第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものになります。

(1)経営の基本方針

当社は、2005年9月1日に設立された純粋持株会社です。創業時より重んじる「信頼と誠実」の社是を不変の礎として、「変化への対応と基本の徹底」を基本方針に掲げ、お客様ニーズ、マーケット、そして急速な社会の変化に迅速に対応し、業務改革、事業構造の改革を不断に進め、イノベーションの推進と新たな体験価値の提供に努めてまいります。また、「食」の強みを軸とし、コンビニエンスストア事業を中心としたグローバルネットワーク、情報力を活かし、お客様の様々な生活シーンのニーズに応える世界トップクラスのグローバルリテーラーを目指してまいります。加えて、当社は、ガバナンスの強化とグローバルビジネスの拡大により企業価値・株主価値の最大化に努めるとともに、上場会社としてステークホルダーとのエンゲージメントを強化してまいります。合わせて、サステナビリティの取り組みを経営の根幹に据えて、2019年に環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を策定し、CO₂排出量削減、プラスチック対策、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達の4つのテーマで、2050年をゴールとする目標を設定し、その達成に向けて環境課題や外部不経済の解決に向けた行動を推進しています。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、持続的に企業価値・株主価値を向上させるため、資本コストを上回るリターン(利益)を拡大するとともに、キャッシュ・フローの創出力を高めることを基本方針として財務目標を設定しております。

 

(中期経営計画2021-2025 主な連結財務指標)

 

2025年度

中期経営計画目標

2025年度

見込み

EBITDA

1.1

兆円以上

9,630億円

ROE

11.5

%以上

6.9%

ROIC(除く金融)

8.0

%以上

5.3%

Debt/EBITDA倍率

1.8~2.5

2.3倍

EPS成長率(CAGR)

18

%以上

8.5%

※ROIC(除く金融)は、{純利益+支払利息×(1-実効税率)}/{自己資本+有利子負債(ともに期首期末平均)}にて算出。

※EPS成長率(CAGR)は、2020年度に対してのCAGR(年平均成長率)にて試算。

※2025年度見込みは、2025年3月6日に公表した「株主価値最大化に向けた経営体制及び資本構造・事業の変革施策について」の通り、事業ポートフォリオの変革を当年度半ばに完了した場合の見込み値です。

 

(3)中長期的な経営ビジョン

当社は、2022年度に実施したグループ戦略の再評価を踏まえて、2030年に目指すグループ像を「セブン‐イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する、「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」といたしました。

 

(4)経営環境及び経営課題

当社を取り巻く環境は、大きく変化しており、またその変化のスピードも加速しております。現下、日本国内においては、高齢化・単身世帯及び共働き世帯の増加等の社会構造の変化の加速により、ご自宅の近くでの生鮮食品・惣菜等の購買ニーズがさらに高まっており、また、昨今の為替変動と燃料費及び原材料費の高止まりによる物価の高騰、インバウンド消費の急速な拡大等により、お客様の行動様式・価値観が変化し食品に対するニーズも一層多様化しております。一方、最低賃金や社会保険料負担の上昇により、雇用環境は引き続き厳しい状況が続くことも想定されます。

米国においては、新鮮で健康的な美味しい食品ニーズを満たすことのできるコンビニエンスストアへの期待が高まっており、世界全体においても、各地域の特性に合わせた安全・安心で高い品質の日常の「食」を提供する領域には大きなチャンスがあり、これを可能とするための事業インフラの構築が重要な状況になってきております。加えて、国内外を問わず、気候変動、海洋汚染、フードロス、持続可能な調達等、社会課題が深刻化しており、企業も社会を構成する一員として、その解決に対してこれまで以上に真剣に向き合う時代を迎えております。

当社は、食品の品揃え・調達力・サプライヤーネットワーク・イノベーティブな商品開発力・プライベートブランド(セブンプレミアム)といったグループの競争力を支える「食」の強みを有しておりますが、上記のような今後のマクロトレンド・マーケットトレンドの予測の観点からも、この「食」の強みが国内外コンビニエンスストア事業の成長を支える競争力の源泉としてますます重要になってくるものと考えられます。

 

戦略委員会による提言と当社の中長期的な企業価値・株主価値の最大化を実現するためのアクションプラン

 

当社は、2023年3月9日に「グループ戦略再評価の結果」を公表し、当社の中長期的な企業価値・株主価値の最大化を目的に独立社外取締役のみで構成される戦略委員会を設立いたしました、2024年4月10日には戦略委員会から当社取締役会に対して、戦略委員会における討議の内容を纏めた提言が提出されたことを受け、当社取締役会において真摯に検討した結果、当社の今後の具体的なアクションプランについて以下のとおり決定、公表いたしました。

 

〈成長加速に向けた具体的アクションプラン〉

・成長余地の大きな北米コンビニエンスストア市場における成長加速と収益性・資本効率の改善

・グローバルコンビニエンスストア事業におけるより意欲的な事業計画の策定・投資の実行

・グローバル成長の礎となるIT/DX戦略とコスト競争力を高めるIT/DXガバナンス構築

・首都圏スーパーストア事業*1の変革完遂と成長に向けたモニタリングと実行支援

・グループにおける小売×金融のシナジー最大化

*1.首都圏スーパーストア事業:(株)イトーヨーカ堂、(株)シェルガーデン

 

当社はアクションプランを確実に実行するとともに、取締役会におけるモニタリングを通じて、企業価値・株主価値の最大化を実現するためのあらゆる選択肢を真摯に検討してまいりました。その結果、2025年3月6日に当社が今後コンビニエンスストア事業にさらに注力し、株主の皆様にとっての価値を最大化し還元するために、経営体制、資本構造及び事業の変革にむけた以下の一連の施策を公表いたしました。

 

〈株主価値最大化に向けた経営体制及び資本構造・事業の変革施策〉

・変革を加速させるべく、2025年5月の株主総会後、スティーブン・ヘイズ・デイカス氏を代表取締役社長兼CEOに任命予定

・北米のセブン-イレブン事業を担う7-Eleven, Inc.について、2026年下半期までのIPOを目指す

・SST事業グループを8,147億円(53.7億ドル)*2,3でBain Capital Private Equity, L.P.及びそのグループ会社に譲渡する最終契約を締結

・7-Eleven, Inc.のIPO及びSST事業グループ*4の非連結化によって回収される資本について、2030年度までに総額2兆円(約132 億ドル)*2を自己株式取得の形で株主に還元。通常の事業運営から創出される利益の株主への還元に関しても、累進配当を行う方針

・株主価値最大化のために、引き続きあらゆる選択肢を追求。特別委員会による検討状況についても状況を報告

*2.U.S.$1=151.46 円

*3. 金額は、本件取引最終契約において合意した企業価値の金額に、本吸収分割効力発生見込み時点における予想純現預金等の項目の調整を行い試算した現時点での現金対価額見込みであり、最終的な対価額は本件取引最終契約に定める価格調整等を経て決定

*4. 食品スーパーマーケット事業及び専門店・その他事業

 

当社はこれらの施策の実行により、国内外コンビニエンスストア事業へのフォーカスを強め、成長を加速させてまいります。国内コンビニエンスストア事業においては、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンのコアコンピタンスである商品力、エリア出店戦略、単品管理、加盟店とのコミュニケーションを軸に社会構造とお客様ニーズの変化に対応してまいります。当社は物価上昇に伴う、消費の二極化進行を重要な課題ととらえ、「品質と価格の両立」という基本方針のもと、高品質かつ幅広い価格帯に対応した商品開発と品揃えを強化してまいります。さらに、デリバリー需要とインバウンド消費の拡大も顕著なお客様ニーズであると認識しており、デリバリーサービス「7NOW」ならびにインバウンド消費対応のサービス向上に取り組んでおります。今後も、商品・サービスへの積極的な投資を通じて、お客様への提供価値を高めるとともに、リテールメディアや特定領域に特化したコンセプトストア等の新規事業にも挑戦してまいります。

また、海外コンビニエンスストア事業においては、北米で継続する物価・金利の上昇と雇用環境の悪化をうけ、中低所得者層を中心に節約志向が一層強まっていると認識しており、7-Eleven, Inc.は、変化するお客様ニーズに対応した商品・サービスによる事業成長と資本効率性の改善を図ってまいります。パートナー企業とのバリューチェーン構築を通じたフレッシュフード、専用飲料、クイックサービスレストランを含むオリジナル商品の強化に加え、ロイヤリティプログラムや7NOWデリバリー等のデジタル投資を拡大し、お客様の利便性向上に取り組んでまいります。物価上昇及び所得の二極化という局面においては、コスト優位性の確保が必須であり、コストリーダーシップの取り組みも継続推進してまいります。加えて、高いお客様評価と投資効率を実現する新たな店舗モデルの構築ならびに店舗ネットワークの拡大と強化に努めてまいります。

さらに、7-Eleven International LLCでは、2030年度までに日本、北米を含めた全世界で30の国と地域での展開を目指すという方針の下、既存展開国と新規展開国の両輪で成長戦略を推進しております。既存展開国については、戦略的な投融資を通じて、各市場の特性に合わせた「食のコンビニ」への転換を進めることで、より収益性の高いビジネスモデルへ進化を図ってまいります。

 

 

戦略を支える確かな経営基盤

 

① 持続可能な社会の実現に向けて

当社では、これまでも社会課題解決と企業価値向上の両立を経営の基本におき、積極的に取り組んでまいりました。当社の事業領域と特に親和性の高い社会課題を「7つの重点課題(マテリアリティ)」と特定し、SDGs(国連「持続可能な開発目標」)の17の目標と関連づけながら、課題解決に向けて取り組みを進めております。これらにより、本業を通じての社会課題及び重点課題を起点とした新たなビジネスモデルの創出に取り組んでおります。

 

「7つの重点課題(マテリアリティ)」

・お客様とのあらゆる接点を通じて、地域・コミュニティとともに住みやすい社会を実現する

・安全・安心で健康に配慮した商品・サービスを提供する

・地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する

・多様な人々が活躍できる社会を実現する

・グループ事業を担う人々の働きがい・働きやすさを向上する

・お客様との対話と協働を通じてエシカルな社会を実現する

・パートナーシップを通じて持続可能な社会を実現する

 

2019年5月に公表した環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』の達成に向け、CO₂排出量削減、プラスチック対策、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達の4つのテーマで、お客様・地域社会・お取引先様等のステークホルダーとも連携しながら、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでおります。また、ネイチャーポジティブの実現に向け「セブン&アイグループ自然資本に関する方針」を策定し、自然資本・生物多様性への対応を進めると同時に、グローバル展開の強化に合わせ、7-Eleven, Inc.や7-Eleven International LLCとの連携強化も図っております。

さらに、企業活動のグローバル化が進み、企業の人権への取り組みに対して、社会からの関心が高まっております。当社では企業行動指針をベースに人権を守る活動を行っており、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関の宣言、国連グローバル・コンパクトの10原則、及び「国連ビジネスと人権に関する指導原則」などをもとに、「セブン&アイグループ人権方針」を定めております。これからも従業員やサプライチェーン、地域社会に対する働きかけを行うなど、人権尊重の取り組みを一層強化してまいります。

 

② コーポレートガバナンスの更なる強化

当社では、これまでも、コーポレートガバナンスについて、すべてのステークホルダーの皆様との対話に基づき、常にその改善と拡充に努めてまいりました。2030年の目指すグループ像としてグローバルリテールグループを目指すにあたり、これにふさわしいガバナンス体制を構築すべく、取締役会の多様性をさらに向上させるとともに、2022年度より独立社外取締役を増員し、過半数とする体制に変更いたしました。

また2023年度には、ガバナンス体制の強化・安定化を図るために、各コーポレート機能に最高責任者(CxO)、を任命し、各事業セグメント・事業領域には統括責任者を任命いたしました。

さらに、2024年度には取締役会における経営戦略に関する議論や業務執行への監督の実効性をより担保するべく、取締役会議長とCEOの役職を分離いたしました。

今後も、グローバルマーケットにおける持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現すべく、適切な意思決定を行うとともに実効性の高い監督を実施し、取締役会としての役割・責務を適切に果たし、コーポレートガバナンスの更なる強化を図ってまいります。

なお、当社の独立社外取締役のみで構成される特別委員会は企業価値及び株主価値最大化のためのあらゆる選択肢を追求し、引き続き真摯に検討を進めております。

 

③ 経営戦略と連動した人財政策

当社の成長力の源泉は人財です。とりわけ、グローバル戦略の推進や社会価値と企業価値の両立を追求するうえで、経営戦略と人財戦略は不可分であると考えております。当社では経営戦略の推進と一体となった人財戦略に取り組み、専門的な知見や技能を有する人財を社外から求めるだけでなく、社内でも積極的に育成してまいります。人財育成にあたっては、「人財とともに成長する企業」という考え方に立ち、積極的に社員に成長機会を提供することで、自ら学び続け、常にスキルアップを図り続ける人財の育成を図り、社員と会社の相互成長を目指してまいります。

また、働き方改革や生産性の向上を図ることで、誰もが働きやすい職場づくりを推進してまいります。働く人々の多様性や違いを認め合う環境づくりや柔軟な働き方を支援する体制を整え、多様な人財が活躍できる組織・企業文化の育成に注力してまいります。

さらに当社では各事業会社社長のもと「エンゲージメント向上委員会」を設置し、従業員エンゲージメント向上に向けた行動計画の策定とモニタリングを実施しております。従業員のエンゲージメントや貢献意欲が高まることが組織の活性化につながり、企業の競争力強化につながると考え、今後も活動を推進してまいります。

 

中長期的な企業価値向上による持続的成長に向け、今後とも当社では、当社の強みを一層拡大し、すべてのステークホルダーの皆様の声を真摯に受け止めながら、さらなる価値提供と適正な利益還元を進めてまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 当社グループは、お客様をはじめとして、お取引先様、株主・投資家、地域社会、加盟店、そして社員を含めたすべてのステークホルダーの皆様から「信頼される、誠実な企業でありたい。」という社是にもとづき、SDGs(持続可能な開発目標)が掲げる持続可能な社会の実現を目指しております。

 お客様の暮らしに寄り添い、お客様の生活様式から発想した新たな顧客体験価値を提供し続けることが、私たちの事業活動の原点であり、サステナビリティ(持続可能性)を追求するうえでの基本であると考えております。

 そのため、ステークホルダーの皆様との対話を通じて重点課題 (マテリアリティ)を特定し、社会と当社グループにとって重要性の高い社会課題に対し、本業を通じた解決に取り組んでおります。

 限りある地球環境や資源を活かし、未来世代につなげていくために、2019年には環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を発表しました。2030年、2050年の目指す姿と具体的な目標を掲げ、その達成に向けて4つのテーマごとにイノベーションチームを立ち上げております。それぞれのチームが多様な新技術の導入や、お客様、お取引先様、地域社会の皆様と連携した循環型社会の構築などを進め、グループ一丸となって環境負荷の低減に取り組んでおります。

 また、すべての人の人権を理解し、人権尊重の責任を果たすため、国際的な原則、基準を踏まえて「セブン&アイグループ人権方針」を定めております。本方針はすべての役員・従業員に適用し、すべてのビジネスパートナーに対しても継続的な支持をお願いすることで、ともに人権デュー・ディリジェンスの推進、人権の尊重に取り組んでおります。

 これらのサステナビリティの施策を通じて、中長期のリスクを軽減し、機会を積極的に活用することが、事業活動のレジリエンスと持続可能性を高め、国内外のお客様の暮らしになくてはならない存在として、当社グループの社会的・経済的価値の向上につながると認識しております。

 以降、(1)サステナビリティ共通、(2)気候変動、(3)人的資本・多様性について、それぞれ①ガバナンス、②戦略、③リスク管理、④指標及び目標の4項目を記載します。

