当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、経営理念でもある「世代を超えて愛される企業へ」を掲げ、継続的な成長を果たし、社会に貢献する企業を形成してまいります。この経営理念の下、事業を成長し継続させていくために以下の方針に基づき経営を行っております。
① 収益力の向上
収益力向上のために、「マルチブランドの進化」としてブランドポートフォリオ経営、「マルチチャネルの深化」としてチャネル間の融合・新ロケーションの開拓、「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の強化」として単一ブランドから複数ブランドへのファン拡大・LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を目指します。
a 事業ポートフォリオの更なる変革
ベビー・子供服業界は少子化に伴い、マーケットが縮小傾向ですが、6ポケット・10ポケットと言われているように、1人1人の子供に対する消費支出額は増加傾向にあります。加えて、消費者の嗜好も多様化し、価格だけでなくそれぞれのライフスタイルに合った商品・サービスを購入する傾向も高まっております。また、インバウンドがコロナ終息後に回復し、外国人観光客の子供服へのニーズも高まっております。
しかし、ベビー・子供服というカテゴリー内の競争から、子供向けサービスなど幅広いカテゴリー間での競争へと競争環境は厳しさを増しております。
当社グループとしては、サステナブル経営への対応、デジタル化への対応など、お客様が求められているものを把握しながら、事業運営を行ってまいります。
また、人的資本経営が求められている昨今、当社グループにおいて働きやすく、やりがいのある職場環境の整備も進めてまいります。
b 生産活動におけるカントリーリスク低減
当社グループの生産活動は、国内商社及びOEM会社経由で行っております。従いまして、取引先と連携することで中国一国集中のリスクを可能な限り回避いたします。
② 人材育成
a お客様である子供・家族のライフスタイルの変化を鑑み、具体的な商品として提案できるよう、企画開発スタッフの人材育成を行います。
b 当社グループはSPAの業態であるため、顧客との接点である販売員の強化、店舗における業務の効率化も競争優位の源泉のひとつであると考えております。そのため、店舗における業務の効率化に努めてまいりました。今後も効率化に向けてIT投資を継続してまいります。また販売員研修を強化することで、接客能力の向上にも取り組んでまいります。
c 事業規模の拡大に伴い、管理部門の人材を補充・強化し、企業規模に応じた人材の登用を図ると同時に最適な体制を構築してまいります。
③ 企業体質の強化
新規事業、新カテゴリー開発、海外市場を視野に入れ、変化の激しい子供服市場において、競争力を強化し、オンリーワン・ナンバーワンを目指します。
(2)今後の経営戦略等
当社グループは、子供服業界において、マルチチャネル・マルチブランド展開を推進しており、販売チャネルや多様なブランドの事業ポートフォリオの最適化に留意しながら経営戦略を進めてまいりました。
当社グループは、お客様が買い物すること自体に楽しみを求められていると考え、店頭の接客やVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を強化し、オケージョンなどの商品企画を促進することで、販売機会の提案を行ってきました。為替変動のリスクや物流費の高騰、店頭人材の確保の厳しさなどに対して、顧客視点での商品企画、タイムリーな納品、上代設定などを行い、販売研修を充実させてきました。
今後におきましては、少子化の加速や、消費者の嗜好の多様化、実店舗の寡占化がリスクとして挙げられます。また販売員などの人手不足も顕著となってきております。
しかしながら、6ポケットから10ポケットと言われるように客単価は上昇傾向にあり、またインバウンドが拡大したことにより、海外のお客様による売上が増加してきております。これらの市場変化を見据え、当社グループは、2025年2月期から2027年2月期までの中期経営計画(連結)を策定し、「マルチ・ブランドの進化」としてブランドポートフォリオ経営、「マルチ・チャネルの深化」としてチャネル間の融合・新ロケーションの開拓、「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の強化」として単一ブランドから複数ブランドへのファン拡大・LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を目指し、当連結会計年度より実行に移してまいりました。中期計画2年目となる、翌連結会計年度も上記施策に加え、フォトスタジオ事業、IPビジネス、ママの困りごとを解決する課題解決型ビジネスといった新規ビジネスにもさらに注力してまいります。
サステナブル経営への対応としては、2024年5月に策定した「ナルミヤ・サステナビリティプラン」に基づき、環境・人・社会にやさしい取組みを推進していくとともに、新しい領域への挑戦も行いながら、当社グループの成長と創造を目指していきます。
(3)経営指標
当社グループは、収益性の指標として、売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益及び1株当たり当期純利益(経営の効率性)及びROE(収益力)を意識し、それらの向上を図ることが、企業価値の最大化につながるものと考え、マルチチャネル・マルチブランド展開を推進するうえで、ポートフォリオの最適化に留意しながら、経営資源の選択を行っております。なお、2025年2月期の実績は以下のとおりであり、参考として来期以降における売上高・営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益及び1株当たり当期純利益の推移は以下に記載します。また、ROEにつきましては、2027年2月期には20%前後を目安に計画しております。
(単位:百万円)
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回 次 |
2025年2月期 実 績 |
2026年2月期 目 標 |
2027年2月期 目 標 |
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売上高 |
