第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、お客さまからの信頼を事業活動の原点に据え、リスク管理を含めた内部統制の強化に取り組んでまいります。当社グループのパーパス(存在意義)として定めた「まだ見ぬところへ、まだ見ぬ明日へ」を胸に、旅そのものを進化させることも含めて、知らない世界へお客さまをご案内する旅行会社としての役割と、旅に限らないまだ見ぬ新しい価値を創造し提供することに取り組んでまいります。

今後、社会や地域とのつながり、社会が抱える様々な課題の解決に寄与する旅行業と旅行業にとどまらないサービスや価値の提供を通じて、より良い社会や未来をつくる一助になり、真に社会から必要とされる企業グループを目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益とともに、財務の安定性や効率性を計る指標として、自己資本比率を重視しております。

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

当社は、これまで注力してまいりましたコンプライアンス改革諸施策を通じた内部統制システムの一層の強化と、グループ全体の企業風土改革およびコンプライアンス意識の涵養に、倦まず弛まず取り組んでまいります。また、従来の国内・海外旅行を中心とした事業ポートフォリオに加え、新たに「地域共創事業」と「訪日旅行事業」を成長領域として定め、取組みを一層強化、加速いたします。地域共創事業では、中部山岳国立公園エリアにおいて、テーマ性の高い旅行商品に長けているクラブツーリズム㈱と、観光施設運営・交通対策事業など幅広い観光ソリューションを擁する近畿日本ツーリスト㈱が一体となり、上高地を中心に、地域に根を張ったDMC(デスティネーション・マネジメント・カンパニー)として、包括的な観光サービスの提供を目指して取り組んでいます。また、訪日旅行事業では、豊富な商品群を強みとして、訪日外国人向けオンライン宿泊販売に一層注力してまいりますほか、クラブツーリズム㈱の多言語対応グローバルサイト 「YOKOSO JAPAN TOUR」においても、テーマのある旅や秘境・絶景の旅など、世界中のお客さまにクラブツーリズムの旅をお楽しみいただけるよう商品展開してまいります。また、海外から日本への送客を強化するため、ヨーロッパ等での海外事業拠点の設置を予定しており、グローバルネットワークの再構築を進めています。

これらの体制の下、まずは「大阪・関西万博」の入場チケット付きツアーおよび宿泊プランについて、近鉄グループホールディングス㈱傘下の各企業と連携し、クラブツーリズム㈱および近畿日本ツーリスト㈱を中心にその販売に一層注力してまいりますほか、本年7月に沖縄県北部で開業が予定されているテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」につきましても、ツアーの取扱いに向けた準備を進めています。

また、クラブツーリズム㈱において、各種仕入価格の上昇に対応し、ヨーロッパ方面へのビジネスクラスでの旅や日本船のチャータークルーズなど高付加価値商品の拡充に引き続き取り組むとともに、近畿日本ツーリスト㈱においては、ユニバーサルツーリズム推進の一環として、重度障がいをお持ちの車いすユーザーと同行者(介助者)の方に安心して観戦いただける陸上競技の大型国際大会の車いす席観戦プランを用意するなど、誰もが旅を楽しめる社会の実現を目指し、今後も努めてまいります。

さらに、現在当社グループでは旅行事業の枠を超えた新規事業の創出にも取り組んでおり、そのひとつとして旅行会社が厳選した心地よい空間(サウナ、飲食店、宿泊施設等)が見つかる検索サイト「Chill+」を運営しています。旅行事業とのシナジーを高めていくとともに、施設の予約機能等を拡充し、「チルなコト・モノ」に特化したマーケットプレイス事業への成長を目指します。

また、海外における新規事業を拡大・推進するため、本年4月にアメリカ合衆国ロサンゼルスにおいて、KNT-CT Foods, (U.S.A.), LLCを設立いたしました。同社ではおにぎりをはじめとする日本の食の魅力を海外で発信することにより、海外での認知度向上と産地の地域活性化支援ならびに訪日旅行の意欲向上を図ってまいります。