 

(1) サステナビリティ共通

① ガバナンス

 当社は、社会課題の解決に貢献し、社会と当社グループの持続的成長を目指すため、事業活動を通じたサステナビリティ活動の推進・管理・統括を目的として、年2回開催する代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ委員会」をサステナビリティ基本規程に基づき設置しております。また、ステークホルダーの期待や要請に対応するために特定した重点課題(マテリアリティ)の解決及びコンプライアンスのさらなる徹底に資する事業活動を推進するために、同委員会傘下に具体的な施策の検討・推進を担う下部組織として5つの部会(コンプライアンス部会、企業行動部会、サプライチェーン部会、環境部会、社会価値創造部会)を設け、課題の解決並びに未然防止に取り組んでおります。

 傘下の5部会の活動状況は、「サステナビリティ委員会」において報告を受けて指導・改善を図るとともに、持株会社と事業会社の連携の強化を図っております。

 

0102010_001.png

●コンプライアンス部会

 グループ会社の社員が法令及び社会的規範を遵守し、お客様やお取引先様との間の公正取引を含むコンプライアンスを実践することは、当社グループの社是「信頼と誠実」の実現のために欠くことができない重要な基盤です。持株会社である当社は、グループ各社のコンプライアンス体制強化のサポート及び監督の実効性を確保し、グループ各社レベルでのコンプライアンスの徹底に努めております。コンプライアンス部会は、当社の執行役員総務法務本部長を部会長とし、当社の法務主管部門が部会運営を行うことで、具体的な施策の推進を図っております。

 

●企業行動部会

 グループ会社の社員が当社グループの社是を理解し、企業行動指針を遵守することは、当社グループの社是「信頼と誠実」の実現のために欠くことができない重要な基盤です。企業行動部会では、グループ会社の社員を対象に、社是や企業行動指針の周知、教育による意識向上など、企業行動指針の徹底を基軸とした活動を行っております。また、働きがいのある職場づくりを目指すため、カルチャー&エンゲージメントサーベイを実施するほか、女性や障がい者など多様な人財の活躍推進、介護と仕事の両立支援、長時間労働の是正をはじめとした労働環境の改善、休日・休暇の取得促進など、すべての社員が安心して働ける環境づくりを進めております。企業行動部会は、当社の執行役員最高人財責任者(CHRO)兼人財本部長を部会長とし、当社の人事主管部門が部会運営を行うことで、具体的な施策の推進を図っております。

 

●サプライチェーン部会

 国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」や「持続可能な開発目標(SDGs)」へ迅速に対応し、人権や環境に配慮した健全なサプライチェーンを構築することは、企業の重要な社会的責任の一つであると同時に、ステークホルダーからも強く求められております。サプライチェーン部会では、商品・サービスにおけるサプライチェーン全体での社会的責任を果たすため、お取引先様に「セブン&アイグループお取引先サステナブル行動指針」のご理解と実行をお願いしております。その遵守状況をCSR監査などを通じて定期的に検証・共有し、教育・啓発・是正を進めております。また、グループ各社ごとの品質向上と安全性の確保のため、当社グループの「品質方針」に基づいて、グループ各社の品質基準や管理体制の整備・強化を図ります。サプライチェーン部会は、当社の執行役員最高商品戦略責任者(CMDO)兼グループ商品戦略本部長を部会長とし、当社の商品戦略の主管部門が部会運営を行うことで、具体的な施策の推進を図っております。

 

●環境部会

 気候変動や資源の枯渇などの問題に対して、商品や原材料、エネルギーを無駄なく利用するとともに、お客様やお取引先様にもご協力いただきながらサプライチェーン全体で環境負荷低減に取り組むことは、社会の持続的な発展に資するとともに当社グループの持続的な成長につながる重要な要素です。そのため、環境部会では、2019年4月に取締役会で決議し、同年5月に公表した環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」に基づき、「脱炭素社会」、「循環経済社会」、「自然共生社会」の実現を目指した取り組みを推進しております。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)及び自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の提言も踏まえ、気候変動のリスクと機会について分析し、対応策の進化を図っております。環境部会は、当社の執行役員ESG推進本部長を部会長とし、当社の環境施策の主管部門が部会運営を行うことで、具体的な施策の推進を図っております。

 

●社会価値創造部会

 社会価値創造部会では、事業領域が拡大し、関係する社会課題が多様化するなか、社会課題の解決に取り組むことが新しいビジネス機会につながるという認識のもと、社会的価値と経済的価値の双方を生み出す事業の創出(CSV=共通価値の創造)を目的とした活動を行っております。持続可能な社会の実現に向けて、さまざまなステークホルダーとの対話を通じて特定した取り組むべき「7つの重点課題」に対して、これまで培ってきた事業インフラやノウハウなど、事業特性・経営資源を活かして本業を通じた社会課題起点の新規事業の企画・立案・実行に取り組むほか、お取引先様や社会起業家、NPOといった外部との連携も視野に入れて、取り組みの深化に努めます。社会価値創造部会は、当社の取締役執行役員最高戦略責任者(CSO)兼経営企画本部長を部会長とし、当社の経営企画主管部門が部会運営を行うことで、具体的な施策の推進を図っております。

 

② 戦略

 当社グループは社会課題解決と企業価値向上の両立を経営の根幹に据えて、サステナビリティの推進に積極的に取り組んでいます。事業と関係する社会課題や社会要請が多様化する中、特に重視すべき課題に集中して適切に対応するために、当社グループの事業領域と特に親和性の高い「7つの重点課題(マテリアリティ)」を特定し、課題解決に向けて取り組みを進めております。これらにより、本業を通じての社会課題及び重点課題を起点とした新たなビジネスモデルの創出に取り組んでおります。

<7つの重点課題(マテリアリティ)>

重点課題1:お客様とのあらゆる接点を通じて、地域・コミュニティとともに住みやすい社会を実現する

重点課題2:安全・安心で健康に配慮した商品・サービスを提供する

重点課題3:地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する

重点課題4:多様な人々が活躍できる社会を実現する

重点課題5:グループ事業を担う人々の働きがい・働きやすさを向上する

重点課題6:お客様との対話と協働を通じてエシカルな社会を実現する

重点課題7:パートナーシップを通じて持続可能な社会を実現する

 

重点課題のリスク及び機会

7つの重点課題

(マテリアリティ)

リスク

機会

①お客様とのあらゆる接点を通じて、地域・コミュニティとともに住みやすい社会を実現する

・生活拠点の減少により人口減少・過疎化・高齢化が進行し、販売機会が減少

・地域との連携不足に伴い計画どおりに新規出店が進まず、新たな価値の提供機会の損失

・生活インフラとしての社会的役割の拡大によるステークホルダーからの信頼獲得

・地域活性化による販売機会の拡大

②安全・安心で健康に配慮した商品・サービスを提供する

・商品事故及び店頭事故の発生による顧客の離反

・品質管理、表示等の法令違反による信用低下

・健康商品開発の遅れによる顧客の離反

・徹底した安全・品質管理による顧客ロイヤリティの向上

・健康配慮商品、お客様ニーズに即した新しい商品提供による販売機会の拡大

 

 

7つの重点課題

(マテリアリティ)

リスク

機会

③地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する

・気候変動がもたらす自然災害の増加による店舗・物流網への物理的損害

・異常気象がもたらす需給の変化や原油等原材料価格変動による、仕入価格の高騰

・食品廃棄・温暖化ガス排出などの環境負荷の高い企業イメージの定着による顧客の離反

・省エネや廃棄物削減、リサイクル、エネルギー供給源の見直しによるコスト削減

・環境対策先進企業としてのブランド価値の創出

④多様な人々が活躍できる社会を実現する

・差別・偏見などの放置による企業イメージの棄損、顧客の離反、従業員エンゲージメントの低下

・人財の確保困難や人財の社外流出

・次世代や若者世代、さまざまな価値観を持つ人々との対話・育成による将来の顧客の獲得、新たなサービスの開発

⑤グループ事業を担う人々の働きがい・働きやすさを向上する

・労働環境が改善しないことによる従業員エンゲージメントの低下

・人財の確保困難や人財の社外流出

・多様な人財の活躍による競争力の強化

・従業員の能力・自律性を高めることによる生産性の向上

・新規事業の開発と優秀な人財の獲得

⑥お客様との対話と協働を通じてエシカルな社会を実現する

・生活者のライフスタイルの変化や価値観の多様化への対応の遅れにより、商品とサービスを通じた新たな価値の提供機会の損失

・エシカル消費に対応した商品・サービスの提供による販売機会の拡大

・顧客協働による顧客ロイヤリティの向上

⑦パートナーシップを通じて持続可能な社会を実現する

・サプライチェーン上の労働環境・人権問題やコンプライアンス違反による商品供給の停止や品質の劣化及び、それらに伴う不買運動による社会的評価の低下

・持続可能な原材料調達によるレジリエンスの向上

・取引先・同業種・他業種協働による新たな商品・サービスの提供

・重点課題のリスク及び機会については、当社経営レポート2024(統合報告書)内「7つの重点課題(マテリアリティ)」(53頁・54頁)を以下のURLからご参照ください。

https://www.7andi.com/library/ir/library/mr/pdf/mr_pdf-04.pdf

 

重点課題解決に資する具体的な施策

7つの重点課題

(マテリアリティ)

具体的な施策

①お客様とのあらゆる接点を通じて、地域・コミュニティとともに住みやすい社会を実現する

1.地域社会に根差した経営

 お買物に不便を感じる方へのお届けサービスの拡大

(ネットコンビニ、ネットスーパー、移動販売車)

 食事に不便や困難を感じる方への家事を軽減する商品の開発・販売

 身近な拠点として地域防犯対策へ協力

②安全・安心で健康に配慮した商品・サービスを提供する

2.安全・安心で豊かな社会への支援

 栄養や健康に配慮した商品の開発と販売の拡大

 さらなる品質管理体制の強化

③地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する

3.環境に配慮した経営

 再生可能エネルギーの利用拡大を目的とした小売電気事業会社の設立

 プラスチック使用量削減やPETボトルの循環型リサイクル

 飼料化・たい肥化などの食品リサイクル、持続可能性が担保された商品の調達

④多様な人々が活躍できる社会を実現する

4.色々な価値観・ライフスタイルを認める社会の実現

 マタニティ・育児相談・保育園の運営

 出張授業の提供、障がい者支援

 

 

7つの重点課題

(マテリアリティ)

具体的な施策

⑤グループ事業を担う人々の働きがい・働きやすさを向上する

5.従業員がやりがいと達成感を得られる組織づくり

 DEIの推進

 人財育成・対話による従業員エンゲージメントの向上

 DXによる労働環境の改善

⑥お客様との対話と協働を通じてエシカルな社会を実現する

6.お客様と一緒に豊かな地域の実現

 余剰食品の寄付活動や環境保全イベントの開催

 お客様参加型の社会課題解決に資する取り組み

⑦パートナーシップを通じて持続可能な社会を実現する

7.お取引先様と一緒に豊かな社会の実現

 人権や地球環境に配慮したお取引先様との協業

 NPO・NGO、異業種・同業種企業との協働

 行政・自治体と連携した社会インフラとしてのサービスの拡充

・重点課題については、当社経営レポート2024(統合報告書)内「7つの重点課題(マテリアリティ)」(53頁・54頁)を以下のURLからご参照ください。

https://www.7andi.com/library/ir/library/mr/pdf/mr_pdf-04.pdf

 

③ リスク管理

 当社は、コーポレートガバナンスに係る各種委員会の一つとして、リスクマネジメント委員会を設置し、事業活動におけるリスクを定期的に洗い出し、重要リスクの特定とその管理体制の強化を行っております。

 本リスク管理体制の中に、サステナビリティに関するリスクも含まれています。個別のリスクを含むリスク管理の詳細は、後記「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 当社グループの事業を通じた「7つの重点課題(マテリアリティ)」の解決に資する活動目標については、各事業会社が重点課題ごとに設定しています。目標と実績の詳細は、当社サステナビリティデータブック2024(2024年2月期実績)内「データ集」(233頁以降)に記載しています。以下のURLからご参照ください。

https://www.7andi.com/library/dbps_data/_template_/_res/sustainability/pdf/2024_25_01.pdf

 

(2) 気候変動

 当社グループでは、重点課題の一つとして、前記「3.地球環境に配慮し、脱炭素・循環経済・自然と共生する社会を実現する」を定め、経営戦略においても気候変動への対応を経営課題の1つとして取り組んでおります。気候変動対応を加速するため、2019年、環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」を発表し、具体的な取り組みテーマの一つに「CO2排出量削減」を定めました。この環境宣言において2030年の目標・2050年の目指す姿として定量目標を立て、グループ横断の推進体制を構築し、取り組みを進めております。TCFD提言に沿ったシナリオ分析では、気候変動に関わるリスク及び機会を事業体ごとに特定し、リスク低減と機会最大化を図る対応策を推進しております。

 

① ガバナンス

 サステナビリティ全体に関する推進体制については、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご覧ください。下表は、気候変動対応に関する体制となります。また、2020年度より役員報酬において、2019年5月に策定した環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』におけるCO₂排出量の削減目標を非財務指標として、株式報酬の業績評価指標(KPI)に追加しております。

体制

役割

メンバー

取締役会

・気候変動問題に関する進捗・目標達成状況に関して年1回以上報告を受け、取り組みを監督

・方針・重要事項の見直し・決定

・取締役

・監査役

サステナビリティについて幅広い知見と経験を有する社内取締役及び社外取締役をメンバーとして構成

サステナビリティ
委員会

・年2回開催・気候変動問題にかかわる指標(CO₂排出量など)の推移や緩和・適応策の共有

・環境部会やグループ会社で実施される取り組みの承認と助言

・委員長:株式会社セブン&アイ・ホールディングス 代表取締役社長

・委員 :グループ会社のサステナビリティ推進責任者(代表取締役社長等)、株式会社セブン&アイ・ホールディングスのサステナビリティ推進部門の責任者

体制

役割

メンバー

環境部会

・サステナビリティ委員会下部組織

・年2回開催

・気候変動問題への対応推進

・TCFD提言への対応推進

・部会長 :株式会社セブン&アイ・ホールディングス 執行役員ESG推進本部長

・メンバー:グループ会社のサステナビリティ推進部門責任者、気候変動対応実務部門責任者

 

② 戦略

1.TCFD提言に基づいたシナリオ分析

<経緯>

 当社グループは、2019年度~2021年度、営業利益の6割を占める(2019年当時)国内コンビニエンスストア事業を対象としたシナリオ分析を実施、コンビニエンスストア事業の固有リスクにつき一定の示唆を得ることができました。2022年度、地理的条件を同じくする国内事業として、スーパーストア事業のシナリオ分析を実施しました。2023年度からは、国内事業におけるシナリオ分析の結果を海外事業の分析に有効活用し、より効果的・効率的に7-Eleven, Inc. のシナリオ分析(気候に関連する物理的リスク・移行リスクと機会)を実施しました。2024年度から海外CVS事業の分析結果を開示し、国内事業のシナリオ分析のアップデートと対応策の進捗を確認しています。

*金融関連事業の株式会社セブン銀行においては、2021年にTCFD提言に賛同し、2024年には開示したシナリオ分析のアップデートと対応策の進捗を確認しています。

 

<分析の前提>

シナリオ*

脱炭素シナリオ(1.5℃~2℃)・温暖化進行シナリオ(2.7℃~4℃)

*IEA(国際エネルギー機関)「World Energy Outlook」で示されているSTEPS、APS、NZE2050などのシナリオをはじめとして、政府や国際機関が発行した将来予測に関するレポートを参考に2つのシナリオを設定

分析手法

店舗が直接受ける物理的な影響に加え、店舗運営に伴って発生するコスト、店舗運営に大きな影響を与える商品のサプライチェーン(原材料・商品製造工場・商品配送)やお客様の行動について分析

対象年

国内コンビニエンスストア事業、スーパーストア事業:2030年時点の影響
海外コンビニエンスストア事業:短期(0~5年)・中期(5~10年)・長期(10~30年)

<対象の事業体>

・国内コンビニエンスストア事業:株式会社セブン‐イレブン・ジャパン

・スーパーストア事業:株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル

・海外コンビニエンスストア事業:7-Eleven, Inc.

