文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
会社はステージ、社員はアクター、経営者は演出家、そしてお客様と株主の皆様は観客と置き換えることができると考えております。
最先端のステージ(会社)で、アクター(社員)、演出家(経営者)全員がそれぞれプロ意識に徹し、十分にその実力を発揮し、多くの観客(お客様と株主の皆様)から拍手をいただくことは大変素晴らしく、当社グループの理想とするところです。
当社グループはその理想の下、常に会社組織や投資機材の一層の拡充、最先端化と、全社員の絶え間ない質的向上を経営の基本方針としております。
(2) 経営環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、物価上昇の継続が個人消費に及ぼす影響や、通商政策などのアメリカの政策動向、金融資本市場の変動等の影響に対する懸念もあり、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要な市場である広告業界におきましては、2024年の国内総広告費は、7兆6,730億円、前年比104.9%(株式会社電通発表による)となり、世界的なイベント、インバウンド需要の高まりなどに支えられ、インターネット広告費を中心に広告市場全体も成長いたしました。
当社グループは、2事業4部門に経営資源を集中し、収益の伴う安定的な成長を図るべく、その指標として売上高と売上高営業利益率を重視し、諸施策を実施しております。売上高、売上高営業利益率の具体的な数値目標は設定しておりませんが、売上高、売上高営業利益率の数値を基に諸施策を実施し、収益の伴う安定的な成長を図ってまいります。
当連結会計年度の各指標の前年比較は以下のとおりであります。
当社グループの戦略は、優れたデジタル映像演出技術および最先端のデジタル映像制作技術をもとに、それが活かせる市場機会の発見と俊敏な取り組みを行い、市場から得られたリターンを再び高度な目利きをもって最新技術に投資する。この不断のイノベーションが経営戦略です。
そのために必要不可欠な事項は、次の四点です。
① 日進月歩する新技術から、新たな独自価値を創造できる高度な技術力
② 急変する市場において、正しく価値を表現できる高度なプロデュース力
③ 魅力的な新技術、手法、アイデアを的確に捉える高度な目利きの能力
④ 高度な人材の育成と、魅力ある労働環境の整備
これら能力を常に高める様不断の努力を続け、観客であるお客様と株主の皆様に、より大きな喜びと感動をご提供していきたいと考えております。
コンサートや展示会、イベント、さらに企業によるプライベート展示会なども、多く開催されており、リアルイベントに対するニーズは増えてきております。
しかし、展示会やプロモーションなどの数は増えても金額が増えないなど、以前ほどの予算感が戻っていない状況です。特にリアルとSNSなどを使ったデジタルとの併用が多くなっており、リアルだけでないアイディアや効果を求められています。
企業が大きく影響を受ける世界情勢においては、様々な地域での戦争が継続しており、情勢不安が続いています。さらにアメリカの関税問題などで、金融・為替や販売価格など、様々な企業への影響が出始めており、企業や日本経済に与える影響も注視していく必要があります。
日本の広告費は、2024年も過去最高となり、2022年から3年連続で過去最高を更新しました。
インバウンド需要の高まりを受けた企業の好調など、社会・経済活動の活発化の影響をうけ、交通・レジャーや飲食など、様々な分野で広告需要が高まりました。プロモーションメディア広告費は徐々に回復し、コロナ禍前の76%程度に戻りつつあります。また、AIや縦型動画広告、コネクテッドTVの利用も盛んになるなどインターネット広告費が、広告費全体の伸び率をけん引しており、マスコミ四媒体広告費も3年ぶりに前年を上回りました。
当社グループは、需要が大きくなっているエンターテインメントに力を入れるとともに、AIを始めとする先進的なデジタルの技術を活用し、お客様のニーズや課題から最適な企画・制作をすることで、リアルとデジタルの両面からご要望にお応えすることを目指しております。
人材不足の中、労働環境の改善、技術教育、積極的な人材雇用を行うことで、今後も質の高いサービスの提供を目指します。
当社グループは、会社はステージ、社員はアクター、経営者は演出家、そしてお客様と株主の皆様は観客、最先端のステージ(会社)で、アクター(社員)、演出家(経営者)全員がそれぞれプロ意識に徹し、十分にその実力を発揮し、多くの観客(お客様と株主の皆様)から賞賛をいただくという経営方針の基、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくとともに企業価値の向上も図ってまいります。
また、当社は、2019年より開催されているサステナブル・ブランド国際会議に協賛しサステナブルなイベントの実現のための取組をしているほか、企業プロモーション・カンファレンス・イベントなどを通じ、個々で取り組まれているサステナビリティ実現のための活動や課題が、広く社会全体で共有され認識されることにより、サステナビリティ実現のための活動の一助となるべく事業を行ってまいります。
当社事業のサステナビリティ実現のための課題といたしましては、企画・制作、映像演出や制作といったクリエイティブな活動全般は人がその価値を生み出すものであることから、人的資本に関する事項が重要課題と認識しております。
当社グループでは、サステナビリティは事業継続のための重要事項であることから、サステナビリティのための体制をコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。サステナビリティ関連のリスク事項については、リスクマネジメント委員会にて情報が集約され、その重要性に応じて取締役会及び経営会議に適宜報告される体制となっております。
コーポレート・ガバナンスに関する詳細は「
当社グループの事業において人的資本に関する事項は重要課題であります。多様な人材を確保するとともに、従業員がその能力を発揮し、継続的に就業できるような雇用環境の整備を行うため、仕事と生活の調和を図りやすい体制を作ることを方針としております。