さて、当社は本年9月1日に創立70周年を迎えます。1955年に「近畿日本ツーリスト株式会社」としてスタートした当社は、皆さまに支えられ、旅行業を中心として様々な事業を展開してまいりました。ひとえに皆さまのご愛顧とご支援の賜物と厚く御礼申しあげます。2013年にはKNT-CTホールディングス㈱を純粋持株会社とした新体制となり、現在は近畿日本ツーリスト㈱とクラブツーリズム㈱の両社を中核とする国内・海外合わせてグループ全23社にて、新たな価値と感動を生み出すため、常識にとらわれない発想で挑戦を続けております。これからも当社グループとして、パーパス(存在意義)の「まだ見ぬところへ、まだ見ぬ明日へ」を胸に、全社一丸となって「旅」と「旅を超えた」様々なサービスをお届けし、よりよい明日を創ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理

① ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティに関わる課題がリスクの減少のみならず収益機会につながる重要な経営課題であるとの認識の下、「観光を通じた価値の提供」、「責任ある企業活動」、「社会との共生・イノベーション」を当社グループのサステナビリティに関するマテリアリティ(重要課題)と設定し、サステナビリティに関わる諸課題に対する取組みを推進するため、SDGs委員会を設置しております。SDGs委員会の委員長は取締役社長とし、SDGs委員会には事業を通じてSDGs課題への取組みを推進する「事業SDGs部会(3分科会)」とSDGsに関わる社内課題への取組みを推進する「社内SDGs部会(3分科会)」の2つの部会を設置しております。

 

※SDGs委員会

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 SDGs委員会では、SDGsの推進体制の整備とSDGsに関わる3つの重要課題(マテリアリティ)および13の重点施策の策定、各重点施策のKPI(重要業績評価指数)の進捗管理を行い、サステナビリティに関わる諸課題に積極的に取り組んでおります。

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3つの重要課題(マテリアリティ)と13の重点施策

重要課題(マテリアリティ)

重点施策

1 責任ある企業活動

①コンプライアンスの推進とコーポレート・ガバナンスの強化

②省CO2、省エネルギーへの取組み

③ライフワーク・バランスの実現

④ダイバーシティ&インクルージョンの推進

⑤人権と個人の尊厳と尊重

2 観光を通じた価値の提供

⑥ウエルビーイング(幸福で健康的な生活)に「旅」で貢献

⑦スポーツ事業への注力

⑧質の高い教育に寄与する旅行やプログラムの提案

⑨環境への配慮や自然保護を啓発する商品・サービスの開発

⑩ユニバーサルツーリズムの推進

3 社会との共生・イノベーション

⑪自治体等とのタイアップによる観光産業の発展と地域経済の活性化

⑫異業種との連携による新サービスの提供

⑬ITを活用した業務の革新

 

② リスク管理

 当社グループでは、旅行業やその他事業に関わるリスクを最小限にし、事業機会の逸失を食い止めるため、グループ全体でリスクマネジメントの管理体制を構築し、運用しております。

 事業活動等に伴うリスクを適切に管理するため、安全管理部が旅客事故に関するリスクマネジメント事務を担当するとともに、その他のリスクに関しては総務部がリスクマネジメント事務を担当し、個別事案に関する検討および対応方針の決定を行うとともに、定期的にリスクアセスメントを行いながら、リスクの発生頻度と重要度に応じた様々な対策を講じ、インシデント発生の都度、当該リスク管理体制に問題がないかを確認し、必要に応じて是正しております。なお、2025年6月17日付で、安全管理部は総務部に統合し、総務部は総務CSR部に名称変更を予定しております。

 

(2)人財育成方針および社内環境整備方針

① 基本方針

 当社グループの持続的な発展に向けて、グループ経営陣とグループ社員の対話を通じて、当社グループのパーパス(存在意義)として「まだ見ぬところへ、まだ見ぬ明日へ」を制定しました。このパーパスには、旅行業で培ってきた当社グループの強みを、旅行業に限らず創造的に発揮し、社会に貢献していきたいという思いが込められています。経営陣と社員が一体となってパーパスを具現化していくために、人財育成や組織風土改革を推進してまいります。

