第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針(経営理念)

 当社は、「マーケティングカンパニー」を経営理念としております。

 

(2)経営戦略及び経営環境

近年急激に増加しているデータ量は、2025年には全世界で175ゼタバイトに増加し、そのデータの約3割はリアルタイムデータになると言われている中、企業は一貫性のある優れた顧客体験を提供し、市場シェア拡大のためにリアルタイムデータの成長に見合うデジタル化を進める必要があり、それにより消費者はリアルタイムでパーソナライズされた顧客体験を享受できることになります。また、国内においては人口減少に伴うリテンション(既存顧客)の重要度がアップし、獲得した顧客の維持がますます重要になってきます。

こうした環境の中、長年にわたりダイレクトマーケティングに取り組んできた当社ビジネスと外部環境変化によるニーズのマッチ度が高まっております。ますます複雑さを極める企業マーケティング活動において、「マーケティングに、体温を。」のスローガンのもと、データだけでは読みとれない「想い」や「現場感」にまで寄り添い、顧客LTV最大化という長期的な目的にシフトしているマーケティング要件に対応するべく、戦略から戦術までともに伴走する「伴走型マーケティングパートナー」として、新しい時代の要請に応える事業と組織創りを目指してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①自社サービスの強化及び新業界開拓

 当社の得意業界である小売・メーカー・通販業界の既存クライアント企業との取引拡大及び新規クライアント企業獲得のためには、顧客行動データ分析に基づき実施するマーケティング活動である「顧客マーケティング」に関するトータル支援を提供する必要があります。

このため、データ駆動型社会におけるマーケティング支援ニーズに適応し、既存クライアント企業へのクロスセル商材、新規クライアント企業へのソリューションなどを充実させ、提供価値拡大を図ってまいります。

また、当社がさらなる事業拡大を図るためには、既存サービスとシナジー効果のある新業界へ進出することが必要であると考えております。

このため、顧客行動マーケティングの自社ナレッジを新業界に転用し、コストベネフィットを意識したうえで、新業界進出への投資活動を積極的に展開してまいります。

 

②プロジェクト管理

 業容拡大に伴い、案件単位において受注単価増大及び長期化の傾向があり、業務推進体制がより複雑化しております。このような状況のもと、各プロジェクトごとの進捗状況や作業工数を正確にリアルタイムで把握できるシステムを既に導入しておりますが、今後はより一層工程管理を強化し、コスト削減、業務効率化に取り組んでまいります。

 

③情報管理体制の強化

 当社は、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO/IEC 27001:2013」(ISMS)及び日本国内規格である「JIS Q 27001:2014」の認証を取得しており、また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が運営するプライバシーマーク制度の認証を取得しております。機密情報(個人情報等を含む)について、従来より社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、セキュリティシステムの整備を行っておりますが、今後も引き続き情報管理の徹底及び体制の強化を図ってまいります。

 

④人材の確保と育成

 当社は、今後の規模の拡大及び成長のためには、優秀な人材の確保と継続的な人材育成が経営の重要課題の一つであると認識しております。そのため、積極的な人材採用活動とともに、従業員の能力向上のための研修を実施していく等、人材の育成に取り組んでまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、収益力を高めるとともに、経営の効率化を図ってまいります。経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標は、売上高、売上総利益率及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

 基本方針

 当社は、パーパス・ビジョン・ミッション・コアバリューから成る企業理念に基づく事業活動を通じ、社会の持続可能な発展に貢献することが、私たちに期待されているサスティナビリティ(持続可能性への取り組み)と考えております。経営計画内のESG経営方針、SDGsへの取り組み方針は、このサステナビリティ基本方針に基づいて策定し、当社の経済的価値・社会的価値双方の向上を目指してまいります。

 

<1>ガバナンス

 当社は、環境変化に対応した戦略等の迅速な意思決定を行うため、定例取締役会を毎月1回開催し、また必要に応じて臨時取締役会を開催しております。この取締役会において、当社のサステナビリティに関する様々なリスク及び機会について監視及び管理に努めるとともに、新たな想定リスク及び機会の抽出、対応方法の協議等を行うこととしております。

 

<2>戦略

(1)気候変動

 気候変動は、持続可能な社会を実現する上で最も差し迫った課題の1つであり、気候パターンの変化や異常気象により我々の社会に大きな影響を及ぼすリスクがあります。当社は気候変動対策として、「ゼロカーボン北海道」の実現に向け、「ゼロカーボン・チャレンジャー」として登録し、エネルギー使用量と温室効果ガス排出量の測定・開示・削減に取り組むとともに、ハイブリッドワークやオンライン会議などICTの活用による省エネ、移動に伴うCo2の排出の抑制などを行うことで、社会全体の環境負荷低減に貢献していきたいと考えております。

