文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
デジタル社会は、より一層の拡大と進化を続け、私たちの社会や生活において“DX(デジタルトランスフォーメーション)”更には“デジタルエンタープライズ”へと進化していくものと思われます。
また、デジタル社会において、生成AI等の新たなデジタル技術の浸透などによってICT技術も飛躍的に進歩し、ソフトウエアなどの製品やシステムは所有から利用へ消費スタイルの変化が進み、デジタルビジネスのサービス化が加速していくものと思われます。
こうした変化において、当社グループは、これまでのシステム導入やデジタルデータ基盤を構築 (デジタルテクノロジーを提供)するビジネスモデルから、システム導入からデジタルとデータを活用し、組織の革新やビジネスモデルを共創・実現していく伴走型DX推進を支援するビジネスモデルへシフトさせていきます。
また、当社グループは創業以来、製造業の「ものづくり」のエンジニアリング技術をソフトウエア開発の分野に応用し生産性を向上させ、開発するソフトウエアの品質を高めてきました。
IoT事業において、こうした製造業の「ものづくり」で培った技術、ソリューションやサービスの開発、提案力を物流や畜産、スマートシティなどの分野を中心にDXソリューションやプラットフォームを展開し、カスタマーサクセスに導くプロダクト・サービスを提供することで、顧客の期待を超える体験や価値を追求していきます。
また、当社グループはサステナビリティ経営の推進が最重点課題の一つであることを認識し、サステナビリティ経営を強く推し進めることで持続可能な社会に貢献し、社会と共に成長を続けることを目指していきます。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、営業利益率およびRОEであります。当社グループは、経営効率の向上に努め、企業の存続と発展に必要な利益を確保するため、第49期(2026年2月期)を初年度とする中期経営計画において、第51期(2028年2月期)には売上高250億円、営業利益30億円を目標とし、3年間で売上高を約25%増加させるとともに、営業利益率は12.0%、RОE25%を達成することを目指しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、新中期経営計画(2025-2027)を策定し、プロダクト・サービスの機能的価値から顧客体験価値を軸にした事業モデルに変革し、顧客や社会のDXやCXを加速させ、「最高のエクスペリエンスを支援するデジタル・サービス企業」を目指します。
なお、中期経営計画の基本方針は以下のとおりです。
方針1.顧客起点のマーケティング戦略の展開
顧客ニーズ・課題を起点として、部門・他社を超えて様々な手法や形態で連携し、DX(デジタルプロダク
トやサービスの提供)を通じて顧客の期待を超える体験や価値を追求することで、カスタマーサクセスを実
現します。
方針2.カスタマーサクセスに導くプロダクト・サービス力の実現
システム導入から、データ活用、ビジネス変革までのトータル支援により、継続的に顧客のDXを支援する
とともに、支援チャネル全体で品質向上を図り、継続した伴走型DX支援を通じてカスタマーサクセスを実
現します。
方針3.ビジネス拡大を支える投資戦略の推進
事業ポートフォリオマネジメントの強化を図るとともに、管理体制や管理手法の見直し・強化とデータを活
用する人材の育成によりデータドリブン経営を推進します。
方針4.持続的成長を支えるサステナビリティ経営の推進
サステナビリティ経営を強く推し進めることで持続可能な社会に貢献し、社会と共に成長を続けることを目
指します。
(4) 2022-2024中期経営計画「お客様に選ばれるNo.1企業へ」の遂行状況
2024年度は、当社グループは、中期経営計画「お客様に選ばれるNo.1企業へ」の最終年度として、次期中期経営計画に向けて事業構造のシフトチェンジと事業資本への積極的な投資等により高度成長軌道を描く起点となるべく取り組んでまいりました。
ビジネスソリューション事業において、大規模プロジェクト遂行・管理の徹底と品質確保、戦略的パートナーとの連携を軸としたERP領域の新規開拓・拡大に加え、運用におけるデジタルとデータを活用した新たなサービス展開の促進等によって事業拡大を図ってまいりました。
IoTソリューション事業においては、物流DX分野では、需要旺盛な市場への当社ソリューション「MMLogiStation」の拡販加速によって事業拡大を推進してまいりました。年度後半に、品質問題への対応により事業成長が鈍化しましたが、事態も収束し、再加速による成長軌道回帰に取り組んでおります。畜産DX分野においては、政府の飼料流通合理化支援に応じ飼料メーカーやJA等を中心としたエリア拡販展開(面攻勢)による受注拡大、スマートシティ分野では駅周辺地域の再開発事業等をターゲットに自治体へ向けた営業攻勢の強化やパートナーとの連携強化等により事業展開の加速を図ってまいりました。
