第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

  当社および当社グループは、「お客さまと従業員の『圧倒的な安心とワクワク』を実現する」を経営ビジョンに

掲げ、「現場重視」「従業員満足」「シナジー創出」を経営方針とし、引き続きお客さま及び従業員の安全・安心の確保に注力するとともに、変化するお客さまの行動に対して柔軟かつ迅速に対応する、最も地域に貢献する企業集団を目指しています。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

  当社は、2024年1月30日に2024-2026年度の3カ年中期経営計画を開示しました。中期経営計画では、「企業文化の確立」「既存事業の改革」「事業インフラの統合とシナジー創出」の3つの基本戦略に加え、ESG経営の推進に取り組みます。基本戦略に基づく施策を実行すべく3か年において860億円の投資を計画し、2026年度営業収益8,450億円、営業利益率2%超、2030年度営業収益1兆円を目指します。

 

(3) 会社の対処すべき課題

 当社を取り巻く環境は、人口減少や少子高齢化、業態を超えた同質化競争の激化等、従前からの課題に加え、お客さまの節約志向の高まりや各種コストの増加など、先行きが不透明な状況が見込まれます。

 このような環境下、当社は統合2年目を迎えます。中期経営計画に掲げた基本方針「企業文化の確立」「既存事業の改革」「事業インフラの統合とシナジー創出」、そしてその土台となる「ESG経営の推進」に引き続き取り

組みます。

 まず、物価上昇基調の継続に対し、お客さまの暮らしを最大限支えるべく、「安さ」の訴求に注力します。「トップバリュ」の拡販やEDLP(エブリデイ・ロー・プライス)商品のアイテム数の拡大を図るとともに、自社オリジナル商品の開発を進め、商品価値の向上と同時に売上総利益の拡大を図ります。そして、多様化するお客さまニーズへの対応や店舗の利便性向上に向け、既存店の活性化やスクラップ&ビルドを積極的に実施し、MD(マーチャンダイジング)・設備・サービスの刷新に継続して取り組みます。また、DXを推し進める等、省人化・省力化の施策を推進するとともに、サプライチェーンの統合による配送の効率化、プロセスセンター機能の充実、仕入れ・調達の統合によるシナジーの追求等を推し進め、コストの上昇対応にスピードを上げて取り組みます。加えて、本年、事業活動を支えるインフラである各システムの統合を計画どおり完了させ、次年度の本格稼働に向けて、着実に進めていきます。

 ESG経営の推進においては、当社のサステナビリティ基本方針に基づき、脱炭素社会の実現や資源循環の促進等、環境対策に取り組むとともに、地元のスポーツ促進や文化振興への貢献に努めます。そして人的資本経営を具体化し、ダイバーシティの実現や働き方改革等に引き続き取り組みます。さらに、コンプライアンス遵守を目的とした研修や教育を実施し、モニタリングを適時行うなど強固なコンプライアンス体制を構築し、ガバナンス強化を推し進めます。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取り組み】

当社は、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することが重要であると認識しており、サステナビリティに関する基本的な考え方および具体的な取り組みについて、以下のとおり方針を定めております。

 

【サステナビリティ基本方針】

当社は、「豊かなくらしづくりを提案し、地域社会の発展に貢献し、人々を大切にする」という理念のもと、地域社会に密着した経営を推進しております。

「環境」・「社会」の両面において、地域に根差した活動を多くのステークホルダーの皆さまとともに積極的に取り組み、持続可能な社会の実現をめざします。

 


 

(1) ガバナンス

【ESG経営を推進する体制】

当社は、ESG経営の推進に向けた取り組みを推進すべく、代表取締役社長直轄下にサステナビリティ推進室及びダイバーシティ&インクルージョン推進室を設置しております。また、代表取締役社長を委員長として、取締役・監査役・上席執行役員にて構成されるサステナビリティ委員会ならびにダイバーシティ委員会を設置し、毎四半期に1回開催しております。両委員会は、基本方針・目標の策定や、目標に対する進捗管理・経営方針や経営計画に対するサステナビリティ視点での検証、SDGsに対する取り組み、人的資本・多様性への取り組みの審議を行い取締役会へ報告します。

