第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、全ての基本はお客さまの信頼と支持と考えております。お客さまのニーズや価値観の変化、社会の変化に気づき、柔軟に対応していくと共に、創業以来の「善の発想」と「自主独立」という企業理念を浸透させてまいります。また、沖縄の特性を熟知し、各セクションの専門性を高めながら、総合力を最大限に活かし、「お客さまが喜び、社員が輝き、地域と共に会社も成長する」幸せを共感し、真に信頼される企業を目指します。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、株主資本を効率的に活用するとともに、継続的な収益力の維持向上と企業体質の充実を図ってまいります。中長期的に目標とする指標は、売上高経常利益率7%以上とし、収益力の向上に努めてまいります。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題等

当社グループが事業展開する沖縄県は、入域観光客数の増加や個人消費の回復が期待される一方で、海外経済の不確実性や為替の変動の影響、商品仕入れ価格や光熱費をはじめとする各種コストの高騰等により、不透明な経営環境が続くと予想されます。

中長期的には合計特殊出生率の高さ(全国1位)や若い年齢の人口構成比の高さに支えられて引き続き経済成長が期待できる環境にあると認識しております。

このような環境の中、当社は経営方針を「あるべき姿」とし、人財力や仕組力、商品力の向上に取り組むとともに、企業理念の浸透、七大基本(クリンリネス、鮮度と品質、品揃え、価格、陳列技術、サービス、正しい表示)の徹底、既存店の活性化、効率化を図ることで、お客さま満足度の向上に努めてまいります。

・ 人財力の向上

正社員、パートナー社員(パート)、アルバイト社員に対する社員教育を積極的に実施し、企業理念の浸透や七大基本の徹底、商品知識や接客技術の習得等の人財育成に努めてまいります。また、女性活躍推進のための行動計画に基づき、当社グループにおける指導的地位である経営職A(管理職)に占める女性の割合を30%に引き上げるべく、女性経営職の育成と積極的配置や、時間外労働の削減、仕事と家庭の両立支援の強化等に取り組んでまいります。

・ 仕組み力の強化

業務の効率化につながるIT関連投資については、その費用対効果を勘案した上で積極的に実施してまいります。また、流通センターを中心とした商品供給を担う物流システムの効率化も継続して取り組んでまいります。

・ 商品力の強化

競合他社においても販売されているナショナルブランド商品に加えて、沖縄県において当社グループのみで販売する魅力的なプライベートブランド商品(「くらしモア」、「ローソンオリジナル」、「成城石井」の各商品)を揃えることでお客さまの幅広いニーズにお応えし、「より品質の良い物を、値ごろ感のある価格で」提供できるよう努めてまいります。

 

・ 既存店の活性化、効率化

収益力の維持向上ができるよう、既存店の活性化、効率化を図ってまいります。お客さまのニーズの変化に合わせ、当社が持つ総合小売業としての事業内容(食料品、衣料品、住居関連用品、外食)を活かした売場レイアウトの変更や各フランチャイズブランドの導入等、店舗改装を積極的に実施するとともに、内外装の保守修繕や設備の更新等、店舗環境の改善に取り組んでまいります。また、ネットスーパーのサービスエリアも順次拡大し、オンラインショップを強化する等、実店舗とECサイトの両面で魅力ある商品とサービスの提供に努めてまいります。

株式会社ローソン沖縄につきましては、地域食材を使った商品の共同開発、新商品の提案、売れ筋商品の情報交換を行い、商品力の強化を図ってまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

サステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ基本方針

当社は、「善の発想」と「自主独立」の企業理念のもと、社会やお客さまの多様なニーズに対応し、「お客さまが喜び、社員が輝き、地域と共に会社も成長する」幸せを共感し、真に信頼される企業を目指してまいります。

 

(2) 重要課題(マテリアリティ)

沖縄県の社会課題と当社グループの事業における課題を整理し、優先順位を付けることにより6つの重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。

お客さまの幸せ

環境に優しく、お客さまを豊かにする商品やサービスの提供

商品供給や店舗づくりによる安心・安全の提供

社員の幸せ

多様な人財の活躍推進と働きやすい環境づくり

学びの提供とやりがいのある職場づくり

地域・環境の幸せ

脱炭素と循環型社会づくり

地域発展への貢献と安心・安全な社会づくり

 

 

