第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

 当社グループは、「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」を経営理念として掲げています。

 私たちが考える、豊かな暮らしとは「明日はもっといい日になる」という、希望と心のゆとりを感じられる日々のことです。

 私たちはディスカウントストアを中心とした事業を通じ関わるすべての人に「より良い明日」をお届けすることで、豊かで、便利な、楽しい未来に近づくためのあと押しができると信じています。

 “あした”を変える力になる。ミスターマックスは、「暮らしのエンパワメント(あと押し)・カンパニー」として、豊かで便利で楽しい未来の実現を目指してまいります。

 

(2) 経営戦略

 当社グループは、2029年2月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定し、2029年2月期に「売上高2,000億円/営業利益100億円/営業利益率5.0%」の達成を目標としております。

 この目標を達成するために、3つの成長戦略を柱に追求し、規模拡大を目指してまいります。

 

<成長戦略>

1.店舗出店(新規出店25店)

① 北部九州エリア、首都圏中心部にドミナント化を推進

2.オムニチャネル(2029年2月期目標 売上高構成比10%)

① リアル店舗+αの品揃えを提供

② 実商圏を超えた集客

3.M&A及び新規事業戦略

① M&Aによる規模拡大

② 他社物流業務の請負

③ 海外マーケットへの進出

 

 中期経営計画を確実に実行し、中長期的に持続可能な成長を実現してまいります。

 なお、中期経営計画の詳細は当社ホームページに掲載の「中期経営計画(2025年2月期~2029年2月期)」をご参照ください。(https://www.mrmaxhd.co.jp/ir/policy/plan/)

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社を取り巻く環境は、人口動態の変化、さらには小売業態の垣根を超えた企業間競争が厳しさを増しており、お客様の嗜好の変化に対応するとともに生産性の向上やコスト削減が重要となっています。

 このような環境下で、当社グループは、経営理念である「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」を実現するべく、毎日低価格で提供し続けるとともに売上高営業利益率を重要な経営指標と捉え、ローコスト運営に注力しています。

 さらに、ミスターマックスに関わるすべてのステークホルダーに、「より良い明日」を届けるべく、「暮らしのエンパワメント(あと押し)・カンパニー」として、豊かで便利で楽しい未来の実現を目指してまいります。

 

① エブリデイ・ロープライス(EDLP)及びエブリデイ・ローコスト(EDLC)の徹底

 品質と価格のバランスがとれた「価値ある安さ」を実現する商品の調達と開発に加え、単品集中販売による圧倒的な低価格を実現し、「売れて儲かる商品」でEDLPを展開してまいります。また、本部業務の削減とともに、店舗においては、納品計画や商品の陳列方法の見直しにより、さらなる生産性の向上に努め、EDLPを支えるEDLCを徹底してまいります。

 

② お客様に支持される店舗の開発

 出店においては、店舗立地の特性に応じて、小型から大型までの多様な面積と最適な品揃えに対処できる店づくりを行ってまいります。改装においては、品揃えの見直しと販売什器の更新などを行い、買い物のしやすさを追求することに加え、従業員の店内作業の改善に注力してまいります。

 

③ 市場の変化へ対応

 市場の変化へ対応するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めてまいります。その一環として、オンラインストアを既存店やアプリと組み合わせ、お客様の利便性向上を図っております。また、本部及び店舗においては、DXによる業務の効率化に取り組んでまいります。

 

④ 中長期的な成長を支える人材育成

 当社は人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことに注力しております。社外セミナーへの派遣や定期的な面談による従業員のモニタリング、さらに男性の育児休暇取得を推進するなどの働きやすい環境づくりを行い、当社と従業員の中長期的な成長を実現する取り組みを進めてまいります。

 

⑤ 持続可能な社会づくりへの貢献

 7つの重要課題(マテリアリティ)を特定し、資源保護、地域社会のインフラとしての価値提供、多様な人材の採用と育成、働きやすい企業風土、リスクマネジメントの強化などに取り組んでおります。持続可能な社会づくりに貢献する活動をさらに推進してまいります。

 

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高営業利益率を重要な経営指標と捉え、継続的な売上の増大を図るとともに、ローコスト運営の確立による営業利益高の拡大に努め、企業価値の向上に取り組んでまいります。

 

 以上に加え、法令遵守への取り組みにつきましては、継続して、役員及び従業員一人一人が果たすべき行動指針をまとめた「ミスターマックス行動規範」及び各種法令の遵守状況について、弁護士と危機管理の専門家を社外委員とする「コンプライアンス委員会」を定期的に開催し、問題点の早期発見と改善策の徹底に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 近年、気候変動をはじめとする環境問題や、エネルギー資源の持続可能な利用、都市と地方の格差拡大、物価高騰など、私たちを取り巻く社会課題はますます多様化・深刻化しています。当社は、地域社会に密着し、暮らしを支える「社会のインフラ」としての役割を果たすべく、常にお客様目線でのサービス提供を追求しています。普段の生活に欠かせない商品を手頃な価格で提供するだけでなく、脱炭素に向けた再生可能エネルギーの活用、災害時における地方自治体との連携強化、店舗のバリアフリー設計、リサイクル活動の推進、売上連動型寄付商品の展開など、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に進めています。私たちはこれからも、地域とともに成長し、未来に向けた価値を創造してまいります。

 

1.サステナビリティ経営

 サステナビリティ活動をさらに推進するため、当社は2021年にサステナビリティ基本方針を策定しました。

 

(サステナビリティ基本方針)

「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」という経営理念のもと、地域社会のインフラとして、ステークホルダーの皆様とともにサステナブルな社会の実現に向けて行動します。そのために、公正な経営や事業運営を活動的に行い企業価値の向上を目指してまいります。

