第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の本有価証券報告書の提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりです。また、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針

 当社グループは、『SMART MEDIA COMPANY』を企業コンセプトに掲げ、スマートフォンなどのモバイル向けコンテンツサービスの企画・開発・運営を行うモバイルインターネットサービスをはじめとした総合エンターテインメントを提供し続けていくことを目指しております。具体的には、当社グループのコンテンツ制作のノウハウや創出・取得したIP、スマートフォンや位置情報などの技術を駆使して、便利でありながらエンターテインメント性のある各種サービス、かつ、時代のニーズに即したサービスを提供することにより、人々の生活に笑顔をもたらす機会を生み出したいと考えております。当社グループは、このような経営方針に基づき事業を展開することにより、企業価値の増大を図ってまいります。

 

(2)中長期的な経営戦略等

 当社グループでは、総合エンターテインメント企業としての更なる飛躍を目指すべく、以下の2つの軸による成長戦略を考えております。

 

① IPの創出及び取得を加速し日本及び海外マーケットに向けたクロスメディア展開による収益力向上

 当社グループでは、ゲーム、ライトノベルやコミック、オリジナルドラマCDを中心としたIPの創出を推進するとともに、業務提携やM&Aを通じて新たなIPの創出や取得に注力してまいります。また、既存・レトロゲームのライセンスアウト、ゲーム及びアニメ関連グッズの商品数拡大、サービスラインアップの拡大並びに海外市場展開を加速させることにより、グローバルなクロスメディア展開を行い、顧客との接点を増やすことにより収益力強化に努めてまいります。

 

② 電子コミック事業拡大促進

 ①において創出・取得したIPを電子コミックからアニメ化、ゲーム化へと国内外市場に向けてクロスメディア展開させるとともに、縦読み漫画をはじめとする海外コミックのローカライズも進め、電子書籍のジャンル、作品数及び配信先も拡大させて収益の一層の拡大に取り組み、近年急拡大する電子コミック市場において、さらなる事業拡大を目指してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 事業の収益性・生産性を重視した経営を行うべく「売上高営業利益率」を重要な経営指標として位置付けると共に、事業規模の拡大にも注力するため、「売上高」及び「営業利益」も合わせて重要な経営指標として位置付けております。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

 当社グループが対処すべき主要な課題は以下のとおりであります。

 

① 知名度の向上と顧客数の拡大

 当社グループが持続的に成長するためには、当社グループ及びサービスの知名度を向上させ、新規顧客を継続的に獲得し、顧客数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのためには、効果的な広告宣伝活動等により当社グループの知名度を向上させること、また多種多様なコンテンツを展開し、当社グループのサービスをより多くの顧客に利用してもらえるように、新規顧客を獲得するための施策を積極的に実施することで顧客数の拡大に努めてまいります。

 

② 優秀な人材の確保と育成

 品質の高いサービスを提供し続けるために、当社グループでは優秀な人材を確保するよう努めておりますが、一方で従業員数の増加は人件費を押し上げ、経営を圧迫する要因になります。したがって、事業規模の拡大、成長スピードに合わせた適正な人数で最大の効果を上げるべく、綿密な人員計画の策定、柔軟な雇用形態の実現及び人事制度の刷新等に取り組んでおります。さらに、従業員の能力向上のため教育カリキュラムの充実を推進し、人材を育成する事により、組織体制の強化とサービスのクオリティ向上を目指してまいります。

 

③ 技術革新への対応

 当社グループが展開する事業は、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づくサービスの導入が相次いでいる非常に変化の激しい業界に属しております。当社グループは、これらの変化に対応するため、優秀な技術者の確保、新しい技術の探求や採用等を行い、新技術の普及状況を捉えた事業展開を推進してまいります。

 

④ コンテンツの安全性及び健全性強化への対応

 インターネット市場の普及に連れて、コンテンツの安全性及び健全性に対する社会的な要請は一層高まりを見せております。当社グループは、コンテンツサービスを提供する立場から、顧客が安心して利用できるように、ウェブサイトの安全性及び健全性を強化していくことが必要であると考えております。

 

