(はじめに)
1.設立から株式上場及び廃止まで
当社は、2001年6月21日、情報・通信システム及びセキュリティシステムの開発・運用・コンサルティング業務を事業目的として設立された、アンビシス株式会社を前身としております。
その後、統合型インターネットセキュリティアプライアンス機器(*1)を利用したマネージドセキュリティサービスの提供を開始し、2003年6月14日には、商号をバリオセキュア・ネットワークス株式会社に変更いたしました。(以下、「バリオセキュア・ネットワークス株式会社①」という。)
マネージドセキュリティサービスは、インターネットサービスプロバイダ及び通信事業者向けセキュリティソリューションとして、ファイアウォール等の機器のレンタルを行い、それらに対し24時間体制で運用・監視・保守を提供するサービスです。当社は、VariOS(*2)を搭載した統合型インターネットセキュリティアプライアンス機器「VSR1000シリーズ」を提供すること等により、独立系インターネットセキュリティサービス企業として着実な歩みをたどり、2006年6月29日に大阪証券取引所 ニッポン・ニューマーケット「ヘラクレス」(以下、「ヘラクレス市場」という。)に上場いたしました。
その後、アント・キャピタル・パートナーズ株式会社が無限責任組合員を務める、アント・カタライザー3号投資事業有限責任組合が出資する、エー・シー・ピー・ワン・ホールディングス株式会社は、2009年7月30日にバリオセキュア・ネットワークス株式会社①の株式及び新株予約権の公開買付(以下、「本公開買付」という。)を実施し、本公開買付は2009年9月11日に成立し、バリオセキュア・ネットワークス株式会社①はエー・シー・ピー・ワン・ホールディングス株式会社の子会社となり、2009年12月18日には、ヘラクレス市場の株式上場を廃止いたしました。
(*1)「統合型インターネットセキュリティアプライアンス機器」とは、当社が提供するサービスで利用する多機能セキュリティ機器を言います。ファイアウォール機能(外部から組織内のコンピュータネットワークへの侵入経路を限定し、不正を防ぐシステム)、IDS(不正侵入を検知するシステム)/ADS(不正侵入から内部ネットワークを自動的に防御するシステム)機能、ウィルスプロテクション(ウィルス検知・防御システム)機能など複数のセキュリティサービスを提供しています。
(*2)「VariOS」とは、当社が開発したセキュリティ機器VSR(Vario Secure Router)の基本ソフトウエアです。
2.主要株主の異動①
その後、2011年3月31日、1stホールディングス株式会社(現ウイングアーク1st株式会社)は、アント・カタライザー3号投資事業有限責任組合が保有するバリオセキュア・ネットワークス株式会社②の全株式を取得し、両社のリソースを活用した独自のクラウド技術を連携させ、クラウド環境における新たなサービス提供形態の創出を図るため、バリオセキュア・ネットワークス株式会社②を完全子会社としております。
同社は2013年3月1日、バリオセキュア・ネットワークス株式会社②の商号をバリオセキュア株式会社に変更(以下、「旧バリオセキュア株式会社」という。)しております。
3.主要株主の異動②
株式会社BAF5は、旧バリオセキュア株式会社の全株式を取得する目的で、アイ・シグマ・パートナーズ株式会社が管理・運営する、アイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合による投資のための特定目的会社として2015年9月17日に設立されました。株式会社BAF5は、LBO(Leveraged Buyout)を実施し、自己資金の他、金融機関からの借入を実施することで、2016年6月30日にウイングアーク1st株式会社から、旧バリオセキュア株式会社の全株式を取得し、完全子会社としました。その後、株式会社BAF5は2016年9月1日、旧バリオセキュア株式会社を消滅会社とする合併を行い、当社は同日付でバリオセキュア株式会社に商号を変更し現在に至っております。(以下、「新バリオセキュア株式会社」という。)
当社の事業運営主体の変遷は以下のとおりです。
また、設立以降の当社の変遷は以下のとおりです。
日本基準に基づく経営指標等
回次 |
日本基準 |
|||||
第6期 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
||
決算年月 |
2021年2月 |
2022年2月 |
2023年2月 |
2024年2月 |
2025年2月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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当期純利益 |
(千円) |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益 |
(円) |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
