第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 1. 経営方針・経営戦略等

当社グループは、国際貨物輸送事業において、相互扶助の精神とお客様第一主義を貫き、より質の高いサービスを提供し、安全で確実な輸送を世界に提供することを経営理念とし日々努力しております。

このような経営理念のもと、当社グループは、創立以来、国際海上混載輸送を主軸として成長を遂げてまいりましたが、近年、製造設備の海外への移転が進み、海外生産、海外販売の流れが一気に加速するなど、我が国の産業構造の大きな変化に対して、その対応を迫られてきました。

そして、これらの状況の変化を背景として、当社グループは現在、総合物流業へと事業領域を拡大し、国際総合フレイトフォワーダーへの変革を遂げようと努力しております。

事業領域拡大の具体的な戦略として、特に航空輸送、倉庫、通関等の各事業に注力した結果、当連結会計年度におけるこれらの売上高の比重も徐々に大きくなっており、その重要性が増しております。

また、一方では、アジアを中心にさらにきめ細かなネットワークを構築するなど海外事業展開を推し進めております。

 

 2. 目標とする経営指標

当社グループは中期経営計画を策定しており、2020年より2022年に至る第4次中期経営計画の終了に伴い、このたび第5次中期経営計画(2023年~2027年)を策定いたしました。第5次中期経営計画において当社グループが目標とする経営指標は、最終年度2027年に、売上高700億円、親会社株主に帰属する当期純利益50億円をめざします。

 

 3. 経営環境及び対処すべき課題

(1)経営環境

今後の当社グループを取巻く経営環境を展望しますと、新型コロナウイルス感染症の影響については世界的に共存の道を歩む方向に進んでおりますが、感染の収束にはしばらく時間を要すると思われます。また、2022年度の日本の輸出貿易統計額は2021年度を上回りましたが、2023年度は港湾混雑の緩和による需給バランスの正常化に加え、世界経済の景気後退に伴う輸送需要の減少によりコンテナ運賃が2022年度の後半よりもさらに下落すると見込まれることから、厳しい環境になると予測しております。

 

(2)対処すべき課題

このように、当社グループの経営環境は2022年度に増して厳しい状況が予測されますが、2020年より2022年に至る第4次中期経営計画の終了に伴い、新たに第5次中期経営計画(2023年~2027年)を策定いたしました。当社グループは、その基本方針に基づき、売上と利益の拡大と企業価値の向上を図ることを最大の対処すべき課題と認識し努力してまいります。

 

(第4次中期経営計画の総括) 2020年~2022年

当社グループは第4次中期経営計画(2020年1月~2022年12月)を策定し、総力を挙げてその達成に取組んでまいりました結果、売上高300億円、営業利益率7%、ROE14%という目標数値を1年前倒しの2021年度において達成し、最終年度となる2022年度では、2021年度をさらに上回る成果を実現することができました。

この3年間は、新型コロナウイルス感染症の影響による物流の混乱時期と重なりますが、当社はグループ一丸となってコンテナスペースの確保等に取組み、国際総合フレイトフォワーダーとしての地位向上に努めてまいりました。

国内では、東京支店にフォワーディングチーム、神戸支店にロジスティックソリューションチームを立上げ、フォワーディング業務の領域を拡げてまいりました。

 

また、コロナ禍に伴い訪問営業が難しくなったことを受け、オンラインを活用したリモート営業、デジタル広告、メールマガジンの配信、Webによる見積サービスなどデジタル化を一気に進めてまいりました。

国内グループ会社も海外からの大口設備輸入案件の取組みや、食品輸入の取扱拡大により、得意分野を伸張してまいりました。

海外グループ会社では、混載貨物以外の取組みを増やす中、韓国において2021年8月に内外釜山物流センター株式会社が冷蔵倉庫を増築したことで、温度管理が必要となる食品等を取扱うことができるようになり、海外での倉庫事業の拡大に寄与いたしました。

さらに内外釜山物流センター株式会社に対して2020年12月と2021年1月に追加出資を行い、内外トランスライン株式会社による同社への出資比率を60%から90%まで引上げて、経営の自由度を高めてまいりました。

結果、国際総合フレイトフォワーダーとしての事業領域を拡げ、次期中期経営計画への足掛かりを築くことが出来ました。

 

(第5次中期経営計画の基本方針と課題) 2023年~2027年

当社グループは、第4次中期経営計画の終了に伴い、新たに2023年度~2027年度の第5次中期経営計画を策定しており、その概要は次のとおりであります。

当社グループは「国際物流における最高のソリューションプロバイダーでありたい」を合言葉に、以下グループ基本方針に基づき諸施策を遂行いたします。

なお、当社グループの第4次までの中期経営計画は3か年計画でしたが、後述する施策を展開するには3年という期間では不十分なことと、より中長期的な視点で経営することを目的として、今回の第5次中期経営計画の期間は5年といたします。

