文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針・経営戦略等
当社は「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」という経営理念のもと、「あったら楽しい」「手の届く贅沢」を営業コンセプトとしております。「東京圏ベストロケーション」「女性ターゲット」「ライトフード・自社生産」という戦略に基づき、すべて直営店での店舗展開をしながら営業活動を行っており、生産カンパニーにおきましては3つの工場で製造するパスタソース・ドレッシング・珈琲豆・焼き菓子・生食パンなどの自社製品の店舗外販売も行っております。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
外食業界は新型コロナウイルス感染症拡大による影響から回復期にありますが、リモートワークの導入や大人数での会食自粛、外国人観光客への渡航制限等により、都心部および夜間の人流回復は鈍く、コロナ前の完全回復は未だ見込まれない状況です。
一方、コロナ禍における長期の行動制限によって消費者の生活様式は変化し、「職住近接(郊外シフト)」や家庭中心の時間を楽しむ「おうち時間」等のライフスタイルが定着し、自宅で外食の味を楽しむ、家庭調理の負担を下げる食物販やデリバリー需要はコロナ回復後も落ち込みを見せておりません。
ロシアによるウクライナ侵攻、中国のゼロコロナ政策(ロックダウン)による「モノ不足」に、急速な円安の進行が重なり、資材・原材料の高騰と食材確保への対応は喫緊の課題です。
消費者においては、生活費の上昇による実質賃金の低下によって将来不安が高まり、コロナ回復後も生活防衛への志向は変わらず、個人消費は停滞が見込まれます。
このような環境下、当社においては「椿屋珈琲」を主軸とした高級喫茶業態のブランド認知の強化に努め、価格に見合ったQSCの基準向上、サービスの充実、メニューの商品力アップを通じて、お客様の「体験価値」を高め、生産性を向上させてまいります。また自社生産工場(セントラルキッチン)の経営資源を活用し、効率化を進める設備投資を行っていくほか、メニュー施策による内製化率の向上から食材高騰リスクを低減するほか、消費者の新たなライフスタイルに対応する新規の業態開発を推進します。また生産性およびサービスレベル向上を実現する機械化・DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、職住近接を背景とした臨都心への出店・リロケーション、ライフスタイルの変化によって機会となる食物販事業の拡大を「成長投資」と位置づけ、変化に迅速に対応してまいります。
①食材高騰リスクへの対応(体験価値の向上・マージンミックス)
今夏より食材高騰リスクが急速に高まることから、購買・メニュー開発部署に権限移譲し、仕入れルートの多様化やレシピ改定を迅速かつ柔軟に実施できる体制を構築しています。また仕入れ価格の上昇が長期化するおそれのある食材においては、段階的に一部メニューの価格改定(値上げ)を見込んでいます。値上げ(物価上昇)による顧客の離反リスクを低減させるため、当社では、“ 物価(物の価値)=価格÷お客様の体験価値 ”ととらえ、コンセプトである「あったら楽しい・手の届く贅沢」「ゆとりとくつろぎの60分」に基づく、高付加価値メニューの開発と高品質のサービス提供を通じて、お客様の体験価値を向上させてまいります。
喫茶業態においては、自社ケーキ工房(コンフェクショナリー)や店舗のケーキスタジオで生産されるケーキを「戦略的商品」と位置づけ、前期ではメディアにも紹介され10万個の販売実績を得た「シャインマスカットのズコット」を好事例に、価格転嫁にも耐えうる高付加価値メニューの開発に努めてまいります。またドリンクとのセットメニューの強化により、食材原価率の高騰を抑制します。椿屋珈琲、ダッキーダック(一部店舗を除く)では、一律であったケーキセットの価格を3つの価格帯に分類し、お得感のある「シフォンセット」を軸としたマージンミックスにより、粗利益の改善を図ることができました。期間限定で販売する「シングルオリジンコーヒー(単一農家生産の希少豆)」の継続展開も好評をいただき、ドリンクの受注率が向上しています。
レストラン業態でもワインやお酒に合うメニュー展開とセットメニューの施策により、マージンミックスの改善に努めてまいります。イタリアンダイニング・ドナにおいては、自社製造の生パスタ(ソース)を中心に製造・物流過程における効率化を図り、仕入れコストの上昇を吸収するほか、メニュー改定により、自社製加工食材の構成比を高めるなどして、食材高騰リスクの総合的な対応にあたります。
②業態開発・リロケーション
