第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは「幸せな食文化の創造」を社是とし、時代を見つめ、お客様の声に真摯に耳を傾け、お客様はもとより社会・地域への感謝を忘れず、これからも新たなチャレンジを続けてまいります。

 

(2)経営戦略等

当社グループは、いかなる経営環境下においても全役職員が一丸となって継続的成長を図り、企業価値の向上に努めてまいります。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響による、国内の個人消費は落ち込み、経済活動が停滞するなど、経営環境の悪化に対し非常に厳しい状況で推移しました。また、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による地政学上のリスクなどの影響で原材料費・物流費・光熱費の高騰が顕著となり、依然として厳しい経営環境が続き、今後の経済活動も不透明な状況で推移しております。

このような経営環境の中、新たな収益基盤を確立するために、世界的な課題である脱炭素・低炭素社会の実現や、飲食としての環境改善に寄与できる事業として、再生可能エネルギー事業へ進出し、安定的な収益基盤の確保を目指します。飲食事業におきましては正常化を図る為、地域特性や顧客ニーズに応じた販売促進を強化するとともに、既存店舗の高収益化を行い、業績向上に努めてまいります。また、人材の育成・強化を推し進めるため、戦略的な事業への投資や人件費に経営資源を集中し、中長期的な視点による安定経営を目指してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上を最大に伸ばし、経費を最小に抑えることで最大の利益を確保するという考え方に基づき、売上高成長率並びに収益性を明確に表す売上高経常利益率を経営指標としております。

また、株主資本利益率(ROE)や総資産利益率(ROA)、自己資本比率の向上を図ってまいります。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当社グループの属する外食産業におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による地政学上のリスクなどの影響で原材料費・物流費・光熱費の高騰が顕著となり、依然厳しい状況が続いております。また、当社グループにおきましても、新型コロナウイルス感染症の影響により人々の生活習慣が変化したことで、集客が見込めていた店舗の収益性が低下する等、経営成績への影響が生じております。こうした中、当社グループは、「幸せな食文化の創造」という社是のもと、ビジネスチャンスを着実に収益に繋げ、企業価値を高めていくために、以下の点に取り組んでまいります。

 

① 財務体質の健全化

2022年3月に行った臨時株主総会により決議致しました、第三者割当による新株式の発行及び第5回新株予約権の発行にて調達いたしました資金をもとに引き続き既存店の業態転換や新規店舗の出店を行い、業績の回復を図ってまいります。

 

② 経営管理体制の強化

当社グループは、企業価値を高め、株主の皆様をはじめとするステークホルダーに信用され、支持される企業となるために、コーポレート・ガバナンス向上への積極的な取り組みが不可欠であると考えております。当社グループといたしましては、今後も意思決定の明確化、組織体制の最適化、内部監査体制の充実、監査役及び会計監査人による監査との連携強化等になお一層努めてまいります。加えて、全従業員に対しても、継続的なコンプライアンスの啓蒙・教育を実施してまいります。

 

③ 衛生管理の強化、徹底

外食産業においては、食中毒事故や食材の偽装表示の問題等により、食品の安全性や品質管理に対する社会的な要請が強くなっております。また、新型コロナウイルス感染症拡大を防止するためには、より一層入念な消毒を実施することが重要となります。

当社グループの各店舗・事業所におきましては、衛生管理マニュアルに基づく衛生・品質管理を徹底するとともに、新たに新設した品質保証室による店舗への定期的な監査も行っており、その結果に基づき、各店舗・事業所に指導を行う等の衛生管理体制を整備しております。

 

④ 人材の確保及び育成

当社グループにおける最も大切な経営資源は「人」であります。当社グループ独自の風土が生み出す「人間力」は、サービス向上の原動力であり、差別化の源泉として、貴重な経営資源であると考えております。

当社グループとしましては、従来から注力している新卒・中途採用の一層の充実を図り、育成につきましては、お客様に満足して頂けるサービスを提供できる人材として、店舗スタッフのOJTは勿論、マネジメントクラスへのマネジメント研修も実施するほか、人事制度の一層の充実にも取り組んでまいります。

