第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「正しい商売」という社是のもと、地域に最適な食品スーパーマーケットチェーンとしてお客様の食文化に貢献する企業を目指し、「安全・安心」、「健康」、「美味しさ」、「鮮度」を重視した商品の提供と楽しく豊かな食生活の提案が出来る魅力ある店舗作りに一層の強化を進めております。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは業界の勝ち組企業となるため、売上高経常利益率を自社の収益力を的確に示す指標として捉え、その中期的な目標を4.0%超に設定しております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

地域密着の食品スーパーマーケットチェーンとして競争の激化する業界内でお客様の信頼を高め、更なる業容の拡大と財務体質の向上を図るために、従業員の教育訓練に注力するほか、社是である「正しい商売」に基づいて、コンプライアンスの徹底に取り組んでまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

地域密着の食品スーパーマーケットチェーンとして経営基盤を一層強固にし、再編が進み競争の激化する業界内で勝ち残るべく、以下の重点施策に取り組み更なる経営効率の向上及び財務体質の強化を図ってまいります。

 

① 商品力向上

お客様からの更なるご支持を獲得するべく、鮮度管理・商品管理のより一層の改善に取り組んでまいります。併せて、当社グループが自信をもってお勧めできるオリジナル商品の開発・開拓にも力を入れて、これまで以上に幅広い層のお客様に満足していただける商品づくりを進めてまいります。また、当社グループのプライベートブランド「ナチュライブ」商品のラインナップの強化を行い、ブランド価値の向上を目指してまいります。

 

② サービス力向上

気持ちの良い笑顔の接客、清潔感のある身だしなみの徹底に加えて、お客様にとってお買い物がしやすい店内環境や売場づくりを強化し、ご来店いただいたお客様からの信頼を高められるよう、サービス力の向上に努めてまいります。

 

③ 新規出店・既存店の成長

積極的な新規出店により店舗網の拡充に力を入れてまいります。また、引き続き既存店の改装を行い、最新のマーチャンダイジングを取り入れた店舗フォーマットへの転換を図ってまいります。将来を見据えた設備投資を積極的に行い、お客様にとって利便性が高く、従業員の作業効率を高められる環境を整えてまいります。

 

④ 人的資本の活用

「あらゆる人材が活躍できる職場づくり」を実現するため、全ての従業員が必要な知識や技術を習得でき、仕事の楽しさや、やりがいを実感できるよう、定期的な社内研修や理念教育等を一層推進してまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループでは、「サステナビリティ基本方針」を策定し、その内容を全従業員と共有しています。この方針を基に、従業員一人ひとりがサステナビリティを意識した行動を取ることを推進し、社会課題の解決と当社グループの持続的成長に貢献してまいります。

 

「環境に配慮したスーパーマーケットを経営します。」

食品や資源物、エネルギーを無駄なく利用するために、食品ロス削減、食品リサイクル・ループの推進、店頭における資源の回収、プラスチック製容器削減等、省エネルギーの店舗運営を行い、併せて再生可能エネルギーの部分的な導入など、環境負荷低減に取り組んでいます。また、地域社会との共生や学校との連携により、食育や環境教育の機会提供に取り組んでいます。

 

「あらゆる人材が活躍できる職場づくりを行います。」

性別・国籍・経験などを問わず活躍できる職場づくりを行います。社内研修制度の拡充、女性活躍の推進、健康経営の推進、各種制度の整備に取り組んでいます。

 

「コンプライアンスを徹底し、安全で安心な食品を提供します。」

店舗でご提供する商品の安全・安心、食品を取り扱う上でのコンプライアンスの徹底はもとより、社内外の研修を通して、様々な法令の順守並びに情報漏洩の防止などに取り組んでいます。

 

<ガバナンス>

サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理体制として、「サステナビリティ推進委員会」を設置し、施策の審議及び目標の進捗確認を実施しています。

 

サステナビリティ推進委員会の構成

サステナビリティ推進委員会は、代表取締役社長執行役員を委員長とし、執行役員、常勤監査役、外部アドバイザー等で構成されています。この委員会は、気候変動対策をはじめとする各種施策の審議と実施状況の確認を行い、その成果や進捗を定期的に取締役会に報告しています。これにより、経営陣がサステナビリティに関する重要な決定を行うための情報を適切に提供しています。

 

●サステナビリティ推進体制


 