(3) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社では、サステナビリティに関するリスク及び機会について、代表取締役社長を委員長とし、経営会議メンバー(業務執行取締役、常勤監査等委員、各部長、子会社の取締役社長)で構成するサステナビリティ委員会で実行項目の立案・推進、前期実行計画の評価を行い、委員会の審議内容については定期的に取締役会へ報告・提言を行っており、必要に応じてリスク管理委員会へ報告をいたします。

取締役会及びリスク管理委員会は、サステナビリティ委員会から報告・提言された内容を基に対応方針及び実行項目等について協議・監督しております。なお、2025年2月期はサステナビリティ委員会を2回開催し、取締役会へ1回報告いたしました。

 

(4) 気候変動

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づき、情報開示を行っております。

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれております。「(3) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理」をご参照ください。

 

② リスク管理

気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のガバナンスに組み込まれております。「(3) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理」をご参照ください。

 

 

③ 戦略

当社では、気候変動による平均気温の上昇と、それに伴う社会情勢の変化や災害リスクを重要視し、対策を進めることとしています。その一環として、気候変動がもたらす短期・中期・長期それぞれの「リスク」と「機会」を特定し、シナリオ分析を実施しています。

シナリオとしては、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つを参照しました。これは、IPCC(気候変動に関する政府間パネル, Intergovernmental Panel on Climate Change)第6次報告書やCOP(国連気候変動枠組条約締約国会議)でみられるように、産業革命期からの地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑える水準で取り組みが国際的に求められている点を考慮しています。

今回、政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートを参考に、気候変動がもたらす移行リスク(政策・法規制、市場、評判)、物理リスク(急性、慢性)、ならびに気候変動への適切な対応による機会(製品及びサービス、市場、レジリエンス)について、網羅的な検討を行いました。

 

a.シナリオの前提

リスク種類

設定シナリオ

参照シナリオ

概要

移行リスク

1.5℃
シナリオ

国際エネルギー機関(IEA),
「World Energy Outlook 2022」Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZEシナリオ)

21世紀までの平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えるシナリオ。
持続可能な発展を実現するため、大胆な政策や技術革新が起こり、その分脱炭素社会への移行にともなう社会変化が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。

物理的リスク

4℃
シナリオ

気候変動に関する政府間パネル(IPCC), 「IPCC第6次評価報告書(AR6)SSP5-8シナリオ」
環境省「気候変動による災害激甚化に関する影響評価結果について~地球温暖化が進行した将来の台風の姿~」

21世紀までの平均気温の上昇が4℃程度上昇する。
成り行き任せに近く、社会の変化は起こらないが、気候変動に伴う異常気象や災害が事業に影響を及ぼす可能性が高くなる。

 

 

b.シナリオ分析の対象範囲

項目

シナリオ分析対象範囲

地域

国内(沖縄県)

対象事業範囲

小売事業(上流・下流のサプライチェーン全体を含む)

企業範囲

連結全体

時間軸の定義

短期(現在~2025年)、中期(2030年頃)、長期(2050年頃)を想定

試算方法

2030年時点での単年の財務インパクトを試算

 

 

 

c.シナリオ分析結果

<リスク>

リスク種類

区分

リスク項目

時間軸

影響

影響度

移行リスク

政策・
法規制

炭素税の導入

中期

・高額な炭素税が導入され、CO₂排出量に対して炭素税の負担が発生

・サプライチェーンを通じてコスト増が見込まれる

商品の原材料に対する規制強化

中・長期

化石資源由来の材料への規制が強まり、再生素材やリサイクル素材への切替コストが発生

情報開示義務の範囲拡大

短期

開示拡大に伴うコストが増加(TCFD、国内サステナビリティ開示の義務化)