39,152 |
44,000 |
47,400 |
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営業利益 |
1,860 |
2,600 |
3,000 |
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経常利益 |
1,819 |
2,584 |
2,990 |
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親会社株主に帰属する 当期純利益 |
1,403 |
1,653 |
1,924 |
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1株当たり当期純利益(円) |
142.99 |
167.96 |
195.43 |
(4)経営環境の認識
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得の改善が進む中、景気は緩やかな回復基調にありますが、海外経済の減速への懸念や資源価格の高止まりなどもあり、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属するアパレル業界においては、インバウンド需要の拡大等による個人消費の回復基調が一部に見られるものの、原材料及びエネルギー価格の高騰や度重なる物価上昇もあり、衣料品に対する消費者の節約志向や低価格志向が想定されるなど、今後の事業環境への影響が依然として懸念されます。
(5)優先的に対処すべき事業上の課題及び財務上の課題と具体的な取り組み状況
①チャネル別の対処すべき課題は、次のとおりです。
a 百貨店
当連結会計年度は、インバウンド対策の効果もあり、訪日外国人観光客の多いエリアの店舗では売上高が増収となりましたが、地方店舗では集客に苦戦し、主要百貨店における子ども服フロアの閉鎖や大幅縮小などの店舗休止による売上減少の影響を、他の百貨店へ出店することで挽回を図りましたが、そこまでには至りませんでした。従いまして全体として減収となりました。翌連結会計年度は、引き続きインバウンド対策を拡充しつつ、当連結会計年度より着手しましたギフト商材の価格見直しや国内生産の拡大など新生児向け施策をさらに強化いたします。また、当連結会計年度中に完了しましたPOSの導入により、業務の効率化による接客の強化やOMO施策を実施し、売上の回復を目指してまいります。
b ショッピングセンター
ショッピングセンターチャネルの当連結会計年度の売上高は、主力の「petit main」の積極的な出店により増収となりました。また、「petit main」の顧客リレーションを強化すべく、ファンコミュニティを立ち上げました。今後より一層お客様とのつながりを強化してまいります。当連結会計年度にスタートしました「and D. petit main」と「Minimal」につきましては、お客様のニーズをつかみつつあり、翌連結会計年度において成長を加速させてまいります。また、ジュニアブランドである「Lovetoxic」につきましては、ジュニア市場の活性化を図るべく、ワールドグループの「ピンクラテ」との連携を強化し、プロモーションの共同開催などを通じてシナジー効果を発揮してまいります。
c eコマース
eコマースチャネルの当連結会計年度の売上高は、広告効果と店舗におけるアプリ会員獲得増及び国内外への出店サイト増により、増収となりましたが、自社サイトのコンバージョン率に課題が残りました。翌連結会計年度においては、UI/UXの改善によりコンバージョン率を向上させつつ、店舗とeコマースの相互送客などOMO施策の強化およびeコマースの強みを活かしたパーソナライズされた体験の提供、さらにはEC限定ブランドの強化を図ることにより売上増加を目指してまいります。また、当連結会計年度から着手しました越境EC・海外ECは順調に推移しておりますので、取り扱いブランドの増加によりeコマースチャネルの一層の拡大を目指してまいります。
d 新規ビジネス
当連結会計年度における新規事業は、ナルミヤ内のブランドとのコラボ七五三企画やオーディションなどの企画が好評につきフォトスタジオのLOVSTが黒字化となりました。IPビジネスの売上高は、ニュートロブームにより当社ブランドキャラクターの人気が再燃し、ライセンスロイヤリティ収入とキャラクター商品の販売が大変好調に推移しました。翌連結会計年度は、POPUPショップの開催増、スタイルガイド充実、他キャラクターとのコラボなどにより、キャラクターの更なる認知拡大を図り、一層の売上増加を目指してまいります。また、子どもの再定義により取り組んだ、ペットロボット「LOVOT」のウエアが大好評につき、業績予想を上回りました。
② ESG経営への取組
当社グループは、SDGsの一環として、一人でも多くの子どもたちに夢と幸せを届けられるように、引き続きサポート活動を続けてまいります。当連結会計年度においても、子どもたちと当社グループ社員が直接ふれあうことで、子どもたちに「ワクワク・ドキドキ」を届ける「夏休みキッズワークショップ」を四年連続で実施し、当社が子どもたちの笑顔で溢れました。
環境にやさしい取り組みとしましては、2024年5月に策定した「ナルミヤ・サステナビリティプラン」の下、株式会社ワールドのノウハウやシステムを活用しながら、CO2削減に向けた取り組みや廃棄ロス削減、リユース・リサイクルの取り組み等をより一層強化してまいります。
人的資本経営の強化の取り組みとしましては、研修などリスキリングの機会と福利厚生の充実をさらに進め、従業員がより働きやすい職場環境を構築していくとともに、CGコード遵守にも引き続き取り組んでまいります。
③ ワールドグループシナジー
株式会社ワールドが取り組んでいるリユース・リサイクル活動への参加や人材交流が継続的な取り組みとして定着しつつあります。また、当連結会計年度には決算の早期化及び同日化が実現しました。ビジネス面では、両社ブランド、「Lovetoxic」と「ピンクラテ」の共同プロモーションや「petit main」の海外一号店である台湾出店など、両社の協業がビジネス面でも増えてきました。今後もワールドグループとしてのシナジーをより一層拡大すべく取り組んでまいります。