サービスビジネスにおいては、ビジネスDXサービスモデルの深化と拡大、物流DXサービスセンターを最大限に活用したサービス化を促進する等、ストック率の拡大、安定的かつ高収益ビジネス化を促進してまいりました。
その結果、売上高は計画180億円に対し199億円と計画を達成し、営業利益は計画15億円に対し14億円と計画に未達の結果となりました。
なお、各基本方針の遂行状況は以下のとおりです。
方針1 世界水準のビジネスDX推進力による顧客ニーズの獲得拡大
・安川電機が取り組むDXプロジェクト(YDX)のプライム経験によりDX推進の経験・ノウハウ蓄積を継続しました。
・健康保険者向けシステムのプロジェクト管理徹底により品質を確保しプロヘクトを遂行しました。
方針2 社会をリードするAI・IoT製品による事業規模・領域の拡大
・MMLogiStation(倉庫実行システム)は、自動化の進む大規模倉庫などでの需要など引き続き受注が拡大しました。
・畜産DXやスマートシティ向けソリューションを本格的に市場への投入を開始しました。
・Milfee(飼料タンク残量管理システム)を提供開始から2年で1000農場以上に導入しました。
方針3 顧客に感動を与えるサービス提供によるストック率の拡大
・Smart Service AQUA内に拡大する物流DX分野の保守サービス拠点として物流DXサービスセンターを開設しました。
・Smart Service AQUAの施設・機能を活用したサービスモデルを確立しました。
方針4 社員と会社の挑戦と成長によるサステナビリティ経営の実現
・採用活動、人材育成、エンゲージメント向上など人的資本経営を推進しました。
・継続的な社内DX化による業務改革を推進しました。
(5) 対処すべき課題
今後の当社グループを取り巻く経済環境の見通しにつきましては、企業収益は改善し、雇用者所得や設備投資も増加する等、景気は緩やかに回復しております。その一方で、物価上昇の継続や人手不足による供給制約、米国の政策動向や中国経済の停滞、地政学リスクの長期化等の不確実な海外情勢等、依然として先行きは不透明な状況が続くことが予想されます。
そうした中、当社グループが属する情報サービス業界では、生成AI等の新たなデジタル技術の浸透、デジタル技術とデータを活用した社会や企業のDX化が更に進み、デジタル技術とそれに関連するサービスの需要は高い水準で続くものと思われます。
2025年度は新中期経営計画の初年度に当たり、以下のとおり取り組んでまいります。
①市場や顧客のニーズを起点とした戦略的かつ効率的なマーケティング・営業活動と社内連携による最適なソ
リューションの提案により受注の加速と拡大を目指します。
②前年度の品質問題を踏まえ、QCD(品質・コスト・納期)の厳守・安定化により、顧客信頼性・満足度の
向上と製品・サービスの品質・利益向上を追求します。
③世界で急速に広がりを見せる生成AIを開発工程におけるプログラミング支援や、会議の議事録作成など、
各業務において最大活用することにより、生産性の向上・収益性の向上につなげます。
④経営管理システムの刷新・強化と事業ポートフォリオマネジメントの強化によるデータドリブン経営を推進
します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
当社は、「高い技術力とお客様本位の姿勢によって、ITを活用したソリューションを提供し、豊かな社会づくりに貢献するとともに、社員の幸福と永続的な企業の繁栄をめざす」ことを経営理念に掲げ、当社の技術・プロダクト・サービスにより、デジタル社会をリードし、明るい未来を創出する事業活動に取り組んでおります。
こうした未来社会を担う企業として、以下の方針に基づき、サステナビリティ経営を進めてまいります。
・ソリューションを通じてサステナブルな社会の実現を目指します。
・安心・安全なデジタル社会の構築・発展に貢献します。
・お客様やその先の人々の感動と幸せを追求します。
・事業の源泉である社員の働きがいと成長を応援していきます。
・中長期的かつ持続的な企業価値の向上に取り組んでいきます。
当社は、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置し、サステナビリティ経営を推進するうえでの方針、サステナビリティ課題や課題に対する施策の検討、審議、進捗管理を行っております。
サステナビリティに関する取組み状況等は、定期的に取締役会に報告しております。
サステナビリティ推進の体制は、
当社グループは、ビジネスモデル(=価値創造プロセス)を整理し、想定されるサステナビリティに関するリスク・機会を洗い出し、「当社にとっての重要性」と「影響が顕在化する可能性・頻度」の2軸で評価を行い、優先順位づけを行い、その中で特に当社グループにとって重要なものをマテリアリティとして特定し、経営や事業戦略に組み込んでおります。
