第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

回次

第60期

第61期

第62期

第63期

第64期

決算年月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

2025年2月

売上高

(千円)

10,927,139

12,976,641

11,679,814

12,160,519

12,898,294

経常利益又は

経常損失(△)

(千円)

582,216

607,196

322,298

169,955

643,665

親会社株主に帰属する当期純利益

又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

2,836,390

1,413,327

1,288,051

231,879

583,223

包括利益

(千円)

2,741,148

1,278,430

1,122,935

492,256

1,101,877

純資産額

(千円)

4,978,296

6,256,726

4,882,636

7,229,132

8,264,660

総資産額

(千円)

15,417,722

15,547,418

14,830,650

17,974,743

17,551,852

1株当たり純資産額

(円)

602.72

774.37

581.58

603.32

688.91

1株当たり当期純利益又は当期純損失(△)

(円)

391.64

195.15

180.88

32.48

54.64

潜在株式調整後

1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

28.31

36.07

27.88

35.82

41.91

自己資本利益率

(%)

48.80

28.34

26.44

4.39

8.46

株価収益率

(倍)

3.69

60.25

22.24

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

584,127

1,882,911

129,293

1,015,967

415,032

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

1,010,180

601,290

806,758

782,151

619,218

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

600,885

2,051,631

550,975

2,127,846

1,453,400

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,386,739

1,816,056

1,530,122

3,975,126

2,425,302

従業員数

[外、平均臨時雇用者数]

(人)

699

659

663

649

610

[154]

[139]

[131]

[124]

[123]

 

(注 1.第61期、第63期及び第64期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2.第60期及び第62期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、1株当たり当期純損失であり、また、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3.第60期の親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な減少は、固定資産に係る多額の減損損失の計上等によるものであります。

4.第61期の親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な増加は、固定資産売却益等によるものであります。

5.第62期の親会社株主に帰属する当期純利益の大幅な減少は、繰延税金資産を取崩し、同額を法人税等調整額へ計上等によるものであります

6.第61期より当社の連結子会社であるKYODO DIE-WORKS(THAILAND)CO.,LTD.の退職給付債務の計算方法を変更しております。この会計方針の変更は遡及適用され、第60期については遡及修正後の数値を記載しております。

7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第62期の期首から適用しており、第62期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2) 提出会社の経営指標等

回次

第60期

第61期

第62期

第63期

第64期

決算年月

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

2025年2月

売上高

(千円)

9,721,659

11,682,886

10,344,064

10,955,899

11,724,643

経常利益又は

経常損失(△)

(千円)

581,738

511,155

420,781

202,206

614,572

当期純利益又は

当期純損失(△)

(千円)

2,828,349

1,380,118

1,323,290

246,720

559,986

資本金

(千円)

889,190

889,190

889,190

1,889,190

1,889,190

発行済株式総数

(株)

7,407,800

7,407,800

7,407,800

10,953,900

10,953,900

純資産額

(千円)

3,775,090

5,174,621

3,618,309

5,801,111

6,334,161

総資産額

(千円)

14,065,491

14,047,397

13,146,646

16,094,238

15,641,155

1株当たり純資産額

(円)

521.25

714.49

508.98

543.62

593.27

1株当たり配当額
(うち1株当たり中間
配当額)

(円)

20.00

20.00

7.00

12.00

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

又は当期純損失(△)

(円)

390.53

190.56

185.83

34.56

52.46

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

自己資本比率

(%)

26.84

36.84

27.52

36.04

40.50

自己資本利益率

(%)

53.74

30.84

30.10

5.24

9.23

株価収益率

(倍)

3.78

56.63

23.16

配当性向

(%)

10.50

20.26

22.88

従業員数

[外、平均臨時雇用者数]

(人)

440

423

423

419

421

[154]

[139]

[131]

[124]

[123]

株主総利回り

(%)

92.4

109.8

92.4

297.3

189.0

(比較指標:配当込みTOPIX)

(126.4)

(130.7)

(141.8)

(195.2)

(200.2)

最高株価

(円)

915

1,020

824

2,028

2,229

最低株価

(円)

510

612

530

529

771

 

(注) 1.第61期、第63期及び第64期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。

2.第60期及び第62期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、1株当たり当期純損失であり、また、希薄化効果を有している潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3.第60期の当期純利益の大幅な減少は、固定資産に係る多額の減損損失の計上等によるものであります。

4.第61期の当期純利益の大幅な増加は、固定資産売却益の計上等によるものであります。

5.第62期の当期純利益の大幅な減少は、繰延税金資産を取崩し、同額を法人税等調整額に計上等によるものであります。

6.最高株価及び最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。

7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第62期の期首から適用しており、第62期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2 【沿革】

 