在宅勤務やテレワークを背景とした「職住近接」の流れから、都心部への集中出店は避け、都心から30~40分圏内の「臨都心(商業+住居エリア)」への出店比率を高めます。前期オープンした「銀座和館 椿屋珈琲 たまプラーザ店」では、郊外シフトの流れから人流はコロナ前比較で微増が見られており、出店直後から安定的な収益化が図られています。周辺人口の世帯収入や商業規模と居住人口とのバランス、世代別前面通行量等をモデル化し、臨都心エリアへの出店を加速させ、リロケーションを推進します。
またインターネット販売のさらなる普及により、商業施設の収益構造は不動産収益への依存度を高め、更新のない定期借家賃貸借契約による収益店の退店はリスクです。こうした対応として、前期は「みなとみらいコレットマーレ 椿屋カフェ」を改装し、和の美、抹茶をテーマとした「茶寮 SIKI ~TSUBAKIYA~」を新業態として開発し、デベロッパーとの契約更新につなげることができました。今後も商業施設のニーズには柔軟に対応し、退店リスクを低減させてまいります。
③食物販事業の拡充
当社は前期中に、政府がコロナによって影響を受けた企業の新たな事業分野への展開を支援する「事業再構築補助金」の採択を受けることができました。対象となる「食物販事業」の拡充はポストコロナにおける重点課題として経営資源を注いでまいります。コロナ前まで売上比1%に満たなかったテイクアウトを含む物販売上は直近の四半期では13%まで比率が上昇しており、イートイン売上の回復後も比率を維持しています。主力となる自社製ケーキの販売を中心に駅構内や商業施設の食物販フロアで展開する催事販売が好調に推移しており、自社工場(戸塚カミサリー)で生産する「冷凍食品」も安定した販売実績を重ねています。前期発売したレトルトカレー、ハヤシソースはイートイン店舗のレジ横商品としても定着し、累計販売数は15万個を超えました。
課題は食物販の「販路の拡充」です。引き続き、既存店と自社ECサイトによる販売強化と、物販専門店の出店・収益モデル化を進めます。今期は「リアルとネットの融合」をテーマに、実店舗とECサイトの連携を目的とした「全店共通ポイントアプリ」の開発に着手します。当社店舗の利用時に付与されるポイントはECを含む全業態店舗で利用が可能となるポイントサービスを今期中に展開いたします。
また生産においては、イートイン売上の回復によって工場稼働がひっ迫しないよう、事業再構築補助金を活用した生産設備の増強を行い、生産力の維持向上を図ります。引き続き、同業他社への一次加工食材の製造販売にも注力するとともに、スーパー、ネットスーパー等への販路開拓を推進し、中期的には食物販事業を第2の収益の柱となるよう育成を継続してまいります。
当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中にある将来に関する事項は、当事業年度末(2022年4月30日)現在において当社が判断したものです。
① 食材の調達と安全性に係るリスク
当社は、安全で安心な食材を提供するため、信頼性の高い仕入先から継続して食材を調達し、また通関時の検査結果の確認に加え、定期的に自主検査も実施して安全性を確認しております。
しかし、鳥インフルエンザ問題に代表されるような疫病の発生、天候不順、自然災害の発生等により、食材の調達不安や食材価格の高騰などが起こり、一部のメニューの変更を余儀なくされるケースも想定されます。また想定外の法的規制強化や新たな規制の発生、異物混入及び品質・表示不良品の流通による回収費用や訴訟・損害賠償、商品の品質や安全性を確保するためのトレーサビリティーの強化・システム構築などの費用が発生した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② セントラルキッチンおよび店舗での衛生管理に係るリスク
当社は、セントラルキッチンを所有し、スパゲッティの生麺とパスタソース、ドレッシングおよびフレッシュケーキ・焼き菓子を製造し、店舗へチルド配送しております。
セントラルキッチンおよび店舗においては、厳しい品質管理と衛生検査を実施しておりますが、万一当社店舗において食中毒が発生した場合には、営業停止処分などにより当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。なお、安全・安心な製品の提供を確保するため、食品安全マネジメントシステム規格の「ISO22000」の認証を取得し、品質管理の徹底と品質向上に向けた取組みを実施しております。
③ 自然災害のリスク
