて策定した[TAISEI VISION 2030]達成計画の施策に織り込んだ上で、中期経営計画(2024-2026)においてKPI(重要業績評価指標)を定め、事業戦略と一体化して取り組みを進めております
 

①ガバナンス

当社及び当社グループ全体のサステナビリティ経営の強化・推進を目的として、取締役会委員会である「サステナビリティ委員会」を設置しております。多様な視点を取り入れるために社外取締役を委員長とし、代表取締役社長を含む取締役5名(うち社外取締役2名)を委員として構成しており、サステナビリティ経営に関する重要な方針や施策の策定、運用等に関する事項を審議の上、取締役会に上程しております。

執行サイドでは、重要な環境・社会課題を審議し、サステナビリティ経営への取り組みに関する情報の共有、経営会議への提言を目的として、業務委員会である「サステナビリティ推進委員会」を設置しております

また、サステナビリティ課題に一元的に対応する業務執行部門として、サステナビリティ総本部を設置しております。サステナビリティ全般及びカーボンニュートラルに向けた課題解決に関する戦略機能を担う「サステナビリティ経営推進本部」と、クリーンエネルギー・環境関連の事業推進機能を担う「クリーンエネルギー・環境事業推進本部」の2つの本部が一体となって取り組みを推進しており、同総本部長をCSuO(最高サステナビリティ責任者)に選任し、業務執行の責任を明確化しております。
 環境や人権等に関連する重要事項については、サステナビリティ推進委員会における審議を経て、定期的に経営会議、サステナビリティ委員会及び取締役会に付議しており、取締役会が適切な監督機能を果たすことにより、実効性を確保しております。

当社の取締役会は、中長期的に目指す姿や中期経営計画を達成するために、取締役が備えるべき専門性及び経験を特定し、これに基づき取締役の指名を行っております。「取締役及び監査役のスキル・マトリックス」の中で「サステナビリティ」についても特定しており、これらのスキルを持つ人物を含めて取締役会を構成しております。なお、スキル・マトリックスに関しては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に詳細を記載しております。

取締役会で審議・決定された議案は、当社の各事業部門及びグループ各社に伝達され、それぞれの経営計画・事業運営に反映しております。 
 

 

 


 

  ●当社グループのサステナビリティにおける主な議論

*:取締役会上程議題

年度

経営会議の主な議題

区分

2023年度

環境デュー・ディリジェンス 優先対応リスクの選定

*

環境

2026年・2030年CO削減目標

*

TNFD提言への賛同(早期登録)

 

再生エネルギー事業への参画(個別プロジェクト)

 

経営の基本方針(人的資本)

*

人的資本

人権デュー・ディリジェンス実施報告

*

人権

[TAISEI VISION 2030] サステナビリティ戦略

*

共通

持続可能な社会づくりに向けて当社グループが取り組む重要課題「マテリアリティ」の見直しについて

*

[TAISEI VISION 2030]の達成に向けた新たなビジネスモデル(地域連携戦略)

*

内部通報制度の運用状況報告

*

ESG外部評価の状況報告

 

2024年度

統合的な環境経営情報開示

*

環境

サステナビリティファイナンス・フレームワークの策定と第三者評価の取得

 

環境デュー・ディリジェンス実施報告

 

人事制度改革の概要

*

人的資本

人的資本の各テーマに関する当社の現状や方向性

*

新人事制度の主要方針

*

中期経営計画(2024-2026) 進捗報告(人的資本)

*

人権デュー・ディリジェンス実施報告

 

人権

前中期経営計画マテリアリティKPI 2023年度実績報告

 

共通

ESG外部評価の状況報告

 

 

 

②戦略

当社グループは、以下の戦略に基づき、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すサステナビリティ経営を推進しております。

 

  ●マテリアリティ

サステナビリティ基本方針に基づき、サステナビリティ課題のうち、特に重要なものをマテリアリティとして特定し、経営会議で審議の上、取締役会で決定しております。

[TAISEI VISION 2030]達成計画及び中期経営計画(2024-2026)の策定に合わせて、事業活動を行うにあたっての基本姿勢として、マテリアリティを中長期の経営計画の上位概念に位置づけるとともに、最新のサステナビリティ課題を踏まえ、「環境・社会(ステークホルダー)が企業活動・企業財務に及ぼす影響(リスクと機会)」と「企業活動が環境・社会に及ぼす影響(リスクと機会)」の2つの側面から検討の上、2024年5月に見直しました。

 

<マテリアリティの特定プロセス>
  マテリアリティの特定は、以下のプロセスで行いました。

1)経営企画部門とサステナビリティ部門に社外専門家を加えたワーキンググループにより、SDGsやSASB業種別マテリアリティマップ等から482項目のサステナビリティ課題を抽出し、類似項目を123項目に集約

2)ワーキンググループにより、自社及び社会にとってのリスクと機会の観点から、当社グループに重要となりうる検討課題を15項目に絞り込み

3)経営者インタビュー、当社及びグループ会社の社員へのアンケート、当社の基幹取引先へのアンケート、企業風土改革ワーキンググループの意見等の結果を踏まえ、全課題を包含するマテリアリティとして、以下の5項目を特定

4)経営会議における事前審議の上、取締役会において審議・決定

特定した各マテリアリティについては、[TAISEI VISION 2030]達成計画の施策に織り込んだ上で、中期経営計画(2024-2026)においてKPIを定め、事業戦略と一体化して取り組んでおります。 

1.  豊かな暮らしを実現する新たな価値の共創

2.  持続可能な環境配慮型社会の実現

3.  一人ひとりがいきいきと活躍できる社会・職場環境の実現

4.  ものづくりへの矜持 ~安全・品質・技術~

5.  信頼を支える公正な企業活動 ~コンプライアンス・ガバナンス~ 

 

 

  ●[TAISEI VISION 2030]達成計画

当社グループは、2021年5月、グループ理念等に基づき、中長期的に目指す姿として[TAISEI VISION 2030]「進化し続けるThe CDE(キューブ)カンパニー~人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する先駆的な企業グループ~」を策定しました。

2024年5月には、[TAISEI VISION 2030]の第2フェーズとなる中期経営計画(2024-2026)のスタートに先立ち、[TAISEI VISION 2030]達成計画を新たに定め、2030年までの7年間で取り組むことを「経営の基本方針」、「事業基盤の整備方針」、「中長期事業戦略」、「新たなビジネスモデル」、「事業変革の進め方」に整理しました。「経営の基本方針」においては「人的資本」、「事業基盤の整備方針」においては「サステナビリティ戦略(環境・エネルギー、人権)」を策定し、[TAISEI VISION 2030]達成に向けた取り組みを明確にして実施しております。

 

 

  ●企業風土改革と人事制度改革

当社グループは、前中期経営計画の期間中に発生した品質・工程に関する一連の不適切な事案を背景に、企業風土上の問題があることを認識の上、お客様や社会からの信頼を取り戻し、[TAISEI VISION 2030]の達成と持続的な成長及び企業価値の向上を実現するため、2023年8月に企業風土改革を開始しました。役職員が一体となって議論を重ね、2024年4月には、目指す企業風土を「人生を尊重する企業風土」と定めた改革の骨子を決定しました。

併せて、社員を大切にすることを経営の中心におき「人生を尊重する企業風土」が実感できる職場環境を築くため、2024年7月に社長直轄の風土改革推進部を設置し、企業風土改革を本格的に推進する体制を整えました。経営陣と社員の直接対話を継続しながら、ボトムアップとトップダウンの2つの活動により、役職員の「自発的な行動変容」を促し、より良い企業風土の醸成に取り組んでおります。

また、[TAISEI VISION 2030]達成計画の「経営の基本方針」のうち、「人的資本」で掲げた「人財が競争力の源泉である」ことを踏まえ、社員が能力を最大限に発揮できる環境整備や多様なキャリアパスの実現を目指すため、人事制度を改定し、2025年4月より順次実施しております。育成や処遇にかける人件費を「コスト」ではなく、将来に実りをもたらす「投資」と位置づけ、「働きやすさ」「働きがい」につながる変革が必要との観点に立ち、等級制度、評価制度、給与制度等を見直しました。

「企業風土改革」と「人事制度改革」の両改革により、役職員一人ひとりがいきいきと活躍できる環境を整え、お客様やステークホルダーの期待を越えた価値を提供して、企業価値の向上につなげてまいります。

 

  ●リスクと機会

環境・エネルギー、人的資本、人権に関する「リスクと機会」については、後述の「(2)気候変動をはじめとした環境課題への対応」、「(3)人的資本関係」、「(4)人権尊重」をご参照ください。

 

③リスク管理

  ●全社的リスクマネジメントの推進

当社グループは、リスクマネジメント方針、リスクマネジメント基本規程のもと、全社的に体系化されたリスクマネジメントシステムを確立しております。社長を「最高責任者」、管理本部長を「CRO(チーフ・リスクマネジメント・オフィサー)」としたリスクマネジメント体制を敷き、事業運営に伴うリスクの適切な把握、管理及び対応に努めております。

全社的に重要なリスクの選定、対策の審議及びリスクマネジメント実施状況の確認を目的として、業務委員会のひとつに、CROを委員長とする「リスクマネジメント委員会」を設置しております。リスクマネジメント委員会において、経営に重大な影響を及ぼす可能性があるリスクについて、その対処方針を総合的に検討・審議の上、経営会議及び取締役会に付議しております。

後述の「3 事業等のリスク」に記載のとおり、「労働環境リスク」、「気候変動等環境課題に関するリスク」、「人権課題に関するリスク」をはじめとするサステナビリティ関連リスクを投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスクと認識し、発生の回避及び発生した場合の影響の軽減に努めるとともに、その実施状況をリスクマネジメント委員会で確認の上、定期的に取締役会に運用状況を報告して監督を受けることにより、実効性を確保しております。

 

 

 <全社的リスクマネジメント推進体制図>

 


 

  ●KPIの進捗管理

マテリアリティのKPIの進捗状況については、経営企画部門とサステナビリティ部門が確認の上、サステナビリティ推進委員会、経営会議で事前審議を行い、定期的に取締役会に報告して監督を受けております。KPIに対する未達が見込まれる場合には、原因を分析し、対策を講じた上で、必要に応じて取締役会に報告しており、その達成に努めております。

 

④指標及び目標

各マテリアリティに関するKPIは以下のとおりです。

 

マテリアリティ

サステナビリティ課題

主要KPI ※1

現状値

2026年度

目標

顧客・社会に対する課題

 

豊かな暮らしを実現する

新たな価値の共創

●自然災害

●まちづくり・インフラ

●新興国の経済成長・インフラ需要拡大

地域連携PJ件数

15件

15件

設計施工案件のZEB化率

(面積比) ※2

74%

70%

お客様満足度

建築 82.6%

土木 98.3% ※7

建築 100%

土木 100%

環境に対する課題

 

持続可能な

環境配慮型社会の実現

●自然災害

●カーボンニュートラル

(脱炭素社会)

