第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 今後の経済情勢につきましては、米国の堅調な内需や中国の経済対策が下支えとなり底堅い成長を維持するとみられます。日本経済は、個人消費が食料品高騰により伸び悩んでいるものの、賃金引上げの流れは続いており景気は持ち直しの動きが予想されます。

 ドラッグストア業界においては、調剤や食品カテゴリーのニーズを取り込みながら出店継続により市場規模は拡大を続けていますが、生産性改善及び経費コントロールの取組みが収益力の企業間格差に大きく影響しております。

 このような状況のなかで、当社は当面、前中期経営計画の店舗戦略、調剤戦略、PB戦略、DX戦略について改善を加えながら収益力の向上に取り組んでまいります。

 

 2026年2月期の重点方針は次のとおりです。

①収益性を重視した店舗展開戦略

 出店済み地域においてドミナント戦略の更なる推進を図るとともに、店舗開発管理部の設置など店舗管理体制を強化し、より質の高い新規出店を通じて収益性を高めてまいります。また既存店においても、新たな品種の導入やスクラップ・アンド・ビルドを継続的に行い、収益力改善を図ってまいります。さらにこれらと並行して、M&Aを含めた地域への展開拡大にも引き続き取り組んでまいります。

②調剤薬局の新規開設推進と機能向上

 既存店舗への併設を中心とした調剤薬局の新規出店を引き続き推進し、併設するドラッグストア店舗との連携強化によるヘルスケアサポート機能の充実を図ってまいります。システム面を含めた環境整備を進め、自社アプリを起点としたデータ連携などDXの取り組みを通じた治療効果増進・予防推進にも取り組んでまいります。

③プライベートブランドを通じた企業価値・競争力向上

 「くらしリズム」「くらしリズムMEDICAL」の開発・販売を推進し、ツルハグループを代表する優れた商品の開発とブランド育成を図るべく、大手メーカーとの共同開発、食品PBの開発の加速、健康志向や付加価値商品の開発を行ってまいります。同時に、環境配慮型商品の開発および環境配慮パッケージの採用にも取り組み、商品開発を通じた企業価値の向上を図ってまいります。

④デジタル戦略の推進とIT基盤の強化

 ドラッグストア業界最大の店舗網を活かし、顧客データプラットフォームを活用した顧客満足度向上と新規顧客の獲得を図る新たなマーケティングの展開に取り組んでまいります。このためには、MAツールによる販促施策やBIツールによる経営における意思決定プロセスの効率化に取り組んでまいります。

⑤サステナブル経営の推進

 地域社会の一員である社員自身の自律的な成長を図るべく「人的資本経営」を策定し、人的資本の価値向上を通じた地域社会への更なる貢献を図るなど、引き続きSDGs(持続可能な開発目標)が掲げる持続可能な社会づくりに取り組んでまいります。同時に、コーポレート・ガバナンス体制の更なる充実により長期的な企業価値向上を目指します。

 2026年2月期は、新規出店120店舗、閉店62店舗、期末店舗数2,716店舗を計画しております。

 以上により、2026年2月期の連結業績予想といたしましては、売上高1兆1,134億円、営業利益511億円、経常利益503億円、親会社株主に帰属する当期純利益248億円を見込んでおります。

 また、当社はイオン株式会社とウエルシアホールディングス株式会社との経営統合を進め、各社の経営資源を最大限に活用して連携し、様々な分野でシナジーを発揮することを目指してまいります。
 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「お客様の生活に豊かさと余裕を提供しよう」という経営理念に基づき、事業活動を推進して参りました。当社グループは、企業としての責任を果たしていくために、社会と環境の様々な課題に向き合い、ESG、人的資本経営・TCFD対応の取り組みを当社グループ全体に広げ、ステークホルダーとの対話を通じてSDGs(持続可能な開発目標)の発展に貢献する企業を目指しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、サステナビリティ推進に向けた活動として年4回開催のESG推進委員会にて、「ガバナンス」・「環境問題」・「人材開発」・「気候関連」を含めたサステナビリティ上の重要課題に関して、活動戦略の報告、策定および実務状況の管理を行っております。事業への影響を最小限にするための状況報告およびリスク管理対策は定期的にグループ執行会議および取締役会への報告を行うなど、監視体制を整備しております。