当社グループのビジョンは「世代を超えて愛される企業へ」です。当社グループが世代を超えて、これからもたくさんの笑顔を創れる会社であり続けるためには、成長戦略の実施はもとより、ファッション業界で課題として挙げられている大量生産や在庫破棄、生産過程での環境・人権配慮等の社会課題に真摯に取り組み、サステナブルな経営を行っていくことも重要です。そのためには、「お客様とのつながりをしっかりと築くこと」、「商品やサービスを強化すること」、「環境・人・社会にやさしい企業」を目指すことが必要です。その実現に向け、2024年5月に「ナルミヤ・サステナビリティプラン」を策定しました。
従業員一人ひとりが環境・人・社会にやさしい取組みを自分のこととして考え、日々推進していくとともに、新しい領域への挑戦も行いながら、当社グループの成長と創造を目指していきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、サステナビリティの推進を重要な経営課題と認識しており、各事業部において課題解決への取組みについて検討しております。中長期的に企業価値に影響を与える重要な事案については、経営会議で検討・審議の上、取締役会に報告を行います。
(2)戦略
気候変動を重要課題と捉え、CO2排出量の削減に取り組みます。ファッション業界におけるCO2排出量の多数を占める部分であるScope3(事業者の活動に関連する他社の排出)に関する算定手法を確立し、排出量を可視化しました。現在、「ナルミヤ・サステナビリティプラン」に基づき、全社のサステナブル素材の使用枚数を算出の上、削減目標設定に向けた検証を行っており、2026年2月期中に削減目標を設定いたします。
また、当社グループは「一人ひとりがプロフェッショナルとして、今、行動する」をバリューとしています。プロとしての行動を自覚し、実践し続けることができる人材の確保・育成、及び一人ひとりのパフォーマンスを底上げするため働き方改革を進めてまいります。
また、当社グループの人材に関する基本的な考え方は以下のとおりです。
①人材確保
魅力ある職場づくりやコーポレート・アイデンティティの発信を強化し、採用力を向上させていきます。また、各種研修の充実化やインセンティブの導入等を進め、定着率の向上を目指します。
②人材育成
社員の成長を促進する多様な教育機会を提供していきます。また、若手管理職の抜擢や評価制度の改善等により、社員のモチベーション向上を図ります。
③働き方改革
多様な働き方を選択できる社内環境の整備を進めていきます。女性社員が9割を占める当社グループとしては、男女ともに働きやすい職場づくりを目指し、各種制度の見直しを行っていきます。
また、店舗及び本社のDXを促進し、業務効率化を図ります。
(3)リスク管理
リスク管理に関する重要事実の審議と方針決定はリスク管理委員会が行います。リスク管理委員会は全社横断的な組織とし、サステナビリティに関するリスク対策方針の決定、リスクの範囲の見直し、リスク管理の状況について検討を行っております。また、中長期的に企業価値に影響を与える重要な事案については、取締役会へ報告を行います。
(4)指標及び目標
管理職に占める女性労働者の割合を中長期的に30%以上に引き上げることを目標としています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅したものではありません。
また、本書提出日現在において、以下に記載したリスクが顕在化する可能性についてはいずれも低いと判断しておりますが、リスクが顕在化する可能性が発生した場合、早期に財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへの影響にかかる分析を行ったうえで、必要な対応を図ってまいります。
(1)少子化への対応について
当社グループの事業においてはベビー・子供向けの商品の販売が主な売上を占めております。我が国においては少子化傾向が続いておりますが、常に新商品を企画・生産・販売する強みを生かすことによるマーケットシェアの確保や子供服の企画販売から子供写真館、当社グループ保有のキャラクターを活用したライセンスビジネスの拡大といったモノからコトヘ事業領域を拡大することにより安定した成長を続けております。
しかしながら、今後、少子化が急速に進行し、市場全体が著しく縮小した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)新規事業に関するリスク
当社グループでは、経営理念「世代を超えて愛される企業へ」の下、事業を成長し継続させていくため、既存事業の強化のみならず、フォトスタジオの育成、ファッションと+αとしての新しいカテゴリーの創出、保有IPの活性化等、新規事業の開発に積極的に取り組んでおります。
新規事業開発の過程で事業投資を行う際には、十分な調査を行った上で最終的な判断を下すよう留意しておりますが、市場環境の急速な変化や当社グループの新規事業での経験の不足等により当社グループの期待した成果を上げることができない場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(3)環境に関するリスク
当社グループの属するアパレル業界は、CO2排出、水質汚染や衣料品の大量廃棄などの地球環境に与える負荷が問題となっており、当社グループは、洋服の廃棄ロスの低減やリユース・リサイクル活動に取り組んでおります。
今後、環境規制等が強化された場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)流行や景気の変動が経営成績に与える影響について
当社グループは、流行の変化が早く、商品のライフサイクルが短いかつ競合他社が多いファッション衣料業界に属しております。当社グループは、0歳から13歳のベビー・トドラー、ジュニア向けにマルチブランドのファッションを提供しており、お子さまの成長とともに長期にわたって当社グループの商品をご愛用される優良顧客を創出することが、当社グループのビジネスの基本であり、かつ目標でもあります。
しかしながら、消費者の嗜好に合致した商品を提供できない場合や、景気の変動による個人消費の低迷の影響を受けて販売不振となった場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
(5)ハザードリスク
当社グループでは、事業継続計画(BCP:Business continuity planning)を策定し、災害発生時におけるリスク低減に努めております。また、当社グループが取扱う商品は、気象状況により来店客数の減少や季節に応じた店頭商品の販売に影響するため、購入客数など日々の販売状況を管理しております。