 

⑤ 営業基盤の立て直し

外食産業におきましては、個人消費の低迷を受けての低価格路線や、企業間競争の激化による既存店売上の減少等により、企業収益の低下傾向が長く続いており、さらに新型コロナウイルス感染症の影響、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による地政学上のリスクなどの影響で原材料費・物流費・光熱費の高騰が顕著となり、依然として厳しい経営環境が続いております。

当社グループの飲食事業におきましては、2023年3月31日現在で50店舗を有しております。そのうち20店舗が居酒屋業態の「新時代」であり、残りの店舗についてもほとんどが居酒屋業態となっております。

企業によるテレワークの導入など生活様式の変化の中で、当社グループの事業内容を早急に見直す必要がございます。そのような環境のなか、デリバリーやテイクアウト、一部店舗へのランチタイムの導入など、コロナ禍でも消費者ニーズに対応し、お客様の満足度を十分確保する観点で、立地特性に応じたメニュー開発や接客サービスの向上に注力し、お客様に喜んで頂ける店づくりに努めることを通して、収益力の底上げを図ってまいります。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 ①サステナビリティに関する考え方

 当社グループは、当社グループの経営理念である「幸せな食文化の創造」においては、かねてよりフードロスに対する問題を抱えており、現在の社会において、このフードロスを削減し再利用することで、持続可能な社会を創り上げていくことが、企業として果たすべき義務であると考えてまいりました。

 フードロスを利用したバイオマス発電事業や太陽光発電事業など、様々な再生可能エネルギーの事業形態を検討したうえで、サステナブルな社会の実現を当社グループとして果たすべく、事業活動により排出されるCO2量の削減などへの取り組みを通じて環境問題、社会問題の解決に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献します。

 

②具体的な取り組み

 当社グループは、持続可能な社会の実現に向け、環境配慮、脱炭素社会への取り組みとして、当社子会社を通じて、太陽光発電設備の取得などの再生可能エネルギー事業を推進しております。

 一方、当社グループが今後の事業拡大や企業価値向上に向け、経営戦略策定から事業推進、内部管理等、すべての経営機能の維持・高度化において人材の確保が重要な課題であると考えており、また当社グループが事業成長を継続するためには、従業員1人ひとりが成果を最大化し、持続的な成長を続けていくことが重要であると考えております。そのため全ての従業員に公平かつ透明性の高い評価制度を設け、優秀な人材は積極的に登用する方針です。また、人材採用も慎重かつ積極的に行って参ります。

 

(1)ガバナンス

国際情勢や社会環境が大きく変化し、これまでにも増して環境への意識が高まり、当社グループを取り巻く環境も変化しております。このような急速に変化し続ける事業環境に即応し、安定的な成長を実現するため、多様性に対応した取締役会を中心に体制を構築しております。経営基盤を強化し、事業機会の拡大と課題の解決を図ってまいります。

 

(2)リスク管理

当社グループは、気候変動や多様性におけるリスクや機会について、コンプライアンス委員会を設置しており全体的にリスク管理を行っております。特に環境面については、電力等の再生可能エネルギーの提供や、フードロス、廃棄物の削減といった対応策を検討・実施し、環境変化に応じて事業計画の見直しを行い継続的に取り組んでまいります。なお、当社グループはリスクマネジメント規程に基づきリスクマネジメント委員会をコンプライアンス委員会に集約しております。

 

 

 

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境に関するリスクについて

① 市場動向について

当社グループの主たる事業が属している外食業界は、景気低迷が続いたことによる消費不況や、調理済食材や惣菜等を持ち帰って食する中食市場の成長等の影響や、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、外食市場関係は急激な変化をしております。