 

(2)人的資本

 当社では、ミッションである「マーケテイングの力で、企業をもっと顧客の近くへ。」を組織の存在目的として最重要視し、従業員の行動指針として3つのコアバリュー(「The Marketer」「Fellowship」「Breakthrough」)を掲げております。ミッションを達成するために、ミッションに共感する優秀な人材を集め、コアバリューの体現とともに成長させ、一人ひとりがその個性や才能を発揮し、自律的に行動を起こしてもらうと同時に、当社に所属する全てのメンバーが一致団結してベクトルを合わせて同じ方向に進み、組織として高いパフォーマンスを継続的に発揮し続けていくことが不可欠であると考え、様々な施策や制度策定をしております。

 

①成長支援

 当社では、従業員が個々の強みを活かしながら成長することが、当社の長期的な成長に繋がるという考え方のもと、より多くの挑戦機会と継続的に学び続けられる環境を提供することで、従業員一人ひとりの成長を加速させることを目指しております。具体的には、以下のような取り組みを重点的に行っております。

 

a.人事制度

 当社では、人事制度を成長支援の中心に据えております。「“社員の成長によりビジネスの成長”を実現する人事制度」、「すべての社員が“貢献し続けられる”人事制度」をコンセプトに、半期ごとに従業員一人ひとりにチャレンジングな目標を設定します。また、成果・成長について直属の管理職だけではなく、部署を跨いで管理職同士が多面的に議論し、今後の具体的な成長に向けたフィードバックの内容を作り込むことで効果的な成長支援を実現しております。

 

b.入社後の早期活躍と継続学習の支援

 当社では、組織拡大を続ける中で新たなメンバーがより早期に活躍できるようにオンボーディングに力を入れており、充実した入社時研修やメンター制度による個別フォロー体制を整備することで、社内における人脈づくりや業務に必要な知識の獲得を支援しております。また、オンボーディング後もより活躍・成長し続けられるように、部署ごとの研修費予算を設定し、各種セミナーの参加や業務に関連する書籍の購入が可能であり、資格取得奨励制度規程により対象資格に対する受験料の補助や表彰金の支給を行っているなど、従業員一人ひとりの継続的な学びを後押ししております。

 

c.オンライン学習

 当社では、「フュージョンWEB寺子屋」と称して、誰でもいつでもオンラインで学習できるコンテンツを備えております。入社歴が長い・短いは関係なく、あらゆる従業員が師範代となって、業務に関連することや業界に関連すること、また過去の成功事例や失敗事例など多岐にわたる題材についての説明を動画として保存し、全社公開しています。直近では第十一弾が公開され、コンテンツ総計で100本を超える動画数となっております。これにより、ピアラーニング(相互で教え合う文化)の風土形成、及び成長支援を行っております。

 

②従業員エンゲージメント向上

 当社は、当社が掲げるミッション・ビジョン・コアバリューに対して各従業員が自律的にアクションを起こすことが重要と考えております。そのため、ミッション・ビジョン・コアバリューを浸透させることやその実現に向けての道筋の丁寧な共有を行うとともに、従業員の自律性・働きやすさを担保し、信頼感を醸成することが従業員のエンゲージメント向上に繋がると考えております。

 

a.社内情報共有

 当社では、全従業員が自律的に、かつ組織として同じ方向に向かって進んでいくために、経営陣と現場従業員間の情報共有と、組織間における重要情報の共有の場・機会を設けています。経営陣から現場従業員に向けての情報共有に関しては主に2つの場・機会が設定されており、年2回開催の「全社総会」及び月2回開催の「全社朝礼」が直接的なものとなります。その他には、間接的な情報共有として、経営会議議事録やビジネス部門会議議事録などの重要会議における議論内容の情報共有も行っております。また、全従業員への周知やコミュニケーションの場として、従業員コミュニケーションプラットフォームである「Viva Engage」を活用しており、重要会議の議事録の共有を含め、総合的なコミュニケーションの場となっております。