 

<事業環境>

●脱炭素シナリオ

1.5℃目標達成に向けてさまざまな法律や規制の導入が進み、その対応コストによる店舗運営コストの上昇や

ポートフォリオの多様化が求められる世界を想定しております。またこのシナリオでは、消費者のサステナブル商品やサービスへの関心、電気自動車への関心が高まり、それに応える商品を販売することが事業成長につながると見込んでおります。

●温暖化進行シナリオ

自然災害の発生増加や激甚化、気象パターンの変化が顕著に表れ、店舗などへの損害や原材料調達への影響、

また、気温上昇による店舗での冷房コストの増加が予測されるシナリオを想定しております。

<分析結果>

1. 認識した気候変動関連のリスクと機会

気候変動関連のリスクと機会及び対応策について、当社グループ共通事項と一部固有事項を認識しております。

*事業体ごとの詳細な分析結果については、当社サステナビリティデータブック2024(2024年2月期実績)内「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に基づく対応」(44頁)を以下のURLからご参照ください。

https://www.7andi.com/library/dbps_data/_template_/_res/sustainability/pdf/2024_all_01.pdf

 

 

 

認識した重要なリスクと機会

対応策

脱炭素

シナリオ

<リスク>

・世界的な排出量規制や炭素税などのカーボンプライシング導入により、店舗運営にかかるCO₂排出量に対してのコスト負担や、サプライチェーンでのコスト増加による商品等への影響が発生(炭素税の財務影響予測については、後記「2.事業インパクト」をご参照ください。)

・電力小売価格上昇で電気料金支払い増加

・(海外CVS事業)消費者の嗜好の変化、新技術の採用、燃料効率の改善により、特に脱炭素シナリオにおいて

石油系燃料の需要が減少し、石油系燃料からの収益が減少(長期)

・(海外CVS事業)製品廃棄物規制による拡大生産者責任(EPR)関連コストの増加(中期)

・環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』に基づいたCO₂排出量削減の各施策推進(2013年度比で2030年50%削減、2050年に実質ゼロを目指す)

・店舗における省エネやエネルギー効率の改善に向けて、取り組みや投資の推進

・店舗での再生可能エネルギー比率の積極的な拡大

・サステナブルな商品やサービスの拡充

(低炭素商品、環境配慮型容器包装、ペットボトル回収・リサイクル、認証商品など)

・店舗でのEV充電サービスの推進(海外CVS事業:電気自動車用急速充電ネットワーク「7Charge」のEV用急速充電ポートを米国とカナダで配備予定)

・環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』プラスチック対策に基づいた、製品パッケージにおける各施策推進

・環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』食品ロス・食品リサイクル対策に基づいた、食品廃棄物の発生量削減施策を推進(焼却処分量の削減)

<機会>

・消費者のサステナブル商品やサービスへの関心が増加

・規制の強化や消費者の嗜好の変化により、EV充電の需要増加

・(海外CVS事業)エネルギー効率化対策に投資することで、エネルギー使用量を全体的に削減(中期)

温暖化進行

シナリオ

<リスク>

・深刻な自然災害の発生頻度や強度が強まり、店舗被害や商品損害、サプライチェーンの混乱、店舗へのアクセス遮断、休業による売上損失、またその復旧費の発生等で損害額が増加

・降水、気象パターンの変化により、商品原材料の収穫量減少に伴う商品原価上昇や水ストレス、サプライチェーンの混乱などが発生

・世界的な高温の増加に伴う冷房運転コスト上昇

・洪水や暴風雨などの悪天候時に取るべき危機管理計画の策定

・災害時の情報収集と早期復旧の体制構築(「セブンVIEW」など)

・野菜工場や陸上養殖などの調達拡大による安定的な仕入の確保

・店舗における省エネ推進、省エネ設備の導入

・お届け事業、ECサービスの拡大

<機会>

・夏季の高温によりお客様の外出頻度が低下し、お届け事業・ECサービスの需要が増加

 

2. 事業インパクト

・炭素税の影響(2030年)

項目

事業インパクト

国内コンビニエンスストア事業

135億円

海外コンビニエンスストア事業

142億円

スーパーストア事業

79億円

事業インパクトの合計金額

356億円

<前提>・炭素税額 :135ドル/トン-CO₂(IEA「World Energy Outlook2022」の最大金額)

    ・為替レート:140.67円/ドル(24年2月期決算時に使用したレートに合わせています)

 

 IEA「World Energy Outlook 2022」を参考に2030年時点の炭素税額を135ドル/トン-CO₂と設定し、最大金額でインパクトを試算。環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』に掲げる目標に基づいた取り組みを進めることで2030年の炭素税額を大幅に削減でき、更に、2050年目標であるCO₂排出量実質ゼロを実現することで、最終的に炭素税の影響はなくなると見込んでおります。

 

③ リスク管理

 当社グループの全社的なリスク管理体制の中に、気候変動に関するリスクも含まれています。

リスク管理の詳細は、後記「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 環境宣言「GREEN CHALLENGE 2050」の4分野の指標・目標及び進捗は以下のとおりです。

 

0102010_002.png0102010_003.png

  店舗運営に伴うCO2排出量の削減率(2013年度比)※1        オリジナル商品で使用する容器の環境配慮型素材の使用比率※2

 

0102010_004.png0102010_005.png

  食品廃棄物の発生量※3                      持続可能な食品原材料の使用比率※5

 

0102010_006.png

  食品リサイクル率※4

 

※1 株式会社セブン-イレブン・ジャパン、7-Eleven, Inc.、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、株式会社シェルガーデン、アイワイフーズ株式会社、株式会社赤ちゃん本舗、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ、株式会社ロフトの9社の合計値

※2 オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する容器の環境配慮型素材(バイオマス・生分解性・リサイクル素材・紙など)の使用比率。算出対象はオリジナル商品を取扱う7社(株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、7-Eleven, Inc.、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、アイワイフーズ株式会社、株式会社赤ちゃん本舗、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ)

※3 売上百万円あたりの食品廃棄物発生量。算出対象は食品関連事業会社5社(株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、株式会社シェルガーデン、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ)

 *7-Eleven, Inc.においては、正確な数値を算出する準備を進めています。

※4 算出対象は食品関連事業会社5社(株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、株式会社シェルガーデン、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ)

 *7-Eleven, Inc.においては、正確な数値を算出する準備を進めています。

※5 オリジナル商品(セブンプレミアムを含む)で使用する食品原材料のうち、持続可能性が担保された原材料の使用比率。算出対象は食品関連事業会社5社(株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、アイワイフーズ株式会社、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ)

 *7-Eleven, Inc.においては、正確な数値を算出する準備を進めています。

 

 また、パリ協定における「1.5℃目標」という世界が目指す姿に向け、当社グループの店舗運営に伴うCO₂排出量を、2013年比で2030年に50%削減、2050年には実質ゼロにすることを定めており、Scope3を含めたサプライチェーン全体でのCO₂排出量についても削減を目指しております。

 

●店舗運営に伴うCO₂排出量(Scope1、Scope2) 実績

・2023年度 2,603千t-CO(前年度と比較して3.0%の削減)

*株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、7-Eleven, Inc.、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、株式会社シェルガーデン、アイワイフーズ株式会社、株式会社赤ちゃん本舗、株式会社ロフト、株式会社セブン&アイ・フードシステムズの9社の合計値

*2024年度CO排出量は2025年8月~9月に当社ウェブサイトで公開予定です。

 

●店舗運営を除いたサプライチェーン全体のCO排出量(Scope3) 実績

・2023年度 173,523千t-CO

*株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、7-Eleven, Inc.、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、株式会社シェルガーデン、アイワイフーズ株式会社、株式会社赤ちゃん本舗、株式会社ロフト、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ、株式会社セブン銀行の10社

 

(3) 人的資本・多様性

① ガバナンス

 人的資本に関するガバナンスは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

  当社グループでは、創業以来、「信頼と誠実」の精神に基づき、挑戦・革新をし続けることで、新たな価値を共創する人財を育成してきました。その人財こそが当社グループの成長の源泉であるという考え方は普遍的なものです。そして、これからの不確実性の高い社会にあって、当社グループが世界トップクラスのリテールグループへと進化していくうえで、より一層人財の成長に注力していくことは不可欠であることから、今後の成長戦略を踏まえて3つの人財政策を重点的に進めています。

 

人財政策1 挑戦・革新し続けるカルチャーの醸成

 より変化が激しく予測困難な時代に、お客様のニーズに応え続けるためには、今まで以上に従業員一人ひとりが主体性を発揮した挑戦を続けられるような組織づくりが求められます。創業の精神を持ちながら、時代の変化に果敢に挑戦するというカルチャーの醸成を進めていきます。

 

・グループ理念研修

 当社グループは、社是に掲げる「信頼と誠実」の精神への理解を深め、挑戦・革新し続けるカルチャーを継承・浸透するため、グループ各社で様々な取り組みを行っています。

 当社では、グループの人財育成拠点として2012年に開設した伊藤研修センターで「グループ理念研修」を実施しています。同研修センターに併設した史料室では、グループ理念や挑戦・革新の歴史を学ぶことができます。2024年度の「グループ理念研修」には、当社従業員をはじめグループ会社の従業員約550名が参加しました。今後も、カルチャーの浸透に向けた取り組みを強化していきます。

 また、グループ各社においても、事業特性や職務に応じて整備した多様な研修を行っています。例えば、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンでは入社後、トレーニングストア(直営店)にて、実際に経営者(店長、副店長)として店舗を経営する期間を設けており、日々の現場における基本姿勢に基づく行動実践に役立っています。

 

・多様な人財が活躍できる風土の醸成と女性活躍推進

 当社グループでは、多様な人財一人ひとりが活躍・挑戦できる組織づくりのため、DEIを推進しています。2012年にはダイバーシティ推進プロジェクト(現DEI推進プロジェクト)を設置し、国内グループ横断の施策方針を示して各社の活動をサポートしています。また、グループ主要会社で構成する推進連絡会や情報共有会を定期的に開催して方針や各社の活動の進捗・課題を共有しており、好事例のスピーディーな水平展開を図っています。

 具体的な取り組みとして、世代間ギャップやアンコンシャスバイアスの解消を図る啓発活動や、LGBTQ+の理解促進など、様々な活動を行っていますが、現在、特に重点を置いているのが、女性の活躍推進です。2026年2月末までに女性執行役員比率、女性管理職比率(課長級、係長級)を30%とするグループ目標を設定しており、国内グループ各社で数値目標とアクションプランを策定しています。

 女性管理職候補者の育成を目的としたグループ横断研修「女性エンカレッジメントセミナー」では、経営方針やリーダーシップなどを学ぶ場を提供しています。経営陣からの応援メッセージやロールモデルとなる女性管理職の体験談を聞くことで、参加者の管理職への挑戦意欲が向上する効果も見られています。さらに、2022年からは、女性執行役員の登用を促進するため、「女性リーダーエンパワーメントセッション」も開始しています。

 また、北米の7-Eleven, Inc.では、すべての人が受け入れられ、尊重される環境を築くことが、企業理念の重要な柱のひとつとなっています。この理念を推進する主要な取り組みのひとつが、従業員主導のボランティアグループ「Associate Business Resource Group(ABRG)」です。ABRGはこの1年でメンバーを増やし、その活動をさらに広げてきました。また、才能ある社員を紹介する「Employee Spotlights」、「キャリア開発の機会」、「継続的な対話」といったプログラムを継続的に実施することで、従業員の多様な才能を社内全体で共有しています。

 

人財政策2 働きがい・働きやすさの向上

 従業員の主体性が十分に発揮できる環境と、それを実感できる働きがい・働きやすさの向上を目指しています。成長戦略の実現に向けては多様な従業員の活躍が欠かせませんが、それには従業員一人ひとりの価値観やワークライフバランスに合わせたきめ細かな対応と制度拡充が必要になると考えています。

 

・経営陣とのコミュニケーション促進

 グループ各社では、従業員と経営陣とのダイレクトなコミュニケーションの場を大切にしています。社長とのカフェミーティングや役員とのダイアローグセッションなどを通して、会社が目指す将来の方向性を理解し、従業員一人ひとりがありたい姿を明確にできるきっかけとなっています。

 

・従業員の健康促進

 当社グループでは、健康維持・未病、健康増進に向けて、定期健康診断の二次検診受診率の向上に向けた取り組みの推進のほか、健康保険組合との共同でのウォーキングイベントの定期開催、一定の年齢を迎える従業員への「人間ドックを無料で利用できる制度」の運用など、様々な取り組みを実施しています。これらの活動を通じ、従業員一人ひとりの健康意識は向上傾向にありますが、2024年春期の健康診断においてBMI値25以上の割合は男性:39.7%、女性:28.7%であり、今後も継続して改善の必要があると考えています。

 健康・運動習慣が浸透するよう、グループ一丸となって健康増進支援に取り組んでいきます。

 

・ワークライフバランスを応援する制度の充実

 当社グループでは、出産・育児、介護などのライフイベントの変化があっても安心して勤務を継続できるよう、様々な制度を設けています。

 当社グループ独自の育児休暇制度として、未就学児がいる従業員を対象にした、年に5日間の特別休暇制度があります。子どもの入園式や卒園式、運動会といった行事への参加など、育児全般を理由に取得できるため、導入当初から多くの従業員が利用しています。

 また、グループ各社でオンラインセミナーを開催するなど、男性従業員の家事・育児参画を促進する様々な施策を実施しています。

 今後も、従業員一人ひとりが、働きがい・働きやすさを実感できる制度の拡充を目指していきます。

 

人財政策3 戦略実現のための人財育成・採用

 今後「世界トップクラスのリテールグループ」になるためには、従業員の意識変革を図るとともに、専門知識・経験を持った人財との融合を促進することが不可欠です。グローバル領域へと歩みを進めながら、グループを牽引していく人財の育成と採用を強化していきます。

 

・グローバル人財の育成

 当社グループでは、「セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略」という2030年に目指すグループ像を掲げ、グローバル規模で当社ブランドの価値向上に挑戦しています。

 その実現に向けて、グローバル人財の育成施策を強化・加速しており、2021年より開始した英語研修プログラム「Seven-Eleven English Training」や、海外短期留学プログラムもその一つです。また、グループ各社においても、社内研修や自己啓発支援制度などの成長支援策を用意しており、グローバル人財の育成を推進しています。

 

・経験者採用の実施

 当社グループでは、専門知識と経験を有する外部人財の採用(経験者採用)を実施しています。世の中の急速な変化とともに労働市場も日々変化しており、多様な人財が、培った知識と経験を活かし、それぞれの場面でその能力を十分に発揮できるよう、グループ各社では人事制度の見直しを進めています。また、入社区分や国籍、性別などにかかわらず、公平な目で能力・成果を評価し、管理職への登用を行っています。

 今後も幅広く人財を採用し、当社グループの強みを理解した「価値を共創する人財」として、「食」のバリューチェーンの構築と事業のグローバル化を推進し、北米やアジア各国で活躍することで、さらなるグループの成長につなげていきます。

 

効果測定の仕組み(カルチャー&エンゲージメントサーベイの実施)