・気候変動

・再生可能エネルギーへの移行

●サーキュラーエコノミー

(循環型社会)

●ネイチャーポジティブ

(自然共生社会)

CO総排出量・削減率

(スコープ1+2)(G)

※3

29万t-CO

※7

22年比

▲18%

再エネ発電量(G)

     181GWh ※8

170 GWh

建設廃棄物の最終処分率

      2.8% ※7

3.0%

ネイチャーポジティブに貢献するPJ件数(G)

       50件 ※7

50件

社員・取引先に対する課題

 

一人ひとりが

いきいきと活躍できる

社会・職場環境の実現

●多様な人財の確保・活用

●サプライチェーンマネジメント

●生産性・労働環境・ウェルビーイング

エンゲージメントスコア

BBB 55

BBB 55

新卒女性採用比率

25%

27%

サプライヤーのサステナビリティ活動状況確認率

48%

100%

4週8閉所実施率

 建築 49.9%

 土木 80.0%

 建築 100%

 土木 100%

ものづくりへの矜持

~安全・品質・技術~

●労働安全衛生

●品質

●技術開発・DX

死亡災害・重大事故件数 

※4

2件

0件

重大品質関連トラブル件数 ※4

0件

0件

主要社外表彰件数 ※5

 建築 17件

 土木 15件

 建築 12件
 土木 6件

特許出願件数

244件

840件

(3か年計)

デジタル高度利用作業所数(累計) ※6

324作業所

650作業所

信頼を支える

公正な企業活動

~コンプライアンス

・ガバナンス~

●ガバナンス・コンプライアンス・リスクマネジメント

重大なコンプライアンス違反件数 ※4

0件

0件

重大なセキュリティ事故件数 ※4

0件

0件

 

※1 (G)はグループ全体のKPI、その他は当社単体のKPI

※2 持続可能な環境配慮型社会の実現との共通KPI

※3 環境に対する課題のうち、「CO総排出量」については、EY新日本有限責任監査法人により、国際保証業務基準において定義される限定的保証を受けております。

※4 会社の事業活動において発生する事件・事故のうち、当社及びグループ会社の経営に重大な損失を生じる可能性のある事件・事故

※5 建築:BCS賞、日本建築学会 作品選奨、日本建築学会 作品選集、BELCA賞、日本建築構造技術者協会賞、電気設備学会賞技術部門、日本照明賞、カーボンニュートラル賞

土木:土木学会賞(技術賞、技術開発賞、田中賞)、日建連土木賞

※6 T-BasisX®及びT-iDigital® Fieldの累計導入作業所数

※7 数値は2023年度

※8 年度末の保有電源による通期換算

 

このうち「サプライヤーのサステナビリティ活動状況確認率」については、以下の「(2)気候変動をはじめとした環境課題への対応」、「(4)人権尊重」に記載の環境及び人権デュー・ディリジェンスのプロセスのうち、「実施状況・結果の追跡・調査」に該当するものであり、当社グループのデュー・ディリジェンスの取り組みを深化させ、サプライチェーン全体での共存共栄を進めるためには、その向上が欠かせません。当社では、毎年度、取引先の皆様に依頼して、アンケート形式でサステナビリティ活動の実施状況を確認しています。前年度より新たなシステムを導入したために確認率が低下していますが、運用の改善等を図り、サステナビリティ活動のサプライチェーン全体への浸透と確認率の向上に努めていきます。

「4週8閉所実施率」については、適正な工期の確保を前提とした営業活動により、前年度より改善しているものの、依然として未達となりました。引き続き、建設業界全体の重要な課題である長時間労働の是正と休日の確保に向けて、サプライチェーンと協働して生産性の向上及び機械化・自動化を含めた効率的な施工に努め、業界団体と連携してお客様にご理解をいただきながら、目標達成に努めてまいります。

「持続可能な環境配慮型社会の実現」については、以下の「(2)気候変動をはじめとした環境課題への対応」に記載のとおり、グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」において詳細な目標を定め、その達成に向けた取り組みを進めております。

 

(2) 気候変動をはじめとした環境課題への対応

当社グループは「人がいきいきとする環境を創造する」を経営理念とする企業グループとして、気候変動をはじめとした環境課題への対応を重要な経営課題と捉え、マテリアリティ及び環境方針に「持続可能な環境配慮型社会の実現」を掲げ、その達成を目指しております。

 

  ●TAISEI Green Target 2050

2050年に向けて、グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」を定め、「3つの社会(脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会)」の実現と「2つの個別課題(森林資源・森林環境、水資源・水環境)」の解決に向けた取り組みを進めております。それぞれについての目標は以下のとおりです。

 

 <3つの社会>

 

2030年目標

2050年目標

脱炭素社会


CO排出量(2022年度比)

·スコープ1+2 ▲42%

·スコープ3   ▲25%

CN|カーボンニュートラルの実現・深化

·スコープ1+2             CO排出量0

·スコープ3 サプライチェーンCO排出量0

循環型社会


·グリーン調達の推進

·建設廃棄物の最終処分率3.0%以下

CE|サーキュラーエコノミーの実現・深化

·グリーン調達率100%

·建設副産物の最終処分率0%

 

自然共生社会


ネイチャーポジティブに貢献する、

·プロジェクトの推進 50PJ/年以上

·評価手法の展開
 設計施工PJのうち30%に適用

·海洋課題への対応

NP|ネイチャーポジティブの実現・深化

·建設事業に伴う負の影響の最小化

·自然と共生する事業による正の影響の最大化

 

 
 <2つの個別課題>

 

目標

森林資源・森林環境


·森林破壊ゼロを前提とした木材調達により、森林資源・森林環境への負の影響を最小化

·保全と再生に取り組み、森林資源・森林環境への正の影響を最大化

水資源・水環境


·適切な管理の徹底と使用量の削減により、水資源・水環境への負の影響を最小化

·保全と再生に取り組み、水資源・水環境への正の影響を最大化

 

 

  ●統合的な環境経営情報の開示(TCFD、TNFDを含む)

当社グループは、2024年5月より「統合的な環境経営情報の開示」として、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4つの柱について、環境経営に関する情報を統合的に開示しております。
  複数の環境課題への取り組みには、それぞれ「シナジー・トレードオフ」の関係性を有しております。当社グループは、複数の環境課題を統合的に捉え、各課題間におけるシナジー・トレードオフ効果を考慮した環境負荷低減につながる取り組みをさらに進めると共に、これらの情報開示の拡充を今後も図ってまいります。

なお、脱炭素社会については「TCFDフレームワーク」など、循環型社会については経済産業省の「サーキュラーエコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」など、自然共生社会については「TNFDフレームワーク」などを参照しております。

詳細は当社ウェブサイトをご覧ください。

(https://www.taisei-sx.jp/esg_guide_line/tcfd/)

①ガバナンス

前述の「(1) 共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」に関する「リスクと機会」には、気温上昇や自然資本の棄損、資源の枯渇を避けるための規制の強化や市場の変化といった「移行」に起因するものと、気温上昇や自然資本の棄損、資源の枯渇の結果として生じる急性・慢性的な異常気象や海面上昇といった「物理的変化」に起因するものが考えられます。

この環境・社会の変化に柔軟に対応した経営戦略を立案するため、様々な気候変動シナリオを参照の上、2030年を想定して「リスクと機会」を抽出し、当社グループの事業への影響を評価しました。そこから取り組み方針及び対応策を立案し、[TAISEI VISION 2030]達成計画及び中期経営計画等に反映しております。

 

 

  ●リスクと機会

「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」に関するリスクと機会及び対応策は以下のとおりです。

脱炭素社会

循環型社会

自然共生社会

2030年の想定

リスク・機会

影響度

対応策

 

 

・CO排出規制強化、炭素賦課金・炭素税等の導入による事業者の負担増加

(リスク)

・CO排出規制強化、炭素価格導入による建設投資減少

・事業活動で発生するCOに対する炭素価格適用による事業コスト増加

・建材や電力料金の上昇に起因する建設コスト増による収益悪化

・自社グループが使用する電力を賄う再生可能エネルギー電源の保有

・TSA*重点実施項目・政策的実施項目の確実な実施

・CO算定システムの性能向上

*TAISEI Sustainable Action®

グループ全社員が参加する環境負荷低減活動

 

 

・社会からのカーボンニュートラルへの要請拡大、規制強化

・省エネ・再エネ関連需要の増加

・ZEB基準義務化とそれに伴う太陽光発電の一般化

(リスク)

・対応の遅れによる信用失墜、受注機会の喪失、コスト増による収益悪化

(機会)

・低炭素設計や低炭素建材の需要増加

・ゼロカーボンビル、ZEB、リニューアルによるZEB化、スマートシティの需要増加

・洋上風力等、再生可能エネルギー関連工事の需要増加、CCSの事業化

・ゼロカーボンビル、ZEBの技術開発と普及促進

・T-eConcrete®など低炭素建材の開発促進、関連企業との連携強化、採用促進と供給体制の確立

・再エネ、創エネ、省エネ関連技術の開発と普及促進

・洋上風力等再エネ関連施設施工技術の開発促進

・CCSの技術開発促進、事業への参画

 

 

・水素・アンモニア等、次世代エネルギーの活用拡大

・原子力発電再稼働の進展、次世代革新炉のニーズ拡大

(リスク)

・対応の遅れによる、受注・事業参画機会の喪失

(機会)

・水素・アンモニア関連施設工事や、輸配送・貯蔵等の関連ビジネスの増加

・原発再稼働関連事業の増加や次世代革新炉の計画進展

・次世代エネルギー関連の実証事業への参画、関連技術の開発促進

・原発再稼働関連事業等への参画、次世代革新炉に関する技術開発促進と関連企業との関係強化

 

 

 

・地球温暖化を含む気候変動の進行による自然災害の甚大化・頻発化、海面上昇の進行

(リスク)

・建設作業所等の被災による作業停止、工程遅延、人件費・仮設費の増加

・取引先の被災による調達コストの増加や工程遅延

・夏季の平均気温上昇による生産性の低下、労働環境悪化に伴う担い手減少の加速

(機会)

・災害後の復旧・復興対応、高リスク地域からの移転需要の増加

・都市浸水対策、治山治水など国土強靭化事業の増加

・熱中症対策の徹底等、作業所の更なる環境改善

・省人化・省力化施工技術の開発と普及促進

・グリーンインフラ関連技術、防災・減災技術の開発と積極的な提案による普及拡大

・社会からのサーキュラーエコノミーへの要請拡大、環境規制の強化

・省資源化、廃棄時の分別徹底、再生資源使用拡大等の義務化

・プラスチック資源循環に関する法規制強化

(リスク)

・対応の遅れによる信用失墜、受注機会の喪失、コスト増による収益悪化

(機会)

・プラスチックをはじめとした資源の再生施設の新造・更新需要の増加

・処分場再生や建設発生土有効利用需要の増加

・再資源化可能な建材を使用した建物、水資源を有効活用した建物の需要の増加

・バイオマスエネルギープラントの需要増加

・PFAS等の今後規制が見込まれる物質に対する土壌・地下水浄化技術の需要の増加

 