⑤ グループIPを活かした事業拡大

 当社グループでは、ゲームサービス、ライフエンターテインメントサービス、電子書籍・出版サービス、音楽レーベルサービスなど、多くのサービスで蓄積されたグループIPを活用した事業の多角展開を目指しております。IPのグループ内創出に向けた施策、またその活用方法を継続的に模索し、収益性のあるサービスを展開することで、更なる成長を狙ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

ガバナンス

 当社グループは、中長期的な企業価値の向上のため、サステナビリティを巡る課題への対応は経営の重要課題であると認識しております。当社グループにおける、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視・管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様になります。

 当社グループのコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

戦略

 当社グループは、今後の成長のために、優秀な人材の確保及び当社グループの成長フェーズに沿った組織体制の強化が不可欠であると認識しております。人材の確保については、性別、年齢、国籍、障がいの有無、性的指向、性自認等に関わらず多様な人材が活躍できる雇用環境の整備、福利厚生の充実、人事評価制度の整備等に努めております。また、組織体制につきましては、個々のチーム・従業員が最大限のパフォーマンスを出せるよう計数指標管理に基づいた組織マネジメントを図るとともに、事業環境に適応した組織体制・内部管理体制の強化を実施してまいります。

 

リスク管理

 当社グループは、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおり、リスク管理体制を構築し、コンプライアンスの遵守を実現するために、会社組織や業務に係る各種規定を整備し、その適正な運用を行ってまいりました。

 サステナビリティに関するリスク及び機会については、リスク管理委員会で識別・評価し、リスクに対する対応策の協議・モニタリングを行い、取締役会へ報告しております。

 

指標及び目標

 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、及び労働者の男女の賃金の差異については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」に記載のとおりであります。当社グループは、これらの指標を高めるよう事業運営を行っておりますが、本報告書作成日時点においては、指標の目標を策定はしていない為、記載を省略しております。指標の目標については、今後検討してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの業績及び事業展開上のリスクとなる可能性がある主要な事項を記載しております。必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的にこれを開示しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

① 事業環境に関わるリスク

Ⅰ.市場動向

 国内外の新たな法的規制の導入、プラットフォーム運営事業者等の動向など、予期せぬ要因により、モバイル市場の発展が阻害される場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。また、モバイルインターネットサービス事業を展開する市場の歴史はまだ浅く、かつ変化が激しいため、ビジネスの将来性は不透明な部分があります。その他予期せぬ要因による市場環境の変化が生じた場合には、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 また、当社の連結子会社である株式会社ティームエンタテインメントの主力事業であるグッズ及び音楽・ドラマCDや音楽配信、同じく連結子会社である株式会社一二三書房の主力事業である出版物及び電子出版物は、国内外の市場動向・消費者の嗜好・消費行動に大きく左右されます。このため、国内外の景気後退、消費支出縮小などにより音楽及び出版物関連産業全般の国内外需要が減少する場合、当該事業の業績に悪影響を与える可能性があります。

 

Ⅱ.技術革新

 当社グループの中心でありますモバイル関連分野は新しい技術の開発及びそれに基づく新サービスの開発が日々行われており、変化の激しい業界です。この新しい技術やサービスへの対応が遅れた場合、当社グループの競争力が低下し業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 また、携帯端末の分野においてはスマートフォン・タブレット端末等が急速に普及しており、高性能化・多機能化が進んでおります。このような技術の進歩に起因するビジネス環境の変化に当社グループが適切に対応できない場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

② サービスに関わるリスク

Ⅰ.他社との競合について

 当社グループが展開するエンターテインメントサービス事業の市場環境においては、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、様々なコンテンツサービスの導入が相次いで行われております。当社グループは、これらの変化に対応するためサービスの拡充に努めておりますが、今後当社グループが魅力あるサービスを開発・提供できず、競合会社が提供するサービスとの差別化が図られない場合、顧客数の減少を招き、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

Ⅱ.事業構造について

 プラットフォーム運営事業者等において不測の事態が発生した場合や、プラットフォーム運営事業者等のインターネット接続サービスに関する事業方針の変更により、当社とのサービス提供に関する契約を解除された場合、当社サービスの安定的な提供ができなくなり、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