 

b.ハイブリッドワーク

 当社では、在宅勤務とオフィスワークを選択できる「ハイブリッドワーク」を導入しております。具体的には、週5日勤務のうち2日はオフィスワークを必須とし、残りの3日は在宅勤務とオフィスワークを選択できるものとしております。これにより、従業員が業務内容や自身の状況に合わせて柔軟な働き方を選択できることで、働き方の多様化を実現し、従業員の生産性向上や、企業満足度の向上に努めております。

 

c.従業員同士のコミュニケーション促進

 当社では、従業員同士の親睦を深め、プライベートに時間を充実させることを目的として「サークル活動支援金制度」を導入しております。これは、3名以上の会員を集め、会社にサークル設立申請を届け出て許可を得たサークルは、年間一定額の支援金を得て自由に活動できる制度です。これにより、従業員同士のコミュニケーション促進を図っております。

 

d.ワークライフバランス

 当社では、従業員一人ひとりがライフステージの変化に応じて健康かつ生産性高く働き、成長と働く幸せを実感できる状態を体現できるよう各種制度を整えております。社内には、個人の事情に応じた柔軟な勤務形態を尊重する風土が根付いており、多様な働き方の実現をワークライフバランスの支援に注力しております。

 ・育児・介護休暇制度

 ・フレックスタイム制度

 ・短時間勤務制度

 ・ハイブリッドワーク

 ・年次有給休暇の取得促進

 ・サークル活動支援金制度

 ・禁煙推奨施策

 ・多様な休暇制度(バースデー休暇、ドナー休暇など)の整備、取得促進

 

③DEI(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン)

 当社は、ミッション実現においてDEIが欠かせないと考えております。DEIはイノベーションに繋がり、新たな雇用や事業を生み出し、経済を支える役割を果たします。その結果、DEIを推進している企業は若い優秀な人材を惹きつけ、より良い未来を切り開くことができるようになります。当社ミッションである「マーケテイングの力で、企業をもっと顧客の近くへ。」の実現のために、多様な人材がそれぞれの個々の能力を最大限発揮して自律的に活躍でき、イノベーションが生まれやすい環境づくりを行っております。

 

a.継続的なダイバーシティ教育と環境整備

 当社では、多様な人材が持続的に活躍できる環境を作るために、ダイバーシティに関する研修を行い、全社総会や全体朝礼など全員が参加する会議体などにおいても随時発信周知に努めております。また、フレックスタイム制度やハイブリッドワーク、雇用形態、福利厚生など、多様な人材が活躍するために必要な制度を整備し、公平性を保ち従業員が納得感を持てる人事評価制度も整備しております。さらに、多様な人材が生き生きを活躍するために「互いを尊重し合える」「誰でも意見を言える」などの組織風土の構築も行っております。

 

<3>リスク管理

 当社はリスク管理について、予見可能なリスクを未然に防止するには各部門間の情報連携が必須との観点から、主に経営会議などの会議体で相互に監視及びチェックをしています。課題及びその指標や見直しなどの重要事項については取締役会において、検討、承認してまいります。

 

<4>指標及び目標

 当社では、社内で意思決定に関わる従業員の多様性向上のために、労働者に占める女性の割合を高めるとともに、管理職に占める女性の割合を高めることが重要であると考えております。これにより、多様性を受け入れるダイバーシティの考えをより浸透させ、多様な人材が活躍できる企業風土の醸成に繋げてまいります。

 

指標

2024年2月29日

2025年2月28日

労働者に占める女性の割合

45.0%

47.2

管理職に占める女性の割合

37.5%

23.8

有休消化率

60.2%

58.1

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

1.事業内容に関するリスク

① 事業環境に関するリスク

 当社は、日本国内における流通小売業、製造小売業などのBtoC企業に依存しており、当社の業績は国内の景気動向や個人消費の動向等の経済環境のみならず、BtoC企業各社の景況等に影響されやすい傾向にあります。このリスクに対して、BtoB企業や学校法人など多種多様な企業との新規取引を開拓し、特定の業界に依存している状況からの転換を進めております。

 しかしながら、国内の景気動向、消費動向等の経済情勢並びにBtoC企業各社における景況等が悪化した場合には、クライアント企業数の減少やクライアント企業における販売促進費の抑制、及びマーケティング手法の変更等が想定され、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 主要顧客企業への依存について

 当社の全売上高に占める割合が10.0%以上となる主要クライアント企業の数及び売上高の割合の合計は、2025年2月期において2社にて25.1%となっております。当社は、今後において、当該クライアント企業との取引額に関して拡大を図っていきながらも、新規クライアント企業等、当該クライアント企業以外との取引額の拡大を図り、当該クライアント企業への依存度の低減に努めてまいりますが、何らかの事情により、当該クライアント企業との取引額が大幅に減少した場合、もしくは当該クライアント企業との取引の継続が困難な事態に陥った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 外注先の確保について