(2)リスクマネジメント及びサステナビリティ推進体制

当社グループでは、事業活動に伴い発生する可能性のある様々なリスクを経営レベルで統合的に管理するための体制を構築しています。これにより、リスクを早期に識別し、適切に管理・低減することを目指しています。

 

リスクマネジメント体制

リスクマネジメントの最高責任者は代表取締役社長執行役員が務め、各部門の責任者は執行役員が担当しています。これにより、全社的なリスク管理を統括し、リスクの重要性に応じた対応を迅速に行える体制を整備しています。また、リスク管理は「正しい商売推進委員会」「サステナビリティ推進委員会」を通じて行われ、気候関連リスクを含む経営戦略や設備投資等、企業の経営に重要な影響を与える潜在的なリスクを特定し、これらのリスクに対する対応策を講じています。

 

サステナビリティ推進と気候変動対策

当社グループでは、サステナビリティを経営の重要な柱と位置づけ、気候変動対策を含む幅広いサステナビリティ課題への対応を進めています。特に、CO₂排出量削減に向けた目標設定と戦略の策定、進捗管理を行うとともに、気候変動に関するリスク・機会を識別・評価・管理しています。

 

(3)戦略

  <気候変動への対応に関する開示>

当社は、2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指し、気候変動への対応を経営の重要課題と位置づけ、エネルギー消費の削減及び温室効果ガス排出量の低減に向けた各種施策を実施しています。以下のような環境保全の取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と企業の持続的成長の両立を図ってまいります。

 

① 省エネルギー設備の導入

店舗においては、冷蔵・冷凍ケースや照明、外灯にLEDを導入し、消費電力の削減を推進しています。特に冷凍食品やアイス売場には開閉式ケースを採用し、商品の視認性を確保しつつ扉の開閉回数を抑えることで、冷気漏れを防ぎ省エネ効果を高めています。また、一部の水道設備には節水装置を導入しており、最大で約77.5%の水使用量削減を実現しています。

 

② 再生可能エネルギーの導入

本部の一部施設・店舗(20拠点)の看板照明の電力を再生可能エネルギーに切り替えており、年間で約17.6トンのCO₂排出量削減につながっています。2024年度には、新たに3店舗において全電力を再生可能エネルギーへと転換いたしました。

 

③ 太陽光発電の活用

店舗の屋根に太陽光パネルを設置し、発電した電力を自家消費することによって、対象店舗では年間約92.5トンのCO₂排出量を削減しました。

 

④ リサイクルの推進と資源循環の強化

当社は、循環型社会の実現に向けた取り組みとして、以下の施策を実施しています。

 

リサイクルステーションの設置

家庭から排出される資源物(紙パック、発泡食品トレー、アルミ缶など)の回収を推進しており、2023年度には焼却処分と比較して約1.134トンのCO₂排出量削減を達成しました。

 

無駄のないリサイクル回収フローの構築

店舗で使用した段ボールや発泡スチロール、店頭回収の資源物を物流納品の帰り便で効率的に運搬することで、専用輸送手段の削減によるCO₂排出抑制及び物流効率の向上を実現しています。

 

食品リサイクル・ループの推進

店舗で発生する食品残さ(野菜くず等)を堆肥や飼料に再利用する取り組みを2002年より継続的に実施しており、2023年度の食品リサイクル率は84.0%と、小売業の目標値(60%)を大幅に上回っています。これらは、サーキュラーエコノミーの先駆的な取り組みとして評価されています。

 

リサイクルトレーの活用

 一部の生鮮商品にリサイクルトレーを使用し、年間で約675トンのCO₂排出量削減効果を上げています。当社グループで回収したペットボトルもトレー素材として活用しています。

 

⑤ 食品廃棄物削減への取り組み

環境に配慮した商品開発・販売のほか、売り切り販売の促進等を通じて、食品廃棄物の抑制に取り組んでいます。これらは、お客様及びお取引先と連携した活動として、今後も継続的に推進してまいります。

 

  <人的資本に関する開示>

当社グループでは、教育体制や人事制度を整備し、従業員のエンゲージメント向上を図っています。また、多様な価値観やライフスタイルを尊重し、すべての従業員が安心して働き続けられる職場環境の構築を推進しています。特に、女性・若手社員・障がい者を含む多様な人材が活躍できる組織風土の醸成を目指し、業務におけるプロセスを重視し、個性と多様性の調和を図っています。