(1)ガバナンス

 当社グループにおけるサステナビリティに関する課題は、四半期ごとに開催するサステナビリティ委員会において議論、具体的な施策を検討しています。サステナビリティ委員会は、複数の役員及び子会社社長で構成されており、組織横断的な体制を整えております。取締役を委員長とし、サステナビリティに関連した取り組みについて、定期的に議論するとともに、役員を責任者とする各取り組み項目に対して方針や目標を決定・管理する機能を担います。進捗状況や活動内容を取締役会に定期的に報告しております。

     (当社グループのガバナンス体制図)

     0102010_001.png

 

(2)リスク管理

 当社グループを取り巻くビジネス環境が常に変化する状況において、企業が直面するリスクも多様化・複雑化しております。当社グループは、経営目標の達成に対し影響を及ぼす原因や事象を「リスク」と位置付け、リスクマネジメントの強化が重要な経営課題だと認識しています。事業を継続し社会への責任を果たしていくために、以下のとおり、グループ全体でリスクマネジメントの推進体制を構築し、年間を通したPDCAサイクルを回し、継続的に強化できる仕組みを整備しております。

 

① リスクマネジメント推進体制

 当社グループでは、「ミスターマックス行動規範」を前提としたリスクマネジメント活動に取り組むため、企業価値の最大化、持続可能な事業運営における重要な経営テーマに対する取り組み、及びグループ全体のリスクマネジメント状況の把握と向上を目的として「コンプライアンス委員会」を設置しております。

 当委員会は代表取締役社長を最高責任者とし、役員及び従業員、さらに弁護士を含む外部メンバーからなる常任委員と、各部門長及び店長からなる推進委員を委員としております。当委員会は、リスクマネジメントの機能を有し、リスクマネジメント室が事務局となり各部署と連携しつつ、当社グループを取り巻くリスクに関する情報の収集分析、リスクマネジメント活動の方針及び目標の決定、グループ全体の事業運営上、重要なリスクの抽出・評価を行い、リスクの軽減に向けた取り組みの策定及び推進状況のモニタリングを行っております。

(当社グループのリスクマネジメント体制図)

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② リスクマネジメント活動

 当社グループでは、個々の部門や事業だけでは対処できない環境変化から生じる問題を、各部門の責任者と経営層が力を合わせて、事業計画に対する課題や阻害要因への対応を実施することのできる適切かつ健全なリスクマネジメントの役割を果たすために、当社グループ全体でPDCAサイクルを回しながら、当活動の質の向上を図っております。当社グループの事業に関するリスクの評価においては、リスクの性質に基づいて「オペレーショナルリスク」、「ハザードリスク」、「戦略リスク」、「ガバナンスリスク」の4つに区分したうえで、優先的に対処するべき重要リスクを特定しております。各重要リスクに対しては、当該重要リスクの主管部署において、軽減策の具体的な取り組みを計画及び実施しております。

 なお、軽減策の取り組み状況については、当活動の事務局がモニタリングを実施し、コンプライアンス委員会において、重要リスクの主管部署より取り組みの進捗状況について定期的に報告しております。

 コンプライアンス委員会は当該報告に基づいて、特定された重要リスクにおける優先順位や当該リスクに対する体制の強化や業務改善等の軽減策に関する審議をし、意見交換を通じて取り組みを最善な方向性に調整しております。加えて、当社グループの経営に影響する可能性がある事項を適時に取締役会に報告しております。

(当社グループのリスクマネジメント活動のPDCAサイクル)

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③ リスクの特定

 リスクの特定については、以下のとおり実施しております。

・リスクの識別

当社グループを取り巻く外部環境と当社グループ内の環境、及び事業戦略を分析するとともに、各部門の責任者に対してインタビューを実施することによって、トップダウン・ボトムアップ両方のアプローチで当社グループにおける各リスクを識別。

・リスクの評価

識別されたリスクに対して、定量的かつ定性的に事業に及ぼす影響度と発生可能性を評価した後、既存の対応状況を評価。

・リスクヒートマップによる対応優先度の特定

上記2段階のリスク評価結果に基づいて、リスクヒートマップを作成し、特定されたリスクを「低」・「中」・「高」の3つのレベルに分け、評価結果が「高」または「中」になるリスクの中から優先的に対応すべきリスクとして特定。これらリスクの状況については、財務影響との関係から当有価証券報告書の「事業等のリスク」にも反映しております。

④ 事業継続体制

 当社グループでは、地震、台風及び津波等の自然災害のみならず、あらゆる危機的事象が発生した場合に備えて、事業継続マネジメント体制を構築し、当社グループの重要な事業または業務の継続及び早期復旧を行うことを目的として、オールハザード型BCPを策定しております。

 また、平時においても当社グループの重要な事業または業務に対するバックアップ体制や代替拠点を検討するとともに、公共機関や自治体、民間企業との連携を強化しております。また、事業継続に関する知識・理解の醸成を目的として、策定したオールハザード型BCPを基にした定期的な演習・訓練を行うとともに、オールハザード型BCPの改善・強化を継続的に行っております。

 

(3)戦略及び指標と目標

 社会貢献活動と当社グループの中長期的な成長を両立させる重点的に取り組む課題として、7項目の重要課題(マテリアリティ)を特定しました。

 

重要課題(マテリアリティ)

マテリアリティ

主な取組内容

2030年目標

 

 

 