近年発生が増加傾向にある異常気象のうち、台風や暴風雨などの影響や自然災害の中でも地震、大雨、洪水により生産現場や生産設備に被害が生じた場合、その復旧まで生産や出荷が長期間にわたって停止する可能性があります。当社では災害対策マニュアルやBCP(事業継続計画)の策定、安否確認システムによる社員・アルバイト・全事業所のライフラインの確認、防災訓練などの対策を講じていますが、自然災害での被害を完全には排除できるものではなく、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 気候変動のリスク
環境問題に対する取組みは近年ますます重要となっております。気候変動問題などの環境・社会課題の顕在化に伴い、持続可能な社会の構築を目指し、企業におけるSDGsへの取組みへの期待が一層高まっています。当社では環境への負荷低減に向けて食品リサイクルの分野を中心に着手しております。当社工場で発生する生麺の端材を飼料として提供することによる廃棄物削減と廃棄物処理時に発生するCO2排出削減に繋げております。しかしながら環境関連の規制強化やステークホルダーからの評価、消費者意識の高まりなどによっては当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 店舗の賃借物件への依存に係るリスク
当社の大部分の店舗は、賃借しております。賃貸借契約のうち、特に、定期賃貸借契約は、契約終了後再契約されない可能性があります。このような場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑥ 財政状態に係るリスク
当社は賃借による出店を基本としているため、家主に対する差入保証金・敷金残高が当事業年度末で、それぞれ、4億17百万円、14億25百万円あります。
差入保証金・敷金が家主の財政状態の変化によって返還されない場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ 減損会計に係るリスク
当社において、今後経営環境の変化により、店舗の収益性が悪化し、固定資産の減損会計に基づき減損損失を計上することになった場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧ 新型コロナウイルス等感染症に係るリスク
日本国内では新型コロナウイルス感染拡大に伴う対策として、政府から緊急事態宣言が発令され、外出自粛、学校の休校措置、大規模イベントの中止、商業施設や店舗の営業自粛、渡航禁止措置によるインバウンド需要低下等、外食での消費意欲の減退が顕著となり、引き続き景気後退と消費意欲後退への影響が懸念されております。このような影響力の大きい感染症等の流行により店舗の営業に支障をきたした場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社では、今回の新型コロナウイルス対応につきましては、代表取締役社長を対策本部長とする対策本部を設置し、雇用と健康を守ることを第一に、全事業所の感染症対策を講じております。また緊急事態宣言解除後におきましても、営業再開ガイドラインや感染者予防および感染発生時のマニュアルに則った運営やテレワーク、オンライン会議システムの活用を現在もすすめております。
(1)経営成績等の状況の概要
2022年4月期の業績は、売上高82億46百万円(前期比117.3%)、営業損失は7億51百万円(前期は営業損失11億34百万円)、経常利益は12億32百万円(前期は経常損失2億47百万円)となり、当期純利益は6億98百万円(前期は当期純損失61百万円)となりました。また期末総店舗数は110店舗(新規創店4店舗、閉店10店舗)で新型コロナウイルスの影響によって業績回復が著しく困難な不採算店舗を閉店しております。経常利益には主に新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う助成金等の収入19億49百万円、当期純利益には、減損損失2億49百万円を含んでおります。
新型コロナウイルス感染拡大による影響から感染予防対策に重点をおいた営業を進めておりましたが、前事業年度に続き、政府や自治体からの要請による休業や時短営業協力により厳しい状態が続き、制限なしの営業は通期で128日(全体の35.1%)のみとなりました。
営業面では、テレワークにより減少した都心のオフィスワーカーと入国制限により消失したインバウンド需要をカバーする施策として、催事事業およびEC事業に積極的に取り組んでまいりました。特に「シャインマスカットのチーズズコット」「あまおう苺のズコット」は朝の情報番組でも取り上げられ、10万ピース以上の販売実績を残すことが出来ました。さらに椿屋創業25周年記念プロジェクトとして開発したレトルトタイプの「椿屋カレー」「椿屋ハヤシソース」も6月の販売開始から15万食以上の出荷を記録しており、売上を伸ばしております。今後もイートインメニューからテイクアウトへ繋げられるよう努めてまいります。