 人財政策1「挑戦・革新し続けるカルチャーの醸成」、人財政策2「働きがい・働きやすさの向上」の達成度合いを測る指標として、カルチャー&エンゲージメントサーベイのスコアを用いています。

 当社グループでは、各組織のカルチャーとエンゲージメントの状態を客観的・定量的に確認し、より良い組織づくりに活かすため、「カルチャー&エンゲージメントサーベイ」を毎年1回実施しています。このサーベイでは、「カルチャー」に関する独自の調査項目(誠実さ、主体性の尊重、挑戦の推奨、風通しの良さなど)のスコアと「エンゲージメント」に関するスコアを算出し、それらの状況を可視化しています。

 2024年度は、国内26社、約59,000名を対象にサーベイを実施し、カルチャーの設問に対して肯定的な評価をした割合は70%、エンゲージしていると回答した割合(エンゲージメントスコア)は50%でした。

 サーベイ結果を踏まえて組織カルチャーや従業員エンゲージメントを改善するため、当社グループでは2021年より「エンゲージメント向上委員会」を設置しています。同委員会では、サーベイ結果を分析・課題整理したうえで、カルチャー醸成やエンゲージメント向上を図る施策を立案するとともに、その実行状況を定期的にモニタリングしています。また、サーベイ結果・施策実行状況は当社取締役会及びグループ各社の経営会議などへも報告しています。

 エンゲージメント向上に向けて、グループ各社における従業員と経営陣の対話や、社員食堂の改装、ワークライフバランスを支援する制度の導入など、従業員の声も活かしながら継続して施策を実施していきます。

 

③ リスク管理

 人的資本に関するリスク管理は、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

④ 指標及び目標

 当社グループでは、上記の取り組みにおいて、連結グループに属する全ての会社を含む記載は困難なため、指標に関する実績及び目標は提出会社と一部の連結子会社を含むものを記載しています。

 

(a) カルチャー&エンゲージメントサーベイ結果

 カルチャーの設問に対して肯定的な評価をした割合、エンゲージしていると回答した割合を示しております。

年度

カルチャー(職場)

エンゲージメント(会社)

2024年度

70%

50%

※ 国内グループ26社対象

 

(b) 女性執行役員比率・女性管理職比率

 

女性執行役員比率※1

課長級※2

係長級※2

2020年度

実績

13.6%

22.1%

32.4%

2021年度

実績

14.4%

23.3%

30.4%

2022年度

実績

15.7%

24.1%

36.8%

2023年度

実績

21.2%

27.3%

35.3%

2024年度

実績

19.2%

29.0%

34.6%

2026年2月末

目標

30.0%

30.0%

30.0%

※1 2020~2023年度は5月末現在、2024年度実績は2月末現在。グループ4社(株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル)合計。ただし、2022年度以前は株式会社そごう・西武、株式会社ヨークを含んでおります。

※2 毎年2月末現在。グループ8社(株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、株式会社ロフト、株式会社赤ちゃん本舗、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ、株式会社セブン銀行)合計。ただし、2022年度以前は株式会社そごう・西武を含んでおり、株式会社ロフトは含まれておりません。

 

 

(c) 男性育児休業取得率

 

2020年度

6.1%

 

2021年度

7.4%

 

2022年度

26.3%

 

2023年度

47.5%

 

2024年度

50.7%

※ グループ8社(株式会社セブン&アイ・ホールディングス、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル、株式会社ロフト、株式会社赤ちゃん本舗、株式会社セブン&アイ・フードシステムズ、株式会社セブン銀行)合計。ただし、2022年度以前は株式会社そごう・西武を含んでおり、株式会社ロフトは含まれておりません。

 

3【事業等のリスク】

 当社は、企業価値を向上させ、当社グループの持続的発展を図るため、実効性を伴う効果的な手法に基づいて各種リスクの適切な管理に取り組んでいます。この取り組みにより認識されたリスクのうち、リスクが顕在化する可能性の程度や時期及び影響の程度を踏まえて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下に記載しています。ただし、これらは、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、これらのリスクはそれぞれ独立したものではなく、ある事象の発生により、他の様々なリスクが増大する可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

<グループリスク管理体制>

当社グループは、当社及び当社グループ各社において、リスクマネジメント委員会等の会議体を設置しています。リスクマネジメント委員会は、原則半期に1回開催され、各リスク管理統括部署より自社のリスク管理状況に関する報告を受け、リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議し、今後の方向性を定めています。

一方、各種リスクについては、当社リスク管理統括部署を主体とするグループ横断の会議体等を通じて、該当するリスクに係る対応の方向性や各社のリスク低減の取り組み、さらにリスクが顕在化する兆候を示す社内外の各種事例等の共有を図っています。

 

0102010_007.png

 

<リスク管理のPDCA>

当社グループでは、グループ内外の情報をもとに、「網羅的なリスクの洗い出し」「リスクの評価と改善策の立案」「優先順位付け」「改善活動とモニタリング」を実施しています。

また各社監査室は、定期的な内部監査を通じ、独立した立場で、リスク管理が効果的に実施されていることを検証し、各部署に対し、必要に応じてリスク管理向上のための助言を行っています。

0102010_008.png

 

<グループ成長戦略とリスク状況>

当社グループは、中期経営計画(2021-2025年)において、「食」の強みを軸とするグループ成長戦略を策定し、これらの成長戦略を支える基盤として全社的なリスク管理を推進しています。以下に、成長戦略を構成する主要事業に関連するリスク状況を記載します。

 

① 北米コンビニエンスストア事業

7-Eleven, Inc.は、グループのさらなる成長を牽引すべく、オリジナル商品の強化、デジタル化とデリバリー施策の促進、効率性とコストリーダーシップの向上、店舗ネットワークの拡大と強化を推進しています。

成長戦略の柱となるオリジナル商品の強化では、取扱いカテゴリーの拡大と新商品開発、食のバリューチェーンを強化し、品質と品揃えの向上を目指していますが、物流の混乱や食品安全の問題、ファスト・フードチェーン等との競争などの問題が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

デジタル化とデリバリー施策では、「7Rewards(ロイヤリティプログラム)」の活用や、「7NOW」のデリバリーネットワークの拡大などを推進していますが、情報セキュリティ問題の発生や、お客様のニーズに応えられない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

効率性とコストリーダーシップの向上に関しては、段階的なコスト削減と、効率性向上のため、独自の単品管理POSシステムとガソリンシステムをSpeedway店舗へ導入し、売上・荒利の拡大と店舗運営効率の向上を図っていますが、事業環境や競争状況の変化により、成長機会や効率性向上効果が得られない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

北米コンビニエンスストア事業では、M&Aによるシェア拡大、店舗運営の強化と新標準店舗の展開に取り組んでいます。しかしながら、競争の激化や環境法規制の変更、人財確保の難航化、訴訟、治安問題、気候変動・災害影響などが、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② グローバルコンビニエンスストア事業

7-Eleven International LLCは、7-Eleven, Inc.及び株式会社セブン‐イレブン・ジャパンとの連携を強化し、2030年までに世界30カ国・地域、10万店体制という長期目標の達成を目指しています。新規市場への進出を加速していくために、市場選定からパートナー選定、進出モデル決定までの戦略的プロセスを運用し、既存展開国に対しては市場間業績格差の改善とオリジナル商品の構成比を高める「食のコンビニ」への転換を支援しています。また、戦略的投融資による重要市場の事業成長を加速させています。

しかしながら、海外での事業展開には、政治的・社会的不安定、為替・貿易等の経済変動、環境やデータ保護をはじめとする法規制の変更・強化などが想定されます。これらの要因により、当社の成長力が制限され、当初想定した効果や利益が実現されない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 国内コンビニエンスストア事業

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、当社グループの成長基盤である国内コンビニエンスストア事業をさらに成長させていくために、その原動力である変化対応力を一層強化しています。「食」の領域では、消費の二極化に対応し、高品質で付加価値の高い商品から、定番商品、経済性を感じられる商品までを、松竹梅の価格戦略をもって展開しています。味・品質へのこだわりはそのままに手頃な価格で商品を提供する「うれしい値!宣言」に取組み、さらなる来店誘因を図っています。サービス面におきましては、デリバリーサービス「7NOW」を全国推奨し、新たな体験価値を提供しています。社会課題である食品ロス等の環境問題に対しては、「エコだ値」を中心に取組んでいます。店舗展開についても、街づくりを目的とした出店基準のさらなる厳格化により質の高い出店を行うとともに、不採算店の閉店と立地移転を継続して実施しています。また事業所や閉鎖商圏に対して行政と連携しコンパクト店舗を出店して、買い物が困難な方々への買い場を提供しています。さらに、未来の都市生活を展示し健康を大切にした生活を体験できる店舗として、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)へ出店しています。これらの施策によって「経済的価値」を提供するとともに、社会課題解決の一助となる「社会的価値」の追求を行っています。

しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しており、新たな価値を提供できなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ スーパーストア事業

スーパーストア事業では、独自の財務規律のもと、独立した企業体として成長の方向性を自ら定め、従業員が事業の成長に強く関与できるグループ事業構造の実現を目指しています。収益性の改善に加えて、店舗改装やこれまで投資してきたグループ共通インフラを活用した食品製造小売業への挑戦など、売上成長を伴った競争力のある企業体となるべく抜本的施策を実行しています。

しかしながら、スーパーストア事業の構造改革が計画どおりに進まない場合、当初想定した効果が得られず、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 金融関連事業

金融関連事業については、ATMプラットフォーム事業の拡大と電子マネー事業及びクレジットカード事業に引き続き注力しお客様の利便性に資する小売ならではの金融商品・サービスの開発・展開を推進しています。金融・決済関連システムのセキュリティと情報管理には十分な対策を講じていますが、外部攻撃の多様化や内部の人為ミス、業務委託先の管理不備などによる情報流出や改ざんのリスクは完全には回避できるものではなく、被害の規模によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、これらのグループ重点戦略に関しては、独立社外取締役が過半数を占める取締役会において進捗モニタリングを実施しています。

 

<リスク評価プロセス>

当社グループの内部環境の変化に加え、地政学リスクやESG関連リスクの高まりといった世界的な潮流の変化や、消費者の価値観の変化、ネット通販の拡大など事業環境の様々な変化をとらえる必要があります。特に近年では、先行き不透明な国際情勢など、企業活動を取り巻く環境の不確実性を高める要因が増大しています。

このような環境下において、これまでのリスク管理で主に対象としていた内部環境・短期的視点のリスクだけでなく、外部環境・中長期的視点のリスクを加え、内外環境変化に対応できるようリスク分類を整備・拡充しています。さらに、リスクが顕在化した場合の業績に与える影響度の評価観点として、これまでの定量的な要素に、事業継続や当社グループのブランドイメージの毀損などの定性的な要素を追加することで、各種リスクの評価・分析の多角化・高度化を図っています。

 

0102010_009.jpg

 

また、各種リスクを主に重要性、共通性、顕在性、効率性の観点で総合的に判断の上、4つのリスククラスに分け、それぞれのリスククラスに応じて当社と当社グループ各社における役割と責任を明確化し、各種リスクの改善活動をその主体者が実施することで、グループ全体のリスク管理の実効性を高めています。

 

リスククラス

定義

役割・責任

改善活動

モニタリング

経営視点リスク

中長期的に当社グループへの影響度が高く、かつグループ全体で統一した考え方で対応すべき性質を持つリスク

当社

当社

グループ横断リスク

グループ全体に共通し、かつリスクが相対的に高く、効率性の観点から横断的に対応すべき性質を持つリスク

当社

当社

当社モニタリング対象リスク

リスクが相対的に高く、当社グループ各社で個別に対応すべき性質を持つリスク

各社

当社

各社PDCA対象リスク

上記以外の、当社グループ各社で個別に対応すべき性質を持つリスク

各社

各社

 

 

<当社グループの主要なリスク>

各種リスクの評価・分析の結果、当社グループの成長戦略、業績及び財務状況に影響を及ぼすことが想定される重要なリスク事象は以下のとおりです。

 

1. 中長期視点リスク(経営視点リスク)

中長期的に想定される外部環境の変化事象を抽出し、当社グループの成長戦略や重点課題、事業内容、ステークホルダー等の関連性に基づいて評価の上、将来発生した際に当社グループの成長戦略や持続可能性に中長期的な影響を与える変化事象を経営視点リスク(エマージングリスク)に該当する事象として特定しています。各種リスクについては、当社のリスクオーナー(主管部署)を選定の上、想定シナリオ及び対策の検討を進めています。また、これらの変化事象の推移を定期的にモニタリングし、随時更新と対策の見直しを行っています。

想定するシナリオの発現をモニタリングすることで、リスクの発生を早期に検知し、リスク対策への迅速な着手と当社グループへの影響の抑制を図ります。なお、リスク対策については、当社グループの成長戦略や重点課題等を考慮に入れた経営レベルでの判断(リスクテイク/リスクヘッジ)を引き続き行っていきます。

現時点で特定している経営視点リスク(変化事象)は下表のとおりです。

 

No

分類

経営視点リスク(変化事象)

想定リスクシナリオ

1

政治

政治変化、混乱、機能不全

出店している国において、政権交代や政策転換に伴い法規制の変更や強化が行われることで、営業許可や税制、関税、為替レートなどに影響を及ぼす可能性があります。また、政治の混乱や機能不全、経済危機などにより社会的な不安定が生じ、市場の需要や競争環境が変化する可能性があります。

2

紛争等による安全保障の崩壊

出店している国において、紛争の発生や、テロ、暴動、誘拐などの犯罪に巻き込まれることで、お客様や従業員等の安全や健康が脅かされる可能性があります。また、店舗や物流施設、商品供給網、商品在庫などの資産が破壊、略奪されることで、事業の継続や回復が困難になる可能性があります。

3

経済

ガソリン需要の低下

ガソリン車の販売規制や電気自動車(EV)等への移行が進む各国において、将来的にガソリン販売から得られる収益が減少し、給油所が併設された店舗への来客数も減少する可能性があります。これに伴い、事業の見直しが必要となり、関連法規制への対応やEV充電設備等の増設などにかかるコストが発生する可能性があります。

4

社会

食料危機

自然災害、気候変動に関連した異常気象、パンデミック、病害虫、暴力的な紛争など、多岐にわたる原因により、世界全体又は特定の地域で原材料の供給が不足し、商品の安定的な供給が困難になる可能性があります。

5

人財/人手の不足

賃金インフレーション、労働環境の整備不全、人口動態の変化などにより、農業・水産業・畜産業等の生産者、食品工場、配送業務、店舗業務従事者など、人財/人手の確保に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

6

人権尊重に対する要請の高まり

あらゆるステークホルダーの人権尊重に対する適切な対応ができない場合、消費者や社会からの反発を招き、商品の供給やサービスを停止せざるを得ない状況に陥る可能性があります。

7

技術

物流・店舗運営の生産性を向上

させる技術革新(AI含む)の加速

自動運転や店舗の無人化など、様々な技術が年々進化しています。これら新しい技術の導入により、業務の合理化や効率化が進む一方で、法規制の遵守、事業運営の変更への対応、設備投資に係るコスト増加などが発生する可能性があります。

8

環境

脱炭素化の加速

当社グループにおける脱炭素化の取り組みが進まなかった場合、事業運営に必要なエネルギーの調達に関するコスト、税金や排出権取引等の負担が増加する可能性があります。さらに、消費者や社会からの信頼や評価を失い、事業収益に影響を及ぼす可能性があります。

9

食のサプライチェーンにおける

環境負荷低減の要請の高まり

食のサプライチェーン全体を通じた環境負荷低減の取り組みが進まなかった場合、生産方法や配送手段、容器包装素材などの変更に伴うコストの負担が増加する可能性があります。さらに、消費者や社会からの信頼や評価を失い、事業収益に影響を及ぼす可能性があります。