持続可能な社会

に向けた

資源の保護

フードドライブ&ペットフードドライブ活動

全店舗の店頭において、月一回のペースで活動を行う。お客様への告知、POPの掲載など運営内容を見直し、寄付(重量)を増やしていく。

資源回収ステーション

店頭において段ボールなどの資源を回収し、リサイクルにつなげる。2025年2月末現在27店舗で実施しており、対象店舗を広げる。

店頭における衣類・雑貨の回収量を増やす

衣類、雑貨(ベルト、バッグなど)を回収し、専門業者がリユース。お客様へ告知、対象となる品目を見直すことで、活動を広めていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地域社会の

インフラとしての

価値提供

お客様に寄り添った買い物環境の

整備

授乳スペース・おむつ替スペース設置率

地球環境に寄り添った活動への

取り組み

自家消費型の太陽光発電設備設置率

遮熱塗料の利用によるCO2及び電気使用量の削減 設置率

EV自動車急速充電器の設置率

地域住民の生活に寄り添った活動への取り組み

カーシェアの誘致

多様な人材の採用と育成

入社後3年目までの退職率低下

に向けた調査と施策の実施、検証

従業員向けNPSの実施

NPS実施結果もふまえた、各施策の実施と検証

人事採用、育成の各アクションプランに対する施策、アイデア、ツール検討の協力

月次セッションとアウトプット提示

働きやすい

企業風土の醸成

誰もが意見を言いやすい

環境づくり

管理職者へのマネジメント教育

(課長職以上)

意見箱ツールの設置

企業の目指す方向性を理解/共感/実行する 高い従業員のエンゲージメント向上

eNPS向上

経営理念に基づく模範従業員表彰

働きやすい環境づくり

休憩室の改善

福利厚生の改善

社内コミュニケーション促進交流施策の実施

製品安全性の確保

商品テスト及び品質確認の強化

PB商品発売前に、外部機関または社内による品質・安全性試験の実施

製品事故対応の迅速化と情報開示の徹底

事故発生時の対応マニュアル整備

リコール判断基準の明確化

製品安全性に対する社員教育の

強化

本部社員・店舗社員向けに製品安全研修を定期的に開催

仕入先やメーカーとの勉強会開催

サプライチェーン

マネジメントの

強化

サプライチェーン全体の効率化を

推進

VMI比率(センター内センター含)の向上

他社(MrMax以外)貨物の集荷・共配

センター前センターの実施

事業プロセスにおける脱炭素の推進

売上高に占めるCO2排出量の削減

(ドライセンター配送:2013年対比削減率)

リスクマネジメントの

強化

リスクマネジメント体制の定着

リスク軽減策の各部実施期間見直し

戦略リスクへの取り組みによる

リスクマネジメント体制の強化

中期経営計画に連動した

「人員採用100人計画」の達成

事業継続計画(BCP)の推進

災害対策意識の醸成

 

2.気候変動への取り組み

 当社グループは、気候変動がサステナブルな社会の実現にあたっての重要課題の1つであると認識しており、気候変動による影響の評価と対応策の検討が、当社グループの持続的成長とサステナブルな社会の実現に資するものと考えております。それを受け当社グループではTCFDガイドラインに則したシナリオ分析とそれを受けた対応策を検討のうえ、その取り組みについて情報開示を進めるとともに、経営の強靭化とサステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ委員会が気候変動を含むサステナビリティに関する重要課題を統括管理しています。気候変動課題については、当委員会において、当社グループにおける気候変動による影響の評価及び管理体制の検討を行い、取締役会へ報告しております。取締役会においてその取り組み状況の監督及び指導、重要事項の決議を行っております。

 

(2)戦略

当社グループでは、気候変動による自社事業への影響評価手法として、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表するシナリオを参考に、以下の前提条件に基づいた将来2030年時点における影響についてシナリオ分析を実施しました。

4℃シナリオ

1.5℃シナリオ

気候変動対策に関して現行の政策規制以上の取り組みはなされず、産業革命期対比で今世紀末までに世界の平均気温が4℃程上昇し、異常気象災害をはじめとした気候変動による直接的な影響が拡大すると仮定したシナリオ

脱炭素化への移行に向けた取り組みが活発化し、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指して政府による政策規制、技術革新、消費者の嗜好変化などが進むと仮定したシナリオ

(参考シナリオ)

IPCC第5次評価報告書(AR5)RCP8.5

IEA WEO2021 STEPS

(参考シナリオ)

IPCC第5次評価報告書(AR5)RCP2.6

IEA WEO2021 APS、NZE2050

 

 

4℃シナリオにおける分析では、異常気象災害によるサプライチェーンの寸断や直接的な被害が想定され、洪水発生による直接的な被害額や営業停止に伴う損失については定量的に分析を行い、当社グループの財務を圧迫し得る重要なリスクとして評価しております。また、定性的な分析にとどまるものの、平均気温の上昇による空調利用の増加や原油価格の成り行き的な需要拡大による高騰から、主に物流コスト面でのリスクとなる可能性を認識しております。

しかしながら、こうした異常気象災害の発生や平均気温の上昇から、消費者における防災関連商品の需要増加も予想され、ECサイトの利便性向上や防災、熱中症対策など気候変動影響に対する適応商材の拡充が、当社における事業機会のみならず、持続可能な社会の形成に資する社会貢献の一端を担うものと考えております。

1.5℃シナリオでは、脱炭素化への移行促進のための様々な政策規制が導入され、例えば現行のリサイクル関連規制の強化等により対応コストが発生することが想定されます。特に炭素税が導入される場合については、当社グループにも財務的影響を及ぼし得ると試算、分析しております。また、当社グループで使用するエネルギーの多くを電力が占めていますが、再生可能エネルギー電力への切り替えにより購買電力価格が高騰することも予想されます。その一方で、消費者間ではエシカル消費などの新たな購買嗜好がより活発化し、当社グループの株式会社ミスターマックスが展開する環境配慮型プライべートブランド商品をはじめとし、環境に良い商品の拡販が当社グループの事業機会かつ社会全体の脱炭素化に資する取り組みになるものと考えております。

