文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は1997年の創業以来、「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」という企業理念のもと、インターネット求人情報サイトの提供を通じ、顧客企業の人材採用とその活用を支援するとともに、求職者一人ひとりがいきいきと働くことができる環境の構築に貢献すべく事業に取り組んでおります。
2020年2月期より、「Labor force solution company」というビジョンのもと、人材サービスとDXサービスの提供を通して、労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を目指しています。
また、当社は、顕在化している社会課題のみならず、新たな社会課題に対しても積極的に取り組み、社会に貢献することを目指しております。2021年12月からは「ディップ・インセンティブ・プロジェクト」を開始いたしました。当社営業人員が顧客企業に、給与・時給の引き上げや採用お祝い金の支給等、従業員定着や採用力強化の施策を提案し、採用力を強化することで人手不足の解消を支援するとともに、好待遇の企業情報をユーザーにわかりやすく提供し、「働く人の待遇向上」の実現を図っております。
さらに、2023年2月からは「dip DEIプロジェクト」を開始いたしました。当社営業人員が顧客企業に、多様性・公平性・包括性を企業文化や組織に取り入れるよう働きかけております。
当社は、引き続き事業活動を通じて、持続的な成長と企業価値向上に努めるとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
当社は、中長期的な事業成長に加え、利益の持続的な成長による株主価値の向上を図るため、売上高、営業利益、営業利益率、1株当たり当期純利益(EPS)に加え、自己資本利益率(ROE)を重視しております。
また、当社は株主の皆様への利益還元を経営の重要な課題のひとつとして位置づけております。配当につきましては、将来における企業成長のための投資及び経営環境の変化に対応するために必要な内部留保を行いつつ、中間・期末の年2回に分けて実施しております。なお、配当額の検討にあたっては、原則、前期配当額を下限とし、配当性向50%を目安としております。
人材サービス事業の売上高は、アルバイト・パート・派遣求人メディア市場が前年からマイナス成長となる中、堅調に推移しました。
また、DX事業は、応募者との面談スケジュールの自動調整等を行う「面接コボット」や派遣会社の営業先リスト自動作成等の営業支援を行う「HRコボット」のほか、職場紹介動画をはじめとするバイトルの独自機能を活かして企業の採用ページを作成する「採用ページコボット」や、地図検索における表示順位向上により顧客企業の販促活動を支援する「集客コボットfor MEO」の売上が伸長いたしました。
当社は、2019年に掲げたビジョン「Labor force solution company」の実現に向け、2023年に中期経営計画「dip30th」を策定いたしました。
当社の中長期的な成長及び企業価値・株主価値の最大化に向けて優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。
人材サービス事業の強化には、営業人員の増強及び生産性向上、顧客企業の採用満足度の向上が重要であると認識しております。当社の営業人員は新卒入社の若手社員を中心に構成されており、当社営業人員による売上高の割合(直販比率)は9割弱となります。当社は、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できるよう、新入社員研修や階層別・管理職研修を精力的に実施しているほか、情熱を持って主体的に仕事に取り組める組織風土づくりに努めております。また、オンライン商談の実施や顧客の採用ニーズを適時にとらえる自社開発の営業ツールの活用、社内DXの推進等を通じ、営業人員の生産性向上を図っております。こうした取り組みを通じて成長した社員がフィロソフィーを体現し、当社の躍進をけん引していけるよう、引き続き人財基盤の強化に取り組んでまいります。
また、顧客企業の採用満足度を高めるためには、営業人員の顧客に対する提案力の向上だけでなく、運営サイトのユーザー数拡大と応募数増加、求職者と顧客企業とのマッチングの精度向上が不可欠です。当社は求職者による当社サイト利用促進に効果的な広告宣伝活動を行うとともに、求職者の利便性向上に資する運営サイトの機能拡充・改善、掲載情報の質の向上と量の拡大に努めてまいります。
DX事業においては、2019年9月から、中堅・中小企業に特化した商品設計で、商材の機能を絞りパッケージ化したDXサービス「コボット」の提供を通じ、中堅・中小企業のDX化を支援しております。