② 人財の多様性確保を含む人財育成方針

 当社グループのパーパス「まだ見ぬところへ、まだ見ぬ明日へ」を具現化していくために、KNT-CTアカデミーにて、体系的かつ持続的な人財育成を推進してまいります。また、当社とグループ各社の人事部門の連携を強化し、グループ全体での人財確保と育成、多様な人財の活躍促進に取り組んでまいります。

 

具体的取組み

a.人(意識)の改革に取り組んでおります。

 グループ行動規範を制定するとともに、継続してグループの全経営陣と全社員を対象とする社員意識調査を実施し、改革の取り組みの浸透状況や社員のエンゲージメントの把握、社員意識の分析・考察を行いました。これまでの意識調査の結果を踏まえて、タウンホールミーティング等、経営陣と社員との間のコミュニケーションの改善、グループ行動規範の浸透促進など、全経営陣と全社員が一体となって意識と風土の改革に取り組んでおります。

b.適所適材によるグループ全体での人財配置の最適化に取り組んでおります。

 グループ会社のシナジー効果を最大限に活かすよう、人財を最適に配置することにより、そのポテンシャルを最大限に引き出していくとともに、継続的な生産性の向上を図ります。

 

c.DEI(Diversity,Equity&Inclusion)を推進しつつ、次世代を担う人財の確保と育成に取り組んでおります。

 次世代を担う若年層の確保と育成強化を重要経営課題に掲げ、チャレンジし甲斐のある公正な人事制度の定着・拡充に取り組んでおります。

 また、当社グループは若年層を中心に女性比率が高く、次世代を担う多様な人財確保の観点からも、柔軟な働き方を可能とする人事関連制度の整備により、女性管理職比率の向上に取り組んでおります。

d.近鉄グループとの連携を通じ、長期的な人財育成とスキルの活用に取り組んでおります。

 当社グループは、旅行・観光・非日常体験の企画・運営ノウハウを有する人財を多数有しております。㈱近鉄HRパートナーズとの連携を通じ、グループ内だけではなく、グループ外に対しても出向や定年退職後の同社への再雇用により、長くそのスキルの活用と成長を続けることが可能です。様々なフィールドで幅広く活躍し、今後も旅行・観光業界の発展に貢献していくことを目指しております。

③ 社内環境整備方針

 人財ポートフォリオの充実化に向けた人財育成を可能とする社内環境整備に取り組み、グループの人的資本に帰属する知的資産の発展に取り組んでまいります。

 

具体的取組み

a.ジョブ型要素を反映した人事制度の定着・拡充を図ります。

 人財の確保と付加価値創出の最大化の観点から、ジョブ型要素を反映した人事制度を導入しており、段階的に拡充を図っております。また人事関連領域におけるグループ内で共通化できる制度の拡充を図り、人事ローテーションの活性化や人財ポートフォリオの拡充を行います。

b.タレントマネジメントによる人財情報蓄積の充実と活用を図ります。

 人的資本の最大活用の観点から、グループ全体でのタレントマネジメントの運用を拡充し、適所適材を図るとともに、次世代を担う社員の育成のため、人事ローテーションの活性を図ります。

c.KNT-CTアカデミーを基軸とした人財への教育投資を図ります。

 グループの価値観や理念の共有、中期経営計画と連動した育成・啓発プログラムの立案・推進、グループ内の研修体系の整備等を目的とする社内教育研修機関として「KNT-CTアカデミー」を設置しております。経営陣と社員の「人間力」を高めることを目的とした階層研修や講演会など、パーパスの具現化に向けた社員教育の拡充を図ります。

d.健康経営に取り組みます。

 従業員が心身ともに健康的で意欲的に働き続けることができるよう、健康宣言を行うとともに、働き方改革に着手し、グループ各社の状況に即して健康の維持促進に向けた取組みを行います。

④ 指標および目標

指標

実績

目標と目標年度

管理職におけるビジネスコンプライアンス検定資格取得率

2024年度末 89.1

100%(2027年度末

管理職に占める女性の割合

2024年度末 21.5

35%(2030年度末

育児休職からの復職率(注)