また、当社グループの店舗は東海地区における割合が高く、当該地区特有の経済環境の変化による市場規模の変動によって業績等に影響を及ぼす可能性があります。

② 競合他社について

居酒屋業界は、他業界と比較すると参入障壁が低いため新規参入が多く、実質賃金の伸び悩み、若年世代の飲酒離れ等、非常に厳しい競合状態が続いています。その中で当社グループの店舗においては、食材仕入れの優位性とブランド開発の点で他社との差別化を図ると共に、販売促進等による客数向上を図る戦略をとっております。しかしながら、今後当社グループと同様のコンセプトを持つ他社運営の店舗が増加することにより競合状態が更に激化した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループといたしましては、永く愛される魅力的な店づくりとともに、サービスの質の向上、メニュー変更、内外装のリニューアル及び業態変更等を実施することにより、既存店売上高の維持並びに拡大を図っておりますが、当社グループが主に出店しているロードサイド等の立地において商流の変化及び周辺の商業施設との競合等が生じることで、その集客力が低下した場合、既存店舗の売上高が減少し当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 国のエネルギー政策について

当社グループが展開する再生可能エネルギー事業に関して、国のエネルギー政策が変更され、電力の固定価格買取制度における買取価格の引き下げや、買取年数の短縮等が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 気候変動リスクについて

当社グループが展開する再生可能エネルギー事業に関して、太陽光発電所の発電量は、気象条件により左右されます。米国国家航空宇宙局ゴダード宇宙研究所元所長のジェームス・ハンセン博士によると、地球温暖化が進むことで海水温が上昇すると、海から蒸発する水蒸気量が増加して雲の形成が進み、その結果、曇日や雨天日が増え、日照時間の減少につながるとの研究発表がなされております。日照時間の減少は太陽光発電所においては売電収入の減少に直結するため、気候変動は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 災害リスクについて

当社グループが展開する再生可能エネルギー事業に関して、太陽光発電所の発電量は、太陽光パネル等の設備の劣化や天災・火災等の事故により、想定した発電量と実際の発電量との間に予期せぬ乖離が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業展開及び当社サービスに関するリスクについて

① 出店政策について

当社グループの基本的な出店方針は、特定の出店地域ごとに店舗数を拡大していくドミナント方式であり、郊外ロードサイドモデルについては学生街や新興住宅地周辺への出店、都心ビルインモデルについては繁華街、ビジネス街及び駅前等の中心地への出店を基本としております。現在の展開エリアにつきましては、主に愛知県・岐阜県・三重県の東海地区の主要都市を中心として、関東地区・九州地区にも店舗展開しております。

当社グループでは、出店候補地の立地特性、賃貸条件、売上予測、投資採算性等を慎重に検討し、出店地を決定しております。そのため、当該展開エリアにおいて、計画した出店数に見合った出店地を十分に確保できない可能性があり、その場合には、当社グループの業績見通し及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

② 業態開発について

当社グループは、商圏・物件の条件に合わせた複数の個性ある業態を有しております。今後も引き続き新規業態の開発を進める予定でありますが、市場ニーズ及び消費者嗜好の変化等により、お客様に受け入れられる業態を開発できなかった場合には、当社グループの業績見通し及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

③ 出退店時に発生する費用及び損失について

当社グループでは、居抜き物件を活用し初期投資を抑えて開業する低投資出店を出店戦略としていますが、新規出店時や業態変更時に什器備品等の消耗品や販売促進に伴う費用が一時的に発生するため、大量の新規出店・業態変更や期末に近い時点での新規出店は、利益を押し下げる要因となります。また、収益性の向上を図るため、業績の改善が見込めない店舗については閉鎖しております。店舗閉鎖時には、キャッシュ・フロー及び業績への影響を総合的に勘案し、撤退時期の選定や内装設備の売却等により費用及び損失を最小限に抑えられるよう努めておりますが、固定資産除却損、賃貸借契約やリース契約の解約に伴う違約金等が発生する可能性があります。したがって、大量の新規出店、業態変更や退店を行った場合、あるいは出店時における内装工事の遅れや入居する商業施設等の完成時期のずれ込み等が発生し、新規出店が期末に近い時点に偏った場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 人材の確保及び育成について

当社グループは継続的な新規事業の開発及び更なる店舗展開を図っていく方針であるため、十分な人材の確保及び育成ができない場合には、新規事業開発の遅れ、サービスの低下による集客力の低下、計画通りの出店が困難となること等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ内外にて人材教育を行っておりますが、十分な教育が行き届かず従業員が引き起こした不祥事により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制及び知的財産等に関するリスクについて