<当社の考えるサステナビリティ経営の重要課題>
ⅰ)当社が事業活動を通じて提供する社会価値の創造
・当社のソリューションに対するお客様満足度の向上
・当社のプロダクト・サービスによる社会課題の解決
・当社のプロダクト・サービスの品質・安全性の確保
ⅱ)当社の事業活動を支える価値創造基盤の強化
・人材・働きがいの成長・向上
・社会価値を創出するイノベーションとソリューション
・個人情報保護と情報セキュリティ確保
ⅲ)当社の企業活動を支える経営基盤の強化
・コーポレートガバナンス体制の整備と運用の強化
・リスクマネジメントの体制の整備と運用の強化
・ステークホルダーとの対話
当社グループは、サステナビリティ推進委員会において、サステナビリティに関する重要課題への施策と目標を検討し、そのリスク・機会を共有しております。また、月1回のサステナビリティ推進担当者会議を実施し、課題に対する取組み施策の検討、進捗管理を行っております。
また、事業活動におけるリスクについては、それぞれの対応部署(事務局)が抑止対策等を講じ、全社へ展開をするとともに、重大な損害を与えるおそれのある場合は速やかに代表取締役社長および経営会議へ報告をし、対策を講じます。
さらに、大規模な事故、災害、不祥事等が発生した場合は、代表取締役社長を対策本部長とし、本部長と必要な人員で構成される危機管理対策本部を設置するなど危機対応のための組織を整備します。
当社グループは、サステナビリティ経営における9つのマテリアリティについて、中期的目標とKPIを設定し、取り組んでいます
マテリアリティに関する取り組みは以下のとおりです。
ⅰ)当社が事業活動を通じて提供する社会価値の創造
・当社のソリューションに対するお客様満足度の向上
目指す姿:技術動向や顧客ニーズを把握したソリューション提供により、既存取引先からの高い顧客満足
を得る。
取り組み:お客様満足度(CS)の把握・分析
目標:2025年度:プロダクトユーザーへCSアンケート実施、現状把握
・当社のプロダクト・サービスによる社会課題の解決
目指す姿:既存及び新規のプロダクト・サービスを通じて社会課題を解決し、サステナブルな社会を創
る。
取り組み:物流2030問題、労働者不足や高齢化、環境問題に対処したプロダクト・サービス
(MMLogiStation、Milfeeなど)の開発・市場投入
目標:2025年度:全社売上構成比でIoTソリューション事業の売上比率25%
・当社のプロダクト・サービスの品質・安全性の確保
目指す姿:社員全員が品質と安全性の重要性を深く理解し、その確保に向けて主体的に取り組む社内文化
を醸成する。
取り組み:全社的な品質マネジメントシステムの見直し・強化
目標:2025年度:品質マネジメントシステムの見直し・強化
重大品質トラブル0件
ⅱ)当社の事業活動を支える価値創造基盤の強化
・人材・働きがいの成長・向上
目指す姿:顧客のニーズに応えることの出来る人材と能力を確保し、社員全員が働きがいを持って仕事と
役割を遂行する。
取り組み:人材ポートフォリオマネジメントの強化、エンゲージメント(人材育成やオフィス環境整備
など)向上の取り組みの推進
目標:2025年度:人材ポートフォリオマトリクスの整理
エンゲージメントサーベイスコア 69点
・社会価値を創出するイノベーションとソリューション
目指す姿:既存技術の応用・新技術の開発に取り組み、イノベーションを生み出す企業文化を形成する。
取り組み:開発投資審議会によるプロダクト・サービスのビジネスプランの企画
目標:2025年度:対売上高 研究開発投資率 5%
・個人情報保護と情報セキュリティ確保
目指す姿:お客様の情報資産を守り、社会の信頼に応える。
取り組み:社内におけるセキュリティ対策やセキュリティ教育の実施と情報漏洩などの事故を未然に防止
する活動の実施
目標:個人情報流出事案発生件数0件
ⅲ)当社の企業活動を支える経営基盤の強化
・コーポレートガバナンス体制の整備と運用の強化
目指す姿:企業価値の向上と持続的成長を実現する、実効性の高いコーポレートガバナンスを実現する。
取り組み:コーポレートガバナンスの一層の充実を図るための監査等委員会設置会社への移行、取締役会
実効性評価アンケートの実施
目標:2025年度:監査等委員会設置会社へ移行
独立社外取締役比率:1/3以上
女性取締役人数:1名以上
取締役会実効性評価アンケートにおける肯定的評価:80%以上
・リスクマネジメントの体制の整備と運用の強化
目指す姿:ステークホルダーに安心安全を与え続ける。
取り組み:全社リスクマネジメント体制の構築
目標:2025年度:法令違反の発生件数0件
・ステークホルダーとの対話
目指す姿:ステークホルダーに対して魅力的な会社であり続け、相互信頼を高める。