引き続き、顧客基盤の拡大を推進するとともに、開発体制を強化し提供商品の品質向上に取り組んでまいります。また、商品導入後のカスタマーサクセス体制を一層強化し、継続的なサポートを実施することで、解約率の低下及びアップセルとクロスセルの拡大に努めてまいります。
当社はインターネットが一般に普及し始めた頃から、他社に先駆けてインターネット媒体に特化した求人広告サービスを提供するとともに、インターネット媒体ならではの独自機能を次々に導入するなど、時代をリードするだけでなく「ユーザーファースト」を徹底的に追求したサービスの開発・提供を行ってまいりました。加えて、2020年2月期より「Labor force solution company」というビジョンのもと、事業を展開しております。
当社が「Labor force solution company」として労働市場の諸課題の解決に貢献していくためには、既存の人材サービス事業、DX事業に留まらず、新規事業の立ち上げも検討し、実行していく必要があると認識しております。新規事業の創出によって事業ポートフォリオを拡充することで、より強固で安定した事業基盤の構築につながると考えております。引き続き、積極的に新規事業への取り組みを進めてまいります。
当社は、インターネットを通じてサービス提供を行っております。安定した事業運営のためには、サーバ等のハードウェアの増強、ウェブサイトに係るシステムのセキュリティや開発・保守管理体制の強化が極めて重要であると認識しております。今後も、適切な設備投資を行うことによってシステムの安定性を確保し、市場環境の変化に対応して継続的に運用体制を整備してまいります。
当社は、個人情報を含むすべての情報を事業運営上の最も大切な資産のひとつとして認識しております。その保護体制構築に向け、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・維持向上に努めております。今後も引き続き、情報管理体制の強化を図ってまいります。
当社は「人が全て、人が財産」という信念のもと、社員一人ひとりが社会を改善する存在となるため、継続して社員の育成及びマネジメント体制の強化に取り組んでおります。今後も、適切な管理体制の構築と意思決定のスピード向上のために、業務フローや意思決定プロセスの改善を図るとともに、内部統制システムの整備・充実についても継続的に取り組み、組織体制の強化を推進してまいります。また、社員の健康管理は仕事の生産性や社員幸福度に直結する重要なテーマであると考えております。それは「病気にならないこと」だけでなく、「今よりもっと活力高く、幸せになること」を目指しており、その思いを込め“心と体を整える”コンセプトとして健康経営を推進しています。代表取締役社長 兼 CEO冨田英揮を健康経営責任者、代表取締役COO志立正嗣を健康経営推進責任者とし、直下に健康経営推進委員会(運営責任者 執行役員CHO)を設置しました。なお、同委員会での議論内容については、取締役会・経営会議に報告を行っております。また、従業員からの意見を反映した健康経営の取り組みとなることを目的に、各拠点から同委員会一員として「健康経営推進リーダー」を任命しております。
当社は、創業以来「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」という企業理念のもと、事業活動を通じて社会課題を解決することで、社会に貢献してまいりました。有期・無期を問わず雇用全般に関する社会課題や労働生産性向上への取り組みに加え、人材育成、女性活躍推進、人権保護、DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)、そして気候変動等への対応を通じて、持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目指します。これにより、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
また、当社は、2019年からESG(環境・社会・ガバナンス)に関する活動内容について積極的な情報開示を行ってまいりました。その結果、ESGのグローバル基準を満たす日本企業を対象にした株価指数「FTSE Blossom Japan Index」の構成銘柄に選定、FTSE Russellにより環境負荷の大きさ、脱炭素経済への移行促進や気候変動への取組みを評価する「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されております。
その他、ESG投資の主要指数である「MSCIジャパン ESGセレクトリーダーズ指数」、「MSCI日本株 女性活躍指数(WIN)」にも選定されており、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が投資運用に採用している6つの指数全てに選定されています。
