1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、レストラン事業を主な事業としており、「XEX」をはじめとする高級レストラン及び「PIZZA SALVATORE CUOMO」をはじめとするカジュアルなレストランを展開しております。安心・安全を第一に考えた食材にこだわり、味がよく体にもよいクオリティの高い料理を上質な空間で提供できる店舗作りを行い、お客様に高付加価値を継続的に提供することを基本方針としております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループでは、「売上高」、「営業利益」を重要な経営指標として位置付けております。持続的な成長のため、既存店の売上高を維持するとともに、経営の効率化により利益率の向上に努めてまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
引き続き、お客様に、食事をするだけでなく、愉しく心地よい時間を過ごしていただくということを大切にするとともに、そのような価値を継続的にお客様にご提供できるよう、企業としての収益構造と財務基盤の強化を進めてまいります。
XEXグループにおいては、引き続きブランド強化に取り組むとともに、市場環境の変化を踏まえ、お客様に提供する付加価値の更なる向上を図ります。カジュアルレストラングループにおいては、既存店舗の収益力向上を図ると同時に、事業のポテンシャルを活かし、新しい店舗モデルの開発と市場の開拓にも取り組んでまいります。これらに加え、全社での業務の見直しによる生産性の向上や、コストの見直しにより、収益構造を改善し、利益を確保できる体制を構築してまいります。
(4)連結会社の経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
外食業界全体における人材不足の深刻化やコスト高騰は、当社の店舗の収益構造にも直接的な圧力をもたらしています。また、国際情勢は不確実性を増しており、サプライチェーンや消費者心理に悪影響を及ぼすことが懸念されます。一方で、外部環境には当社の成長機会となり得る動向も見られます。訪日外国人客数は増加基調で、高価格業態への需要は堅調です。また、日本国内においては賃金水準引き上げの傾向が続いており、中期的には外食需要を押し上げることが期待されます。
こうした環境の変化を踏まえ、当社は以下の施策に取り組み、当社の強みを活かした事業展開を進めてまいります。
(ア)事業上の課題
(ⅰ)高付加価値化
引き続き高付加価値化の取り組みを進め、収益性の改善を図ります。お客様の店舗における体験の質を高め、満足度を高めるためには、ハード面とソフト面、双方での改善が必要となります。今期も店舗の改装や更新投資を進めるとともに、給与水準の向上と採用の強化を通じて優秀な人材を育成、確保し、料理及びサービスの水準の維持と向上を図ります。
(ⅱ)インバウンド需要の取り込み
訪日外国人客数は堅調に推移しており、円安も相まって、インバウンド需要は拡大傾向です。国際情勢や為替動向等により大きな影響を受ける可能性はあるものの、今後も、訪日外国人客は当社にとって重要な顧客層であり続けると考えております。引き続き、高級ホテルや旅行代理店との関係を強化して送客の増加を図るとともに、訪日外国人向けのネットでのプロモーション、情報発信等を強化し、認知度の向上に努めてまいります。
(ⅲ)和食事業の強化
訪日外国人客の増加に伴い、和食への需要は一層高まっております。和食事業を、当社の今後の成長に向けた重要な事業領域と位置付け、特に、観光需要の高い立地への出店の機会を積極的に検討してまいります。また、職人の採用・育成や外部との提携等を進め、和食事業のコンテンツ力の強化を図ります。
(ⅳ)カジュアルイタリアン事業の展開
カジュアルイタリアン事業につきまして、前期は郊外の大型SCへの出店を進めましたが、今期も引き続き、ハレの日需要を取り込むことができる立地に店舗を展開し、市場を開拓してまいります。また、ホテル内への出店にも積極的に取り組んでまいります。既にホテル内で複数の店舗を運営しておりますが、ホテルへの出店は、立地面での優位性に加え、朝食需要が売上高の下支え要因として寄与する点が大きな利点となります。当社が提供する質の高い料理とブランド力は、ホテルの競争力向上にも資するものと考えており、ホテル事業者との関係強化による出店可能性の拡大を図ってまいります。
(ⅴ)人材不足・コスト高騰への対応
人材不足及び店舗運営コストの上昇は深刻さを増しており、当社の事業運営に対しても一層強い影響を及ぼしております。当社は継続的に対策に取り組んでまいりましたが、今期は更に注力し、事業基盤の強化を目指します。
まず、慢性的な人材不足につきましては、給与水準の引き上げや職場環境の整備といった待遇改善策を講じることにより、定着率の向上を図ります。人材が安定化することにより、店舗サービスの改善にもつながると考えております。
食材価格をはじめとする店舗運営コストの上昇につきましては、調達先及び調達内容の見直しを続け、品質を維持しながらもコストの抑制を図ってまいります。店舗運営においては、コスト構造の不断の見直しに加え、業務の効率化やITツールの活用等を通じた生産性の向上を図ります。お客様に提供する付加価値の向上に留意した、お客様にご理解いただける形での価格の引き上げも検討してまいります。
(イ)財務上の課題
(ⅰ)財務体質の強化