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△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(人) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:配当込みTOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
最高株価 |
(円) |
2,244 |
1,733 |
1,350 |
1,115 |
749 |
最低株価 |
(円) |
1,479 |
1,044 |
1,036 |
616 |
538 |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記載しておりません。
2.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
3.第9期以降の1株当たり配当額及び配当性向については、当社は配当を行っておりませんので、記載しておりません。
4.従業員数は、就業人員数であります。臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。
5.株主総利回り及び比較指標は、2020年11月30日付をもって東京証券取引所市場第二部(現東京証券取引所スタンダード市場)に株式を上場いたしましたので、第6期末日の株価を基準として算定しており、第6期以前の株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。
6.最高株価及び最低株価は2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第二部におけるものであります。
IFRSに基づく経営指標等
回次 |
国際会計基準 |
|||||
第6期 |
第7期 |
第8期 |
第9期 |
第10期 |
||
決算年月 |
2021年2月 |
2022年2月 |
2023年2月 |
2024年2月 |
2025年2月 |
|
売上収益 |
(千円) |
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税引前利益 |
(千円) |
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当期利益 |
(千円) |
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当期包括利益 |
(千円) |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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資本合計 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり資本合計 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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基本的1株当たり当期利益 |
(円) |
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希薄化後1株当たり当期利益 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
|
△ |
△ |
現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
|
|
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|
|
従業員数 |
(人) |
|
|
|
|
|
(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
|
株主総利回り |
(%) |
- |
80.5 |
79.8 |
52.9 |
45.7 |
(比較指標:配当込みTOPIX) |
(%) |
(-) |
(103.4) |
(112.2) |
(154.4) |
(158.4) |
最高株価 |
(円) |
2,244 |
1,733 |
1,350 |
1,115 |
749 |
最低株価 |
(円) |
1,479 |
1,044 |
1,036 |
616 |
538 |
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記
載しておりません。
2.当社はIFRSに基づいた財務諸表を作成しております。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、当社は関連会社を有していないため記載しておりません。
4.第9期以降の1株当たり配当額及び配当性向については、当社は配当を行っておりませんので、記載しておりません。
5.従業員数は、就業人員数であります。臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。