2024年度 89.6

95%(2027年度

女性活躍推進法・次世代育成支援対策推進法に基づく認定取得

えるぼし認定

2024年度末 5

8社(2027年度末

女性活躍推進法・次世代育成支援対策推進法に基づく認定取得

くるみん認定

2024年度末 1

3社(2027年度末

全従業員対象研修受講率

行動規範eラーニング 97.8%

人権ハラスメント研修 100%

情報セキュリティに関するeラーニング 96.6%

100(毎年)

健康経営に関する認定取得

2024年度末 健康優良企業「銀の認定」5

認定13社(2028年度末

(注)連結グループにおける記載が困難であるため、当社およびクラブツーリズム株式会社、近畿日本ツーリスト株式会社、株式会社近畿日本ツーリストブループラネットについて記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループでは、旅行業やその他事業に関わるリスクを最小限に食い止めるため、グループ全体でリスクマネジメントの管理体制を構築し、運用しています。

 その一環として、定期的リスクアセスメントを行いながらリスクの発生頻度と重要度に応じた様々な対策を講じ、インシデント発生の都度、当該リスク体制に問題がないかを確認し、必要に応じて是正していきます。

 事業活動に伴うリスクを適切に管理するため、安全管理部が旅客事故に関するリスクマネジメント事務を担当し、その他のリスクに関して総務部がリスクマネジメント事務を担当します。そのうえで個別事案に関する検討および対応方針の決定を行うとともに、リスクの洗い出しのための「リスクマネジメント会議」を開催しています。

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 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)自然災害、テロ、感染症等に関わるリスク

 国内外で大規模な地震、台風、豪雨、大規模テロ又は重大な感染症の拡大が発生した場合、関係地域への旅行がキャンセルされ、さらに旅行の自粛や出控えが生じるため、長期間、広範囲にわたり旅行需要が消失するなど、当社グループの業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制に関わるリスク

 当社グループは、旅行業法、景品表示法、消費者契約法、独占禁止法等さまざまな法規制のもと事業を行っており、それらの法令を遵守するための内部統制システムを整備しておりますが、法的規制の変更に十分な対応ができず、万一重大な法令違反を冒した場合は、行政当局から営業停止処分等を受け売上高が減少するほか、ブランドイメージが毀損し当社グループの事業の展開および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)事業運営に関わるリスク

 従業員の手配ミス等により、重要な運輸機関・宿泊機関の予約、重要なチケットの入手ができなかった場合、損害賠償請求を受ける恐れがあります。また、運輸機関その他の業務委託先が事故や法令違反等を起こした場合も委託先の選定責任等が問われ、損害賠償請求や旅行業法に基づく処分を受ける恐れがあります。自治体等から応札によって請け負う業務では、債務不履行等により関係各所から損害賠償請求や入札停止の処分を受け事業活動が制限される恐れがあります。当社グループでは、様々な業務マニュアルを整備し、計画的な訓練を実施することでこれらの防止に努めておりますが、万一大規模な手配ミス等や業務委託先による事故、入札停止処分等が発生した場合は、当社グループの業務品質に対する信頼が低下し、ブランドイメージが毀損されますので、当社グループの業績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)個人情報に関わるリスク

 当社グループは、顧客情報等大量の個人情報を取り扱うため、主要な子会社がプライバシーマークを取得するなど、個人情報の漏えい防止に万全を期しておりますが、万一大規模な情報漏えいが生じた場合は、顧客等への損害賠償に加え、信用失墜により売上高が大幅に減少する恐れがあり、当社グループの業績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)情報システム・セキュリティに関わるリスク