Ⅲ.ユーザーの嗜好の変化について

 スマートフォンゲームや電子書籍に代表されるコンテンツにおいては、ユーザーの嗜好の移り変わりが激しく、ユーザーニーズの的確な把握や、ニーズに対応するコンテンツの提供が何らかの要因によりできない場合、ユーザーへの訴求力が低下する可能性があります。

 また、継続してコンテンツの拡充を図っていく必要がありますが、計画どおり進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅳ.新規事業について

 当社グループにおいて新規事業を開始するにあたっては、ユーザーニーズの把握などのマーケティング、システム開発を含んだIT投資、動向調査や広告宣伝費等の追加的な支払いが発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規事業の開発においては、人員不足やノウハウ不足等の原因により開発に時間を要して対応が遅れた場合や、当初の想定どおりに進展しなかった場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

Ⅴ.売上債権回収に関するリスク

 当社グループは債権回収リスクに留意し、与信管理の強化に努めておりますが、事業環境の急激な変化にともなう取引先の倒産等により、当該取引先の債権回収に支障が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅵ.サービスにおける表現の健全性確保について

 当社グループでは提供するサービスの制作及び配信等において、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会や、プラットフォーム運営事業者等の性的・暴力的表現等に関するガイドラインに準拠し、提供サービスの健全性確保に努めております。しかしながら、性的・暴力的表現に関する法的規制や法解釈、プラットフォーム運営事業者等の設ける基準は、社会情勢等により変化する可能性があるため、法的規制の強化や、プラットフォーム運営事業者等の基準の変更等により、当該サービスの提供を継続できなくなった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅶ.返品に係るリスク

 当社の連結子会社である株式会社ティームエンタテインメントの主力製品とするドラマCD及び音楽CD、同じく連結子会社である株式会社一二三書房の主力製品である出版物は、再販価格維持制度の対象となっており、小売店が自由に販売価格を設定できないことから、小売店は製品を一定の範囲内で返品できる商習慣(委託販売制度)があります。このため、販売不振の製品については将来返品されるものがあります。各連結子会社では過去の返品実績などを基に返金負債を計上し、これに備えていますが、予想外の販売不振などにより返品が発生した場合、当該事業の業績に影響が生じる可能性があります。

 

③ システムに関わるリスク

Ⅰ.システム、ネットワーク障害について

 当社グループは、大手クラウドサービス事業者を利用し、かつバックアップ管理の冗長化及びセキュリティ強化を行うなど、サービスの安定運用及び各種情報保護のための対策を行っておりますが、大規模なプログラムの不良や、アクセス数の急激な増加によるサーバ負荷の増加、サイバーテロなどの悪意ある第三者による不正アクセス、情報の漏洩等の違法な行為、その他何らかの理由によりシステム障害等が発生した場合、当社グループの事業活動に支障をきたすのみならず当社サービスの信頼性の低下を招くなど、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅱ.災害復旧対策等について

 当社グループでは、自然災害、事故等に備え、定期的なバックアップ、稼働状況の監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、当社グループの事業拠点は東京都にあり、当該地区において大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等により、設備の損壊や電力供給の制限等の事象が発生した場合、国際紛争等による物的・人的損害が甚大になった場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

④ 法的規制・制度動向によるリスク

Ⅰ.当社グループ事業に関連する法的規制

 当社グループが運営するサービスのユーザーの個人情報に関しては「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。加えて、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」では、他人のID、パスワードの無断使用の禁止等が定められております。さらに「特定商取引に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」により、一定の広告・宣伝メールの送信にあたっては、法定事項の表示義務を負う場合があります。

 次に、当社グループが運営するサービスは、有料アイテム・コンテンツを購入して利用することが可能であることから「資金決済に関する法律」の適用を受けており、その法律に沿った運用を行っております。また、ユーザーが安心・安全に当社グループのサービスを利用できる環境を整備するため、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(以下、「同協会」)に加入するとともに、同協会の自主規制等のガイドラインを遵守し、業界の健全性、発展性を損なうことのないよう努めております。

 また、サービス内で提供されているSNS機能は、ユーザーの健全なコミュニケーションを前提としたサービスであり、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に定義される「インターネット異性紹介事業」には該当しないものと認識しております。