2023年2月期において債務超過を解消し、2024年2月期、2025年2月期と親会社株主に帰属する当期純利益を計上してまいりましたが、当社グループの財務体質はいまだ強固ではありません。事業上の課題に取り組むことによって収益性を改善させ、利益の計上によって財務体質を強化してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、ホスピタリティに溢れたサービスとハイグレードな空間演出、厳選された素材と職人の技を一体としてご提供し、お客様に至高の時間を過ごしていただくことを目指し、レストラン事業を展開しております。サステナビリティに対する取組は、今後もより多くのお客様により高い付加価値をご提供し、当社グループの事業活動を通して社会に貢献していくために必須であり、そしてそういった取り組みが、当社グループの成長や企業価値向上にもつながるものと考えております。
当社グループでは、代表取締役社長 船曵睦雄がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。代表取締役社長は、社内取締役、及び関連部門の管理職をメンバーとする定例のサステナビリティ会議において、サステナビリティに関する当社グループの在り方、取組の方向性、リスク及び機会に関する検討、並びに各部門の状況の把握を行い、適宜、取締役会に対して提言を行います。取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有する立場と位置付け、経営会議で協議された内容の報告や代表取締役社長からの提言を踏まえ、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議及び監督を行ってまいります。
(2)戦略
当社グループは、人材を当社グループのサステナビリティのリスク及び機会として認識しております。当社グループの企業価値の源泉は人材であり、同時に、優秀な人材の確保と育成が、今後当社グループが対処すべき重要な課題でもあります。当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下の通りであります。
<人材育成方針>
当社グループは、従業員一人ひとりが、マニュアルや既成概念にとらわれることなく、それぞれの個性を活かして輝くことができる人材に成長することを、人材育成の基本方針としております。
<社内環境整備方針>
上記の方針で人材を育成するために、以下の環境整備に取り組んでおります。
① 積極的な人材確保と多様性の向上
(ⅰ)特定技能人材の積極採用
多様な人材が活躍することは、組織の活性化につながると考えております。当社グループには既に、外国籍のスタッフ、日本以外のバックグラウンドを持つスタッフが多く在籍し、重要な役割を担っております。2025年2月期には特定技能人材の採用を開始し、2026年2月期にも更に積極的に採用を進めていく方針です。人材の確保と組織の活性化、そして当社グループの店舗がお客様にご提供する付加価値の向上を図ってまいります。
(ⅱ)中途採用の強化
採用、特に中途採用強化の一環として、採用コンセプトの見直しや、リファラル採用等に力を入れております。当社グループで働くことは従業員にとってどのような魅力があるのか、当社グループは従業員に対してどのような成長の機会を提供できるのかを随時見直し、採用の強化を図ってまいります。
② 生産性の向上
従業員一人ひとりが生み出す付加価値を向上させることは、当社グループの業績改善につながるだけでなく、当社グループで働く従業員にとってのやり甲斐の向上や環境の改善にもつながると考えております。業務内容の見直し等、生産性向上に継続して取り組んでまいります。
③ 働き続けやすい人事制度及び職場環境の構築
(ⅰ)柔軟な雇用の促進
柔軟性のある勤務形態を設定し、出産、育児、介護等、従業員のライフステージが変化する中でも働き続けやすい環境を整えております。
(ⅱ)労働環境の改善
勤務地近隣への転居の支援制度や休日を柔軟に取得できる制度など、従業員のワーク・ライフ・バランスを改善するための施策に取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループのサステナビリティに関するリスク及び機会の識別、評価及び管理は、代表取締役社長が管轄する定例のサステナビリティ会議において行っております。また、全社的なリスク管理については、代表取締役社長が管轄する安全管理委員会が担当しております。サステナビリティ会議において識別するリスク及び機会とその検討結果は、安全管理委員会に対し適宜報告され、その内容を安全管理委員会が全社的なリスク管理に組み込んでいく体制をとっております。
(4)指標及び目標
上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する当社グループの方針について、当社として、以下の目標を設定しております。
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指標 |
目標 |
実績 |
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2025年2月期 + |
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2027年2月期までに、2024年2月末と比較し2.0ptの増加 |
2024年2月末 11.3% 2025年2月末 |
