第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループが主に事業を行うドラッグストア業界は、同業大手の出店による規模拡大が続き、加えて業種・業態の垣根を越えた競争が激化しております。また、円安・輸入物価の高騰を受けた食品をはじめとする消費者物価の上昇を受けて、消費者の節約志向は一段と強くなっております。長期的には、日本の少子高齢化により、労働力不足に対しての積極的な従業員の処遇改善や消費者ニーズの変化にも直面することとなります。

このような厳しい環境変化を成長の機会と捉えており、新たな戦略方針として「ウエルシア2.0」を策定いたしました。「ウエルシア2.0」では、当社グループのDX化を顧客・店舗・本部・調剤の視点で推進し、それを原動力としたプロダクト戦略、メディカル戦略、リージョン戦略の各戦略を実行します。これにより、2030年のありたい姿「地域No.1の健康ステーション」が高次元かつ計画よりも早く実現できるものと課題認識しています。

 

以上の課題と新戦略に基づき、当社グループは次のように対処してまいります。

 

①プロダクト戦略

プライベートブランドの開発に注力し、多様化する顧客ニーズに対応した商品の品揃えを強化します。また、データを活用することで地域特性に合った品揃えを進めます。

②メディカル戦略

ヘルスケアデータを活用し移り変わるライフスタイルに応え続けることで、お客様との接点を強化し、医療とドラッグストアをより近づける新しい取り組みに着手します。

③リージョン戦略

データに基づき各エリア及び個店の状況を可視化することで、各地域に適した改装と出店を集中的に行います。

④DX

データドリブン経営を全社的に推進し、顧客データ基盤を集約したハブ機能として、上記の3つの戦略を支えていきます。

⑤組織・経営管理の高度化

グループ横断的な組織の最適化を図ります。

 

これらの取組みに加え、グループ規模拡大に伴い増大するリスクに対応するため、内部統制及びリスク管理体制の強化を図っております。加えて、当社グループは、サステナビリティ経営の推進に継続的に取り組んでおり、「人権方針」、「環境方針」及び「商品・サービス方針」からなるサステナビリティ基本方針により、企業理念の実現と持続可能な社会の実現を目指しております。

 

2026年2月期第2四半期(中間期)は、以下のとおり計画しております。

 

2026年2月期第2四半期累計計画

売上高

6,851億円

経常利益

227億円

 

(注)当社は、株式会社ツルハホールディングスとの経営統合を予定しており、2025年11月27日をもって上場廃止になる予定であるため、2026年2月期第2四半期(中間期)のみの業績予想とさせていただきます。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、企業理念の実現と持続可能な社会の実現を両立させることを掲げた「サステナビリティ基本方針」を2021年に策定いたしました。この基本方針は、当社グループが持続可能な社会の実現のために重きを置く人権と環境についての価値観をまとめた「人権方針」及び「環境方針」、この価値観に基づいて本業で取り組むべき方向性をまとめた「商品・サービス方針」の3つの方針によって構成されております。

(1)ガバナンス

当社グループはサステナビリティ基本方針に基づいて、上記3つの方針に紐づく形でマテリアリティを特定しております。このマテリアリティについての各種取組を監督し、効率的かつスピーディに推進するための専門組織として、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を上記基本方針の策定と同時に設置しております。サステナビリティ委員会は、グループ内各部署におけるサステナビリティ活動の取組状況をモニタリングし、分析・評価したうえで、年2回その進捗を独立社外取締役が過半数を占める取締役会に報告し、意見を仰ぐ体制となっております。

このマテリアリティについては、それぞれ当社執行役員を中心としたメンバーを責任者に任命し、彼らが委員会の下部組織である「サステナビリティ推進会議」を構成し、定期的に進捗確認をしながら、それぞれのメンバーが所管する通常業務の一環として、効果的にマテリアリティの取り組みを進めております。

(2)戦略

マテリアリティの特定に当たっては、株主・機関投資家等の皆様とのコミュニケーションを通じて、ステークホルダーの皆様がESG やサステナビリティの観点から当社に求めていることを洗い出し、そのなかでも「人権」「環境」の2つを重視すべき価値と判断いたしました。そして、当社グループが重きを置く価値観と本業を通じて取り組むべき方向性を結び付け、マテリアリティとしてリストアップいたしました。新たな戦略方針として掲げられた「ウエルシア2.0」の観点からもマテリアリティを見直し、本業の取組の中で掲げた課題を解決していく方針です。具体的には、「人権方針」「環境方針」「商品・サービス方針」の各分野における取組を強化し、マテリアリティの見直しと優先順位の再評価を行っております。