(気候変動に伴うリスクと機会の一覧)

要因と事象

評価

4℃

シナリオ

1.5℃

シナリオ

カーボンプライシング

炭素税の導入をはじめとする事業運営コストの増加

資源循環規制の強化

各種リサイクル法規制の強化やプラスチック利用規制の導入による対応コストの発生

エネルギーコストの変化

再生可能エネルギーへの転換に伴う購買電力コストの増加

化石燃料価格の高騰に伴う輸送コストの増加

消費者行動の変化

エシカル消費の拡大によるPB製品を含む環境配慮型商品の需要拡大

異常気象災害の激甚化

自社拠点及び物流網の被災による被害規模の拡大

平均気温の上昇

気候変動への適応商材に対するニーズの拡大

災害及び気温上昇による外出機会減少によるECサイト利用者の拡大

空調コストの増加

 

(3)リスク管理

気候変動に関するリスクの認識及び評価にあたっては、サステナビリティ委員会で各関係部署と討議し、その内容を基にシナリオ分析の手法等を通じてリスク及び機会の評価・特定をしております。取締役会はサステナビリティ委員会からの報告を受け、当社グループにおけるリスク管理運用についての決議を行い、サステナビリティ委員会がその管理体制を検討する体制を整えております。

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(4)指標及び目標

当社グループでは、2030年のScope1、2におけるCO₂排出量を2013年比50%削減、2050年にカーボンニュートラルの目標を設定しております。同スコープにおける当社グループが排出するCO₂の9割が電力の使用から発生しており、再生可能エネルギーの調達などでカーボンニュートラルに向けた取り組みを進めております。

2025年2月期におけるCO₂排出量は以下のとおりです。

                                          (単位:t-CO₂)

スコープ

排出量

前年比(%)

2025年2月期

Scope1

1,211.4

122.1%

Scope2

37,343.0

115.0%

Scope1+2

38,554.4

115.2%

 

3.人的資本について

(1)ガバナンス

人的資本を含むガバナンスについては、コンプライアンス委員会やサステナビリティ委員会において課題や具体的な施策の議論を行っております。サステナビリティ委員会では、人的資本に関する2つのマテリアリティ「多様な人材の採用と育成」、「働きやすい企業風土の醸成」に関する定性・定量目標を掲げるなど、実効性のある取り組みを推進しております。

当社グループのガバナンス体制については、「第1部 企業情報 第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 1.サステナビリティ経営」をご参照ください。

 

(2)戦略

当社は、従業員と会社の持続的成長と発展を可能にする組織づくりを目的に、従業員が環境の変化に的確に対応し、現状否定をし続け、さらなる効率化と高収益化にチャレンジするスペシャリストの育成を重点課題に設定しております。教育配転と教育訓練、そして公正な評価を連動し、広い視野で課題解決できる人材育成に取り組むとともに、性別や国籍、学歴、採用区分に関係なく、能力や成果を重視した多様な人材登用を行っております。さらに、ワークライフバランスの充実、多様な働き方にも対応できる取り組みを並行して行うなど、多様な人材が活躍できる環境づくりを進めております。

① スペシャリスト育成の為の教育

・ジョブローテーションによる教育配転と経験の蓄積により、イノベーションを起こせる人材育成を推進

・若手から中堅層であるマネジャー、課長クラスの人材育成を行う為、昇進制度と連動した階層別研修を運営

・将来の執行役員・部門長を選抜、育成する為のサクセッションプラン研修を運営

・小売業界の専門知識であるチェーンストア原則の教育を実施

 (入社5年目まで毎月原則試験、毎年2回の全社員試験、各研修でのOFF-JTを実施)

・小売の最先端を走るアメリカで直に学びを得るための現地視察セミナーを実施

・スキルアップ支援として業務に必要な知識・技術を習得するための資格取得サポートと社外セミナーへの派遣

・毎年2回の人事評価を実施し、上司と部下の間で課題と解決策を共有し、モチベーション向上と成長を促す為のフィードバック面談を実施

・客観的で納得性の高い人事評価を行い、人材を育成するために、社員の昇格の際には、自己評価・上司評価に加え多面評価を実施

② 手挙げ文化の醸成

自ら手を挙げ、主体的に取り組むことができる文化の醸成に取り組んでおります。

・自らのキャリアを切り開くことができるポジション公募の実施

・階層別研修や社内外のセミナー派遣について公募制にて実施

・スキルアップに必要な資格の取得希望者に対し、研修会及び教育コンテンツの提供

 (登録販売者・自転車安全整備士)

・ITリテラシー向上の為の資格取得支援を実施(日商PC検定、ITパスポート)

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③ 多様性の確保

多様な人材が活躍できる環境下はさらなるイノベーションを起こし、新たな価値を生み出し、会社の持続的成長につながると考えております。ダイバーシティ&インクルージョンを推進し個々の能力を最大化できる環境を整えてまいります。