10

食品ロス削減の要請の高まり

食品の需要予測や在庫管理が十分に機能しなかった場合、食品ロス削減の取り組みが進まないことによる廃棄・返品に係るコスト増加や環境負荷増大が発生する可能性があります。さらに、消費者や社会からの信頼や評価を失い、事業収益に影響を及ぼす可能性があります。

上記の経営視点リスク(変化事象)の一部については、リスクオーナー(主管部署)を選定の上、各種取り組みを推進しています。

以下に取り組み内容の事例を記載します。

 

「6 人権尊重に対する要請の高まり」の主な取り組み事例(リスクオーナー:人権推進プロジェクト)

・人権方針の策定及び推進

・人権デュー・ディリジェンスの実施

・人権への影響評価(人権リスクの特定及び人権リスクマップの作成)

・予防是正措置の実施(従業員への教育研修、お取引先様への周知活動、社内環境・制度の整備)

・モニタリングの実施(カルチャー&エンゲージメントサーベイ、お取引先様アンケート、グループオリジナル商品の製造工場へのCSR監査)

・グリーバンスメカニズムの構築と救済措置(グループ共通の「従業員ヘルプライン」「お取引先専用ヘルプライン」「監査役ホットライン」)

・カスタマーハラスメントへの取り組み(対応指針・マニュアルの策定、研修実施)

 

「7 物流・店舗運営の生産性を向上させる技術革新(AI含む)の加速」の主な取り組み事例

(リスクオーナー:グループDX本部)

・生成AIに対する理解の促進(概論研修・プロンプト研修による教育)

・各部門におけるDX人財の強化

 

「8 脱炭素化の加速」の主な取り組み事例(リスクオーナー:サステナビリティ推進部)

・再生可能エネルギー調達拡大を目的とした新会社の設立

・従業員による省エネの推進(グループ横断の「省エネコンテスト」開催など)

・店舗における省エネ・創エネ設備の導入促進(大規模太陽光発電の導入など)

・「再エネ100%」店舗運営の実証実験など

・太陽光、風力等の再生可能エネルギー発電所からの専用電力の長期的な調達(オフサイトPPAなど)

 

「9 食のサプライチェーンにおける環境負荷低減の要請の高まり」の主な取り組み事例(リスクオーナー:サステナビリティ推進部)

・取扱量・自然への依存・影響の視点から重要な原材料を特定し、順次産地のリスク・機会を分析・対応策の立案

・持続可能性が担保された商品の調達

・環境配慮型容器包装等の新素材、最新技術や法規制の最新動向、当社グループへの影響をモニタリング

・環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』の取り組みをサプライチェーン全体で一部共有・展開

 

「10 食品ロス削減の要請の高まり」の主な取り組み事例(リスクオーナー:サステナビリティ推進部)

・サプライチェーン全体での取り組み

・食品廃棄物削減に向けた各社の取り組み(「エコだ値(値下販売)」の推進、フードバンク団体への寄付など)

・環境循環型農業の取り組み(株式会社セブンファームの設立)など

 

2. 短期視点リスク

 当社及び当社グループ各社が洗い出した各種リスクのうち、影響度や発生可能性等を考慮し、総合的な判断により、当社が管理すべき重要なリスク事象を選定し、各種リスクの状況やリスク対策の実行を定期的にモニタリングしています。

 重要なリスク事象のうち、当社グループの成長戦略への影響が大きく、その共通性、顕在性、効率性の観点から横断的に対応すべき性質を持つ「グループ横断リスク」を下表のとおり選定しています。

 

リスク内容

影響度

発生可能性

食品の品質表示、衛生管理に関するリスク

ソーシャルメディア炎上リスク、危機管理広報に関するリスク

地震・津波・噴火に関するリスク

サイバーセキュリティに関するリスク

反社会的勢力対応に関するリスク

 

 グループ横断リスクを含む、当社が主体的に管理する重要なリスク事象の主なものを以下に記載しています。

 

① グループ経営リスク

主なリスクの内容

リスククラス

グループ経営戦略・成長戦略に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、2023年3月公表のグループ戦略の再評価を踏まえて、2030年に目指すグループ像を「セブン‐イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する、「食」を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」としています。その達成に向けた各種施策を遂行する過程において、不適当な経営資源の配分、当初想定した「食」の強みの毀損、国内外コンビニエンスストア事業戦略の停滞等が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・当社ガバナンス体制の継続的な見直しによる経営の安定化とモニタリング機能の強化

・独立社外取締役が過半数を占める取締役会におけるグループ重点戦略の進捗モニタリング

・取締役会議長とCEOの役職分離による経営戦略の議論及び進捗モニタリングの実効性担保

 

主なリスクの内容

リスククラス

M&A、売却あるいは業務提携の失敗に関するリスク(投資回収)

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループでは、事業の拡大のため、M&A等の戦略的投資を行っています。買収時におけるデュー・ディリジェンスの不足等により、PMI(Post Merger Integration)がうまく進まず、又は当初想定したシナジー効果を実現できず、減損損失が発生する可能性があります。また、これらに起因して、企業価値の低下や、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・買収時におけるデュー・ディリジェンスの確実な実施

・統合プロセスの定期的なモニタリング

 

 

 

主なリスクの内容

リスククラス

M&Aに関するリスク(買収防衛)

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社の企業価値を毀損するような当社に対するTOB(株式の公開買付)が成立した場合、新たな株主や経営陣の支配下で企業の戦略方針や企業文化が変更となり、経営陣や幹部が変更されることで従業員の不安・不満を引き起こし、業務プロセス・ITシステムの統合に多大な負荷と様々な問題が生じる可能性があります。また、これらに起因して、企業価値の低下や、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・業績の更なる向上やコーポレート・ガバナンスの強化等を通じたグループ企業価値の最大化

・「財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」「買収への対応方針」の策定

 

② 事業リスク

主なリスクの内容

リスククラス

ビジネスモデルに関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、日本及び米国において主要な事業を行うほか、世界各地で事業を展開しています。地域の特性を重視した商品開発と品揃えを強化し、お客様のニーズに的確に対応するべく、販売戦略に基づいて様々な分野のお取引先様と共同で商品開発を行うほか、各社アプリ等を通じて様々なデータの収集・分析を行い、販促活動等を効果的に行っていますが、日本、米国及び事業を展開している国又は地域の景気や個人消費の動向などの経済状態の悪化や、お客様や市場のニーズに合わせた商品やサービスを提供できないことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・独立社外取締役が過半数を占める取締役会における事業会社の経営状況モニタリング

・「食」に関するシナジー、協働体制の強化

・市場、及び顧客ニーズの調査に基づく価格戦略の見直し

 

③ 開示・ブランドリスク

主なリスクの内容

リスククラス

ソーシャルメディア炎上リスク、危機管理広報に関するリスク

グループ横断リスク

想定リスクシナリオ

お客様や従業員の不適切な行動や、未公表情報のSNS投稿に批判が殺到し、各種マスメディアを通じて拡散することで、当社グループの企業イメージが毀損する可能性があります。また、適切な情報開示の遅れや失敗により、当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

対策

・SNSに対する従業員教育、危機意識強化(e-ラーニング、SNSリスク関連情報の定期発信)

・リスク管理担当者、広報担当者、SNS運用担当者向けのリスク対策研修の実施

・外部専門会社を活用した、SNS・マスメディアの情報収集・早期検知・分析・調査・評価を実行する体制整備

・危機管理広報マニュアルの整備と周知

・当社及び当社グループ各社の連携体制強化(情報共有、初動対応)

 

主なリスクの内容

リスククラス

コーポレート・ブランド管理に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

企業理念にそぐわないPRやマーケティング戦略、公式アカウントでの不適切な発信により、ブランドイメージが毀損する可能性があります。また、SNSでの炎上、各種マスメディアでの取り上げにより、お客様やお取引先様からの批判 が発生し、当社グループの事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。

対策

・SNS運用ガイドラインの整備、チェック部門による文書審査、コンプライアンスプログラムに基づく

業務適切性の検証など、未然防止の体制を整備

・SNS炎上事例及び対策を学ぶセミナー、情報発信リスク研修の開催

 

 

④ 人事・労務リスク

主なリスクの内容

リスククラス

労働関連法令の違反、従業員の安全・衛生に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、「セブン&アイグループ企業行動指針」で定める行動基準に基づいて、労働安全衛生や労働災害防止のための対策を講じるとともに、従業員が健康に働けるための仕組みの導入や支援を行っています。しかしながら、従業員の就業管理の不備により労働基準法違反(未払い残業代、年次有給休暇の未取得等)で行政処分(業務停止命令、罰金等)が発生し、また、労働安全衛生の対策不備による怪我・疾病、過重労働等による身体・精神の健康被害が発生した場合、業務運営の適切性や効率性が失われ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・就業管理システムによる就業時間(時間外労働)、休暇取得状況の管理

・産業医による職場巡視

・安全衛生委員会による情報周知

・従業員のストレスチェック

 

⑤ 財務・経理・会計リスク

主なリスクの内容

リスククラス

金利変動・為替変動に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、金利・為替等の変動リスクの軽減、資金調達コストの低減、将来のキャッシュフローを最適化するために為替予約及びスワップ等のデリバティブ取引を行っていますが、金利の変動は受払利息や金融資産・負債の価値に影響を与え、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

海外のグループ会社の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されます。また、当社グループの販売商品の中には、為替変動の影響を受ける海外開発商品があるため、為替相場の変動により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・為替予約及びスワップ等のデリバティブ取引

・継続的なモニタリング

 

主なリスクの内容

リスククラス

固定資産の減損に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、連結総資産に占める有形固定資産やのれん等の割合が高く、店舗等の収益管理を厳格に実施しています。しかしながら、今後、店舗等の収益性が悪化する、保有資産の市場価格が著しく下落すること等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・出店審査基準の設定、定期的なモニタリング

・資産購入基準の設定、保有資産の市場価格の定期的なモニタリング

 

⑥ 法務・コンプライアンスリスク

主なリスクの内容

リスククラス

競争法(下請法又は優越的地位濫用規制違反)に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、日本及び米国をはじめとする世界各地で、それぞれの国・地域における公正競争に関する法規制を遵守し、事業を遂行しています。これら法規制の遵守状況をモニタリングし、必要な対応を適切に実施するべく、体制を整えていますが、代金減額や支払い遅延、従業員派遣要請などの不適切な取引行為などの下請法違反や優越的地位濫用規制違反により、公正取引に関する行政機関による指導や勧告、公表、排除措置命令、課徴金納付命令、刑罰などの措置が取られた場合、当社グループの事業活動や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・自主点検、モニタリング、お取引先様アンケートの実施、お取引先専用ヘルプラインの設置

・e-ラーニング、公正取引に関する研修を通じた社員教育(取引ルールの遵守と従業員の意識向上)

 

 

主なリスクの内容

リスククラス

知的財産権に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループの商品やサービスが、第三者の保有する知的財産権を侵害することにより、紛争等が発生し、使用差止に伴う収益減少や損害賠償義務などが発生する可能性があります。他方で、当社グループの商品やサービスのデザイン、技術などが第三者に模倣され、当社の知的財産権が侵害されることにより、市場競争力やブランドイメージの低下などを招く可能性があります。これらは、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・新商品や新サービスの提供に際して第三者の知的財産権を調査する体制の整備

・当社の知的財産権のパトロール(侵害行為の監視活動)の実施

・知的財産教育(e-ラーニング、勉強会等の実施)

 

主なリスクの内容

リスククラス

反社会的勢力対応に関するリスク

グループ横断リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、「セブン&アイグループ企業行動指針」に基づいて反社会的勢力と関わりをもたないとの方針を掲げていますが、反社会的勢力との取引が明らかになった場合、関係法令に基づく公表や罰則などの制裁や行政機関からの処分、金融機関との取引停止、信頼できるお取引先様との契約解除などが発生する可能性があります。また、対処方法を誤ると、SNSやマスメディアに取り上げられることにより、グループの企業イメージが失墜する可能性があります。これらは、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・グループ共通の反社チェック、及び定期的なモニタリングの体制構築

・反社会的勢力との取引判明時の対応マニュアル策定

・警察外郭団体との情報連携

 

⑦ 情報セキュリティ・システムリスク

主なリスクの内容

リスククラス

サイバーセキュリティに関するリスク

グループ横断リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、小売業を中心とする各種事業において、お客様に新たな価値やサービスを提供するために、お客様からご提供いただいたデータや営業秘密情報などの重要情報を取り扱っています。これらの情報を守るため、サイバー攻撃を経営における重大なリスクとして位置付け、サイバーセキュリティ対策の強化に努めています。しかしながら、標的型メールやランサムウェアによる特定のターゲットへの攻撃、DDoS攻撃をはじめとするシステムに負荷をかける攻撃、テレワークやオンライン会議の脆弱性を狙う攻撃など、攻撃の手法は日々高度化・巧妙化しており、外部からのサイバー攻撃を受けて、重要情報の漏えいやデータの破壊・改ざん、お客様のアカウントの乗っ取り、システムやサービスの中断など、お客様や社会に著しい影響を及ぼす可能性があります。

対策

・7&i CSIRT(7&i Computer Security Incident Response Team)による迅速な対応、予防及び対策の推進

・SOC(Security Operation Center)によるセキュリティリスクの検知及び脅威情報の分析・対応

・情報セキュリティに関する外部専門団体との連携

・情報システムのセキュリティ対策や脆弱性に関するセキュリティレビュー・脆弱性診断

・グループ各社のインシデント対応担当者向けのサイバーセキュリティ教育及び訓練

・全従業員に対する定期的な標的型メール訓練

・階層別(取締役、管理職、一般職)情報セキュリティ教育プログラムの実施

 

 

 

主なリスクの内容

リスククラス

システムに関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、事業活動を遂行するために多数のシステムを保有しています。各システムの安定稼働が求められる中で、情報システムに関するリスクを経営上重大なリスクとして位置付けて対策の強化に努めています。しかしながら、開発時の品質管理の不足、システム設定の不備、運用における人為的ミス、クラウドサービスをはじめとする外部サービスの予期せぬ停止、大規模地震や風水害などの自然災害などにより、情報システムに障害が発生して安定稼働が損なわれた場合、財産の損害、事業運営やサービスの中断などお客様や社会に著しい影響を及ぼす可能性があります。

対策

・ITサービスの企画から開発の各工程におけるレビューの徹底

・システム開発スケジュールとリソース管理の強化

・新たな開発技法の知識や技術を持つ人財の確保

・システム設定の不備の監視やセキュリティ対策ソフトの導入

・クラウドサービスの選定評価

・サーバやネットワークなどの主要な情報システムの冗長化

・ハードウエアやネットワークなどの障害監視の強化

・重要設備や機器の防護措置の強化

 

 

主なリスクの内容

リスククラス

個人情報に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループでは、小売業を中心とする各種事業において、新たな価値やサービスを提供するために、お客様やお取引先様などの個人情報を取り扱っています。個人情報管理の重要性の高まりを受けて法令を遵守する対応が求められており、個人情報に関するリスクを経営上重大なリスクとして位置付けて対策の強化に努めています。しかしながら、内外環境の変化に対応した内部統制の整備不備、安全対策の不備、個人情報取り扱い時の人為的ミス、従業員による不正、委託先の管理監督不足などにより、個人情報の漏えい、滅失、毀損や法令違反などが発生した場合、財産の損害、事業運営やサービスの中断など、お客様や社会に著しい影響を及ぼす可能性があります。

