第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、当社の経営理念・社是である「おいしさと健康を愛する魅力あるスタミナ食品をもって世界に貢献する。我々は真のやりがいを感じ、企業の成長・発展とともに生活・文化の向上を図る」を基本とし、世界の人々が幸せになるように食肉原料製品と加工食肉の製造及び食肉の販売という食肉事業を主領域に定め、企業の存在価値を高め世界に貢献できる企業集団を目指して、グローバルな事業展開を行っております。
 「おいしさと健康を愛する魅力あるスタミナ食品」とは、製品・商品の開発と販売を通して品質、安全性、機能性、栄養価、価格及び食事に求める楽しさや充実感など、お客様の要望にお応えできる魅力ある製品・商品とサービスを創造し提供することであります。引き続き「社是」及び五愛の精神(5つの愛:お客様を愛する。商品を愛する。会社を愛する。社員を愛する。株主を愛する。)に基づく「社訓」ならびに企業管理と法令順守(コンプライアンス)を含めたあるべき行動規範である「エスフーズ行動憲章」の下、内部統制の一層の充実を図ることにより、信頼と企業価値を高め「バラエティーミート世界一、食肉日本一」という経営ビジョンの達成を目指してまいります。

(2)目標とする経営指標

  当社グループは、連結売上高5,000億円、経常利益200億円の早期達成を目指しております。

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、上記の経営の基本方針に沿って食肉の総合企業集団を目指しており、食肉を中心とした食品の安定的な供給体制の確立に引き続き取り組んでまいります。具体的には、食肉の生産、調達、加工、流通、及び最終消費者向け販売・サービスという食肉流通の川上領域から川下領域まで一貫したグループ内食肉サプライチェーンの構築を進めます。更に、国内に留まらず海外における食肉流通機能も拡充することにより、社会情勢の変動への対応力を高めてまいります。

(4)経営環境及び会社の対処すべき課題

 日本経済は賃金上昇などの影響によりゆるやかな回復基調を示すものの、不安定な国際情勢によるエネルギー資源の高騰や度重なる生活物資の値上げの影響でインフレが進行しております。これらの事象にまだ収束は見込めず、この先も不安定な状況が継続すると予想されます。

 このような状況下、当社グループとしては、長年構築してきた食肉関連事業の垂直統合の利点を最大限に活かして、食品の安定供給に努めると共に、確固とした経営地盤の構築に取り組んでまいります。

 食肉等の製造・卸売事業においては、国内外の販売強化を見据え、引き続き事業・拠点の整備のための投資を継続するだけでなく、老朽化設備・施設の整理や生産拠点の集約を進めていきます。アメリカのオーロラビーフでは、本年度に新工場を稼働させ、供給能力の増強を図ります。国内においても、必要な拠点の整備・集約を順次進めていく計画です。

 製品事業については、当社が優位性を持つバラエティーミートや国産牛を原料として使用した製品の開発・販促に取り組みます。また、大阪万博を見越した新商品の投入や期間限定で自社ブランド「甲子園の味」の復活などを行う予定です。

 食肉等の小売事業においては、引き続き既存店活性化や、不採算店閉鎖を継続しつつ、新規ディベロッパーへの出店や、新業態店舗への取り組みを進めてまいります。出店に関しましても、立地条件、契約条件、競合、収益性を精査しながら総合的かつ慎重に検討を行い、周辺領域への新規展開も行うことで収益の多様化を図ってまいります。

  食肉等の外食事業においては、需要の高まりも見込まれながら、従来からの着実な採算重視の経営を維持しつつ、ステーキレストラン事業及び焼肉・しゃぶしゃぶチェーン事業の競争力を持たせながら着実に運営するとともに新店の開発にも注力する計画です。

 経営品質の向上については、重要なステークホルダーへの着実な還元を進めていきます。株主への配当につきましては、本年1月に発表の通り、当社は連結の株主資本配当率(DOE)3%を目途に安定的な利益還元を目指していきます。また、従業員の満足度を高めるため昨年設置した健康経営推進室の活動を通して、引き続き従業員の働きやすい環境の整備を充実させてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

  なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において当社が判断したものであります。

また、連結グループの主要な事業を営む会社において、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社では行われていないことから、提出会社単体の記載としております。

 

(1)ガバナンス

当社では、中長期的な企業価値向上のためサステナビリティを巡る課題への対応を最重要課題と位置付け、サステナビリティ委員会を設置しております。

サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する「基本方針」及び「マテリアリティ(重要課題)」を策定しました。

 

基本方針

エスフーズグループは、「おいしさと健康を愛する魅力あるスタミナ食品をもって世界に貢献する」ことを経営理念(社是)に掲げ、事業活動を行ってまいりました。環境・社会・経済の様々な課題解決と事業活動を連動させ、当社グループの持続的な成長・発展とともに持続可能な社会の実現に貢献してまいります。その実現に向けて「5つのマテリアリティ(重要課題)」を優先的に取り組んでまいります。

 

  マテリアリティ(重要課題)

●おいしさと健康を愛する魅力ある食品の安定調達・供給

●地球環境への配慮

●従業員が明るく、元気に、楽しく働くための環境づくり

●地域社会への貢献

●コーポレート・ガバナンスの強化

  これらの取り組みについて、その進捗等は、取締役会へ報告することとしております。

 

(2)戦略

  マテリアリティ(重要課題)に関する戦略は次のとおりです。

  ●おいしさと健康を愛する魅力ある食品の安定調達・供給

    〇安全・安心な食品の提供

    〇栄養と機能性に優れた健康に役立つ食品の提供

    〇持続可能な畜産業界への貢献

    〇人権を尊重した調達の推進

    〇アニマルウェルフェアへの対応

  ●地球環境への配慮

    〇温室効果ガス排出量の削減

    〇エネルギー・用水使用量の削減

    〇廃棄物排出量の削減

    〇生物多様性の保全

    〇環境配慮型資材の使用

  ●従業員が明るく、元気に、楽しく働くための環境づくり

    〇人材開発・育成

    〇多様な働き方の尊重、個人と人権の尊重

    〇ワークライフバランスの推進

    〇労働安全衛生、健康管理

  ●地域社会への貢献

    〇地域イベント協力

  ●コーポレート・ガバナンスの強化

    〇ステークホルダーへの積極的かつ公正な企業情報の開示

    〇ステークホルダーと緊密なコミュニケーションを図る

 

(3)リスク管理

サステナビリティ委員会は、当社を取り巻くマテリアリティ(重要課題)に係るリスクや機会について協議し、取締役会へ報告します。これを受けて、取締役会はリスク懸念事象について審議し、当社の対応方針や実行計画等を決定していきます。

 尚、決定された事項については、サステナビリティ委員会で具体的な行動に落とし込んでいきます。

 

(4)指標及び目標

地球環境への配慮に関する戦略を管理する指標として、CO2排出量(※1)、用水使用量(※2)、廃棄物排出量(※2)について2024年度実績を把握しました。

今後は、情報を整理し、2024年度実績を基準に中長期的な目標を設定し、目標達成に向けて取り組んでいきます。

その他のマテリアリティ(重要課題)に関する指標及び目標については、サステナビリティ委員会にて継続して検討しております。

 

(2024年度実績)

   〇CO2排出量(※1)  :73,597tCO2

   〇用水使用量(※2)   :212千㎥

   〇廃棄物排出量(※2) :1,204t

 

   ※1:国内グループ主要製造拠点を含むCO2排出量(Scope1+Scope2)

   ※2:エスフーズ株式会社

 

 

(人的資本への対応)

近年、国内労働力人口は減少局面に入り、従来方針に基づく方策では人材確保が厳しい状況下にあります。その中でこれまでの採用手法にとらわれることなく多種多様な人材獲得に目を向け、多様な働き方で互いの立場を尊重し合ってあらゆる社員の活躍の場を広げていくこと、そのうえで個々の社員が自らの能力を高めていくように仕向けていくことが当社の成長、発展に欠かせないことだと考えています。