 

① ジョブローテーションによる人材育成・適材適所の推進

当社グループでは、すべての人材が活躍できる職場環境の構築を目的として、ジョブローテーション制度を導入しています。新入社員には、入社後に青果・鮮魚・精肉・惣菜・グロサリーといった各部門業務を、数週間ずつ体験する「部門ローテーション研修」を実施し、各部門の業務に関する理解を深める機会を提供しています。その上で、個人の適性や希望を踏まえて本配属を決定することで、適材適所を実現しています。新入社員に限らず、役職・世代・性別のバランスや、自己申告制度による本人の希望も考慮し、配置を決定しています。

 

② 人材育成に関するその他の主な取り組み

 若手正社員を対象に、入社年次ごとの集合研修を年複数回実施

   └ 基礎業務からマネジメントまで段階的にスキルを習得

 自発的な学習支援として、通信講座費用を全額会社負担する「チャレンジスクール制度」を導入

 第2種衛生管理者資格の取得支援として、年複数回の社内講習会を開催し、受験対策を実施

 パートナー社員向けに、eラーニングによる業務学習環境を提供

   └ 実地研修と併せてキャリアアップを支援

 

③ 多様な人材活用に関する取り組み

女性活躍推進

当社グループでは、女性の活躍を積極的に推進しており、新卒入社者に占める女性比率は30%以上を目標とし、また、女性管理職比率については、2027年までに10%以上とする目標を掲げ、制度面及び職場環境の整備を進めています。

 

障がい者雇用の推進

多様な人材が活躍できる環境構築の一環として、障がい者雇用を積極的に推進しています。特別支援学校・支援機関との連携による実習受け入れを行い、適性に基づく配属と業務定着を支援しています。商品陳列・清掃・調理加工など、多様な職務領域で障がい者が活躍しており、全店舗において1名以上の雇用を目標としています。2024年期末時点の障がい者雇用率は3.3%であり、法定雇用率(2.5%)を上回っています。

 

海外人材の積極採用

国籍に関係なく能力を重視した人材採用を行っており、在留資格の取得手続きや費用についても会社が支援しています。入社後は生活・業務両面のサポートを通じて、円滑な職場適応と定着を図っています。

 

専門人材の積極採用

業務特性に応じて、専門的知見や経験を有する人材を積極的に中途採用しています。採用後は企業理念や企業文化に関する研修を実施し、早期戦力化を支援する体制を整えています。

 

④ 健康経営及びワークライフバランスに関する取り組み

当社グループでは、従業員の心身の健康が企業の持続的成長の基盤であるとの認識のもと、健康維持・増進に向けた各種取り組みを実施しています。

 

健康経営の推進

医療機関と連携し、勤務地において定期健康診断を受診できる体制を整備するとともに、再検査が必要な従業員に対するフォロー体制も構築し、健康不安の軽減に努めています。

店舗においては、笑顔やあいさつに関する研修を実施し、職場内のチームワーク向上と安心して働ける環境づくりを推進しています。

 

健康経営推進体制

健康経営の推進責任者は執行役員が担い、人事部が中心となって施策を統括しています。

各店舗の安全衛生委員会と連携し、現場の健康課題を把握したうえで、必要な対策を実施しています。

サステナビリティ推進委員会との連携を通じて経営全体との整合性を確保しており、また、企業内労働組合との定期的な協議により、待遇や労務管理面での調整を行っています。

協会けんぽと連携し、健康診断の実施及び医療機関との情報共有を通じて従業員の健康状態を把握。さらに、産業医との連携により、必要に応じた健康アドバイスや指導を実施しています。

 

ライフ・イベントと仕事の両立を支援する制度

当社グループでは、従業員がライフ・イベントと仕事を両立しながら長期的に活躍できるよう、人事制度の整備を進めています。

育児中の従業員に対しては、育児時間短縮勤務制度を導入し、柔軟な働き方を支援しています。また、育児や介護等を理由にやむを得ず退職した従業員を対象に、復職可能な制度を整備しており、キャリアの中断を最小限に抑えるとともに、再び職場での活躍ができる環境を提供しています。

 

⑤ 地域社会との共生

当社グループは、店舗が所在する地域社会との信頼関係を重視し、住民の皆様が安全で安心して暮らせる環境づくりに貢献しています。地域の行政機関や教育機関等と連携し、多様な協働活動を通じて地域社会との共生を推進しています。