取締役会は、報告をもとにリスクおよび機会に対する取り組みに関し、進捗・目標達成状況の監督と対応策の承認および必要な助言を行っております。

 

 


 

 

 

(2) 戦略

【環境面の取り組み方針】

環境に配慮した企業活動によって、限りある資源を大切にして、地域と共生する店舗と共に、持続可能な社会の実現をめざします。

 

[サステナビリティを推進する体制]

サステナビリティを推進する体制として、社内の関係部署が連携した「カーボンニュートラル推進チーム」と「資源循環促進チーム」と組成し、それぞれのテーマに沿ったより具体的な取り組み施策の検討と推進、その取り組み状況のモニタリングや改善活動を行っております。

 


 

[具体的取り組み]

① 脱炭素社会の実現

  省エネの推進、節電対応、再エネの活用

② 資源循環の促進

  リサイクル資源の活用、レジ袋・プラ資材の削減、食品廃棄の削減

③ 生物多様性の実現

  環境・資源・保護型商品の拡販、店舗・事業所の緑化

 

【社会面の取り組み方針】

企業活動を通じた地域社会への貢献として、”食”や”暮らし”に関連した活動を推進し、明るく豊かで健康に暮らせる街づくりに貢献します。

[具体的取り組み]

① 地域社会への支援

  地域団体・ボランティア支援、地産地消の推進、食育の支援、募金、チャリティイベント、子育て支援

② スポーツ促進、文化振興

  スポーツチームの協賛・支援、健康増進イベント協賛、伝統芸能支援、文化振興

③ 防災への取り組み

  地域包括協定の締結、ご当地WAON利用金額の一部の寄附、災害時救援物資の支援、防災イベントの実施

 

 

 【人的資本・多様性への取り組み方針】

人事ビジョンに基づき、現場を支え、会社を支える人材の獲得と定着に向け、多様な価値観や働き方を尊重する企業風土づくりをめざしています。

   [人事ビジョン]

  〇価値観の多様化や変化する環境の中で勝ち抜く強さを持った組織・チームづくりをめざす。

  〇すべての社員が学び成長しながら、楽しみ、成果を出せる組織・チームづくりをめざす。

  〇お互いが認め合い、自ずと人が集まる組織・チームづくりをめざす。

  〇地域社会とお客さまへの貢献を第一に考える組織・チームづくりをめざす。

 

  [具体的取り組み]

①働きやすい職場づくり

従業員が仕事を通じて「お客さま」のために何ができるか考えて自律的に行動できる組織づくり、心理的安全性が確保された高いチーム力を醸成します。

    ・「ビジョンミーティング」を通じた、経営理念・ビジョンの全従業員への浸透。

        ・ビジョンに基づいた従業員の自発的行動をベースとした職場改善活動。

        ・人権研修の毎年継続実施による、お互いを尊重し、誰もが安心して働ける風土の醸成。

        ・イクボスの育成(イクボス検定の取得促進)。

          ・ダイバーシティ推進室が関係部署と連携した困りごと解消。

②人材育成と人材開発

持続的に発展・成長し続ける企業であるために、従業員一人ひとりの潜在能力・可能性を導き出し、成長を促し、変化に対応できる人材育成として、現場教育であるOJT(On-the-Job Training)に重点を置きながら、キャリアに応じてさまざまな教育を実施し、社員の能力開発を進めています。

 

資格等級別研修

資格試験合格者を対象に、新資格に求められる心構え、価値観の浸透、マネジメントスキルの習得を図る。

階層別研修

新任役職者または候補者を対象に、それぞれの職位に求められるマネジメントの基礎知識や技術、業務上必要な知識の習得を図る。

年次別研修

入社3年目まで毎年、社会人としての基礎対応力、マネジメント基礎を習得。以降、節目の5年・10年目に、キャリアデザイン等将来に向けた研修を実施。

部門別研修

実務に必要な知識や技術の習得を目的に、各部門別に専門知識・技術を持ったトレーナーが教育を実施。

自己啓発講座、教育図書支援

通常業務だけでは得られにくい知識やスキルに関する通信講座の受講や、自己啓発や様々な知識を学べる書籍の購読、WEB講座受講などの支援。

 