<人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略>

なお、重視すべき価値のうちの一つである「人権」については、上記のとおり「人権方針」を策定しており、その中で「人的資本を重視した経営」という項目を設け、以下の具体的方針を定めております。

「ウエルシアは、多様性を尊重する企業文化をベースとして、さらに人的資本重視の観点から、グループとしての経営戦略に基づく人材の獲得・配置・育成を進めていくとともに、従業員に対する成長機会の提供や知識・スキル向上のサポートを行ってまいります。今後もこの企業文化のもと、競争力の高いビジネスモデルの構築に向けて継続して挑戦してまいります。」

こうした方針の下、当社グループは「地域No.1の健康ステーション」の実現というビジョンを掲げ、このビジョンを実現するため挑戦し変革を推進する組織風土の醸成を必要とし、自ら考えて行動する自律的な人材の育成を推進しております。その結果として、多様な属性や価値観、能力、経験を有する人材が相互に尊重しながら協働し、自律的に成長することを目指し、社員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できる職場環境を目指しております。具体的には、DE&I推進、仕事と育児や介護の両立支援、心身の健康を守る健康経営等、従業員のウェルビーイングを実現することで顧客満足度の最大化を目指してまいります。

※項番(4)にこの人的資本に関する方針に基づくマテリアリティについての指標(KPI)と目標(KPG)の一部を提示いたしました。

(3)リスク管理

当社グループのリスク管理方法は、各業務所管部署の業務目標に対し、その達成の阻害要因となっている固有リスクを想定し、発生頻度・業績への影響度に基づいて、現在どの程度効果的に制御できるかを踏まえて、最終的な残存リスクを評価しております。このようにグループ全体の業務目標にかかわるリスクアセスメントを期初に行い、グループ各社からモニタリング状況について月次報告を受け、その結果について、グループリスク管理委員会を通じて取締役会に報告されております。

一方で、前述の通り、各マテリアリティに対する取組については、その進捗状況を含め、サステナビリティ委員会を通じて、取締役会へ報告されております。したがって、各マテリアリティに関する取組は、業務目標として KPI(指標)やKGI(目標)を伴ってサステナビリティ委員会で進捗管理されながら、業務目標に対する阻害要因としてのリスクの統制状況を各業務所管部署でモニタリングしております。それがグループリスク管理委員会を通じて、最終的には取締役会に報告される体制になっております。このようにサステナビリティに対する取組を、リスク管理の観点からモニタリングすることにより、目標達成の蓋然性を高めてまいります。

(4)指標及び目標

前述のとおり、当社グループは本業の取組の中でマテリアリティとして掲げた課題を解決するという基本方針に沿って、執行役員を中心とした各マテリアリティの推進責任者による業務執行を、取締役会が監督するというガバナンスによってそれぞれの進捗を管理しております。その進捗を管理するKPI(指標)やKGI(目標)として、人的資本に関する方針に基づくマテリアリティの一部を提示すると、以下のようなものがございます。

<人材の育成及び社内環境整備方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績>

KPI(指標)

KGI(目標)

実績(当事業年度)

女性店長比率

2026年2月まで30

15.6

女性管理職比率

2026年2月まで30

16.6

 

※それぞれの指標は、ウエルシア薬局株式会社の情報です。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

また、当社グループは、これらのリスクに対する管理体制を「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおり整備し、当社グループではこれらの事業等のリスクを最小化するとともに、これらを機会として活かすための様々な対応や取組を行っております。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 国内景気動向に影響を受ける可能性

当社グループは主に日本国内に事業基盤を持つ会社によって構成されており、主たる事業がドラッグストアという個人消費に大きく依存する事業であることから、グループ全体の業績が国内景気動向に大きく影響を受けます。昨年以降の国内経済状況は、2024年春闘賃上げ率が33年ぶりに5%台となり、円安定着による輸入物価の高騰、夏以降の米の価格の高騰等とインフレ傾向を確認される事象が続いております。