① 食品衛生管理について

当社グループでは、「食品衛生法」を遵守し、管轄保健所を通じ営業許可を取得しております。各店舗・事業所では、食品衛生管理者の設置を管轄保健所に届け出ております。また、日常的なチェック、内部監査による監査や改善指導等を実施しておりますが、各店舗・事業所において食中毒の発生の危険性は否定できず、万一、飲食物を起因とする伝染病等が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

② 食品循環資源の再利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)について

2001年5月に施行された「食品循環資源の再利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)により年間100トン以上の食品廃棄物を排出する外食業者(食品関連事業者)は、食品廃棄物の発生量の抑制、減量及び再生利用を通じて、食品残渣物の削減を義務付けられております。当社グループは食品残渣物を削減するための取り組みを鋭意実施しており、本書提出日現在、この法令には抵触しておりませんが、今後法的規制が強化された場合には、その対応のために、設備投資等に関連する新たな費用が発生し、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律について

深夜0時以降も営業する飲食店につきましては、深夜営業について「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」により規制を受けております。各店舗における届出等、当該法令に定める事項の厳守に努めておりますが、法令違反等が発生した場合には、一定期間の営業停止等が命ぜられ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

④ 労働関連について

当社グループでは、正社員、多くのパートタイム及びアルバイトの従業員が、店舗の業務に従事しております。2018年4月に大企業より順次導入された時間外労働の上限規制、年次有給休暇の取得義務化及び36協定特別条項の設定見直し、2019年4月の同一労働同一賃金制度における雇用区分別の均等・均衡待遇の明確化と説明義務の遂行等、無期・有期双方の従業員を取り巻く法規制や労働環境には重大な変化が起こりつつあります。こうした労働関連法規制への対応や労働環境の変化により、当社グループが優秀な社員を雇用できなくなる可能性や当社グループの人件費が高騰する可能性があります。

また、当社グループにおいて労働関連法規制の違反が発生した場合は、規制当局から当社グループの業務改善が命じられることまたは従業員からの請求を受けること等により、当社グループの事業、業績、財政状態、ブランドイメージ及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 個人情報の保護について

当社グループは、お客様から頂くアンケートに記載されている情報、採用した従業員の情報等多数の個人情報を保有しており、社内規程に則った厳重な管理体制には万全を期しております。しかしながら、個人情報が外部へ漏洩するような事態が発生した場合には、法令違反、損害賠償等により、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 商標等について

当社グループの各店舗等において使用する名称・商標等については、その使用に先立ち、外部の専門家を通じて第三者の商標権等を侵害していないかについて確認し、侵害の恐れのある名称は使用を避け、かつ、可能な限り当社グループにおいて商標登録を取得する等により、これら商標の使用権の確保及び第三者の権利侵害の回避に努めております。しかしながら、当社グループの各店舗の名称・商標又は業態等が第三者のものと類似する等の理由により、第三者から当社グループの商標登録の無効審判、損害賠償、商標使用差止、営業差止等を請求され、仮にこれらの請求が認められた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事業運営体制に関するリスクについて

① 食材の安全性及び安定供給並びに価格高騰について

当社グループにおきましては、多業態を展開しているため特定の食材に依存している事実はなく、引き続き食材の安全かつ安定的な確保に積極的に取り組む方針ではありますが、天候不順による農作物の不作や政府によるセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動等需給関係の変動に伴う市況変動や、食材の安全性に関わる不安等による消費者の外食離れが生じた場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、上記の天候不順による需給関係や為替相場等によって急激に価格の変動する可能性がある食材を当社グループでは購入しております。このような事象が発生し、原材料価格が高騰した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

② 金利変動の影響について

当社グループは、出店時等における設備投資資金を主として金融機関からの借入若しくはリースにより調達しており、2023年3月31日現在における総資産に占めるこれら有利子負債の割合は59.6%(有利子負債残高1,587,601千円/総資産額2,660,257千円)となっております。今後の出店等に伴う資金調達について、引き続き経済情勢や金利動向、財務バランスを総合的に勘案し、有利子負債の適正水準の維持に努めながら事業展開を行う予定でございますが、有利子負債への依存度が高い状態で金利が上昇した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