具体的には、役職位や入社年次等の階層に応じて、それぞれに求められるスキルや役割意識、最近の押さえるべきトレンド等の理解を深める「階層別研修」と、次の幹部候補を発掘・育成するための「選抜型研修」を基軸研修と位置づけて毎年継続して実施しています。2025年度には将来の幹部社員として会社を牽引してもらいたい若手社員を対象に新たな研修の実施を予定しています。

 

主な階層別研修

主な選抜型研修

管理者研修

(部長/課長)

新任役職者研修

(営業所長/課長/係長/主任)

入社年次研修

(2年目・3年目・4年目)

中途入社者研修

新入社員研修

次世代リーダー育成研修

若手社員キャリアアップ研修

チャレンジ研修

 

 

 

A.戦略

<目指す方向性>

1.人材育成

①現状の管理職層に男性社員が偏っているため、将来に向けて女性管理職を増やしていかねばならない。そのために、管理職層の手前に位置付けられる係長職や主任職に意欲と能力のある女性社員を積極的に登用していき、管理職予備軍である職層の充実を図っていきます。

②法令や規則に則った方法で労働時間を申請し、時間管理ができる仕組みを構築すると共に、法令や労使協定に基づく時間内で業務を遂行できる体制と意識の醸成を図っていきます。

③少数精鋭でミッション(業務目標)を達成するため、個々人が複数の職務をこなせるように育成指導していく必要があると考えます。職種を問わず「多能工化」を推進し、多種多様な人材育成を図っていきます。

 

具体的には、次の事項に取り組みます。

 

①女性活躍の推進

・将来の管理職候補となる主任職や係長職への昇進数を増やすため、女性社員本人の意思を踏まえて職務拡大及び職務充実を図っていきます。

・適材適所を踏まえ中途採用を含む採用人員の女性比率を高めていきます。

 

②適切な労働時間管理と過重労働の防止

・勤怠管理システムを応用的に活用することで、労働時間の集計処理を適切に行い、適正な給与支払処理を行います。

・過重労働防止の対策の一つとして、勤務間インターバル制度の導入を検討していきます。

 

③多能工化の推進

・育児休業や介護休業といった制度を利用するに際して、休業取得者以外の勤務する社員が休業者に代わって業務対応をなし得る体制を平時より構築していきます。

・次期管理者育成研修等を通して職務の多能工化への意識を醸成していきます。併せて、受講生を中心に若手社員のジョブローテーションを図っていきます。

 

2.社内環境整備

①社員の心身の健康が整うことで確実で手際よく仕事をこなすことができるものと考えます。労働災害の無い安心安全な職場づくりと共に社員のメンタル不全を防止するために相談・支援体制の整備を図っていきます。

 

具体的には、次の事項に取り組みます。

 

①安心安全な職場づくりの推進

・「ヒヤリ・ハット」の問題事例を収集し、その中にある不安全箇所や不安全行為を失くすために、改善策を練り、実行に移します。

・ストレスチェックを年2回実施することで、各社員自身や会社にとって必要な対応を早期に実施できる体制を構築します。また、社内健康相談を通して、産業医等と連携して高ストレス者やメンタル不調者への働きかけを行い、早期改善に努めていきます。

 

  B.指標及び目標

 

指標

目標

2024年度実績

男性労働者の育児休業取得率

2030年度まで50以上

12.0

採用した労働者に占める女性労働者の割合

2030年度まで30以上

28.6

管理職に占める女性労働者の割合

2030年度まで3以上

1.1

 

 

 

3 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載しております事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として以下のようなものが考えられます。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況・消費動向等

 当社グループは、日本及び米国において食肉・食肉加工品等の食品の製造・販売を主な事業としております。これらの市場は、経済状況や人口及び消費者の価値観の変化などによって市場規模・販売価格の変動或いは企業間競争の激化を招くことにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)法的規制