技術

省エネ・低炭素技術導入の遅延

中・長期

既存設備から高効率/低炭素なエネルギー設備への変更が遅れることにより、エネルギー使用金額が余計に発生する。

市場

エネルギーミックスや需要の変化

短・中期

エネルギー需要のひっ迫により電力調達コストが上昇し光熱費が増加、再エネ調達需要の高まりにより価格が上昇し、財務的負担が増加する。

お客さまの行動の変化

中・長期

専門店のエネルギー効率志向の高まりによ  り、建築物の環境性能で他社との差別化が求められる

評判

お客さまの評判の低下

中・長期

環境に配慮した商品、店舗運営を求めるステークホルダーに対して、取り組みが遅れることによるステークホルダーからの支持・評判の低下

物理的リスク

急性
物理的

台風・豪雨等の自然災害による被害

短・中期

災害により店舗・食品加工センター・物流センターや情報システム、ネットスーパー事業の運営、仕入・物流への影響による売上減とコスト増

自然災害に関する保険料の支払い

短・中期

自然災害の発生頻度や強度が強まることで、自然災害に関する保険料の支払い額が増加

慢性
物理的

食物の不作による供給不足

短・中期

仕入価格の上昇、販売量・食品加工センターの製造量制限による収益減

空調の使用量増による電気代の高騰

短・中期

平均気温の上昇により、空調にかかる電力使用量が増加し、電気料金の支払いが増加

 

 

 

<機会>

区分

リスク項目

時間軸

影響

影響度

リソースの
効率化

顧客行動の変化

中・長期

エネルギー効率志向の高まりに対応した高効率建築の提供が他社との差別化につながり、専門店賃料が上昇する

店舗の環境負荷低減

短・中期

店舗の省エネルギー施策の取り組みによる、エネルギーコスト削減

製造・流通プロセスの効率化

中・長期

プロセスの見直しによるコスト削減。

エネルギー源

低炭素エネルギー源の利用

中・長期

・低排出技術による投資から得られる利益の増加

・再生可能エネルギー源の確保による、化石原料の価格に変動しないエネルギー源の確保

製品および
サービス

サステナブル商品
販売による売上の
増加

中・長期

消費者のサステナブル商品への関心が高まり、それに応える商品を販売することで売上が増加

防災・災害対策商品の需要の拡大

中・長期

地震・台風等の自然災害の増加により防災・災害対策商品の需要拡大による売上の増加

平均気温の上昇・
猛暑への関連商材
ニーズ

中・長期

衣料、住居関連、食品を含む関連商材の消費者ニーズを捉えた商品開発、販売

レジリエンス

災害時における緊急物資の提供

中・長期

災害時における営業継続体制の構築による、緊急物資の備蓄を通じた生活インフラの質の向上

 

 

d.財務インパクトの開示

<炭素税の導入>

財務インパクト価格

約27億円

計算方法の説明

※出典:IEA NZE シナリオ 140USD/t-CO2

※2030年度Scope1,2排出量目標をもとに試算。直近年の自社のScope1,2排出量すべてに対して課税がされると想定した。

 

 

④ 指標と目標

当社では、持続可能な社会実現に向け、温室効果ガス排出量を含む環境関連の指標を設定し管理しています。目標については「世界全体の平均気温上昇を1.5℃未満に抑制する」という国際的な削減目標に近づけるべく、2030年までにScope1,2 排出量を40.0%削減する目標を設定しています。(2017年比)

 

Scope1・2排出量(単位:t-CO2)

分類

定義

基準年

直近年(2024年度)

排出量

排出量

削減率
(基準年比)

Scope1

事業者自らの排出
(ガソリン、LPガスなどの燃料の燃焼、もしくはフロン漏洩)

36,125

21,786

39.7%

Scope2

他社から供給されたエネルギーの間接排出
(電気・熱の使用)

175,758

139,262

20.8%

Scope1,2合計

211,883

161,048

24.0%

 

※ 算定期間:決算期間と同期間(3月~2月)

※ 算出対象:サンエーグループ連結全体

※ Scope2排出量には、マーケット基準数値を使用

  なお、Scope3については、今後順次把握に取り組み、ステークホルダーの協力のもと削減を進める所存です。

 

 

(5) 人的資本

① 人的資本経営と基本戦略

当社グループの社会的存在意義は、地域のライフラインとして人々の生活を守り、地域の発展に貢献する事にあると考えております。「お客さまが喜び、社員が輝き、地域と共に会社も成長する」幸せを共感し、真に信頼される企業を目指し、永続性ある企業経営を実現するための人財育成に取組んでまいります。

多様な人財が主体的に成長し、持てる能力を最大限に発揮できる環境を整備するための適切な投資を行い、企業の持続的成長と社会的価値の向上を両立させるべく、人的資本経営において、以下の2点を重点方針として推進してまいります。

 

<人財育成方針>

当社グループの強みの一つは「人財」であり、永続性ある企業経営の実現には「企業理念の浸透」が要であると考えております。採用活動では当社の考えや社史を丁寧に伝え、「理念」に共感する人財採用を目指しており、入社後も理念浸透へ向けた教育に力を注ぎ、人的資本価値を最大化できる環境づくりを推進してまいります。