対策

・「セブン&アイグループ個人情報保護方針」の策定と見直し

・個人情報保護法をはじめとする法規に対応した手続きの整備

・ISO27001等の規格に準拠した安全対策の整備

・従業員に対する教育や啓発

・委託先の管理監督の強化

・個人情報に関する事故発生時の緊急対応体制の整備

 

⑧ 品質リスク

主なリスクの内容

リスククラス

食品の品質表示、衛生管理に関するリスク

グループ横断リスク

想定リスクシナリオ

当社グループでは、関係法令の規制に基づき、お客様に安全かつ安心な商品を提供し、正確な情報を伝えるよう努めており、また、「セブンプレミアム」やグループ各社のオリジナル商品をさらに拡大して、新しい価値、上質の商品やサービスをお客様に提供し続けることに挑戦していますが、食品表示法違反や食品衛生管理の不備に関する事象などの重大な事故等が発生した場合には、当社グループの商品に対する信頼の低下、お客様への補償、商品回収等の対応コストの発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・お取引先様との共同による品質管理向上の取り組み、表示ミスや衛生管理不備等の重大事故対策を実施

・店舗の表示ミスや衛生管理不備を防止するための教育及び対策設備導入の推進

・HACCP研修、サプライヤー監査研修、各種e-ラーニング等の従業員教育・研修

・セブンプレミアム商品製造工場への自社・外部監査実施

 

 

⑨ サプライチェーンリスク

主なリスクの内容

リスククラス

安定供給の阻害に関するリスク(オペレーション要因)

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

当社グループの事業活動にとって、十分な品質の商品・原材料等を適時に必要なだけ調達することが不可欠であり、特定の地域・お取引先様・製品・技術等に大きく依存しないよう、その分散化を図っています。特に、気温上昇や降水・気象パターンの変化等の気候変動により、今後中長期的に農畜水産物の収量の減少や品質の低下、農産品の栽培適地や漁場の変化が生じる可能性があります。これら変化への対応として分散調達と一次生産者との収穫量向上に向けた協働等に努めていますが、気温上昇や気象パターンの変化等の気候変動などに伴う工場生産停止等により、仕入ルートの一部が寸断する可能性があります。また、物流における配送委託業者における燃料費高騰や人財不足により、サプライチェーンが寸断される可能性があります。将来的には、商品製造段階における電力をはじめとするエネルギー価格が、気候変動に伴う規制・政策・紛争などにより高騰した場合にも仕入価格が影響を被る可能性もあります。これらは、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

・代替のエネルギーや設備の確保、災害時対応マニュアルの整備と訓練

・市場動向のモニタリング、価格改定や高値入商品の開発、固定原価での原料調達など

・お取引先様の信用情報や資金繰りのモニタリング、特定の調達先に依存しないリスク分散

・物流コストの効率改善や配送委託業者との連携による配送の安定化

 

⑩ 災害・事件・事故リスク

主なリスクの内容

リスククラス

地震・津波・噴火に関するリスク

グループ横断リスク

想定リスクシナリオ

当社グループは、日本及び米国のほか、世界各地で事業を展開しています。また、ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループでは、大規模地震が、特に主要な事業の店舗等が集中している大都市圏で発生し、サプライチェーンの寸断や事業活動の停止、施設の改修に係る多額の費用の発生など、当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、事業活動の復旧が長期化した場合には、災害時の地域支援活動など、当社グループの社会インフラとしての役割を果たせない可能性があります。

対策

・大規模災害における事業継続計画(BCP)の整備・更新(BCPに基づき人命第一で行動できる体制の構築)

・訓練を中心とした、グループ全体の事業継続マネジメント(BCM)の構築

・従業員教育(防災e-ラーニング、研修など)

・大規模災害対策演習の実施(当社グループ各社との連携)

 

主なリスクの内容

リスククラス

風水害・台風・集中豪雨・竜巻・雷・豪雪に関するリスク

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

台風等による暴風、集中豪雨による河川の氾濫等が発生し、サプライチェーンの寸断や事業活動の停止、施設の改修に係る多額の費用の発生など、当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、事業活動の復旧が長期化した場合には、災害時の地域支援活動など、当社グループの社会インフラとしての役割を果たせない可能性があります。

対策

・事前情報収集や事前対策会議の開催

・大規模災害対策(BCP)の周知、及びBCPに基づき人命第一で行動できる体制の構築

・防水対策(防水壁・止水板の設置など)、防災訓練・教育の実施

・代替拠点の整備や物流センターのバックアップ体制の確立

 

⑪ 人権リスク

主なリスクの内容

リスククラス

人権侵害に関するリスク(従業員・お取引先様)

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

企業活動のグローバル化が進み、企業の人権への取り組みに対して、社会からの関心が高まっています。当社グループは、2021年10月、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関の宣言、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」などをもとに、「セブン&アイグループ人権方針」を定め、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、人権への悪影響を防止又は軽減することに努めています。また、「お取引先サステナブル行動指針」に基づいて、お取引先様の協力のもと、人権尊重の取り組みを推進しています。しかしながら、これらの方針を逸脱した行為が発生した場合には、当社グループに対するお客様及びお取引先様の信頼低下などにより、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対策

・従業員への教育研修(ハラスメント研修、e-ラーニング等)、お取引先様への周知活動

・カルチャー&エンゲージメントサーベイ、お取引先様アンケート、グループオリジナル商品の製造工場へのCSR監査

・内部通報制度(グループ共通の「従業員ヘルプライン」「お取引先専用ヘルプライン」「監査役ホットライン」の

設置)の利用促進による人権侵害等の早期発見・是正対応

 

⑫ 環境リスク

主なリスクの内容

リスククラス

気候変動、自然資本に関するリスク(物理リスク)

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

世界では気候変動、プラスチック問題などの様々な環境問題が顕在化しています。こうした社会の動きに対応するべく、当社グループは環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を策定し、「脱炭素社会」「循環経済社会」「自然共生社会」を目指すべき社会の姿と定めて、取り組みを推進しています。しかしながら、気候変動に起因する自然災害の発生増加や激甚化により、店舗や物流網が被害を受けることで、店舗運営に係るコストが上昇する可能性があります。また、自然災害の発生増加や激甚化、気象パターンの変化が、原材料調達を困難にする可能性もあります。さらに、食を中心としたリテールグループとして原材料、とりわけ農産物の生産で自然に高く依存していることから、自然資本の劣化、生物多様性の棄損等に起因する原材料の生産量の低下、原材料価格の高騰は、当社の原材料・商品の仕入れを困難にし、業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

対策

[気候変動・自然資本リスク全般への対応]

・環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』の策定(2019年)

・『GREEN CHALLENGE 2050』の4つのテーマに基づいたイノベーションチームの発足

 

[気候変動への対応]

・TCFD提言に基づいたシナリオ分析の実施と情報開示

・社会変化に基づいたシナリオの進化

・サプライチェーン全体でのリスク・機会への実質的な対応策の検討・実施

 

[自然資本への対応]

・自然資本方針の策定(2024年10月)

・TNFD提言に基づいた情報開示(2024年9月初開示)

・事業と自然への依存・影響評価、コーヒー豆のリスク・機会評価、対応策の検討

・分析対象となる原材料の拡大

 

 

 

主なリスクの内容

リスククラス

環境規制・環境法令対応に関するリスク(移行リスク)

当社モニタリング対象リスク

想定リスクシナリオ

世界では気候変動、プラスチック問題などの様々な環境問題が顕在化しています。こうした社会の動きに対応するべく、当社グループは環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を策定し、「脱炭素社会」「循環経済社会」「自然共生社会」を目指すべき社会の姿と定めて、取り組みを推進しています。一方で、当社グループは、エネルギー使用の削減やCO排出量の削減などの気候変動対策をはじめとして、食品廃棄物、プラスチック等の容器包装リサイクル、廃棄物処理などに関する様々な環境関連法令の適用を受けています。将来、これらの法規制は、例えば自然資本・生物多様性への関心の高まりにより、原材料調達に関わる規制が導入される可能性や、気候変動対策においては、温室効果ガス排出規制が強化されたり、炭素税などの新しい法規制・政策が導入される可能性があり、当社グループにとって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限される可能性があります。加えて、規制強化によって電力・ガスなどエネルギー費用が変動することで、店舗運営に係る費用が増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対策

[環境規制・環境法令対応リスク全般への対応]

『GREEN CHALLENGE 2050』の以下の4つのテーマに基づいたイノベーションチームのもと取り組みを推進

●CO2排出量削減

・再生可能エネルギーの調達を推進するため電力小売事業会社を新設

・店舗における省エネ・創エネ設備の導入促進

・太陽光、風力等の再生可能エネルギー発電所からの専用電力の長期的な調達(オフサイトPPAなど)

●プラスチック対策

・プラスチック素材の削減と環境配慮型素材への置き換え、回収・リサイクルの推進の目標・計画の策定

●食品ロス・食品リサイクル対策

・店舗における発生抑制を第一優先に、発生させてしまった食品廃棄物についてはサーキュラーエコノミーを

意識した取り組みの推進

●持続可能な調達

・持続可能な調達原則・方針に基づいた持続可能性が担保された商品の調達を推進

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の概要

① 経営成績

当連結会計年度における国内経済は、雇用・所得環境が改善する中、個人消費は一部に足踏みが残るものの持ち直しの動きが見られました。賃金上昇や定年延長などにより若年層、高齢者層の所得が増加する一方、子育て世代を中心に生活防衛意識が高まるなど、消費の二極化が顕在化しております。

北米経済は、引き続きインフレ、高金利環境に加え雇用環境が悪化しているものの、経済全体では高所得者層の消費により底堅さを維持しました。一方で、消費の二極化が進み、中低所得者層の消費に対する慎重な姿勢がより一層強まりました。

このような環境の中、当社グループは「セブン-イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する、『食』を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」を目指し、アップデートした中期経営計画(2023年3月9日公表)における各事業戦略及びグループ戦略を推進してまいりました。

これらの結果、当連結会計年度における当社の連結業績は以下のとおりとなりました。

なお、2025年3月6日に「株主価値最大化に向けた経営体制及び資本構造・事業の変革施策について」を公表いたしました。これは、当社が今後コンビニエンスストア事業に更に注力し、株主の皆様にとっての価値を最大化するために、経営体制、資本構造及び事業の変革に向けた一連の施策です。また、これまでに発表し現在進行中の事業変革施策についても継続して進めてまいります。

(連結業績)

 

 

(単位:百万円)

 

2024年2月期

2025年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

営業収益

11,471,753

97.1%

11,972,762

104.4%

営業利益

534,248

105.5%

420,991

78.8%

経常利益

507,086

106.6%

374,586

73.9%

親会社株主に帰属する当期純利益

224,623

79.9%

173,068

77.0%

 

(中期経営計画2021-2025 主な連結財務指標)

(単位:百万円)

 

2024年2月期

2025年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

EBITDA

1,054,951

106.0%

995,523

94.4%

営業キャッシュ・フロー(除く金融)

778,398

93.5%

783,254

100.6%

フリーキャッシュ・フロー水準(除く金融)

391,694

82.6%

435,015

111.1%

ROE(%)

6.2

4.5

ROIC(除く金融)(%)

4.1

3.5

Debt/EBITDA倍率(倍)

2.6

2.7

1株当たり当期純利益(EPS)(円)

84.88

80.0%

66.62

78.5%

 

為替レート(損益計算書)

U.S.$1=140.67円

U.S.$1=151.69円

1元=19.82円

1元=21.04円

為替レート(貸借対照表)

U.S.$1=141.83円

U.S.$1=158.18円

1元=19.93円

1元=21.67円

(注)1 営業キャッシュ・フロー(除く金融)は、金融事業を除くNOPATをベースとした管理会計数値。

2 フリーキャッシュ・フロー水準(除く金融)は、金融事業を除く管理会計ベース数値。

なお、M&Aは戦略投資として投資キャッシュ・フローからは除外して算出。

3 ROIC(除く金融)は、{純利益+支払利息×(1-実効税率)}/{自己資本+有利子負債(ともに期首期末平均)}にて算出。

4 当社は2024年3月1日付で普通株式1株を3株に株式分割しております。2024年2月期の「1株当たり当期純利益」及び前年同期比は2023年2月期の期首より当該株式分割が行われたと仮定して算定した数値です。

 

なお、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社セブン‐イレブン・沖縄、7-Eleven, Inc.及び

7-Eleven Stores Pty Ltdにおける加盟店売上を含めた「グループ売上」は、18,442,884百万円(前年同期比103.7%)となりました。また、当連結会計年度における為替レート変動に伴い、グループ売上は8,104億円、営業収益は6,691億円、営業利益は155億円増加しております。

 

当連結会計年度における事業部門別の営業概況は以下のとおりです。

 

(セグメント別営業収益)

 

 

(単位:百万円)

 

2024年2月期

2025年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

国内コンビニエンスストア事業

921,706

103.5%

904,152

98.1%

海外コンビニエンスストア事業

8,516,939

96.3%

9,170,782

107.7%

スーパーストア事業

1,477,384

101.9%

1,432,126

96.9%

金融関連事業

207,479

106.8%

212,127

102.2%

その他の事業

411,305

84.2%

320,914

78.0%

11,534,814

97.2%

12,040,102

104.4%

調整額(消去及び全社)

△63,060

△67,339

合 計

11,471,753

97.1%

11,972,762

104.4%

 

(セグメント別営業利益)

 

 

(単位:百万円)

 

2024年2月期

2025年2月期

 

前年同期比

 

前年同期比

国内コンビニエンスストア事業

250,544

108.0%

233,554

93.2%

海外コンビニエンスストア事業

301,628

104.1%

216,248

71.7%

スーパーストア事業

13,588

109.6%

10,415

76.7%

金融関連事業

38,172

102.8%

32,015

83.9%

その他の事業

2,688

103.6%

5,779

215.0%

606,622

105.7%

498,014

82.1%

調整額(消去及び全社)

△72,373

△77,023

合 計

534,248

105.5%

420,991

78.8%

 

(a)国内コンビニエンスストア事業

国内コンビニエンスストア事業における営業収益は904,152百万円(前年同期比98.1%)、営業利益は233,554百万円(同93.2%)となりました。

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、人口減少、少子高齢化の進行及び、物価上昇等の消費の二極化等の外部環境変化がある中で、お客様の消費行動変化へ対応すべく、基本商品の磨きこみをベースに、「マーケットニーズに対応した品揃えの拡充」、「お客様への新たな買い物体験の提供」、「品質と価格を両立した価値の提供」等、客層の拡大と来店頻度の向上に向けた取り組みを実施してまいりました。

また、デリバリーサービス「7NOW」については全国展開に向けた体制構築等の取り組み強化に加え、「7NOWアプリ」の認知度向上等の施策に取り組んでまいりました。

加えて、多様なニーズに対応するため、2024年2月29日にオープンした新しいコンセプトの店舗「SIP*ストア」において、お客様の潜在的なニーズの特定と、対応に関する様々な検証を実施してまいりました。この取り組みで得られた知見を2025年1月から、埼玉県内の約20店舗で今後の拡大を見据えたテストを開始し、ご好評をいただいております。これらの検証結果を踏まえ、展開を拡大する事で収益性の改善を目指してまいります。

当連結会計年度は、「品質と価格を両立した価値の提供」による来店頻度向上施策と新規客層拡大施策が奏功したことにより、既存店売上、客数は前年を上回り、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は5,369,756百万円(同100.5%)となりました。一方、原材料の高騰等による商品荒利率の低下に加え、水道光熱費等のコスト上昇により、営業利益は233,797百万円(同93.1%)となりました。

*株式会社セブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)と株式会社イトーヨーカ堂(IY)のパートナーシップ(通称SIP)

 