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」という企業理念のもと、持続可能な社会に貢献するとともに、当社の中長期的な企業価値の向上と持続的な成長を目指しています。
ビジョン「Labor force solution company」の実現に向けた事業活動を推進し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会を創造していきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
当社では、代表取締役COOを議長とし、全執行役員から構成される「サステナビリティ推進会議」を設置し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行っています。サステナビリティ推進会議では、取締役会で決定されたサステナビリティ方針や重要事項に基づき、戦略及び施策を策定して、四半期に一度、進捗を評価しています。また、同推進会議の議論内容及び施策の進捗状況については、取締役会が定期的に同推進会議より報告を受け、目標に対する進捗の監督を行うとともに、必要に応じて指示を行っています。
■サステナビリティ活動の推進体制

当社のビジョン「Labor force solution company」の実現に向け、事業における4項目のマテリアリティと経営基盤における2項目のマテリアリティを特定しております。フィロソフィーのもと全社員が一丸となって、マテリアリティを軸に社会課題の解決に貢献することで、社会価値と経済価値を創出することを追求し、当社の持続的な企業価値向上を実現します。

サステナビリティ推進会議で、サステナビリティに関するリスク・機会の再検討、並びに評価・分析を行っています。この内容は年一回実施されるリスクマップの見直し内容に反映され、全社的なリスクマネジメントへの統合を図っています。また、サステナビリティ推進会議は、特定されたリスクについて、対応策を検討し、取締役会への報告を実施しています。
当社では、中期経営計画期間(2025年2月期~2027年2月期)において、実現したい社会価値・経済価値を定め、マテリアリティの各テーマに対する目標と取り組みの進捗を測るためのKPIを設定し推進しています。
※1:動画やしごと体験機能、dipさんからのメッセージなどを掲載。さらに質を高める施策を実施
※2:エージェントサービスの決定人数とメディアサービスからの就業者数(自社推計)の合計
※3:時給アップ、継続勤務ボーナス・入社祝い金の案件
※4:当社ES(Employee Satisfaction)サーベイにおける指数
※5:育児・介護休業法に基づき、育児・介護休業法施行規則第71条の6第2号における育児休業等および育児目的休暇の取得割合を算出しています。
※6:6月1日現在(厚生労働省 障害者雇用状況報告時点)、民間企業の法定雇用率2.5%(2024年4月改定)
※7:提出日(2025年5月23日)時点
※8:2月末
※9:Scope1とScope2(全オフィスの都市ガスと電気が対象。2023年2月期より算定範囲に保養所・データセンターを含む)
(注) ・全オフィスとデータセンターのGHG排出量の100%削減目標は、2025年2月期末に達成見込みであり、現在第三者機関による検証中です。
・2027年2月期を最終年度とする中期経営計画「dip30th」の数値計画は、2025年4月14日付で見直しを行いました。これに伴い、非財務KPI目標の見直しの要否について、現在議論を進めております。非財務KPI目標の見直しを行う際には、決定次第、速やかに開示いたします。
・「平均所定外労働時間KPI」は、今後は目標は設定せず、36協定に基づく法定上限時間の遵守を前提としたうえで、働き方の実態を把握するための結果指標としてモニタリングを継続いたします(2025年2月期の実績:18.1時間/月)。
気候変動によって自然災害の発生頻度、激しさが増し続けると、安心・安全に働くことができないだけでなく、就業機会の損失にもつながる可能性があります。当社は、気候危機への対応を重要な経営課題として捉え、事業活動で生じる環境負荷の低減に向けた取り組みを行っています。
また、持続可能な社会の実現に向けた責務を果たすための指針として、環境方針を制定し取り組んでいます。
当社では、気候変動問題を含めた環境方針および関連する重要事項について、取締役会で審議・決議しています。
代表取締役COOを議長とし全執行役員から構成されるサステナビリティ推進会議において、気候変動に関するリスクと機会の特定を行い、対応策と目標を設定し、その進捗を評価しています。また、同推進会議が気候変動に関連する施策の推進を担い、取締役会が監督を行う体制としています。
取締役会は、気候変動に関するリスクと機会、対応策の進捗状況について定期的に報告を受け、目標の進捗に対する監督を行うとともに、適宜対応を指示しています。