年月

事項

1961年12月
 

神奈川県川崎市下平間に資本金100万円をもって株式会社放電精密加工研究所を設立し、放電加工の受託業務を開始。

1963年5月

アルミ押出用金型の製造を開始。

1965年11月

愛知県春日井市に名古屋事業所を新設。放電加工の受託業務を開始。

1969年11月

大阪府八尾市に大阪事業所を新設。放電加工の受託業務を開始。

1970年8月
 

神奈川県厚木市に厚木事業所を新設。アルミ押出用金型の一貫ラインを設備し、受託業務を開始。

1973年10月

名古屋事業所においてセラミックスハニカム押出用金型の製造を開始。

1980年9月

愛知県春日井市に春日井事業所を新設。航空機エンジン部品のリペア業務を開始。

1981年1月

春日井事業所において航空機エンジン部品のサーメテルコーティング業務を開始。

1984年8月

神奈川県厚木市に飯山事業所を新設。放電加工の受託業務を開始。

1985年4月

岡山県和気郡に岡山事業所を新設。放電加工の受託業務を開始。

1986年9月

神奈川県横浜市に株式会社ミヤギを設立(2019年6月に吸収合併)。

1987年9月
 

タイ国にトーヨーサッシ株式会社(現株式会社LIXIL)との合弁会社KYODO DIE-WORKS(THAILAND)
CO.,LTD.を設立。アルミ押出用金型の製造を開始。

1988年12月

厚木事業所においてプラスチックス射出成形用金型の製造を開始。

1990年11月

兵庫県明石市に明石事業所を新設。放電加工の受託業務を開始。

1990年12月

千葉県香取郡に成田事業所を新設(1993年山武郡へ移転)。放電加工の受託業務を開始。

1994年2月

飯山事業所に本社機能を移転。

1997年8月

愛知県春日井市上野町に春日井事業所を移転。サーメテルコーティング業務を拡充。

1998年3月

神奈川県横浜市に横浜事業所を新設し、機械装置部門(メカトロ事業部)を飯山事業所から移転。

1998年11月

愛知県春日井市に春日井事業所坂下工場を新設。溶射、溶接業務を拡充。

1999年10月

日本証券業協会(現大阪証券取引所)へ株式店頭登録。

2000年8月

春日井事業所坂下工場の隣接地に新坂下工場を新設。

2001年10月

成田事業所に表面処理工場を新設。サーメテルコーティング業務を拡充。

2001年11月
 

兵庫県神戸市に神戸事業所を新設し、明石事業所、大阪事業所の放電加工業務を移管。これにより、明石事業所及び大阪事業所は廃止。

2002年11月

名古屋事業所に加工センターを新設。プレス部品加工業務を拡充。

2003年7月

中華人民共和国に現地資本と合弁で天津和興機電技術有限公司を設立。

2005年4月

岐阜県海津市にクロムフリー塗料の生産工場を新設。

2005年7月

岐阜県海津市に岐阜事業所を新設し、クロムフリー塗料の生産を開始。

 

 

 

 

年月

事項

2007年3月

タイ国にHSKT CO.,LTD.を設立。(2011年9月清算結了)プレス部品の受託加工を開始。

2007年9月
 

愛知県春日井市坂下町に名古屋事業所を移転し、春日井事業所坂下工場及び新坂下工場を名古屋事業所に統合。

2009年11月

岡山県赤磐市に岡山事業所を移転。

2010年4月
 

ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所(JASDAQ市場)に株式を上場。

2010年10月
 

大阪証券取引所ヘラクレス市場、同取引所JASDAQ市場及び同取引所NEO市場の各市場の統合に伴い、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場。

2010年12月

神奈川県座間市に横浜事業所を移転し、座間事業所に名称変更。

2011年10月

飯山事業所に岐阜事業所の塗料業務を移管。これにより岐阜事業所は廃止。

2013年2月

岡山事業所に神戸事業所の放電加工業務及び表面処理業務を移管。これにより神戸事業所は廃止。

2013年7月

東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)に株式を上場。

2014年9月

愛知県小牧市に小牧事業所を新設。

2019年6月

株式会社ミヤギを吸収合併。

2020年1月

本社機能を新横浜に移転。

2020年1月

海外関連会社のKYODO DIE-WORKS(THAILAND)CO.,LTD.の株式を追加取得し、連結子会社化。

2020年5月

本店を神奈川県横浜市港北区新横浜3丁目17番6号に移転

2020年11月

神奈川県大和市に座間事業所を移転し、大和事業所に名称変更。

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しによりJASDAQ(スタンダード)からスタンダード市場へ移行。