 

(2)戦略

①気候変動・環境問題に関する取り組み(TCFD提言への対応)

当社グループでは、気候変動リスクへの対応を、重要課題の一つと認識しております。気候変動がもたらすリスク・機会を基にシナリオ分析については、ESG推進委員会メンバーとサステナブル経営推進部が実施し、ESG推進委員会から取締役会の監督の下、代表取締役社長を委員長としたグループリスク管理委員会へ年2回報告をしております。取締役会は、グループリスク管理委員会で審議された重要事項について年に2回報告を受け、気候変動リスクへの対応方針および実行計画等についても審議・監督を行って参ります。詳細な情報につきましては、当社ホームページにて開示しております。

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②人材育成および社内環境整備方針

当社グループが掲げる経営理念の「お客様の生活に豊かさと余裕を提供する」を全うするために最も重要と考えているのが約5万人の社員です。日本全国に展開する事業会社・店舗に勤務する多様な社員を“人的資本”と位置づけ、「人材育成」「職場環境」「心身の健康」3つの視点で構成した総合的な施策を通じ、その価値を高めることで、地域社会へ永続的な貢献を果たすとともに、地域社会の一員でもある社員自身の自律的な成長を図ります。

詳細な情報につきましては、人的資本経営基本方針を当社ホームページに開示しております。

 

 

(3)リスク管理

当社グループは、グループリスク管理委員会を設置し、リスクの発生懸念、発生状況を始め、当社グループを取り巻くリスクに関する情報の収集分析を行い、重点対応すべきリスクを選定し、対応を実施することでリスクのコントロールを進めております。

特定したリスク・機会は年2回開催のグループリスク管理委員会にて審議・議論し、リスク管理の状況や重大なリスクの判断に関しては、グループ執行会議及び取締役会への報告・提言を行っております。

 

(4)指標及び目標

①気候変動・環境問題(TCFD提言への対応)

当社グループは、気候変動が社会の喫緊の課題であると認識し、温室効果ガス削減や省エネルギー化に取り組んでいます。持続可能な社会の実現に向けて、SBT(Science Based Targets)として求められるCO2排出削減レベルを考慮し、Scope1,2について、「2030年度に2013年度比一店舗当たりのCO2排出量を46%削減」の目標を設定しています。また、Scope3においても特に重要と考えるカテゴリについて目標を定め削減を進めてまいります。

 

当連結会計年度は決算期変更により、9.5ヶ月の変則決算となっているため、当該期間における正確なデータの取得・集計が困難であることから、GHG(温室効果ガス)排出量の算定を行っておりません。なお、次年度以降は従来通り、GHG(温室効果ガス)排出量の継続的な開示を再開する予定です。

 

●GHG(温室効果ガス)排出量の推移(Scope1、2)                     (単位:t-CO2)

年度

2018年度

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

集計期間

2018年4月

2019年3月

2019年4月

2020年3月

2020年4月

2021年3月

2021年4月

2022年3月

2022年4月

2023年3月

2023年4月

2024年3月

Scope1(直接排出)

5,761

5,348

4,408

4,031

3,731

3,424

Scope2(間接排出)

215,873

226,446

238,776

247,213

261,251

275,368

Scope1+Scope2(店舗のみ)※1

221,634

231,794

243,184

251,244

264,982

278,792

Scope1+Scope2(全社)※2

-

-

-

-

-

280,392

店舗数(店) ※3

2,082

2,150

2,420

2,522

2,589

2,653

1店舗平均排出量 ※4

106.5

107.8

100.5

99.6

102.3

105.1

※1.当社グループの店舗運営部門のみを対象にGHG排出量を集計しております。

※2.2023年度より、オフィス及び社有車使用によるGHG排出量を「Scope1+Scope2(店舗のみ)」に加算し、全社合計の

  GHG排出量(Scope1+Scope2)を算定しております。

※3.店舗数は、GHG排出量算定期間の当社グループ期末店舗数を記載しております。

※4.一店舗あたりの平均排出量は、「Scope1+Scope2(店舗のみ)」÷「店舗数」により算定しております。

 

●GHG(温室効果ガス)排出量(2023年度、Scope3)      (単位:t-CO2)