催事事業全体では、延べ46ヶ所398日間の催事出店を展開し、戦略商品である作り立てケーキと手軽さを売りにしたスパゲッティやグラタンなどの冷凍グルメ食品を中心に販売いたしました。開催日数は前年と比べ166日増(前期比171.6%)となり、売上高80百万円(前年比273.9%)となりました。
EC事業につきましては、椿屋オンラインショップでの珈琲・焼菓子ギフト商品が中心となっており、中でも父の日、母の日といったハレの日用の贈答商品の売上が伸びております。
上記2つの事業に関しましては、今後も成長分野として商品開発を含めた投資を積極的に行ってまいりますが、2022年10月を目標に椿屋オンラインショップと連動してポイント付与を可能とするアプリケーションの開発を進めており、2023年4月には全店舗でもポイントの相互活用ができるように計画を進めております。
今期は新規創店4店舗、大型改装2店舗、新型コロナウイルスの影響から今後も不採算が続くと判断した店舗やビルの耐震工事等による店舗あわせて10店舗を閉店しております。昨今の不安定な国際情勢により、原材料価格の高騰や資材・エネルギーコストの上昇を受け、グランドメニュー改定と価格改定を行わせて頂きました。
部門別の概況につきましては、以下のとおりです。
『椿屋珈琲グループ』(期末店舗数50店舗 2店舗増加)
椿屋珈琲グループの売上高は34億18百万円(前期比122.1%)となりました。
都心から郊外へシフトした客数の変化に対応するために、出店地域やテイクアウト販売商品などを見直し、郊外店で収益をあげるモデルの構築に努めております。
フルサービスの喫茶では日本最大級の規模を誇る「椿屋珈琲 新宿茶寮」は、席数を102席増加し合計224席への大規模増床リニューアルを実施いたしました。またウィズコロナ時代の新たなビジネスモデル構築に向けた物販専門店「ケーキ・洋菓子 椿屋珈琲 調布パルコ店」、都心から郊外へシフトした人流へ対応すべく、フルサービスの「銀座和館椿屋珈琲 たまプラーザ店」を新規創店しております。
また椿屋カフェコレットマーレ店を「茶寮SIKI TSUBAKIYA コレットマーレ店」として椿屋珈琲と愛知西尾南山園の抹茶を組み合わせた新しいコンセプトの店舗へリニューアルを行いました。
『ダッキーダックグループ』(期末店舗数20店舗 増減なし)
ダッキーダックグループの売上高は18億40百万円(前期比115.1%)となりました。
コロナ禍においては、戦略商品である作り立てケーキの販売を中心に客数回復策に取り組み、ケーキスタジオチームを編成し製造体制の強化を図ったほか、ケーキスタジオの設置やテイクアウト販売強化に向けた店頭の改装を実施致しました。季節毎に旬のフルーツを使用したスタジオ限定「せとかのショートケーキ」や「シャインマスカットのチーズズコット」「あまおう苺のズコット」等が人気の中心となっております。
『イタリアンダイニングドナグループ』(期末店舗数22店舗 5店舗減少)
イタリアンダイニングドナグループの売上高は13億90百万円(前期比107.9%)となりました。
お酒を楽しめるイタリアンダイニングとして、健康志向をテーマに自社製の生パスタとピッツァを中心に、1名様からグループまで、リーズナブルな価格でお楽しみいただいております。
営業時短協力の影響によりお酒の提供を伴う17時以降の売上が低下しているため、早い時間帯で売上を上げる施策に注力しております。メニュー改定においては食事需要を高めるため、セントラルキッチンで製造したグラタンやドリアなど内製化率の高い商品を投入し、FLコストの低減にも努めております。
イタリアンダイニングDONA新宿東口店を創店しております。
なお、イタリアンダイニングDONAグループの「チーズエッグガーデン」2店舗はケーキのラインアップとメニュー政策の転換に伴い、ダッキーダックグループへ変更しております。
『ぱすたかん・こてがえしグループ』(期末店舗数13店舗 1店舗減少)
ぱすたかん・こてがえしグループの売上高は8億円(前期比126.1%)となりました。
セルフスタイルで美味しいお好み焼き・鉄板焼を楽しんで頂けるよう、厳選された食材と季節のフェアを展開しております。営業時短協力によりもっとも影響を受けておりましたが、UberEATSなどのフードデリバリーに適した商品開発を進め、家庭でもお店の味をお楽しみいただけるよう努めております。今後も鉄板焼の強化と地産地消などのテーマ性で、より来店頻度を上げられるような施策を展開してまいります。
『プロント』(期末店舗数5店舗 2店舗減少)
プロントの売上高は3億90百万円(前期比102.9%)となりました。