 当社は、ダイレクトメール制作をはじめとする各種表現物の企画・制作等において、企画立案は自社内にて行うものの、実作業の多くは各分野における専門会社等に外注しております。これまで当社は、十分なスキルとノウハウを有し、かつ当社又はクライアント企業のニーズに応える品質を維持できる外注先を安定確保できており、また、当該外注先と良好な関係を構築しております。

 しかしながら、外注先の何らかの事情により、当社との取引が継続できなくなった場合、もしくは当社又はクライアント企業が要求する品質の維持ができなくなった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競合について

 当社が属するマーケティング業界は、近年拡大を続けております。そのため、競合企業が多く存在しており、今後も増加する可能性があります。

 当社は、一連のマーケティング業務をワンストップで提供し、他社との差別化を図り、継続的な事業成長に努めておりますが、競争の激化により当社の優位性が失われ、当社とクライアント企業との取引が縮小される可能性があり、かかる事態となった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 有利子負債への依存及び金利動向の影響について

 当社は、事業資金について自己資金の他、金融機関からの借入等により調達しており、総資産のうち有利子負債の占める比率は2025年2月期末において28.3%となっております。当社としましては、2025年2月期末における固定金利調達割合は100.0%であることから、金利上昇局面における影響は短期的にはそれほど大きくないと考えております。しかしながら、将来長期的に金利が上昇し、資金調達コストが増加した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.法的規制に関するリスク

 当社は、事業の遂行にあたって、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)等の法的規制の適用を受けております。

 当社は、経営会議においてコンプライアンス及びリスク管理について統制・把握し、役職員に対するコンプライアンスの周知徹底や教育の実施等、これらの法令の遵守に努めておりますが、将来的に当社が規制を受けている法令の変更や新たな法令の施行等があった場合は、当社の事業活動が制限される可能性があります。

 また、当社のクライアント企業の商行為は、「特定商取引に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)」、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」等、主にマーケティング事業に関わる法的規制等の影響を受けます。これらの法規制等の導入・強化・改正等に対して当社のクライアント企業が適切な対応を行わなかった場合及び当社がクライアント企業に対し適切な対応を怠った場合は、クライアント企業の業績が悪化する可能性があり、このような事態となった場合には、間接的に当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.内部管理体制に関するリスク

 当社は、本書提出日現在、取締役6名、監査役3名、従業員85名(臨時従業員を含む。)と比較的小規模であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。

 当社は、業務の拡大に伴って、恒常的な人材募集広告や人材紹介サービスの活用により、必要な人材の確保に努めております。また、より優秀な人材を確保し、かつ必要な人材の流出を最小限に抑えるため、従業員の能力向上のための教育研修の強化に努めるとともに、従業員持株会制度等のインセンティブ制度を導入しております。また、人員の増強に併せ、より一層の内部管理体制の充実を図る方針であります。

 しかしながら、必要とする人材を当社の計画通りに確保できなかった場合、また、必要な人材の流出が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.その他

① 情報の取扱いについて

 当社は、クライアント企業の顧客の個人情報を取扱っており、当該個人情報の管理として、自社においては個人情報取扱規程等を整備し、個人情報管理に関するシステムのセキュリティ対策を講ずるとともに、全役職員を対象とした教育研修を実施して個人情報の適正管理に努めており、また、封入作業等を依頼する外注先等に対しても監視、指導を徹底しております。2005年8月には、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が発行するプライバシーマークを取得しております。

 また、個人情報以外の情報についても情報システム管理規程を整備し、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしております。2017年9月には、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証を取得しております。

 しかしながら、これらの情報が当社の関係者や業務提携先の故意又は過失により、外部へ流出もしくは悪用される事態が発生した場合には、当社が損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、信用の低下等により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② システム障害について

 当社の事業は、パソコンやコンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、システムに支障が生じることは、サービスの停止に繋がるため、設備及びネットワークの監視や冗長化、定期的なデータのバックアップなど、障害の発生防止に努めております。

 しかしながら、地震、火事などの災害のほか、コンピューターウイルスやハッカーなどの行為、ハードウエア・ソフトウエアの不具合、人為的ミスによるもの、その他予期せぬ重大な事象の発生により、万一、当社の設備又はネットワークが利用できなくなった場合には、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 知的財産権について