取り組み:株主・投資家への情報開示(IRサイトの強化など)と機関投資家との積極的な対話・情報交換
目標:IRミーティング実施数:40件以上/年
決算説明会の実施:2回以上/年
投資家向け会社説明会の実施:1回以上/年
当社グループは、IT企業として、現在から将来への「ニーズに応えることのできる人材と能力」を確保するとともに、「社員全員が働きがいを持って仕事と役割を遂行」できる会社経営の実現に取り組んでおります。
人材・働き方への投資により、人材・働きがいの成長・向上を促し、会社・事業の成長につなげることにより、当社の持続的成長を目指してまいります。
①戦略
人材育成方針
当社は、イノベーションをリード・実装できる自主的・自律的でビジネスレジリエンスが高い戦略的人材等の育成に取り組み、社員の挑戦と成長を応援します。
具体的には、人材ポートフォリオマネジメントの強化により、人材制度改革や人材資本活性化、エンゲージメントを向上させ、
・人材価値の最大限の発揮
・会社や仕事を通じた自己実現
・従業員およびその家族のウェルビーイングの実現
に取り組んでおります。
社内環境整備方針
当社は、従業員が働きがいのある社内環境を整備し、「社員が幸福な会社」を実現します。
具体的には、オフィス環境・ツールの整備、エンゲージメントサーベイによる社員の意見反映 、メンタルコーチ常駐によるメンタルサポートに取り組んでおります。
②指標及び目標
当社は、上記に記載した人材の育成及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標および実績は、次のとおりであります。
(注)上記は、提出会社の数値を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
(1) 特定の販売先への依存度
当社グループの販売先のうち、株式会社安川電機(当社の関係会社で2025年2月28日現在の当社の議決権保有比率37.9%)及びそのグループ会社への販売は、ソフトウエアの受託開発、計算事務、情報処理並びにシステム管理運営受託等の取引で、2025年2月期売上高の50.2%を占める状態です。
これらの事情から、同社や同社グループの経営方針、事業展開等に大幅な展開があった場合には、当社グループの事業活動や業績、財務状況に大きな影響が及ぶ可能性があります。
同社や同社グループと今後とも既存に限らず新たな領域においても良好なパートナー関係の維持・継続に努めてまいります。
また、富士通株式会社及びそのグループ会社への販売は、当社設立時におけるベーシックソフト受託開発に始まり、その後取引内容・金額が拡大し、2025年2月期売上高の11.0%を占める状態です。
従って、同社や同社グループ会社の受注動向の変化やその他の理由により、当社グループとの取引が縮小された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
同社や同社グループ会社と今後とも既存に限らず新たな領域においても良好なパートナー関係の維持・継続に努めてまいります。
(2) プロジェクト管理
プロジェクトの遂行において、予期し得ない事態の発生により、個別プロジェクトの中断や遅滞、採算悪化を招き、大規模な場合は当社グループの経営成績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、システム構築やソフトウエア開発等のプロジェクト管理の重要性を認識し、従業員のプロジェクトマネジメントスキルの向上を図り、特に要求仕様確定作業の場面では顧客との要求内容の確認を繰り返し行うとともに、スケジュールの厳守に努めています。また、不採算プロジェクトの発生の予防・抑止を図るため、全社プロジェクト管理強化に努めてまいります。
(3) 製品・サービスの品質問題
当社グループの提供する製品・サービスにおいて、不具合(バグ)の発生やサービス不良等の品質上の問題が発生しないという保証はありません。
従って、当社グループにおいてこのような品質上の問題が発生した場合には、手直し・回収等の追加コストの発生や損害賠償等により、当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対応するため、当社グループは、製品・サービスの品質の重要性を認識し、品質保証本部を設置し、設計・開発・生産・保守・運用の各場面において社内基準に基づいた品質管理の徹底に努めております。
(4) 新製品・新サービスの開発力
当社グループの新製品・新サービスは、顧客の業務、販売及び生産の改革支援や顧客の新製品への搭載等先進的な分野で起用されております。
今後も引き続き新製品・新サービスの売上が増加するものと想定しており、将来の成長は主として革新的な新製品・新サービスの開発と販売に依存すると予想しています。
