文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループはライフスタイル領域において、ユーザー一人ひとりの行動を支援するための「行動支援サービス事業」を展開し、世の中の課題解決の実現を目指しております。
2023年5月、当社グループは、当社を取り巻く経営環境や事業環境の変化にこれまで以上に柔軟に対応し、ステークホルダーの皆様とともに持続的な成長や中長期的な企業価値の向上に取り組むため、当社として初となる中期経営計画を策定・開示いたしました。
本中期経営計画の策定に先立ち、当社グループは企業としての存在意義を定義するため、パーパスを制定いたしました。そのうえで、パーパスを起点として、目指す世界観としてのミッション、ミッション達成のためのマイルストーンとなるビジョンをあわせて策定いたしました。
本中期経営計画は2024年3月期を初年度とする3か年の計画で、将来の成長に向け、経営基盤を整備・強化する期間と位置付けます。そして、パーパス・ミッション・ビジョンに基づいてこれまでのサービスで培ってきたテクノロジーやノウハウを生かし、より日常的な場面における意思決定のサポートに関するサービスを手掛けることで、一人ひとりの幸せな暮らしに寄り添い続けます。
a.経営戦略
2026年3月期に向けては以下3項目の経営戦略を掲げ、実行してまいります。
①事業基盤の強化
当社グループが持つ強みやアセットを活かして、事業ドメインを不動産テック、ウェルネステック、クロステックの3領域へ再定義し、将来に向けた第2第3の事業の柱を創出し、事業基盤強化を図ります。
②収益源の多様化
既存事業の着実な成長と新規事業の創出の2軸に注力いたします。事業投資、戦略投資の推進により、周辺領域での事業を強化・拡大し、収益源の多様化を図ります。
③新たな価値が生まれる組織環境整備
当社ミッションの実現に向かって、新たな価値やイノベーションが生まれる組織への進化を目指します。
上記戦略を踏まえた2026年3月期の定量目標としては、連結売上高45.5億円(CAGR15%)、営業利益10億円(CAGR20%)を目指します。
b.事業ドメイン
既存事業のニフティ不動産をコア事業とする「不動産テック領域」、ニフティ温泉をコア事業とする「ウェルネステック領域」、そして、不動産とウェルネス以外の領域で第3の事業の柱の創設を目指す「クロステック領域」への展開による事業基盤の強化・拡大を目指します。

当社は、高い成長性及び企業価値の向上を経営上の重要課題と認識しており、成長性については売上高を、企業価値の向上については営業利益を重視しております。
また、当社グループの売上高を構成する指標はサービス別に下記のとおりであり、プラットフォームサービス(ニフティ不動産/ニフティ温泉/ニフティ求人)においては送客数(=ユーザ―数×送客率)を、SaaS型ツール提供サービス(DFO、オンライン内見)においてはクライアント数を重視しております。
プラットフォームサービス 売上高 = 送客数 × 単価
SaaS型ツール提供サービス 売上高 = クライアント数 × 単価
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響が残りながらも、経済活動の正常化が進み、景気の持ち直しの動きが見られたものの、原材料価格の高騰や円安の進行に伴う物価の上昇等、依然として先行きが不透明な状況が続きました。当社グループの主力ビジネスのひとつであるニフティ不動産が属する不動産業界におきましては、コロナ禍を経て改めてライフスタイルへの関心が高まったことにより個々のニーズが多様化し底堅く推移している一方、購入領域では住宅ローン金利水準の動向等を引き続き注視する必要も出てきています。また、ニフティ温泉が属する日帰りレジャー業界におきましては、新型コロナウイルスの影響による利用者の減少に加え、原油価格の高騰によるコストの上昇等により、温浴施設には厳しい環境が続いていましたが、サウナブームや行動制限の解除、全国旅行支援等の施策もあり、レジャーへの消費意欲には回復基調が見え始めています。
また、当社グループは、企業と生活者を結ぶプラットフォームサービスを主軸に運営しており、クライアント企業より、マーケティング支援費用として課金報酬を得ております。これらを内包するインターネット広告業界の市場規模・市況については次の通りであります。
株式会社電通が2023年2月に発表した「2022年 日本の広告費」によると、2022年の広告市場は前年比104.4%の7兆1,021億円と推計され、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大、ウクライナ情勢、物価高騰等国内外の様々な事象の影響を受けつつも、1947年に推定を開始して以降、過去最高となりました。
また、中でもインターネット広告市場は、社会のデジタル化を背景に継続して高い増加率を保っており、前年比114.3%の3兆912億円に達し、日本の総広告費全体の43.5%を占めました。
うちインターネット広告媒体費は、検索連動型広告をはじめとする運用型広告やビデオ(動画)広告の成長により、前年比115.0%の2兆4,801億円と、高い成長率を維持しています。この分野に関しては、2023年も堅調に推移すると見込まれており、前年比112.5%の2兆7,908億円まで増加し、成長が継続すると予測されております。