 なお、システム開発やコンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法」の適用対象になります。

 当社グループは、上記各種法的規制等について誠実に対応していると考えておりますが、不測の事態等により、万が一当該規制等に抵触しているとして契約等の効力が否定された場合、当社グループが何らかの行政処分を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化・改正され、もしくは新たな法令等が定められ、当社グループの事業が制約を受ける場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。そのほか、法的規制に違反していないとしても、当社グループのサービスの信頼性やブランドが毀損し、サービスの安定的な提供が困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 また、スマートフォンの利用者は年齢層が幅広く、昨今では中高生のユーザーも増加、またスマートフォンをもたない未成年者が家族の端末を利用し当社グループのサービスで遊ぶ、といったような未成年者のユーザーも増加しております。当社グループのサービスでは、一部で有料アイテム・コンテンツを販売しており、アイテムやコンテンツを購入する際には、クレジットカードの利用、プラットフォーム運営事業者等の決済、またはプリペイドカードを利用するなど決済手段がいくつか存在します。当社グループでは、同協会や、各地域の消費生活センター、消費者庁と情報交換を行い、健全な市場環境の形成に取り組んでおりますが、当社グループが想定していない規制等が新たに制定された場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅱ.当社グループ事業に関連する制度動向

 当社の連結子会社である株式会社ティームエンタテインメントの主力製品とするドラマCD及び音楽CD、同じく連結子会社である株式会社一二三書房の主力製品である出版物は再販価格維持制度の対象となっており、再販価格維持制度は、著作物商品の価格を固定化することで、著作物の安定した供給体制を保証する制度であり、商品価格の安定につながっております。将来、当制度が変更もしくは撤廃された場合、当事業の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 社内体制に関わるリスク

Ⅰ.人材の採用・育成について

 当社グループは、事業規模に即して必要な人材の採用を行っております。しかしながらエンターテインメント市場の人材獲得競争が非常に激しいことから、今後当社グループが必要とする人材が適時確保できない場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 また、育成においては、社内及び社外の研修制度を活用し、人材教育にも力を入れておりますが、社内における人材の育成が計画通りに進まず、適正な人員配置が困難になった場合、業務委託契約による委託先や派遣社員を増員することが必要な場合も想定されます。これにより、一時的な業務委託費等の増加、必要な能力を有した人材の適所への配置の困難、グループ内に知見等のノウハウが蓄積されないことなどにより、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 加えて、当社グループの主力事業であるコンテンツIPの企画制作においては、ノウハウ、人脈の専門性が高く、人材の代替可能性が必ずしも高くないことから、役員及び従業員が何らかの理由で退任又は退社し、その代替人材が確保できない場合、当該事業の業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅱ.内部管理体制

 当社グループは、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内外の法令・ルールの遵守及び企業倫理に沿った法令遵守規程を制定するとともに、代表取締役社長直轄の独立した組織として内部監査室を設置するなど内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生する可能性は皆無ではないため、これらの事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅲ.個人情報保護体制について

 当社グループは、当社グループが運営するサービスの利用者に係る個人情報を取得する場合があります。当社グループでは「個人情報の保護に関する法律」「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」等に従い、個人情報の厳正な管理を行うため「個人情報保護方針」を定めております。また、データベースへのアクセス権限の設定、及び外部侵入防止のためのセキュリティ等の採用により個人情報の漏洩防止を図っております。

 また「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」において、他人のID・パスワードの無断使用の禁止等が定められており、個人情報に紐づいたIDやパスワード等の情報にも厳正なセキュリティ管理を実施し、機密情報の漏洩防止を図っております。

 このような対策にも関わらず、外部からの不正アクセスや内部関係者の不正行為等が発生し個人情報等の漏洩や不正使用等の事態が生じた場合、損害に対する金銭補償や企業イメージの悪化等により、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

Ⅳ.特許・知的財産権の保護について

 当社グループの提供するサービスによる第三者の知的財産権の侵害の有無等について、外部の専門家との連携や、社内管理体制を強化しておりますが、チェックが十分でない場合や、認識不足等により、第三者から権利侵害の損害賠償請求や使用差し止め等の訴えを起こされる可能性、及び権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があります。その場合、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