地域環境の保全活動として、本部が所在する昭島市で実施されるクリーン運動への参加を継続的に行っており、地域の美化や環境保全に貢献しています。

一部店舗内に地域情報コーナーを設置し、行政からの各種情報を発信する拠点としての役割を担っています。

地域における福祉活動やスポーツイベントへの支援・協賛を通じて、地域課題の解決や次世代育成への貢献にも取り組んでいます。

これらの活動を通じて、持続可能な地域社会の形成に寄与するとともに、企業としての社会的責任を果たしています。

 

   (4) 指標及び目標

当社グループは、女性の活躍をより一層推進するため、毎年一定数の女性社員を採用し、女性管理職比率を上昇させることを目指しています。人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いています。なお、当社グループにおける人材活用の政策等の決定、主な採用活動は提出会社が一括して行っているため、指標については提出会社のものを記載しています。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度)

新卒入社者に占める女性比率

毎年の採用目標は30%以上

17.3

管理職に占める女性労働者の割合

2027年まで10%以上

6.3

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

当社グループでは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び万一発生した場合には適切な対処に努め、事業活動に支障を来たさないように努力してまいります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 固定資産の減損等について

当社グループは、食品スーパーマーケットをチェーン展開しておりますが、今後、店舗の業績推移によっては、店舗物件等が減損の対象となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、既存店舗の活性化を図るため定期的にリニューアル投資等を行っておりますが、黒字化の見通しの立たない店舗については、退店を実施していく予定であります。退店に伴い店舗設備等の固定資産除却損の計上に加え、契約上保証金等の全部または一部が返還されない可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 食品の品質管理について

当社グループは、食品の製造・加工・販売を行っており、食品の安全性及び品質の確保を最重要課題の一つと位置づけております。しかしながら、原材料の仕入れ段階から製造、流通、販売に至る各過程において、異物混入、微生物汚染、表示ミス、アレルゲン管理の不備、流通や保管・販売時の温度管理不備による品質劣化等が発生するリスクを完全に排除することは困難です。万が一、食品事故や健康被害が発生した場合、行政指導や製品回収、損害賠償、風評被害等により、当社グループの業績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、食品工場に於けるHACCPに基づく衛生管理体制の構築、従業員教育の徹底、定期的な品質や衛生検査及び監査の実施などを通じて、食品の安全性確保に努めておりますが、今後も継続的な改善が求められる分野であります。

 

(3) 労働力不足、人件費の増加について

当社グループは労働集約型産業であるスーパーマーケット事業を日本国内に展開しておりますが、日本では人口減、少子高齢化による生産年齢人口の減少が進行していくとされております。

当社グループでは、賃金の上昇を含む労働環境の改善、柔軟な勤務制度の整備、教育制度の拡充等をすすめ従業員満足度の向上を前提とした人材確保に向けた取り組みを行っておりますが、これらが計画通りに進まない場合、販売機会の損失等が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、人材確保のための費用の増加、社会保障費の増加、省人化に備えた設備投資の増加等も見込まれるため、従業員の教育や情報システムの活用が進まず生産性改善ができない場合に当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) システムトラブルについて

当社グループは、業務運営及びサービス提供において各種情報システムやネットワーク通信網を活用しており、これらのシステムにおいて障害や不具合が発生した場合、業務の停滞、商品調達の遅延や欠品、お客様対応の遅滞、決済や各種サービスの中断等が生じる可能性があります。

また、外部委託先のシステム障害や、ソフトウェア・ハードウェアの不具合、サイバー攻撃、人的ミス、自然災害等によるシステム停止が発生した場合、当社グループの業績や社会的信用に影響を及ぼすおそれがあります。

当社グループでは、システムの冗長化、定期的なバックアップ、障害発生時の対応手順の整備、セキュリティ対策の強化等を通じて、システムトラブルの予防及び影響の最小化に努めておりますが、すべてのリスクを完全に排除することは困難であり、予期せぬ事象の発生により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 物流センターについて

当社グループは、物流子会社が運営する物流センターがあり、全店舗に対して定時一括納品を行い、集中的に店舗配送を行う他、静脈物流を利用した、店舗からの資源回収を行うことで効率的な物流体制を築いております。

しかしながら、物流センター内における事故や配送時における事故等、不測の事態が生じた場合には店舗への納品時間の遅れといった支障が生じる恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 個人情報の管理について