Scope3カテゴリ

2023年度

購入した商品・サービス

3,031,230

資本財

107,227

燃料及びエネルギー活動

41,957

輸送、配送(上流)

530,211

事業から出る廃棄物

8,267

雇用者の出張

1,240

雇用者の通勤

15,374

輸送、配送(下流)

3,578

13

リース資産(下流)

8,279

14

フランチャイズ

430

Scope3総計

3,747,793

※1.カテゴリ8、10、11、12、15については、対象のない項目または排出量を算定できていない項目です。

※2.全カテゴリについて、数値及び算定方法を精査中です。

※3.2023年度における集計期間は、2023年3月~2024年2月としております。

 

GHG排出量の削減については、各店舗の省エネ、節電を心掛けるとともに、化石燃料を用いない再生可能エネルギーの導入や国が認証するJ-クレジット制度を積極的に活用し脱炭素社会の実現を目指して参ります。

 

②人材育成および社内環境整備方針

ツルハグループは人的資本経営の3つの視点「人材育成」「職場環境」「心身の健康」を柱としております。この方針にもとづく指標に関する実績および目標は、次のとおりであります。

指標

算出式

2024年5月実績

2025年2月実績 ※1

2030年2月目標数値

女性管理職比率※係長級を含む

女性管理職者数

÷全管理職者数

※係長級を含む

23.4%

24.3

37.0

男女賃金格差

女性平均月例給

÷男性平均月例給

正社員:73.7%

パートアルバイト:100.1%

全社員:60.0%

正社員:73.2%

パートアルバイト:102.1%

全社員:58.3

正社員:78.0%

パートアルバイト:101.2%

全社員:58.6

男性育児休業取得率

(男性育児休業・時短取得者)÷配偶者が出産した男性社員数

43.8%

73.8

95.0

※1.2025年2月実績は、2024年5月~2025年2月の期間で算出したものとしております

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態および投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1)持株会社としてのリスク

 グループ各社の経営変動リスクについて

  グループ各社の諸要因に基づく業績の急激な変動が、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 のれんの減損リスクについて

  のれんは、各連結子会社の将来の超過収益力の下落に起因する潜在的な減損のリスクにさらされており、減損損失が計上された場合、連結財務諸表に対して重要な影響を生じさせる可能性があります。

  各連結子会社別ののれんの残高については「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の分析 (固定資産)」に記載しております。

2)法的規制について

①「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、「医薬品医療機器等法」という。)」等による規制について

 当社グループは、「医薬品医療機器等法」上の医薬品等を販売するにあたり、各都道府県の許可・登録・指定・免許および届出を必要としております。また、食品、たばこ、酒類等の販売については、食品衛生法等それぞれ関係法令に基づき、所轄官公庁の許可・免許・登録等を必要としております。今後当該法令等の改正により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

②出店に関する規制等について

 「大規模小売店舗立地法」(以下、「大店立地法」という)においては、売場面積が1,000㎡を超える新規出店および既存店の変更について、都道府県知事(政令指定都市においては市長)に届出が義務付けられており、騒音、交通渋滞およびごみ処理等地域への生活環境への配慮が審査事項となります。

 従いまして、上記法的規制により計画どおりの新規出店および既存店の増床等ができない場合は、当社グループの出店政策に影響を及ぼす可能性があります。

3)資格者確保について

 医薬品医療機器等法や薬剤師法の規定により薬剤師または医薬品登録販売者の配置が義務づけられております。医薬品の販売に伴いこれら有資格者を確保することは営業政策上重要な要件となります。

 これら有資格者の確保が十分にできない場合には、当社グループの出店政策に影響を及ぼす可能性があります。

4)人材について

 代表取締役をはじめとする取締役および執行役員は、当社グループの経営において重要な役割を果たしております。これら取締役および執行役員が業務執行できない事態が発生した場合、業績に影響を及ぼす場合があります。

5)調剤業務について

 当社グループは、グループ調剤薬事部を主管部署とする薬剤師の専門的な知識の習得、スキルアップなどに積極的に取り組んでおります。また、当社グループは、調剤過誤を防止すべく調剤過誤防止システムを導入し、服薬指導時における薬品名・用量確認など細心の注意を払って調剤業務を行っております。また、万一に備え、調剤薬局全店舗において「薬剤師賠償責任保険」に加入しております。しかしながら、調剤薬の欠陥・調剤過誤などにより訴訟を受けることがあった場合、社会的信用を損なうなどの理由により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