 

<社内環境整備方針>

当社では、全ての社員がその能力を最大限に発揮できる「働きやすい環境の実現」を目指し、2001年から取締役及び各部長で構成される「人事改善会議」を通じて、人事領域における様々な課題解決に向け継続的に取り組んでおります。これまでの主な成果として、公正な評価制度に基づく処遇改善、ワークライフバランスを重視した年間休日日数の増加、生産性向上と業務プロセスの最適化による残業時間の削減、労働環境の改善による平均勤続年数の向上などが挙げられます。また、人事制度の改善に加え、メンタルヘルス対策の強化やIT化による業務効率化等も進めており、当社グループが重視する価値観を大切にしながら、社員の働きがいと働きやすさの調和を目指し取り組んでおります。

 

② 具体的な取り組み
a.人財力の向上

  1)研修

永続性ある企業経営の実現には、企業理念を深く理解し体現できる人財育成が要であるという認識のもと、正社員だけでなく、パートナー社員やアルバイトを含む全従業員に対し、理念教育と実務研修(県内外視察研修、分析勉強会等)を実施しております。理念教育によるマインド強化と実務研修によるスキル向上の両輪により、永続性ある企業経営に向けた人財育成に取り組んでおります。2025年2月期の実績は以下の通りです。

研修内容

研修回数

参加延べ人数

パートナーアルバイト社員 研修

143回

3,220人

食品店長 首都圏視察研修

3回

71人

経営職 首都圏視察研修

3回

85人

産地・工場 視察研修

31回

334人

他階層別研修

48回

1,482人

合計

228回

5,192人

 

 

 2)人財開発

 ・タレントマネジメントシステム導入

 人的資本を最大限に活かすべく、社員の能力やスキルに関する情報を一元的に管理し、戦略的な人財配置や育成に繋げることを目指し、2024年3月にタレントマネジメントシステムを導入いたしました。

 

・採用

 当社は、組織の持続的な成長を支える人財育成として、新卒採用と並行してパートナー社員やアルバイトの正社員登用を積極的に推進してまいりました。加えて、社会環境の急激な変化への適応力を高めるため、2024年1月に中途採用を再開し、多様な経験や専門性を持つ人財を積極的に採用しております。今後も、多様な人財の獲得と育成を強化し、組織全体の活性化と事業成長の実現を目指してまいります。

中途採用実績

2025年2月期

採用数

39名

採用に占める中途採用比率

31.0%

 

 

・次世代リーダー発掘・育成

 次世代リーダーや後継者の発掘・育成を目的に、2023年に「人財開発委員会」を発足いたしました。2024年から当社における指導的地位である「経営職A」の社員を対象にした「取組発表会」をスタートし、若手人財発掘、評価制度との連動でマネジメント層の活性化を図っております。

 

・社内公募制度

 社員の主体的なキャリア形成と組織活性化を目的に、2021年から「社内公募制度」をスタートいたしました。グループ会社への出向を含めた部署異動を実施し、成長意欲のある人財が新しい環境で挑戦できる制度となっております。

 

b.組織力の向上

1)エンゲージメントスコア

従業員のエンゲージメント向上や人事施策立案のため、定期的に従業員エンゲージメントを計測しています。 2024年4月からは、測定ツール「HRBrain 組織診断サーベイ」を導入し、定量的な現状把握に加え、他組織との比較が可能となり、自社を客観的にとらえ直す事で、課題と強みをこれまで以上に認識できるようになりました。当社のエンゲージメントスコアは他社平均に比べ高い状況ではありますが、部署毎に差がある点を課題と捉え、改善へ向け取り組んでおります。

 

当社

他社平均

エンゲージメントスコア

80.9点

70.8点

 

※HRBrain社による2024年4月サーベイ結果

 

 2)離職改善・定着率向上

2024年2月に発足した「離職改善・定着率向上プロジェクト」では、前述のサーベイ結果とオリジナルアンケートやヒアリングをもとに、各部署の課題を分析し、施策を実行しております。取り組みの結果、正社員の離職率を前年に比べ1.7%改善することができました。引き続き、すべての社員が当社で働き続けたいと思える環境作りに邁進してまいります。

 