しかしながら、市場の技術的な進歩や需要の変化等を十分に予測しえず、魅力ある新製品・新サービスを開発できない場合には、将来の成長と収益性を低下させ、当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を定常的に実施し、魅力ある新製品・新サービスの開発を継続的に行っております。
(5) 個人情報・機密情報管理
当社グループは、お客様のシステムを構築するにあたり、お客様の情報資産をお預かりすることがあります。万が一、コンピュータウイルスによる感染やサイバー攻撃等の不正な外部アクセス、自然災害の発生により、これらの情報が漏洩した場合、お客様からの損害賠償請求やIT企業としての信用失墜等が当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
これらに対応するため、パソコン等の情報機器やネットワーク等の情報資産に対するセキュリティ管理の徹底を図り、情報管理に関する従業員への教育、外部委託先との機密保持契約等を行い、当社グループからの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。
(6) 知的財産権
当社グループが行うシステムやソフトウエアの開発においては、特許や著作権等の知的財産権の確保が事業遂行上重要な事項です。
当社グループでは、当社グループ独自の技術・ノウハウ等の保護・保全や第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っておりますが、世界各国の法的制度の違い等により知的財産権に関する問題が全く起こりえないという保証はありません。
従って、当社グループにおいて知的財産権に関する問題が発生した場合には、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは知的財産権の取得や取引先企業との知的財産権に関する契約締結など必要な措置を行っております。
(7) 人材に関するリスク
当社グループが属する情報サービス業界における最大の財産は「人材」であり、優秀な人材確保・育成は今後の経営基盤を維持・拡大するうえで不可欠であります。同業界は若手を中心に人材の流動化が進んでおり、計画どおりに人材を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループにおいては、優秀な人材の獲得・育成のため、積極的に新卒採用や即戦力となるキャリア採用を実施し、社員がより高度なスキルを習得できるよう、教育環境の充実、資格取得者への報奨金制度を実施しております。また、従業員の働く環境の継続的な改善や働き方改革にも積極的に取り組み、社員の満足度の向上に努めてまいります。
(8) 自然災害のリスク
想定外の大規模地震・津波・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、感染症の流行、その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、経済活動が制限され、主要取引先の経営状況の悪化等によりIT投資計画が変更されることなどが想定されます。その場合には、当社グループの製品やサービス提供等の事業活動に大きな支障をきたし、当社グループの経営成績や財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対応するため、従業員の安否確認等の災害対策マニュアルの策定や継続的な見直しを行っており、災害発生時の対応訓練も行っております。また、北九州や渋谷等、拠点の分散やリモートワーク環境の整備等を行い、災害等発生時に事業が停滞することを回避する対応に努めております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度は、中期経営計画(2022-2024)の最終年度として、次期中期経営計画に向けて事業構造のシフトチェンジと事業資本への積極的な投資等により高成長軌道を描く起点となるべく取組んでまいりました。
具体的には、以下の取組みにより事業拡大を図ってまいりました。
◆ビジネスソリューション事業
・大規模プロジェクト遂行・管理の徹底と品質確保、戦略的パートナーとの連携を軸とした、ERP領域
の新規開拓・拡大。
・運用におけるデジタルとデータを活用した新たなサービス展開の促進等。
◆IoTソリューション事業
・物流DX分野:需要旺盛な市場への当社ソリューション「MMLogiStation」の拡販加速。
年度後半に、品質性能への対応により事業成長が鈍化しましたが、事態も収束し、再加
速による成長軌道回帰に取り組む。
・畜産DX分野:政府の飼料流通合理化支援に応じ飼料メーカーやJA等を中心としたエリア拡販展開に
よる受注拡大。
・スマートシティ分野:駅周辺地域の再開発事業等をターゲットに自治体へ向けた営業攻勢の強化やパー