当社グループは、「調剤併設」「カウンセリング営業」「深夜営業」「介護」の4つ軸からなるウエルシアモデルという差別化を図ったドラッグストアを展開してまいりました。今後、このウエルシアモデルをさらに発展させるべく、2030年のありたい姿として「地域No.1の健康ステーション」になることと掲げました。健康ステーションとは地域のお客様の美しく楽しく健康な生活をサポートするコミュニティとして、そこで働くスタッフが「未病・予防・治療・介護」のプロとしてお客様に必要とされる存在となることを目指します。こうした取り組みを通じて、当社グループはいかなる経済環境においても、お客様の「未病・予防・治療・介護」に係る商品・サービスを追求し、企業としてのレジリエンスを高めてまいります。

② 自然災害等の事業継続に影響が出る事態の発生について

当社グループは、ドラッグストア事業を中心に国内外で事業展開しており、日本国内においては営業拠点を45都道府県に3,001店舗(2025年2月末現在)に展開しています。化粧品専門店舗を除いた店舗のうち77.3%にあたる2,282店舗にて調剤を併設、また一部店舗では深夜営業を行っており、出店する各地域の社会インフラの一部を担っているとの責任と自覚をもって事業運営にあたっております。こうした当社グループの事業運営に対して、以下に想定されるような事態が発生すると、その影響により当社グループの基本的な経営資産(リソース)の利用に制約がかかるため、事業継続が困難となることが想定されます。例えば、ⅰ)日本中で感染症のパンデミックが発生し、多数の従業員(特に店舗勤務者)が出社不能となる事態、ⅱ)自然災害等(地震、台風による水害等)の発生により当社グループの本社、店舗設備が使用不能となる事態、ⅲ)当社グループの基幹システムがサイバー攻撃を受け、業務全般もしくは特定の業務の運営に制限を受ける事態等、こうしたリソースの利用制限の度合いによって、事業継続にあたり規模の縮小や業務自体の中断を余儀なくされることが想定されます。それと同時にそのように事業継続に制約を受ける事態に至った場合、当社グループが事業展開する地域において担う社会インフラに影響が出ることも避けられません。

当社グループではいわゆる事業継続計画(BCP)として、上記に示したようなリソースの使用に制約を受けた事態を想定した複数のシナリオを用意して、リソースの使用の制約下における事業継続の方法をあらかじめ取り決めております。さらにその取り決めに実効性があるかを検証するため、定期的にBCPに基づく訓練を行い、その結果に基づき必要に応じてBCPの見直しを行っております。

③ 業務上関係する法令諸規則等の改正について

当社グループは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、医薬品医療機器等法)上の医薬品を販売するにあたり、各都道府県等の許可・登録・指定・免許及び届出を必要としております。また、酒類、食品等の販売についても、食品衛生法等それぞれの関係法令に基づき、所轄官公庁の許可・免許・登録等を必要としております。関係法令諸規則等の改正等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令諸規則等の改正に対して計画的かつ効率的に準備対応できるよう、グループで横断的なコンプライアンス体制の強化に努めております。

④ 薬剤師及び登録販売者の確保について

薬局及び医薬品販売業では、医薬品医療機器等法により店舗ごとに薬剤師または登録販売者の配置が義務づけられており、調剤業務に関しては薬剤師が行わなければなりません。薬剤師及び登録販売者の確保は業界全体の課題であり、計画どおり確保できない場合は、当社の業務運営及び今後の出店計画にも影響を及ぼす可能性があります。

また、労働人口減少の影響により採用手法が大きく変化していることから、これまで行ってきた職種別の採用体制を改め新卒採用チームとキャリア採用チームに分け、それぞれの特徴に合わせた採用活動を行うことといたしました。さらに採用後の定着率向上のため、各種のリテンションプランの充実を図っております。政府が進める働き方改革に則り、必要に応じて人事制度について継続的な見直しを図っております。