しかしながら、地球温暖化による暖冬や冷夏などの異常気象や地震・台風などの予測できない天災、パンデミック、突発的な事故等により、事業の一部中断・取引先(仕入先等)に被害が生じた場合や、客足が伸びなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)サプライチェーンに関するリスク
当社グループが販売する商品の大半は、中国を生産国とし、主に繊維専門商社等から円建てで仕入れております。中国製の商品の仕入れにあたっては、現地における自然災害や感染症、テロや戦争、政変や経済情勢の悪化、為替レートの変動、インフレの発生や生産コストの上昇、運輸・物流の未整備、現地従業員の雇用問題、地政学的問題等の社会情勢といったリスクが内在しております。上記リスクに対応するため、東南アジアからの商品仕入れを視野に入れた新たな生産工場の開拓や為替変動リスクヘッジを含めた直接貿易による原価の低減化に向けた人材育成に取り組んでおります。
海外におけるこれらのリスクが現実化した場合、仕入活動に支障が出る等の問題が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、物流2024年問題をはじめとする物流業界の環境変化に伴い、物流コストの増加が見込まれております。当社グループではサプライチェーンの最適化を含む各種対策を検討・実施しておりますが、これらの対策が十分な効果を発揮しなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)業績の季節変動に伴うリスク
当社グループの事業は、ベビー・子供服の企画販売事業を営んでおります。ベビー・子供服業界では、一般に季節変化に応じて単価の低い春夏物需要にあたる3月~8月にかけて、他の月に比べて売上が低くなる傾向があり、単価の高い秋冬物需要にあたる9月~2月にかけて、売上が高くなる傾向があります。そのため、該当期間における販売動向が当社の業績に影響を与える可能性があります。
なお、2025年2月期の通期売上高に占める四半期毎の売上高の割合、並びに、通期営業利益に占める四半期毎の営業利益の割合は以下のとおりであります。
2025年2月期 四半期別売上高・営業利益(連結) (単位:千円)
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通 期 |
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売上高 |
9,212,281 |
8,390,611 |
9,859,867 |
11,690,145 |
39,152,906 |
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構成比(%) |
(23.5) |
(21.4) |
(25.2) |
(29.9) |
(100.0) |
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営業利益又は営業損失(△) 構成比(%) |
733,735 (39.4) |
△24,921 (△1.3) |
691,646 (37.2) |
460,451 (24.7) |
1,860,912 (100.0) |
(8)在庫管理リスク
当社グループのアパレル商品は、コスト、納期、ロットなど競争力確保のため、一部見込生産で発注しているものもあり、需要予測を誤った場合、過剰な在庫を滞留在庫として抱える可能性があります。著しく過剰在庫を抱えた場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)出店形態に係るリスクについて
当社グループの直営店舗における販売チャネルは、主に百貨店ならびにショッピングセンター、アウトレットモールであります。
百貨店においては、消費者の百貨店離れなど取り巻く環境は厳しく、不採算売場の閉鎖など経営の効率化を図る動きが見られます。売場の閉鎖や縮小等、集客力低下が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
ショッピングセンター、アウトレットモールにおいては、当社グループは、商業施設運営会社と定期賃貸借契約を結んでおります。競合ブランドの出店その他の理由により当社グループの店舗が販売不振に陥り、中途解約を申し入れる際には、契約条件により違約金などの支払が発生いたします。また、当社グループの店舗の売上が契約に定められた最低保証売上高に満たない場合、その差額分を商業運営施設へ支払う必要があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)人材採用に関するリスク
当社グループは、事業拡大及び既存店舗の運営維持のため、本社及び物流拠点並びに全国の直営店舗における継続した優秀な人材の確保と育成が、経営における重要課題のひとつであると考えております。
しかしながら、優秀な人材の確保が計画通りに進捗しない場合、または多くの人材が流出する等の状況が発生した場合、商品の企画や出店計画の進捗に影響が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)知的財産権の侵害による影響について
当社グループは、独自にデザインしたキャラクター等について商標登録を行っており、国内外で知的財産権である商標権を所有しているため、外部との連携やインターネット検索等により商標権侵害の防止に取り組んでおります。
このような取り組みにも関わらず、第三者による権利侵害等により、ブランドイメージの低下やそれによる販売不振により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(12)システム障害におけるリスクについて
当社グループは、業務用基幹システムの運用及びメンテナンスを外部の専門事業者と連携して適切に遂行しておりますが、自然災害や事故等の不測の事態によりコンピュータシステムのダウンや通信ネットワークが遮断された場合、業務の一部が一時的に中断し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。特にECサイトを運営する当社グループにおいては販売機会の損失とECサイトの信頼喪失を招く可能性があります。