当社グループが企業価値を持続的に向上させていくために最も重要な要素のひとつは、多様な人材が当社グループにおいて成長し、活躍し続けることであると考えております。よって、人材の育成及び社内環境整備の進捗状況を計る指標として、生産性の指標のひとつである人時売上高、多様性の指標のひとつである女性労働者が管理職に占める割合の2点を用いることとしております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性の事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
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項目 |
影響度 |
発生 可能性 |
リスク |
顕在化した場合の 影響 |
対策 |
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1 |
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ブランド関連 |
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① |
商標権管理 |
高 |
中 |
・当社店舗ブランドのうち商標登録を行っていないものが模倣される可能性 ・第三者の商標権等知的財産権に関する当社の調査が不十分で第三者の知的財産権を侵害する可能性 |
・店舗のブランド力低下、売上高減少 ・損害賠償請求 |
・外部の弁理士を活用した継続的な情報収集と、必要な対応を実施 |
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② |
ブランドに係るライセンス契約の終了 |
中 |
中 |
・当社の直営店「atelier 森本XEX」、及び持分法適用会社㈱ICONIC LOCATIONS JAPANが運営する「CÉ LA VI TOKYO」は第三者からライセンス供与を受けて運営しており、契約終了により店舗名が使用できなくなる可能性がある |
・店舗のブランド力・認知度の低下、売上高減少 |
・ライセンサーとの関係を維持・強化 ・店舗としての提供価値を高め、店舗名への依存度を引き下げ |
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2 |
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出店・退店関連 |
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① |
直営店の撤退とそれに伴う費用の発生 |
中 |
中 |
・直営店の賃貸借契約が終了する可能性がある ・中途解約に対する違約金が定められている賃貸借契約がある |
・退店に伴う損失発生、退店店舗の売上高・利益の剥落 ・賃貸借契約の解約に伴う損失の発生 |
・店舗の収益性を維持・向上し賃貸借契約の継続を図る ・退店がやむを得ない場合は居抜き譲渡等により損失を抑制 |
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② |
減損損失の発生 |
高 |
高 |
・直営店の収益性の著しい低下や退店の意思決定が発生する可能性がある |
・減損損失の発生 |
・店舗の収益性を維持・向上 ・本社費等の削減により全社の収益性を向上 |
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③ |
直営店の事業計画の未達 |
中 |
中 |
・出店決定時の事業計画が達成できず想定どおりの収益をあげられない可能性がある |
・減損損失の発生 ・出店に伴う初期費用の回収不能 |
・事業計画の精度向上 ・早期に対策を講じることによる損失発生の抑制 |
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3 |
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XEXグループ関連 |
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① |
XEXグループ店舗の売上高減少 |
高 |
中 |
・XEXグループの店舗は店舗規模が大きく固定費が大きい |
・売上高減少時の多額の営業損失発生 |
・高付加価値化と顧客満足度向上の取り組みを継続し売上高を維持 ・コスト削減等により生産性を改善 |
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② |
会員事業における会員数の減少 |
低 |
低 |
・会員制度「XEX MEMBERS CLUB」の会員によるレストランの利用は当社の収益基盤のひとつであるが、会員数が減少する可能性がある |
・売上高の減少 |
・会員の満足度向上につながる施策を実施し、退会を抑制 |
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4 |
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店舗運営関連 |
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① |
食材調達の不安定化 |
高 |
中 |
・天候、国際情勢その他の要因により、主要な食材を安定的に調達できなくなる可能性がある |
・売上高の減少 |
・主要な食材の需給状況について、継続的に情報を収集 ・代替品の可能性も視野に調達活動を実施 |
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② |
食材価格の高騰 |
高 |
高 |