Ⅰ グループ基本方針

・本業である混載の国内トップシェア維持拡大を図りつつ「第二の本業」としてフォワーディングを徹底的に拡大し、真の国際総合フレイトフォワーダーをめざします。

・2027年にグループ売上高700億円、親会社株主に帰属する当期純利益50億円をめざします。

 

 

Ⅱ 施策

(1)国内事業

①混載事業

基幹事業である混載事業については内外トランスライン株式会社を中心に、これまで培った事業ノウハウや長年に亘って築き上げたネットワークを活かして、業界地位を堅持するとともに、業務の効率化を図り安定的な収益確保を実現します。

②フォワーディング事業

当社成長期待分野であるフォワーディング事業については、グループ間で最適な組織編成を行い、売上と利益の増加をめざします。

(2)海外事業

①代理店事業

混載・フォワーディング・航空事業の取扱を増やすため、代理店の見直しを行います。

②新規拠点の設立

日本との貿易が多い国や今後成長が期待できるエリアへの現地法人や駐在員事務所の設立を検討します。

③既存拠点の業務拡大

既存拠点においては、対日ビジネス偏重からの脱却を図るため、現地スタッフにより地場企業向けの輸出営業のインフラを構築し、現地から日本以外の国への輸出を拡大します。

 

Ⅲ 投資戦略

上記施策を実行するため、おもに以下の投資を行います。

(1)M&A等

既存事業の規模拡大やシナジー効果を生み出して新規分野への進出等を図るため、M&Aや資本提携、業務提携等を積極的に行います。

(2)DX

営業支援、業務効率化や顧客サービス充実を目的として、一層のDXの推進を図ります。

(3)アセット事業

当社グループは、韓国とインドに自社倉庫を所有しておりますが、今後も海外を中心として倉庫等のアセットを取得し、事業領域の拡大を図ります。

(4)人材・教育

国内外を問わず、新規事業の立上げと既存業務の拡大のための人材投資を積極的に行うとともに、社員能力向上のために教育研修投資を行います。

(5)ESG・SDGs

ESG・SDGsの向上・達成のためCGコードに則って対応します。

 

上記基本方針に基づく施策や投資戦略により、2027年度には以下の数値目標の達成をめざします。

 

数値目標

項目

2027年12月期目標

売上高

700億円

親会社株主に帰属する

当期純利益

50億円

 

 

 

2 【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 競合リスク

当社グループは、フレイトフォワーダー事業の積極的な開発と良質なサービスの提供により競争力の強化に努めております。しかしながら、国内外からの新規参入の増加や競合会社の革新的なサービスによる厳しい販売価格競争等により競争力が低下した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 仕入に関するリスク

当社グループの事業は多くのサプライヤー(船会社、倉庫会社、運送会社等)に業務委託を行っております。仮に、船会社の海上運賃の高騰が生じた場合や、さらには倉庫会社、運送会社等への業務委託価格が上昇し、大幅な仕入コストの上昇を販売価格への転嫁により解決することができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。更には、業務委託先での慢性的な人材不足や高齢化により、恒常的に受託貨物の取扱いに支障をきたす事態が生じた場合にも、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 貨物輸送中並びに保管中の事故による損害賠償リスク

当社グループの貨物輸送サービスにおいて、輸送中並びに保管中の事故が発生した際には、損害賠償責任が生じる場合や社会的信用の低下により売上が減少し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 自然災害リスク

大地震、津波、高潮、洪水、台風、集中豪雨等の自然災害により港湾施設や倉庫、道路等が損壊し、事業活動に支障をきたした場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 情報システムの障害及び情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、営業、業務、経理から人事管理に至るすべての経営活動を情報システムに依存しており、仮に外部からの予測不可能な不正アクセスや事象により個人情報が流出、もしくはシステム障害が発生した場合には、業務に支障をきたし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 人材の安定確保

当社グループは国際物流に必要な高い知識と経験を備えた優秀な人材を多数必要としております。仮にこれら人材の安定確保が不十分な場合には、組織活動力の低下を招き事業推進が停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 企業内部情報の管理について

当社グループにおいて、情報の漏洩や社内蓄積データの喪失等が発生した場合には、信用力の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 金融資産等に関するリスク

当社グループの保有する株式、債券等の金融資産の価格が、株式市場、債券市場の変動等により下落した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑨ 国際関係における重要事件、事態の発生及びカントリーリスク