当社グループのコンピュータシステムは、外部からの不正アクセスを回避するための適切なセキュリティ対策を講じておりますが、標的型攻撃メールや想定を超えた技術による情報システムへの不正アクセス、コンピューターウイルスの感染などにより、情報システムに障害が発生するリスクや、社内情報が外部に漏洩するリスクがあり、こうした事態が発生した場合は、事業活動に支障をきたすとともに、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)個人情報保護について
当社グループは、直営店舗及びeコマースの販売促進活動の一環として、お客様の個人情報を利用しております。個人情報をはじめとする情報管理につきましては、社内規程の整備や社内教育の徹底により、管理体制を整備しておりますが、万一、外部へ個人情報が漏洩した場合、社会的信用問題や個人への賠償問題等が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(14)債権回収に関するリスク
当社グループは、販売先の経営状況については、与信管理規程を定め債権管理を徹底しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の再燃や販売先の信用不安等により、予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し追加的な損失や引当の計上が必要となることがあります。この場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(15)品質に関するリスク
当社グループは、商品の品質管理において社内に専門の部署を設置し、商品の検品ルール、子ども用衣料の安全性(JISL4129)への準拠及び法令への対応を周知徹底させ、仕入先において当社グループの品質管理基準に基づく品質レベルや安全性の確保、検査等を徹底させるなど万全を期しております。
しかしながら、当社グループの商品に危険な染料や薬品などが付着しかつ検査をすり抜けてそれが販売された場合や、商品の不具合等による商品回収が発生した場合は、当社グループの社会的信用の失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)のれんの減損について
当社グループは無形固定資産にのれんを計上しており、総資産に占める割合が高くなっております。
2016年10月にエヌジェイホールディングス2株式会社が旧株式会社ナルミヤ・インターナショナルを吸収合併したことにより発生したのれん及び株式会社LOVSTや株式会社KPの連結子会社化に伴い発生したのれんの合計額は、2025年2月末において2,121百万円であり、当社グループの総資産の15.2%を占めております。
事業環境の変化等の事由により、減損処理に至った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(17)有利子負債への依存と財務制限条項について
当連結会計年度末の有利子負債の残高は2,269百万円で、総資産の16.2%にあたります。その内訳は、主にリース債務と長期借入金からなります。
当社グループは、ショッピングセンターやアウトレットモール等への出店時の内装工事費用の一部を、原則として期間を60か月間とするリース契約で賄っており、当連結会計年度末のリース債務残高は352百万円であります。引き続き新規の出店はショッピングセンターブランドを中心に展開し業績の拡大を図ってまいりますが、それに伴いリース債務残高が増加する可能性があります。今後、当社グループの業績が悪化し、リース会社の当社に対する与信限度額が縮小された場合、契約条件の見直しによる利息費用の増加や、債務の支払い等、当社グループの財政状態及び業績に影響が出る可能性があります。
当連結会計年度末の借入金残高は1,917百万円で、そのうち1,550百万円は、株式会社三井住友銀行を主幹事とするシンジケートローン契約によるものであります。今後の金融市場等の動向により、金利が上昇局面となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該契約には財務制限条項が課せられており、遵守できなかった場合は、貸付人の要請により、期限の利益を喪失し、直ちに借入金を返済しなければならないため、当社グループの財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。なお、契約の内容につきましては、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおりであります。
(18)法的規制について
当社グループの取り扱う商品・サービスの提供にあたっては、販売時や媒体掲載時の表示等について「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」「家庭用品品質表示法」「不当景品類及び不当表示防止法」「個人情報保護法」による法的な定めに従う必要があります。また、商品の仕入にあたっては「独占禁止法」「下請代金支払遅延等防止法」の規制により取引先との公正な取引を、そして、子供服については、子ども用衣料の安全性(JISL4129)への準拠による安全性の確保、検査等を要請されております。
さらに、当社グループ並びに仕入先、製造委託先、取引先及びフランチャイズ先は、主としてそれらの製造過程において、廃棄物削減、地球温暖化や大気汚染防止、有害物質の処理等に関して様々な環境規制の適用を受けております。
当社グループでは、商品・生産に関するコンプライアンスの重要性について社員教育を徹底し、また、仕入先、製造委託先を含めた内部統制の取り組みを高めて行く活動によりリスクの発生を未然に防止する対策を講じておりますが、新たな規制の施行によって多額の費用が発生する場合があり、又は、巧妙な違法行為や取引先等に起因する事由により、違反の効果的な防止が伴わない可能性もあります。これらの問題が発生した場合、行政処分の対象となること等により当社グループの活動が制限される、消費者の購買行動に悪影響を与える、訴訟を提起され損害賠償の責任を負うこと等により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績にも影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループに直接適用のない法令であっても、百貨店・ショッピングセンター等の販売チャネルに適用される法令や製造委託先に適用される法令の制定・改正により、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得の改善が進む中、景気は緩やかな回復基調にありますが、海外経済の減速への懸念や資源価格の高止まりなどもあり、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属するアパレル業界においては、インバウンド需要の拡大等による個人消費の回復基調が一部に見られるものの、原材料及びエネルギー価格の高騰や度重なる物価上昇もあり、衣料品に対する消費者の節約志向や低価格志向が想定されるなど、今後の事業環境への影響が依然として懸念されます。