(b)海外コンビニエンスストア事業

海外コンビニエンスストア事業における営業収益は9,170,782百万円(前年同期比107.7%)、営業利益は216,248百万円(同71.7%)となりました。

北米の7-Eleven, Inc.は、引き続きインフレと高金利に加えて雇用環境の悪化に伴う労働所得の減少により消費の二極化が進み、中低所得者層を中心に食品や生活必需品への節約志向が一層強まる中で、継続的な事業の成長と資本効率の向上を目指し、「オリジナル商品の強化」、「デジタルとデリバリーの加速」、「効率性とコストリーダーシップの向上」、「店舗ネットワークの拡大と強化」という4つの施策を推進してまいりました。

また、2024年4月16日付にて米国Sunoco LP社からのコンビニエンスストア事業及びガソリン小売事業の一部の取得を完了しました。

当連結会計年度のドルベースの米国内既存店商品売上は前年を下回り、営業利益(のれん償却前)は329,620百万円(同83.2%)となりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は、10,493,291百万円(同102.9%)となりました。なお、様々な外部環境の影響を受けつつも、4つの施策を進めることで、特にオリジナル商品が売上全体をけん引している効果により、売上改善の基調を確認しております。

7-Eleven International LLCでは、2030年度までに日本、北米を含めた全世界で30の国と地域での展開を目指すという方針の下、既存展開国と新規展開国の両輪で成長戦略を推進しております。既存展開国については、各市場の特性に合わせた「食のコンビニ」への転換を進めております。その一環として、2024年4月1日付で、オーストラリアにおけるライセンシーとして「7-Eleven」ブランドにてコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業を運営する7-Eleven Stores Pty Ltdを含む複数の会社の株式を保有するConvenience Group Holdings Pty Ltd*(以下、「SEA」という。)の買収を完了し、フレッシュフードの商品開発強化と品揃えの拡大に取り組んでおります。

*オーストラリアにおけるライセンシーとして「7-Eleven」ブランドにてコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業を運営する7-Eleven Stores Pty Ltdを含む複数の会社の株式を保有する会社

(c)スーパーストア事業

スーパーストア事業における営業収益は1,432,126百万円(前年同期比96.9%)、営業利益は10,415百万円(同76.7%)となりました。

株式会社イトーヨーカ堂は、収益性改善に向けた抜本的変革が概ね計画どおり進捗しており、2024年2月27日に稼働を開始したPeace Deli千葉キッチンを含め、プロセスセンターやセントラルキッチン等の戦略投資インフラを活用し、惣菜の新ブランド「YORK DELI(ヨーク・デリ)」を立ち上げる等、商品の品質向上、品揃え強化、店舗の運営効率改善に取り組んでおります。

当連結会計年度は、自営売場面積の縮小等に伴い既存店売上は前年を下回りましたが、店舗閉鎖等の抜本的変革による販管費抑制により、3,020百万円の営業利益(前年同期は1,205百万円の営業損失)となりました。

株式会社ヨークベニマルにおいては、「地域のお客様の日常の食卓をより楽しく豊かに便利にする」というコンセプトの実現に向けて既存店の活性化、デリカテッセン等の開発及び販売強化の取り組みを進めてまいりました。

当連結会計年度は、販売促進施策等が奏功し、既存店売上は前年を上回りましたが、原材料価格の高騰などの影響により、営業利益は16,810百万円(前年同期比89.9%)となりました。

(d)金融関連事業

金融関連事業における営業収益は212,127百万円(前年同期比102.2%)、営業利益は32,015百万円(同83.9%)となりました。

株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点の国内ATM設置台数は27,965台(前連結会計年度末差595台増)となりました。預貯金金融機関の取引件数の回復、資金需要増による消費者金融等のノンバンク取引の増加に加え、各種キャッシュレス決済に伴うATMでの現金チャージ取引が高い水準を維持したことなどにより、1日1台当たりのATM平均利用件数は107.9件(前年同期差3.3件増)となり、当連結会計年度のATM総利用件数は前年を上回りました。なお、同行における現金及び預け金は、ATM装填用現金を含めて9,031億円となりました。

(e)その他の事業

その他の事業における営業収益は320,914百万円(前年同期比78.0%)、営業利益は5,779百万円(同215.0%)となりました。

事業ポートフォリオの見直しによる事業会社の譲渡等の影響により減収となったものの、人流回復に伴い株式会社ロフトをはじめとする事業会社の業績が好調に推移したため増益となりました。

 

(f)調整額(消去及び全社)

調整額(消去及び全社)における営業損失は77,023百万円(前年同期は72,373百万円の営業損失)となりました。

業務効率化やセキュリティ強化等を目的としたグループ共通基盤システム構築に係る費用等を計上しております。

② 財政状態の状況

(a)資産、負債及び純資産の状況

総資産は、為替レートの変動、海外コンビニエンスストア事業におけるSEAの取得等により前連結会計年度末に比べ793,993百万円増の11,386,111百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金の減少等により、前連結会計年度末に比べ211,883百万円減少いたしました。

固定資産は、為替レートの変動と海外コンビニエンスストア事業におけるSEAの取得に伴う有形固定資産及び無形固定資産の増加等により、1,006,276百万円増加いたしました。

負債は、為替レートの変動とSEAの取得に伴うリース債務の増加等により前連結会計年度末に比べ477,172百万円増の7,168,665百万円となりました。

純資産は、為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ316,821百万円増の4,217,445百万円となりました。

(b)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ212,673百万円減少したことにより、1,349,820百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、876,458百万円の収入(前年同期比130.2%)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が269,351百万円、減価償却費が436,593百万円となりましたが、仕入債務の増減額が△73,035百万円となったこと等によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、732,363百万円の支出(前年同期比169.6%)となりました。これは、主に店舗の新規出店や改装などに伴う有形固定資産の取得による支出が430,866百万円、海外コンビニエンスストア事業におけるSEA取得による連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が166,657百万円、事業取得による支出が109,675百万円となったこと等によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、392,648百万円の支出(前年同期比104.1%)となりました。これは、長期借入れによる収入が201,945百万円となったものの、長期借入金の返済による支出が146,693百万円、社債の償還による支出が341,302百万円、配当金の支払額が101,408百万円となったこと等によるものであります。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産及び受注の実績

該当事項はありません。

 

②仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

国内コンビニエンスストア事業

46,586

84.0

海外コンビニエンスストア事業

7,110,698

106.8

スーパーストア事業

985,556

96.5

金融関連事業

22,993

106.2

その他の事業

176,365

83.7

8,342,201

104.7

(注)1 上記国内及び海外コンビニエンスストア事業の仕入高には、自営店仕入のみが含まれております。

2 上記仕入実績は、連結会社間の取引高を消去した金額となっております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績(営業収益のうちの売上高)をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

売上高(百万円)

前年同期比(%)

国内コンビニエンスストア事業

63,256

83.3

海外コンビニエンスストア事業

8,650,205

107.6

スーパーストア事業

1,332,250

96.8

金融関連事業

22,558

104.8

その他の事業

274,052

81.9

10,342,323

105.0

(注)1 上記国内及び海外コンビニエンスストア事業の売上高には、自営店売上のみが含まれております。

2 上記販売実績は、連結会社間の取引高を消去した金額となっております。

 

   3 主要な子会社の売上状況は、次のとおりであります。

    (1)国内コンビニエンスストア事業

株式会社セブン‐イレブン・ジャパン

区分

チェーン全店売上(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

加工食品

1,460,763

102.4

27.1

ファスト・フード

1,525,446

97.4

28.3

日配食品

668,393

99.7

12.4

食品計

3,654,603

99.8

67.8

非食品

1,735,667

102.1

32.2

合計

5,390,271

100.5

100.0

(注) 上記金額は収益認識会計基準等を適用する前の数値であり、消費税等は含まれておりません。チェーン全店売上は、フランチャイズ・ストア(加盟店)とトレーニング・ストア(自営店)の売上の合計金額であります。

 

    (2)海外コンビニエンスストア事業

7-Eleven, Inc.

区分

チェーン全店売上(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

加工食品

1,923,603

107.0

18.3

ファスト・フード

551,086

107.6

5.3

日配食品

162,592

105.5

1.5

食品計

2,637,282

107.1

25.1

非食品

1,476,574

104.4

14.1

商品計

4,113,857

106.1

39.2

ガソリン

6,379,433

100.9

60.8

合計

10,493,291

102.9

100.0

(注) チェーン全店売上は、フランチャイズ・ストア(加盟店)とトレーニング・ストア(自営店)の売上の合計金額であります。

 

    (3)スーパーストア事業

① 株式会社イトーヨーカ堂

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

フード&ドラッグ

526,785

91.0

53.9

専門店

108,562

83.5

11.1

商品計

635,348

89.7

65.0

テナント

333,336

101.1

34.1

その他

9,521

305.6

1.0

合計

978,206

93.9

100.0

(注)1 上記金額は収益認識会計基準等を適用する前の数値であり、消費税等は含まれておりません。

2 当連結会計年度より報告区分を従来の「ライフスタイル」、「専門店」、「食品」、「テナント」及び「その他」から、「フード&ドラッグ」、「専門店」、「テナント」及び「その他」に区分変更しており、前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。

3 株式会社イトーヨーカ堂は、2023年9月1日付で株式会社ヨーク(屋号ヨークマート及びヨークフーズ等)を吸収合併いたしましたが、上記金額にはヨークマート及びヨークフーズ等の数値は含まれておりません。なお、ヨークマート及びヨークフーズ等の数値は以下のとおりです。

 

(参考情報)ヨークマート及びヨークフーズ等

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

商品計

197,924

103.4

 

② 株式会社ヨークベニマル

区分

売上高(百万円)

前年同期比(%)

構成比(%)

生鮮食品

177,755

102.3

34.8

加工食品

127,285

104.7

24.9

デイリー食品

106,085

102.2

20.8

デリカテッセン

62,553

101.9

12.2

食品計

473,679

102.8

92.7

衣料

9,965

98.2

1.9

住居

17,993

97.8

3.5

商品計

501,639

102.5

98.1

テナント

9,487

104.0

1.9

合計

511,126

102.6

100.0

(注) 上記金額は収益認識会計基準等を適用する前の数値であり、消費税等は含まれておりません。

 

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績の分析

(a)営業収益及び営業利益

当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度に比べ501,008百万円増加の11,972,762百万円(前年同期比104.4%)、営業利益は、113,257百万円減少の420,991百万円(前年同期比78.8%)となりました。

 

  前連結会計年度

(自 2023年3月 1日

 至 2024年2月29日)

  当連結会計年度

(自 2024年3月 1日

 至 2025年2月28日)

増減額

営業収益(百万円)

 

 

 

国内コンビニエンスストア事業

921,706

904,152

△17,554

海外コンビニエンスストア事業

8,516,939

9,170,782

653,842

スーパーストア事業

1,477,384

1,432,126

△45,258

金融関連事業

207,479

212,127

4,648

その他の事業

411,305

320,914

△90,390

11,534,814

12,040,102

505,287

消去及び全社

△63,060

△67,339

△4,278

 合  計

11,471,753

11,972,762

501,008

営業利益(百万円)

 

 

 

国内コンビニエンスストア事業

250,544

233,554

△16,990

海外コンビニエンスストア事業

301,628

216,248

△85,379

スーパーストア事業

13,588

10,415

△3,172

金融関連事業

38,172

32,015

△6,156

その他の事業

2,688

5,779

3,091

606,622

498,014

△108,607

消去及び全社

△72,373

△77,023

△4,649

 合  計

534,248

420,991

△113,257

国内コンビニエンスストア事業における営業収益は904,152百万円(前年同期比98.1%)、営業利益は233,554百万円(同93.2%)となりました。

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、人口減少、少子高齢化の進行及び、物価上昇等の消費の二極化等の外部環境変化がある中で、お客様の消費行動変化へ対応すべく、基本商品の磨きこみをベースに、「マーケットニーズに対応した品揃えの拡充」、「お客様への新たな買い物体験の提供」、「品質と価格を両立した価値の提供」等、客層の拡大と来店頻度の向上に向けた取り組みを実施してまいりました。

また、デリバリーサービス「7NOW」については全国展開に向けた体制構築等の取り組み強化に加え、「7NOWアプリ」の認知度向上等の施策に取り組んでまいりました。

加えて、多様なニーズに対応するため、2024年2月29日にオープンした新しいコンセプトの店舗「SIP*ストア」において、お客様の潜在的なニーズの特定と、対応に関する様々な検証を実施してまいりました。この取り組みで得られた知見を2025年1月から、埼玉県内の約20店舗で今後の拡大を見据えたテストを開始し、ご好評をいただいております。これらの検証結果を踏まえ、展開を拡大する事で収益性の改善を目指してまいります。

当連結会計年度は、「品質と価格を両立した価値の提供」による来店頻度向上施策と新規客層拡大施策が奏功したことにより、既存店売上、客数は前年を上回り、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は5,369,756百万円(同100.5%)となりました。一方、原材料の高騰等による商品荒利率の低下に加え、水道光熱費等のコスト上昇により、営業利益は233,797百万円(同93.1%)となりました。

*株式会社セブン‐イレブン・ジャパン(SEJ)と株式会社イトーヨーカ堂(IY)のパートナーシップ(通称SIP)

海外コンビニエンスストア事業における営業収益は9,170,782百万円(前年同期比107.7%)、営業利益は216,248百万円(同71.7%)となりました。

北米の7-Eleven, Inc.は、引き続きインフレと高金利に加えて雇用環境の悪化に伴う労働所得の減少により消費の二極化が進み、中低所得者層を中心に食品や生活必需品への節約志向が一層強まる中で、継続的な事業の成長と資本効率の向上を目指し、「オリジナル商品の強化」、「デジタルとデリバリーの加速」、「効率性とコストリーダーシップの向上」、「店舗ネットワークの拡大と強化」という4つの施策を推進してまいりました。

また、2024年4月16日付にて米国Sunoco LP社からのコンビニエンスストア事業及びガソリン小売事業の一部の取得を完了しました。

当連結会計年度のドルベースの米国内既存店商品売上は前年を下回り、営業利益(のれん償却前)は329,620百万円(同83.2%)となりました。また、自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は、10,493,291百万円(同102.9%)となりました。なお、様々な外部環境の影響を受けつつも、4つの施策を進めることで、特にオリジナル商品が売上全体をけん引している効果により、売上改善の基調を確認しております。

7-Eleven International LLCでは、2030年度までに日本、北米を含めた全世界で30の国と地域での展開を目指すという方針の下、既存展開国と新規展開国の両輪で成長戦略を推進しております。既存展開国については、各市場の特性に合わせた「食のコンビニ」への転換を進めております。その一環として、2024年4月1日付で、オーストラリアにおけるライセンシーとして「7-Eleven」ブランドにてコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業を運営する7-Eleven Stores Pty Ltdを含む複数の会社の株式を保有するConvenience Group Holdings Pty Ltd*(以下、「SEA」という。)の買収を完了し、フレッシュフードの商品開発強化と品揃えの拡大に取り組んでおります。

*オーストラリアにおけるライセンシーとして「7-Eleven」ブランドにてコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業を運営する7-Eleven Stores Pty Ltdを含む複数の会社の株式を保有する会社

スーパーストア事業における営業収益は1,432,126百万円(前年同期比96.9%)、営業利益は10,415百万円(同76.7%)となりました。

株式会社イトーヨーカ堂は、収益性改善に向けた抜本的変革が概ね計画どおり進捗しており、2024年2月27日に稼働を開始したPeace Deli千葉キッチンを含め、プロセスセンターやセントラルキッチン等の戦略投資インフラを活用し、惣菜の新ブランド「YORK DELI(ヨーク・デリ)」を立ち上げる等、商品の品質向上、品揃え強化、店舗の運営効率改善に取り組んでおります。