6.株主総利回り及び比較指標は、2020年11月30日付をもって東京証券取引所市場第二部(現東京証券取引所スタンダード市場)に株式を上場いたしましたので、第6期末日の株価を基準として算定しており、第6期以前の株主総利回り及び比較指標については記載しておりません。
7.最高株価及び最低株価は2022年4月4日より東京証券取引所スタンダード市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第二部におけるものであります。
当社は、2015年9月17日にアイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合による投資のための特定目的会社として株式会社BAF5の商号で設立され、2016年6月30日にウイングアーク1st株式会社から旧バリオセキュア株式会社の全株式を取得して完全子会社化したうえで、同年9月1日に吸収合併し、同日に株式会社BAF5からバリオセキュア株式会社(新バリオセキュア株式会社)に商号変更し、現在に至っております。
以下におきましては、新バリオセキュア株式会社及び、新バリオセキュア株式会社設立以前の沿革を記載しております。
<当社の沿革>
年月 |
概要 |
2015年9月 |
アイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合による投資のための特定目的会社として株式会社BAF5を東京都千代田区に設立 |
2016年6月 |
アイ・シグマ事業支援ファンド2号投資事業有限責任組合はウイングアーク1st株式会社から旧バリオセキュア株式会社の株式を株式会社BAF5経由で取得し完全子会社化 |
2016年9月 |
株式会社BAF5が旧バリオセキュア株式会社を吸収合併し、同日、商号をバリオセキュア株式会社(新バリオセキュア株式会社)に変更 |
同 |
本社を東京都渋谷区に移転 |
2016年10月 |
本社を東京都千代田区に移転 |
2019年3月 2020年4月 |
ブルーシフト株式会社からデータバックアップサービスを提供するデータプロテクト事業を譲受 企業の情報システム管理機能を統合した「Vario Network Security Suite」の提供を開始 |
2020年11月 2021年9月
2022年3月
2022年9月
2022年11月 |
東京証券取引所市場第二部に株式を上場 HEROZ株式会社との間で資本業務提携契約を締結、HEROZ株式会社が当社株を取得し、当社を関連会社化 マネージドセキュリティサービスの統合型インターネットセキュリティアプライアンス(VSR)の通信機器・プラットフォームを刷新した「VSR nシリーズ」の販売開始 HEROZ株式会社との間であらためて資本業務提携契約を締結、HEROZ株式会社を割当先とする第三者割当増資を実施、HEROZ株式会社が当社を子会社化 「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行 |
<当社設立以前の沿革>
年月 |
概要 |
2001年6月 |
情報・通信システム及びセキュリティシステムの開発・運用・コンサルティング業務を事業目的とした、アンビシス株式会社を東京都港区に設立 |
2001年9月 |
インターネットサービスプロバイダ及び通信事業者向けセキュリティソリューションとしてファイアウォール等を運用するマネージドセキュリティサービスの提供を開始 |
2002年5月 |
VariOSを搭載した統合型インターネットセキュリティアプライアンス機器を利用したマネージドセキュリティサービスを提供開始 |
2002年7月 |
本社を東京都港区に移転 |
2003年6月 |
アンビシス株式会社から商号を、バリオセキュア・ネットワークス株式会社に変更 |
2003年9月 |
ICSA(International Computer Security Association)によるファイアウォール認定を日本企業で初めて取得 |
2006年6月 |
バリオセキュア・ネットワークス株式会社が大阪証券取引所ヘラクレス市場に上場 |
2009年12月 |
バリオセキュア・ネットワークス株式会社が大阪証券取引所ヘラクレス市場の上場廃止 |
2010年6月 |
ファンド出資の受け皿として設立されたエー・シー・ピー・ワン・ホールディングス株式会社がバリオセキュア・ネットワークス株式会社を吸収合併し、同日、バリオセキュア・ネットワークス株式会社に商号変更 |
2011年3月 |
1stホールディングス株式会社(現ウイングアーク1st株式会社)はアント・カタライザー3号投資事業有限責任組合からバリオセキュア・ネットワークス株式会社の全株式を取得し完全子会社化 |
2012年7月 |
本社を東京都渋谷区に移転 |
2012年11月 |
Cyberoam Inc.(現SOPHOS Ltd.)からUTM(Unified Threat Management)機器のOEM供給を受け、VCR(Vario Communicate Router)の販売を開始 |
2013年3月 |