 現時点において当社は、第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しておりますが、今後も知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟等について

 当社は本書提出日現在において、業績に重大な影響を及ぼす訴訟・紛争には関与しておりません。しかしながら、様々な事由により、今後直接又は間接的に何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過又は結果によっては、当社の業績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 在宅勤務等の働き方の見直しに伴うリスクについて

 当社では在宅勤務制度を導入しております。そのため、従業員の多くが異なる環境下において業務を行い、同一の場所で業務を行う体制とは異なる働き方となることから、働き方の見直しに合わせた社内情報管理に関するセキュリティ対策、各業務のオペレーションや労務管理に関する見直し等を行うことが必要となりますが、外部からの不正な手段によるアクセスなどの犯罪や従業員の過誤による漏洩、障害や業務遂行上のトラブル等が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社といたしましては、システム管理や業務体制及びマネジメント体制の見直しを行うことでリスクの低減に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の増加等を背景に、緩やかな回復傾向となりました。一方で、米国の政権交代に伴う経済政策や国際関係の変化が、景気や金利の変動、為替相場に影響を及ぼしております。また、物価の上昇傾向の継続等により、景気の先行きは依然として不透明な状況であります。

当社を取り巻く市場環境としましては、EC(電子商取引)の利用者が引き続き増加傾向にあり、消費者の購買行動が多様化し顧客一人ひとりのニーズに応えるためのデータ分析やプロモーションがますます重要になっております。また、企業だけではなく顧客が接するデータ量が増加し、マーケティング上の顧客体験の質が問われるようになっております。こうした状況のなか、当社は、CRM戦略策定から購買データ分析、クリエイティブ、テクノロジー、マーケティングオペレーションまで顧客マーケティングに関わるあらゆる業務をワンストップで支援する伴走型マーケティングパートナーとしてクライアント企業のマーケティング活動を支援しております。

こうした環境の中、2024年3月14日には日本郵便株式会社主催の全日本DM大賞において、当社は金賞受賞作を含む4作品で受賞し、7年連続の金賞受賞、17年連続のDM大賞受賞となりました。全日本DM大賞はダイレクトメール施策に対する日本最大のアワードであり、戦略性・クリエイティブ・実施効果の3つの観点で評価されております。伴走型マーケティングパートナーとして、この度の受賞はダイレクトメール単体の成果はもちろんのことデジタル施策との補完・相乗効果にも高い評価を得たものになります。

コスト面につきましては、採用活動の強化に伴い関連費用が増加しております。また、投資有価証券のうち、実質価額が著しく低価したものについて減損処理を行い、投資有価証券評価損20,060千円を計上しております。

以上の結果、当事業年度における売上高は1,504,315千円(前年同期比2.5%増)、営業利益は16,796千円(前年同期比66.6%減)、経常利益は13,713千円(前年同期比72.9%減)、当期純損失は16,676千円(前年同期は当期純利益52,589千円)となりました。

 

当社は、単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績の記載をしておりません。

3つの区分に属する領域及び主要サービスは下記のとおりであります。

区分

領域

主要サービス

CRM支援分野

コンサルティング

・マーケティングコンサル ・メディアプランニング

・統合データプラットフォーム設計 ・その他コンサル

アナリティクス

・分析プロジェクト ・AI活用プロジェクト

・リサーチ ・BIツール導入及び運用

クリエイティブ

・ダイレクトメール ・デジタル広告

・WEBメディア ・ダイレクトレスポンス広告

・コミュニケーションツール

テクノロジー

・統合データ環境構築及び運用 ・スマホアプリ開発

・マーケティングツール導入及び運用 ・システム開発

・顧客管理システム導入及び運用

・WEBサイト構築及び運用 ・運用保守

オペレーション

・事務局 ・コールセンター

・DMセンター ・メッセージ配信運用

・データマネジメント

サービス運営支援分野

POSデータ開示

・システム基盤の最適化及び機能開発

EC

・ECの最適化及び付加価値向上

教育支援分野

eラーニングサービス

・DCFM(Data Marketing and Analytics Certified Fundamental Marketer)(注)

セミナー

・セミナー開催

(注)ANA(全米広告主協会)公認のeラーニングサービス。

②財政状態の状況

(資産)