2024年2月期

2025年2月期

離職人数(正社員)

104名

75名

離職率

5.9%

4.2%

 

 

3)ダイバーシティの推進

多様な価値観を持つ社員が、その個性を発揮することで職場の活性化、ひいては競争力の強化につながると考えております。すべての社員がその能力を最大限に発揮し、いきいきと働き続けられる環境づくりを目指しております。

 

    ・女性活躍推進

2016年には「女性活躍推進プロジェクト」を立ち上げ、「意識改革」「広報活動」「環境整備」の分科会を通じて、多岐にわたる課題解決に向けた取り組みを推進してまいりました。性別や年齢といった属性にとらわれることなく、「全社員が輝く」というテーマのもと、2021年からはプロジェクトメンバーに男性社員も加え、人事制度の改善や実現に努めております。さまざまなライフステージの変化に直面しても、社員相互に協力し、安心して職務を継続できる組織を目指してまいります。

 

制度名称

内容

マタニティ休暇

妊娠中の身体への負担を考慮し、安心して出産の準備ができるよう、当社では産前産後休業開始日の2ヶ月前から休暇に入る事ができる制度を設けております。

短時間勤務制度

お子様が小学5年生始期まで、1日の所定労働時間を6時間に短縮することが可能です。社員のニーズに応える形で徐々に延長しております。

男性向け育児休暇

法令に定められている育児休業のほかに、男性向け育児休暇制度(お子様が1歳になるまでの間に2週間の取得が可能)を設けております。

 

 

    ・障がい者雇用

当社では、「個性を尊重することで成長できる環境づくり」を推進しております。その結果、200名を超える障がいのある方々が、それぞれの特性に応じた配置で第一線にて活躍しております。また、雇用担当部署には複数の障がい者担当者を配置し、第三者機関との連携を密にすることで、育成から定着まで長期的な支援体制を構築しております。

指標

実績

目標

障がい者雇用率

3.6%

4.0%

 

 

4)効率機器の導入

フルセルフレジや外食レストランでのタブレットオーダーシステム・配膳ロボット、電子棚札等の効率機器を積極的に導入することにより、接客対応時間の増加や働き方改善に繋がるよう取り組んでおります。

導入機器と導入済み店舗数の状況

導入機器

2024年2月期

2025年2月期(現在)

フルセルフレジ(食品館)

16/67店舗

40/67店舗

電子棚札(食品館)

未導入

10/67店舗

 

 

5)職場におけるコンプライアンス・ハラスメント防止

 健全な社内環境整備を目的として、毎年2月を啓蒙月間とした社内勉強会の実施や処分内容の社内開示、定期的なアンケートや相談窓口の周知など、安心して働く事ができる環境を目指し取組んでおります。

 

③ 指標及び目標

人財育成方針及び社内環境整備に関する実績及び目標は次のとおりであります。

項目

実績

目標

当社における指導的地位である
経営職A(管理職)女性比率

26.0

2026年まで30.0

男性の育児休業取得率(正社員)

90.9

100.0

男女の賃金格差

74.6

80.0

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

・ リスク管理体制

当社は、企業活動に関する内外の様々なリスクを統括且つ管理するため、「リスク管理委員会規程」に従いリスク管理体制を構築しております。リスク管理委員会は、リスク管理担当取締役を委員長として、四半期に1回の定例会のほか、事案毎に適時に開催し、企業活動における危機の未然防止に努めるとともに、発生した事案に対して迅速な対応を行っております。また、一定レベル以上の事案については、「経営危機管理規程」に従って、迅速な対応、適時開示等を行っております。

 

(1) 経済環境について

当社グループは、沖縄県内でスーパーマーケットチェーン及びコンビニエンスストア事業を展開しており、同県における今後の景気及び個人消費の動向、天候不順や競争環境等により当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

・ 対応策

出店候補地については、当社開発部を中心に情報収集に努め、法的規制や商圏人口、競合状況等の事前調査に基づき店舗規模や出店形態等を検討しております。また、食料品、衣料品、住居関連用品、外食の幅広い商品とサービスを取り扱い、各セクションの専門性を高めることで他社に対する競争力強化と差別化を図っております。

 

(2) 自然災害について

当社グループは、全店舗を沖縄県内に展開しており、当該地域において地震等の大規模災害や台風等の自然災害が発生した場合、当社の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