商号をバリオセキュア・ネットワークス株式会社からバリオセキュア株式会社(旧バリオセキュア株式会社)に変更 |
2013年12月 |
VSRを利用したネットワークインフラの構築及び運用に加え、ネットワークにおける機器の調達や、LAN構築・サーバー構築等をサポートするVario Plus(現IS)サービスの提供開始 |
2014年1月 |
データバックアップサービスVDaP(Vario Data Protect)の提供開始 |
当社は、“Your NET Guardian, alongside your invaluable Future.”(企業のネットセキュリティに伴走し、安心・安全なビジネスを支えます)をミッションとし、セキュリティ対策の「24/365 WORK」を請け負う Security BPaaS「Vario Ultimate ZERO」を提供しています。
“Justice for your NET”(企業のネットインフラに正義の味方を常駐派遣する)をバリューとし、自社開発の国産製品をベースとしたネットワークセキュリティ導入・運用管理サービスを提供しております。
(1)事業の特徴
a.独自のビジネスモデル
当社は、セキュリティサービスで利用する機器の調達、機器にインストールする基幹ソフトウエアの開発、機器の設置/設定、機器設置後の監視/運用までをワンストップで行っております。
エンドユーザーは、機器の選定や運用サービスを個別に検討する必要がなく、手間がかからずにサービスを利用することが可能となります。また、当社がワンストップでサービスを提供しているため、問題が発生した際に原因の究明と対応が行い易く、エンドユーザーは、問い合わせやトラブルに対するサポートを迅速に受けることができます。
b.リカーリングレベニューの構造
当社は、監視/運用サービスを基本に各種セキュリティサービスを月額費用により提供しております。導入企業が増加すれば、年々収益が積み上がる「リカーリングビジネス」と呼ばれるモデルであり、収益の安定化と継続的な拡大に大きく貢献しております。2025年2月末で、全国47都道府県に7,670拠点(VSRの設置拠点数)のマネージドセキュリティサービスを提供しており、継続的な収益の安定化を実現しております。第10期事業年度の「リカーリングビジネス」であるマネージドセキュリティサービスによる売上収益の売上収益全体に占める比率は87.9%です。
[リカーリングレベニューモデル]
c.ビジネスパートナー(販売代理店)モデル
当社の販売モデルは、販売代理店を介した間接販売及び当社による直接販売に分類できますが、間接販売が中心となっております。通信事業者やインターネットサービス事業者、データセンター事業者など、当社のサービスを付帯することでお客様へ付加価値を提供することを期待する販売代理店と契約しております。これら販売代理店と日本全国をカバーする販売網を構築し、継続的な営業案件の創出が可能となっております。
販売代理店は、「相手先ブランド提供パートナー(以下、「OEMパートナー」という。)」及び「再販売パートナー」に大別されます。「OEMパートナー」とは、販売代理店自らのブランドでセキュリティサービスを提供し、顧客(エンドユーザー)と直接、契約を締結するパートナーを指します。「再販売パートナー」とは、当社の代理店として顧客(エンドユーザー)の開拓、営業活動を行い、顧客(エンドユーザー)との契約主体は当社となるパートナーを指します。
当社では、さらに営業活動を推進するためにセキュリティの専門家である当社が、販売代理店の代わりにお客様に対して直接技術面の説明をする営業同行や、サービスの導入から設置までワンストップで支援することも実施しております。
(2)サービスの概要
当社は、インターネットセキュリティサービス事業の単一セグメントであることから、セグメント別の記載は省略しており、サービス毎に記載しております。当社が提供しているサービスは次のとおりであります。
a.マネージドセキュリティサービス
マネージドセキュリティサービスで提供している商品は、VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービス、データのバックアップサービス(VDaP)、エンドポイントセキュリティサービス(Vario EDR)及びVarioマネージドLAN/Wi-Fiサービスなどがあります。
(a)VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービス
インターネットからの攻撃や内部ネットワークへの侵入行為、またウィルスの感染やデータの盗用といった各種の脅威から企業のネットワークを守り、安全にインターネットの利用を行えるようにする総合的なネットワークセキュリティを提供するものです。