 当社グループは、食肉原材料及び商品の多くを海外の生産国から調達していることから、通商・関税等の規制の適用を受け、一方国内では食の安全・品質の保証に関する法規をはじめ種々の法的規制を受けており、これらの規制の改変・新設などを受けて新たな設備投資や改善コストの増大または事業活動の制限等が生じることにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)市況及び為替の変動

 当社グループは、国内外から食肉原材料及び商品を調達しております。BSE・口蹄疫・鳥インフルエンザ等の疾病問題やセーフガード(緊急輸入制限措置)あるいは豚肉差額関税などの輸入制度が及ぼす調達数量或いは消費動向への影響、また気候要因による飼料用穀物の作柄及び家畜生産・飼育数量への影響などによって市況は変化し、調達及び販売価格の騰落につながることが考えられます。更に為替相場の変動は、輸入コストの増減要因となります。この他、石油をはじめ、海外依存度の高い資源の市況の変動も輸入コストの増減要因となります。これらの市況変動は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4)国際的活動

 当社グループの生産及び販売活動の一部は米国で、また食肉原材料・商品の調達は北米・豪州から中国・中南米へと広がりを見せております。これらの海外市場での事業活動及び調達に関しては、事業活動の環境を構成する各国の政治経済並びに社会情勢・法的規制・通商関係及び気候ほか自然条件などに予測不能の問題が生じ、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5)安全保証

 当社グループは、法令の定める或いは世界的に認められる安全・品質管理基準に従って、お客様に安心していただける安全な製品づくりに努めておりますが、将来、不測の事態によって製品の回収や製造物責任賠償問題が発生した場合には、問題収拾のためのコストの発生や信頼の低下を招き、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①経営成績の状況

  連結会計年度における日本経済は、全体的に緩やかなプラス成長を示しており、景気回復局面で見られる消費者物価指数や短期金利の上昇などの変化が見られました。ただし、国内では物価高騰や燃料価格の高止まりの影響により消費者の節約志向が広まり、個人消費は低調な推移を続けております。当食肉業界においては、原材料や物流費高騰の影響が長期化する中で、消費者の節約志向や低価格志向もあって、原価及び諸コストの高騰分を小売価格に転嫁することが難しく、利益の確保が困難な状況が続いております。

  このような状況のもと、当社グループは、「魅力あるスタミナ食品をもって世界に貢献する」、「企業の成長・発展とともに生活・文化の向上を図る」という社是に基づき、お客様に安全安心な食肉商品を安定的にお届けすることを優先課題として、事業の継続と発展に努めました。

 食肉等の製造・卸売事業においては、将来を見据えた海外事業への先行投資と国内事業の営業力強化、事業運営の効率化に努めました。海外において、アメリカでは、高級牛肉の調達力向上を目指し対応してきたオーロラビーフの新工場建設を進めており、本年度より稼働を開始する予定です。一方、アメリカにおける生体牛高の影響とニュージーランドにおける中国向けの販売不振により、収益面では厳しい状況となりました。国内において、首都圏を抱える東日本での営業力強化を継続しております。また、北海道では、一昨年に実施した国産豚肉の増頭プロジェクトの完了後、供給能力の向上を図り、国内販売の強化だけでなく輸出促進にも努めております。それ以外にも、飼料・物流等のコスト高騰が継続する環境下で、より効率的な事業運営を目指し、在庫の適正化や経費管理の徹底を図るだけでなく、老朽化施設・設備の整理や生産拠点の集約を進めております。広島では、既存の営業所の統合・拡充を進めるべく、新たな営業所の建設を進めており、来年には稼働を開始する予定です。国産牛肉事業では、和牛の取扱数量の増加と輸出量拡大に努めました。製品事業では、バラエティ豊かなホルモン商材を使った食肉製品として、新商品の投入や既存商品のリニューアルを実施いたしました。また、取引先と協力して消費者の嗜好に合わせた新製品の投入に積極的に取り組んでおります。

 食肉等の小売事業においては、新規ディベロッパーとの取組みを含めた出店や改装店の立ち上げの他、新業態店舗モデルの開発及び推進を図っております。また既存店の活性化を図るためのイベント型提案販売やレイアウトの再構築等を実施してまいりました。