 

③女性活躍の推進

ダイバーシティ&インクルージョン推進室の設置と活動による、女性管理職の育成への教育機会の創出と継続的な支援、精神的・心理的な側面と技術・技術的な側面の両面からのサポート体制づくりと推進。

 ・キャリアスイッチオン!セミナー(ダイバーシティ&インクルージョン推進室主催の全従業員対象セミナー)

   性別・年齢・キャリアを不問のメンバーを対象としたキャリアアップを後押しする啓蒙するセミナー

 ・ダイ満足カレッジ派遣(イオン(株)主催の女性対象、管理職育成セミナー)への派遣

④障がい者雇用の推進

 ・事業エリア内の特別支援学校との連携を積極的に実施し、当事業年度は10校12名の卒業生を採用。現在約1,000名の障がい者が活躍中。

 ・障がい者の働きやすい職場環境の実現を目指した取り組みの結果、香川県において、高松デリカプロセスセンターが「障がい者雇用優良事業所」として認定。

 ・特例子会社(フジ・ハートデリカ)、就労支援A型事業所(フジ・ハートクリーン、フジすまいるファーム飯山)計3社を子会社として運営。

⑤外国籍人材雇用の取り組み

・地元の管理組合と連携し、技能実習生を積極的に雇用。当社責任者が、現地にて対面での選考を行うことで、信頼関係を築き雇用につなげ、現在約300名を雇用。

・経験を積んだ技能実習生の定着を推進することで、現在約110名の特定技能外国籍人材を雇用。

・当事業年度において、外国籍正社員5名を新卒採用。今後も継続的に採用を推進。

 

⑥離職を防ぐ施策の拡充

介護休業・介護勤務の取得、性差のない育児休業取得・育児勤務の推奨。

・介護休業が必要な従業員が安心して休むことができるよう、育児休業と同じく社会保険料の個人負担免除の制度を導入。

個人の事情でやむなく離職した後も、退職時と同じ条件で再度活躍できる「リ・エントリー制度」を導入。

 

(3) リスク管理

当社は、企業統治の体制として、内部統制委員会、サステナビリティ委員会及び関係会社会議を設置しております。サステナビリティに関する課題やリスクについては、「サステナビリティ委員会」にてより詳細な検討・管理をしており、サステナビリティ関係のリスクとして以下の内容を認識しております。

[サステナビリティに関するリスク]

区分

リスクの内容

環境面

・土壌・大気・水質汚染や、不適切な廃棄物処理への対応が不十分な場合において、法的制裁や賠償請求、社会的信頼の低下につながるおそれがあります。

・温室効果ガス削減などの気候変動対策が不十分である場合、社会的な批判や事業機会の損失、社会的評価が低下するおそれがあります。

・ESG経営の取り組みの遅れにより顧客、投資家、地域社会など多様なステークホルダーからの信頼を失い、企業価値の毀損につながるリスクがあります。

社会面

・人権問題への対応が不十分な場合において、サプライチェーンを含めた企業全体の信頼性が損なわれ、長期的な競争力が低下する可能性があります。

・SDGsへの貢献が不十分と評価されることで、ブランド価値の低下やレピュテーションリスクが生じる可能性があります。

 

 

 

 

 

(4) 指標及び目標

[気候変動・環境への取組に対する指標及び目標]

目標項目

目標

2024年度実績

CO2排出量の削減
(2010年比)

2025年25%以上削減

2030年50%以上削減

2010年対比

34.6%減

 

 

[人的資本・多様性への取組に対する指標及び目標]

目標項目

目標

2024年度実績

女性管理職比率

2025年度17

2030年度30%

15.2

男性の育児休暇取得率

2025年度50

35.0

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループにおける事業展開上のリスクとなる可能性があると考えられる事項は、以下の内容となります。

なお、文中の将来に関する事項は、2025年2月28日現在において当社が判断したものです。

 