③ 敷金及び保証金について

当社グループは、賃借による出店を基本方針としており、2023年3月31日現在、ほとんどの店舗が借家又は借地の賃借物件となっております。物件の賃借においては、賃貸人に対し敷金及び保証金を預け入れる場合があります。敷金及び保証金の残高は、2023年3月31日現在268,812千円となっており、総資産に占める割合は、10.1%となっております。

契約に際しては、物件所有者の信用状況の確認等を行い十分検討しておりますが、今後の賃貸人の経営状況によっては、当該店舗における営業の継続に支障が生じ、契約満了による退店をした際に敷金及び保証金の全部又は一部が返還されない可能性があります。また、当社グループ側の都合によって不採算店舗の契約を中途解約する場合等に、締結している賃貸借契約の内容によっては、敷金及び保証金の全部又は一部が返還されない場合があり、当社グループの財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

④ システム障害について

当社グループは、店舗の売上管理、食材の受発注、勤怠管理等の店舗システムの運営管理を、専門の外部業者に委託するとともに、バックアップ体制を十分に構築しておりますが、災害や機械の故障、コンピュータウイルスの侵入等不測の事態によってシステム障害が発生した場合には、当社グループの運営に支障をきたすことにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 株式会社ファッズからの仕入依存度について

当社グループは、同社のフランチャイジーとして「新時代」の運営をしておりますが、同社より仕入帳合をしている関係から、当社グループの仕入金額に占める同社の仕入金額が高くなっております。今後、同社に係る仕入帳合に何らかの支障が生じた場合には、その他の既存仕入先に移行するまでの間、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 減損損失について

当社グループでは、外的環境の著しい変化等により、店舗収益性が悪化し、事業計画において計画したものと大きく業績が乖離した場合、固定資産及びリース資産について減損損失を計上することとなり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 自然災害について

当社グループは東海地区を中心に店舗を展開しております。東海地区において、昨今の異常気象をはじめ、地震や台風等の天変地異により、特定の店舗に留まらず、ある程度のエリアの店舗に跨ってお客様の来店が困難になった場合、また店舗の破損・道路の寸断等によって仕入等が困難になった場合には売上及び利益が減少することが考えられます。更に被害の程度によっては、修繕費や除却損等の多額の費用が発生する可能性があるため、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 新型コロナウイルス等の感染症拡大について

新型コロナウイルス等の感染症拡大に伴い、全般的な個人消費の低迷や警戒心による来店客数の減少、政府や行政の緊急事態宣言に応じた店舗休業や営業時間短縮の実施を余儀なくされ、当社グループの業績等に影響を与える場合があります。

また、当社グループの店舗においては、感染者が発生しないよう、店舗内の消毒や衛生管理、当社グループのスタッフの健康管理を徹底しておりますが、万が一感染者が発生した場合、または、これらの感染防止のための管理コストが膨大化した場合も、当社グループの業績等に影響を与える場合があります。

 

(5)その他のリスクについて

① 配当政策について

当社グループは、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しており、内部留保による財務体質の強化を図りつつ、業績及び財政状態の推移を考慮しながら、利益配当を行っていく方針であります。しかしながら、当社グループの事業が計画通りに進展しない場合、業績が悪化した場合は、成長へ向けた投資に備え内部留保を優先する場合等利益配当が行えない可能性があります。

 

② 資金使途及び投資効果について

増資により調達した資金の使途は、全額、飲食事業における新規出店及び改装にかかる設備投資に充当する計画でありますが、出店した業態が立地に適応しなかった場合には、想定通りの投資効果を得られない可能性があります。

 