当社グループが取扱う貨物輸送サービスは、国際関係の緊張や国家間の重要事件または事態の発生により物流が停滞し、業績に影響を及ぼす可能性があります。更に、当社グループの海外拠点所在国の政府による法律規制、行政指導や過度の介入等の政治・経済・社会状況の急激な変化、テロ・戦争・伝染病の発生等、いわゆるカントリーリスクが顕在化する事態に至った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの海外拠点あるいは海外取引先国における企業活動を巡って、当該国の競争法違反による摘発を受けた場合、巨額な罰金や制裁金が課されたり、当社の役員・従業員が刑罰を科されたりする事態の発生する可能性があります。仮にこれらの事態に至った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ 重要な事業活動の前提となる事項について(法規制等による営業活動への影響)

当社グループの主要な事業活動である国際海上貨物輸送事業は、船舶を所有せず、船会社の船腹を借りて利用することによって、取引先(荷主)の貨物輸送を行い、荷主に対して輸送責任を負うものであり、貨物利用運送事業者として「貨物利用運送事業法」の規制を受けております。

当社グループでは「貨物利用運送事業法」に基づき、国土交通大臣より「第一種貨物利用運送事業」の認可及び「第二種貨物利用運送事業」の許可を受けております。当該認可及び許可には期限の定めはありませんが、不正な行為等、登録事項からの逸脱及び業務改善命令違反等の事由により、事業の全部もしくは一部の停止、あるいは、認可及び許可が取り消される可能性があります。

また、当社グループでは貨物輸送に附帯する業務として通関業を行っており、所轄地税関長より「通関業法」に基づく通関業の許可を受けております。当該許可についても期限の定めはありませんが、関税法や通関業法などに違反した場合や、有資格者不在となった場合には、許可が取り消される可能性があります。

一方、当社グループでは海外においても国内同様の事業を行っており、それぞれの子会社所在国において、重要な事業に対して許認可を受けております。

海外子会社を含め、当社グループの主要な許認可は下記のとおりでありますが、いずれの国においても不正な行為等の法令違反があった場合には、業務の一時停止もしくは許認可が取り消される可能性があります。

本書提出日現在、当社グループには国内、海外ともこれらの登録・許可の取消し事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、将来何らかの事由により、登録・許可の取消し等の事態が発生した場合、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの重要な事業活動にかかる主な許認可は以下のとおりであります。

許認可等の名称

所轄官庁等

許認可等の内容

有効期限

第一種貨物利用運送事業

国土交通大臣

事業経営の許可

期限の定め無し

第二種貨物利用運送事業

国土交通大臣

事業経営の許可

期限の定め無し

第二種貨物利用運送事業

国土交通大臣

鉄道貨物運送の認可

期限の定め無し

第二種貨物利用運送事業

国土交通大臣

内航海運の認可

期限の定め無し

通関業

所轄地税関長

事業経営の許可

期限の定め無し

AEO認定通関業者

東京税関長

AEO認定通関業

期限の定め無し

酒類販売業

日本橋税務長

酒類販売の免許

期限の定め無し

国際複合輸送業務利用運送事業

タイ 
The Office Of the Maritime Promotion Commission

サービス提供許可及び賠償責任範囲設定

2027年6月

IZIN USAHA TETAP
恒久的操業許可書

インドネシア投資調整庁

政令に基づく操業認可

期限の定め無し

Ocean Transport Intermediary (NVOCC)

米国Federal Maritime Commission

NVOCC・フォワーダー認可

財務担保保証がある限り有効

国際物流周旋業登録証

韓国 ソウル特別市

事業経営の認可

2023年4月

複合輸送業者登録

インド

Office of Commissioner of Customs

船荷証券発行の認可

2025年3月

自由貿易業体管理符号

韓国 関税庁釜山税関

自由貿易地域への入居可能
資格

期限の定め無し

 

⑪ 事業投資に係るリスク

当社グループは、国内及び海外において積極的な事業展開を計画しておりますが、仮にこれらの事業戦略が当初計画した経営計画、利益計画、及び設備投資計画の通りに進捗せず、投入された資本の回収計画が低下、停滞、又は計画の中断に至った場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

⑫ 経済環境の変化及び為替変動に伴うリスク

当社グループの営業活動は日本を中心に広く海外にも展開しており、海外依存率は全社売上高の約25%を占めています。このため、仮に国際社会において、経済的、政治的要因により経済環境が変化し、二国間あるいは多国間に亘る通商貿易条約・協定や、為替に係る協定等が結ばれ、当社グループの営業活動にマイナス要因となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの取引における海上運賃は約半数が米ドル建てであり、更には、連結財務諸表作成時には、海外の連結子会社の為替変動により連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 税務リスク