・ 対応策

自然災害や火災・事故の発生に備え、平時より老朽化したインフラへの投資、施設の定期的な点検等を行っております。また、緊急時に備えた防災訓練を行うとともに、事業継続計画を策定する等、災害や事故を予防し、実際に発生した場合にはその影響を最小限にするための取り組みを行っております。

特に年数回の頻度で沖縄地方に接近する台風災害に対しては、「台風対策マニュアル」を整備し、本社と店舗、社員が連携し臨機応変に対応できる体制をとるとともに、当社各店舗への商品供給を担う子会社のサンエー運輸株式会社と連携し、臨時休業や早期営業再開について迅速に対応することで業績に与える影響が最小限になるよう努めております。

 

(3) 流通センターの集中について

当社は、沖縄県宜野湾市の本社に隣接して大山流通センターを有しております。当該センターは下記の内容で構成され、各店舗への商品供給は子会社のサンエー運輸株式会社が行っております。

① ディストリビューションセンター(DC)

各取引先から商品の一括納品を受け、衣料品及び住居関連用品の検品及び値付け、仕分け作業、食品ドライ商品等(加工食品、菓子)の検品及び仕分け作業を集中して行っております。

 

 

② 食品加工センター(生鮮加工、食品工場)

生鮮加工では、精肉、鮮魚の一括仕入、加工、パッケージ等の業務を集中して行っており、全ての店舗へ商品供給が可能となっております。

食品工場では、自動炊飯ラインにて炊き上げた米飯でおにぎりや巻きずし及び和惣菜(煮物等)の製造を行っております。

これらの機能が、大山流通センターに集中しているため、当該センターが天災、その他の影響により操業が不可能となった場合、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

・ 対応策

自然災害や火災・事故の発生に備え、平時より老朽化したインフラへの投資、施設の定期的な点検等を行っております。また、緊急時に備えた防災訓練を行うとともに、事業継続計画を策定する等、災害や事故を予防し、実際に発生した場合にはその影響を最小限にするための取り組みを行っております。

 

(4) 法的規制について

当社は、大規模小売店舗立地法、独占禁止法、環境・リサイクル、食品の安全管理等の法令遵守に努めておりますが、万一、これらに違反する事由が生じ、事業活動が制限された場合、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

・ 対応策

法令順守については、「コンプライアンスガイドライン」を策定及び当社グループの役員・従業員への周知徹底、コンプライアンス担当取締役を委員長とする「コンプライアンス委員会」によるコンプライアンス全般に関する審議又は改善策等の提案、「内部通報窓口」の設置による問題の早期発見等、法令及び定款に適合することを確保するための体制を整備しております。

 

(5) 食品の安全について

当社は、「品質管理室」を設置し、食品加工センター及び店舗の衛生管理や商品の品質管理を徹底し、お客さまが安心してお買い物が出来るよう食品の安全確保に努めております。しかし、予期せぬ事由により食中毒や瑕疵のある商品の販売等によって、店舗の営業に影響が及んだ場合や、鳥インフルエンザ等の発生により食品に対する不安感が広まった場合、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

・ 対応策

万一当該事由が発生した場合には、できる限り速やかに公表することにより、お客さまへの影響を最小限に抑えるとともに信頼確保のため全力を尽くしてまいります。

 

(6) 個人情報の管理について

当社は、「サンエーカード」等による顧客の個人情報を大量に有しております。これらの個人情報の管理については、個人情報基本方針、個人情報管理規程、同マニュアル等を策定し、適切に運用・管理するとともに社員教育を徹底するよう努めております。しかしながら、予期せぬ事件、事故等により個人情報の流出等が発生した場合、当社の社会的信用の低下を招き、当社の財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

・ 対応策

万一当該事由が発生した場合には、できる限り速やかに公表することにより、お客さまへの影響を最小限に抑えるとともに信頼確保のため全力を尽くしてまいります。

 

 

(7) フランチャイズ事業に関するリスク(CVS)

当社の連結子会社(㈱ローソン沖縄)は、フランチャイズシステムを採用し、FC加盟店オーナーとの間で締結するフランチャイズ契約に基づいて、株式会社ローソンが保有する店舗ブランド名にてチェーン展開を行っております。従って、契約の相手先であるFC加盟店における不祥事などによりチェーン全体のブランドイメージが影響を受けた場合、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