当社の統合型インターネットセキュリティサービスでは、ファイアウォール、IDS(不正侵入検知システム)、ADS(自動防御システム)などの多様なセキュリティ機能を1台に統合した自社開発のネットワークセキュリティ機器VSRをインターネットとユーザーの社内ネットワークとの間に設置し、攻撃や侵入行為、ウィルスといった脅威を取り除くいわばフィルタとして作動します。VSRは、当社データセンターで稼働する独自の運用監視システムにより自動的に管理・監視され、運用情報の統計情報や各種アラートが人手を介することなくリアルタイムに処理されます。統計情報やアラートはコントロールパネルと呼ぶレポーティング機能により、インターネットを介してユーザー企業の管理者にリアルタイムに提供されます。また、当社では24時間365日のサポートセンターを構築しており、国内全都道府県に対応した保守網並びに機器の設定変更等の運用支援体制を構築しております。
従来は、前述のようなセキュリティシステムを導入するには、各種のセキュリティ機器を購入し、これらを自社で導入、メンテナンスする必要がありました。そのためには高度な技術を有する技術者や、高額な投資を要求されることから多くの企業では十分なネットワークセキュリティ対策を導入することが困難な状況でした。また、セキュリティシステム導入後も監視やアラートへの迅速な対応、ソフトウエアのアップデートなどの運用面での負担は非常に大きい状況でした。
当社のサービスではVSRが1台で多様なセキュリティ機能を提供します。機器の購入は不要でレンタル機器にてセキュリティシステムを導入することができます。また、セキュリティ機能ごとに月額費用が設定されており、ユーザー企業は多様なセキュリティ機能の中から必要なオプションを選択することができ、VSRは様々なニーズに対応可能です。ユーザーは、契約の開始時点のみ発生する初期費用及び月額費用を払うだけで、コントロールパネルの利用や設定変更、ソフトウエアのアップデート、監視や出張対応による現地での保守など、ネットワークセキュリティの運用に際して必要となる殆どの工数を当社に委託することができ、業務負担を低減することができます。
このように、当社の統合型インターネットセキュリティサービスは、ネットワークセキュリティの導入から管理、運用・保守までをサービスとしてワンストップで提供し、ユーザーから初期費用及び定額の月額費用を徴収する積み上げ型のビジネスモデルとなっております。
ユーザーは、自社で専門技術を持つIT責任者を設置することが困難な中堅、中小企業がメインです。2025年2月末で7,670拠点(VSRの設置拠点数)の日本全国で稼働しております。
当社のVSRは自社開発品です。自社の技術者やシステムインテグレーター(SIer)(*1)を通じてセキュリティ機器を導入・運用する企業は、海外の仕様書を見ながら初期設定やカスタマイズを施し、自社で定期的なソフトウエアのアップデートを行い、トラブル発生の際には海外メーカーに数日間かけて問い合わせるなど、一般的には多大な労力と時間を必要とします。当社は自社開発品を初期導入から運用・保守までワンストップで提供しているため、迅速な対応が可能となっております。不具合やトラブルは、顧客(エンドユーザー)から当社又は販売代理店への問い合わせのほか、当社がリモート監視により能動的に検知してサポートを行っております。運用・保守は、当社のエンジニアが可能な限り、遠隔操作により対処します。ハードウエア等の故障については、業務委託先の倉庫等全国に在庫を配備し、4時間以内の駆け付け目標により機器交換に迅速に対応しております。
(*1)システムインテグレーター(SIer)とは、情報システムの設計、構築、運用等の業務を顧客より請け負う情報通信企業を言います。
(b)データのバックアップサービス(VDaP)
一般的に企業の大切なデジタルデータが、インターネットの脅威から隔離され、障害が発生した場合でもそれまでの事業の継続性を担保することが、企業の大きな課題となっております。
当社のバックアップサービスは、ハードウエアの機器にバックアップデータが保存されるVDaPとデータセンターへの保存を組み合わせたバックアップサービスとなっております。一時的に企業のデジタルデータをVDaPにバックアップした後に、自動的にデータセンターへもデータを転送することで、より一層の耐障害性を高めております。バックアップデータの保持は、最新及び過去のデータがバージョン管理されたデータとして保持されております。データの復旧を行う際にも、お客様が利用しやすいインターフェースを提供することで、必要なデジタルデータを簡単に選択して、復旧することができます。
VSRを利用した統合型インターネットセキュリティサービスの監視/運用サービスにおける経験を活かし、機器の設置、障害時の対応に関しても、その仕組みを活かすことで効率的に全国をカバーしたサービス提供を実施しております。
(c)エンドポイントセキュリティサービス(Vario EDR)
サイバー攻撃が巧妙になり、従来のウィルス対策ソフトでは検知できないウィルスやマルウェアによる企業のセキュリティ被害の拡大が懸念されます。
当社のマネージド型EDRサービス「Vario EDR」では、社内やテレワーク利用PCのセキュリティリスクを検知し安全な業務環境を実現します。EDR(Endpoint Detection & Response)は、ウィルス対策ソフトが検知できずに侵入したウィルスやマルウェアの行動を監視し、サイバー攻撃の実行を阻止する仕組みです。サイバー攻撃対策に有効なEDRですが、リスク判定や判断後の対応が難しいことから運用負担が大きくなる傾向にありますがVario EDRサービスでは、リスクレベルのスコア化と、サイバー攻撃の発見と対応を支援する仕組みにより、セキュリティ対策を少ない運用負担で実現します。