 【事業特性に関するリスク】

(1) 人材の確保及び育成

 当社グループは、お客さまに満足していただける商品とサービスの継続的な提供を支える「人材の確保と育成」が重要な課題であると考えています。国内景気の動向や少子高齢化の進行による人口構成の変化等により、その計画が予定通りに進まない場合や、労働関連法令の改正等により人件費負担が増加する場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 食品表示及び食品の安全性

 当社グループは、生鮮食品等の部門において、プロセスセンターや店内での製造を実施しており、製造・販売者の責任として、さまざまな食品表示や衛生管理が必要です。これらに対して当社グループでは、マニュアルの整備や社内教育の実施、チェック体制の徹底により対策を実施しておりますが、予期せぬ事件・事故等が発生した場合には、社会的な信用の低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 情報システム

 当社グループは、店舗及び事務所等においてネットワークを構築しコンピューター管理していますが、自然災害や事故、サイバー攻撃等によって、通信ネットワークが切断、毀損された場合には、物流や商品供給、社内管理等の機能が低下し、事業に支障をきたす場合があります。この場合、業績や財務内容に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 施設保全への対応

 当社グループは、店舗施設を主な経営資産として事業展開を行っています。施設・設備保全の不備は、不慮の事故を引き起こし、お客さまや従業員の身体の安全を損ねることにも繋がり、信用を失墜することで、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 減損損失

 当社グループは、主に店舗資産を保有した営業活動を行っています。「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、保有する固定資産についての将来の回収可能性を検討した結果、店舗等に係る減損損失を計上した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 個人情報の保護

 当社グループは、個人情報の保護について、社内規程等の整備や従業員教育、情報システムのセキュリティを強化するなど漏洩防止策を徹底していますが、何らかの事情により顧客の個人情報が漏洩した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 子会社管理

 当社グループは、子会社の管理が不十分である場合、不正・不祥事の発生や、予期せぬ損失が発生し、信用失墜、業績悪化につながるリスクがあります。また、子会社の業績が悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 【事業環境に関するリスク】

(1) 原材料・エネルギー等の価格変動

   当社グループは、お客さまのニーズの変化に合わせた商品の提供と店舗開発を進めていますが、為替、原 

  油等の市況変動や景気動向により、商品・原材料・店舗資材等の調達価格や開発費用が大きく影響を受ける

  可能性があります。これにより商品仕入れや店舗設備に要する費用が増加し、当社グループの財政状態及び

  経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競争環境の継続

   当社グループは、中国・四国エリア及び兵庫県西部を基盤として店舗展開をしていますが、事業の性格

  上、異業種の参入も含め、当社グループの店舗商圏内に新規の他社店舗が多数参入した場合、当社グループ

  の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 景気・季節要因

   当社グループは、小売及び小売周辺事業を中核事業としており、その対象は一般消費者です。景気の低迷

  による購買力の低下や想定以上の天候不順により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす

  可能性があります。

 

 【規制・法的手続・災害等に関するリスク】

(1) 法的規制等

   当社グループでは、大規模小売店舗立地法、独占禁止法、食品の安全や環境・リサイクル等に関する法令

  等に十分留意した事業活動を行っていますが、万一法令違反が発生した場合や法令の制度変更等が発生した

  場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 金利・金融市場の変動

   設備投資資金は自己資金及び金融機関からの借入金により対応しており、当社グループの連結総資産に占

  める有利子負債依存度は、2025年2月28日現在で17.1%となっています。

   当社グループは借入金の圧縮等により財務体質の強化に努める方針であり、また、固定金利による資金調

  達を行うことで、金利上昇リスクの低減を図っておりますが、今後の金利・金融市場の変動により、当社グ

  ループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 感染症・自然災害等

   当社グループは、中国・四国エリア及び兵庫県西部を基盤として店舗展開しています。自然災害等に対し

  ては緊急時の社内体制を整備していますが、大規模な地震、風水害、感染症などが発生した場合、当社グル

  ープの事業活動に著しい支障が生じ、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、リスクマネジメントを、グループ各社・各部署において責任を持って取り組むべき重要な課題として位置付けています。グループ各社が、個社ごとでリスクアセスメントを実施し、個社それぞれの事業特性や事業環境にそった重点リスクを設定したうえで、マネジメント体制を組織し、継続的に審議しています。各社が実施しているリスクマネジメントの状況は、当社の全取締役にて構成される「内部統制委員会」の下部組織である「リスク管理部会」において集約され、定期報告を行っています。