6)出店政策について

 当社グループは、地域での知名度向上による占有率向上および管理コストの抑制等を目的とするドミナント戦略をとっております。今後の店舗展開において、出店場所が十分に確保できない場合や、ドミナント形成に時間を要する場合には、店舗の収益が悪化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

7)情報システム・個人情報保護について

 当社グループは、ポイントカードシステムの運用に伴う顧客情報、調剤業務に伴う患者情報等を保持しており、これら情報の中には顧客または患者個人のプライバシーに関わるものが含まれております。これらの情報の取扱いについては情報管理者により、情報の利用・保管等に関する社内ルールを設け、その管理については万全を期してはおりますが、コンピュータの不具合やサイバー攻撃等の犯罪行為によるインシデントがあった場合、社会的信用を損なうなどの理由により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

8)自然災害等について

 当社グループの本社、店舗、物流センター等所在地域において、大規模な地震等自然災害や、予期せぬ事故等により、当社グループの設備に損害や、従業員等の人的被害が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

9)気候変動リスクについて

 世界的な気候変動により、政府の環境規制強化に伴う炭素税の導入や、再生可能エネルギー需要の増加による価格上昇等の費用の増加、世界規模での地球温暖化対策が講じられることによる資源調達費用の増加等が発生する可能性があります。

 なお、当社グループはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言に賛同し、気候変動によるリスクを全社リスクの一つとして管理しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

 当社は決算期変更に伴い、当連結会計年度(2024年5月16日~2025年2月28日)は9.5ヶ月の変則決算となっております。このため、前連結会計年度との比較は行っておりませんが、参考情報として前連結会計年度12ヶ月の実績値を記載しております。

 当連結会計年度における経済情勢は、設備投資や生産の持ち直し、企業業績の改善のなか、景気は緩やかな回復傾向となっております。物価上昇により実質賃金伸びは一進一退で貯蓄率の上昇もみられ、個人消費は伸び悩んでおります。また米国の保護主義政策による貿易紛争や中東情勢などの地政学リスクにより先行き不透明感が続いております。

 ドラッグストア業界においては、人流やインバウンド需要の回復、物価上昇等による売上増効果に一巡感がみられるなか、依然食料品中心の値上がりは進んでおり消費者の節約志向は続いております。また出店競争が続くなか調剤チェーンや食品スーパー等の他業態企業の取り込みも見られており、市場規模の拡大は継続しております。

 このような状況のもと、当社グループでは当期が最終年度となる中期経営計画の達成に向け、店舗戦略では自社建物やスクラップ&ビルドによる出店の推進、調剤戦略では薬局機能の強化、PB戦略では食品を中心とした商品開発、ストアロイヤリティ向上への取り組み、DX戦略ではアプリ会員の拡大、MAツール活用による来店促進、BIツールによる経営数値の可視化に取り組んでまいりました。また、業績管理面では収益性改善・販売管理費の低減に取り組んでまいりました。

 店舗展開につきましては、既存エリアのさらなるドミナント強化を図るとともに競争力強化のため不採算店舗の改廃を進め、期首より73店舗の新規出店と68店舗の閉店を実施いたしました。この結果、当期末のグループ店舗数は直営店で2,658店舗となりました。なお、タイ国内の当社グループ店舗につきましては、3店舗の新規出店により同国内における店舗数は2025年2月28日現在で22店舗となりました。

 

当社グループの出店・閉店の状況は次のとおり

 

 

 

 

 

(単位:店舗)

 

期首店舗数

出店

閉店

純増

期末店舗数

うち

調剤薬局

北海道

432

14

9

5

437

147

東 北

604

10

21

△11

593

165

関東甲信越

533

11

16

△5

528

224

中部・関西

269

9

9

269

167

中 国

366

10

2

8

374

143

四 国

225

5

5

225

69

九州・沖縄

224

14

6

8

232

52

国内店舗計

2,653

73

68

5

2,658

967

上記のほか、海外店舗22店舗、FC加盟店舗7店舗を展開しております。

 