・性別や学歴、採用区分に関係なく、能力や成果による人事評価制度を実施

・豊富な経験と知識を持つシニア人材の活躍の場を広げる為に段階的に定年を65歳まで延長

・障がい者雇用については地域のハローワークと連携し、法定雇用率を大きく上回る雇用を実現

・グループ全体の本部機能を担う西日本本部ではスロープの設置や多目的トイレを設置するなど、障がいをもつ方でも自由に移動が可能な設計で、安心して勤務できる環境を整備

・幅広い視点やスキルを組織に取り入れるため、経験豊富な即戦力のキャリア採用を推進

・新卒採用に限定せず、多様な人材を取り込むため、柔軟な通年採用を活用

・国籍を限定しない採用と登用

④ ワークライフバランスの充実と多様な働き方の選択肢拡大

・仕事と子育て・家庭の両面に向け、妊娠・出産に係る休暇や育児短時間勤務、育児休業中の一部期間の有給化など、法を超えて取得できる制度を整備。また、妊娠、育児休業、復職に伴う不安を解消できる面談プログラムを実施

・男性育児休業取得を推進する為、妊娠、出産報告のあった社員に対して本人・上司・人事部を交えた育休面談を実施

・有給休暇取得を推進する為、年間7日間の法を超えた取得義務日数を設定

・毎日健康的に勤務できる環境を整える為、10時間の勤務インターバルを設定

・多様な働き方の選択肢拡大の為、勤務地域を限定するコース制度の運用

 (各エリア内で職場を限定するブロック職、通勤距離60分以内で職場を限定するエリア職)

 

(3)リスク管理

ディスカウントストア運営を主な事業とする当社グループでは、新たな価値を提供し、持続的な成長を支える優秀な人材の確保・育成に注力しております。こうした取り組みが想定通りに進まない場合、事業計画の達成が困難になる場合があります。人的資本のリスク管理体制については、サクセッションプランによる経営幹部の育成や社外セミナーへの派遣の他にも、上司との定期的な面談やストレスチェックを行うなどで従業員の状況を継続的にモニタリングし、個人の成長と働きやすい環境づくりを行っております。コンプライアンス教育に関する事項は、コンプライアンス委員会などで議論を行い、全社横断的なリスク管理体制を整えております。

 

(4)主な指標及び目標

2030年までに以下の目標の達成を掲げております。

・正社員離職率:5.5%

・仕事・職場環境意識調査における肯定的回答率:85%

・女性管理職比率:20%

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの経営成績、株価、財務状況及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、「(2)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク」に記載のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 2025年2月期におけるリスク評価

 最新のリスク評価の実施結果において、当社グループは96項目のリスクを特定しました。その中でも「(2)当社グループにおける優先的に対応すべきリスク」に示す10個のリスク項目を特に重要度の高いリスクとして位置づけ、それらのリスクに対して軽減策の検討及び実施を行っております。

 また、刻々と変化する事業環境に対応するため、モニタリングの結果や新たなリスクを識別した際には、リスク評価の見直しを行い、必要に応じて優先的に対応すべきリスクを更新しております。

(2) 当社グループにおける優先的に対応すべきリスク

 当事業年度において優先的に対応すべきリスクと位置付けたもののうち、主なものを記載しておりますが、その他のリスクについても、それぞれ対応を進めております。

 また、下記のリスクは有価証券報告書提出日現在における当社グループが判断したもので、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。

 

分類

リスク項目

対応優先度

オペレーショナルリスク

① 人事・労務関連のリスク

② PB商品の品質管理に関するリスク

③ 個人情報に関するリスク

ハザードリスク

④ 事業継続リスク

⑤ 情報セキュリティに関するリスク

戦略リスク

⑥ サステナビリティ課題に関するリスク

⑦ DXに関するリスク

⑧ 店舗開発に関するリスク

ガバナンスリスク

⑨ 法務・倫理関連リスク

⑩ 取引先管理に関するリスク

 

 

(オペレーショナルリスク)

 

① 人事・労務関連のリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

日本では、少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会的課題である中、当社グループは福岡、東京本社の他、関東エリア、中国エリア、九州エリアを中心として複数の店舗と物流センターを保有しており、当社グループにおける人材の確保及び継続的な成長機会の提供を通した従業員の主体的な能力向上に伴う企業としての生産性の向上を推進していくことが重要な課題であると捉えております。

しかしながら、法令や制度の改正など何らかの事由により、人材獲得のためのコストが増加、人材育成が計画通りに進まない等の場合は、当社グループのサービス提供、事業運営に影響が生じる可能性があります。また、新規出店、新規事業に関する人的資本の投資計画にも影響を与え、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、「働きやすさの追求と多様性の尊重」というサステナビリティの重要課題に対する取り組みとして、「すべての人材の能力が活かせる環境づくり」、「健康的に働き続けるための心身の健康維持と増進」、「柔軟かつ新しい働き方への挑戦」などを推進し、多様な人材に意欲をもって能力を発揮していただくために一人ひとりの従業員の主体的な能力向上を支援し、これらを通して企業としての生産性の向上に結び付けていくことに取り組んでおります。

また、長時間労働の削減や有給休暇の取得奨励などの適正な労務マネジメントの実施及び衛生面、安全面が考慮された労働環境作りについても日々改善を行っております。

 

 

 

 

② PB商品の品質管理に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは取扱商品の一部においてPB商品を販売しております。商品の開発及び品質管理に万全を期しておりますが、製造過程や品質管理において予期せぬ事態が発生し、例えば食品への異物混入や商品の安全性の低下などの不備が生じた場合、商品のリコールや補償対応が必要となる可能性があります。これにより、当社グループは、多額の費用負担を強いられるだけでなく、顧客や市場からの信用が低下し、取り扱う商品の競争力や優位性が損なわれ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、PB商品の品質管理に対する対策を強化しています。製造委託業者の選定から、安全基準に基づく商品の設計・製造・検品のチェック体制を整備し、品質管理基準を設け、瑕疵が発生した場合の対応体制を整備してまいります。あわせて、PB商品の企画・調達担当者へ品質管理や関連法規に関する教育を継続的に実施しており、全社的な品質意識の向上に努めています。当社グループはこれらの取り組みを通じて、PB商品の品質に関するリスクの軽減を図り、お客様からの信頼を獲得するとともに、企業価値の向上を目指してまいります。