具体的には、採用面接官に女性社員を積極的に登用するほか、年度ごとの採用実績に応じて適宜採用方法の修正をするなど多様な人材確保のための取組をするとともに、短時間勤務制度、月の所定労働時間内でのフレキシブルなフルタイム制度など多様な働き方に対応するための勤務体系の運用やフレックスタイム制などさらなる制度設計の検討、毎月の経営会議への残業時間状況報告を通じた長時間労働対策、年に1回の全従業員向けアンケートを用いた企業風土・ハラスメントに起因するリスクの把握および是正活動を通じた雇用環境・社内環境全般の整備改善について、継続的に実施しております。
当社は、取締役会にて選任された委員長のもとに常勤取締役、執行役員、委員長より指名された役職者で構成されるリスクマネジメント委員会を設置しており、原則月1回委員会を開催し、グループ全体におけるリスクに対する検討、対策を行っております。サステナビリティに関するリスク事項についてもリスクマネジメント委員会にて情報が集約され、重要性に応じて取締役会及び経営会議に適宜報告されます。
当社グループでは、上記において記載した人材の確保、社内環境整備に関する事項について、下記の指標および目標を設定しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの営業対象が主に企業の広告宣伝活動であるために、景気の停滞による広告宣伝費削減の影響を受ける可能性があります。景気停滞期には、まず広告ソリューション事業の主要対象である販売促進及び展示会の規模縮小やテレビコマーシャル制作費の削減が行われることがあり、受注額が減少し、価格競争が激しくなります。そのため、当社グループはテクニカルソリューション事業の映像機器レンタル部門において各種学会、総会、コンサート、ホテル等に進出し、ポストプロダクション部門でも番組系やアニメ関連、通販系に積極進出するなど広告宣伝費の支出状況の影響を受けにくいビジネス分野に積極的に取り組んでおります。
広告宣伝業界では契約書の取り交わしや注文書の発行が、受注段階で行われないことが少なくありません。また、当業界における販促事業や展示会や催事におきましては、企画を立案後、制作の段階に入りましても主催者からの追加発注や仕様変更の要請があり、当初の基本計画の内容変更や予算金額の変動が生じることがあり、受注金額が納品時まで確定しないケースがあります。このため当社グループにおきましては各部門の制作受注管理システムで受注案件毎の管理を行い、受注が決まった段階でその時点の受注金額を登録し、その後の受注金額の変動も迅速に把握をするように努めております。しかしながら、受注金額が予定を大きく下回って確定する場合には、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
広告ソリューション事業の主業務が、イベントや展示会におけるプレゼンテーション映像の企画制作や映像演出であるために、特定の時期に開催される大型展示会等の案件は、その時点での売上拡大に寄与する反面、以後の反動減を生み、当社グループの安定した経営成績に影響を与えます。当社グループでは、経営の安定を図るため、販売促進業務等の季節的変動が少ない案件の受注拡大にも力をいれております。
当社グループは営業上の競争優位、制作生産性の向上、ノウハウの蓄積のため、最新鋭の映像演出機材及び映像編集設備への投資が欠かせません。当社グループでは機材・設備のライフサイクルを基に比較的短いリース期間を設定することにより予想外の早期陳腐化に備えております。また機材の稼動状況及び各期のリース料を考慮した上で設備投資を決定し過大な投資になるのを防いでおります。しかしながら、映像編集設備等の技術革新が著しく進んだ場合、当社グループの保有する設備が陳腐化し、営業の競争力や制作の生産性が低下する可能性があります。
当社グループが属する映像の企画演出及び映像編集の業種は、もともと職人気質やある種の才能が要求され、人材の流動性が激しい業界であります。また最先端の映像コンテンツ制作技術においては熟達した人材の供給が不足しており、その育成にも時間がかかります。従って、人材確保の不足が成長のボトルネックになる可能性があります。そのため当社グループでは、制作については技術チーフのもとに指導、育成を行い、チーム体制のもとに常時最新機材運営のノウハウを習得させております。また企画営業面では、営業、企画、制作に対して横連携を密とする総合的な取り組みを行い、組織的にビジネスノウハウを蓄積しております。人事制度につきましては、個人の業績貢献に報いる体系と安定して仕事に打ち込める継続的雇用の体系をとっており、役員及び従業員に対するインセンティブ手段としてストック・オプション制度や報奨金制度、同期会、海外研修、サークル活動、また従業員には確定拠出年金制度の導入など、従業員の定着率の改善に努めております。
地震等の天災や感染症の発生等の影響による不可避的な要因により、予定していた販促イベント、展示会、コンサート等をクライアントが中止或いは延期とする可能性があります。規模の大小によりますが、その影響により経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
当連結会計年度の当社グループの業績は、売上高は10,456百万円(前年同期比6.8%減)、営業利益は927百万円(同19.6%減)、経常利益は持分法投資利益の計上等により、1,050百万円(同19.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、745百万円(同8.9%減)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
(広告ソリューション事業)
広告ソリューション事業のSP(セールスプロモーション)・イベント部門におきましては、中小規模の案件を取り込む形で期末にかけて多少の改善をいたしましたが、上期からの大型案件の受注不足を埋めきれず、業績は低調な結果となりました。また、TVCM(テレビコマーシャル)部門におきましても、前年開催の大型展示会に関連した映像制作案件の反動減を埋めきれず、やや低調な結果となりました。
この結果、広告ソリューション事業の売上高は、4,347百万円(同19.2%減)、営業利益は116百万円(同73.2%減)となりました。
(テクニカルソリューション事業)
映像機器レンタル部門におきましては、コンサート等エンターテインメント関連の案件が継続的に開催され、映像機材の稼働も通期にわたり堅調に推移し、業績は好調な結果となりました。また、ポストプロダクション部門におきましても、業績は堅調な結果となりました。