・天候、国際情勢、為替その他の要因により、主要な食材の価格が高騰する可能性がある |
・利益の減少 |
・提供メニューや使用する食材を継続的に見直し、影響の回避を図る ・サプライヤーとの関係を一層強化し、連携して価格抑制を図る |
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③ |
人手不足 |
高 |
高 |
・人手不足が進行し、店舗営業に必要な人材を確保できない可能性がある ・人材確保のために給与水準を引き上げる必要が生じる可能性がある |
・売上高の減少 ・利益の減少 |
・従業員の待遇改善により、採用強化と定着率の向上を図る ・店舗の生産性改善及びコスト削減により利益の確保を図る |
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④ |
店舗運営コストの高騰 |
中 |
高 |
・水道光熱費や事務消耗品費など店舗運営にかかる各種費用が増加傾向にある |
・利益の減少 |
・設備の更新により省エネルギー化を図る ・使用するアイテムを継続的に見直す ・店舗の生産性改善により利益の確保を図る |
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5 |
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店舗管理関連 |
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① |
衛生管理 |
高 |
中 |
・食中毒など店舗の衛生にかかる事故が発生する可能性がある |
・営業停止による売上高減少 ・被害者からの損害賠償請求 |
・衛生に関連するマニュアル遵守を徹底 ・店舗の衛生状態に関し、外部業者による定期的な検査を実施 |
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② |
個人情報漏洩 |
中 |
中 |
・個人情報(会員に関する情報、クレジットカード情報、デリバリー情報等)が漏洩する可能性がある |
・レピュテーションリスク ・事故対応費用の発生 ・被害者からの損害賠償請求 |
・個人情報を管理するシステムへのアクセス権限を厳格に管理 ・個人情報が記載された媒体の適切な処理を徹底 ・個人情報漏洩保険に加入 |
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6 |
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資金繰り関連 |
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① |
有利子負債への依存度が高い |
中 |
低 |
・有利子負債への依存度が高い(2025年2月末現在の有利子負債残高1,705百万円、負債・純資産合計に占める割合は35%) ・有利子負債には変動金利のものが存在 ・金利は上昇傾向にある |
・市場金利が上昇した場合に支払利息が増加 |
・キャッシュ・フローを改善し有利子負債の削減を図る |
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次の通りであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、賃上げの動きや訪日外国人旅行者数の増加など前向きな動きがみられましたが、ウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢等に起因した物価上昇や、米国新政権の政策動向等、依然として不安定な状況です。
外食産業におきましては、経済活動の正常化に伴う消費者の外食需要の増加及びインバウンド需要により回復傾向にある一方、前期に引き続く猛暑や、台風・豪雨等による経済活動の乱れの影響を受けました。人材不足や食材費等の価格高騰も激しく、事業環境は引き続き厳しい状況です。
このような状況の下、当社グループは、高付加価値化、インバウンド需要の取り込み、和食事業の強化、カジュアルイタリアン事業の展開、そして人材不足・コスト高騰への対応といった課題に取り組んでまいりました。
当連結会計年度におきましては、外食需要の回復やインバウンド需要の増加等により売上高は堅調に推移してまいりました。2024年7月及び8月には、台風や猛暑の影響による消費活動の停滞により売上高の伸び悩みもありましたが、9月以降は好調に転じ、当連結会計年度の売上高は前年同期を上回りました。利益面におきましては、増収による増益効果はありましたが、複数の新規出店及び旗艦店の一つである「XEX WEST」の全面改装等、新規投資及び付加価値を高める投資に取り組んだことに加え、人材確保にかかる費用が増加したこと等により、前年同期を下回ることとなりました。
これらの結果、売上高は12,120百万円(前年同期比7.4%増加)、営業利益は118百万円(前年同期比33.9%減少)となりました。また、営業外収益として持分法による投資利益72百万円を計上したこと等により、経常利益は248百万円(前年同期比20.4%減少)となりました。特別損失として減損損失11百万円を計上したこと、法人税等調整額△28百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は260百万円(前年同比128.9%増加)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントの状況は次の通りです。
a.XEXグループ