・動脈産業、静脈産業との連携強化による資源再生・資源循環の促進

・T-eConcrete®、T-ニアゼロスチール等、資源循環に配慮した材料や工法の開発と普及促進

・ゼロウォータービル、木造・木質建築等、資源循環に配慮した設計・提案の推進

・プラスチックをはじめとした建設廃棄物の削減とグリーン調達の推進

・バイオマス利用エネルギー関連技術の開発促進

・今後規制が見込まれる物質対応・自然環境に対して低負荷な土壌・地下水の原位置浄化技術の高度化

 

 

 

 

脱炭素社会

循環型社会

自然共生社会

2030年の想定

リスク・機会

影響度

対応策

・木造建物の基準が整備され高層木造建築が普及

・木材輸出国での森林資源の減少、国産木材市場の拡大

・資源循環・自然共生が不動産価値の構成要素化

(リスク)

・対応の遅れによる受注機会の喪失

・木造・木質関連技術開発の遅れ、人財不足による受注機会喪失

・認証木材の需要増加による調達ルート確保困難化、コスト増

(機会)

・木造・木質建築の需要の増加

・不動産価値向上に資する資源循環・自然共生に配慮した設計・開発の需要増加

・木造・木質関連技術の高度化、差別化、技術者確保の推進

・サーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブに配慮した木材調達ルートの確保による適切な木材調達の推進

・BIM/CIMと連携したサーキュラープラットフォームの構築による、建設物のライフサイクルでの資源循環及び見える化の推進

・資源循環・自然共生に十分配慮した開発計画の推進

 

 

・社会からのネイチャーポジティブへの要請拡大

・自然資本保全のための規制強化

(リスク)

・対応の遅れによる信用失墜、受注機会の喪失、コスト増による収益悪化

・立地選定の困難化、規制強化等による建設投資減少

(機会)

・自然共生に配慮した建物需要や、グリーンインフラ技術を用いた事業の増加

・ネイチャーポジティブに貢献する技術の活用機会の増加

・ネイチャーポジティブ評価手法の開発とプロジェクトへの適用

・グリーンインフラ関連技術の開発と提案推進

・大規模再開発に伴う都市における自然の創出や生態系保護の提案の推進

 

 

 

・資源の枯渇等による原材料の調達困難化

・水不足による施工への悪影響

(リスク)

・資源不足等による事業コスト増加、事業規模縮小

・水資源の不足による工事中断や遅延

(機会)

・節水型の建物、施設や水資源関連施設の需要増加

・資源循環利用に配慮した設計・資材・工法の需要拡大

・建設ライフサイクルにおける資源循環システムの構築

・ゼロウォータービルの技術開発と普及促進

・強固なサプライヤー網の構築

・工事施工における水リスク管理の徹底

 

 

ネイチャーポジティブの未達成による生態系、水質、土壌、大気の劣化 

(リスク)

・木材資源などの自然資本の減少による建設資材調達の困難化

(機会)

・自然を回復させる事業の増加、受注機会の拡大

・ネイチャーポジティブに貢献する技術の需要拡大

・持続可能な木材利用を進める・森林資源を再生する・良質な森林を保全する取り組みの促進(つかう・つくる・まもる)

・グリーンインフラ関連技術、ネイチャーポジティブに貢献する技術開発と積極的な提案による普及拡大

・ネイチャーポジティブ評価手法の開発とプロジェクトへの適用

・サステナブル調達ガイドラインに基づくサプライヤーエンゲージメントの推進、グリーン調達の推進

 

 

  ●環境・エネルギー関連投資

中期経営計画(2024-2026)においては、3か年の環境・エネルギー関連投資額を750億円、そのうち600億円を、社会・環境課題に対応する技術開発に投資することとしております。なお、環境関連投資資金の一部については、2024年5月に策定した「サステナビリティファイナンス・フレームワーク」に準拠したファイナンスを活用しております。

 

 

③リスク管理

前述の「(1)共通 ③リスク管理」をご参照ください。

また、当社グループでは、「持続可能な環境配慮型社会の実現」に向けて、環境方針に基づく「環境デュー・ディリジェンス」の仕組みを構築し、継続的に実施しております。

当社グループの事業活動が環境に及ぼす影響について、「負の影響の特定・評価」、「負の影響の停止、防止・軽減」、「実施状況・結果の追跡調査」、「情報開示」といったPDCAサイクルを回し、適宜見直し・改善を図っております。その実施状況については、サステナビリティ推進委員会、経営会議に報告しており、仕組みの変更や重要事案への対応については、サステナビリティ委員会、取締役会に報告して監督を受けております。

当社グループが負の影響の原因となった、あるいは助長したことが判明した場合には、適切な手段により速やかにその是正に取り組みます。

環境デュー・ディリジェンスの取り組みの詳細については、当社ウェブサイトをご覧ください。  

                   (https://www.taisei-sx.jp/environment/duediligence.html)

 

 <環境デュー・ディリジェンスの実施フロー>

 


 

 

④指標及び目標

当社グループでは[TAISEI VISION 2030]達成計画において、グループCO排出量削減目標として、2026年度目標を新たに設定するとともに、これまでの2030年度目標を改定いたしました。SBT(Science Based Targets)が求める1.5℃目標に則り、2022年度比で2030年度にスコープ1+2を42%削減、スコープ3(カテゴリ1+11)を25%削減することを目標としております。

 

  ●グループCO排出量削減目標(2022年度比)

(原単位:t-CO/億円|総排出量:千t-CO

 

基準年

グループ長期環境目標

TAISEI Green Target 2050

2022年度

2026年度

2030年度

2050年度

スコープ1+2

総排出量

削減率

291

240

▲18%

169

▲42%

排出量 0

スコープ1+2

排出量原単位

削減率

18.4

13.5

▲26%

スコープ3

カテゴリ1+11

総排出量

削減率

6,594

4,945

▲25%

 

 なお、2024年度の実績値は、当社ウェブサイトに掲載いたします(2025年7月予定)。

 

  ●その他の環境指標

循環型社会や自然共生社会に関する指標については、当社ウェブサイト内で以下の項目を含む環境データとして開示しております。

(https://www.taisei-sx.jp/environment/material_flow.html)

マテリアルフロー

INPUT

エネルギー、主要建材・資材、水

OUTPUT

CO(スコープ1・2・3)、NOx、SOx、フロン、建設副産物、水

建設副産物排出量(廃棄物・有価物)

建設副産物排出量、種類別排出量、最終処分量、リサイクル量・率

有害物質の管理

有害廃棄物、PCB廃棄物、揮発性有機化合物

 

 

(3) 人的資本関係

①ガバナンス

当社グループは、人材活用方針(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン方針)を定め、ダイバーシティ経営の実現に向けて、多様な能力を有する人財を採用するとともに、その能力が最大限発揮できる職場環境を一層整備すべく取り組んでおります。

ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン、働き方改革、健康経営、エンゲージメント等に関わる重要事項については、業務委員会である人事委員会での事前審議を経て、経営会議及び取締役会で審議・決定しております。

 

②戦略

  ●[TAISEI VISION 2030]達成計画及び中期経営計画(2024-2026)

「人的資本」を経営の基本方針の一つとして定め、社員の能力を最大限に発揮できる魅力的な環境の整備、人的資本投資の拡充、社員の健康と幸福感、多様なキャリアパスの実現に取り組んでおります。

 

 

 <基本方針>

人財が競争力の源泉であることを認識し、必要な施策をスピーディーに実行する

  ・社員のエンゲージメント向上のために、能力を最大限に発揮できる環境を整備

  ・当社グループの持続的成長を支えるための人的資本投資を拡充

  ・身体的・精神的・社会的な健康と幸福感(ウェルビーイング)、多様なキャリアパスの実現

 

 

 ●人事制度改定

[TAISEI VISION 2030]で掲げる人的資本投資の一環として、2025年4月より順次、人事制度の改定を実施しております。

1)等級制度

 ・役割等級制度の導入を通じた自律的で多様なキャリアパスの実現

 ・各事業分野の中核人財、将来の経営を担う人財の獲得と育成

2)定年延長

 ・60歳から65歳へ定年年齢の引き上げによる社員が長く安心して働ける環境の整備

3)勤務地選択制度の導入

 ・ライフプランに合わせた柔軟な働き方の実現

4)評価制度

 ・社員の能力開発、人財育成に資する評価制度の整備

5)給与制度

 ・人財への投資の拡大

 ・転勤に伴う手当の拡充

 

  ●人財の採用

新卒採用、キャリア採用(中途採用)のいかんを問わず、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向・性自認、宗教・信条、価値観だけでなく、キャリアや経験、働き方などを含めて、多様な能力を有する人財を採用しております。

 

  ●社内環境整備

多様性を尊重し、社員一人ひとりが高いエンゲージメントを維持して活躍できるよう、社内環境の整備に取り組んでおります。

・人財育成

多様な人財が、ライフステージや能力、意欲に応じた活躍ができるよう、キャリア形成やスキルアップ、リスキリングを後押しする仕組みを構築する。

・人財配置

スキルの向上度合いや社員のキャリア志向・適性を把握し、計画的・効率的な配置を実施する。

・処遇

社員のキャリアパス、評価制度と連動した魅力的な報酬水準の確保に向けた給与制度の見直しを実施する。

・シニア活性化

シニア世代の社員の活性化のため、処遇改善・リスキリング・定年制度の見直しを実施する。

・職場環境

安心して持てる能力を最大限に発揮できるよう、多様な意見や働き方を受け入れ、自由闊達で風通しがよく、違いを認め合い、偏見のない、働きやすい職場環境を整備する。

 

 

  ●エンゲージメント

2022年度より当社及び主要グループ会社において、エンゲージメントサーベイを実施しています。過去5回のサーベイ結果より、全社的な課題として、経営層と社員の間においてエンゲージメントの状態に差が生じていることが認められました。相互の意思疎通を図ることを目的とした意見交換会を数多く実施し、経営方針の伝達や現場課題の共有を図るとともに、社員から寄せられた意見を会社施策に活かす取り組みを行っております。

また、組織毎にエンゲージメントの状態が大きく異なるため、各組織でサーベイ結果を読み解き、改善に向けた施策の立案と実行を行っています。

2024年12月に実施したサーベイ(BBB55.0)では、2022年6月の第1回サーベイ(B50.0)から、「事業の成長性や将来性」「制度・待遇面」の他、上司のマネジメントを示す各項目等の満足度が上昇し、社員のエンゲージメントが向上しております。今後も、事業環境等に大きく左右されることのない、「働きがい」「働きやすさ」を兼ね備えたエンゲージメントの高い組織の構築を目指します。

 

  ●リスクと機会

国内の少子高齢化により生産年齢人口は減少しており、働き手を確保し、企業の持続的成長を図るためには、女性や高齢者、外国籍人財等の活用が欠かせない状況になっております。女性をはじめとする多様な属性の社員の活躍を推進するための取り組みや、子育て・介護と仕事の両立支援など多様な働き方を推進する取り組みを経営に活かすことは、個人と組織のパフォーマンスを向上させ、事業の成長と企業価値向上につながります。