当社におきましては、リスクアセスメント実施の結果、下記(1)から(5)の5項目を重点リスクに設定しています。

  各項目については「リスク管理部会」において審議を経て、「内部統制委員会」に報告しています。

 

(1) 原材料・エネルギー等の価格高騰

   全施設電気使用量のモニタリングをもとにイオン株式会社と情報を共有・連携し、総務部、建設部、サスティナ

  ビリティ推進室を主管としてマネジメントしています。

 

(2) 人材の確保及び育成

   労働時数のリアルタイムのモニタリングや企業文化確立の取組(ビジョンミーティング)の推進等の取組み

  を、人事部を主管としてマネジメントしています。

 

(3) 食品表示及び食品の安全性

   表示作成及び販売前検査や食品安全規格認証に基づくHACCP管理基準の一元管理等の取組みを、品質

  管理室を主管としてマネジメントしています。

 

(4) 情報システム

   イオン株式会社とも連携し、各種管理台帳の最新化、セキュリティ教育の実施、外部公開サーバの脆弱性対応等

  の取組みを、システム管理部を主管としてマネジメントしています。

 

(5) 施設保全への対応

   施工状況を一元化した管理リストを作成し、建設部、総務部、店舗運営本部が連携したうえで、優先順位

  を共有しマネジメントしています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の概況

当連結会計年度(2024年3月1日~2025年2月28日)におけるわが国の経済は、雇用や所得環境の改善が進み直近10月から12月の実質GDP成長率が0.6%(年率2.2%)増加するなど緩やかに回復しています。一方で、小売業を取り巻く環境は、エネルギー価格や生活必需品など長期化する物価上昇により、お客さまの節約志向が一段と高まるとともに、原材料価格の上昇をはじめとする各種コストの増加など、依然として厳しい状況が続いています。

当社は2024年3月1日、株式会社フジを存続会社とし、株式会社フジ・リテイリング及びマックスバリュ西日本株式会社を消滅会社とする吸収合併を実施しました。お客さまの日々の暮らしに寄り添い、より豊かで新しい商品・サービスの提供を目指して、新スローガン「地元に、新しいつながりを。」を掲げ、中国・四国・兵庫エリアNo.1のスーパーリージョナルリテイラーとして「新生株式会社フジ」をスタートしました。

2024-2026年度の中期経営計画を策定し、2030年度の営業収益目標を1兆円として、3つの基本戦略「企業文化の確立」「既存事業の改革」「事業インフラの統合とシナジー創出」及び「ESG経営の推進」に全社を挙げて取り組んでいます。

「企業文化の確立」については、経営理念やビジョンの浸透を図るとともに、従業員一人ひとりがより自律的に行動する風土や組織づくりを目指して、各種研修や教育を実施しました。

「既存事業の改革」については、多様化するお客さまニーズへの対応や店舗の利便性向上に向けたスクラップ&ビルドを4店舗、既存店の活性化を37店舗で計画どおり実施しました。省人化・省力化に向けたDXの推進では、新たに電子棚札を69店舗(累計90店舗)、セルフレジ等を40店舗(累計377店舗)に導入しました。

「事業インフラの統合とシナジー創出」については、サプライチェーンの統合と効率化を目指し、物流の再編を進めています。上半期は東四国で完了し、下半期は西四国にて10月に低温物流、11月に常温物流を再編、2月に広島・山口エリアの常温物流の再編を実施しました。また、生鮮品や惣菜を製造加工するプロセスセンターでは、商品の仕様統一とエリア単位での商品供給体制の再構築に取り組んでいます。商品調達や商品開発では、取引先の集約や品揃えの統一を進めるとともに、イオンのプライベートブランド「トップバリュ」の取り扱いを拡充しています。さらに、地元の素材や味付け、メニューなどを活かした自社オリジナル商品の開発にも取り組んでいます。