「XEX」をはじめとする高級レストラン事業であるXEXグループについては、引き続き、高付加価値化の方針のもとでブランド力向上のための企画や、インバウンド需要の取り込みに取り組んでまいりました。台風や猛暑の影響による来店客数の減少は一部みられたものの、総じてインバウンド需要が堅調で、売上高は前年同期を上回って推移いたしました。利益面におきましては、新規出店及び既存店の改装にかかる費用増はありましたが、増収及び生産性向上により吸収し、営業利益も前年同期を上回りました。
この結果、当連結会計年度の同グループの売上高は4,896百万円(前年同期比7.2%増加)、営業利益は417百万円(前年同期比5.5%増加)となりました。
店舗の状況につきまして、2024年7月に、直営店「ぎおん 刀」を新規に出店いたしました。また、2024年8月中旬より9月上旬にかけて「XEX WEST」の全面改装工事を実施いたしました。これらの結果、店舗数は直営店10店舗となりました。
b.カジュアルレストラングループ
カジュアルレストラングループについても、付加価値の向上と客単価の引き上げに努めてまいりました。イートインの営業につきましては、夏場の台風や猛暑の影響はあったものの、経済活動の正常化及び新店舗の寄与、団体需要の取り込み等により、売上高は前年同期を上回りました。デリバリーの営業につきましても、経済活動の正常化と外食需要の回復に伴う減収傾向が下げ止まり、また、企業等からのケータリングの受注も好調で、前年同期を上回って推移いたしました。
この結果、当連結会計年度の同グループの売上高は7,224百万円(前年同期比7.5%増加)、営業利益は722百万円(前年同期比6.8%増加)となりました。
店舗の状況につきまして、2024年4月に、直営店「SALVATORE CUOMO Cafe テラスモール湘南」、FC店「La Stagione 軽井沢」を、同6月に、直営店「A destra Salvatore」、同9月に、FC店「SALVATORE CUOMO Cafe 所沢」、2025年2月に、FC店「Tavernetta Salvatore 秋田」をそれぞれ新規に出店いたしました。また、2024年3月に、直営店「THE GRILL SEASONING & HERBS」の業態を変更し、「PIZZERIA MANCINI TOKYO」としてリニューアルオープンいたしました。2024年5月には直営店「SALVATORE CUOMO & BAR 千葉」をFC企業に売却し、また同7月にはFC店を直営化して改装し、「Tavernetta Salvatore 仙川」としてリニューアルオープンいたしました。一方、直営店「PIZZA SALVATORE CUOMO 三鷹」、「STEAK THE FIRST 日本橋」及び「餃子と炙り こけこっこ 日本橋」、並びにFC店「SALVATORE CUOMO & BAR Manila」を閉店し、経営資源の効率化を図りました。これらの結果、店舗数は直営店37店舗、FC店30店舗となりました。
c.その他の事業
その他の事業は、人材派遣事業(ただし同事業は休眠中)により構成されております。当連結会計年度の同グループの売上高は-百万円(前年同期は売上高-百万円)、営業損失は2百万円(前年同期は営業損失2百万円)となりました。
財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて109百万円増加し、4,824百万円となりました。
流動資産合計は2,619百万円となり、前連結会計年度末に比べ187百万円減少しました。これは主として、借入金の返済を行ったこと、新規出店及び店舗設備の改装・維持更新工事を行ったこと等による現金及び預金の減少258百万円、原材料及び貯蔵品の増加37百万円等によるものです。
固定資産合計は2,204百万円となり、前連結会計年度末に比べ296百万円増加しました。これは主として、新規出店及び店舗設備の改装・維持更新工事を行ったこと等による建物及び構築物の増加132百万円並びに工具、器具及び備品の増加77百万円、持分法による投資利益計上による投資有価証券の増加72百万円等によるものです。
流動負債合計は1,738百万円となり、前連結会計年度末に比べ13百万円増加しました。これは主として、店舗の改装・維持更新工事実施や営業活動の活発化等による未払金の増加64百万円、仕入高の増加による買掛金の増加28百万円等によるものです。
固定負債合計は2,407百万円となり、前連結会計年度末に比べ164百万円減少しました。これは主として、返済による長期借入金の減少222百万円等によるものです。
純資産合計は678百万円となり、前連結会計年度末に比べ260百万円増加しました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上260百万円等によるものです。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は1,533百万円となり、前連結会計年度の期末残高と比較して258百万円減少いたしました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、290百万円の収入超過(前連結会計年度は392百万円の収入超過)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益237百万円に減価償却費182百万円、減損損失11百万円を加味した上で、売上高の増加による売上債権の増加11百万円、未払消費税等の減少48百万円、仕入債務の増加28百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは316百万円の支出超過(前連結会計年度は120百万円の支出超過)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出308百万円、貸付金の回収による収入80百万円、敷金及び保証金の差入による支出78百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、232百万円の支出超過(前連結会計年度は520百万円の支出超過)となりました。これは、長期借入金の返済による支出222百万円等があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績及び受注実績