トナーとの連携強化等により事業展開の加速。
◆サービスビジネス
・ビジネスDXサービスモデルの深化と拡大、物流DXサービスセンターを最大限に活用したサービス化
を促進する等、ストック率の拡大、安定的かつ高収益ビジネス化を促進。
その結果、当連結会計年度の業績は、物流DX事業での品質性能対応の影響により、売上高は199億44百万円(前連結会計年度比2.3%増)、利益面でも、営業利益14億8百万円(同5.4%減)、経常利益15億29百万円(同1.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億38百万円(同4.9%減)となりました。
事業別の概況は、以下のとおりです。
〔ビジネスソリューション事業〕
当事業では、ERPソリューションは当社プライムでのビジネスDX推進・構築をはじめとする企業DX推進の需要により高水準で推移し、自動車製造業向けシステム構築では新規システム案件対応により前年度に比べ増加しました。
健康保険者向けシステム構築は大規模プロジェクトの一巡により前年度から減少し、移動体通信事業者向け開発も前年度に比べ減少しました。
その結果、受注高は158億24百万円(前連結会計年度比0.1%増)となり、売上高は158億37百万円(同5.4%増)となりました。
〔IoTソリューション事業〕
当事業では、物流DX事業は、旺盛な需要に対するソリューション拡販により好調に推移し前年度に比べ増加し、スマートシティ向けソリューションやインターネット・セキュリティ関連製品も増加しました。
畜産DXは、大口案件の引合いは増加しているものの、成約遅れ等により、前年度に比べ減少しました。
その結果、受注高は36億80百万円(前連結会計年度比12.8%減)となり、売上高は41億7百万円(同8.3%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より7億10百万円増加し、31億96百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況につきましては、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益15億23百万円、仕入債務の増加3億98百万円、減価償却費2億74百万円等があったものの、法人税等の支払額5億26百万円、契約負債の減少1億40百万円、未払消費税等の減少1億10百万円、棚卸資産の増加99百万円があったこと等により、12億86百万円(前連結会計年度比7億40百万円増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1億92百万円、無形固定資産の取得による支出86百万円があったこと等により、△2億38百万円(同2億65百万円増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額3億9百万円があったこと等により、△3億23百万円(同1億31百万円減)となりました。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、情報サービスの総合的な提供を事業内容としており、情報サービス事業の単一セグメントのため、当連結会計年度における実績を部門別に記載しております。
(注) 上記金額は製造原価で記載しております。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は次のとおりであります。
ビジネスソリューション事業の増加により、当連結会計年度の売上高は199億44百万円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。
売上原価は147億3百万円(同2.4%増)となり、売上原価率は73.7%と前連結会計年度から0.1ポイント悪化いたしました。売上高から売上原価を差し引いた売上総利益は52億41百万円(同1.8%増)となりました。
また、販売費及び一般管理費は38億32百万円(同4.7%増)となりました。
この結果、当連結会計年度は14億8百万円の営業利益(同5.4%減)となりました。
営業外収益は持分法による投資利益の発生等により1億29百万円(同75.1%増)となり、営業外費用は7百万円(同148.7%増)となりました。
特別損失は関係会社清算損により6百万円となりました。
この結果、当連結会計年度は15億29百万円の経常利益(同1.9%減)となり、税金等調整前当期純利益は15億23百万円(同0.4%減)となりました。
これに法人税等の税金、法人税等調整額と非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は10億38百万円(同4.9%減)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、次のとおりです。