当社グループは、お客様、取引先、従業員等の個人情報を業務上取り扱っており、これらの情報の適切な管理を重要な責務と認識しております。個人情報の漏えい、滅失、毀損、不正アクセス等が発生した場合、当社グループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生、行政指導・制裁等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、個人情報保護に関する社内規程の整備、従業員教育の実施、アクセス制限やマルウェア対策等の技術的安全管理措置を講じることで、情報セキュリティの確保に努めております。しかしながら、サイバー攻撃の高度化・巧妙化、内部不正等によるリスクを完全に排除することは困難であり、今後予期せぬ事態が発生する可能性があります。

 

(7) 自然災害による影響について

当社グループの店舗や事業所、食品工場、物流網等は、地震、台風、豪雨、洪水、津波、火山噴火などの自然災害の影響を受ける可能性があります。これらの災害が発生した場合、従業員の安全確保、設備の損壊、原材料の調達遅延、製品の出荷停止、サプライチェーンの寸断等により、当社グループの事業活動に重大な支障をきたすおそれがあります。また、自然災害に起因する電力や上下水道、通信インフラの停止、交通網の寸断や規制、取引先の商品供給能力の減退等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(業績等の概要)

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続きました。しかしながら、地政学的リスク、世界経済の不確実性等により、先行き不透明な状況が継続しています。

食品スーパーマーケット業界におきましては、人件費や原材料価格の高騰等による物価上昇の中、消費者の購買行動における生活防衛意識は依然根強く、業種・業態を超えた競争もますます激化しており、当社グループを取り巻く環境は予断を許さない状況です。

このような外部環境の下、当社グループはこれまで通り食品スーパーマーケット事業に資源を集中し、経営方針である社是「正しい商売」を徹底し、お客様の信頼と支持を獲得するために、安全・安心でお買得な商品の提供に努め、地域のお客様の食文化に貢献できる店舗づくりに取り組んでいます。

 

当連結会計年度における主なトピックスは次の通りです。

 

株式会社ココスナカムラの子会社化

東京都23区内に、生鮮食料品を中心とした食品スーパーマーケット7店舗とベーカリーショップ1店舗を展開する、株式会社ココスナカムラの全株式を2024年9月1日付で取得、第3四半期連結会計期間(2024年9月1日~2024年11月30日)より連結を開始しました。

 

物流拠点「ふじみ野センター」の新設

物流業務の効率化と能力拡大の為、2024年11月に「ふじみ野センター」(埼玉県入間郡三芳町)を新設し、加工食品などのグロサリー商品の仕分け・配送業務を既存センターから移管しました。

 

既存店のリニューアル強化

既存店の活性化策として計10店舗のリニューアル(改装)を行い、その効果などにより、既存店売上高の前連結会計年度比は102.9%となりました。

また、2店舗の戦略的閉鎖を進め、当連結会計年度末現在の店舗数は136店舗(前連結会計年度末と比べ6店舗増)となりました。

 

当社グループの重点施策は次の通りです。

店舗運営施策

 

・自動発注システムの活用拡大(作業効率改善)

・従業員のマルチタスク化推進(生産性の向上)

・SNS等による積極的な情報発信(集客の強化)

商品施策

・生鮮専門店に負けない売場づくり

・惣菜部門の品揃えアイテム数の拡大

・自社ブランド「サスベジタブル」「ナチュライブ」の販売強化

・エブリデイ・ロープライスの推進

・冷凍食品や洋風メニューコーナーの売場拡大・品揃え拡充

 

 

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの営業収益は1,371億76百万円前期比5.5%増)、営業利益は60億20百万円前期比5.4%増)、経常利益は62億85百万円前期比6.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は41億31百万円前期比15.4%増)となりました。

 

(財政状態の分析)

当連結会計年度末における財政状態の概況につきましては、新たに株式会社ココスナカムラを連結子会社としたことにより、資産及び負債に一定の増加が見られました。

 

資産の部

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ55億24百万円増加し、577億3百万円前期比10.6%増)となりました。主な増加要因は、事業運営資金の充実を目的とした「現金及び預金」の増加、及び将来の事業成長に向けた設備投資に伴う「建設仮勘定」の増加が挙げられます。

 

負債の部

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ19億34百万円増加し、308億39百万円前期比6.7%増)となりました。主な増加要因は、設備投資等に係る資金調達を目的とした「長期借入金」の増加によるものです。

 

純資産の部

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ35億90百万円増加し、268億64百万円前期比15.4%増)となりました。主な増加要因は、当期純利益の計上に伴う「利益剰余金」の増加です。減少の主な要因は配当金の支払いによるものです。

また、当連結会計年度末における自己資本比率は、46.6%(前連結会計年度末は44.6%)と改善しており、財務の健全性は引き続き維持されています。

 

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ7億67百万円増加前期比6.1%増)し、134億37百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得た資金は、52億66百万円であり、前期比28.5%(20億95百万円)の減少となりました。これは主に売上債権の4億97百万円の増加等によるものです。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動に使用した資金は、30億50百万円であり、前期比7.3%(2億39百万円)の減少となりました。これは主に、固定資産の取得による36億29百万円の支出によるものです。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動に使用した資金は、14億48百万円であり、前期比241.9%(10億24百万円)の増加となりました。これは主に、借入金80億5百万円の返済及び、配当金の支払い6億71百万円等によるものです。

 

 

③ 販売及び仕入の状況)

(部門別販売実績)

当社グループは、食料品及び日用雑貨品等の販売を主力としたスーパーマーケット事業がほとんどを占める単一セグメントであるため、商品部門別に記載しております。

 

部門別

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

売上高(百万円)

構成比(%)

前年同期比(%)

スーパー部門

生鮮部門

青果

19,095

14.3

109.2

鮮魚

12,288

9.2

104.0

精肉

15,149

11.3

103.3

惣菜

18,365

13.8

107.8

小計

64,899

48.6

106.4

グロサリー部門

デイリー

32,560

24.4

104.1

一般食品

26,350

19.7

107.3

酒類

6,804

5.1

101.6

雑貨

1,916

1.4

98.5

その他

396

0.3

108.5

小計

68,028

50.9

104.9

スーパー部門計

132,928

99.6

105.6

物流部門

593

0.4

115.1

合計

133,521

100.0

105.7

 

(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.グロサリー部門におけるデイリーは、牛乳・乳製品・パン・漬物・冷凍食品・練物等であります。

3.グロサリー部門におけるその他は、銘店・切手等であります

 

 

(部門別仕入実績)

 

部門別

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

仕入高(百万円)

構成比(%)

前年同期比(%)

スーパー部門

生鮮部門

青果

15,247

15.8

109.4

鮮魚

8,540

8.9

103.7

精肉

9,818

10.2

102.7

惣菜

9,600

10.0

105.5

小計

43,206

44.9

105.8

グロサリー部門

デイリー

24,276

25.2

103.8

一般食品

20,300

21.1

106.6

酒類

5,737

6.0

102.4

雑貨

1,467

1.5

97.6

その他

301

0.3

106.8

小計

52,084

54.1

104.5

スーパー部門計

95,290

99.0

105.1

物流部門

963

1.0

118.3

合計

96,254

100.0

105.2

 

(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.グロサリー部門におけるデイリーは、牛乳・乳製品・パン・漬物・冷凍食品・練物等であります。

3.グロサリー部門におけるその他は、銘店・切手等であります。

4.生鮮部門における惣菜の金額には、グループ食品工場における原材料仕入が含まれております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営状態及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ71億44百万円増加し、1,335億21百万円前期比105.7%)となりました。売上高の増加要因は、以下のとおりです。

・仕入原価の上昇に対応しつつ、価格の安さを保ちながら、適切な価格改定を行ったことによる増加。

・既存店の活性化施策として計10店舗の改装を実施し、既存店売上高が前期比102.9%となったことによる増加。

・株式会社ココスナカムラを2024年9月より連結子会社化したことによる増加。

 

売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ25億27百万円増加し、360億67百万円前期比107.5%)となり、売上総利益率は27.0%となりました。

 

営業収入

当連結会計年度の営業収入は、前連結会計年度に比べ6百万円減少し、36億54百万円(前期比99.8%)となりました。

 

営業総利益

当連結会計年度の営業総利益は、前連結会計年度に比べ25億20百万円増加し、397億22百万円前期比106.8%)となり、売上高対営業総利益率は29.7%となりました。

 

販売費及び一般管理費

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ22億15百万円増加し、337億2百万円前期比107.0%)となりました。この増加は、株式会社ココスナカムラを2024年9月より連結子会社化したことに伴い、同社の人員及び店舗が当社グループに加わったことによる影響のほか、以下の要因によるものです。