この結果、テクニカルソリューション事業の売上高は、6,109百万円(同4.6%増)、営業利益は1,472百万円(同4.2%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて279百万円減少し、9,120百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度に比べて795百万円減少し5,356百万円となりました。主な要因は、売掛金の減少851百万円、棚卸資産の増加161百万円によるものであります。
固定資産は前連結会計年度に比べて517百万円増加して3,764百万円となりました。主な要因は、機械装置及び運搬具(純額)の増加496百万円、リース資産(純額)の減少59百万円、投資有価証券の増加85百万円によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べて522百万円減少し、2,325百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度に比べて471百万円減少して2,153百万円となりました。主な要因は、買掛金の減少299百万円、短期借入金の減少180百万円、未払金の増加60百万円、賞与引当金の減少63百万円によるものであります。
固定負債は前連結会計年度に比べて51百万円減少して172百万円となりました。主な要因は、リース債務の減少36百万円によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べて244百万円増加し、6,795百万円となりました。主な要因は、利益剰余金の増加534百万円、自己株式の増加288百万円によるものであります。この結果、自己資本比率は74.5%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ36百万円増加し、当連結会計年度末には2,867百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は1,686百万円(前年同期比61.1%増)となりました。
主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上1,038百万円、減価償却費の計上521百万円、売上債権の減少932百万円、主な減少要因は、賞与引当金の減少63百万円、棚卸資産の増加161百万円、仕入債務の減少299百万円、法人税等の支払額295百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は836百万円(同25.0%増)となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出841百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は813百万円(同18.4%増)となりました。
主な要因は、短期借入金の純減少額180百万円であり、リース債務の返済による支出112百万円、自己株式の取得による支出309百万円、配当金の支払額210百万円によるものであります。
当連結会計年度における制作実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、総製造費用によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度における売上高は10,456百万円(前年同期比6.8%減)となりました。エンターテインメント関連市場を中心とした映像機材の稼働が堅調に推移したものの、プロモーションメディア関連市場での企業プロモーション・イベント等の大型案件の受注が低調に推移したこと等によるものであります。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は3,552百万円(同6.2%減)となりました。これは主に売上高の減少等によるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、2,625百万円(同0.4%減)となりました。これは主に経費コントロールの徹底によるコスト削減等によるものであります。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は927百万円(同19.6%減)となりました。これは販売費及び一般管理費は減少しましたが、売上総利益の減少によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は1,050百万円(同19.9%減)となりました。営業外収益として137百万円を計上しております。これは主に持分法による投資利益96百万円、貸倒引当金戻入額33百万円等によるものであります。営業外費用として14百万円計上しております。これは主に支払利息5百万円等によるものであります。
(特別損益)
当連結会計年度において特別損失として12百万円計上しております。これは主に固定資産除却損8百万円によるものであります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
税金等調整前当期純利益は1,038百万円(同14.7%減)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は293百万円(同26.5%減)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は745百万円(同8.9%減)となりました。
(経営成績に重要な影響を与える要因について)
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの主要な資金需要は、設備投資資金と運転資金であります。設備投資資金は、営業上の競争優位のため最新鋭の機材への設備投資は欠かすことが出来ないものであります。運転資金は、制作費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用の支払いに要するものであります。
現状、これらの資金需要につきましては自己資金、短期借入金で賄っておりますが、必要に応じて長期借入金により資金調達を行う等、柔軟に対応することとしております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益・費用の一部について合理的な見積り等により計上しており、実際の結果は、これらの見積り等と異なる結果となる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。