⑤ 薬価基準及び調剤報酬の改定について

当社グループは、調剤併設のウエルシアモデルを推進することにより、地域社会に貢献する生活のプラットフォームとなる専門総合店舗の実現に努めております。調剤売上は、薬剤収入と調剤技術に係る収入から構成されており、これらは健康保険法に定められた、公定価格である薬価基準及び調剤報酬の点数をもとに算出されております。薬価基準等の改定は定期的に実施されていくため、薬価基準等の改定は与件として事業展開を進めておりますが、改定の内容によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、適正な人員配置や機械化等による対物業務の効率化、薬剤師による対人業務の充実のための教育等、対応を進めております。

⑥ M&Aに伴うのれん等の処理について

当社グループはM&Aを行う際に対象会社の財務内容や収益力等について、詳細なデューデリジェンスを行い、買収価格の決定、のれんの計上を行っております。対象会社の業績が悪化し、のれん計上時に作成した事業計画と著しい乖離が発生した場合、減損処理を行う必要が生じ、これによって当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、そのような状況下においては、当社において関係会社株式として計上している対象会社の株式についても、のれんと同様に減損処理の必要が生じる可能性があります。なお、2025年2月期末におけるのれんの残高は36,072百万円であります。

当社グループにおいては、各グループ会社がそれぞれの事業計画を達成すべく、当社は親会社として事業機会の拡大・経営効率の向上に資するような支援を各グループ会社に対し行っております。

⑦ 店舗出店政策について

当社グループは2026年2月期においてグループ全体で年間53店舗の新規出店を進めております。一方で予期せぬ商圏の変化等により、一部の店舗の収益性に変化があった場合、さらには閉店を余儀なくされた場合は、固定資産の減損処理が必要となる場合があります。その場合、特別損失が計上され、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は計画との乖離が生じた場合の原因分析、出店基準を見直す等、計画からの乖離の最小化を図っております。

⑧ 調剤過誤について

当社グループは調剤併設を推進することにより、「地域No.1の健康ステーション」の実現に努めており、グループ全体の2025年2月期末の国内の調剤併設店舗数は2,282店舗、薬剤師数は8,550名となっております。調剤業務においては、死亡事故につながる調剤過誤は発生しておりませんが、万一、そのような事故が発生した場合、グループ全体のレピュテーションが毀損し、影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは調剤業務を営むグループ会社が一体となって、深刻な事故は些細なミスの先にあるというヒヤリ・ハットの考え方のもと、どのような小さなミスも漏れなく報告を求める安全管理体制を構築しております。さらに発生事象に対する原因分析に基づく再発防止策を実施するとともに、その後のミス報告件数の推移を分析し、再発防止策の効果検証を行い、再発防止に向け不断の注意を払いながら業務を行っております。

⑨ 個人情報管理を含む情報セキュリティについて

当社グループにおいて、ⅰ)WAONポイントサービスやVポイントサービスの提供に伴うお客様の情報、ⅱ)調剤薬局における患者様の情報、ⅲ)化粧品カウンセリング等におけるお客様の情報、ⅳ)ECサイトシステムにおいて管理しているお客様の情報等の個人情報を扱っており、個人情報を適切に管理する事を社会的責務と考えております。万一これらの情報が何らかの形で外部に流出、漏洩した場合、情報流出の規模、状況次第では当社グループのレピュテーションに深刻な影響を及ぼす可能性があります。

情報漏洩防止策として、関係諸規程・マニュアルの整備や見直し、業務用のPC・携帯端末には高いセキュリティレベルのアプリの実装、従業員を狙った外部からの詐欺的なメールへの対応マニュアルの職場備置の徹底、さらにグループを挙げて大規模かつ定期的な教育・訓練を実施しております。

⑩ 従業員の法令違反等について

当社グループは調剤併設のドラッグストア事業を中心に事業展開をしており、販売する商品群は医薬品医療機器等法を始めとする様々な法令に基づき、故意ではなくとも業務の習熟度に起因する人為的ミスとして、法令違反等を起こしてしまう可能性があります。そして事案の発生原因によっては、行為者個人の責任を超えて、企業としての法令遵守体制整備上の不備や管理責任を問われ、当社グループのレピュテーションを毀損し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、従業員への教育・研修のための業務マニュアルの整備に加え、動画コンテンツの採用による理解の深耕や、コンプライアンス通報窓口の設置により、法令違反を未然に防止する仕組みを構築しております。

⑪ 医薬品の販売規制緩和について

当社グループは一般医薬品の販売に限らず、薬剤師、登録販売者、管理栄養士、調剤事務員及び化粧品担当者等の専門人材によるカウンセリング営業を行っております。一般用医薬品のインターネット販売の市場規模は、化粧品を含めて継続的に拡大しており、このような規制緩和による一般小売店での医薬品販売の自由化が進み、異業種からの参入により競合相手が増え、競争が激化した場合には、当社の業績に影響が出る可能性があります。

⑫ リスク管理体制の実効性確保について

当社グループはドラッグストア事業を行うグループ会社を中心に、国内外の22社により構成されております。当社グループ入りにあたり、会社法及び金融商品取引法で求められる内部統制の体制整備について、当社は親会社として各社を指導・支援するとともに、その後の各社の運用状況についても管理・監督しております。しかしながら、これら22社のグループ会社はおよそ3,000店を超える店舗を構え、そこには約6万名の従業員が日々勤務することから、様々なハザードリスク、オペレーショナルリスクを固有リスクとして抱えております。こうしたリスクに備え、リスク管理体制の整備及びその運用に努めたとしても、思わぬ事故や不祥事案が発生する可能性があります。

当社は各グループ会社へ取締役、監査役を派遣し、各社に対する親会社としてのガバナンスに注力してまいりました。また当社グループリスク管理委員会等を通じたモニタリングや、当社監査役や内部監査室等による監査の実施によってグループ内のリスク管理体制の実効性確保に努めております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

当連結会計年度(2024年3月1日~2025年2月28日)においては、雇用・所得環境の改善や海外からの渡航者の増加により、個人消費については若干の持ち直しがみられますが、実質賃金の伸びは停滞しており、本格的な景気回復には至っておりません。一方で物価上昇、通商政策などアメリカの政策動向、世界における紛争地域の動向等の影響により、日本経済の景気先行きは依然として不透明な状況にあります。

当社グループが主に事業を行うドラッグストア業界におきましては、異業種を含めた出店地をめぐる競争、同業大手のM&Aによる規模拡大、業種・業態を越えた顧客サービスの拡充等の競争が激化しております。

このような状況において、当社グループは、お客様のニーズに対応する商品販売及びサービスの提供に努めました。物販部門においては、健康増進のために取扱い終了を進めているたばこの売上は減少したものの、プライベートブランドの開発及び拡販、WAON POINTサービスの利用拡大に注力しました。調剤部門においては、調剤併設店舗数の増加(当連結会計年度末2,282店舗)により処方箋受付枚数が増加しました。これらにより既存店売上前年比は堅調に推移しました。

前事業年度から導入したWAON POINTサービスを中心として、ポイントカード・アプリの利用率向上を通じた集客施策強化を図り、当社のポイント会員であるウエルシアメンバーを1,380万人まで増やしました。プライベートブランドについては、機能、品質、エコ性能をみがき続けた商品開発に引き続き注力し、「からだWelcia」「くらしWelcia」の拡販に努めました。同ブランドのラインナップは、当連結会計年度末に390品目となっております。

2024年3月に情報システム会社である株式会社エクスチェンジの全株式を取得し完全子会社化しました。6月には長野県を地盤に21店舗を展開する株式会社とをしや薬局の全株式を取得し完全子会社化、9月に当社子会社のウエルシア薬局株式会社が株式会社とをしや薬局を吸収合併しました。同月には関東1都3県に144店舗を展開する株式会社ウェルパークの全株式を取得し、続く10月には首都圏にて介護事業を展開するウエルシアパートナーズ株式会社(旧東電パートナーズ株式会社)の全株式を取得し、それぞれ完全子会社化しました。また、当社連結子会社であるWELCIA‐BHG (SINGAPORE) PTE. LTD.(旧WELCIA‐BHG (SINGAPORE) PTE. LTD.))の株式を追加取得し完全子会社化しました。

当社グループは2030年のありたい姿として「地域No.1の健康ステーション」の実現を目指しており、たばこの販売については一部施設内店舗を除き終了しております。2024年グッドデザイン賞を受賞した地域協働コミュニティスペース「ウエルカフェ」及び同じく受賞した移動販売車「うえたん号」の活動など、地域社会へ安心・安全を提供するインフラ機能を担うべくそれらの取組を推進しました。

出店と閉店につきましては、グループ全体で78店舗の出店と55店舗の閉店を実施し、当連結会計年度末の当社グループの店舗数は3,013店舗となっております。

販売費及び一般管理費については、賃金引上げによる人件費の増加などにより増加しました。

以上の結果、当連結会計年度は売上高1,285,005百万円、営業利益36,409百万円、経常利益40,837百万円、となりました。また、減損損失13,127百万円を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は14,958百万円となりました。

 

当社グループの経営指標の進捗状況につきましては、以下のとおりです。

区  分

実 績

計 画

計画増減

前期実績

前期増減

出店数          (店舗数)

78

104

△26

102

△24

閉店数         (店舗数)

55

44

11

40

15

子会社化等       (店舗数)

165

165

165

期末店舗        (店舗数)

3,013

3,051

△38

2,825

188

期末調剤併設店舗(国内) (店舗数)

2,282

2,357

△75

2,155

127

改装実施店舗(国内)   (店舗数)

99

112

△13

81

18

既存店売上高伸長率      (%)

1.6

1.8

△0.2

3.2

△1.4

売上高販管費率        (%)

27.6

27.7

△0.1

26.8

0.8

 

 

 

区  分

実 績

前期実績

前期増減

期末薬剤師人数       (名)

8,550

8,184

366

期末登録販売者人数     (名)

20,735

19,237

1,498

 

 

以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては以下のとおりになりました。

(単位:百万円)

区  分

実 績

計 画

計画比

(%)

前期実績

前期比

(%)

売上高

1,285,005

1,295,000

99.2

1,217,339

105.6

営業利益

36,409

34,000

107.1

43,231

84.2

経常利益

40,837

38,000

107.5

47,756

85.5

親会社株主に帰属する当期純利益

14,958

19,000

78.7

26,451

56.5

 

なお、当社グループは、医薬品・調剤・化粧品等を中心とした小売事業の単一セグメントであるため、セグメントに関連づけた記載はしておりません。

 

1)店舗の出店・閉店状況

 (単位:店)

 

前期末店舗数
(2024年2月29日)

子会社化

による新規

増加店舗数

合併による増減数

出店

閉店

当期末店舗数
(2025年2月28日)

ウエルシア薬局(注)1

2,199

21

53

30

2,243

コクミン

158

7

6

159

ププレひまわり

133

3

2

134

ウェルパーク(注)2

144

1

143

丸大サクラヰ薬局

102

6

6

102

シミズ薬品

71

2

73

クスリのマルエ

57

3

4

56

ふく薬品

25

2

23

よどや

25

1

26

フレンチ

2

2

とをしや薬局(注)1

21

△21

MASAYA

40

3

3

40

国 内 計

2,812

165

78

54

3,001

WELCIA SINGAPORE

13

1

12

合  計

2,825

165

78

55

3,013

 

(注)1 2024年6月に当社がとをしや薬局を株式取得により完全子会社化し、2024年9月にウエルシア薬局が

   とをしや薬局を吸収合併しております。

  2 2024年9月に当社がウェルパークを株式取得により完全子会社化しております。

  3 上表の「当期末店舗数」のうち調剤取扱店舗は、ウエルシア薬局1,979店舗、コクミン76店舗、ププレひまわり39店舗、丸大サクラヰ薬局48店舗、シミズ薬品51店舗、クスリのマルエ34店舗、ふく薬品11店舗、よどや14店舗及びウェルパーク30店舗の合計2,282店舗となっております。

 

 

2)仕入及び販売の実績

当社グループは、医薬品・調剤・化粧品等を中心とした小売事業の単一セグメントであるため、従来通り、仕入実績については品目別に、販売実績については地域別、品目別及び単位当たりの売上状況を示しております。

① 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

金額(百万円)

前期比(%)

 

 

医薬品

142,933

102.8

化粧品

139,561

106.6

家庭用雑貨

128,131

105.5

食品

245,720

109.5

その他

74,029

92.7

物販計

730,376

105.0

調剤

177,456

111.0

合計

907,833

106.1

 

 

② 販売実績

当連結会計年度における販売実績を地域別、品目別及び単位当たりの売上状況に示すと、次のとおりであります。

(a) 地域別売上高

地域

金額(百万円)