 

③ 個人情報に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは、事業を展開する上で、顧客から預かった個人情報を有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改ざん等が無いように、グループ全体で管理体制を構築し、適切な情報管理とITセキュリティの強化、従業員教育等の施策を実行しております。しかしながら、外部からの攻撃や、内部的過失や盗難、役員・従業員の故意的な行動等により、これらの情報の流出や漏えい等が生じる可能性があります。

このような事態が生じた場合には、信用低下、被害を受けた方への損害賠償等の費用の発生、当社グループが取り扱う商品やサービスの優位性の低下、または業務の停止等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループはプライバシーポリシーを掲げ、保有する個人情報を適切に管理するための指針を定めており、個人情報の取り扱いに関する対策の強化を図っております。また、当社グループの従業員への個人情報の取り扱いに関する教育の実施や業務委託先を含む情報セキュリティ水準の確認及びモニタリングを実施して参ります。

 

(ハザードリスク)

 

④ 事業継続リスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループが保有する本社や各店舗、物流センターにおいて、地震、台風及び津波等の自然災害、火災や停電あるいは予期せぬ事故等が発生した場合は、お客様または当社グループの従業員に対する人的被害、施設及び設備の損壊等が発生する可能性があります。また、当社グループが保有または外部の業務委託先であるITベンダーが保有するITシステムが停止する恐れがあります。

このような事態が発生した場合は、当社グループのサービス提供、事業運営に影響が生じ、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループはディスカウントストアを中心とした事業を通じ、関わる全ての人に『より良い明日』をお届けする事を目指しており、 お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で早期の店舗復旧及び営業再開をできるように、あらゆる事象を想定した事業継続計画(BCP)を策定しております。

加えて、従業員等の安全確保・安否確認等の初動対応フローの見直し、当社の重要業務の復旧対応に関するマニュアルを策定した上で、 定期訓練や必要物資等の備蓄対策を実施するとともに、あらゆる事象を想定したリスク・影響度分析に基づく、継続的なPDCAサイクルを実施し、重要な事業の継続を図る体制の維持・強化を図り、各種危機に備えております。

 

⑤ 情報セキュリティに関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは、事業活動を遂行するために多数のITシステムを保有しております。各種システムが適切に管理され安定的に稼働できるように、運用状況のモニタリング等を実施しております。また、サイバー攻撃の監視・対応及びセキュリティリスク評価、事業を継続するための体制の整備、グループ全体のシステムリスク管理状況の定期的な確認に取り組んでおります。

しかしながら、これらの対策を講じていたとしても、台風、地震等の自然災害、当社グループが利用するクラウドサービスにおける障害、高度なサイバー攻撃等の不測の事態やヒューマンエラーにより、システム障害やセキュリティインシデント等が起こり得ます。これらのシステムリスクが顕在化した場合、事業運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、情報セキュリティに関する重要性を認識しており、今後、情報セキュリティ基本方針及び基本規程に基づき、情報セキュリティ対策の強化に努めてまいります。具体的には、標的型メール、ランサムウェア、不正アクセス等の外部からのサイバー攻撃による情報漏えいやサービス停止を防止するための施策の検討、内部者による不適切利用や情報漏えいを防ぐための管理体制の整備、外部プラットフォームサービスを利用する際の選定基準や運用ルールの整備、ならびに監視体制の強化等を進めてまいります。これらの取り組みを通じて、当社グループの情報資産の保護及び事業継続性の向上を図ることを目指します。

 

(戦略リスク)

 

⑥ サステナビリティ課題に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

持続可能な社会の実現に向け、気候変動対策を含む環境課題や社会課題に対して、当社グループの事業を形成するバリューチェーン全体を通して、企業の責任を果たすことが求められています。

また、気候変動に伴う移行リスクとして、今後各国・地域における脱炭素社会に向けた政策の強化、炭素排出に関連する法令等の改定・新規制定が想定外の短期間で実施された場合に、かかる取り組みへの支出の増加や、当社グループの事業活動への制限等を受ける可能性があります。

加えて、当社グループにおいて環境問題に関する法令・規制の強化等によりサステナビリティ対応の遅れが生じた場合や、当社事業を形成するバリューチェーンにおいて環境や人権等に対する取り組みが適切に行われていない場合、当社グループの社会的信用が失われ、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループではサステナビリティ基本方針を策定し、企業としてさらに環境、社会課題解決の責務を果たすべく、グループで重点的に取り組む課題として、「商品の提供を通じた社会価値創出」、「持続可能なサプライチェーンの構築」、「持続的成長を支える経営基盤の確立」という3つのテーマから成る7つの重要課題(マテリアリティ)を特定しております。

当社グループでは、サステナビリティ委員会が気候変動を含むサステナビリティに関する重要課題を統括管理しております。重要課題に対する取り組みにおいては、各重要課題の項目に対して定性的または定量的な目標を設定し、具体的な施策を検討、実行しております。

また、気候変動課題については、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に則った情報開示を進めており、当社グループにおける気候変動による影響の評価及び管理体制の検討を行っております。

 

⑦ DXに関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは、デジタルデータを活用したサービス展開と業務変革を積極的に推進しています。特に、サービス展開においては、ミスターマックスオンラインストアを通じて、店舗と同等の圧倒的な品揃えを、常にリーズナブルな価格でご提供するECサービスを目指しています。