弊社がフランチャイジーとして運営するプロントでは、朝から昼はカフェとしてコーヒー・トースト・マフィンやランチパスタを、夜はバーとしてシンプルかつ美味しいフードと共にビールやハイボールをはじめとしたお酒を気軽にお楽しみ頂けます。
プロント有楽町店を創店しております。
『生産部門/物販EC事業』
生産部門の売上高は2億14百万円(前期比103.0%)となりました。
コンフェクショナリーでは、季節のフルーツをふんだんに使用したズコットの開発がメディアに大きく取り上げられた効果もあり店舗、催事ともに販売量を伸ばすことが出来ております。
カミサリーでは、自社製生麺の食感をそのままにご家庭でお召し上がりいただく電子レンジ対応スパゲッティ、グラタン、ラザニアなどテイクアウト商品の開発を中心に進めております。
物販EC事業の売上高は1億90百万円(前期比160.2%)となりました。
引き続きECサイト、催事販売で取り扱い可能な商品ラインアップの拡充と新商品開発を継続し、ウィズコロナでの売上向上に繋げてまいります。
『サステナビリティの取組み』SDGs ゴール3.12.14
食品リサイクルの分野で継続している取り組みとしては、弊社工場で発生する生麺の端材を「横濱ビーフ」(株式会社小野ファーム様)の飼料として提供しております。23期は年間8.4トンの廃棄物削減に加え、廃棄物処理費用の削減にもつながっております。この取り組みを推進していくため、生麺の裁断処理速度をあげるための装置を小野ファーム様へ寄贈いたしました。この取り組みは日本SDGs協会からの事業認定を受けております。
また23期より、小児がん治療のために寄付する社会貢献活動として売上の一部をレモネードスタンド普及協会に寄付する活動を開始しているほか、環境に配慮するためにバイオマスストローへの切り替えを実施し、2022年4月までに全店舗完了しております。今後もSDGsの取組みを推進してまいります。
(2)生産・仕入・販売実績・店舗数等の状況
① 生産実績
当社は、フードサービス事業の単一セグメントであるため、生産実績は製品別、仕入実績は品目別、販売実績は部門別に記載しております。
当事業年度における生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。
製品名 |
当事業年度 (自 2021年5月1日 至 2022年4月30日) |
|
生産金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
自社製フレッシュケーキ |
474,675 |
123.8 |
スパゲッティ生麺、ソース、ドレッシング |
508,215 |
118.3 |
コーヒー豆 |
106,393 |
114.7 |
合計 |
1,089,285 |
120.3 |
(注)金額は、製造原価によっております。
② 仕入実績
当事業年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目 |
当事業年度 (自 2021年5月1日 至 2022年4月30日) |
|
仕入金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
飲料・食材類 |
1,863,239 |
118.2 |
その他 |
155,842 |
147.9 |
合計 |
2,019,082 |
120.0 |
(注)金額は、仕入価格によっております。
③ 販売実績
当事業年度における販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。
|
当事業年度 (自 2021年5月1日 至 2022年4月30日) |
||
売上金額(千円) |
前年同期比(%) |
||
椿屋珈琲 |
東京都 |
2,317,693 |
120.5 |
|
神奈川県 |
602,740 |
124.0 |
|
埼玉県 |
183,660 |
123.7 |
|
千葉県 |
314,445 |
129.3 |
小計 |
|
3,418,540 |
122.1 |
ダッキーダック |
東京都 |
721,395 |
114.0 |
|
神奈川県 |
548,260 |
115.9 |
|
埼玉県 |
188,152 |
108.8 |
|
千葉県 |
382,530 |
119.8 |
小計 |
|
1,840,338 |
115.1 |
ドナ |
東京都 |
841,973 |
108.5 |
|
神奈川県 |
254,809 |
102.8 |
|
埼玉県 |
229,321 |
110.1 |
|
千葉県 |
64,743 |
114.7 |
小計 |
|
1,390,848 |
107.9 |
ぱすたかん・こてがえし |
東京都 |