当社では、サステナビリティ推進会議で、気候変動リスク・機会の再検討、ならびに、評価・分析を行っています。この内容は、年一回実施されるリスクマップの見直し内容に反映され、全社的なリスクマネジメントへの統合を図っています。また、サステナビリティ推進会議は、特定されたリスクについて、対応策を検討し、取締役会への報告を実施しています。
当社では、全オフィスとデータセンターにおけるGHG排出量(Scope1・2)の100%削減を2025年2月期までに達成、その後も維持することを目標に掲げております。
また、Scope3のGHG排出の削減目標についても継続的に議論を行っております。
フィロソフィーを基に、全社員が一丸となって事業活動を行うことによって、高い社会価値と経済価値を生み出す上で、人的資本は最も重要な経営資本であると考えています。多様な個性を持つ社員一人ひとりの力を磨き、最大限に発揮できる環境をつくり、その幸福度を高めることを目指し、社員の育成・社内環境の整備を行っています。
マテリアリティとして掲げている「フィロソフィーで結びつく人的資本の強化」は人事総務本部を中心に推進しています。2025年6月からスタートするソリューション体制への進化にあたり、代表取締役CEOを中心に、経営戦略の実現に向けた基幹人事の検討、主要なポストのサクセションについて話し合いました。また、成長と幸福を実感する風土醸成の推進のため、新体制に向けては、営業全社員に希望配属アンケートを実施しております。また、若手層に対しても各本部長を議長とした「人材開発会議」を実施し、配置などを含めた育成計画を議論いたしました。
● ソリューション体制の組織戦略について認識・理解を深め、全社最適の視点でより良い案がないか
● 重要ポジションに就く人材、および、その候補者の状況、今後の育成課題等について認識・理解を深め、全社最適の視点でより良い配置等がないか
● 中期的な組織と人材に関する機会と課題について、認識・理解を深めて、全社最適の視点で取り組めること、相互に協力できることがないか
また、人的資本の責任者である執行役員CHOは、人的資本に関するリスクや機会の評価、その他の対応策を含んだ人的資本定例報告を毎月取締役会に報告しています。
当社は「人が全て、人が財産」との信念のもと、多様な個性をもつ社員一人ひとりの力が最大限に発揮される環境をつくり、その幸福度を高めることを目指し、社員の育成・社内環境の整備を行ってきました。その取り組みをさらに強化していくため、人材育成方針と社内環境整備方針を定め進めています。また、中期経営計画「dip30th」の実現に向けて、人的資本戦略の根幹である「フィロソフィーの体現」に対しては継続的な投資と積極的な取り組みを行うとともに、「人材獲得」「組織・環境開発」「ダイバーシティ」「人材開発」を人的資本戦略のテーマとして推進しています。
社員こそが最も大切な経営資本ととらえ、dipの成長は、社員の成長、そして社員幸福度を高めることによってのみ成し遂げられると考えます。そのための人材育成は「フィロソフィー」を基にして行います。 当社の教育体系は、社員がフィロソフィーを体現し、企業理念に掲げる「社会を改善する存在となる」ために必要なスタンス・知識・スキルを役割・階層毎に定めて構築されています。その体系に基づき、当社のノウハウが凝縮された独自の研修プログラムを開発・実施します。 社員の育成は管理職にとって最も大切な責務と位置づけています。OJTにおいて、仕事で必要とされる知識・スキルを習得させると同時に、情熱をもって仕事に取り組むことの素晴らしさを伝えることを、上司の重要な役割とします。
フィロソフィーによって固く結びつきながら、多様性に富むイノベーティブな組織づくりのため、社員一人ひとりの主体性と創造性が発揮できるよう、職場の安全・衛生と社員の心身の健康を守ります。 多様性を尊重した人材採用・育成、安全衛生管理体制や健康経営の取り組みなどを通じて、社員が健全な状態で、安心して働きがいを感じられる職場環境づくりに取り組みます。 女性の活躍や多様な働き方の推進、労働時間の適正化などを通じて、社員がその能力を最大限に発揮し、仕事の生産性を向上させるとともに、仕事と生活の調和を高められるよう、社内環境の整備を推進します。

人的資本に関する中期的な人的資本に関する中期的なリスク・機会については、人材開発会議にて議論を行っています。この内容は、年一回実施されるリスクマップの見直し内容に反映され、全社的なリスクマネジメントへの統合を図っています。
当社では、中期経営計画「dip30th」の実現に向けて、2027年2月期に向けた定量目標を設定しています。これらの指標及び目標は、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ全般 ④指標及び目標」に記載しています。
事業等のリスクについては、各規程等により事業等のリスク管理に関する体制を定めており、事業活動上の重大な事態が発生した場合には、CEO指揮下の対策本部を設置し、迅速かつ的確な対応を行うとともに、損失・被害等を最小限にとどめる体制を整えております。