 これらの結果、当連結会計年度における業績は、売上高8,456億3百万円(前連結会計年度1兆274億62百万円)、営業利益378億94百万円(前連結会計年度471億51百万円)、経常利益378億40百万円(前連結会計年度474億66百万円)となりました。また、投資有価証券売却益38億30百万円を計上するとともに、店舗等の収益性を吟味した結果、回収可能価額と帳簿価額との差額107億43百万円を減損損失、さらに店舗の閉鎖に伴い将来発生すると見込まれる損失額として31億10百万円を店舗閉鎖損失引当金繰入額として計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は172億7百万円(前連結会計年度217億43百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて338億10百万円増加し、5,833億62百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末に比べて293億29百万円増加し、3,028億11百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加340億51百万円などによるものであります。

 固定資産は前連結会計年度末と比べて44億81百万円増加し、2,805億50百万円となりました。これは主に、新規出店等に伴う有形固定資産の増加63億20百万円、のれんの償却及びソフトウエア償却に伴う無形固定資産の減少10億41百万円、投資有価証券の売却による減少22億39百万円などによるものであります。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べて327億30百万円増加し、2,769億84百万円となりました。これは主に、決算日変更に伴う買掛金の増加252億54百万円、長期借入金の増加28億50百万円、長期リース債務の増加76億65百万円、未払金の減少88億97百万円、繰延税金負債の減少39億55百万円などによるものであります。

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて10億80百万円増加し、3,063億77百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加31億71百万円、その他有価証券評価差額金の減少16億47百万円などによるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は2.7ポイント減少し、48.2%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて340億51百万円増加し、926億5百万円となりました。

 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、646億43百万円(前期は519億64百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が283億81百万円となったことと、仕入債務の増加252億54百万円、減価償却費132億7百万円、減損損失107億43百万円等のプラス要因に対し、法人税等の支払額153億円等のマイナス要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、197億13百万円(前期は360億68百万円の使用)となりました。これは主に、新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出201億10百万円、新規出店に伴う差入保証金の支出40億73百万円、ソフトウエアの取得による支出27億32百万円となったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、108億72百万円(前期は362億59百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入れによる収入100億円及び長期借入れによる収入60億円があった一方、配当金の支払額140億35百万円、長期借入金の返済による支出54億円及び短期借入金の返済による支出50億円があったこと等によるものであります。

 

④仕入及び販売の実績

当社グループは小売業を主たる事業としているため、生産実績及び受注実績は記載しておりません。

(ⅰ)仕入実績

 品目

 当連結会計年度

(自 2024年5月16日

  至 2025年2月28日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

前期比

(%)

 

 

 

医薬品

119,250

20.2

化粧品

78,708

13.3

雑貨

154,592

26.2

食品

181,256

30.7

その他

54,569

9.2

小計

588,376

99.7

不動産賃貸料原価

721

0.1

手数料収入等

1,330

0.2

合計

590,428

100.0

(注)1.金額は、実際仕入価格によっております。

2.その他の主な内容は、育児用品・健康食品・医療用具等であります。

3.当社は2025年2月期より決算期(事業年度の末日)を5月15日から2月末日へ変更しております。この変更に伴い、2025年2月期は決算期変更の経過期間となることから9.5ヶ月決算となっております。このため、前期比は記載しておりません。

 

(ⅱ)販売実績

(品目別売上高)

 品目

 当連結会計年度

(自 2024年5月16日

  至 2025年2月28日)

金額

(百万円)

構成比

(%)

前期比

(%)

 

 

 

医薬品

200,746

23.7

化粧品

117,511

13.9

雑貨

220,139

26.0

食品

219,071

25.9

その他

84,470

10.0

小計

841,940

99.6

不動産賃貸料

1,051

0.1

手数料収入等

2,611

0.3

合計

845,603

100.0

(注)1.その他の主な内容は、育児用品・健康食品・医療用具等であります。

2.当社は2025年2月期より決算期(事業年度の末日)を5月15日から2月末日へ変更しております。この変更に伴い、2025年2月期は決算期変更の経過期間となることから9.5ヶ月決算となっております。このため、前期比は記載しておりません。

 

(地域別売上高)

区分

地域

売上高

店舗数

金額(百万円)

前年同期比(%)

前年同期比(+)