490,301 |
140.7 |
|
神奈川県 |
175,323 |
128.2 |
|
埼玉県 |
64,534 |
110.8 |
|
千葉県 |
70,463 |
77.3 |
小計 |
|
800,621 |
126.1 |
その他 |
東京都 |
637,670 |
135.5 |
|
神奈川県 |
138,469 |
89.7 |
|
埼玉県 |
13,252 |
27.5 |
|
千葉県 |
7,030 |
20.6 |
小計 |
|
796,422 |
112.6 |
合計 |
東京都 |
4,990,380 |
120.2 |
|
神奈川県 |
1,719,603 |
114.8 |
|
埼玉県 |
678,921 |
106.7 |
|
千葉県 |
839,211 |
112.8 |
総合計 |
|
8,246,771 |
117.3 |
(注)ダッキーダックには、EggEggキッチン・Cheese Egg Garden・ダッキーダックカフェ・ダッキーダックキッチン
およびダッキーダックケーキショップを含んでおります。
④ 地域別店舗数及び客席数の状況
|
当事業年度 (2022年4月30日現在) |
|||
期末店舗数(店) |
前期末比増減 |
客席数(席) |
||
椿屋珈琲 |
東京都 |
33 |
1 |
2,708 |
|
神奈川県 |
9 |
1 |
631 |
|
埼玉県 |
3 |
- |
162 |
|
千葉県 |
5 |
- |
269 |
小計 |
|
50 |
2 |
3,770 |
ダッキーダック |
東京都 |
9 |
- |
586 |
|
神奈川県 |
5 |
△1 |
450 |
|
埼玉県 |
2 |
- |
177 |
|
千葉県 |
4 |
1 |
304 |
小計 |
|
20 |
- |
1,517 |
ドナ |
東京都 |
12 |
△3 |
664 |
|
神奈川県 |
5 |
△1 |
261 |
|
埼玉県 |
4 |
- |
209 |
|
千葉県 |
1 |
△1 |
73 |
小計 |
|
22 |
△5 |
1,207 |
ぱすたかん・こてがえし |
東京都 |
8 |
- |
493 |
|
神奈川県 |
3 |
- |
171 |
|
埼玉県 |
1 |
- |
52 |
|
千葉県 |
1 |
△1 |
34 |
小計 |
|
13 |
△1 |
770 |
その他 |
東京都 |
3 |
1 |
290 |
|
神奈川県 |
2 |
△1 |
172 |
|
埼玉県 |
0 |
△1 |
- |
|
千葉県 |
0 |
△1 |
- |
小計 |
|
5 |
△2 |
462 |
合計 |
東京都 |
65 |
△1 |
4,741 |
|
神奈川県 |
24 |
△2 |
1,685 |
|
埼玉県 |
10 |
△1 |
600 |
|
千葉県 |
11 |
△2 |
700 |
総合計 |
|
110 |
△6 |
7,726 |
(注)1 ダッキーダックには、EggEggキッチン・Cheese Egg Garden・ダッキーダックカフェ・ダッキーダックキッチンおよびダッキーダックケーキショップを含んでおります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、18億99百万円で前事業年度末に比較して、3億24百万円増加しました。
当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果、得られた資金は18億63百万円で、前事業年度と比較して19億33百万円増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果、使用した資金は14億74百万円で、前事業年度と比較して16億67百万円増加しました。これは主に定期預金の預入による支出が13億円増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果、使用した資金は65百万円で、前事業年度と比較して1億円増加しました。これは主に長期借り入れによる収入が6億円減少し、長期借入金の返済による支出が5億円減少したことによるものです。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。
当社の財務諸表作成において、損益または資産の評価等に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行なっておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績について