このような環境の下、当社グループは、2025年2月期から2027年2月期までの中期経営計画(連結)を策定し、「マルチ・ブランドの進化」としてブランドポートフォリオ経営、「マルチ・チャネルの深化」としてチャネル間の融合・新ロケーションの開拓、「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の強化」として単一ブランドから複数ブランドへのファン拡大・LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を目指しております。安定した事業基盤の構築として、主力ブランドの新規出店やブランド価値向上を目的とした、店頭の接客やVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を強化し、プロダクトプロモーションを促進することで、販売機会の提案を行ってまいりました。また、他社にない当社グループ特有のIPについて、当連結会計年度から強化を加速させ、大きな成果を上げつつあります。
チャネル別売上高に関しましては、今期上半期までは好調に推移しておりましたが、下半期は暖冬の影響により秋冬商戦は苦戦を強いられました。そのような中、成長投資を積極的に行い、当初計画以上の新規出店や新ブランドの立上げも行いました。デジタル戦略としては引き続き、自社EC『ナルミヤオンライン』とリアル店舗を連動させたプロモーション施策や、オンラインとオフラインの統合を目指したOMO(オンラインマージズウィズオフライン)施策なども積極的に行った結果、各チャネルの売上高につきましては、百貨店チャネル売上高9,396百万円(前年同期比98.5%)、ショッピングセンターチャネル売上高15,346百万円(同104.8%)、eコマースチャネル売上高8,772百万円(同102.5%)、その他チャネル売上高5,637百万円(同119.0%)となりました。百貨店チャネルでは、上半期においては卒園・入学、水着・浴衣などのオケージョン需要が増加することを見込み、企画・生産・販売を積極的に行い、販売は順調に推移しました。下半期においては、暖冬の影響でアウター類の売れ行きが不振となりました。ショッピングセンターチャネルでは、アウトドアブランド「Minimal」の出店拡大、「petit main」からの派生ブランド「and D. petit main」のデビュー、『子ども』という概念の拡大施策の一環としてドッグウェア「petit main for dog」のデビューなど、新たな商品展開と接客強化・ブランディング強化によって、新規顧客獲得を促進しました。eコマースチャネルにおいては、OMO(オンラインマージズウィズオフライン)強化の一環として、自社アプリダウンロード数の獲得施策を積極的に行い、100万ダウンロードを突破したことを契機としてサイトへの訪問頻度が回復したこと、越境EC等の新たな販路開拓やマーケティング活動の実施により、増収となりました。その他チャネルにおいては、特にアウトレットチャネルで既存店舗のブランド構成の最適化を進め、売上を伸ばしました。
ブランド別では、ショッピングセンターブランド「petit main」の売上高が前連結会計年度を上回りました。また、百貨店ブランドでは、11ブランドのうち5ブランドが前連結会計年度の売上高を上回り、特に「Paul Smith JUNIOR」、「by LOVEiT」は2ケタ増となりました。
在庫残高に関しましては、市況の回復を見込み、お客様が積極的にお買い物をして頂くことを想定し、仕入れ額を増やしてきました。暖冬の影響で販売が厳しかったため秋冬物が、前連結会計年度と比較すると当連結会計年度末の在庫金額が増加しました。
販売費及び一般管理費に関しましては、処遇改善の実施による人件費の増加や、成長投資を積極的に行い、当初計画以上の新規出店に伴う開店コスト、システム投資及び新ブランド立上げによる販促コスト発生等の一過性の事象もあり、前連結会計年度と比較すると増加しました。
特別利益として、財務体質の強化及びキャッシュ・フローの向上の観点から、加入していた養老保険を解約したことに伴い、保険解約返戻金として特別利益に188百万円計上しました。
税金面に関しましては、人的資本経営をより充実させるため給与等の支払額を増加したことにより、賃上げ促進税制の優遇措置を受けました。
当連結会計年度における出退店の状況は、既存ブランドの出店加速や新ブランドの立ち上げに伴い、百貨店41店舗・ショッピングセンター31店舗・アウトレット2店舗を出店し、百貨店29店舗・ショッピングセンター2店舗・アウトレット1店舗撤退しました。また、2024年12月に当社グループの連結子会社となった株式会社KPの直営店45店舗が増加しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は39,152百万円(前年同期比104.5%)、営業利益は1,860百万円(同88.4%)、経常利益は1,819百万円(同87.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,403百万円(同115.4%)となりました。