当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べ132,318千円増加し、728,022千円となりました。これは主に現金及び預金が167,497千円増加した一方で、無形固定資産が4,695千円、投資有価証券が8,059千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末の負債は、前事業年度末と比べ148,994千円増加し、366,055千円となりました。これは主に長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が166,582千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末の純資産は、前事業年度末と比べ16,676千円減少し、361,967千円となりました。これは利益剰余金が16,676千円減少したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ167,497千円増加し、368,045千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果増加した資金は、30,115千円(前年同期は18,555千円の増加)となりました。この主な要因は、減価償却費20,896千円、投資有価証券評価損20,060千円が生じた一方で、未払金の減少額10,344千円が生じたこと等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果減少した資金は、28,556千円(前年同期は18,687千円の減少)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出9,784千円、投資有価証券の取得による支出12,000千円が生じたこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果増加した資金は、165,939千円(前年同期は55,082千円の減少)となりました。この主な要因は、長期借入金の借入による収入200,000千円が生じたこと等によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.外注実績

当社は、総合マーケティング支援事業の単一セグメントであり、当事業年度の外注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

総合マーケティング支援事業(千円)

616,709

116.0

合計(千円)

616,709

116.0

 

b.受注実績

当社は、総合マーケティング支援事業の単一セグメントであり、当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

総合マーケティング支援事業

1,545,661

102.7

237,561

121.1

合計

1,545,661

102.7

237,561

121.1

 

c.販売実績

当社は、総合マーケティング支援事業の単一セグメントでありますが、当事業年度のサービス区分ごとの販売実績を示すと次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

CRM支援分野(千円)

1,169,874

102.1

サービス運営支援分野(千円)

331,160

105.5

教育支援分野(千円)

3,280

38.7

合計(千円)

1,504,315

102.5

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

当事業年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

イオンモール株式会社

213,180

14.2

株式会社いなげや

163,901

10.9

(注)2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

当事業年度における売上高につきましては、前事業年度比2.5%増の1,504,315千円となりました。

区分ごとの状況は次のとおりであります。

a.CRM支援分野

CRM支援分野は、顧客行動データを保有するクライアント企業に対して、顧客マーケティング(顧客行動データの分析に基づき実施するマーケティング活動)に関するトータル支援を行っております。

当事業年度においては、アナリティクスの領域で既存クライアント企業から複数の分析案件を受注し、売上高が伸長いたしました。この結果、売上高は1,169,874千円(前年同期比2.1%増)となりました。

 

b.サービス運営支援分野

サービス運営支援分野は、クライアント企業に対して、システム基盤の最適化及び機能開発支援、ECの最適化及び付加価値向上支援を行っております。

当事業年度においては、POSデータ開示の領域で新規クライアント企業からPOSデータ開示システムの導入を受注し、売上高が伸長いたしました。この結果、売上高は331,160千円(前年同期比5.5%増)となりました。

 

c.教育支援分野

教育支援分野は、DCFMの提供をはじめ、セミナーの開催により、クライアント企業の社内教育やマーケターのスキルアップを支援しております。

当事業年度においては、eラーニングサービスの領域でDCFMが2025年6月30日をもってサービス終了となることによる販売減少が、前年同期比での主な減少要因となっております。この結果、売上高は3,280千円(前年同期比61.3%減)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度における売上原価につきましては、前事業年度比6.2%増の891,951千円となりました。これは主に、外注原価の増加によるものであります。この結果、売上総利益は前事業年度比2.5%減の612,363千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度における販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度比3.1%増の595,567千円となりました。これは様々な要因により増加した費用、減少した費用がある中で、採用活動の強化に伴い採用費の増加が主な要因であります。この結果、営業利益は前事業年度比66.6%減の16,796千円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

当事業年度における営業外収益の主なものは、違約金収入4,085千円であります。営業外費用の主なものは、解約違約金7,106千円であります。この結果、経常利益は前事業年度比72.9%減の13,713千円となりました。

 

(特別利益、特別損失及び当期純利益)

当事業年度における特別利益の発生はありません。特別損失の主なものは、投資有価証券評価損20,060千円であります。この結果、税引前当期純損失は6,591千円(前事業年度は税引前当期純利益49,450千円)となりました。

また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額を含む。)は10,084千円であります。この結果、当期純損失は16,676千円(前事業年度は当期純利益52,589千円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析、検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社の主な資金需要は、人件費、外注費等の運転資金となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、必要な場合には、状況に応じて金融機関からの借入等による資金調達で対応していくこととしております。

なお、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動によるキャッシュ・フローの水準については、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。

当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。