(6)継続企業の前提に関する重要事象等

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、各国政府による渡航制限を受けて訪日客が減少するとともに、日本政府による緊急事態宣言、自治体からの自粛要請により、国内外食需要に重要な影響を与えております。当社グループとしても、政府及び自治体からの各種要請等を受けて、一部店舗の臨時休業や営業時間短縮を実施しております。この結果、当社グループの店舗への来店客数は大きく減少し、売上高が著しく減少しており、当連結会計年度において営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上しております。現状では当該感染症の収束及び外食需要の回復の度合いによって、当社グループの業績の回復に一定期間を要すると考えられることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。当該状況を解消又は改善するための対応策は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」に記載しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の今後の感染状況や収束時期は不透明であり、売上高等に及ぼす影響の程度や期間を予測することは困難であるため、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループは、2022年7月15日に株式会社SSSの全株式を取得したことに伴い、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。従いまして、前連結会計年度との比較分析は行っておりません。

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言などの行動制限は緩和されたものの、ウクライナ情勢の長期化による資源や原材料価格の高騰、円安による輸入コストの急増など、依然として先行きが不透明な状況となっております。

外食業界におきましても、行動制限の緩和により国内及びインバウンド需要に回復の兆しが見られておりますが、原材料費や光熱費の急激な高騰により、依然として厳しい経営環境が続き、今後の経済活動も不透明な状況で推移しております。

このような状況の中、当社グループにおきましては、経営資源の選択と集中を推し進め、収支の改善を企図した取り組みとして、業態と立地の見直しを行い、早急な業績改善が厳しいと思われる店舗や不採算店舗の退店などを鋭意進めてまいりました。また、2021年5月14日開示の「フランチャイズ契約の締結に関するお知らせ」のとおり、株式会社ファッズの「新時代」業態にFC加盟を行い、業態転換を進めてまいりました。

また、飲食事業の成長戦略のため、2022年7月15日開示の「株式会社SSSの株式取得(子会社化)に関するお知らせ」のとおり、居酒屋事業を運営する会社を取得しております。

その結果、2023年3月末現在の店舗数は、直営店26(内FC加盟18)店舗(前連結会計年度末は27(内FC加盟13)店舗)、フランチャイズ店24店舗(前連結会計年度末は9店舗)となりました。

さらに、新たな収益基盤を確立するため、世界的な課題である脱炭素・低炭素社会の実現や、飲食としての環境改善に寄与できる事業として、再生可能エネルギー事業への進出のため太陽光発電設備の取得等を推し進めております。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,087,481千円、営業損失601,511千円、経常損失633,097千円、親会社株主に帰属する当期純損失1,135,276千円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(飲食事業)

当セグメントにおきましては、当社は新時代19店舗を含め既存店が30店舗(内FC16店舗)、株式会社SSSは居酒屋店舗を中心として20店舗(内FC17店舗)の展開により、売上高は2,087,481千円、セグメント損失は85,358千円となりました。

 

(再生可能エネルギー事業)

当セグメントにおきましては、2022年10月21日に新たにKAIHAN ENERGY JAPAN合同会社(2023年1月31日付でKR ENERGY JAPAN合同会社へ商号変更しております。)を、2023年3月31日にはKRエナジー1号合同会社を設立し再生可能エネルギー事業を開始いたしましたが、当連結会計年度では新たな太陽光発電設備の開発の着手による固定資産の取得にとどまり、売上高は発生しておりません。

 

以上の結果、当連結会計年度においては、不採算店の退店と業態変更による採算改善に取り組み、売上高及び営業損益において改善傾向にありますが、全社的な採算の改善には至らず、営業赤字を計上するに至りました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は2,660,257千円となりました。流動資産1,175,333千円の主な内訳は、現金及び預金315,114千円、短期貸付金560,000千円であります。固定資産1,484,732千円の主な内訳は、建物289,619千円、リース資産462千円、建設仮勘定464,927千円、のれん364,317千円、敷金及び保証金268,812千円であります。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は2,369,605千円となりました。主な内訳は、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)1,178,817千円、リース債務(1年内返済予定のリース債務を含む)407,284千円、未払金342,425千円であります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は290,652千円となりました。主な内訳は、資本金1,010,280千円、資本剰余金380,203千円、利益剰余金△1,135,356千円であります。