また、当社グループはベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ381百万円減少し、8,429百万円となりました。これは主に、現金及び預金が953百万円減少したこと、売掛金が58百万円増加及び商品が505百万円増加したこと等によります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ217百万円増加し、5,567百万円となりました。これは主に、建物及び構築物(純額)の増加等により有形固定資産が418百万円増加したこと、のれんの減少等により無形固定資産が34百万円減少したこと及び投資その他の資産が167百万円減少したことによります。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ164百万円減少し、13,996百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ487百万円減少し、5,302百万円となりました。これは主に、未払金が235百万円減少したこと、未払法人税等が395百万円減少したこと及び買掛金が160百万円増加したこと等によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ695百万円減少し、1,665百万円となりました。これは主に、長期借入金が532百万円減少したこと及びリース債務が150百万円減少したこと等によります。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,183百万円減少し、6,968百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,019百万円増加し、7,027百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払いにより利益剰余金が1,001百万円増加したこと等によります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ799百万円減少し、1,938百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、1,307百万円(前連結会計年度は1,927百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,007百万円の計上、減価償却費517百万円、のれん償却額186百万円、棚卸資産の増加額204百万円、未払金の減少額254百万円及び法人税等の支払額900百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、808百万円(前連結会計年度は551百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出788百万円、無形固定資産の取得による支出258百万円、保険積立金の払戻による収入441百万円及び差入保証金の差入による支出224百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、1,303百万円(前連結会計年度は1,594百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出917百万円及び配当金の支払額402百万円等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
前年同期比(%) |
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ベビー・子供服の企画販売事業 (千円) |
16,414,232 |
102.9 |
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合 計 (千円) |
16,414,232 |
102.9 |
c.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に替えて、チャネル別販売実績を記載しております。
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チャネルの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
前年同期比(%) |
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ベビー・子供服の企画販売事業 |
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百貨店 |
(千円) |
9,396,302 |
98.5 |
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ショッピングセンター |
(千円) |
15,346,960 |
104.8 |
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e コ マ ー ス |
(千円) |
8,772,443 |
102.5 |
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そ の 他(注) |
(千円) |
5,637,200 |
119.0 |
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合 計 |
(千円) |
39,152,906 |
104.5 |
(注)アウトレット、卸売り販売、フォトスタジオ、ライセンス販売を含みます。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
a.売上高、売上原価及び売上総利益
売上高は39,152百万円(前年同期比104.5%)、売上総利益は22,946百万円(同103.3%)となりました。
なお、この詳細については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」と「④生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
b.販売費及び一般管理費及び営業利益
販売費及び一般管理費は、人的資本経営をより充実させるための従業員給料及び手当等の人件費の増加及び、店舗売上増加に伴う地代家賃の一般管理費が増加したことにより、販売費及び一般管理費は21,085百万円となりました。
以上の結果、営業利益は1,860百万円(前年同期比88.4%)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外収益は75百万円となりました。これは主に受取賃貸料44百万円及び保険解約返戻金9百万円によるものであります。