「ESG経営の推進」については、サステナビリティ基本方針に基づく「社会」と「環境」の両面で地域に根ざした活動を積極的に進めています。社会面では、各事業エリアで活動されている団体への寄附金の贈呈や健康促進を目的とした食育活動等、地元と一体となった様々な活動を推進しています。11月には「ほうふ幸せますWAON」(山口県防府市)の利用金額の一部を、寄附金として防府市へ贈呈し、中学校における教育教材の購入にご活用いただきました。食品ロス削減に向けた店頭でのフードドライブ活動・フードバンク活動は、2月からフードドライブを新たに愛媛県内のフジ6店舗で開始し、現在322店舗で実施しています。また、持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして、「海ごみクリーンアップ・ボランティア」など地元と一体となった活動を推進しています。環境面では、省エネや創エネの取り組みとして、省エネ型冷蔵ケースへの入れ替えやLED照明への切り替えを進めるとともに、自家消費型太陽光発電の設置も進め、新たに18店舗(累計81店舗)へ導入しました。今後もさらなる環境負荷の低減に努めていきます。さらに、人材面では、多様な人材が活躍できる組織風土の構築を目的に、「ダイバーシティ&インクルージョン推進ビジョン」を策定し、働きやすい職場づくりや継続的な教育の実施による人材育成・人材開発などに取り組むなど、従業員が自身のキャリアを思い描き、いきいきと働き続ける企業を目指していきます。

  業態別の取り組み及び売上高前年同期比は以下の通りです。

スーパーマーケット(SM)では、節約志向の高まりに対応した価格訴求として、「全力プライス」「毎日が安い」「55プラスポイント」などのEDLP(エブリデイ・ロー・プライス)商品を強化し「安さ」の提供に取り組みました。また、消費の二極化に対応した価値訴求として、「健康」「美容」「簡便」「贅沢」「環境」をテーマとした商品の提供に努めました。

既存店の活性化では、即食・簡便商品等の拡大を主とする最新のMD(マーチャンダイジング)を導入、同時に駐車場やレストスペース等設備の刷新、セルフレジの拡充等サービスの向上を進め、店舗の利便性向上に取り組み、34店舗で活性化を実施しました。また、スクラップ&ビルドでは11月にM洲本物部(すもとものべ)店(兵庫県洲本市)、M志度(しど)店(香川県さぬき市)、12月にMVイオンタウン楽々園(らくらくえん)店(広島市佐伯区)、F新居浜(にいはま)店(愛媛県新居浜市)の4店舗を開店しました。これらの結果、食料品を中心に堅調に推移し売上高前年同期比は1.8%増となりました。

ディスカウントストア(DS)では、圧倒的な「安さ」の実現に向け、プライベートブランド(トップバリュベストプライス、イオンDS専用プライベートブランド)の販売強化や来店動機につながる商品づくり、一括仕入れによるボリュームディスカウントの推進にも取り組みました。既存店の活性化では3月にB防府(ほうふ)店(山口県防府市)、7月にB美祢(みね)店(山口県美祢市)、9月にB奥田南(おくだみなみ)店(岡山市北区)を実施しました。一方、業態変更によりB防府東(ほうふひがし)店(山口県防府市)を閉店しました。これらの結果、売上高前年同期比は1.8%減となりました。

ノンストアの取り組みでは、移動スーパーの販路を拡大し、1月にMV三木北(みききた)店(兵庫県三木市)で新たに運行を開始し、87店舗、車両台数137台、752ルートで展開しています。これからもお客さまの利便性向上への対応を進め、地域とのつながりを築いていきます。これらの結果、移動スーパーの売上高前年同期比は14.8%増となりました。

なお、当社は事業基盤の強化と経営の効率化を目的に、2月28日付でフジ・TSUTAYA・エンターテイメント株式会社を吸収合併しました。また、株式会社フジ・トラベル・サービスは、2025年3月1日付で株式会社マルナカツーリストを吸収合併しました。