 食肉等の外食事業においては、行動制限の緩和により回復基調がみられ、インバウンドや大型のパーティー需要も寄与し、原材料費やエネルギー価格の上昇を受けながら、メニュー改定を実施するなどの施策を行ってまいりました。今後も競争力向上のための施策を実施してまいります。

 以上の結果、売上高は4,445億4千6百万円前連結会計年度比4.6%増)、営業利益は51億4千3百万円前連結会計年度比59.4%減)、経常利益は63億8千8百万円前連結会計年度比55.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は26億6千7百万円前連結会計年度比70.6%減)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

a 食肉等の製造・卸売事業

売上高は4,115億9千8百万円前連結会計年度比4.8%増)、セグメント利益は43億5千3百万円前連結会計年度比62.5%減)となりました。

b 食肉等の小売事業

売上高は240億4千9百万円前連結会計年度比0.1%増)、セグメント利益は13億1千4百万円前連結会計年度比19.0%減)となりました。

c 食肉等の外食事業

売上高は81億2千6百万円前連結会計年度比7.9%増)、セグメント利益4億8千6百万円前連結会計年度比10.7%減)となりました。

d その他

売上高は7億7千1百万円前連結会計年度比0.1%増)、セグメント利益は1億2千3百万円前連結会計年度比131.7%増)となりました。

 

②財政状態の状況

(総資産)

当連結会計年度末における総資産の残高は、2,305億9千5百万円前連結会計年度末比63億5千4百万円、2.8%増)となりました。

 主な増減内容は、流動資産が76億3千7百万円減少し、固定資産が139億9千2百万円増加となっております。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,284億7千6百万円前連結会計年度末比△76億3千7百万円、5.6%減)となりました。主に現金及び預金が82億5千1百万円及び仕掛品が29億1千9百万円減少した一方で、商品及び製品が19億2千3百万円増加したことによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,021億1千8百万円前連結会計年度末比139億9千2百万円、15.9%増)となりました。主に有形固定資産が141億8千万円増加したことによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、565億8千9百万円前連結会計年度末比17億7百万円、3.1%増)となりました。主に買掛金が7億2千2百万円及び短期借入金が26億4千8百万円増加した一方で、1年以内返済予定の長期借入金が18億2千万円減少したことによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、441億4千2百万円前連結会計年度末比13億5千9百万円、3.2%増)となりました。主に長期借入金が20億5千2百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、1,298億6千4百万円前連結会計年度末比32億8千7百万円、2.6%増)となりました。これは主に、為替換算調整勘定が42億8千万円及び親会社株主に帰属する当期純利益が26億6千7百万円増加した一方で、剰余金の配当が27億2千1百万円及びその他有価証券評価差額金が13億3千4百万円減少したことによるものであります。
 以上の資産、負債及び純資産の増減の結果、自己資本比率は52.8%となり、前連結会計年度末比0.2ポイント低下しました。

 

 

 ③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度より83億2千万円減少して412億7千6百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、73億7千5百万円の収入(前連結会計年度は89億5千2百万円の収入)で、収入の主なものは税金等調整前当期純利益65億3百万円、減価償却費43億7千1百万円、棚卸資産の減少12億1千8百万円であります。一方、支出の主なものは投資有価証券売却益12億2百万円及び法人税等の支払額38億3千万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、150億1千6百万円の支出(前連結会計年度は144億6千5百万円の支出)で、支出の主なものは有形固定資産の取得による支出115億8千7百万円及び連結の範囲の変更を伴う関係会社株式の取得による支出23億5千万円、貸付金による支出28億3千7百万円及び定期預金の純増額10億2千8百万円であります。一方、収入の主なものは投資有価証券の売却による収入14億5千8百万円及び貸付金の回収による収入12億4千6百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、20億3千1百万円の支出(前連結会計年度は73億3千5百万円の収入)で、支出の主なものは長期借入金の返済による支出99億9千9百万円及び配当金の支払額27億1千9百万円であります。一方、収入の主なものは短期借入金の純増額20億7千7百万円及び長期借入による収入90億円であります。