前期比(%)

北海道

2,450

115.6

東北

71,539

104.0

関東

653,559

106.2

中部

254,057

106.5

近畿

209,741

104.5

中国

51,929

98.4

四国

22,410

102.4

九州・沖縄

15,947

115.3

海外

3,370

108.1

合計

1,285,005

105.6

 

 

(b) 品目別売上高

品目

金額(百万円)

前期比(%)

 

 

医薬品

233,255

100.6

化粧品

203,007

106.3

家庭用雑貨

178,053

106.4

食品

299,514

108.7

その他

87,653

93.6

物販計

1,001,484

104.4

調剤

282,548

110.0

小計

1,284,033

105.6

 手数料収入

972

77.5

合計

1,285,005

105.6

 

 

 

(c) 単位当たりの売上状況

項目

金額

前期比(%)

売上高

1,285,005

百万円

105.6

1㎡当たり売上高

売場面積(平均)

2,068,470

106.7

1㎡当たり期間売上高

621

千円

98.9

1人当たり売上高

従業員数(平均)

44,075

105.7

1人当たり期間売上高

29,154

千円

99.9

 

(注) 従業員数は、臨時従業員(1日8時間換算)を含めて表示しております。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末と比較して21,289百万円増加し、280,890百万円となりました。これは主に、商品が11,918百万円、売掛金が5,179百万円、現金及び預金が4,477百万円増加したことによるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比較して6,835百万円増加し、299,094百万円となりました。これは主に、リース資産(純額)が2,931百万円減少したものの、のれんが3,524百万円、差入保証金が2,346百万円、繰延税金資産が3,639百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は前連結会計年度末と比較して28,125百万円増加し、579,985百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末と比較して14,135百万円増加し、236,616百万円となりました。これは主に、買掛金が8,893百万円、短期借入金が1,999百万円、未払金が1,510百万円、未払法人税等が1,113百万円増加したことによるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末と比較して3,870百万円増加し、88,882百万円となりました。これは主に、長期借入金が3,382百万円減少したものの、資産除去債務が7,352百万円増加したことによるものであります。

この結果、負債合計は前連結会計年度末と比較して18,005百万円増加し、325,498百万円となりました。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末と比較して10,119百万円増加し、254,486百万円となりました。これは主に、剰余金の配当により利益剰余金が7,338百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益14,958百万円を計上したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は0.2ポイント下降し、42.8%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ4,339百万円増加し、34,404百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は47,845百万円となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益26,277百万円に対して、収入の主な内訳は非資金費用である減価償却費22,461百万円及び減損損失13,127百万円であり、支出の主な内訳は売上債権の増加額1,970百万円、棚卸資産の増加額4,883百万円及び法人税等の支払額13,866百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は22,736百万円となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出10,613百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出7,007百万円及び敷金の差入による支出3,473百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は20,774百万円となりました。

これは主に、長期借入れによる収入8,000百万円、配当金の支払額7,337百万円、長期借入金の返済12,986百万円、ファイナンス・リース債務の返済による支出11,104百万円があったことによるものであります。

 

 

(資本の財源及び資金の流動性について)

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資等に充当しておりますが、M&A等の資金需要に対応する場合等は、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保及び財務の健全性・安定性を維持するため、銀行等から借入等を行う方針であります。

資金調達を行う際は、期間や国内外の市場金利動向等、また自己資本比率、負債資本倍率や自己資本利益率といった財務指標への影響度等を総合的に勘案しながら、当社グループにとっての最適な調達を実施します。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積り及び見積りに用いる仮定が必要となります。

当社グループは退職給付に係る債務、繰延税金資産及びのれんを含む固定資産の減損等に対して継続して評価を行っております。これらの見積り及び見積りに用いる仮定については過去の実績や事業計画等により合理的に判断しておりますが、不確実性が伴うため実際の結果と異なる場合があります。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。

なお、2024年2月28日に締結した㈱ツルハホールディングス、当社及び当社の親会社であるイオン㈱の資本業務提携契約はその後、2025年4月11日に最終契約を締結しております。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (後発事象)(資本業務提携に係る最終契約書の締結)及び(株式交換契約の締結)」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。