当社グループは、店舗に来店した顧客の注文に基づき飲食物を提供する飲食事業を営んでいるため生産実績及び受注実績は記載しておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
前年同期比(%) |
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XEXグループ(千円) |
1,354,701 |
107.6 |
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カジュアルレストラングループ(千円) |
1,813,276 |
109.0 |
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その他の事業(千円) |
- |
- |
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合計(千円) |
3,167,978 |
108.4 |
(注)1 金額は、仕入価格によって表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
前年同期比(%) |
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XEXグループ(千円) |
4,896,608 |
107.2 |
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カジュアルレストラングループ(千円) |
7,224,221 |
107.5 |
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その他の事業(千円) |
- |
- |
|
合計(千円) |
12,120,830 |
107.4 |
(注)1 金額は、販売価格によって表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載の通りであります。また、当社グループは重要な会計上の見積りとして固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性等を識別しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績等の分析
当社グループは、前連結会計年度に引き続き、提供する付加価値を高めて客単価を引き上げる取り組みを進め、生産性の改善を図ってまいりました。
当連結会計年度において、売上高は、夏場に停滞は見られたものの、全体として堅調に推移いたしました。前年同期までは、XEXグループが好調で、全社の売上高の回復を牽引してきましたが、当連結会計年度においては、特に後半にかけて、カジュアルレストラングループの売上高も大きく回復しました。
売上高の動向を時間帯別に見ますと、XEXグループ、カジュアルレストラングループともに、ランチの売上高が、コロナ以前を大きく上回る水準へと回復しています。コロナ下においてはディナー及び深夜の売上が大きく落ち込みましたが、XEXグループの店舗においては、この落ち込みを補うためにランチブッフェの高付加価値化を進め、早期の売上高回復を実現しました。カジュアルレストラングループにおいても、一部店舗に高付加価値のランチブッフェを導入したことにより、客単価を引き上げ、売上高を増加させることができました。ディナーの売上高につきましては、ランチに比べ回復のペースは遅いものの、インバウンド需要の増加やパーティー受注の獲得等により、当連結会計年度の後半には、コロナ以前を上回る水準に回復してまいりました。なお、XEXグループの売上高が2024年7月から9月にかけて落ち込んでおりますが、悪天候等の影響に加え、法人・パーティー需要が季節的に減少することの影響を受けました。客単価を引き上げたことにより、以前に比べ法人・パーティー利用比率が高まっているため、季節要因の影響がより顕著に表れるようになったものと考えております。
上記の通り、既存店については客単価の上昇が奏功し、前年比、またコロナ以前比での増収を確保することができました。一方、当連結会計年度はXEXグループ1店舗、カジュアルレストラングループ2店舗の新規出店、XEXグループ1店舗、カジュアルレストラングループ2店舗の大型改装・業態変更を実施したことによる経費の増加、人材不足を補うための費用(派遣人件費、配送委託手数料等)の増加等により、営業利益は前年同期を下回りました。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料費、人件費及び店舗支払家賃等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店及び既存店の改装等であります。したがいまして、運転資金と設備投資資金については営業キャッシュ・フローで充当するとともに、必要に応じて金融機関等からの借入れやリース会社に対するセール・アンド・リースバック取引による資金調達を実施し充当しております。また、安定的な経営を続けるために必要な流動性の確保と金融情勢とを勘案し、資金調達を行っていく方針です。