 

③リスク管理

前述の「(1)共通 ③リスク管理」をご参照ください。

 

④指標及び目標

「一人ひとりがいきいきと活躍できる社会・職場環境の実現」をマテリアリティとして掲げ、以下のKPIを設定しております。

指標

対象

2024年度実績

2026年度目標

2030年度目標

エンゲージメントスコア ※1

当社

BBB 55.0

BBB 55

A 60

新卒女性採用比率

25

27

30%

 

※1 ㈱リンクアンドモチベーションのエンゲージメントサーベイを実施。指標は同社算定評価を採用(評価はAAA~DDの11段階としております)。

DD

DDD

C

CC

CCC

B

BB

BBB

A

AA

AAA

33

未満

39

未満

42

未満

45

未満

48

未満

52

未満

55

未満

58

未満

61

未満

67

未満

67

以上

 

 

上記KPIは、当社単体の目標を掲げております。

なお、主要グループ会社の「管理職に占める女性労働者の割合」、「男性労働者の育児休業取得率」、「労働者の男女の賃金の差異」は、「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」をご参照ください。

 

 

(4) 人権尊重

当社グループは、人権方針において、事業活動に関連して人権への負の影響を生じさせないよう、自主的・積極的・能動的に企業としての責任を果たすことにより、包摂的な社会の実現に貢献することを基本姿勢とし、人権尊重の取り組みを推進しております。

 

①ガバナンス

前述の「(1)共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

②戦略

  ●マテリアリティ

当社グループ及び取引先の社員など、当社グループの仕事に携わる全ての人の人権を尊重し、自らのキャリアプランに合わせて最大限に能力を発揮できる環境をつくることを目指して、「一人ひとりがいきいきと活躍できる社会・職場環境の実現」をマテリアリティの一つに定めております。

 

  ●[TAISEI VISION 2030]達成計画

[TAISEI VISION 2030]の達成に向け、2024年5月に「事業基盤の整備方針」の一つとして「サステナビリティ戦略」を定め、人権については「当社グループの事業に携わる一人ひとりの人権を尊重する」を基本方針として取り組んでおります。

中長期においては企業活動に伴う人権尊重責任が高度化・厳格化されるとともに、働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)やエシカル消費の一層の高まりが想定されることから、2030年に向けて、以下の事項に重点的に取り組んでおります。

 ・人権デュー・ディリジェンスの継続的実施による啓発・浸透

 ・ステークホルダーとの対話の充実

 ・誰もが働きやすい快適な作業環境の確保、エシカル消費への対応

 

  ●リスクと機会

人権尊重のための取り組みが不十分な場合には、社員の健康障害、エンゲージメントの低下、被害者からの損害賠償請求等のリスクが生じます。

また、情報開示が不十分な場合には、競争力・ステークホルダーからの評価の低下や受注機会の減少といったリスクにつながります。

一方、人権尊重のための取り組みの推進は、社員のエンゲージメントの向上や組織の活性化につながります。それに伴い、競争優位性の確保、企業価値向上、ステークホルダーからの評価向上が見込まれます。

 

③リスク管理

前述の「(1)共通 ③リスク管理」をご参照ください。

また、人権尊重の責任を果たすため、「人権方針」に基づく「人権デュー・ディリジェンス」の仕組みを構築し、継続的に実施しております。

当社グループの事業活動が人権に及ぼす影響について、「負の影響の特定・評価」、「負の影響の停止、防止・軽減」、「実施状況・結果の追跡調査」、「情報開示」といったPDCAサイクルを回し、適宜見直し・改善を図っております。その実施状況については、サステナビリティ推進委員会の分科会である人権デュー・ディリジェンス分科会(2024年11月に新設)において確認の上、サステナビリティ推進委員会、経営会議に報告しており、仕組みの変更や重要事案への対応については、サステナビリティ委員会、取締役会に報告して監督を受けております。

当社グループが負の影響の原因となった、あるいは助長したことが判明した場合には、適切な手段により速やかにその救済・是正に取り組みます。また、救済・是正の実効性を高めるために、各種相談窓口を設けて社内外に周知し、対応体制を整備しております。

人権デュー・ディリジェンスの取り組みの詳細については、当社ウェブサイトをご覧ください。

(https://www.taisei-sx.jp/social/human_rights/duediligence.html)

 

 <人権デュー・ディリジェンスの実施フロー>

 


 

 <優先的に対応する人権課題(「負の影響の特定・評価」)>


 

 

  ●サプライチェーン・マネジメント

当社グループでは、サプライチェーンにおける人権をはじめとする社会課題及び環境課題への対応を取引先と協働して進めるために、以下の取り組みを実施しております。

なお、これらの取り組みは人権及び環境デュー・ディリジェンスのプロセスのうち、「負の影響の停止、防止・軽減」及び「実施状況・結果の追跡調査」の一部となっております。

 

1)事業を通じて、人権をはじめとする社会課題及び環境課題の解決に貢献するために、取引先に実施を要請する事項をまとめた「大成建設グループ サステナブル調達ガイドライン」を策定し、全ての取引先に周知

2)同ガイドラインの浸透を図るため、説明会、研修、eラーニングなどを定期的に実施

3)取り組みの実効性を評価するために、毎年度、取引先を対象としたアンケート形式のサステナビリティ活動調査を実施

4)上記3の結果を分析し、一定の条件に基づいて選定した取引先を訪問し、取り組み状況についてヒアリング及び意見交換を実施

5)上記3と併せて、特に脆弱な立場に置かれ得る外国人技能実習生について、受け入れ事業主へのアンケート及び外国人技能実習生本人へのインタビューを実施

 

上記の取り組みの詳細及びサプライチェーンに関するその他の取り組みについては、当社ウエブサイトをご覧ください。

(https://www.taisei-sx.jp/social/consumer/supply_chain.html)

 

④指標及び目標

「当社グループのサプライチェーンにおける人権侵害ゼロ」を長期目標として掲げるとともに、以下のKPIを設定しております。

指標

対象

2024年度実績

2026年度目標

サプライヤーのサステナビリティ活動状況確認率

(契約社数ベース)

当社

48%

100%

 

 

(5) その他のサステナビリティ課題に関する考え方及び取り組み

その他のサステナビリティ課題に関する考え方及び取り組みについては、当社ウェブサイトをご覧ください。

 (https://www.taisei-sx.jp/)

 

3 【事業等のリスク】

(リスクマネジメントに関する基本的な考え方)

当社グループは、リスクマネジメント方針・リスクマネジメント基本規程のもと、品質・コンプライアンス・情報・安全・環境等のESGに関するリスクへ対応する全社的に体系化されたリスクマネジメントシステムを整備しております。

全社的リスクマネジメントを有効に機能させ、業務の適正性を保つため、社内規程やマニュアル等に定めた事前のリスク対策を実行し、リスク発生の回避に努めるとともに、万が一、リスクが顕在化した場合には、発生時のリスク対策を適宜実施することにより影響を最小限に抑え、事業の継続及び社会からの信頼の確保に努めております。

 

(当社グループの事業に関するリスク)

当社グループの事業に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績及び財政状態、並びに社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、リスクが発生する可能性を認識し、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に関するリスク

当社グループは、取締役会において、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上のため、企業戦略等の大きな方向性を示し、経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境を整備しております。事業の実行にあたっては、経営方針及び中期経営計画等を踏まえ設定した基準に基づき意思決定を行ったうえで、個別案件毎に、リスクとリターンについて定性的かつ定量的に時点評価を実施しております。

なお、事業環境に関するリスクの主な内容は以下のとおりであります。

 

①建設市場の動向

当社グループの事業は国内建設事業の占める割合が高く、国内建設市場の急激な縮小や競争環境の激化が生じた場合には、建設事業の受注高・売上高・売上総利益が減少するリスクが生じます。

このリスクに対応するため、リニューアル分野やエンジニアリング事業、開発事業に注力するとともに、O&M(オペレーション&メンテナンス)事業など施工領域の川上・川下における事業や、当社保有技術を活用した地域連携による市場開拓など新たなビジネスモデルの確立に向けた取り組みを実施しております。また、脱炭素などの環境・社会課題の解決に貢献する技術開発をはじめ、サステナビリティを踏まえた経営基盤の整備を進めております。

 

②資材価格の変動

原材料の価格が高騰した際、請負代金に反映することが困難な場合には、工事収支が悪化するリスクが生じます。

このリスクに対応するため、資材価格動向のモニタリングや予測及び予測精度向上に向けた取り組みを継続するとともに、集約購買・国際調達等による原価低減に努めております。また、発注者との契約締結に際しては、資材価格動向を踏まえた価格交渉、約定による物価スライドの採用等に努めております。

 

③資産保有リスク

営業上の必要性から、市場価格に基づいて評価される不動産・有価証券等の資産(リスク資産)を保有しているため、時価の下落により、資産が毀損するリスクがあります。

このリスクに対応するため、統合リスク管理により、リスク資産残高を連結株主資本の一定の割合に抑制するとともに、経済合理性の観点から保有資産の見直しを定期的に実施することによりリスクの低減を図っております。

 

 

④金利水準の変動

金利水準が急激に上昇した場合には、資金調達コストが増加するリスクが生じます。

このリスクに対応するため、金利関連のデリバティブ等の金融商品を利用するとともに、年度ごとに資金の調達額や調達手段を見直すことによりリスクの低減を図っております。

 

⑤付帯関連する事業のリスク

当社グループは、PFI事業・レジャー事業をはじめとした土木事業・建築事業・開発事業に付帯関連する事業を営んでおります。これらの事業の多くは、事業期間が長期にわたるため、事業環境が大きく変化した場合には、事業収支が悪化するリスクが生じます。

このリスクに対応するため、事業環境の変化に即した事業計画の見直しによりリスクの低減を図っております。

 

(2) 事業運営に関するリスク

リスクマネジメント基本規程に基づき、経営に重大な影響を及ぼす可能性があるリスクを選定し、全社的なリスク管理の対象としております。

なお、事業運営に関するリスクの主な内容は以下のとおりであります。

 

①土木事業・建築事業に対する法規制違反リスク

土木事業・建築事業の遂行は、建設業法・建築基準法・労働安全衛生法・公共工事入札契約適正化法・独占禁止法等による法的規制を受けております。

万一、これらの法律に対する違反が発生した場合には、速やかな情報収集と正確な状況把握に努め、適宜弁護士等の専門家の助言・指導等を仰ぎながら、適正に対応するとともに、再発防止策を策定し、周知・徹底いたします。また、実行者を懲戒処分規定に基づいて厳正に処分することとしております。

なお、当社グループにとって特に影響が大きいリスクは以下のとおりであります。

 イ.建設業法等違反リスク

当社グループが、建設業法等に違反し、監督官庁による処分や指導を受けた場合には、営業活動が制限されるリスクが生じます。

このリスクに対応するため、建設業法をはじめとした各種関連法令の事前確認を徹底するとともに、役職員及び専門工事業者に対して法令遵守の啓発活動及び遵守状況のモニタリングを実施しております。