以上の取り組みにより、当連結会計年度の業績は、営業収益は8,089億28百万円(前期比1.0%増)の増収となり、営業総利益は2,495億7百万円(同5.3%増)となりました。一方、従業員満足の向上につなげるべく賃上げの継続的な実施に加え、将来に向けた投資としてのスクラップ&ビルドや既存店の活性化を推進するとともに、施設保全に向けた修繕を積極的に行いました。また年初の新生フジ誕生祭などの販促、本社移転などを計画通り実施したことで販売費及び一般管理費は2,365億54百万円(同6.6%増)となり、営業利益は129億53百万円(前期比14.3%減)、経常利益は143億15百万円(前期比17.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は38億18百万円(前期比48.7%減)となりました。

 

 ※注)Fはフジ、MVはマックスバリュ、Mはマルナカ、Bはザ・ビッグの略です。

 

 

 

(売上及び仕入れの状況)

 ①事業別売上高

事業の名称

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

金額(百万円)

前期比

総合小売事業

739,203

3.9%増

その他関連事業

39,035

35.1%減

合計

778,238

0.9%増

 

(注) 1 当社は単一セグメントであります。

2 上記金額は、事業会社間の取引を消去しています。

 

 ②事業別売上原価

事業の名称

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

金額(百万円)

前期比

総合小売事業

522,378

2.3%増

その他関連事業

37,042

31.0%減

合計

559,421

0.8%減

 

(注) 上記金額は、事業会社間の取引を消去しています。

 

(2) 財政状態の状況の分析

当連結会計年度における資産の残高は、前連結会計年度末から158億93百万円減少し、4,118億8百万円となりました。減少の主な原因は、借入金の返済等により現金及び預金が108億91百万円減少したこと等によるものです。

負債の残高は、前連結会計年度末から178億24百万円減少し、1,937億80百万円となりました。減少の主な原因は、支払手形及び買掛金が46億62百万円、1年内含む長期借入金が99億9百万円それぞれ減少したこと等によるものです。

純資産の残高は、利益剰余金が12億13百万円増加したことなどにより2,180億28百万円となり、前連結会計年度末から19億31百万円増加しました。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前当期純利益74億77百万円に含まれる非資金項目の減価償却費156億10百万円、減損損失48億39百万円の調整、また法人税等の支払が33億58百万円あったこと等により、167億47百万円の収入(前期は306億7百万円の収入)となりました。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、有形及び無形固定資産の取得(設備関係支払手形決済等を含む)による支出が167億88百万円あったこと等により129億69百万円の支出(前期は146億7百万円の支出)となりました。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、長期借入金の返済による支出が261億9百万円、配当金の支払額が26億4百万円、また長期借入による収入が162億円あったこと等により146億69百万円の支出(前期は106億18百万円の支出)となりました。

  以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は262億91百万円となりました。

 

(参考) 関連指標の推移

 

 

2021年2月

2022年2月

2023年2月

2024年2月

2025年2月

 

自己資本比率(%)

51.8

54.4

48.5

50.5

52.9

 

時価ベースの自己資本比率(%)

38.2

68.6

35.7

38.3

43.6

 

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.4

3.4

3.7

2.7

4.2

 

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

52.7

34.3

53.3

69.1

36.8

 

    (注) 1 各指標の算出方法は以下のとおりです。

          自己資本比率:自己資本/総資産

          時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

          キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

          インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

       2 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

       3 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

       4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象
         としています。

 

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金の源泉は、主に自己資金と営業活動によるキャッシュ・フローであり、主要な運転資金需要は、商品仕入代金や人件費等の販売費及び一般管理費です。また、投資を目的とした資金需要は、店舗の新規出店、既存店の改装、システム入替や新規導入等に伴うものであり、自己資金や営業活動によるキャッシュ・フローで不足した資金については、計画に基づき金融機関からの長期借入金により調達しています。

 

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えています。

 (固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループ(店舗を基本単位とする)から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失額として計上しています。減損処理に使用する将来キャッシュ・フローの見積り額については、当該店舗等に係る需要予測、競争環境の変化、施策方針の変更、人員配置の見直し等による販売費及び一般管理費の改善策を織り込み算定しています。なお、減損損失の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討していますが、事業計画の変更や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 親会社であるイオン株式会社との契約

相手方の名称

契約内容

契約期間

イオン株式会社

ブランドロイヤリティ契約

2024年3月1日から

2025年2月28日まで

(1年自動更新)

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。