また、リスクの状況把握については、定期的に「リスクマップ」を洗い替えすることにより事業等のリスクを更新し、取締役会への報告を行っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。当社は、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、将来に関する事項は、期末日現在において当社が判断したものであり、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。
当社の事業については、インターネット情報サイトを構成するコンピュータシステムと利用者各位がアクセスする端末とを結ぶ通信ネットワークに依存しております。地震や津波、風水害等の大規模広域災害、火災等の地域災害、コンピュータウイルスによる感染、電力供給の停止、通信障害、その他現段階では予測不可能な原因等によりコンピュータシステムが稼働停止した場合、当社の事業活動に支障をきたす可能性があります。また、一時的な過負荷による当社のシステムまたはISPサービスの作動不能、外部からの不正な手段によるサーバへの侵入等の犯罪、従業員の誤操作による意図しない障害、通信ネットワークの障害等の可能性があります。
当社は係る事態を未然に防ぐために、システムのバックアップ体制の整備及びセキュリティ対策を継続的に進めており、致命的な事態の発生を予防し、発生時の事業運営への影響を軽減させるよう対処しております。しかしながら、これらの障害が発生した場合には、当社の信頼が失墜することに起因した取引停止や当社に対する訴訟・損害賠償請求が発生し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社サイトへの通信は全て、SSL(Secure Sockets Layer)を採用しております。SSLは、サーバと顧客企業及び求職者間で通信される内容を暗号化いたしますので、全ての通信は、第三者の盗聴、改ざん、なりすましから保護されております。その他、不正アクセス防止等のセキュリティ対策を継続して進めております。しかしながら、人材サービス事業及びDX事業などにおいて、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、契約内容にかかわらず、法的責任を課される可能性があります。また、法的責任を問われないまでも、顧客企業及び求職者の信頼を失い、さらにはブランドイメージの悪化等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社は個人情報の厳格な管理を徹底すべく、2004年7月にプライバシーマークを取得し、維持しております。また、2005年10月には、情報セキュリティ規格「BS7799」及び「ISMS認証基準」の認証を取得しました。その後、2006年11月に情報セキュリティマネジメントシステム「IS027001(JIS Q 27001)」に移行し、認証維持しております。
(各種規制について)
当社は人材サービス事業においてインターネットを利用した求人広告サービスに取り組むとともに、DX事業においてデジタル技術を活用したサービスを行っております。現時点においてはインターネットやデジタル技術を対象とした法令等の規制は限定的でありますが、今後、法令の制定や改正により、当該領域に影響が及んだ場合、あるいは法令を遵守するための費用が増加するなどした場合、当社の事業運営及び業績に影響を与える可能性があります。
また、当社が運営する事業におきましては、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」、「職業安定法」、「労働基準法」等の様々な法的規制を受けております。当社はこれらの法律等に十分留意し事業活動を行っておりますが、万一これらに抵触する事実が生じた場合や法律の改正及び法的規制の強化等があった場合には、事業活動が制限され、新たな法的規制を遵守するための費用増加にもつながる蓋然性があり、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、看護師をはじめとした有資格者を対象としたサービスを提供しているため、今後これらの資格を規定する「保健師助産師看護師法」等が改定された場合には、当社の事業運営及び業績に影響を与える可能性があります。
なお、当社は、有料職業紹介事業者として、厚生労働大臣の許可を受けております。当社が保有している許可番号は13-ユ-303788であり、有効期限は2027年1月31日となっております。当社の職業紹介事業の継続には有料職業紹介事業者の許可が必要であるため、何らかの理由により許可の取消があった場合には、当社の事業運営及び業績に影響を与える可能性があります。許可が取消となる事由は職業安定法第32条の9において定められておりますが、2025年2月28日時点において当社が認識している限りでは、これら許可取消の事由に該当する事実はありません。