 当社グループでは、旅行予約や乗車券、観光券の発券作業等、情報システムに依存している業務が多いため、それらのシステムが重大な故障に見舞われた場合、長時間にわたり業務が滞る恐れがあります。そのため、当社グループでは、システムの保守に留意し、クラウドサービスの利用、システムのオープン化、ネットワークの二重化など様々な対策を講じておりますが、万一重要なシステムに故障等が生じた場合は、当社グループの業績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、セキュリティにつきましては、IT企画部に情報セキュリティ対策の専任担当者を置き、同部の定める情報セキュリティ基本方針に従って各社が対策を講じ、その遵守状況を監査部が監査することとしております。当社グループでは、この体制で情報セキュリティの向上を図っておりますが、万一第三者によるサイバー攻撃等により、社内システムがダウンし、またはそのデータの消失・改ざん、個人情報の漏えい等が生じた場合は、業務の停止に加え、情報漏えいに伴う損害賠償請求、信用失墜に伴う売上高の大幅な減少が生じ、当社グループの業績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)新規事業特有のリスク

 新たな事業機会を求めて新規事業に取り組む場合、業界や国・地域特有の法令・商慣行の認識不足による法令・契約違反や、不慣れなオペレーションによる安全確保の不備、労働災害を発生させる可能性があり、それにより、損害賠償請求や行政当局から営業停止処分等を受け売上高が減少するほか、ブランドイメージが毀損し当社グループの事業の展開および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)人権侵害に関わるリスク

 当社グループは、従業員のみならずサプライチェーンなど多岐にわたる人々の支えのもと事業を営んでおります。グループ内やサプライチェーンにおいて人権侵害や各種ハラスメントが発生した場合、被害者の方の心身の健康被害につながるほか、社会的信用が低下し、ブランドイメージが毀損され、当社グループの業績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、カスタマーハラスメントが生じ、適切な対応を取らなかった場合、従業員の心身の健康被害につながるほか、社会的信用の低下や人財の流出を招き、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人財の確保・育成に関わるリスク

 当社グループは、多くの事業が労働集約型であり、人財を継続的に確保し計画的に育成しておりますが、労働市場における人材不足等の影響を受けこれらが計画どおり進展しない場合、他社との競争や事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、ワーク・ライフ・バランスの実現へ向け、ジェンダーやライフイベントに左右されることなく、誰もが多様な働き方を選択できる就労環境の整備を積極的に進めておりますが、環境の整備や法改定への対応が遅れた場合、従業員が心身両面での健康被害を受ける恐れに加え、人財の流出を招いて事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人口動態に関わるリスク

 当社グループは、売上高に占める国内顧客の割合が比較的高いため、国内人口の減少や少子高齢化が売上高の減少につながる可能性があります。このため、訪日旅行事業の強化に取り組み、教育旅行事業のシェア拡大、アクティブ・シニアの旅行需要の深耕等に注力しておりますが、これらが計画どおり進展しない場合、当社グループの業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)経済状況に関わるリスク

 旅行事業は、主に個人の余暇を充実することを目的とするため、景気変動の影響を強く受ける傾向があります。当社グループでは、法人需要の取込み、地域共創等の受託業務、業際ビジネスの拡大に取り組むほか、訪日旅行の拡大を図ることで、国内景気の影響を緩和するよう努めておりますが、景気が想定以上に悪化し、個人消費が低迷した場合は、当社グループの業績および財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)為替および原油価格の変動に関わるリスク

 当社グループの海外旅行における地上費(ホテル代等)取引は、大半が米ドルをはじめとする外国通貨による決済となっております。このため、為替予約または通貨オプション取引を用いて為替の変動リスクをヘッジしておりますが、著しい為替変動が生じた場合は、当社グループの業績および財政状態に影響が及ぶ可能性があります。また、原油価格が大幅に高騰した場合には、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)の上昇により海外旅行需要が減少することとなりますので、当社グループの業績および財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 さらに、ホテル代金、食事代金、旅客運送費等の仕入値が上昇し、旅行代金にも影響を及ぼすこととなり、旅行需要の減少につながる恐れがあります。

 

(12)訴訟に関わるリスク

 当社グループは、事業に関して訴訟を提起される可能性があります。訴訟の内容によっては、多額の損害賠償を要求され、事業活動が制限される可能性がありますので、万一敗訴した場合等は、当社グループの業績および財政状態に影響が及ぶ可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境は改善の方向であったものの、多品目にわたる消費者物価の上昇が続いたため、消費者マインドは改善に足踏みが見られ、景気は緩やかな回復傾向のうちに推移しました。