当社グループは、アジア及びアメリカの9つの国及び地域に営業拠点を有しておりますが、近年、国際間の移転価格について、諸外国の法令執行における強化や整備が図られており、これに伴い税務リスクが高まり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑭ 売掛債権等の回収遅延及び貸倒れのリスク

当社グループは、国内外の取引先との商取引においてその大部分は現金決済による取引をしておりますが、近時、事業領域の拡大や海外における取引の比重の高まりに伴い、売掛金、立替金等の信用供与が増しております。これに備えて単体においては、売上債権管理規程を整備強化し、長期未回収債権の未然防止に努めておりますが、海外における売掛金回収期間は比較的長く、現地子会社のキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性や取引先の予期せぬ財政状態の悪化等により回収遅延や貸倒れ等が発生する可能性があります。

これらの損失負担については、会計上、一定の見積りによる引当金の設定を行っておりますが、結果として回収不能となった場合には損失が発生し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑮ 事業用倉庫等の所有不動産に係るリスク

当社グループは、事業の拡大に伴い、主として海外グループ会社において倉庫事業を営んでおりますが、自然災害や事故等により不測の事態が生じた場合に、建物、機械設備及び各種装備品等の不動産、動産の被災損失及び受託貨物の被害に対する損害賠償責任等が発生し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑯ 感染症の流行等による企業活動の混乱リスク

新型コロナウイルス等の感染症が想定以上に流行した場合、各国での感染者の蔓延や感染症防止のための規制によりサプライチェーンが分断されて物流が遅延・停滞し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑰ 気候変動の対応に関するリスク

当社グループは、世界的な関心となっている気候変動の問題を対応すべき重要なテーマと捉えて、温室効果ガスの排出量算定や削減計画を策定し、実行に取組んでいきたいと考えておりますが、これらの取組みが遅れる、もしくは対応を誤った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の流行が未だ収まっていない中、経済活動は回復に向けて動いております。一方、ロシア・ウクライナ情勢などによる資源価格の上昇や各国の政策金利の引上げに伴う急激な為替変動により社会活動への影響が懸念されております。

海上輸送のコンテナスペースの状況につきましては、2022年秋口頃からの港湾混雑の緩和を受けて運賃が下落しておりますが、どこまで下落するかは見通しがつかない状況であります。

このような状況の下、当社グループは国際総合フレイトフォワーダーとしてさらなる成長を目指す取組みを強化してまいりましたところ、前年の業績を大きく上回る水準で推移いたしました。

 

この結果、当連結会計年度の売上高は47,320百万円(前連結会計年度比34.2%増)、営業利益は6,680百万円同75.4%増)、経常利益は6,874百万円同75.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,651百万円同67.2%増)と前年比において増収増益となりました。

 

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

(日 本)

日本における国際貨物輸送事業につきましては、輸出混載貨物を主力としております。当連結会計年度における売上高は、単体につきましては、運賃や各種作業料の上昇に伴って当社の売価を引上げたことに加え、運賃がドル建てであることから顧客に請求する円貨ベースの金額が増大したこともあり増収増益となりました。

 国内子会社におきましては、株式会社ユーシーアイエアフレイトジャパンは、航空輸送の案件を増やし大口の設備輸入案件を獲得したことで増収増益となりました。また、フライングフィッシュ株式会社は、従来より得意とする食品輸入のみならず、積極的な新規取引拡大等より増収増益となりました。

この結果、日本セグメントにおける売上高は、35,485百万円と前年と比べ10,692百万円43.1%)増加し、セグメント利益(営業利益)も4,712百万円と前年と比べ2,146百万円83.6%)増加しました。

(海 外)

当社グループはアジア地域及び米国に連結子会社11社を有しております。これらの海外子会社では日本からの貨物の取扱が売上高の大半を占めておりますが、近年では日本発着以外のサービスも強化、推進しております。

当連結会計年度におきましては、フォワーディング案件を順調に取込み、増収増益となりました。

この結果、海外セグメントにおける売上高は、11,835百万円と前年と比べ1,361百万円13.0%)増加し、セグメント利益(営業利益)も1,971百万円と前年と比べ726百万円58.4%)増加しました。

 

① 財政状態の状況

総資産は前連結会計年度末に比べ5,381百万円増加し22,133百万円となりました。変動の主な理由は、現金及び預金が5,616百万円増加したこと等によるものであります。