このたびの中期経営計画策定にあたり、中長期的な企業価値向上を達成するため、2024年3月期は、「筋肉質な経営基盤の構築」を進めていく方針にいたしました。そのための実際の施策としては次の3項目を掲げます。
① 集客効率を最大化による既存事業の着実な成長
ユーザー数拡大に加え、ブランド訴求方法の精査やデータ活用の強化を図ることで、集客効率を最大化させてまいります。「ニフティ不動産」については、短期的な認知向上施策から、利便性や優位性の理解度向上を重視する長期的なブランディングへと深化させてまいります。また「ニフティ温泉」については、既存のクーポン送客ビジネスに加え、一人ひとりに向けた「ライフスタイル提案型」のメディアへと位置付けを拡張させ、美容・健康ニーズへのアプローチを強化してまいります。
② 周辺領域の開拓推進
既存事業の周辺領域開拓につきましては、一部他社とのアライアンスもスタートしておりますが、引き続き、重点事業の周辺領域の事業開発に向けて、自社リソースのほかM&Aやアライアンス等も積極的に活用しながら実現に向けて進めてまいります。
③ 成長投資とコストマネジメント
当社は2023年3月期を成長投資フェーズと位置付け、積極的な先行投資を行ってまいりましたが、今後のさらなる成長に向けては、成長投資を着実に実行しつつ、規律あるコストマネジメントを行うことで、売上高とともに営業利益についても成長させてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ基本方針
当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、持続的な企業価値の向上を目指すため、以下の基本方針を掲げております。
・事業活動を通じた社会課題の解決
より良いサービスの提供・創出により、事業を通じた社会課題の解決に取り組みます。
・人材の多様性の尊重と働きがいの向上
多様性の尊重と共に、一人ひとりの成長・活躍や働きやすさを促進する環境整備に取り組みます。
・公正かつ透明性の高い経営の実現
社会課題の解決と企業価値向上に向けて、公正かつ透明性の高い経営を目指します。
当社グループは、サスティナビリティ関連のリスク及び機会に対するガバナンス体制を構築しております。ガバナンス体制図については、
サスティナビリティ関連のリスク及び機会については、四半期ごとに開催するリスク・コンプライアンス管理委員会で識別・評価・管理のうえ、取締役会への報告を行っております。
当社グループにおける、人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下の通りです。
・人材の育成方針
当社グループでは、全社研修の実施に加え、自律的なキャリア構築を支援する教育制度を実施しており、業務に必要な知識習得に向けた自己研鑽を促進することで、継続的な人材育成に取り組んでおります。
・社内環境の整備
当社グループでは多様な属性、才能、経験等をもった人材を積極的に採用しております。
また、性別や年齢などに関係なく様々な人材が活躍できるよう、フレックス勤務、時短勤務、在宅勤務、育児休業取得を促進し、多様な人材がやりがいをもって働ける組織の構築を推進しております。
当社グループでは、(3)戦略(人的資本について)において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、連結グループに属する会社では行われていないため、次の指標に関する実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。なお、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標は設定しておりません。
(注)当連結会計年度の女性労働者の育児休業取得率については、対象者がいないため記載しておりません。
以下において、当社グループの事業の状況その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示してまいります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
① 市場について
(発生可能性:低/影響度:大)
広告・インターネット市場において、景気が急激に悪化して取引先の広告予算全体が縮小される、あるいは不動産・人材・レジャー市場において、参入市場の成長が鈍化し取引先の広告予算全体が縮小される場合があります。当社グループとしては業務提携やM&Aの推進等事業の拡大に努めてまいります。しかしながら、景気等の影響により取引先の広告予算が縮小される場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② プラットフォームについて
(発生可能性:中/影響度:大)
アプリケーションストアや、Google等の検索事業提供先において、配布方法やルール・規約及び検索ロジックの変更が発生します。当社グループとしては最新ロジックへの技術的対応、リテンションやブランディングによるプラットフォームに依存しない利用拡大等の対応に努めてまいります。しかしながら、これらの変更により検索エンジン経由の集客力が低下し、ユーザー数や収益が減少した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合について