(知的財産権について)
人材サービス事業におけるインターネット上での情報提供サービス及びDX事業において、同業他社が実用新案または特許等を取得した場合、その内容によっては当社事業の競争優位性の低下または当社への訴訟が発生し、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、日本国内に限らず、当社の営む業務の全部もしくは一部についての実用新案または特許等を第三者が既に取得しており、当社がそれらに抵触することによって費用等が発生するリスクや、当社が保有する知的財産権が第三者により侵害される可能性も否定できません。当社は、その具体的事例を現時点では認識しておりませんが、これらが発生した場合、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主力事業である人材サービス事業は、求人広告を出稿する企業の採用計画に左右され、景気動向や雇用情勢、求人市場等の経済環境、感染症の拡大・流行等により事業環境が著しく変動した場合、当社の事業運営及び業績は大きな影響を受ける可能性があります。
なお、DX事業については、在宅勤務の普及などにより働き方が変化している中で、業務自動化ニーズの拡大が継続しておりますが、景気動向等によって事業環境が著しく変動した場合、当該事業運営及び業績に大きな影響を受ける可能性があります。
人材サービス事業において、インターネットを利用した「アルバイト・パートの求人情報(スポットのバイトサービスを含む)」、「派遣社員の求人情報」、「正社員の求人情報」、「専門職領域の求人情報」及び「看護師紹介事業」を提供する競合他社は多数存在しております。
当社では、他社に先駆けたサービスの導入や新機能を継続的に提供することなどにより、ユーザーとの継続的な関係構築のための施策を積極的に行っておりますが、既存事業者内でのさらなる競争激化や、新たな参入事業者との競争において当社が適時かつ効果的・効率的に対応ができない場合、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
DX事業におきましても、求人情報サービスで培った幅広い顧客及び直販の営業人員という独自の強みを活かし、DXサービスを展開しておりますが、今後、同様の強みあるいは当社にはない強みを持つ競合他社が登場し、これら事業者との競争において当社が適時かつ効果的・効率的に対応できない場合、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社が事業活動を展開する地域において、地震、津波、台風水害、火災等の災害、地球温暖化等の気候変動の進行、感染症の発生及び流行拡大による影響を受ける場合、当社の事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これらの事象に備え、災害時従業員行動ガイドラインの策定、建物・システム等の耐震対策やデータのバックアップシステム、従業員の安否確認システムの導入、防災訓練、災害用物資の備蓄等の対策を講じております。
なお、感染症の発生及び流行拡大に関しては、対応方針の周知徹底、テレワークの実施等により、従業員の安全確保に努めます。
2025年2月期の当社売上高563億86百万円に占める人材サービス事業の売上高比率は88.1%(496億62百万円)であり、依存度が高い状況にあります。そのため、求人広告市場における他の媒体との競合激化などにより、当該事業の売上高の変動が当社の事業運営及び業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。そのため当社は、事業ポートフォリオの分散によって安定的な収益基盤を確立するべく、求人広告メディアを主軸とする事業ドメインを拡大し、景気変動を受けにくい求人広告を通じた人材採用の支援に加え、2019年4月よりAI・RPAを活用したサービスの開発及び提供を行う新事業としてDX事業を開始しております。
なお、2025年2月期のDX事業の売上高は67億23百万円(2024年2月期売上高59億81百万円)と順調に伸長しておりますが、これらの事業が当初の計画どおりに進捗しない場合には、人材サービス事業への依存が続く可能性があります。
(業績等の概要)
当社は1997年の創業以来、「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」という企業理念のもと、インターネット求人情報サイトの提供を通じ、顧客企業の人材採用とその活用を支援するとともに、求職者一人ひとりがいきいきと働くことができる環境の構築に貢献すべく事業に取り組んでおります。