(1)コンサルティング契約
当社は下記の通りのコンサルティング契約を締結しております。
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契約先 |
MM Global LLC |
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契約日 |
2015年10月21日 |
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契約期間 |
2021年10月21日から2026年10月20日 以後5年ごとの自動更新 |
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契約内容 |
当社のレストランに対するコンサルティング及びマーケティング支援を受ける。 |
(2)フランチャイズチェーン契約
当社は下記の通りのフランチャイズチェーン契約を締結しております。
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店舗名 |
PIZZA SALVATORE CUOMO |
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契約先 |
株式会社本久 他10社 |
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業態 |
デリバリーピッツァ及びレストラン業態 |
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契約期間 |
2023年8月20日~2026年8月19日 等 |
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契約内容 |
各契約期間において「PIZZA SALVATORE CUOMO」等の名称で、加盟店が一定のエリア内に自ら開店する権限を付与し、店舗運営・企画について指導・援助を行い、商品等を提供する。 |
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加盟金 |
当該契約締結時に、一定の額の支払いを受ける。 |
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加盟保証金 |
当該契約店舗の営業開始時に、一定の額の支払いを受ける。 |
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ロイヤルティ |
当該契約店舗の売上高に、一定の割合の支払いを受ける。 |
(3)合弁契約
当社は下記の通り合弁会社を設立する合弁契約を締結しております。
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合弁会社 |
株式会社 ICONIC LOCATIONS JAPAN |
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契約先 |
ICONIC LOCATIONS HK HOLDING LIMITED |
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業態 |
レストラン業態 |
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契約期間 |
2018年11月20日~合弁会社が存続する期間まで |
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契約内容 |
契約期間において、合弁会社が「CÉ LA VI TOKYO」を運営する。 |
(4)シンジケートローン契約
当社は下記の通りシンジケートローン契約を締結しております。
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借入先 |
株式会社みずほ銀行、ほか取引先金融機関 |
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借入金額 |
586百万円 |
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借入実行日 |
2023年10月31日 |
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借入期間 |
3年 |
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借入金利 |
変動金利(基準金利に一定のスプレッドを加算) |
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担保等 |
無担保、無保証 |
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コベナンツ |
財務制限条項等(注) |
(注)詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載の通りです。
該当事項はありません。