⑥ その他

Ⅰ.新株予約権の行使による株式価値の希薄化

 当社は役員及び従業員に対して、モチベーションの向上を目的としたストックオプションを付与しております。今後新株予約権の行使が行われた場合、保有株式の株式価値が希薄化する可能性があります。

 なお、本書提出日の前月末現在における新株予約権による潜在株式数は1,060,400株であり、発行済株式総数6,198,000株の17.1%に相当します。

 

Ⅱ.税務上の繰越欠損金について

 当社グループの事業が想定通りに推移した場合、第27期(2025年3月1日~2026年2月28日)以降に所得が拡大することにより、繰越欠損金がなくなることで、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税の負担が発生し、当社グループの当期純利益及び営業キャッシュ・フローに大きな変化を与える可能性があります。

 

Ⅲ.M&A及び事業提携等に係るリスク

 当社グループは、更なる成長を目指すため、M&A、他企業との合弁企業の設立及び事業提携等の施策を推進し、業容拡大に取り組んでおります。これらの施策により、当社グループをめぐる事業環境が大きく変化する可能性があります。また、M&A、合弁企業の設立及び事業提携等が、当社の期待する効果が上げられない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

Ⅳ.その他、包括的なリスク

 当社グループは、当社及び当社連結子会社を通じて、各種事業を国内外で展開しておりますが、国内外において、自然災害、疾病、テロや戦争等が発生した場合、また、これらに起因する休業要請等が発令された場合や、SNS等への不適切な投稿やインターネット掲示板への書き込みにより当社グループに対して不利益な情報や風評が流れた場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により緩やかな回復が続いたものの、欧米の高い金利水準の継続や中国経済の停滞といった海外経済の減速が景気の下振れリスクとなっており、加えて物価上昇、人手不足による供給制約、地政学リスクの長期化、アメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など、依然として景気の先行きは不透明であり、十分な注意が必要な状況が続いております。

 当社グループを取り巻く環境におきましては、2023年におけるモバイルコンテンツ関連市場は9兆5,866億円(対前年比112%)、スマートフォン市場は2兆9,329億円(対前年比105%)、モバイルコマース市場は6兆6,537億円(対前年比116%)と市場全体で年々成長を続けております。スマートフォン市場としては、ゲーム市場が1兆4,532億円(対前年比100%)、電子書籍市場が5,046億円(対前年比106%)、動画・エンターテインメント市場が5,260億円(対前年比112%)、音楽コンテンツ市場も2,033億円(対前年比110%)と前年比で増加しております(一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム調べ、2024年8月現在)。

 当該ゲーム市場には多くのスマートフォンゲームが投入され、競争が激化しており、より高品質のゲームを投入するために開発費が増加する傾向にあります。また、電子書籍市場においても、インターネット上の小説等をコンテンツ化するビジネスモデルに多くの競合他社が参入しており、その作品確保の競争が激化しています。さらに、動画・エンターテインメント市場及び音楽コンテンツ市場においても、消費者ニーズの多様化に伴う構造変化に晒されています。

 このような事業環境の中、当社グループは総合エンターテインメント企業として、エンタメIPの創出・取得とそれらのクロスメディア展開を加速させ、事業の多角化と収益力向上に注力して参りました。

 当連結会計年度のIP事業におきましては、オンラインくじサービス『くじコレ』、女性顧客向けオンラインくじサービス『まるくじ』は前連結会計年度に引き続き、人気IPとのコラボレーションを数多く行うなど積極的に展開し、当社グループの業績を牽引いたしました。また、ゲームサービスにおいては、Nintendo Switch等で当社オリジナルIPタイトルや、当社保有のレトロゲームタイトル復刻版の販売、欧米市場に向けたライセンスアウトにより、当社グループの収益に貢献いたしました。