なお、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。

 

 

2023年2月

2024年2月

2025年2月

自己資本比率

53.8

53.0

52.8

時価ベースの自己資本比率

43.0

44.1

32.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

330.3

589.9

753.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ

51.3

31.7

20.1

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。

 

 ④生産、受注及び販売の状況

  a 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産数量(トン)

前年同期比(%)

食肉等の製造・卸売事業

92,845

△1.1

合計

92,845

△1.1

 

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.牛肉及び豚肉の枝肉を部位別に分割する加工は、生産実績に含めておりません。

 

  b 受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりません。

 

  c 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

食肉等の製造・卸売事業

411,598

+4.8

食肉等の小売事業

24,049

+0.1

食肉等の外食事業

8,126

+7.9

その他

771

+0.1

合計

444,546

+4.6

 

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

  a 経営成績

(売上高)

当連結会計年度は、食肉の生産から小売・外食までの食肉に関わる事業を一貫して取り組む垂直統合を推進することで、経営体質の強化と安定的な成長を目指しました。「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記述の諸施策を実施いたしております。

食肉等の製造・卸売事業においては、海外では、高級牛肉の調達力向上を目指したオーロラビーフの新工場の建設投資と国内では、首都圏を抱える東日本の営業力強化、北海道の国産豚肉の供給能力向上による国内販売の強化および輸出促進に努め、国産牛肉事業では、和牛の取扱数量の増加と輸出量拡大に努めました。また、飼料・物流コスト高騰が継続する環境下では、在庫の適正化や経費管理の徹底を図り事業運営の効率化に努めました。製品事業では、バラエティ豊かなホルモン商材を使った食肉製品として、新製品の投入や既存商品のリニューアルを実施しました。食肉等の小売事業においては、新規ディベロッパーとの取組みを含めた出店や改装店の立ち上げの他、新業態店舗モデルの開発及び推進を図っております。また既存店の活性化を図るためのイベント型提案販売やレイアウトの再構築等を実施してまいりました。食肉等の外食事業においては、行動制限の緩和により回復基調がみられ、インバウンドや大型のパーティー需要も寄与し、原材料費やエネルギー価格の上昇を受けながら、メニュー改定を実施するなどの施策を行ってまいりました。

以上の結果、売上高は4,445億4千6百万円となり、前連結会計年度比195億3千5百万円4.6%増収となりました。

(損益状況)

売上原価は、3,990億8千4百万円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。売上原価率は、2.0ポイント上昇し、89.8%となりました。

売上総利益は、原材料の高騰などにより454億6千1百万円(前連結会計年度比12.4%減)となりました。

販売費及び一般管理費は、403億1千8百万円(前連結会計年度比2.8%増)となりました。

営業利益は、以上の要因により51億4千3百万円(前連結会計年度比59.4%減)となりました。

営業外損益は、前連結会計年度の17億1千7百万円(純額)の利益から12億4千5百万円(純額)の利益となりました。

 特別損益は、前連結会計年度の4億7千2百万円(純額)の利益から1億1千4百万円(純額)の利益となりました。主に投資有価証券売却益が10億5千6百万円増加し、貸倒引当金繰入額が7億1千1百万円増加したことによるものです。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は26億6千7百万円(前連結会計年度比70.6%減)となり、また1株当たり当期純利益は84.29円(前連結会計年度286.85円)となりました。

 

  b 財政状態

財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。

 

  c キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

  d 経営成績に重要な影響を与える要因について

わが国における少子高齢化による食肉の需要規模の縮小や、食品の安全性に対する強い関心、また国際的な食料需給の安定問題など経営環境は厳しい状況が見込まれます。このような厳しい環境下において、円安や資源高による商品市況の変動や需要の減退により販売競争が激化し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

  e 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な運転資金需要は、原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、営業所、工場の生産設備等であります。

当社グループは、これらの資金需要に対する運転資金は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

 

  f 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。

連結財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の「(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