ロ.独占禁止法違反リスク

当社グループは、「グループ行動指針」をはじめとするコンプライアンスに関する諸規程を整備し、その遵守を徹底しておりますが、担当者の錯誤等により独占禁止法に違反し、当社グループ又は役職員が刑事罰・行政処分を受けた場合には、営業活動が制限されるリスクが生じます。

このリスクに対応するため、入札業務の適正確認手続きに関する社内規程や内部通報制度等を整備するとともに、取引先との対等な関係の構築と公正かつ透明な取引の実現に向けて「パートナーシップ構築宣言」を策定・公表し、各取り組みを推進することにより、違反行為の抑止に努めております。

 

②知的財産侵害リスク

当社グループが知的財産権を有する施工技術や建物・設備に関する商品・サービス等が、他者に侵害された場合には、受注機会の逸失・訴訟コスト発生等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、専門部署間において特許関連情報を適時共有するとともに、社内研修の実施や知的財産関連情報の定期的な発信等の啓発活動を行っており、保有財産の保全監視に努めております。

なお、当社グループの権利が侵害された場合には、侵害者に対する警告を行い、必要に応じて法的措置を講じます。また、当社グループによる他者の知的財産権侵害が危惧される場合には、専門部署にて調査・判定を行う体制を整備しております。

 

 

③不適切な財務報告リスク

当社グループは、財務報告の適正性を確保するために内部統制体制を整備しておりますが、担当者の錯誤等により、財務報告が適正に行われなかった場合には、上場廃止・青色申告取消し等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、規程・マニュアル等の整備、会計処理がマニュアルに則って適正に行われているかのモニタリング、正確な財務報告等に関する啓発教育を実施し、内部統制の実効性確保に努めております。

なお、不適切な財務報告が発生した場合には、速やかな情報収集と正確な状況把握に努めるとともに、不適切な財務報告事例等について管理部門をはじめ関連する部門に水平展開し、適正な財務報告の重要性を周知いたします。また、実行者を懲戒処分規定に基づいて厳正に処分することとしております。

 

④反社会的勢力リスク

建設作業所等において反社会的勢力からの接触を受け、錯誤等により何らかの取引を行ってしまった場合には、社会的信用の失墜と営業活動が制限されるリスクが生じます。

このリスクに対応するため、反社会的勢力への対応マニュアルの整備や全役職員へのメール発信等により、反社会的勢力への対応方針を全役職員へ周知・啓発しております。

なお、反社会的勢力から不当要求を受けた場合には、速やかに警察等の外部機関に通報し、組織的に対応いたします。また、契約後に相手方が反社会的勢力であることが判明した場合には、必要に応じて警察と協議のうえ、速やかに契約を解除することとしております。

 

⑤インサイダー取引リスク

当社グループにおいて、インサイダー取引が生じた場合、株主や投資家をはじめとするステークホルダーからの信用・信頼を失う等の社会的評価を低下させるリスクが生じます。

このリスクに対応するため、インサイダー取引の防止に関する規程、正確かつ公平な情報開示を行う体制を整備するとともに、役職員への教育の徹底によりリスクの低減に努めております。

 

⑥施工不良による品質リスク

当社グループは、品質管理・施工技術に関する業務標準や業務フローを定め、品質マネジメントシステムを運用しておりますが、ルールの不徹底や技術者・作業員の錯誤等により、施工不良が発生し、適正な品質を確保できなかった場合には、手直し工事に伴う追加コストや損害賠償金の負担等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、品質管理の統括・指導に特化した独立部門の設置をはじめとした品質管理体制の強化等、品質マネジメントシステムの確実な運用・徹底に努めております。また、品質に関するパトロールの実施や各種教育等により、役職員及び専門工事業者の品質管理力の強化を図っております。

 

⑦設計不良リスク

当社グループは、設計管理要領・品質マニュアル等を策定し、設計関連のチェック体制を構築しておりますが、担当者の錯誤等により、設計不良が発生し、顧客の要求水準を充足できなかった場合には、設計や施工の手直しに伴う追加コストや損害賠償金の負担等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、QMS(クオリティーマネジメントシステム)等の制定によって設計業務を体系化し、設計業務プロセスの監視を行っております。

 

⑧工程遅延リスク

建設事業では、事前の施工計画等の検討に基づき、適正工期による契約に努め、施工中は確実な工程管理を実施しておりますが、事故・トラブル及び労務不足や資機材調達遅延等により、建物等の引き渡しが遅延した場合には、工事促進に伴う追加コストや遅延損害金の負担等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、組織的管理体制を構築し、労務状況の早期把握や関係本部のパトロールによる工程進捗状況の把握を徹底し、確実な工程管理に努めております。

 

⑨事故災害リスク

当社グループの建設作業所において人身や施工物等に関わる重大な事故が発生した場合には、被災者への補償や追加工事費用発生等による工事収支の悪化、指名停止等による営業活動の制限等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、労働安全衛生マネジメントシステムに基づいた安全衛生管理体制を推進するとともに、役職員及び専門工事業者に対する安全衛生教育・指導等を実施することにより事故災害発生防止を 図っております。

 

⑩情報漏洩・システムトラブルリスク

役職員のパソコン・スマートデバイス等の紛失・盗難、操作上の錯誤、顧客情報の不適切な取扱い等の内部要因及びコンピュータウイルス感染やサイバー攻撃等の外部要因により、当社グループ及び顧客情報等の流出やシステムダウンが発生した場合には、事後対応に要するコストの発生や損害賠償金の負担、業務の遅延・停滞等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、役職員及び専門工事業者に対して情報管理規程体系に基づく取扱ルール・ガイドライン・マニュアル等の遵守を徹底させるとともに、ウイルス対策ソフトの常時更新や信頼性の高いハードの導入、データバックアップ体制の整備を行っております。また、組織内CSIRT(Computer Security Incident Response Team:「シーサート」)を設置し、被害予防を図っております。

なお、情報漏洩・システムトラブルリスクが発生した場合には、情報を一元化して正確な状況把握に努め、適切に対応いたします。また、重大な電子情報セキュリティインシデント発生時には、組織内CSIRTにより被害の最小化と迅速な復旧を図ります。

 

⑪大規模災害リスク

大規模災害が発生した場合には、本社・支店の機能が麻痺し、事業継続が困難となるリスクが生じます。

このリスクに対応するため、BCP(事業継続計画)を策定しております。例えば、震度6弱以上の地震が発生した場合には、BCPを自動発動し、速やかに対策本部を立ち上げて、被災情報の収集や被災物件の復旧活動等を行うこととしております。

また、本社・支店の非常用電源や通信手段の確保、業界団体や専門工事業者等との連携体制の構築、大規模災害訓練の定期的な実施等によりリスクの低減に努めております。

 

⑫労働環境リスク

当社グループにおいて、従業員の労働環境・労働条件に関する事業主の義務を十分に果たすことができず、不適切な労働管理、過重労働等が発生した場合には、従業員の健康被害やメンタル不全、エンゲージメントの低下、更には、法違反の責任追及、損害賠償請求、社会的信用の失墜等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、勤怠管理や健康管理を適正に行うための体制を整備しております。また、過重労働を防止するべく、適正な要員配置や業務内容・配分の見直し等の措置を講じるとともに、休暇取得の促進等を通じて総労働時間の適正化を図っております。これらに加えて、エンゲージメントサーベイを定期的に実施し、職場環境の状況・課題を把握のうえ、継続的な改善活動に取り組んでおります。

 

⑬環境法規制違反リスク

当社グループの建設作業所等において環境関連法規に違反した場合には、刑事罰・行政処分・損害賠償請求等を受けるリスクが生じます。

このリスクに対応するため、EMS(環境マネジメントシステム)を制定・運用するとともに、環境パト ロールによりその遵守状況をチェックしております。

 

⑭気候変動等環境課題に関するリスク

企業には事業を通じて気候変動問題等環境課題の解決に取り組むことが求められており、当社及びサプライチェーンでの取り組みや情報開示が不十分な場合には、企業競争力及びステークホルダーからの評価が低下するリスクが生じます。

このリスクに対応するため、当社グループは、環境方針に掲げる「持続可能な環境配慮型社会の実現」に基づき、グループ長期環境目標「TAISEI Green Target 2050」を定め、3つの社会(脱炭素社会、循環型社会、自然共生社会)の実現と、2つの個別課題(森林資源・森林環境、水資源・水環境)の解決を目指しております。更に、環境方針に基づく環境デュー・ディリジェンスを実施し、当社グループの事業活動が環境に及ぼす負の影響、及び当社グループの事業活動が環境から受ける負の影響に対する予防・軽減等を、サプライチェーンも含め進めております。

最大の課題であるカーボンニュートラルの実現に向けては、グループ全体で環境負荷低減活動(TSA:TAISEI Sustainable Action)に取り組み、スコープ1・2のCO排出量削減を進めております。加えて、グリーン調達の推進や環境配慮コンクリート、ZEB技術の開発・普及促進等によりスコープ3のCO排出量削減に努め、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

これらの環境課題に対する取り組みについては、統合レポートやウェブサイト等で適切に情報開示しております。なお、気候変動についてはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に則り、シナリオ分析に基づく気候変動に係るリスク及び収益機会が事業活動に与える影響について情報開示しております。

 

⑮人権課題に関するリスク

企業にはステークホルダーの人権尊重に取り組むことが求められており、その取り組みや情報開示が不十分な場合には、ステークホルダーの人権を侵害してしまうリスクや、企業競争力及びステークホルダーからの評価が低下するリスクが生じます。

このリスクに対応するため、人権方針に基づく人権デュー・ディリジェンスを実施しており、当社グループの事業活動による人権への負の影響に対する予防・軽減、対策の実効性の評価、内部通報制度をはじめとした苦情処理メカニズムの整備及び取り組みに関する情報開示など、サプライチェーンも含めた人権尊重への取り組みを継続的に実施しております。

 

⑯与信リスク

建設事業の工事代金を受領する前に取引先が信用不安に陥った場合には、工事代金の回収遅延・不能のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、組織的なプロジェクトリスク管理体制を整備し、具体的根拠と客観的評価に基づいた与信管理の徹底に努めております。

 

⑰契約リスク

当社グループの事業において、発注者や関係者の要求・担当者の契約約款に対する理解不足等から、著しく不利な契約を締結した場合には、過度な義務の負担による工事収支の悪化や工事代金の回収不能等のリスクが生じます。

このリスクに対応するため、不利益条項に対する審査ルールを徹底するとともに、必要に応じて外部の専門家に対応策の検証を依頼する等、営業段階から組織的な契約リスク管理体制を整備・運用しております。また、営業担当者に対して意思決定ルール等を周知教育するための社内研修を行い、リスクの抑止を図っております。

 