2022年9月

成田事業所に飯山事業所の放電加工業務を移管。これにより飯山事業所は廃止。

2022年10月

神奈川県横浜市に横浜事業所を新設。飯山事業所の環境マテリアル開発事業部を移管。

2025年1月

中華人民共和国の合弁会社である天津和興機電技術有限公司との資本関係解消。

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社放電精密加工研究所)、子会社1社及びその他の関係会社1社で構成され、金型及び機械部品等の受託製造並びに販売を行っております。

当社及び当社の関係会社の事業における当社及び当社の関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。

 

事業区分

主要加工サービス・製品

主要な会社

放電加工・表面処理

ガスタービン部品の受託加工
その他各種金属製品の受託加工
航空機エンジン部品・ガスタービン部品の表面処理(サーメテルコーティング等)
※クロムフリー塗料

当社

金型

アルミ押出用金型及び付属品

当社
KYODO DIE-WORKS(THAILAND)CO.,LTD.

セラミックスハニカム押出用金型及び付属品

当社

金属プレス用金型及び金属プレス用金型部品

KYODO DIE-WORKS(THAILAND)CO.,LTD.

機械装置等

プレス複合加工システム
デジタルサーボプレス

金属プレス用金型及び金属プレス用金型部品

当社

プレス部品の受託加工

当社

その他

その他の関係会社

三菱重工業株式会社

 

※  当社が開発いたしましたクロム規制(ELV、RoHS等)に対応した完全クロムフリー防錆表面処理剤の製品名:ゼックコート「ZEC-888」「ZEC-W」「ZEC-F」であります。

 

(1) 放電加工・表面処理

放電加工とは、電気エネルギーを加え、発生する火花エネルギーによって一般の機械加工では切削できない超硬材、難削材でも精密加工から曲面加工、球体加工まで可能な加工であります。当社では、これまで蓄積してきたノウハウのシステム化、ソフト化とともに独自に開発した専用機を駆使して多様なニーズにお応えしております。

表面処理は、米国から導入したライセンス技術で最も過酷な環境で稼動するエンジン部品に耐熱、耐食コーティング、表面硬化被膜処理などを施す表面処理加工と、クロム規制に対応した亜鉛めっき部品の完全クロムフリー防錆表面処理剤と防錆表面処理剤下塗用塗料の製造・販売を行っております。

 

(2) 金型

当社で培った最高品質の放電加工技術を駆使し、従来方式での金型製造で成し得なかった精度、寿命の大幅な延長を可能にし、材料仕入れから製品までの一貫生産を行い、コスト低減を実現することにより、独自技術を確立した金型製品を提供しております。

 

(3) 機械装置等

独自の制御技術を搭載し、スライド平行制御、下死点(※)の高精度化を可能にした直動式デジタルサーボプレス「ZENFormer」「ZENFormer nano」と、分割ステーション構造で各金型毎に独立制御の直動式デジタルサーボプレス「Divo」の製作・販売、及び当社のデジタルサーボプレス機を使用した部品加工を行っております。

※ 下死点とは、プレス機械のスライドの操作・動作において、スライド移動の設定範囲におけるストロークの最下点のことであります。

 

 

事業の系統図は次のとおりであります。

 


 

(注)1.連結子会社等の区分は次のとおりであります。

◇  連結子会社   □ その他の関係会社
 

 

4 【関係会社の状況】

 

名称

住所

資本金

主要な事業
の内容

議決権の所有
割合又は被所
有割合(%)

関係内容

(その他の関係会社)

 

 

 

 

 

三菱重工業株式会社

※3

東京都千代田区

百万円
265,608

35.10

・放電加工・表面処理の受注先

(連結子会社)

 

 

 

 

 

KYODO DIE-WORKS
(THAILAND)CO.,LTD.

※2

タイ国
Pathumthani

千タイバーツ
20,000

金型

51.00

・金型の受注先

・当社役員の兼任1名

・当社従業員の出向3名

 

(注) 1.主要な事業の内容欄には、セグメントの名称を記載しております。

2.KYODO DIE-WORKS(THAILAND)CO.,LTD.は特定子会社であります。

3.有価証券報告書の提出会社です。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年2月28日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

放電加工・表面処理

273

(56)

金型

264

(38)

機械装置等

33

(19)

全社(共通)

40

(10)

合計

610

(123)

 

(注) 1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年2月28日現在

従業員数(名)

平均年令(才)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

421

(123)

41.3

13.1

5,971,650

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

 放電加工・表面処理

273

(56)

 金型

75

(38)

 機械装置等

33

(19)

 全社(共通)

40

(10)

合計

421

(123)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(当社から子会社への出向者  名を除いております。)であり、臨時雇用者数は( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。

2.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与が含まれております。

3.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものであります。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に

占める

女性労働者

の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業

取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

0

84.6

62.2

69.6

71.9

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

 ② 連結子会社

 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)および「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております