文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、創業以来の歴史と現在及び将来を見据え、経営における基本的な価値観を醸成し持続的な発展を図る礎として、次の経営理念に基づき経営を行っております。
「私たちは、国内外の事業パートナーに『最適な商品、最高のサービス』を提供し、製造業の技術革新を通して産業全体の発展に寄与します。」
この経営理念の達成に向けて、自らが変化し続けることで「専門力会社 NaITO」として存在感を高め、すべてのステークホルダーに貢献してまいります。
当社グループを取り巻く経営環境は、設備投資・生産活動に持ち直しの動きが見られたものの、新型コロナウイルス感染症の感染状況、円安の進行、物価高騰など下振れリスクにより景気の先行きは不透明な状況で推移しました。今後については、欧米経済の減速による輸出減少、原材料価格やエネルギーコスト等の上昇による企業収益の悪化及び車載半導体不足による自動車産業の停滞等の要因により、先行き不透明な状況で推移するものと認識しております。
このような状況のもと、当社グループは令和3年度より「中期経営計画 Achieve2025(令和3年3月1日~令和8年2月28日)をスタートしました。この5か年においては、既存事業のシェア拡大を図るとともに、デジタル技術を活用した受発注業務や物流業務等の自動化による生産性の向上を図りつつ、物品販売からアフターサービスを行うオールインワン事業を確立し、お客様から機械工具のソリューションパートナーとして頼られ選ばれる企業を目指していきます。
〔重点課題〕
オールインワン事業を展開する新たな卸の形態に変わる。
〔目標とする経営指標〕
当社は、令和7年度までに達成すべき数値目標を掲げておりましたが、今後は物価高・人手不足及びアメリカ政府の政策動向等の要因により、先行き不透明な状況で推移するものと予想しており、以下のとおり変更しました。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社は、環境保全が重要な経営課題のひとつであることを認識し、「社会的な存在価値を高めながら成長し続ける企業」として、人と社会にやさしい環境の創造を目指します。
①ガバナンス
当社は、持続的な企業価値の向上に向け、内部統制の徹底及びリスク管理の強化に努めております。当社のサステナビリティ全般に関するガバナンスについては、
②リスク管理
当社は、「リスク管理規程」を制定し、様々なリスクに対して的確な管理・実践ができる体制を整備しております。当社のサステナビリティ全般に関するリスク管理については、
(2) 気候変動についての取組
当社は、気候変動に対する企業の社会的責任として、Scope1,2の算定に取組とともに温室効果ガス排出量削減を目指してまいります。なお、当該指標を用いた目標については、現時点において定めていないため記載をしておりませんが、今後検討を重ねてまいります。
(単位:ton-CO2)
(3) 人的資本についての取組
①戦略
当社は、社員を「最も重要な財産」と位置付け、経営理念・経営ビジョンの実現に向けて、それぞれの能力や可能性を自律的かつ最大限に伸ばすための人事基本方針を掲げております。
「人財育成方針」
・人事運営の基本精神
当社は、社員の成長が会社の成長を支え、それによってやり甲斐が向上し、報酬も高まっていくと考えます。こうした考え方の下、社員の働き甲斐を重視した、公平・公正で分かりやすく透明度の高い人事運営を行っていきます。
・人財育成の重視
企業が持続的に成長を図っていくためには、社員が常に個々のノウハウ・スキルを高めていく必要があります。当社は、現場での経験や教育研修等を通じて人財育成を図るため、社員それぞれの意欲と能力にあわせて、十分な経験と挑戦の機会を用意します。
「社内環境整備方針」
・人事基盤の整備
当社は、社員が安心して成果創出と能力向上に取り組めるよう、勤務体制、処遇、福利厚生などの人事基盤を整備します。
・適材適所と機動的な人事
当社は、事業運営を最適に行うため、年令・性別・学歴等にとらわれず、適切な人財を配置していきます。そして、経営環境にあわせて、異動や人員数の見直しを柔軟かつ機動的に実施していきます。
・チームワークによる組織力発揮
当社は、個人プレーではなく、チームワークによる組織力の発揮を重視していきます。そのために、自部署のみならず他部署とも闊達にコミュニケーションが取れる風通しの良い組織風土を創ります。そして、組織力を高めるために、管理職がマネジメント能力とリーダーシップを発揮していきます。
・貢献に対する報酬
当社の報酬は、年令や勤続年数などに対して支払われるものではなく、社員の会社への貢献に対して支払われるものと位置づけます。会社への貢献とは、社員が、求められた役割と責任を深く認識し、持てる力を十分に発揮して、当社の繁栄に寄与することです。
②指標及び目標
当社は、時代に合わせた専門人財および中核人財育成を推進するために、人財育成及び社内環境整備に関する指標・目標を次のとおり設定しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社が判断したものです。
(1) 事業環境変動によるリスク
当社の主要販売商品群である切削工具・計測・産業機器・工作機械等は、自動車産業と密接な繋がりがあり、当社の業績は同業界の生産活動及び設備投資等の動向により強く影響を受けております。従って、今後同業界の事業活動において予期し得ない景気変動が当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。また、経営者が高齢化している得意先が増加するなか、後継者不在に伴う廃業・倒産により得意先が減少した場合には、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 金利変動によるリスク
借入金により調達した事業資金の金利は、短期金融市場の大きな変動により支払利息等が増減し当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 取引先与信のリスク
当社は、与信管理の徹底を図り万全を期しておりますが、今後の景気動向等によっては想定を超える取引先の信用状態の悪化等が生じる可能性があり、当社の経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
(4) 商品市況の変動によるリスク
当社は、お客様の多様な商品ニーズに対する即納体制確立のため、特に切削工具について多品種の在庫を有しております。商品市況の変化によっては過剰在庫を抱える可能性があり、キャッシュ・フローの滞りや商品評価損の計上により、当社の経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。 また、物価高騰による商品仕入れ価格の値上げや運送費等の経費増加分について、販売価格への転嫁など適宜な対応が出来なかった場合、当社の経営成績及び財務状態に影響を与える可能性があります。
(5) 災害・事故等によるリスク
地震等の自然災害、火災・事故や感染症の流行などにより、当社及び取引先の営業・物流拠点や従業員が被害・行動制限を受け、事業活動に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 情報セキュリティに関するリスク
当社は、情報セキュリティの重要性を認識し、企業価値を高めて社会から揺るぎない信頼を得るため、情報資産の有効な活用とその適切な保護・管理を情報セキュリティ基本方針として定め、規程やインフラを整備するとともに親会社とも連携を取りながら全社で推進しております。しかしながら、サイバー攻撃や予期しないシステム障害等が発生した場合には、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 少子高齢化によるリスク
当社は、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少等により人財の確保と育成に支障をきたした場合には、当社の経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績及び財政状態の状況
a. 経営成績
当連結会計年度における当社を取り巻く経済環境は、全体として緩やかな回復基調であるものの、一部自動車メーカーの生産・出荷停止による影響がみられたことや、原材料価格の高騰に起因するコスト負担増の要因により、先行き不透明な状況で推移しました。
このような状況のもと、当社グループは「中期経営計画 Achieve2025(令和3年3月1日~令和8年2月28日)」の4年目として重点施策を着実に実行するとともに、昨年度より営業改革プロジェクトを発足、営業活動可視化への取り組みを通じ生産性向上に努めております。3月には、中部地方の一層のサービス向上を目的として岐阜事務所を新設しました。また、時代やニーズに合った専門人財育成のために、5月より営業力強化の研修を開始しました。昨秋には新たな事業機会の拡大と取引先等との関係構築拠点として、名古屋支店の1階部分に「テクニカルセンター」を開設し、昨年10月に開催されたJIMTOF2024(日本国際工作機械見本市)に関連する「AFTER JIMTOF2024」と題した展示会・セミナーを12月に開催しました。海外拠点のあるベトナム・タイ・中国においては、中期経営計画の重点施策を着実に実行し、事業拡大に努めました。
取扱商品分類別の取組状況等は、以下のとおりです。
(切削工具)
主力取扱商品である切削工具につきましては、主力メーカーの販促企画や各種キャンペーンの着実な実行、当社オリジナルブランド「Victoryエンドミル」の拡販、新規取扱メーカーとの取組強化・取引拡大、NICE-NET利用・EDI連携推進による利便性向上や在庫拡充による品揃えを強化し、売上高は215億52百万円(前年同期比0.5%増)となりました。
(計測)
計測につきましては、地域の特質を考慮した展示会・セミナーの実施、省エネ・SDGsを意識した商材の販売強化、測定工具・計測機器の拡販および検査・校正ビジネスの拡大等に取り組んだものの、売上高は39億94百万円(前年同期比1.8%減)となりました。
(産業機器・工作機械等)
産業機器・工作機械等につきましては、工作機械等設備の販売に努めるとともに、当社独自の販促企画の実施、新規取扱メーカーの拡充、省エネ・SDGsを意識した商材の販売強化等に取り組んだものの、売上高は180億8百万円(前年同期比2.9%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は435億55百万円(前年同期比1.2%減)、営業利益は4億64百万円(同8.1%減)、経常利益は5億2百万円(同9.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億14百万円(同9.1%減)となりました。
b. 財政状態
当連結会計年度末の資産、負債および純資産の状況は、以下のとおりです。
(資産)
資産は、172億26百万円と前連結会計年度から5億53百万円減少しました。これは、電子記録債権が1億70百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が5億16百万円減少したことが主な要因です。
(負債)
負債は、43億15百万円と前連結会計年度から6億38百万円減少しました。これは、未払法人税等が1億62百万円増加したものの、短期借入金が8億3百万円減少したことが主な要因です。
(純資産)
純資産は、129億11百万円と前連結会計年度から84百万円増加しました。これは、配当金の支払いにより利益剰余金が2億19百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益3億14百万円の計上により利益剰余金が増加したことが主な要因です。なお、自己資本比率は74.9%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
仕入債務の減少額2億円、法人税等の支払額35百万円等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益5億2百万円、減価償却費3億50百万円、売上債権の減少額3億45百万円等の増加要因により、11億58百万円の収入超過となりました(前年同期は1億1百万円の収入超過)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出78百万円、無形固定資産の取得による支出76百万円等の設備投資により、1億58百万円の支出超過となりました(前年同期は4億52百万円の支出超過)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払額2億19百万円、短期借入金の減少額8億3百万円等の減少要因により、10億22百万円の支出超過となりました(前年同期は3億円の収入超過)。
(現金及び現金同等物の増減)
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末から24百万円減少し、1億1百万円となりました(前連結会計年度末は1億25百万円)。
③ 販売の状況
当連結会計年度における販売実績は以下のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、期末日における資産及び負債の残高、収益及び費用等に影響を与える仮定や見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる合理的見積りを行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれらの見積りと異なる可能性があります。
なお、当社グループの連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のようなものがあると考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、取引先の財務状況等が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
b.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合には、繰延税金資産が減額され税金費用の追加計上が発生する可能性があります。
c.棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価方法として、移動平均法による原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)、最終仕入原価法を採用しております。しかし、市況や商品ライフサイクルの変化等に伴い、帳簿価額を切り下げる棚卸資産が増加した場合には、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、棚卸資産の評価に係る重要な会計上の内容に関する情報については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の状況
売上高につきましては、各種施策に取り組み当社取扱商品である切削工具の前年同期の売上高を上回ったものの、計測及び産業機器・工作機械等の売上高が前年同期を下回り435億55百万円と前年同期と比べ5億8百万円(前年同期比1.2%減)の減収となりました。
営業利益につきましては、年度中の人員構成の変化等により人件費が前年を下回り、これにより販売費及び一般管理費が減少したものの、売上高の減少に比例して売上総利益が減少した結果、4億64百万円と前年同期と比べ40百万円(前年同期比8.1%減)の減益となりました。
経常利益につきましては、主に営業利益の減少により、5億2百万円と前年同期と比べ50百万円(前年同期比9.0%減)の減益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、今年度は固定資産除却損がなかったものの、経常利益の減少により3億14百万円と前年同期と比べ31百万円(前年同期比9.1%減)の減益となりました。
b.財政状態の状況
資産につきましては、主に売上高減少に伴う売上債権の減少により、172億26百万円と前連結会計年度から5億53百万円減少しました。
負債につきましては、主に売上高減少に伴う資金需要減少により銀行借入が減少したため、43億15百万円と前連結会計年度から6億38百万円減少しました。
純資産につきましては、主に営業活動等における利益の計上による増加要因及び株主還元における配当金の支払いによる減少要因により、129億11百万円と前連結会計年度から84百万円増加しました。なお、自己資本比率につきましては、74.9%と前連結会計年度から2.8ポイント増加しました。
c.キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に営業活動等における利益の計上により、11億58百万円の収入超過となりました(前年同期は1億1百万円の収入超過)。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に固定資産の取得等により、1億58百万円の支出超過となりました(前年同期は4億52百万円の支出超過)。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に金融機関からの短期借入返済等により、10億22百万円の支出超過となりました(前年同期は3億円の収入超過)。
以上の結果、現金及び現金同等物は1億1百万円と前年同期と比べ24百万円の減少となりました。
d.資本の財源及び資金の流動性について
当社は、事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金及び外部資金を効率的かつ有効に活用しております。
短期資金需要につきましては、営業活動により得られた資金のほか金融機関から借入を行い、長期資金需要につきましては、金融機関からの借入及びリース会社とのリース契約を行うことを基本としております。また、金融機関と当座貸越契約を締結することで流動性の確保にも努めております。
なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は73百万円となりました。
e.目標とする経営指標の達成状況等
当社グループは、「中期経営計画 Achieve2025」(5カ年:令和3年3月1日~令和8年2月28日)の4年目として、最終年度目標である売上高550億円、経常利益15億円を達成するために経営を推し進めたものの、4年目の売上高計画・経常利益計画ともに未達となりました。
なお、最終年度目標である経営指標は「第1企業の概況2 事業の状況(2)経営環境及び優先的に対処すべき課題[目標とする経営指標]」に記載のとおり変更しました。
該当事項はありません。
該当事項はありません。