⑱感染症流行リスク

感染症の流行に伴い、役職員やその家族、専門工事業者の作業員等が感染し、就業不能となった場合には、事業継続が困難となるリスクが生じます。

このリスクに対応するため、当社では「感染症発生時における事業継続計画」を策定しております。また、役職員及び専門工事業者へ職場において感染者が発生した場合の対処等について啓発を行うとともに、消毒液・マスク・個人防護具の備蓄を行っており、速やかに感染防止対策を強化できる体制を整備しております。引き続き、事業継続に努め、社会資本整備の担い手として建設業に求められる社会的使命を果たします。

 

⑲カントリーリスク

海外事業を行う国・地域において、テロ・戦争・暴動・政情悪化等が発生した場合には、当該地域での事業継続が困難となるリスクがあります。また、現地の法律・商習慣への理解不足等から、著しく不利な契約を締結した場合には、過度な義務の負担による工事収支の悪化や工事代金の回収不能等のリスクが生じます。

これらのリスクに対応するため、事業継続に関しては、役職員の安全を確保する手段や非常時の危機管理体制の確立に努めるとともに、必要に応じて日本政府・現地日本大使館・外部専門家等との連携を図っております。また、その国固有の法制度等に伴う契約上のリスクに対しては、審査ルールを徹底するとともに、契約後は契約条件の履行状況を継続的にチェックし、リスク低減を図っております。

なお、カントリーリスクが発生した場合には、情報を一元化して正確な状況把握に努め、適切に対応します。

 

⑳地政学リスク

海外の特定地域が抱える政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりにより、資材価格が高騰するリスクや物流混乱により納期が遅延するリスクがあります。

これらのリスクに対応するため、契約時における発注者との協議はもとより、資材価格の高騰については、メーカーヒアリングや市場調査等により価格動向を早期に把握し、必要に応じて早期調達や代替品への変更等の措置を講じております。また、物流混乱による納期遅延については、製作地や輸送経路の確認を行い、自然条件・社会条件・法的リスク等を検討するとともに、納期遅延を発生させないよう調達業務の進捗管理を行っております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

日本経済は、個人消費や設備投資の持ち直しに加え、旺盛なインバウンド需要を背景として、緩やかな回復基調を継続しております。

建設市場においては、企業の旺盛な設備投資意欲に伴う民間投資の持ち直しと、政府による防災・減災、国土強靭化対策等に牽引された底堅い公共投資により、建設投資全体は堅調に推移しております。しかしながら、労務需給の逼迫等が継続しており、依然として経営環境は厳しい状況となっております。

こうした状況のもと、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。

 

経営成績

(単位:億円)

前連結会計年度

(A)

当連結会計年度

(B)

増減額

(B-A)

増減率

(%)

受注高

19,624

24,375

4,751

24.2%

売上高

17,650

21,542

3,892

22.1%

営業利益

264

1,201

936

353.8%

経常利益

389

1,345

955

245.7%

親会社株主に帰属する

当期純利益

402

1,238

835

207.5%

 

 

受注高は、建築事業における大型工事の受注による増加をはじめ、全ての報告セグメントで増加したことから、前連結会計年度比24.2%増2兆4,375億円となりました。

売上高は、大型工事が工程の最盛期を迎えたことによる国内建築事業の増加をはじめ、全ての報告セグメントで増加したことから、前連結会計年度比22.1%増2兆1,542億円となりました。

営業利益は、売上総利益が増収に加え土木事業及び建築事業における利益率好転により前連結会計年度比81.4%増の2,311億円となったことから、販売費及び一般管理費が同10.0%増の1,109億円となったものの、同353.8%増1,201億円となりました。

経常利益は、持分法による投資利益の増加等に伴う営業外損益の好転により、前連結会計年度比245.7%増1,345億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の増加等に伴う特別損益の好転により、同207.5%増1,238億円となりました。なお、ROE(自己資本当期純利益率)は、前連結会計年度比9.2%好転13.8%となりました。

 

 

経営成績に重要な影響を与える主な要因としては、建設需要や建設コストの急激な変動等がもたらす経営環境の変化があります。

当連結会計年度における経営環境は、建設投資が堅調に推移し、価格転嫁が着実に進展した一方、建設資材価格の高止まりや労務需給の逼迫等が継続しており、依然として厳しい状況となっております。建設市場の先行きについては、企業の旺盛な投資意欲を反映した民間投資の持ち直しや底堅い公共投資の持続が見込まれます。ただし、米国の政策動向によっては、製造業企業が国内における設備投資を抑制する懸念があるため、顧客企業の設備投資動向をより一層注視していきます。

なお、中長期的な外部環境及び対処すべき課題については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

報告セグメント等の経営成績並びに経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容を示すと次のとおりであります(報告セグメント等の業績につきましては、セグメント間の内部取引を含めて記載しております。)。

 

①土木事業

売上高は、期首手持工事残高が増加し、また、工程も順調に進捗したこと等により、前連結会計年度比22.9%増6,639億円となりました。営業利益は、増収に加え利益率好転により完成工事総利益が増加したことから、同42.5%増875億円となりました。

 

②建築事業

売上高は、当社において工程の最盛期を迎える大型工事が増加したこと等により、前連結会計年度比22.7%増1兆3,999億円となりました。営業利益は、増収に加え受注時採算の改善等による利益率好転により完成工事総利益が増加したことから、113億円となりました(前連結会計年度は561億円の営業損失)。

 

③開発事業

不動産業界におきましては、ビル賃貸市場は、オフィス回帰が進み、空室率が低下するとともに賃料が上昇傾向にあります。不動産販売市場は、投資家の投資意欲は引き続き旺盛であり、堅調を維持しました。

当社グループにおきましては、売上高は、連結子会社における不動産売却件数の増加により、前連結会計年度比6.2%増1,467億円となりました。営業利益は、増収により開発事業総利益が増加したものの、販売費及び一般管理費が増加したことから、概ね前期並みの234億円となりました。

 

④その他

売上高は、前連結会計年度比7.3%増175億円、営業利益は同25.6%増23億円となりました。

 

(2) 財政状態の状況

①資産の状況

現金預金の減少等により、資産合計は前連結会計年度末比6.0%1,548億円減2兆4,288億円となりました。

 

②負債の状況

資金調達に係る有利子負債の減少等により、負債合計は前連結会計年度末比5.8%945億円減1兆5,281億円となりました。

 

③純資産の状況

自己株式の取得、株式相場下落及び投資有価証券売却に伴うその他有価証券評価差額金の減少等により、前連結会計年度末比6.3%603億円減9,006億円となりました。また、自己資本比率は前連結会計年度末比0.3%低下35.7%となりました。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①営業活動によるキャッシュ・フロー

税金等調整前当期純利益を1,782億円獲得したものの、売上債権の増加等により、当連結会計年度収支は138億円の支出超となりました(前連結会計年度は406億円の収入超)。

前連結会計年度との比較では、仕入債務の減少等により工事関係収支が悪化したこと等により544億円の悪化となりました。

 

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資有価証券の売却等により、当連結会計年度収支は105億円の収入超となりました(前連結会計年度は1,387億円の支出超)。

前連結会計年度との比較では、有形固定資産の取得による支出の減少及び投資有価証券の売却等による収入の増加により1,492億円の好転となりました。

 

③財務活動によるキャッシュ・フロー

自己株式の取得等により、当連結会計年度収支は1,337億円の支出超となりました(前連結会計年度は1,093億円の収入超)。

前連結会計年度との比較では、長期借入れ、ノンリコース長期借入れによる収入の減少及び自己株式の取得等による支出の増加により2,431億円の悪化となりました。

 

以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は2,959億円(前連結会計年度末比1,347億円減)となり、また、資金調達に係る有利子負債の残高は3,155億円(同607億円減)となりました。なお、当連結会計年度末の資金調達に係る有利子負債の残高のうちノンリコース債務は125億円であります。

 

資本の財源及び資金の流動性については、[TAISEI VISION 2030]達成計画における財務政策及び中期経営計画(2024-2026)における投資計画に則り、新たに生み出すキャッシュと最適資本構成の追求に向けたKPIに基づき調達された資金を主な原資として、株主還元(株主への利益配分)とのバランスを図りながら、成長投資へ優先的に配分してまいります。

 

 

(4)生産、受注及び販売の状況

 ① 受注実績

(単位:百万円)

報告セグメント等の名称

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

土木事業

 

682,195

700,226

建築事業

 

1,136,523

1,573,187

開発事業

 

131,169

150,729

その他

 

12,512

13,448

合計

1,962,401

2,437,591

 

 

 ② 売上実績

(単位:百万円)

報告セグメント等の名称

前連結会計年度

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

当連結会計年度

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

土木事業

 

505,504

630,627

建築事業

 

1,117,280

1,372,558

開発事業

 

129,726

137,589

その他

 

12,512

13,448

合計

1,765,023

2,154,223

 

(注) 1  受注実績、売上実績においては、セグメント間の取引を相殺消去しております。

2  当社グループでは、生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

 

 

(参考) 提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 ① 受注高、売上高、繰越高及び施工高

 

期別

区分

前期繰越高
(百万円)

当期受注高
(百万円)


(百万円)

当期売上高
(百万円)

次期繰越高(百万円)

当期施工高
(百万円)

手持高

うち施工高

第164期


20
23年
4月1日


20
24年
3月31日

 




グメント

土木事業

793,228

518,822

1,312,051

350,147

961,904

1%

5,909

349,390

建築事業

1,789,230

1,024,206

2,813,437

1,004,682

1,808,754

2

30,700

999,282

2,582,459

1,543,029

4,125,488

1,354,829

2,770,658

1

36,609

1,348,672

開発事業

1,811

31,134

32,945

30,006

2,939

その他

8,830

8,830

8,830

合計

2,584,270

1,582,994

4,167,265

1,393,667

2,773,597

第165期


20
24年
4月1日


20
25年
3月31日

 




グメント

土木事業

961,904

465,127

1,427,032

403,730

1,023,301

1%

8,995

406,816

建築事業

1,808,754

1,377,412

3,186,167

1,196,974

1,989,193

2

32,458

1,198,732

2,770,658

1,842,540

4,613,199

1,600,704

3,012,494

1

41,453

1,605,548

開発事業

2,939

38,224

41,163

26,627

14,536

その他

10,491

10,491

10,491

合計

2,773,597

1,891,256

4,664,854

1,637,823

3,027,031

 

(注) 1  前期以前に受注したもので、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注高にその
増減額を含めております。したがって、当期売上高にもかかる増減額が含まれております。また、前期以
前に外貨建で受注したもので、当期中の為替相場の変動により請負金額に変更のあるものについても同様
に処理しております。

2  次期繰越高の施工高は、支出金により手持高の施工高を推定したものであります。

3  当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致します。

4  前期の土木事業及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々2.3%、5.9%、当期の土木事業及び建築事業の期中受注高のうち海外工事の割合は各々0.0%、0.8%であります。

 

 ② 受注工事高の受注方法別比率

   建設事業の受注方法は、特命と競争に大別されます。

 

期別

区分

特命

競争

第164期

(自  2023年4月1日

至  2024年3月31日)