負債合計は前連結会計年度末に比べ571百万円増加し4,623百万円となりました。変動の主な理由は、未払法人税等634百万円増加したこと等によるものであります。

また純資産は前連結会計年度末に比べ4,809百万円増加17,510百万円となりました。変動の主な理由は、利益剰余金が4,013百万円為替換算調整勘定613百万円増加したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度比5,616百万円増加し 14,294百万円となりました。その概要は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは5,968百万円の増加(前連結会計年度は2,551百万円の増加)となりました。主な収入は税金等調整前当期純利益の6,874百万円、減価償却費316百万円、主な支出は法人税等の支払い1,378百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、118百万円の減少(前連結会計年度は428百万円の減少)となりました。主な支出は有形固定資産の取得による支出97百万円、差入保証金の差入26百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、707百万円の減少(前連結会計年度は546百万円の減少)となりました。主な支出は配当金の支払566百万円、リース債務の返済134百万円等であります。

 

資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、仕入代金、労務費ほかの販売費及び一般管理費並びに、成長、拡大をはかるための設備投資資金等であります。当社グループは、これらの資金需要に対しては、主に事業活動から生じる自己資金でまかなうことを原則としております。当連結会計年度末の状況は、上記のように、営業活動によるキャッシュ・フローの増加により、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ5,616百万円増加し14,294百万円となっております。

なお、当連結会計年度末において借入金残高はありませんが、当社グループの事業活動の維持、拡大に必要な資金を安定的かつ効率的に調達するため、取引銀行4行と、当座貸越契約及びコミットメントライン契約31億円を締結しております。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

該当する事項はありません。

 

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

日本

24,885,122

43.8

海外

9,918,576

10.4

合計

34,803,698

32.4

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格によっております。

3.仕入内容は、船社運賃及び作業料、倉庫料等の外注費であります。

 

c.受注実績

該当する事項はありません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2022年1月1日
    至 2022年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

日本

35,485,096

43.1

海外

11,835,617

13.0

合計

47,320,714

34.2

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.金額は、販売価格によっております。

3.当連結会計年度において、販売実績の10%以上を占める販売顧客に該当するものはありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 

① 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、この連結財務諸表の作成にあたりまして、将来事象の結果に依存するため確定できない 金額について、仮定の適切性及び金額の妥当性に留意しながら会計上の見積りを行っておりますが、実際の結 果は、特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。詳細につきましては、第5経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(追加情報)をご参照ください。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、船社運賃、倉庫作業料、国内輸送コストの高騰等による仕入原価の上昇が挙げられます。本来、仕入原価の変動は売価への転嫁により解消され、一定の利益が確保されるというのが当社グループのビジネスモデルでありましたが、近年、業界の競争激化や商慣習の 変化、顧客との年間通期契約の増加等により、売価への転嫁が困難となる状況が生じております。

当社においては、このような状況を背景としながらも、仕入原価の高騰を売価に転嫁すべく、お客様のご理解を得る努力を進めておりますが、転嫁ができない状況が長期間継続することになると、当社グループの経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症による影響については、世界的にワクチン接種が進んでおり、各国で規制が緩和されている状況ではあるものの、完全に収束するまでには至っておらず、新種株のコロナウイルスが現れる可能性もあるため、先行きは不透明な状況となっております。

そのほか、当社グループの事業展開、経営成績及び財務状況等に重要な影響を与えるリスク要因について は、「第2 事業の状況] の「2 事業等のリスク」の各項目をご参照ください。

 

③ 達成状況を判断するための客観的指標

当社グループでは、2020年~2022年に至る第4次中期経営計画を策定しており、当連結会計年度がその最終年度に当たっております。

第4次中期経営計画においては、「売上高300億円、営業利益率7%、ROE14%」を達成するための足掛かりとなる結果を目指してスタートしましたが、第4次中期経営計画中間年度の2021年度において上記目標を達成し、最終年度となる2022年度においては、2021年度のさらに上回る業績を遂行することが出来ました。

なお、計画達成の要因としましては、新型コロナウイルス感染症をきっかけとして巣ごもり需要が発生し、これによりコンテナスペース不足に伴う運賃の高騰による影響が大きいと思われます。

そのほか、第4次中期経営計画において当社グループが掲げた数値目標についての達成状況は次のとおりであります。

売上高      目標  300億円   実績   473億円

営業利益率   目標    7.0%    実績    14.1%

R O E        目標   14.0%    実績    32.5%

 

このような第4次中期経営計画の総括を背景に、第5次中期経営計画においては、2027年度の最終年度に売上高700億円、親会社株主に帰属する当期純利益50億円の達成をめざします。

 

4 【経営上の重要な契約等】

特記すべき重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

5 【研究開発活動】

当連結会計年度において該当事項はありません。