商品売上

北海道

139,368

437

店舗

5

店舗

青森県

18,593

67

店舗

△1

店舗

岩手県

20,611

78

店舗

△2

店舗

宮城県

47,888

148

店舗

△6

店舗

秋田県

21,792

83

店舗

1

店舗

山形県

25,333

97

店舗

△3

店舗

福島県

31,865

120

店舗

店舗

茨城県

11,840

51

店舗

店舗

栃木県

8,118

35

店舗

店舗

埼玉県

1,576

9

店舗

1

店舗

千葉県

51,640

151

店舗

店舗

東京都

33,672

162

店舗

1

店舗

神奈川県

10,820

39

店舗

△1

店舗

新潟県

7,806

30

店舗

△6

店舗

山梨県

7,497

32

店舗

店舗

長野県

4,803

19

店舗

店舗

静岡県

107,923

102

店舗

店舗

愛知県

24,906

91

店舗

3

店舗

滋賀県

1,170

5

店舗

△2

店舗

京都府

1,236

5

店舗

△1

店舗

大阪府

9,615

24

店舗

△2

店舗

兵庫県

6,255

24

店舗

3

店舗

和歌山県

4,127

18

店舗

△1

店舗

鳥取県

14,885

43

店舗

1

店舗

島根県

22,804

57

店舗

1

店舗

岡山県

3,800

15

店舗

1

店舗

広島県

69,230

201

店舗

3

店舗

山口県

15,572

58

店舗

2

店舗

徳島県

6,308

25

店舗

店舗

香川県

13,949

51

店舗

店舗

愛媛県

36,243

119

店舗

3

店舗

高知県

8,147

30

店舗

△3

店舗

福岡県

24,667

104

店舗

5

店舗

佐賀県

1,134

6

店舗

店舗

長崎県

1,065

7

店舗

△1

店舗

熊本県

1,946

12

店舗

1

店舗

大分県

2,032

9

店舗

1

店舗

宮崎県

1,092

11

店舗

店舗

鹿児島県

7,076

37

店舗

△3

店舗

沖縄県

13,515

46

店舗

5

店舗

小計

841,940

2,658

店舗

5

店舗

不動産賃貸料

1,051

 

 

 

 

手数料収入等

2,611

 

 

 

 

合計

845,603

2,658

店舗

5

店舗

(注)当社は2025年2月期より決算期(事業年度の末日)を5月15日から2月末日へ変更しております。この変更に伴い、2025年2月期は決算期変更の経過期間となることから9.5ヶ月決算となっております。このため、売上高の前年同期比は記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態の分析

(総資産)

 当連結会計年度末における総資産につきましては、5,833億62百万円と前連結会計年度末に比べて338億10百万円増加となりました。

(流動資産)

 流動資産につきましては、主に現金及び預金の増加等により、3,028億11百万円と前連結会計年度末に比べ293億29百万円の増加となりました。

(固定資産)

 固定資産につきましては、主に新規出店に伴う有形固定資産取得と差入保証金の増加等により、2,805億50百万円と前連結会計年度末に比べ44億81百万円の増加となりました。

 なお、のれんの残高を会社別に示すと以下のとおりです。

会社名

金額(百万円)

㈱杏林堂グループ・ホールディングス

8,047

㈱ドラッグイレブン

7,795

㈱ビー・アンド・ディー

2,451

㈱くすりの福太郎

1,130

その他

349

19,773

 

(流動負債)

 流動負債につきましては、主に買掛金の増加等により、2,066億46百万円と前連結会計年度末に比べ252億83百万円の増加となりました。

(固定負債)

 固定負債につきましては、主にリース債務の増加等により、703億38百万円と前連結会計年度末に比べ74億46百万円の増加となりました。

(純資産)

 純資産につきましては、主に利益剰余金の増加等により、3,063億77百万円と前連結会計年度末に比べ10億80百万円の増加となりました。自己資本比率は48.2%と前連結会計年度末に比べ2.7ポイントの減少となっており、1株当たり純資産額は5,778.90円と前連結会計年度末に比べ30.27円の増加となりました。

 

②経営成績の分析

 当連結会計年度の業績について以下の通りです。

 なお、当連結会計年度は決算期変更により、9.5ヶ月の変則決算となっているため、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

(単位:百万円)

 