土木工事

17.0 %

83.0 %

100 %

建築工事

37.0

63.0

100

第165期

(自  2024年4月1日

至  2025年3月31日)

土木工事

 26.1 %

73.9 %

100 %

建築工事

27.9

72.1

100

 

(注)  百分比は請負金額比であります。

 

 

 ③ 完成工事高

 

期別

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

第164期

(自  2023年4月1日
  至  2024年3月31日)

土木工事

212,284

116,918

20,944

6.0

350,147

建築工事

170,630

788,278

45,773

4.6

1,004,682

382,914

905,197

66,717

4.9

1,354,829

第165期

(自  2024年4月1日
  至  2025年3月31日)

土木工事

270,553

111,688

21,488

5.3

403,730

建築工事

160,925

1,009,559

26,489

2.2

1,196,974

431,478

1,121,248

47,977

3.0

1,600,704

 

 (注) 1 第164期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりであります。

三中東区啦啦寶都股份有限公司

台湾・(仮称)三井ショッピングパークららぽーと台中新築工事

川崎市

川崎市新本庁舎超高層棟新築工事

Centara Osaka

特定目的会社

(仮称)難波中二丁目開発計画のうちA敷地計画

東北地方整備局

成瀬ダム原石山採取工事(第1期)

徳島津田バイオマス発電所(同)

徳島津田バイオマス発電所〔土木工事〕

 

 

    2 第165期に完成した工事のうち主なものは、次のとおりであります。

沢井製薬㈱

沢井製薬(株)第二九州工場新棟建設工事

住友不動産㈱

住友不動産六本木セントラルタワー

㈱みずほ銀行

みずほ銀行中目黒センター建替計画のうち新築工事

海老江ウォーターリンク㈱

大阪市海老江下水処理場改築更新事業

三重中央開発㈱

第8期管理型最終処分場建設工事

 

 

3 第164期及び第165期ともに、完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

④ 手持工事高(2025年3月31日)

 

区分

国内

海外

合計
(B)
(百万円)

官公庁
(百万円)

民間
(百万円)

(A)
(百万円)

(A)/(B)
(%)

土木工事

635,356

326,147

61,797

6.0

1,023,301

建築工事

284,710

1,633,170

71,312

3.6

1,989,193

920,067

1,959,317

133,109

4.4

3,012,494

 

(注)  手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。

小田急電鉄㈱

東京地下鉄㈱

東急不動産㈱

新宿駅西口地区開発計画

中日本高速道路㈱

東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)大泉南工事

首都高速道路㈱

(改)高速都心環状線(日本橋区間)シールドトンネル工事

東京エレクトロン九州㈱

プロセス開発棟

明治安田生命保険(相)

(仮称)明治安田生命新宿ビル新築工事

 

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらとは異なることがあります。

 なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5 【重要な契約等】

当社は、2024年6月7日開催の取締役会において、平和不動産株式会社(以下「対象者」という。)との間で資本業務提携契約を締結すること、並びに、シンプレクス・アセット・マネジメント株式会社、シンプレクス・アセット・マネジメント(香港)カンパニー・リミテッド(以下シンプレクス・アセット・マネジメント株式会社と併せて「シンプレクス」という。)及び三菱地所株式会社(以下「三菱地所」という。)から対象者の普通株式を追加取得すること(以下「本株式取得」という。)により、対象者を当社の持分法適用関連会社とすることを決議し、同日付で資本業務提携契約及び株式譲渡契約を締結しております。

2024年6月10日付で本株式取得に係る振替手続が完了した結果、当社の取得後の議決権所有割合は20.24%となり、当社は対象者の筆頭株主となるとともに、対象者は当社の持分法適用関連会社となりました。

 

(1)本株式取得の目的

当社は、対象者が有する不動産に対して、当社の開発推進力を活かすことにより、開発事業投資の機会を創出し、相互の企業価値向上に貢献するとともに、当社グループ国内開発事業が2030年度に目指す姿として[TAISEI VISION 2030]達成計画に掲げた「培ってきた『開発ノウハウ』とゼネコンとしての『技術力』を武器に、付加価値の高いまちづくりに貢献」の実現に資することから、本株式を取得することといたしました。

 

(2)対象者の概要

名称

平和不動産株式会社

所在地

東京都中央区日本橋兜町1番10号

代表者の役職・氏名

代表執行役社長 土本 清幸

事業内容

ビルディング事業、アセットマネジメント事業

資本金

21,492百万円 (2024年3月31日現在)

設立年月日

1947年7月15日

 

 

(3)取得株式数、取得価額及び取得前後の所有株式の状況

取得前の所有株式数

532,600株(議決権所有割合:1.49%)

取得株式数

シンプレクスからの取得 5,829,000株(議決権所有割合:16.30%)

 

 

三菱地所からの取得     388,500株(議決権所有割合: 1.09%)

取得価額

シンプレクスからの取得   27,396百万円

 

 

三菱地所からの取得      1,826百万円

取得後の所有株式数

6,750,100株(議決権所有割合:18.88%)

 

(注)1 議決権所有割合は、2024年3月31日現在の総株主の議決権の数(357,527個)を分母として算出してお

     ります。

   2 対象者による2024年6月10日付自己株式の取得により、当社の取得後の議決権所有割合は、20.24%と

     なります。

 

6 【研究開発活動】

  当社グループは、[TAISEI VISION 2030]達成計画の「経営の基本方針(3)技術開発」において、取り組むべき技術領域を4つの領域「社会・環境問題(カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー・ネイチャーポジティブ・労働環境等)」、「社会基盤強化(自然災害、インフラ)」、「地方創生(まちづくり・インフラ)」、「フロンティア対応(ビジネスモデル)」に特定し、これらに取り組むための視点・アプローチとして、「個別プロジェクトへの対応」、「生産性向上・生産プロセス革新への対応」、「建設周辺・新規事業への対応」、「将来課題の探索と革新的な取り組み」を定め、経営資源を戦略的に投入しております。

 当連結会計年度における研究開発費は195億円であります。このうち、主な研究開発事例とその成果は次のとおりであります。

 

  (土木事業)

      (1)   建設重機・機械の自動化に関する技術開発を促進

 施工の無人化・省力化による生産性及び安全性を向上させるべく、以下のような成果をあげております。

・自動運転リジッドダンプ「T-iROBO® Rigid Dump」と施工管理支援システム「T-iDigital® Field」の連携により、自動運転リジッドダンプ2台と、遠隔操作油圧ショベル1台を対象に、オペレーター2名による自動運転と遠隔操縦を実現しました。また、建設機械の制御等の取得データをデジタルツイン技術に展開することで、バーチャル空間において自動化建設機械の協調運転を検証しました。

・SLAM技術を活用した位置情報取得技術「T-iDraw Map®」をタイヤ式の工事用車両に装備し、実大のトンネル実験施設及びトンネル建設現場で検証した結果、GNSSを利用できない坑内や地下においても実用速度である時速20kmでの自動運転が可能であることを実証しました。

 引き続き燃費改善や施工時CO排出量削減による環境負荷低減を目指し、建設機械における自動運転技術の更なる進化を目指してまいります。

 

      (2)   最小限の車線規制で作業が可能な道路床版取替技術を確立

 車両進行方向となる橋軸方向の床版接合を効率化する施工法として開発した「Head-barジョイント®」を、橋軸直角方向においても使用できるようにしました。従来工法では、幅員方向の継ぎ目へのプレストレス(圧縮力)の導入に加え、接合部への重層な配筋が必要となる課題がありましたが、一車線ごとに効率よく短工期で床版を取り替えることが可能となりました。

 引き続き道路インフラリニューアルとしての貢献性が高い床版取替技術の適用と進化を目指してまいります。

 

      (3)   山岳トンネル工事の省人化・自動化に関する技術開発を推進

 山岳トンネル工事を対象に、生産プロセスDXやICT活用による技術開発を進め、以下のような成果をあげております。

・発破掘削を震源とする長距離地質探査法「T-BEP®(=Taisei Blast Excavation Prospecting)」の受振器とその設置方法や信号を送る通信方法を改良し、簡便かつ効率的な計測装置の設置・測定作業を実施可能としました。

・トンネル坑内の掘削出来形3次元計測システム「T-ファストスキャン®」を開発しました。本システムの適用により、従来の3Dレーザースキャナーを用いた方法と比較し、計測時間を最大87%削減することが可能となりました。

・3D-LiDARを用いてコンクリート吹付け厚を定量的に計測、可視化して一括管理するシステム「T-ショットマーカー® アーチ」を、これまでのトンネルの切羽の鏡面(トンネル正面)に加えて、アーチ面にも適用することが可能となりました。

 引き続き山岳トンネルでの作業効率や安全性の向上に資する取り組みを進めてまいります。

 

      (4)   コンクリートダム施工に用いるコンクリート打継面評価技術を開発

 コンクリート打設した表面の弱く薄い層を削り取った表面処理状況の確認方法として、タブレット端末のカメラで撮影した画像とAI技術を活用する評価技術を開発しました。本技術の適用により、構造物の施工品質を左右するコンクリート打継面の処理の度合いが、定量的かつリアルタイムにタブレット端末で確認でき、品質管理の高度化や省力化を図ることが可能となります。

 引き続きダム工事における生産プロセス改革としてのDX化に関する取り組みを進めてまいります。

 

      (5)   連結子会社における研究開発の主なもの

 ピーエス・コンストラクション㈱は、全国で進められている高速道路リニューアルプロジェクトにおける大規模修繕工事として、プレストレストコンクリート橋のグラウト充填不良の対策に以前から取り組んでおり、他社に先駆けてグラウト再注入工法であるリパッシブ工法を開発しております。本工法では非常に狭いシース内の空げきに対する注入方法を確立し、亜硝酸リチウム水溶液を使用した鋼材の腐食対策も可能としており、これまでに全国で多数の施工実績があります。これから本格化する大規模修繕工事に対する顧客ニーズに合わせ、更なる改良として2024年度には低コストタイプを開発しました。

 また、塩害による劣化が進む西湘バイパス大規模修繕工事では、現在、同社独自の脱塩工法にて施工を行っております。今後も顧客ニーズに応えるべく、技術開発を進めてまいります。

 

   (建築事業)

      (1)   屋内外ワイヤレス給電技術の実証を開始

 建物内外を走行する汎用小型車両や自律走行ロボットに無線で電力を供給できるワイヤレス給電床「T-iPower® Floor」を当社技術センター内に設置し、技術実証を開始しました。本実証を2026年まで継続することで課題を抽出し、屋内外で稼働中の自律走行ロボットへのワイヤレス給電技術の実用化に向けた研究開発に取り組んでまいります。

 

      (2)   AIを用いた技術開発を推進

 「生産プロセスのDX」、「サービス&ソリューションのDX」の一環として、AIを用いた建築分野の技術開発において、以下のような成果をあげております。

・生成AIと検索システムを融合し、建築施工に関する専門的な質問に対して正確な回答を迅速に提供できる「建築施工技術探索システム」を開発しました。本システムでは、利用者が専用アプリを介して入力した質問事項に対し、生成AIがシステム上で回答するとともに、建築施工技術に関する質問と回答から得られる専門知識やノウハウをデータベース化します。蓄積されたデータを基に、関係者間で的確かつ効率的に情報・知識を共有し、施工技術の確実な継承を行います。

・360度カメラと画像認識AIを用いて建設現場の施工状況や資機材の所在などを確認できる「工事進捗確認システム」を機能拡張し、建設現場での本格的な運用を開始しました。壁・天井・床の内装工事など16種類の工種の進捗状況及び24種類の資機材の所在をAIが判断して図面化でき、現場確認業務にかかる時間を削減するなど建設工事のDX推進及び生産性向上につながる様々な効果を実証しました。

・現実空間を仮想空間上に再現するデジタルツイン技術を活用し、2つの空間内のあらゆる情報をリアルタイムに相互連携させることができるデジタルツインバースシステム「T-TwinVerse」を開発しました。石見銀山地区(島根県大田市)をモデルに、生成AIを用いてどこからでも様々な情報を自由に登録・参照できるシステムを構築し、地方創生の取り組みとして産官学民の協働による実証実験を開始しました。

 引き続き最新のAI技術を取り込みながら、生産性向上や地域創生に役立つ技術の開発を推進してまいります。

 

      (3)   木質建築の取り組みを推進

 木質建築における技術開発において、以下のような成果をあげております。

・「木質建築」について、木材の使用量や構造の特徴、環境保全への貢献度などを独自指標でまとめ、6タイプ7種類からなるプロダクトマトリクスを構築の上、都市部向け木質建築の標準的な形態を分かりやすく示したコンセプトモデルを作成しました。木質建築に対する建築計画段階での関係者間認識の相違や捉え方のばらつきが解消され、カーボンニュートラルの実現やウェルビーイングの向上に資する木質建築の普及促進に繋がることが期待できます。

・木質耐火技術「T-WOOD® TAIKA」の1時間耐火木質柱・梁として、一般的なものに比べ大幅に軽量化した耐火材を部分利用することを特徴とした方式を開発し、大臣認定を取得しました。軽量化のために巻付けロックウールを採用し、柱・梁本体に接着剤を使わずにビス等で固定することが特徴であり、施工時の作業負担を軽減することができ、解体・分別や木材リサイクルを容易に行うことが可能となります。

・小径木材では困難であったロングスパン構造と、小径木材の交換を容易に行うことができる設計法の適用により構造合理化と長寿命化を実現した木造人道橋を、当社技術センターに建設しました。建築用建材として一般に流通する小径木材の用途を大きく拡大し、木構造の採用増加に繋がることから、森林資源の利用促進に貢献してまいります。

・柔らかく自在に曲げ・ねじることができる新しい木質材料「やわらかい木」を用いて独創的なデザインの提供が可能な木質網代(あじろ)構法「T-WOOD® Goo-nyaize」を開発しました。これまで普及が道半ばであった「やわらかい木」の利用促進と価値向上につながり、木造化や内装木質化の推進に寄与することが期待できます。

 また、森林資源の維持や再生にも積極的に取り組んでおり、企業やNPO法人等との自然環境保全活動等について積極的に連携しております。

 引き続き木質建築の普及・促進に寄与する技術開発と木質資源の循環利用に関する取り組みを推進してまいります。

 

      (4)   音対策の取り組みを推進

 完成後の建築物で露呈することのある音の問題に関する技術開発において、以下のような成果をあげております。

・建物の外壁面における強風時の風騒音リスクを可視化し、騒音対策が必要な領域を特定できる技術「TSounds®-Wind」を開発しました。外装付属部材について風洞実験で計測された騒音データと建物周辺の風速・風向などの風シミュレーションデータを連携させて、騒音発生リスク箇所を3Dモデル上に色分けして表示することが可能で、建物外装計画の最適化を実現しております。

・部屋の壁などに用いる建築部材の遮音性能を、数値解析により低コストかつ短時間で高精度に予測するシステム「TSounds®-Lab」を開発しました。遮音性能が不明な新しい壁部材等の使用に際し、従来の実大実験による評価手法と比較してコストと時間を低減でき、部材や構造の選定に向けた設計検討の大幅な合理化が可能となります。

 引き続き居住者、執務者等へ快適な建物空間を提供する音対策技術の開発を推進してまいります。

 

  (5)   ZEB関連技術の取り組みを推進

  省エネやカーボンニュートラルへの貢献性が高いZEB関連の技術開発において、以下のような成果をあげております。

・再生可能エネルギーの最適な利用計画の立案と最大限の活用を図ることができる再生可能エネルギー需給一体型管理システム「T-Green BEMS® RE Optimizer」を開発しました。大成ユーレック川越工場において、再エネで得られた電力の自家消費・蓄電・水素変換・電力自己託送を組み合わせた最適利用について実証を開始しました。

・既存建築物改修後の省エネ性能を設計前の段階で評価し、リニューアルによるZEB化の可能性を短期間で診断できるツール「ZEBリノベ@診断」を開発し、建築物リニューアルの初期診断業務での運用を開始しました。個々の建築物の特性に応じた最適な省エネ改修項目を短期間で選定して改修後の省エネ性能を事前に把握し、改修工事によるランニングコストやCO排出量の削減効果を迅速に推定してZEB化の可能性を判断することが可能となります。

・埼玉県幸手市に建設中の当社グループ次世代技術研究所研究管理棟において、建築物省エネルギー性能表示制度(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)における最高位と『ZEB』認証を取得しました。建物運用時の一次エネルギー消費量が設計段階において実質ゼロであることを第三者認証により確認し、同施設において国内初となる「ゼロカーボンビル(ZCB)」の実現を目指してまいります。

 引き続きZEB化に寄与する技術開発や有効性の実証、ZEB化計画の導入判断の支援に資する技術を開発してまいります。

 

   (土木事業・建築事業共通)

      (1)   環境配慮コンクリート「T-eConcrete®」シリーズの技術開発を推進

 当社の特化技術T-eConcrete®の実績や知見を活かした取り組みとして、以下のような成果をあげております。

・地盤改良工事に用いる固化改良材に「T-eConcrete®」の技術を応用し、セメント使用量をゼロとし、CO排出量を大幅に削減できる「T-eCon®/地盤改良材」を実用化しました。

・構造物を安定させるために地盤内にアンカーを固定する際に用いるグラウト材に「T-eConcrete®」の技術を応用し、製造時のCO排出量を大幅に削減できる「T-eCon®/アンカーグラウト」を開発しました。

・シールド工事でインバート(歩床コンクリート)の一部に石炭ガス化スラグ細骨材を有効活用した「T-eConcrete®/セメント・ゼロ型」を、国内で初めて採用しました。「T-eConcrete®/セメント・ゼロ型」の材料の“砂として”石炭ガス化スラグ細骨材を利用するもので、コンクリート構成材料における再生資源の利用割合を増やしました。

・ごみの処理過程で生成する溶融スラグと、アルミニウム製品製造時の副産物(水酸化アルミニウム)を積極的に活用した「T-eConcrete®」を開発し、従来のコンクリートと同等の強度と作業性を確保し、道路用建材のL型側溝を試作しました。

 引き続きカーボンリサイクルに寄与する当社の注力技術として、T-eConcrete®の技術開発と応用展開を進めてまいります。

 

  (2)   エネルギー・水の利用に関する取り組み

 自然災害に見舞われた際の避難施設運営やBCPに役立てられることが期待されるエネルギー・水利用技術に関して、以下のような取り組みを推進しました。

・大成ユーレック川越工場で製造した再生可能エネルギー由来のグリーン水素を、当社技術センターへ搬送し、燃料電池を用いて電力に変換し、施設間においてエネルギーを融通するBCP対策の実証を行いました。

・当社技術センターの「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」で使用する「水」について、1年間にわたり技術実証を行い、この度、国内初となる「LEED Zero Water」認証を取得しました。新築・既存建物での雨水利用・雑排水再利用により上水使用量削減を推進し、環境負荷を低減できる建物の提案に役立ててまいります。

 引き続きエネルギー・水利用の削減・有効利用を図る技術を開発してまいります。

 

  (3)   有機フッ素化合物(PFAS類)の対策技術を開発

 有機フッ素化合物(PFAS類)に対応したバリア材を開発し、汚染物質を含む地下水を地中で浄化し拡散を防止できる透過性地下水浄化壁工法「マルチバリア®」に適用した効果を確認しました。本工法は揚水や水処理を必要とせず、PFAS類等で汚染された地下水を長期間にわたりメンテナンスフリーで拡散防止することができるため、低コストで飲料水源の保全や敷地外への汚染物質の拡散防止が可能となります。

 今後、「マルチバリア®」の対象物質にPFAS類を加えるとともに、引き続き地下水環境の保全に貢献してまいります。

 

  (4)   リアルタイムに工事進捗を共有可能な歩掛記録アプリ「ワクロク®」を開発

 建設工事全般に共通する「生産プロセスのDX」の一環として、施工管理業務支援システム「T-iDigital® Field」の機能を拡張し、ウェブ画面上でのボタン操作だけで、リアルタイムに工事進捗状況を共有できる歩掛記録アプリケーション「ワクロク®」を開発しました。目視での歩掛確認や手作業での記録・データ入力が削減され、日報、帳票作成が不要になり、情報共有のリアルタイム性、即時性が格段に向上しました。

 引き続き「T-iDigital® Field」の基盤整備やアプリ開発を推進し、DX技術の導入による建設現場の変革を目指してまいります。

 

  (5)   脱炭素社会・循環型社会実現に貢献する更なる取り組み

 大阪・関西万博の会場整備参加サプライヤーとして、「T-eConcrete®/Carbon-Recycle」を使用した床仕上げ材をシグネチャーパビリオン「EARTH MART」に提供しました。また、海洋プラスチックをアップサイクル利用した外装材をEXPOアリーナ「物販棟」に適用しました。来訪された方々に当社のゼロカーボンやサーキュラーエコノミーに向けた取り組みについて広く知っていただき、様々な技術やサービスの提供により、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

 また、国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS)と、「NIMS-大成建設 革新的環境材料開発センター」を設置しました。本センターでは、カーボンニュートラル及びサーキュラエコノミーを実現するために豊かな社会基盤を構築する革新的な機能性を持つ建設用材料を開発します。マテリアルズインフォマティクスなどを駆使して、脱炭素性、リサイクル性、リユース性に優れた新素材の基礎研究、基盤技術開発とその実用化に取り組みます。NIMSは、主として物質・材料に関する基礎研究と基盤技術開発を担い、当社は、主として材料の建築物への適用性検証と普及展開を担います。

※マテリアルズインフォマティクス:

 データ科学と機械学習を駆使して、所望の新素材の探索と設計を加速することで様々な材料開発を促進させる手法。近年ではAI技術も駆使して、大量の材料データを解析し、材料の特性予測や設計最適化も行われている。