営業外費用は116百万円となりました。これは主に賃貸費用40百万円及び長期借入金及びリース債務にかかる支払利息36百万円によるものであります。
その結果、経常利益は1,819百万円(前年同期比87.8%)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は199百万円となりました。これは主に保険解約返戻金188百万円によるものであります。
特別損失は11百万円となりました。これは固定資産除却損11百万円によるものであります。
法人税、住民税及び事業税511百万円及び法人税等調整額91百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,403百万円(前年同期比115.4%)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備投資を目的とした資金需要は、計画に基づき、ショッピングセンター等の出店に際して負担する入居保証金や百貨店の内装工事費用及びその他の設備投資を手元資金により賄っております。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(1)商標ライセンス契約
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締結年月 |
2019年6月 |
2020年3月 |
2020年3月 |
2020年3月 |
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契約の名称 |
ポール・スミス サブライセンス契約書 |
ANNA SUI mini 契約書 |
契約書 |
商標ライセンス契約書 |
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相手先 |
伊藤忠商事株式会社 |
ANNA SUI CORPORATION |
株式会社ビーズインターナショナル |
COACH SERVICE, INC. |
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契約の概要 |
自 2020年7月 至 2025年6月 |
自 2025年1月 至 2029年12月 |
自 2025年3月 至 2030年2月 |
自 2020年3月 至 2025年6月 |
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商標を使用した商品の製造及び販売にかかる非独占的権利許諾契約 |
商標を使用した商品の製造及び販売にかかる独占的及び非独占的再使用契約 |
商標等を使用した商品の製造及び販売にかかる非独占的権利許諾契約 |
商標を使用した商品の製造及び販売にかかる非独占的権利許諾契約 |
(注)上記のそれぞれの契約において、ロイヤリティとして売上高の一定率を契約の相手先に支払っております。
(2)株式会社三井住友銀行との借入契約
当社は2022年7月26日付で株式会社三井住友銀行をエージェントとするシンジケートローン契約を締結しております。当該契約の主な契約内容は、以下のとおりであります。
① 契約の相手先
株式会社三井住友銀行
② 借入金額
トランシェA:3,100,000千円
③ 借入枠
トランシェB(コミットメントライン):2,000,000千円
2023年2月1日より1,500,000千円に減額
④ 返済期間
トランシェA:2023年1月31日より6か月ごとに返済(最終返済日2027年7月30日)
⑤ 利率
トランシェA:6か月TIBOR + 0.75%
トランシェB:6か月TIBOR + 0.50%
⑥ コミットメントフィー
トランシェB:0.20%
⑦ 主な借入人の義務
a.借入人の決算書類・報告書等を定期的に提出すること
b.本契約において書面による事前承諾がない限り、第三者の負担する債務のために担保提供を行わないこと(但し、資産取得を目的とする借入金につき当該資産に担保権が設定される場合、並びに既に担保権が設定された資産を新たに取得する場合を除く)
c.エージェント及び多数貸付人により書面による事前承諾がない限り、一部の貸付人に対する債務を被担保債務の全部又は一部とする担保提供は行わないこと
d.本契約において主たる業務を営むのに必要な許可等を維持し、すべての法令等を遵守して事業を継続すること
e.主たる事業内容を変更しないこと
f.法令等による場合を除き、本契約に基づく一切の債務の支払いについて他の無担保債務の支払に劣後させることなく、少なくとも同順位に取り扱うこと
g.エージェント及び多数貸付人の承諾がない限り、本件関連契約上の義務の履行に重大な影響を及ぼす、若しくは及ぼす可能性のある、組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転若しくは株式交付、その事業若しくは資産の全部若しくは一部の第三者への譲渡(セールアンドリースバックのための譲渡を含む)、資本金の額の減少又は第三者の事業若しくは資産の全部若しくは一部の譲受のいずれも行わないこと
h.財務制限条項を遵守すること
なお、財務制限条項における当社の主な遵守事項は次のとおりであります。
(ⅰ) 2023年2月期以降の各決算期末の連結貸借対照表上の純資産の部の合計額を直前の決算期比75%以上に維持すること
(ⅱ) 2023年2月期以降の各決算期末の連結損益計算書上の親会社株主に帰属する当期純利益が2期連続で赤字にならないようにすること
(3)株式会社ハートフィールとの吸収合併契約
当社は、2024年6月18日開催の取締役会において2024年9月1日を効力発生日として、当社の完全子会社である株式会社ハートフィールを当社に吸収合併することを決議し、2024年7月18日付で吸収合併契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。
(4)株式会社KPとの第三者割当増資引受契約
当社は、2024年8月26日開催の取締役会において、株式会社KPが実施する第三者割当増資を引き受けることを決議し、2024年11月7日付で第三者割当増資引受契約を締結いたしました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載しております。
該当事項はありません。