2020年2月期より、「Labor force solution company」というビジョンのもと、人材サービスとDXサービスの提供を通して、労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を目指しています。
当期の売上高は、人材サービス事業の堅調な伸びとDX事業の高い成長により、563億86百万円(前期比4.8%増)となりました。
費用は、営業力のさらなる強化のため、2024年新卒社員の採用や出社を前提とする方針に伴う新規オフィスの開設などの投資を行いました。その結果、営業利益は134億5百万円(前期比5.0%増)、経常利益は132億57百万円(前期比5.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は89億51百万円(前期比1.1%減)となりました。
セグメント別の概況は、以下のとおりであります。
人材サービス事業は、アルバイト・パートの求人情報サイト「バイトル」、スポットのバイトサービス「スポットバイトル」、正社員・契約社員の求人情報サイト「バイトルNEXT」、総合求人情報サイト「はたらこねっと」、専門職の総合求人サイト「バイトルPRO」、医療専門職向け人材紹介サービス「ナースではたらこ」、介護職向け人材紹介サービス「介護ではたらこ」を運営しております。これらのサービスにおいては、当社の強みである営業力、サービス開発力、プロモーション力を活かし、ユーザー及び顧客基盤を拡大することを目指しております。
当期は、人材サービス事業の売上高が堅調に推移しました。その結果、売上高は496億62百万円(前期比3.9%増)、セグメント利益は183億79百万円(前期比7.0%増)となりました。
DX事業は、2019年9月から、中堅・中小企業に特化した商品設計により導入が容易でシンプルな機能、かつ中堅・中小企業向け価格設定であるSaaS型のDX商品「コボット」シリーズの提供を通じ、中堅・中小企業のDX化を支援しております。
当期は、応募者との面談スケジュールの自動調整等を行う「面接コボット」や派遣会社の営業先リスト自動作成等の営業支援を行う「HRコボット」のほか、職場紹介動画をはじめとするバイトルの独自機能を活かして企業の採用ページを作成する「採用ページコボット」や、地図検索における表示順位向上により顧客企業の販促活動を支援する「集客コボットfor MEO」の売上が伸長いたしました。その結果、売上高は67億23百万円(前期比12.4%増)、セグメント利益は33億91百万円(前期比19.5%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、151億56百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(生産、受注及び販売の実績)
当社の主たる業務は、インターネットを利用した求人情報掲載、医療専門職と介護職の人材紹介及びDXサービスの提供であり、これらの提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
当連結会計年度末における連結財務諸表の流動資産の合計は262億64百万円であり、前連結会計年度末と比較して18億82百万円減少いたしました。主な要因は、現金及び預金の減少9億60百万円、その他の流動資産の減少7億26百万円であります。
当連結会計年度末における連結財務諸表の固定資産の合計は242億42百万円であり、前連結会計年度末と比較して16億16百万円増加いたしました。主な要因は、無形固定資産の増加15億68百万円であります。
当連結会計年度末における連結財務諸表の流動負債の合計は110億46百万円であり、前連結会計年度末と比較して18億6百万円増加いたしました。主な要因は、未払金の減少2億49百万円、未払法人税等の増加18億82百万円、賞与引当金の増加3億59百万円であります。
当連結会計年度末における連結財務諸表の固定負債の合計は32億23百万円であり、前連結会計年度末と比較して13億99百万円増加いたしました。主な要因は、株式給付引当金の増加3億61百万円、その他の固定負債の増加8億20百万円であります。
当連結会計年度末における連結財務諸表の純資産の合計は362億35百万円であり、前連結会計年度末と比較して34億72百万円減少いたしました。主な要因は、利益剰余金の増加36億54百万円、市場買付等による自己株式の増加68億50百万円であります。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要) (1) 業績」をご参照ください。
当社の事業には、景気の変動等による人材ビジネス市場規模への影響や競合他社の状況、法的規制等、経営成績に重要な影響を与えうる様々なリスク要因があります。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
2026年2月期の連結業績予想は、アルバイト・パート求人広告市場が前期と同様に緩やかな回復が続く前提としています。