しかし、EC市場の今後の拡大に伴い、競合他社を含む多くの事業者がECサービスに更に注力することで、市場の競争が激化する可能性があります。

また、法令や制度の改正など、外部環境の変化により、利便性の高いサービスを通じた市場での差別化や、デジタル技術を利用した従業員の業務効率化が困難となる場合、これは当社グループのECサービス提供、事業運営、財政状態に影響を与える可能性があります。

対応策

当社グループは、店舗、アプリ、オンラインストア、そしてネットスーパー(即配サービス)を統合し、相互に連携・補完することで、お客様が当社のサービスにアクセスできるチャネルを増やすオムニチャネル戦略を推進し、お客様の利便性を向上させております。今後も、オンラインストアの機能強化やアプリのリニューアル等を通じて、サービスの充実を図っていく予定です。

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)による業務改革に関しては、DX人材の育成や業務プロセスの標準化を進め、従業員の属人性を排除することで業務効率の向上を目指します。これにより、デジタル技術を活用した効率的な業務運営とローコスト運営の実現に向けた体制を整備してまいります。

 

⑧ 店舗開発に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループは、当連結会計年度末現在、九州・中国地方と関東地方に57店舗を展開し、家庭用品、家電品、衣料品等普段の暮らしに必要な商品を取り扱っておりますが、当社グループの出店エリアにおいて、それぞれの分野の専門店、大手スーパー、ホームセンター、ドラッグストア等様々な業態の店舗と競合しております。また、当社グループの出店エリアへの他業態の今後の新規出店によっては、競争が激化する可能性もあります。

加えて、個人消費動向の変化、出店地域の景気や雇用情勢、人口動態の変化により、一般消費者への商品販売収入及び当社グループが運営するショッピングセンターのテナントからの賃貸収入が当初の計画より見込めない状況が生じた場合は、出店計画の変更を余儀なくされる等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、新たな店舗やショッピングセンターの出店計画を策定する際にテクノロジーを活用した売上予測の精度向上に取り組み、出店後の計画変更に対するリスク対応を行っております。また、当初の売上予測と出店後の売上について予実管理体制を整備する等、継続的な出店計画の適切なモニタリングを行っております。

出店後のお客さまの価値観や消費行動の変容等のリスクに対しては、新常態(ニューノーマル)におけるコンセプトやサービス機能の提供を行う等、従来のビジネスモデルからの変革を進めていく好機ととらえ、社会変化に対応した店舗づくりに取り組んでいます。

 

(ガバナンスリスク)

 

⑨ 法務・倫理関連リスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループが実施する各事業領域において、遵守すべき関連法令・規制等が多数あります。日々の業務遂行にあたり、細心の注意を払い関連法令・規制等の遵守に努めておりますが、関連法令・規制等の変更や強化に対応できず、法令・規制等の義務を実行できない事象が発生した場合、当社グループの事業活動、社会的信用及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの国内外の事業活動が、重要な訴訟等の対象となった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、コンプライアンス委員会を組織するなど、役員・従業員の法令遵守と倫理観向上に努めております。

また、コンプライアンス委員会が有するリスクマネジメント機能として実施されるリスクマネジメント活動の中で、関連法令・規制等への遵守に関するリスクを特定し、必要な対応を講じております。また、社内規程を定め、総務部が主導して従業員に対する教育を行う等、義務事項を実施しております。

 

⑩ 取引先管理に関するリスク

対応優先度

リスク

シナリオ

当社グループはショッピングセンター運営事業、ディスカウントストア事業等において、数多くの関連事業者と取引をしております。当該取引先の倒産や事業撤退等によるサービス供給が停止した場合は事業運営に問題が生じる可能性があります。

また、法務部門における重要な契約に対するリーガルチェック体制を整備しておりますが、何らかの理由で当社グループの国内外の事業活動が、重要な訴訟等の対象となった場合、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、取引先の選定や継続的な取引先の管理に関する社内規程を策定し、運用しています。

また、リーガルチェックにおける社内体制や顧問弁護士等の専門的な見地からの指導を得るべき契約書の基準を設けて、係争事案のリスク低減を図っております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 また、当社グループは小売及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは「普段の暮らしをより豊かに、より便利に、より楽しく」という経営理念のもと、総合ディスカウントストアとして、生活必需品を中心とした商品を毎日低価格で販売するエブリデイ・ロープライス(EDLP)を徹底し、EDLPを支えるエブリデイ・ローコスト(EDLC)に注力してまいりました。2024年11月には「ミスターマックスサンリブ古賀店」(福岡県古賀市)をオープンし、期末の店舗数は57店舗となりました。また、既存店の更なる収益力向上とお客様の利便性を高めるため、10店舗の改装を実施しました。

 2023年3月に開始したオンラインストアでは、福岡県内における即日配送サービスの提供エリアを拡大するとともに、検索機能の改善などを実施し、お客様の利便性の向上に取り組みました。その結果、登録者数は30万人を突破しました。また、DX戦略の一環として、セルフレジの導入拡大ならびに、従業員の業務効率向上を進めております。

 当期の全店売上高は1,313億31百万円(前期比105.5%)と過去最高となりました。商品別では、市場の品不足により需要が高まった米において、積極的な集荷活動が奏功し、売上が大幅に増加しました。また、節約志向の高まりを反映し価格訴求を行った、衣類用洗剤、ペットフード、加工食品などの売上が好調に推移しました。