 旅行業界におきましては、国内旅行については、近年旅行需要の下押し要因となっていた新型コロナウイルスに関連した出控え等は後退し、全般に回復傾向となりましたものの、宿泊代金の高騰等の影響により需要の伸び悩みが見られました。一方で、訪日旅行については、円安基調等の要因が需要を牽引し、引き続き好調に推移しました。また、海外旅行についても、新型コロナウイルスや急激な円安による海外旅行控えの傾向が和らぎ、旅行単価の上昇が見られるなど、好調に推移しました。

 このような状況の下、当社グループの国内個人旅行では、北陸新幹線延伸や恐竜人気に沸く福井県や年末の伊勢志摩方面が人気のエリアとなりました。クラブツーリズム㈱の添乗員同行ツアーでは、日並びの良い年末年始の休暇を利用した商品の販売に注力しましたほか、にっぽん丸や飛鳥Ⅱといった大型客船のチャータークルーズを催行し、好評を博しました。一方、団体旅行では、近畿日本ツーリスト㈱が企業系コンベンションなどの法人需要をはじめ、修学旅行等の学生団体の需要獲得にも努めました。

 海外旅行につきましては、クラブツーリズム㈱の添乗員同行ツアーで、主にヨーロッパ方面や外国船クルーズ、アメリカへの野球観戦ツアーが好評を博しました。一方、団体旅行では、近畿日本ツーリスト㈱がパリオリンピック・パラリンピックの観戦、企業の視察招待や海外見本市のほか、メキシコ皆既日食観測ツアーなど、趣味に特化した旅行の取扱いにも注力しました。

 訪日旅行につきましては、クラブツーリズム㈱で昨年9月に多言語対応の訪日客向けグローバルサイト「YOKOSO JAPAN TOUR」を公開し、海外個人顧客のツアー申込から決済までをワンストップで処理できるようになったことで、特に香港・台湾からのお客さまを中心に、紅葉観賞の日帰りバスツアーなどが好評を博しました。また、近畿日本ツーリスト㈱では、陸上競技の大型国際大会や東京マラソン2025にメインパートナーとして積極的に関与し、その取扱いが好調に推移しました。

 さらには、クラブツーリズム㈱において、㈱テレビ東京ダイレクトとの協業により、本年1月から今行くべき旅や楽しみ方を案内する新番組「教えて!ツアーの達人」の放送を開始し、旅の魅力の配信や関連するツアーの販売に努めました。

 

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、主に受取手形、営業未収金及び契約資産が減少したものの、預け金および旅行前払金などの増加により1,367億34百万円となり、前連結会計年度末に比較して46億51百万円(3.5%)の増加となりました。一方、負債合計は、主に旅行前受金が増加したものの、営業未払金、旅行券等などの減少により854億12百万円となり、前連結会計年度末に比較して24億98百万円(2.8%)の減少となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により513億21百万円となり、前連結会計年度末に比較して71億49百万円(16.2%)の増加となりました。

 

 この結果、自己資本比率は37.5%(前連結会計年度末 33.4%)、1株当たり純資産は310.44円(前連結会計年度末 76.07円)となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の連結業績は、連結売上高は2,745億16百万円(前年同期比7.5%増)、連結営業利益は60億40百万円(前年同期比16.9%減)、連結経常利益は67億76百万円(前年同期比15.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は76億80百万円(前年同期比1.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期に比較して31億25百万円増加し880億73百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金は42億23百万円の増加(前期は139億60百万円の増加)となりました。これは主に仕入債務の減少による影響で55億79百万円、旅行前払金の増加による影響で33億7百万円それぞれ減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上で76億34百万円、旅行前受金の増加による影響で43億22百万円それぞれ増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金は9億41百万円の減少(前期は99百万円の減少)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入で11億36百万円増加したものの、固定資産の取得による支出で7億41百万円、定期預金の預入による支出で4億50百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出で4億18百万円、差入保証金の差入による支出で3億40百万円それぞれ減少したためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金は2億18百万円の減少(前期は41百万円の減少)となりました。これは主にリース債務の返済による支出で2億17百万円減少したためであります。