・ 対応策

様々なリスク案件について、FC加盟店オーナーと店舗のクルー社員への正しい情報共有とサポートを行えるよう、スーパーバイザーが担当店舗を巡回しております。㈱ローソン沖縄では、沖縄エリアを複数に分割し、各支店がきめ細かい経営サポートができる体制を取っております。

 

(8) 新型感染症拡大に関するリスクについて

新型コロナウイルス感染症等の大規模な感染拡大により、従業員の感染や店舗の臨時休業等、当社グループの事業活動に支障が生じ、財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

・ 対応策

新型感染症に対しては、流行期における基本的な感染対策の推奨等、感染拡大防止に取り組みながら、お客さまの価値観やニーズの変化に対応し、新型コロナウイルス感染症の影響が可能な限り最小限となるよう取り組んでまいります。

 

(9) 重要事象等

提出会社が将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象はありません。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢・所得環境の改善を背景に、政府による各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続いております。その一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギー価格の高騰に加え、欧米諸国での政策金利の引き上げや、それに伴う為替相場の変動など、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

沖縄県の小売業界におきましては、個人消費や入域観光客数は前年同期を上回って推移しておりますが、人手不足や物価上昇、金融資本市場の変動等、不透明な経営環境が続いております。

このような環境の中、当社の経営方針を「丁寧な仕事」とし、人財力や仕組力、商品力の向上に取り組むとともに、引き続き企業理念の浸透、七大基本の徹底、既存店の活性化、効率化を図る等、お客さま満足度の向上に努めてまいりました。

その結果、当連結会計年度における営業収益(売上高及び営業収入)は2,371億56百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益は169億23百万円(同2.8%増)、経常利益は174億68百万円(同3.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は114億69百万円(同7.4%増)となりました。

 

セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

小売

小売におきましては、ワンランクアップ商品、沖縄県産品、PB商品(くらしモア、ローソンセレクト)の販売強化に取り組んだことと、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたこと等により既存店売上が好調に推移したことや昨年開店した店舗の売上が寄与し、営業収益は2,285億34百万円(前年同期比4.2%増)、セグメント利益は152億45百万円(同1.3%増)となりました。

CVS

CVSは、FC店舗を4店舗開店、3店舗を閉店致しましたが、既存店が好調に推移し、営業収益は86億49百万円(前年同期比4.2%増)、セグメント利益は16億76百万円(同19.3%増)となりました。

 

当期の財政状態の概況は、次のとおりであります。

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して45億20百万円増加し、1,912億24百万円となりました。

主な要因は、現金及び預金49億94百万円増加したことや、有形固定資産が11億23百万円減少したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末と比較して38億73百万円減少し、366億78百万円となりました。

主な要因は、未払金6億36百万円未払法人税等12億52百万円契約解除損失引当金10億81百万円減少したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末と比較して83億94百万円増加し、1,545億46百万円となりました。

主な要因は、利益剰余金80億69百万円増加したことによるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より49億94百万円増加し、598億43百万円(前年同期比9.1%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得た資金は、149億80百万円(同29.3%減)となりました。

主な要因は、税金等調整前当期純利益170億9百万円減価償却費66億69百万円の計上や、法人税等の支払額58億25百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は、61億97百万円(同98.3%増)となりました。

主な要因は、有形固定資産の取得による支出61億10百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は、37億88百万円(同51.0%増)となりました。

主な要因は、配当金の支払額33億96百万円及び非支配株主への配当金の支払額3億52百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

部門の名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

小売

衣料品

11,346

103.6

住居関連用品

61,130

105.3

食料品

136,176

103.3

外食

9,645

106.9

小計

218,297

104.0

CVS

294

78.8

売上高合計

218,592

104.0

 

 

 

d.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

部門の名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

小売

衣料品

6,715

99.2

住居関連用品

42,059

105.9

食料品

98,058

104.1

外食

3,126

105.8

小計

149,959

104.4

CVS

220

79.6

仕入高合計

150,179

104.3

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績の分析は、概要につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 経営戦略の現状と見通し

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.キャッシュ・フローの状況

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

b.資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。営業費用の主なものは、人件費、地代家賃及び水道光熱費等であります。

c.財政政策

当社グループは、基本的な運転資金については、自己資金にて対応しております。

 

 

⑥ 経営方針、財政戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 目標とする経営指標」に記載しております。

なお、当連結会計年度の売上高経常利益率については、8.0%となりました。

 

⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。