この結果、自己資本比率は9.6%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は260,304千円となっております。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は578,799千円となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失1,091,546千円、減価償却費123,641千円、減損損失399,326千円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,293,342千円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出648,835千円、短期貸付金の増加額560,000千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は625,298千円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出191,914千円等があった一方で、新株予約権の行使による株式の発行による収入が975,000千円あったこと等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 

a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

飲食事業(千円)

709,652

再生可能エネルギー事業(千円)

合計(千円)

709,652

(注)1.当期より連結財務諸表を作成しているため、仕入実績における前年同期比(%)は記載しておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

飲食事業(千円)

2,087,481

再生可能エネルギー事業(千円)

合計(千円)

2,087,481

(注)1.当期より連結財務諸表を作成しているため、販売実績における前年同期比(%)は記載しておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析

イ.財政状態

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、1,175,333千円となりました。主な内訳は、現金及び預金315,114千円、短期貸付金560,000千円であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産は、1,484,732千円となりました。主な内訳は、建物289,619千円、リース資産462千円、建設仮勘定464,927千円、のれん364,317千円、敷金及び保証金268,812千円であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は、1,333,060千円となりました。主な内訳は、1年内返済予定の長期借入金477,002千円、未払金342,425千円、買掛金175,144千円、リース債務98,545千円であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債は、1,036,544千円となりました。主な内訳は、長期借入金701,815千円、リース債務308,739千円であります。

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は、290,652千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失を1,135,276千円計上している一方で、第三者割当増資及び新株予約権の行使により資本金が1,010,280千円、資本剰余金が380,203千円となったことによります。

 

ロ.経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は2,087,481千円となりました。その主な要因は、不採算店舗の閉店に伴う売上減少並びに新型コロナウイルス感染症に伴う営業時間短縮等による売上減少によるものです。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は1,377,828千円となりました。その主な要因は、閉店による売上減少に伴うものであります。また、売上総利益率は66.0%となりました。その主な要因は、新業態への転換による利益率の変動によるものです。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,979,339千円となりました。その主な要因は、閉店による売上減少に伴う全般的な費用低減によるものであります。

(営業損失及び経常損失)

 当連結会計年度における営業損失は601,511千円となりました。また、経常損失は633,097千円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度においては、今後の業績回復が合理的に見込めない店舗に関して、特別損失として減損損失399,326千円を計上するに至りました。この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は1,135,276千円となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、当社グループの中で多くを占める居酒屋業界において、若年層のアルコール離れや少子高齢化等により市場全体が縮小しているといわれる中、他社との競合状態が激化し、当社グループの出店条件に合致する出店店舗の契約が締結できない等の理由で、新規出店が計画通りに遂行できない事態等が挙げられます。

当社グループにおきましては、出店候補地情報を幅広く収集し、早期の出店検討を図り、その地域のお客様ニーズに合った店舗開発を行う方針であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループは運転資金につきましては、営業キャッシュ・フローで獲得した資金で賄い、設備資金につきましては、出店計画に応じた資金を長期借入金により調達すること及び不測の事態を想定してある程度の資金的な余裕を保持することを基本方針としております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものの内容及び金額は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)フランチャイズ契約

相手方の名称

株式会社ファッズ

契約締結日

2021年5月14日

契約の名称

「新時代」パッケージ・ライセンス型フランチャイズ契約

契約内容

株式会社ファッズが所有する「新時代」チェーンの経営ノウハウ及び本チェーンの商標その他営業上の象徴を用いて、当社が「新時代」店舗を経営することを許諾すること。

契約期間

契約日より5年間。契約満了の6ヵ月前までに申し立てがない場合は更新とする。

 

(2)太陽光発電事業譲渡契約

相手方の名称

スイミー合同会社

契約締結日

2023年1月12日

契約の名称

太陽光発電事業譲渡契約

契約内容

スイミー合同会社が行う発電事業の為の太陽光発電所を、複数、継続的に当社の子会社であるKR ENERGY JAPAN合同会社が開発し譲渡することについての合意契約。

契約期間

期間の定め無し。

 

 

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。