売上高は、スポットバイトル、dip AI、ソリューション営業体制への進化により、前年からさらなる成長を計画しています。営業利益は、スポットバイトルの先行投資により、前期から減益の計画としています。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の運転資金需要の主なものは、営業活動に係る資金支出では、営業人員を中心とした人件費、求職者及び顧客企業向けの広告宣伝費の支払いであります。投資活動に係る資金支出には、継続的な成長のために不可欠な商用サイト・アプリ等の開発費などがあります。
また、既存事業及び新規事業分野において事業シナジーが見込まれる国内外のベンチャー企業等への出資を積極的に実行しております。2020年3月には、案件発掘機能のさらなる強化、投資検討プロセスの高度化を図るため、投資総額90億円のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「DIP Labor Force Solution 投資事業有限責任組合」を組成しております。
これらの資金は営業活動から得られるキャッシュ・フローによって充当できておりますが、加えて資金調達の機動性及び安定性の確保を図るため、取引金融機関3行と総額150億円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しております。
また、キャッシュアロケーション方針に「成長投資と株主還元を重視したキャッシュアロケーションを行う」を定めております。成長投資は、「既存事業の成長や新規事業創出のための投資」「AIなど先端テクノロジーに関する研究開発、事業に活用するための投資」「事業成長の加速を目的としたM&Aや出資」等です。
株主の皆様への利益還元につきましては、経営の重要な課題の一つとして位置づけております。原則、前期配当額を下限とし、配当性向50%以上を堅持し、年2回の配当を実施します。総還元性向は65%を目安としております。また、キャッシュポジションなどBSの状況、財務目標の達成見通し、株価水準などを総合的に勘案し、追加的な株主還元策を検討いたします。
事業運営に必要な資金運用をマクシマムキャッシュ※とし、原則、それを超える過剰な現預金は保有しません。ただし、単年度では判定せず、中期的な投資機会を慎重に見極めながら、過剰な現預金がある場合は株主に還元いたします。仮に中期的な利益目標の達成が困難な見通しの場合に、BSの状況や株価水準などを勘案の上、ROE目標に近づけるべく追加的な株主還元を検討します。
※マクシマムキャッシュの考え方 「3か月分の支払いと、その期間における税金・配当金支払いの合計額」
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移につきましては、以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.キャッシュ・フロー対有利子負債比率については、期末有利子負債残高がないため、記載しておりません。
2.インタレスト・カバレッジ・レシオについては、利払いが発生していないため、記載しておりません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、固定資産の評価にあたり、グルーピングをサイト別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化等により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
将来の不確実な経済状況の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、非上場株式等を保有しております。これらの評価において、発行体の超過収益力等に毀損が生じた際に、これを反映した実質価額が取得価額の50%程度以上下落している場合は、減損処理を行うこととしております。
定期的なモニタリングや協業拡大に向けた支援を行っておりますが、投資先の業績動向により、これらの投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、非上場株式等の評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
当社グループは、売上債権等の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。
なお、貸倒引当金の計上にあたっては、期末時点で入手可能な情報により見積っておりますが、顧客の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。また、貸倒損失の発生により貸倒実績率が上昇することで、一般債権に係る貸倒引当金の追加計上の可能性があります。
該当事項はありません。
当連結会計年度における研究開発費の総額は