当社は「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」という経営理念のもと、「あったら楽しい食の場・手の届く贅沢」という脱日常と付加価値を提供することに注力しております。今期は高付加価値の提供による利益率向上を掲げて、日々の営業施策を進めてまいりましたが、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う様々な要因により、売上高の減少および利益面におきましては損失を計上する結果となりました。
売上高は82億46百万円(前期比117.3%)、営業損失は7億51百万円(前期は営業損失11億34百万円)、経常利益は12億32百万円(前期は経常損失は2億47百万円)、当期純利益は6億98百万円(前期は当期純損失61百万円)となりました。経常利益には主に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う助成金等の収入19億49百万円、当期純利益には「固定資産の減損に係る会計基準」に則り2億49百万円を含んでおります。期末店舗数は6店舗減少し、計110店です。
③ 財政状態について
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ14億4百万円増加し85億19百万円となりました。流動資産は前事業年度末に比べ15億45百万円増加し46億59百万円となりました。これは現金及び預金が16億24百万円増加したことが主な要因です。固定資産は前事業年度末に比べ1億40百万円減少し38億59百万円となりました。これは有形固定資産の建物(純額)が1億84百万円減少したことが主な要因です。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ7億65百万円増加し28億43百万円となりました。流動負債は前事業年度末に比べ6億28百万円増加し16億17百万円となりました。これは未払金が2億97百万円増加したこと、未払法人税等が4億39百万円増加したことが主な要因です。固定負債は前事業年度末に比べ1億37百万円増加し12億25百万円となりました。これは資産除去債務が1億35百万円増加したことが主な要因です。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ6億38百万円増加し56億67百万円となりました。これは利益剰余金が6億38百万円増加したことが主な要因です。
(単位:千円) |
勘定科目 |
前事業年度 2021年4月期 |
構成比 |
当事業年度 2022年4月期 |
構成比 |
増減額 |
現金及び預金 |
2,075,033 |
29.2% |
3,699,254 |
43.4% |
1,624,220 |
有形固定資産 |
1,803,779 |
25.4% |
1,570,659 |
18.4% |
△233,119 |
土地 |
530,000 |
|
530,000 |
|
― |
投資その他の資産 |
2,173,968 |
30.6% |
2,269,730 |
26.6% |
95,761 |
差入保証金 |
366,499 |
|
417,402 |
|
50,903 |
敷金 |
1,480,933 |
|
1,425,865 |
|
△55,068 |
長期借入金 |
600,000 |
8.4% |
600,000 |
7.0% |
― |
1年内 |
― |
|
― |
|
― |
1年超 |
600,000 |
|
600,000 |
|
― |
資本金 |
50,000 |
0.7% |
50,000 |
0.6% |
― |
資本剰余金 |
1,306,350 |
18.4% |
1,306,350 |
15.3% |
― |
利益剰余金 |
3,772,897 |
53.0% |
4,411,327 |
51.8% |
638,430 |
④ 資金の財源及び資金の流動性についてと財政状態の改善に向けた取り組みについて
当事業年度末におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
従来、当社の資金需要はそのほとんどが新規出店と既存店改装のための設備投資資金であります。
今後についても、通常ベースの新規出店と既存店改装は、営業活動によって得られる資金によって賄う方針に変更はございません。また、生産性向上のための製造設備の拡充や、計画外で大型出店を実施するとの判断に至った場合には、金融機関等からの借入または資本市場からの直接資金の調達によって、必要資金の確保を進めていきたいと考えております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。