情報サービス業界におきましては、あらゆる分野・業種において、クラウドやビッグデータ、IoT、AI、セキュリティ等の技術を活用したサービスの提供が加速してきております。
IoTビジネスの進展は、IoTシステムやソフトウエアの消費目線が所有から利用へとシフトし、公共や企業等の情報関連投資の選択やIT企業が提供するサービスに変化が現れます。
このような動きは、IoTシステムの開発やITサービスの提供を行うビジネスソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。
また、IoTビジネスやビッグデータ市場を支えるインフラ(情報機器やネットワーク)が重要な役割を担うことになり、情報漏洩やコンピュータウイルス等の外部からの攻撃に対してのセキュリティ技術もますます重要になってきます。このような動きは、機器間の情報伝送のための組込ソフト開発、IoT機器、ネットワーク・セキュリティ関連商品を取扱うIoTソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。
さらに、通信端末やAI技術の発達により、機器同士が人の手を介さずに相互に情報交換し、自動的に情報収集や管理・制御を行うようになってきております。このような動きは、AI技術や組込・制御システム、IoT機器を取り扱うIoTソリューション事業の売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。
なお、このような新技術・新ビジネスの普及は、情報通信技術の高度化・大規模化・複雑化を伴い、今まで以上に品質上の問題が発生する危険性が高くなっています。このような品質上の問題が発生した場合には、当社グループの売上高、収益に重要な影響を与える要因になります。その一方で、付加価値の高い新製品・新サービスの商品化やライセンス化は、当社グループの売上高、利益に重要な影響を与える要因になります。
② 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について
当社グループは、営業活動によって獲得した現金によって、必要となる運転資金の確保と事業拡大のための設備投資を行っております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループのキャッシュ・フローの状況と指標の推移は次のとおりであります。
(百万円)
(注)フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
自己資本比率:自己資本÷総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー÷利息の支払額
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)の研究開発活動は当社及び連結子会社にて行っており、先端技術の研究、開発のベースとなる現技術のレベルアップ、先端技術の実用化による新製品・新サービスの開発を旨としております。
研究開発テーマに関する方向づけは「経営会議」で、具体的なテーマ選定及び評価は「開発投資審議会」・「開発投資審査会」で行われ、いずれも各部門の代表者で構成されております。
研究開発作業は各テーマの申請部門が行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
〔IoTソリューション事業〕
物流DX向けでは、お客様の求める自動化をスピーディーに実現できるように、倉庫自動化システム「MMLogiStation」のプラグイン機能を拡張し、対応できるマテハン機種を一気に12機種まで増やしました。
AI分野においては、急速に進化を遂げている生成AI技術に注力しました。従来の生成AIでは事前学習が必須でしたが、当社が開発したゼロショット技術では学習を必要とせず、多様な対象物を検知できるようになりました。また、物流の効率化にも貢献できるよう、トラックへの荷物積載を最適化する生成AI技術も開発しました。
サービスビジネスにおいては、ITカスタマーセンター『Smart Service AQUA』で培ったノウハウを活かし、運用保守データを集約・分析し、生成AIを用いて新たな価値を提供するサービスの仕組みを作りました。問合せデータ活用、設備保全管理、AIナレッジ照会の3つのサービスを通じて、運用保守業務の効率化と品質向上を実現し、お客様業務への手厚い運用サポートを実現しました。
文教DX向け製品「NetSHAKER」では、セカンドGIGAと呼ばれる端末利活用フェーズに向け、通信トラフィック増加に対応するため、デジタル教科書用キャッシュ機能に加えて、OSアップデートのキャッシュ機能も実現しました。
本部門に係わる研究開発費は149,772千円であります。