 

(棚卸資産の評価)

当社グループの棚卸資産には一定期間保存する販売用食肉在庫があり、保存期間中における需給バランスの変化等の外部環境の影響により、その売価は畜産物相場の変動リスクにさらされております。

棚卸資産の貸借対照表価額は主として収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、連結会計年度末における正味売却価額が取得原価を下回る場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。仕掛品の正味売却価額の算出方法については、見積売価から見積追加製造原価等、及び見積販売直接経費を控除した金額に、期末在庫数量を乗じて算出しております。

見積売価については、期末日付近の通常取引における実績売価等に基づき予測しておりますが、その予測には不確実性を伴うため、実際の販売価格との乖離が発生した場合は翌連結会計年度の損益に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産)
  当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。 

 

(固定資産の減損)
  当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

  g 戦略的現状と見通し

当社グループは総合食肉企業グループとして食肉流通の川上から川下までの一貫した供給体制を築き、消費者に健康的で栄養価の高い食品を質・量・価格共に安定的にお届けすることで、食生活の向上と食文化の普及に貢献しております。経営戦略としましては、グループ経営の強化と効率化を図るとともに、新たな事業領域に挑戦することにより、グループをさらに活性化してまいります。

 

  h 経営者の問題認識と今後の方針について

食品に対する安全と安心のニーズの更なる高まりへの適応、また企業の公明正大な活動と社会的責任の遂行とともに企業価値の増大を図ることにより株主をはじめ利害関係者との共存共栄を実現する経営を心掛けてまいります。

また、21世紀を勝ち抜く「強い会社」の実現のため、「コーポレート・ガバナンスの充実」と「スピーディな意思決定と業務執行」に重点をおき、法令順守の管理体制の充実・強化に努め、透明度と信頼度の高い経営システムを構築してまいります。

今後は、人類にとって貴重で大切な動物性タンパク質である国内外の牛・豚・鶏等の安全な食品を真心込めて取り扱う総合食肉企業として、「バラエティーミート世界一、食肉日本一」を目指し、食肉文化の国内外への一層の普及に努めてまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は「食肉等の製造・卸売事業」において行っており、内臓肉などの畜産副生物及び食肉資源を有効活用し、付加価値の高い製品を製造・販売することで、広く食文化を通した健康への貢献を目的としております。

今期は年間を通じての主力製品である「こてっちゃん」および秋冬シーズンの主力製品である「こてっちゃん牛もつ鍋シリーズ」を中心に、品質向上のためのリニューアルを実施いたしました。

物販向けでは、今期新たに立ち上げた「韓流食堂スンドゥブチゲシリーズ」など、日配売り場に向けた製品の開発を行い、販売の強化を行いました。

新しい売り場開拓では、冷凍食品売り場への製品販売強化として、当社の強みとノウハウを生かした新製品開発と既存製品のリニューアルを行い、ラインアップの強化を実施しました。60期も引き続き、冷凍食品分野に向けた新製品の開発と拡販を進めてまいります。

これらNB製品以外にも、大手流通PB製品やコンビニエンスPB製品の開発・成約が進み、60期に向けて販売増を見込んでおります。

グループ内協業としては株式会社フードリエ向けに簡便調理品を中心とした新製品の開発及びリニューアルにより拡販を実施いたしました。

また、昨今の原材料・副資材の高騰を受けた原価・コストアップの吸収のため、製品設計・工程の改善と効率化等に努めてまいりました。60期も引き続きこれらの改善を進めてまいります。

今後も基幹製品である「こてっちゃん」シリーズの品質向上と新製品の開発を始め、物販向けとして精肉・日配・冷凍食品など様々な売り場に対応した新製品の開発、PB製品を中心としたコンビニエンスストア、ドラッグストア向け製品の開発、中食・外食向けの業務用製品の開発を進め、シェア拡大を図るとともに、食肉資源を有効活用した付加価値の高い製品開発をするなど、社会貢献につながる研究開発活動を進めてまいります。

 なお、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は320百万円であります。