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは、旅行業の単一セグメントであり受注生産形態をとらない商品が多いため生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 当社グループは旅行業の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容についての記載を省略しております。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

(a)経営成績

(売上高と営業利益)

 当連結会計年度の売上高と営業利益は、海外旅行を中心に取扱いが増加し、前連結会計年度に比べ、売上高は7.5%増の2,745億16百万円となりました。

 一方で、事業構造改革による収支構造の改善に継続して努めているものの、公務受託事業の減少や人的投資およびシステム投資の増加等により、営業利益は16.9%減の60億40百万円となりました。

(経常利益)

 当連結会計年度の営業外収益および営業外費用の純額は7億35百万円の収益超過となり、営業債務整理益が減少する一方で受取利息が増加したため、前連結会計年度に比べ31百万円の増益となりましたが、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ15.1%減の67億76百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の特別利益および特別損失の純額は、特別利益として8億80百万円の投資有価証券売却益を計上し、また、特別損失の特別調査費用等が減少したため、8億58百万円の収益超過となり、前連結会計年度に比べ15億70百万円の増益となりました。

 また、当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は3億5百万円、法人税等調整額は△3億58百万円であり、非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ1.9%増の76億80百万円となりました。

 

(b)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループをとりまく環境としましては、国内における人口減少や高齢化、国を越えた人の動きの活発化等内外の社会構造の変化が旅行業に影響を与えております。また、外資を含めたOTAの事業拡大、国内旅行、海外旅行ともに柔軟に商品価格を変化させるダイナミックプライシング機能等の様々なサービスの進化により事業環境は著しく変化しております。

 また、旅行市場は、政府の「観光立国」に向けた政策のもと、国内旅行においては近年旅行需要の下押し要因となっていた新型コロナウイルスに関連した出控え等は後退し、全般に回復傾向となったものの、宿泊代金の高騰等の影響により需要の伸び悩みが見られます。一方、訪日旅行においては、円安基調等の要因や日本の観光地としての魅力が需要を牽引し、今後も拡大が見込めるものと予想されます。また、海外旅行においても新型コロナウイルスや急激な円安による海外旅行控えの傾向が和らぎ、旅行単価の上昇が見られるなど、今後も緩やかに回復していくものと予想されます。

 当社グループは、個人、団体の国内旅行、海外旅行の企画・販売をはじめ、海外からの訪日旅行を取り扱うため、国内、海外の安全性が損なわれる事態(自然災害、国際テロ、紛争および感染症等)が生じた場合や、景況悪化による個人消費の落ち込み、天候や休日の日並びの良否のほか、市場環境の変化などに起因し、経営成績に影響を受ける可能性があります。

(b)今後の見通し

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

c.資本の財源及び資金の流動性

(a)資金需要

 当社グループの資金需要は、営業活動については、旅行商品の企画販売にかかる宿泊機関・運輸機関・観光機関等からの仕入および人件費ならびに販売諸経費等の営業費用が主な内容であります。投資活動については、システム投資をはじめとする設備投資が主な内容であります。

(b)財務政策

 当社グループは現在、営業活動による資金需要、投資活動による資金需要いずれについても、内部資金により調達しており、借入や社債発行等による外部からの資金調達は行っておりません。

 また、当社グループの資金需要については当社が一元管理するとともに、グループ内における資金の効率的活用を図るため、キャッシュマネジメントシステムによる当社グループの各社の余剰資金の集中および配分を行っております。

 なお、当社グループ全体の余剰資金は、親会社である近鉄グループホールディングス㈱のキャッシュマネジメントシステムに預入を行っております。

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、安定的に利益を出すことのできる体質を構築し、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益を重視するとともに、安定性や効率性を計る指標として自己資本比率を定めております。

 当連結会計年度における自己資本比率は37.5%(前期比4.1ポイント改善)ではありますが、今後不測の事態にも耐えうる資本の厚みを維持しつつ、効率性にも配慮のうえ、経営を進めてまいります。

 

5【重要な契約等】

 特記事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 特記事項はありません。