(発生可能性:中/影響度:小)
競合との価格・スペック競争による市場差別化・競争力維持が厳しい環境と考えられます。当社グループとしてはクライアントとのパートナーシップ強化、競合他社の動向確認等の対応に努めてまいります。しかしながら、市場差別化・競争力維持ができなくなった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 特定領域の依存について
(発生可能性:低/影響度:大)
既存の行動支援プラットフォームサービスにおける「ニフティ不動産」の売上依存度が高くなっております。当社グループとしては「ニフティ不動産」以外の行動支援プラットフォームおよび行動支援ソリューションサービスへの領域拡大・売上分散によるリスクヘッジ等の対応に努めてまいります。しかしながら、「ニフティ不動産」の収益が悪化した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 取引先について
(ⅰ)取引先との関係
(発生可能性:低/影響度:中)
取引先側ビジネス並びに経営環境の変化、取引先間の関係やビジネススキーム変更等が生じる場合があります。当社グループとしては新規取引先追加及び特定取引先への依存度を下げる等の対応に努めてまいります。しかしながら既存ビジネスへの影響が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)特定取引先への依存
(発生可能性:中/影響度:大)
行動支援サービス事業は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ④生産、受注及び販売の状況 c 販売実績」に記載のとおり、当社グループの当連結会計年度において販売高上位1社に対する売上高が48.0%を占めております。当社グループとしては重要な取引先との関係を維持しつつ、新規取引先の獲得や複数のプラットフォームサービスでの事業展開を強化することで、依存度を下げる取組みを行っております。しかしながら、重要な取引先から、取引関係の終了や不利な条件の提示等を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、該当取引先とは良好な関係を継続しております。
(ⅲ)取引先の法的規制
(発生可能性:低/影響度:中)
行動支援プラットフォームサービスにおいて、不動産領域での宅地建物取引業法、求人領域での職業安定法、温泉領域での公衆浴場法、また領域を問わずパーソナルデータに関する個人情報保護法の改正など、行動支援プラットフォームサービスにおけるクライアントである取引先に関わる法的規制が改正される場合があります。当社グループとしては法改正情報の早期収集、経営判断の上のピボット推進等の対応に努めてまいります。しかしながら、それらの法改正が取引先の事業に悪影響を与える場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新規事業について
(発生可能性:中/影響度:小)
新規サービスへの先行投資を実施する可能性があります。当社グループとしては適切な意思決定による投資判断、モニタリング等の対応に努めてまいります。しかしながら、計画どおりに開発が進捗しなかった場合、想定し得ないような技術革新が起きた場合、あるいは当初期待したとおりの成果を上げることができなかった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ M&A/事業提携について
(発生可能性:中/影響度:中)
新規市場への参入や新領域事業の拡大等のためにM&Aや事業提携等の戦略投資を実施する可能性があります。当社グループとしてはこれらを行う際には、対象企業の詳細な調査を行い、十分にリスクを検討することとしております。しかしながら、費用削減を含むシナジー効果が実現できない、統合作業や費用等が増加する、取引先・人材維持に失敗する、対象企業の過大評価又は提携先へノウハウが流出する等、事前に十分把握できなかった問題が顕在化する場合や、事業展開が計画どおりに進まなかった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 災害について
(発生可能性:中/影響度:大)
事業所所在地において火災・地震・台風等の大規模な自然災害の発生や新型コロナウィルス感染症などの感染症が拡大する可能性があります。当社グループとしては大規模自然災害や感染症等に備え、事業継続計画マニュアルを策定しており、迅速かつ適切に対応する体制を整備しており、従業員の安全確保に努めながら事業継続のために必要な対処の検討・実施をいたします。
しかしながら、これらの事象により本社オフィスの設備被害や停電等が発生し、大部分のサービス提供が不可能となり、事業の継続が困難となった場合や、国内景気に対する影響は継続または拡大した場合、多数の従業員に感染症がまん延した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