・当社グループ全体で実施した賃上げによる給与手当の増加。

・電気料金の値上げによる水道光熱費の増加。

なお、当連結会計年度の売上高対販売費及び一般管理費率は25.2%となりました。

 

営業利益

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ3億5百万円増加し、60億20百万円(前期比105.4%)となりました。

 

経常利益

当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ3億57百万円増加し、62億85百万円前期比106.0%)となり、売上高対経常利益率は、4.7%となりました。

 

特別損益

当連結会計年度において、特別損失として、2億92百万円の計上をしております。内訳は不振店舗の減損損失1億80百万円、店舗改装による固定資産の除却損87百万円等によるものです。

 

親会社に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ5億52百万円増加し、41億31百万円前期比115.4%)となりました。

 

 

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性についての分析)

資金の流動性につきましては、通常の営業上の運転資金にも充分対応できる資金を有しております。また、資金の流動性に一部支障を来す事象が発生した場合にも、金融機関との間で締結している当座貸越契約により144億円の借越枠を確保しておりますので、それを利用することで一定の流動性を維持できると判断しております。

 

② 経営者の問題認識と今後の見通しについて

(目標とする経営指標)

当社グループは業界の勝ち組企業となるため、当連結会計年度末現在、自社の収益力を的確に示す指標として売上高経常利益率が非常に重要と考えており、その中期的な目標を4.0%超に設定しています。

 

(今後の見通し及び重点施策)

当社グループを取り巻く環境は、不安定な国際情勢や為替の変動の影響、商品仕入価格や光熱費をはじめとする各種コストの高騰等により、依然として厳しい経済環境が続くことが予想されます。さらに、業種・業態を超えた競争も激化しており、将来の見通しは不透明な状況にあります。

当社グループは、地域密着型の食品スーパーとして、環境や健康に配慮した暮らしの提案と、地域の食文化への貢献に取り組みます。また、地域のインフラとしての役割も果たすため、以下の重点施策を進めていきます

 

重点施策

具体的な取り組み

商品施策

美味しさと品質の追求

- 低価格志向に対応しながら品質向上

- 鮮度管理・商品管理の改善(食品ロス削減)

環境に配慮した商品の提供

- 自社ブランド「ナチュライブ」のアイテム数拡大

- 食品リサイクル・ループに沿い育成された農産物、自社ブランド「サスベジタブル」のアイテム数拡大

多様化するライフスタイルへの対応

- 地域ニーズに応えた品揃え

- エブリデイ・ロープライスの維持

- 時短商品を積極展開

店舗運営施策

接客・サービスの向上

- 笑顔でのあいさつ、従業員の身だしなみ向上

清掃・衛生管理の徹底

- お客様が安心できる店舗環境の提供

ヤングファミリー層の支持拡大

- SNSや公式アプリでお買い得・新商品情報を発信

業務効率の改善

- 自動発注システムの活用

- 従業員のマルチタスク化推進

 

 

③ 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループが当該財務諸表の作成に用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、以下の会計方針及び見積りが連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

固定資産の減損

当社グループは、食品スーパーマーケット事業を展開しており、固定資産の減損会計の適用にあたっては、会社の実態を的確に反映することを目的として、資産のグルーピング、減損の兆候の判定、減損損失の認識の要否の判断、及び減損損失の測定を行っております。これらのプロセスにおいては、合理的かつ説明可能な仮定及び見積りに基づいて判断しておりますが、今後市場環境について想定を上回る変化が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。

 

繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画における課税所得に基づき、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、当社グループの業績の推移などから将来の課税所得を合理的に見積り判断しておりますが、今後将来の不確実な経済条件の変動等により課税所得の予測に影響を与える変化が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

退職給付債務の算定

確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、死亡率、退職率や年金資産の長期期待運用収益率等の様々な計算基礎があります。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、将来の退職給付費用及び債務が変動する可能性があります。

 

資産除去債務の計上

当社グループは、主に店舗用土地建物の不動産賃借契約に伴う原状回復義務等に備えるため、資産除去債務を計上しております。計上にあたっては、過去の実績を基に算定した原状回復費用の見込み額を現在価値に割り引いて算出しておりますが、今後新たな事実の発生等に伴い、資産除去債務の見積り額が変動する可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。