(d)VarioマネージドLAN/Wi-Fiサービス
企業のDX化に伴い情報システム担当者への業務負担は増加傾向にあります。
当社のVarioマネージドLAN/Wi-Fiサービスでは、オフィスLAN/Wi-Fi環境の管理負担やセキュリティ強化をマネージドサービスとして機器の管理や脆弱性対応を行うことで、オフィス内のネットワーク環境の安全性を維持します。オフィスのネットワークは、構成するネットワークスイッチやWi-Fiアクセスポイントの安定稼働が前提に成り立っています。現在のネットワーク環境をより安定的に運用するために必要不可欠な脆弱性対応をはじめとするセキュリティリスクの軽減や、不測の事態に備えた迅速な障害特定に対応する仕組みをマネージドサービスとして提供することで、安心のビジネスインフラを最小限の管理負担で実現します。
b.インテグレーションサービス
当社のインテグレーションサービスには、中小企業向け統合セキュリティ機器(UTM)であるVCR(Vario Communicate Router)の販売とネットワーク機器の調達や構築を行うネットワークインテグレーションサービス(以下、IS)があります。
(a)VCR
サイバーセキュリティ基本法の改定といった法規制の影響もあり、より小規模(従業員数50名未満)の事業者やクリニックなどでセキュリティ意識が高まっていることを受け、セキュリティアプライアンス機器であるVCRの販売も行っております。VCRは、マネージドセキュリティサービスと異なり、UTM製造の世界有数の企業であるSOPHOS Ltd.の製品を自社ブランドとして輸入し、中小企業を専門とする販売代理店を通じてエンドユーザーに販売する事業として実施しております。なお、販売した機器、ハードウエア障害などについては、当社又は販売代理店のサポート窓口経由で、メーカーが保証期間に亘りサポートしております。
(b)ネットワークインテグレーションサービス(IS)
統合型インターネットセキュリティサービスでは、外部へのアクセスを可能にするインターネットと社内のネットワークの境界を監視するゲートウェイとして当社機器を設置することから、企業よりゲートウェイ周辺で利用するネットワーク機器の調達や設定、インターネットへの接続全般の設計や構築のニーズがあります。そのため、通信ネットワーク及び機器等の導入のための設計、調達、構築を専門に行う人員を配置し、ネットワークの設計/調達/構築全般を実施し、企業ネットワーク領域全般への業容拡大を図っております。なお、販売した機器、ハードウエア障害などについては、当社又は販売代理店のサポート窓口経由で、メーカーが保証期間に亘りサポートしております。
[事業系統図]
当社の事業系統図は以下のとおりです。
注:販売代理店との間の契約では、一部、顧客(エンドユーザー)と当社が直接代金の授受及びサポートを行う契約があります。また、Vario EDRについては定額の月額利用料のみ発生いたします。
名称 |
住所 |
資本金 (百万円) |
主要な事業の内容 |
議決権の所有割合又は被所有割合 (%) |
関係内容 |
(親会社) |
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HEROZ株式会社 (注)1,2 |
東京都港区 |
37 |
AI技術を活用したサービスの企画・開発・運用 |
被所有 42.8 |
役員の兼任3名、資本業務提携等 |
(注)1.有価証券報告書を提出しております。
2.HEROZ株式会社の議決権の所有割合は50%以下でありますが、実質支配力基準に基づく親会社に該当しております。
(1)提出会社の状況
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2025年2月28日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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( |
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(注)1.従業員数は、就業人員数であります。
2.臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は年間の平均人員を( )外数で記載しております。
3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
(2)労働組合の状況
当社において労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。
(3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
当社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。