前期実績

計画

当期実績

前年比(%)

計画比(%)

売上高

1,027,462

850,800

845,603

99.4

営業利益

47,151

38,700

37,894

97.9

経常利益

47,466

38,400

37,840

98.5

親会社株主に帰属する当期純利益

21,743

22,200

17,207

77.5

 

 

(ⅰ)売上高
 売上高は8,456億3百万円(前連結会計年度1兆274億62百万円)となりました。

 商品部門別の状況は、次のとおりであります。
(医薬品)

 前年の抗原検査キット等の反動減や紅麹問題による漢方薬の販売減少はあったものの、調剤薬局の新規開設による処方箋枚数の増加により、売上高は2,007億46百万円となりました。

 

(化粧品)

 基礎化粧品が好調に推移したものの、前年の人流回復、脱マスクによる効果が一巡したことから、売上高は1,175億11百万円となりました。

(雑貨)

 一品単価の上昇と販売点数の前年割れが続くなか、シャンプー、洗剤、オーラルケアなどは販売が堅調に推移し、売上高は2,201億39百万円となりました。

(食品)

 米を中心に値上が続くなかでも販売数量は堅調に推移し、冷凍食品、菓子、日配も好調であったことから、売上高は2,190億71百万円となりました。

(その他)

 マスクの販売減少は続いており、健康食品の不調、育児用品も値上げによる販売数量の減少が響き、売上高は844億70百万円となりました。

 

(ⅱ)売上総利益
 食品、化粧品、医薬品の売上高が増加したことや、利益率の改善に取り組んだことから、売上総利益は2,575億40百万円(前連結会計年度3,122億76百万円)となり、売上総利益率においても30.5%(前連結会計年度30.4%)を確保いたしました。

 

(ⅲ)販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費は2,196億45百万円(前連結会計年度2,651億25百万円)となり、売上高販管費率においては26.0%(前連結会計年度25.8%)となりました。

 

(ⅳ)営業利益・経常利益
 上記の結果、営業利益は378億94百万円(前連結会計年度471億51百万円)となり、経常利益は378億40百万円(前連結会計年度474億66百万円)となりました。

 

(ⅴ)親会社株主に帰属する当期純利益
 上記に加え、有形固定資産の減損損失及び店舗閉鎖損失引当金繰入額の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は172億7百万円(前連結会計年度217億43百万円)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(ⅰ)キャッシュ・フローの状況の分析

 第一部 企業情報 の「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」における記載内容と同一であるため、記載を省略しております。

 

(ⅱ)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要のうち、主なものは商品の仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店等によるものであります。これらの資金需要は自己資金または銀行借入により調達しております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況」 連結財務諸表及び財務諸表の注記事項「(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

⑤今後の方針について

 当社グループは、創業以来「お客様第一主義」を基本的な経営方針とし、「お客様の生活に豊かさと余裕を提供する」という経営理念のもとに利便性と専門性を追求し、お客様の健康で快適な生活に貢献するため、身近で買物しやすい店舗づくりに取り組んでおります。当社を中核とする持株会社体制によりグループの戦略機能を当社に集約し、迅速かつ機動的な意思決定を行い、各子会社は経営理念実践のため、事業活動に専念できる体制をとっております。

 今後も店舗戦略、調剤戦略、PB戦略、DX戦略、財務戦略を進めるとともに、イオン株式会社及びウエルシアホールディングス株式会社との経営統合に向けた協議を進め、企業価値向上を目指してまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)イオン株式会社及びウエルシアホールディングス株式会社との資本業務提携に係る最終契約書の締結

 当社は、2025年4月11日開催の取締役会において、イオン株式会社及びウエルシアホールディングス株式会社との間で、資本業務提携に係る最終契約を締結することを決議し、同日付で本資本業務提携最終契約を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)(資本業務提携に係る最終契約書の締結)」に記載のとおりであります。

 

(2)株式交換契約の締結

 当社及びウエルシアホールディングス株式会社は、2025年4月11日付の両社の取締役会決議により、経営統合の一環として、当社を株式交換完全親会社とし、ウエルシアホールディングス株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換に係る株式交換契約を締結いたしました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)(株式交換契約の締結)」に記載のとおりであります。

 

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、研究開発活動を行っておりませんので該当事項はありません。