 出版事業におきましては、コミック作品数の増加により、紙出版・電子書籍共に売上が大きく伸び、目標どおり進捗いたしました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は3,607,053千円(前連結会計年度比10.1%増)、営業利益は262,857千円(前連結会計年度比62.6%増)、経常利益は237,581千円(前連結会計年度比49.7%増)、法人税等調整額(益)53,932千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は234,016千円(前連結会計年度比55.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ 354,096千円増加し、1,767,477千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、246,829千円となりました。主な要因は、税引前当期純利益の計上227,581千円、仕入債務の減少48,377千円、契約負債の増加111,905千円があったことによります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、5,322千円となりました。主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入21,017千円、無形固定資産の取得による支出16,812千円、有形固定資産の取得による支出6,268千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、112,590千円となりました。主な要因は、短期借入れによる収入400,000千円、短期借入金の返済による支出302,600千円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

Ⅰ.生産実績

 当社グループは、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。

 

Ⅱ.受注実績

 当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績は記載しておりません。

 

Ⅲ.販売実績

 前連結会計年度及び当連結会計年度における販売実績をサービス区分ごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループの事業セグメントは、エンターテインメントサービス事業の単一セグメントであります。

サービス区分

前連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

IP事業

1,763,481

1,822,257

3.3

出版事業

1,514,021

1,784,796

17.9

合計(千円)

3,277,503

3,607,053

10.1

(注)主な相手先別の販売実績及び当該の販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年3月1日

至 2024年2月29日)

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社メディアドゥ

709,965

21.7

921,410

25.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表及び財務諸表の作成にあたりまして、経営者の判断に会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照下さい。

 

② 財政状態の分析

資産、負債及び純資産の状況

(資産の部)

 当連結会計年度末における資産合計は2,997,553千円となり、前連結会計年度末に比べ595,910千円の増加となりました。これは主に現金及び預金や仕掛品、のれん、繰延税金資産が増加したことによるものであります。

 

(負債の部)

 負債合計は1,626,335千円となり、前連結会計年度末に比べ366,933千円の増加となりました。これは主に契約負債や借入金が増加したことによるものであります。

 

(純資産の部)

 純資産合計は1,371,218千円となり、前連結会計年度末に比べ228,977千円の増加となりました。これは主に当連結会計期間が当期純利益となり利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

③ 経営成績の分析

Ⅰ.売上高

 当連結会計年度の売上高は、3,607,053千円となり、前連結会計年度に比べ329,550千円の増加となりました。これは主に、既存運営ゲームタイトルの売上が減少したものの、Nintendo Switch用ゲームソフト発売や欧米市場に向けたライセンスアウト、オリジナルIPのCD・グッズ展開、オンラインくじサービス、コミック・ライトノベル・電子書籍の販売などのサービスが好調だったことによるものであります。

 

Ⅱ.売上原価

 当連結会計年度の売上原価は、1,520,351千円となり、前連結会計年度に比べ57,423千円の増加となりました。これは主に、オリジナルIPのCD・グッズ展開、オンラインくじサービス、コミック・ライトノベル・電子書籍に係る製造費用や外注加工費が増加したことによるものであります。

 

Ⅲ.販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,823,844千円となり、前連結会計年度に比べ170,882千円の増加となりました。これは主に、オンラインくじサービス、コミック・ライトノベル・電子書籍の販売に係る手数料が増加したことによるものであります。

 

Ⅳ.営業外収益、営業外費用

 当連結会計年度の営業外収益は、受取利息等により3,890千円となりました。営業外費用は、上場関連費用、支払利息等により29,166千円となりました。

 

 これらの結果により、当連結会計年度の営業利益は262,857千円、経常利益は237,581千円、親会社株主に帰属する当期純利益は234,016千円となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況

 「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループが今後更なる収益基盤拡大及び筋肉質な経営体質を図っていくためは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び対処すべき課題」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。今後の方針につきましても、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社グループとしての成長戦略に基づき、各種施策を実行し、企業価値の更なる向上を目指して取り組んでまいります。

 

⑦ 資本の財源及び資金の流動性について

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入金を基本としております。

 

5【経営上の重要な契約等】

スマートフォン向けアプリプラットフォーム運営事業者との契約

相手方の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

Apple Inc.

iOS Developer Program License Agreement

iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

1年間(1年毎の自動更新)

Google Inc.

Google Playマーケットデベロッパー販売/配布契約書

Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約

契約期間は定められておりません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。