当連結会計年度は、自営売場面積の縮小等に伴い既存店売上は前年を下回りましたが、店舗閉鎖等の抜本的変革による販管費抑制により、3,020百万円の営業利益(前年同期は1,205百万円の営業損失)となりました。

株式会社ヨークベニマルにおいては、「地域のお客様の日常の食卓をより楽しく豊かに便利にする」というコンセプトの実現に向けて既存店の活性化、デリカテッセン等の開発及び販売強化の取り組みを進めてまいりました。

当連結会計年度は、販売促進施策等が奏功し、既存店売上は前年を上回りましたが、原材料価格の高騰などの影響により、営業利益は16,810百万円(前年同期比89.9%)となりました。

金融関連事業における営業収益は212,127百万円(前年同期比102.2%)、営業利益は32,015百万円(同83.9%)となりました。

株式会社セブン銀行における当連結会計年度末時点の国内ATM設置台数は27,965台(前連結会計年度末差595台増)となりました。預貯金金融機関の取引件数の回復、資金需要増による消費者金融等のノンバンク取引の増加に加え、各種キャッシュレス決済に伴うATMでの現金チャージ取引が高い水準を維持したことなどにより、1日1台当たりのATM平均利用件数は107.9件(前年同期差3.3件増)となり、当連結会計年度のATM総利用件数は前年を上回りました。なお、同行における現金及び預け金は、ATM装填用現金を含めて9,031億円となりました。

 

(b)営業外損益及び経常利益

営業外損益は、前連結会計年度の27,162百万円の損失(純額)から46,404百万円の損失(純額)となりました。これは7-Eleven, Inc.による受取利息が減少した一方、支払利息が増加したこと等によるものであります。

この結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ132,499百万円減少の374,586百万円となりました。

(c)特別損益及び税金等調整前当期純利益

特別損益は、前連結会計年度の230,078百万円の損失(純額)から105,235百万円の損失(純額)となりました。これは7-Eleven, Inc.によるセール・リースバック契約に係る固定資産売却益を計上したこと等によるものであります。

この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ7,655百万円減少の269,351百万円となりました。

(d)法人税等(法人税等調整額を含む)及び親会社株主に帰属する当期純利益

法人税等は、前連結会計年度に比べ44,527百万円増加の86,331百万円となりました。また、税効果会計適用後の負担率は32.1%となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ51,555百万円減少の173,068百万円となりました。1株当たり当期純利益は、66.62円となり、前連結会計年度の84.88円に比べ18.26円減少しました。

② 財政状態の分析

(a)資産、負債及び純資産の状況

 

前連結会計年度

(2024年2月29日)

当連結会計年度

(2025年2月28日)

増減額

総資産(百万円)

10,592,117

11,386,111

793,993

負 債(百万円)

6,691,492

7,168,665

477,172

純資産(百万円)

3,900,624

4,217,445

316,821

総資産は、前連結会計年度末に比べ793,993百万円増加して11,386,111百万円となりました。

流動資産は、現金及び預金が190,075百万円減少したこと等から、前連結会計年度末に比べ211,883百万円減少し、2,823,782百万円となりました。

有形固定資産は、主に為替レートの変動と海外コンビニエンスストア事業におけるSEAの取得に伴う増加等により618,798百万円の増加となりました。無形固定資産は、主に為替レートの変動とSEAの取得に伴う増加等により354,804百万円の増加となりました。また、投資その他の資産においては、株式会社セブン銀行が取得する地方債や社債が増加したこと等により32,674百万円増加しております。これらの結果、固定資産は前連結会計年度末に比べ1,006,276百万円増加し、8,561,745百万円となりました。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ477,172百万円増加し、7,168,665百万円となりました。

流動負債は、短期借入金が87,614百万円、コールマネーが60,000百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ243,363百万円増加し、3,316,615百万円となりました。

固定負債は、為替レートの変動とSEAの取得に伴うリース債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ233,809百万円増加し、3,852,050百万円となりました。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ316,821百万円増加し、4,217,445百万円となりました。

利益剰余金は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による173,068百万円の増加、配当金の支払いによる101,469百万円の減少などにより、前連結会計年度に比べ71,595百万円増加しております。

為替換算調整勘定は、主に7-Eleven, Inc.の財務諸表の換算などにより、293,002百万円増加しております。

これらの結果、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に比べ136.23円増加し1,553.17円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の35.1%から35.4%となりました。

 

(b)キャッシュ・フローの状況

 

  前連結会計年度

(自 2023年3月 1日

 至 2024年2月29日)

  当連結会計年度

(自 2024年3月 1日

 至 2025年2月28日)

増減額

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

673,015

876,458

203,443

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△431,809

△732,363

△300,553

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△377,065

△392,648

△15,582

現金及び現金同等物の期末残高(百万円)

1,562,493

1,349,820

△212,673

現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、国内及び海外コンビニエンスストア事業を中心とした高い営業収益力によりキャッシュ・フローを創出したものの、国内及び海外コンビニエンスストア事業を中心とする店舗の新規出店及び改装などに伴う支出等があったことや借入金の返済及び社債の償還等により、前連結会計年度末に比べ212,673百万円減少し、1,349,820百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって得た資金は、876,458百万円(前年同期比130.2%)となりました。前年同期に比べ203,443百万円増加した主な要因は、百貨店譲渡関連損失が129,618百万円減少した一方、売上債権の増減額が98,410百万円、銀行業におけるコールマネーの純増減が130,000百万円増加したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は、732,363百万円(前年同期比169.6%)となりました。前年同期に比べ300,553百万円増加した主な要因は、有形固定資産の売却による収入が105,687百万円増加した一方、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が165,880百万円、事業取得による支出が107,488百万円増加したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は、392,648百万円(前年同期比104.1%)となりました。前年同期に比べ15,582百万円増加した主な要因は、長期借入れによる収入が149,245百万円増加した一方、社債の発行による収入が220,000百万円減少したこと等によるものであります。

③ 戦略的現状と見通し

国内においては、継続した物価上昇による家計の節約志向の高まりが懸念されておりますが、賃上げや設備投資の拡大、インバウンド需要の増加などを背景に、緩やかな持ち直し基調が想定されます。

北米においては、通商政策の不確実性の高まり等により、個人消費環境の厳しい状況が続くことが想定されます。

このような経営環境を踏まえ、2025年3月6日に「株主価値最大化に向けた経営体制及び資本構造・事業の変革施策について」を公表いたしました。これまでに公表した事業変革施策は継続して進めてまいりますが、更に取り組みを昇華させるべく経営体制の変革、7-Eleven, Inc.のIPOの実現に向けた取り組みの推進、株主還元についての方針を示しました。基本姿勢である「常にお客様の立場に立って、新たな体験価値を提供することで、国内外の地域社会に貢献したい」に則り、このマネジメント施策を推進してまいります。

これらを踏まえた2026年2月期の連結業績予想は以下のとおりとなります。

 

(連結業績予想)

(単位:百万円)

 

2026年2月期

 

前年同期比

営業収益

10,722,000

89.6%

営業利益

424,000

100.7%

経常利益

386,000

103.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

255,000

147.3%

(注)1 前提となる為替レート:U.S.$1=148.00円、1元=21.00円

2 株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社セブン‐イレブン・沖縄、7-Eleven, Inc.及び

7-Eleven Stores Pty Ltdにおける加盟店売上を含めたグループ売上:17,338,000百万円

 

 

(中期経営計画2021-2025 主な連結財務指標)

 

2025年度

中期経営計画目標

2025年度

見込み

EBITDA

1.1兆円以上

9,630億円

ROE

11.5%以上

6.9%

ROIC(除く金融)

8.0%以上

5.3%

Debt/EBITDA倍率

1.8~2.5倍

2.3倍

EPS成長率(CAGR)

18%以上

8.5%

(注)1 ROIC(除く金融)は、{純利益+支払利息×(1-実効税率)}/{自己資本+有利子負債(ともに期首期末平均)}にて算出。

2 EPS成長率(CAGR)は、2020年度に対してのCAGR(年平均成長率)にて試算。

3 2025年度見込みは、2025年3月6日に公表した「株主価値最大化に向けた経営体制及び資本構造・事業の変革施策について」の通り、事業ポートフォリオの変革を当年度半ばに完了した場合の見込み値です。

 

(セグメント別営業収益・営業利益予想)

 

 

(単位:百万円)

 

2026年2月期

営業収益

営業利益

 

前年同期比

 

前年同期比

国内コンビニエンスストア事業

950,000

105.1%

244,700

104.8%

海外コンビニエンスストア事業

8,848,000

96.5%

230,000

106.4%

スーパーストア事業

687,000

48.0%

15,400

147.9%

金融関連事業

119,000

56.1%

18,500

57.8%

その他の事業

164,000

51.1%

1,900

32.9%

10,768,000

89.4%

510,500

102.5%

調整額(消去及び全社)

△46,000

△86,500

合計

10,722,000

89.6%

424,000

100.7%

 

なお、2025年3月6日に「当社子会社における会社分割(吸収分割)による子会社の異動に関するお知らせ」で公表のとおり、株式会社ヨーク・ホールディングスの本社機能及び食品スーパーマーケット事業及び専門店・その他事業に帰属する当社の連結子会社22社及び持分法適用会社7社の計29社を吸収分割の方法で、Bain Capital Private Equity, L.P.及びそのグループ会社が設立する買収目的会社である株式会社BCJ-95の完全子会社である株式会社BCJ-96に承継させることを決定いたしました。これに伴い当社の2026年2月期の業績予想において、対象となる29社は上期の業績のみを反映しています。

 

(a)国内コンビニエンスストア事業

株式会社セブン-イレブン・ジャパンは、人口減少、少子高齢化の進行及び、消費の二極化等の外部経済環境変化に伴うお客様の購買行動変化に対応してまいります。「マーケットニーズに対応した品揃えの拡充」、「お客様への新たな買い物体験の提供」、「品質と価格を両立した価値の提供」の3つの施策の取り組みを更に強化すると同時に、「SIPストア」で確認された商品やサービスを他の店舗にも展開し、店舗集客力・収益力の向上を図ってまいります。

また、デリバリーサービス「7NOW」など、常にお客様の立場に立った新たな体験価値を提供することで次の「便利」の扉を開き、加盟店や取引先も含めたバリューチェーン全体での持続的な成長の実現に取り組んでまいります。

(b)海外コンビニエンスストア事業

北米の7-Eleven, Inc.は、引き続き「オリジナル商品の強化」、「デジタルとデリバリーの加速」、「効率性とコストリーダーシップの向上」、「店舗ネットワークの拡大と強化」を主要優先事項として推進してまいります。

 7-Eleven International LLCでは、引き続き既存展開国と新規展開国の両輪で成長戦略を推し進め、2030年度までに日本、北米を含めた全世界で30の国と地域での店舗出店を目指す方針の下、質とスピードを伴った成長の実現に取り組んでまいります。

(c)スーパーストア事業

株式会社イトーヨーカ堂においては、株式会社Peace Deliを軸とした商品・物流改善、グループ会社との連携強化、専門店ビジネスの確立、ONIGO株式会社との協業によるラストワンマイル強化など、事業モデルを確立し価値最大化に取り組んでまいります。

(d)金融関連事業

金融関連事業におきましては、引き続きATMプラットフォーム事業の拡大に加え、電子マネー及びクレジットカード事業等に注力するとともに、グループ金融戦略として、当社グループの共通IDである「7iD」を基軸とした独自の金融サービスを開発し、新たな価値の創造を進めてまいります。

その一環として、2024年2月21日より、7iDとセブン銀行口座の紐づけを開始しました。この取り組みによって、銀行アプリと事業会社アプリの連携強化、金融サービス利用時のマイル特典付与等、さらなる連携・データ活用が期待されます。また、これらを通じ、小売業におけるお客様の来店頻度・購買単価向上と同時に購買データを活用した金融サービス提案・商品開発を図ってまいります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、新規出店、店舗改装及びソフトウエア投資等の設備投資、M&A等によるものであります。

なお、当連結会計年度中に実施した設備投資に必要な資金は、金融機関からの借入金及び自己資金により充当いたしました。

 

財務政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っております。

長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。

財務方針については、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターンを拡大するとともに、キャッシュ・フローの創出力を高めることを基本方針としております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,770,345百万円となっております。

 

⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、持続的に企業価値を向上させるため、資本コストを上回るリターン(利益)を拡大するとともに、キャッシュ・フローの創出力を高めることを基本方針とし、以下の財務目標を設定しております。

 

(2025年度 主要連結財務数値目標)

 

2024年度 実績

2025年度目標

(2024年4月10日公表)

EBITDA

995,523

百万円

1.1

兆円以上

営業キャッシュ・フロー(除く金融)

783,254

百万円

9,000

億円以上

フリーキャッシュ・フロー水準(除く金融)

435,015

百万円

5,000

億円以上

ROE

4.5

11.5

%以上

ROIC(除く金融)

3.5

8.0

%以上

Debt/EBITDA倍率

2.7

1.8~

2.5倍

EPS成長率(CAGR)

-

18

%以上

※営業キャッシュ・フロー(除く金融)は、金融事業を除くNOPATをベースとした管理会計数値。

 フリーキャッシュ・フロー水準(除く金融)は、金融事業を除く管理会計ベース数値。

 なお、M&Aは戦略投資として投資キャッシュ・フローからは除外して算出。

 ROIC(除く金融)は、{純利益+支払利息×(1-実効税率)}/{自己資本+有利子負債(ともに期首期末平均)}にて算出。

 EPS成長率(CAGR)は、2020年度に対してのCAGR(年平均成長率)にて試算。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)グループ経営管理契約

当社は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン、株式会社イトーヨーカ堂、株式会社ヨークベニマル及びその他の子会社17社との間で、当社が各社に対して行う経営管理に関し、それぞれ「グループ経営サービス等の提供に関する基本契約書」を締結しております。

(2)加盟店契約

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンとコンビニエンスストア加盟店との加盟店契約の要旨は、次のとおりであります。

① 当事者(株式会社セブン‐イレブン・ジャパンと加盟者)の間で、取り結ぶ契約

(a)契約の名称

加盟店基本契約(書)及びその付属契約(書)

(b)契約の本旨

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの許諾によるコンビニエンスストア経営のためのフランチャイズ契約関係を加盟者と形成すること。

② 加盟者に対する商品の販売条件に関する事項

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、開業時在庫の買取りを求める以外、爾後商品の販売はせず、加盟者は株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの推薦する仕入先その他任意の仕入先から商品を買取ります。

③ 経営の指導に関する事項

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは継続的に担当者を派遣して、店舗・商品・販売の状況を観察させて助言・指導を行い、又は経営上生じた諸問題の解決に協力する他、販売情報等の資料の提供、システムに関する情報の伝達、効果的な標準小売価格の開示、各種仕入援助、広告宣伝、経営相談、計数管理のための計数等の作成提供を行い、商品仕入等についての与信等のサービスを加盟者に対して継続的に行います。

 

④ 使用させる商標、商号その他の表示に関する事項

株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、加盟者に対して、コンビニエンスストア経営について“セブン‐イレブン”の商標その他営業シンボル、著作物の使用をすることを許諾します。

⑤ 契約の期間等に関する事項

契約の期間は、加盟店として新規に開店した初日から向こう15ヶ年間です。契約の更新は、当事者間で協議し、合意にもとづいて行われます。

⑥ 加盟者から定期的に徴収する金銭に関する事項

加盟者は、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンに対して、月間売上総利益(月間売上高から、月間売上商品原価(商品の総売上原価から品減り、不良品各原価及び仕入値引金を差引いた純売上原価)を差引いたもの)を基に一定の計算をして算出した金額を、株式会社セブン‐イレブン・ジャパンが実施するサービスの対価として支払います。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。