小規模組織であることについて
(発生可能性:中/影響度:中)
当社グループの組織体制は小規模であり、業務執行体制及び内部管理体制もそれに応じたものになっております。当社グループとしては今後の事業展開に応じて、採用・能力開発等によって業務執行体制及び内部管理体制の充実を図ってまいります。しかしながら、事業拡大に応じた十分な人材の確保及び育成ができるかは不確実であり、これらが不十分な場合は、当社グループの業務遂行に影響を及ぼす可能性があります。
また、人材流出の発生や、人材採用が困難となる可能性があります。当社グループとしては上記事象に備え、処遇や働き方の改善、育成の拡充等の対応に努めてまいります。しかしながら、必要なスキルを有する人員が確保できず、事業の運営に支障が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 障害について
(発生可能性:中/影響度:中)
クラウドサービスにおけるシステム障害、ネットワークにおける障害、もしくはシステムでの重大な人為的ミス(操作、設計/開発上の不具合等)が発生する可能性があります。当社グループとしては上記事象に備え、情報セキュリティ研修、IT統制を通じてITインフラへの統制環境整備と運用状況確認等の対応に努めてまいります。しかしながら、ユーザーへ向けたサービスが停止した場合、取引先からの信頼低下やクライアント離れが起こり、長期的には損益が悪化していき、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 研究開発について
(ⅰ)技術革新
(発生可能性:高/影響度:中)
最新技術動向への対応遅延や他社・競合状態への対応遅延により、サービス投入、改善機会・収益機会が損失する可能性があります。当社グループとしてはIT投資の最適化、開発・品質管理の徹底等の対応に努めてまいります。しかしながら、当社を取り巻く業界の最新技術動向への対応が遅延して競合から取り残された場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)システム投資(発生可能性:高/影響度:中)
既存サービスの新機能やプラットフォーム事業者の仕様変更等への対応により、システム投資などの追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。当社グループとしてはIT投資の最適化、モニタリング等の対応に努めてまいります。しかしながら、予測とは異なる状況が発生し新サービス、新規事業の展開が計画どおりに進まず投資を回収できなかった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 法的規制について
(発生可能性:低/影響度:大)
当社グループの事業を規制する主な法規則として「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)」、「特定電子メール送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」及び「下請代金支払遅延等防止法(下請法)」等があります。当社グループとしては法改正情報の早期収集等の対応に努めてまいります。しかしながら、当社グループに適用される法令等に違反した場合、当社グループの事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、社会的信用が失われ、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 情報管理について
(ⅰ)個人情報
(発生可能性:低/影響度:大)
アカウント管理不足や不正アクセス、社内の不正行為に起因した情報漏えいの発生等の可能性があります。当社グループとしてはシステムのセキュリティ対策を講じるとともに、情報管理に関する社内規則等の整備や、情報セキュリティ研修等により情報漏えい防止に努めてまいります。しかしながら、実際に個人情報が流出し、社会的信用が低下した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(ⅱ)セキュリティ
(発生可能性:低/影響度:大)
以下のセキュリティ上のリスクがあります。
・ランサムウェア等の不正プログラムの感染による、事業活動停止
・標準型攻撃に起因する情報漏えいによる、社会的信用の低下と事業活動停止
・外部からの不正アクセスに起因した情報漏えいによる、社会的信用の低下と事業活動停止
・DDoS攻撃に起因したネットワーク不全による、サービス並びに事業活動停止
・執務エリアへの不審者の侵入を許してしまい、情報の漏洩や従業員への危害や盗難等の犯罪の被害を受ける
当社グループとしては情報セキュリティ対策として、アンチウイルスソフトの導入及び従業員の情報セキュリティに対する意識レベル向上のための教育・啓蒙活動を実施し、その維持管理を行っております。しかしながら、実際に上記リスクが現実化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権について
(発生可能性:低/影響度:大)
特許権、商標権、意匠権、実用新案権、著作権等の第三者の知的財産権を完全に把握することは容易ではなく、意図せず第三者の権利を侵害する可能性があります。当社グループとしては侵害しないように努め、また弁護士・弁理士等の法務専門家と連携し適時に相談・助言を求める等の対応に努めてまいります。しかしながら、使用差止請求、差止訴訟を受けることにより事業継続に障害が発生する、または損害賠償請求、訴訟を提起されることにより賠償金の支払が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 資本関係について
(発生可能性:低/影響度:小)
本書提出日現在、ニフティ株式会社は当社の発行済株式数(普通株式)のうち65.4%を保有しておりますが、ニフティ株式会社は株式会社ノジマの完全子会社(連結対象)であることから、上記2社はいずれも当社の親会社に該当します。ニフティ株式会社は当社株式の総議決権数の過半数を引き続き保有する予定であり、これら親会社が当社役員の選任・解任、他社との合併等の組織再編、重要な事業の譲渡、定款の変更や剰余金の処分等、当社の株主総会決議の結果に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 人的関係について
(発生可能性:低/影響度:小)
本書提出日現在、当社の役員9名(取締役6名、監査役3名)のうち、株式会社ノジマ及びニフティ株式会社の役員を兼ねる者は1名であります。豊富な経営経験から当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであり、親会社からの独立性は確保されている状況にあります。なお、当社における役職、氏名及び同社における役職は以下のとおりであります。
当社役職 :非常勤取締役 野島 亮司
株式会社ノジマ役職 :取締役 兼 代表執行役副社長
ニフティ株式会社役職:代表取締役会長
③ 「ニフティ」の商標使用について
(発生可能性:低/影響度:中)
当社グループは、ニフティ株式会社に対し商標使用を申請しその使用の承諾を得て、商標権契約を締結することで「ニフティ」の名称を使用しております。当社としては親会社グループとの良好な関係の継続に努めてまいります。しかしながら、当社がニフティ株式会社の子会社・関連会社等でなくなった場合等には、「ニフティ」の商標を使用できない可能性や使用条件が変更され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 親会社グループ内の他社との競合について
(発生可能性:低/影響度:小)
当社グループは、ニフティグループとともにノジマグループにおけるインターネットセグメントを担っておりますが、ニフティグループがネットワークサービス事業を中心とした同社会員向けサービスであることに対し、当社グループは非会員向けにWEBサービス事業を展開しております。現在、ノジマグループ全体において当社と同様の事業を行っている会社はなく、事業の棲み分けがなされ、競合関係はありません。当社としては日々モニタリングを行い状況の予見に努めてまいります。しかしながらノジマグループは新たな事業や投資の検討を日々行っていることから、今後、当社グループは投資機会の追求にあたりグループ内他社と競合する可能性があります。
(発生可能性:中/影響度:中)
当社が公募増資により調達した資金は、認知拡大・ブランディングのための広告宣伝費用、優秀な人材確保のための人件費・採用費及び事業拡大のためのソフトウエア開発費用等に充当する予定であり、当社としては適切な意思決定による投資判断、モニタリング等の対応に努めてまいります。しかしながら、投資効果が表れるまで期間がかかる場合、もしくは当初の計画に沿って調達資金を充当しても必ずしも想定どおりの投資効果が得られない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、今後の事業環境の変化や、当社事業戦略等の変更等により、将来において調達資金にかかる資金使途に変更が生じる可能性があります。
当社グループでは、2023年3月末時点の連結貸借対照表において、92,442千円ののれんを計上しております。当社としては適切な事業計画とともに事業収益力強化に努めており、のれん対象資産の評価額は帳簿価額を十分に上回ると想定しており減損可能性は高くないと考えております。しかしながら、今後の事業計画との乖離等によって、のれん対象資産の評価額が帳簿価額より著しく下落した場合には、減損損失が計上され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主要サービスである「ニフティ不動産」では、4月からの転勤や就職、就学に伴い移動ニーズが高まることから、毎年第4四半期(1月から3月)に、ユーザー数が増加する傾向があるため、当社の売上高及び利益には一定の季節変動があり、当社としては偏重状況の予測とモニタリング等により対応しております。
なお、当社グループの当連結会計年度の各四半期の売上高と構成比は以下のとおりであります。
(注)1.売上高は、連結売上高を記載しております。
2.上記の四半期会計期間の数値については、金融商品取引法第193条の2第1項に基づく有限責任監査法人トーマツの四半期レビューは受けておりません。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当社の事業セグメントは、行動支援サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
当連結会計年度末における資産合計は5,300,757千円となり、前連結会計年度末に比べ332,988千円増加いたしました。
流動資産は4,736,781千円(前連結会計年度末に比べ354,286千円の増加)となりました。その主な要因は、事業活動の進展、ストック・オプションの権利行使に伴う払込金の受領等により現金及び預金が315,173千円、売掛金が26,014千円増加したこと等によるものであります。
固定資産は563,976千円(前連結会計年度末に比べ21,298千円の減少)となりました。その主な要因は、開発投資等によりソフトウエアが28,353千円増加した一方、償却等によりのれんが43,318千円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は547,180千円となり、前連結会計年度末に比べ29,931千円減少いたしました。
流動負債は532,536千円(前連結会計年度末に比べ29,971千円の減少)となりました。その主な要因は、営業債務等の増加により買掛金が12,278千円、未払金が47,546千円、それぞれ増加した一方、法人税等の支払いにより未払法人税等が58,762千円、未払消費税等が47,268千円、それぞれ減少したこと等によるものであります。
固定負債は14,644千円(前連結会計年度末に比べ39千円の増加)となり、全て資産除去債務によるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は4,753,576千円となり、前連結会計年度末に比べ362,919千円増加いたしました。
この主な要因は、ストック・オプションの権利行使に伴う新株発行により資本金が9,205千円、資本剰余金が9,205千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が339,130千円、それぞれ増加したこと等によるものであります。
当社グループでは、ユーザー数増加と事業領域の拡大を目指し、当連結会計年度を第2成長フェーズ初年度と位置付け、①認知度拡大に向けたブランディング強化、②新たな価値提供のための開発・人材への投資、③事業規模拡大を目指した新規事業開拓等、成長投資に注力してまいりました。
主なサービス別の取り組みといたしましては、ニフティ不動産では年末年始にかけてテレビCMを放映したほか、CMを軸に交通広告やSNSによるプロモーション強化を実施する等、不動産の最繁忙期である1~3月に向け、効果の最大化を狙った施策を行いました。また、不動産ポータルサイトを束ね、多くの物件情報を有する当社ならではの強みを生かした独自の機能開発に注力し、ユーザーへの訴求強化や他社プロダクトとの差別化を図りました。ニフティ温泉につきましては、毎年年末に実施している「全国年間ランキング」においてユーザー投票が過去最高の19万票を獲得。また、ランキング入賞施設によるクーポン需要が高まったことで売上高も順調に推移したほか、2023年1月の利用者数は過去最高の430万MAUを獲得することができました。DFO(SaaSツール)につきましては、引き続き広告メディアのパートナーとのオンラインセミナーや営業連携に注力し、売上高は安定的に推移しました。
その結果、売上高は3,007,792千円(前年同期比9.1%増)となり、設立以来5期連続で過去最高を更新いたしました。一方、当期実施した成長投資効果の発現時期は来期以降にも及ぶこともあり、営業利益は571,400千円(前年同期比38.9%減)、経常利益は570,466千円(前年同期比37.5%減)、また、親会社株主に帰属する当期純利益は339,130千円(前年同期比43.8%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、4,206,913千円(前連結会計年度末は3,891,740千円)となり、315,173千円増加しております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は518,544千円(前連結会計年度は726,769千円の資金の獲得)となりました。この主な要因は、法人税等の支払額211,492千円等がある一方、税金等調整前当期純利益515,841千円の計上、減価償却費136,073千円の計上等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は221,781千円(前連結会計年度は244,524千円の資金の使用)となりました。これは無形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は18,410千円(前連結会計年度は2,300,000千円の資金の獲得)となりました。これは新株予約権(ストック・オプション)の権利行使によるものであります。
当社グループの事業は、行動支援サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当社グループは受注による販売を行っておりませんので、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは、行動支援サービス事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
(注) 1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
(売上高)
・ニフティ不動産
認知度向上を目指してテレビCMを放映する等、ブランディング強化に注力したほか、「使ってみたくなるアプリ」を目指して、UI/UX改善のためのアプリ機能の開発を推進してまいりました。その結果、アプリダウンロード数は堅調に推移し、送客数及び売上高の伸長に寄与いたしました。
・ニフティ温泉
「年間ランキング」では過去最高のユーザー投票を獲得したほか、初めての試みとして、タレントをゲストに起用してメディア向けの記者発表会も実施しました。ユーザーとのタッチポイントを増やす施策として、サウナをはじめとした各種ランキング等記事コンテンツの配信にも注力いたしました。
上記の結果として、当連結会計年度の売上高は3,007,792千円(前年同期比250,967千円の増加)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度において、売上原価は731,712千円(前年同期比104,489千円の増加)となりました。その主な増加要因は、クラウド利用料(前年同期比31,148千円の増加)や外注費(前年同期比14,397千円の増加)、ソフトウエア償却費(前年同期比50,100千円の増加)等によるものであります。主力サービスである「ニフティ不動産」における売上高増加等により、売上総利益は2,276,079千円(前年同期比146,477千円の増加)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は1,704,679千円(前年同期比510,554千円の増加)となりました。その主な増加要因は、認知拡大を目指したブランディング強化による広告宣伝費(前年同期比250,683千円の増加)や販売促進費(前年同期比121,553千円の増加)等によるものであります。
この結果、営業利益は571,400千円(前年同期比364,076千円の減少)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度において、役員報酬等返納額等により営業外収益が1,208千円(前年同期比1,192千円の増加)、為替差損等により営業外費用が2,142千円(前年同期比20,211千円の減少)それぞれ発生し、経常利益は570,466千円(前年同期比342,672千円の減少)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、ソフトウエア及びのれんの減損損失により特別損失が54,624千円発生し、法人税等合計は176,710千円(前年同期比132,811千円の減少)となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は339,130千円(前年同期比264,485千円の減少)となりました。
当社における経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標の進捗は、当連結会計年度において売上高は3,007,792千円(前年同期比250,967千円の増加)、営業利益は571,400千円(前年同期比364,076千円の減少)、行動支援プラットフォームサービス全体におけるユーザー数は2023年3月末において月間806万MAU(前年同期比6.1%の増加)、行動支援ソリューションサービスにおけるクライアント数は、2023年3月末においてDFO217件、オンライン内見625件となり、ユーザー数・クライアント数の増加とともに安定的な成長を続けております。
a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社における主な資金需要は、運転資金と設備投資資金であります。サービスの認知拡大や、集客を目的とした販売促進費(拡販費)・広告宣伝費、サービス強化、ガバナンス強化等のための人件費等、UI/UXや機能改善等により事業拡大及び収益改善を目指しての設備投資費用となります。
なお、当連結会計年度末において借入金の残高はありません。また、現金及び預金4,206,913千円を保有しており、必要な資金は確保されていると認識しております。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成においては、資産・負債および収益・費用の計上金額に影響を与える経営者による見積りが必要となります。当社グループは、連結財務諸表の作成にあたり、過去の実績や取引状況等を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであり、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しているとおりであります。
当社が締結している商標権使用許諾契約は次のとおりであります。
該当事項はありません。