 プライベートブランド(PB)商品については、家電メーカーの旧材を当社専用機種として販売するリバイバルモデルに取り組んだ大型家電製品が売上を大きく伸ばしました。さらに、紙製品や食品などの新商品の販売、既存商品のリニューアルに取り組んだことで、前期比114.3%となり、売上高構成比は前期に比べ1.6%増加し、20.9%となりました。これらの結果、既存店売上高前期比は105.4%となりました。

 荒利益高は287億59百万円(前期比106.7%)と、売上高の伸長が荒利益高の増加に繋がりました。荒利益率の高いPB商品の売上が伸びた結果、荒利益率は前期に比べ0.3%増加し、21.9%となりました。

 コスト面では、賃金の上昇により人件費は増加しましたが、業務効率の改善によって作業時間を前年より削減し、増加分を最小限にとどめることができました。また、キャッシュレス決済の利用は引き続き増加傾向にあるものの、決済手数料について料率交渉を行った結果、コストへの影響を抑えることができました。これらの取り組みにより、販売費及び一般管理費は301億74百万円(前期比104.1%)となりました。

 これからも「暮らしを豊かにする企業」として挑戦を続け、ディスカウントストアの枠を超えた新たな価値を創造し、皆様の生活をより豊かで便利にする「暮らしのエンパワメント(あと押し)・カンパニー」を目指してまいります。

 

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、商品が増加した一方、建物及び構築物や差入保証金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3億12百万円減少し、831億99百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、支払手形及び買掛金が増加した一方、長期借入金が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ22億41百万円減少し、471億41百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、利益剰余金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ19億29百万円増加し、360億58百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、営業収益(売上高+営業収入)1,365億69百万円(前期比105.4%)、営業利益38億23百万円(前期比126.6%)、経常利益37億82百万円(前期比130.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益24億77百万円(前期比101.4%)となりました。売上高の伸長及び荒利益率の増加により営業利益が前年を上回り、増収増益となりました。

 

c.セグメントごとの経営成績

 当社グループは、小売及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益が36億97百万円となったものの、棚卸資産の増加、法人税等の支払、有形固定資産の取得による支出、長期借入金の返済による支出などの要因により、前連結会計年度末に比べ6億34百万円減少し、当連結会計年度末には17億54百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益が36億97百万円となり、減価償却費26億86百万円、棚卸資産の増加額9億27百万円、法人税等の支払額13億13百万円などにより、営業活動の結果得られた資金は54億39百万円(前期比138.2%)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 有形固定資産の取得による支出18億円、敷金及び保証金の回収による収入4億37百万円などにより、投資活動の結果使用した資金は20億77百万円(前期比79.5%)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 長期借入による収入20億円、長期借入金の返済による支出61億20百万円や配当金の支払額5億99百万円、リース債務の返済による支出3億59百万円などにより、財務活動の結果使用した資金は39億94百万円(前期比192.9%)となりました。

 

③ 仕入及び販売の実績

 当社グループは小売及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。

 

a. 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績を部門別に示しますと、次のとおりであります。

部門別

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

食品

41,607

107.1

HBC

21,011

103.4

家電

15,160

108.3

ライフスタイル

12,852

100.8

ホームリビング

8,313

101.9

アパレル

4,557

99.5

消去

△7

101.8

合計

103,496

104.9

 

 

b. 販売実績

1)地区別売上高

 当連結会計年度の販売実績を地区別に示しますと、次のとおりであります。

地区別

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

九州地区

81,850

105.6

中国地区

15,112

105.0

関東地区

32,787

105.0

その他

1,590

112.6

消去

△9

102.1

合計

131,331

105.5

(注)1.当連結会計年度において、サンリブ古賀店(福岡県古賀市)を開店いたしました。

2.「その他」は、インターネット販売等の売上高です。

2)部門別売上高

 当連結会計年度の販売実績を部門別に示しますと、次のとおりであります。

部門別

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

売上高(百万円)

前年同期比(%)

食品

49,815

107.1

HBC

26,467

103.7

家電

19,236

110.5

ライフスタイル

17,314

101.5

ホームリビング

11,983

103.6

アパレル

6,843

102.5

その他

0

101.4

消去

△330

143.3

合計

131,331

105.5

(注)「消去」は売上高全体より控除する変動対価等です。

3)単位当たり売上高

項目

当連結会計年度

(自 2024年3月1日

至 2025年2月28日)

前年同期比(%)

売上高(百万円)

131,331

105.5

売場面積(㎡)

324,633

99.6

1㎡当たり売上高(百万円)

0.4

105.9

従業員数(人)

2,380

98.9

1人当たり売上高(百万円)

55

106.7

(注)1.従業員数には、パートタイマー、アルバイト、嘱託社員及び人材会社からの派遣社員を含んでおります。

2.売場面積及び従業員数は、いずれも期中平均であります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等

1)財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3億12百万円減少の831億99百万円(前連結会計年度末は835億11百万円)となりました。

 

 流動資産は、193億25百万円(前連結会計年度末191億61百万円から当連結会計年度末193億25百万円)となりました。これは主として商品が9億24百万円増加したことなどによるものであります。

 固定資産は、638億73百万円(前連結会計年度末643億50百万円から当連結会計年度末638億73百万円)となりました。これは主として建物及び構築物が7億92百万円減少したことなどによるものであります。

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ22億41百万円減少の471億41百万円(前連結会計年度末は493億82百万円)となりました。

 流動負債は、278億65百万円(前連結会計年度末267億84百万円から当連結会計年度末278億65百万円)となりました。これは主として電子記録債務が7億59百万円増加したことなどによるものであります。

 固定負債は、192億75百万円(前連結会計年度末225億97百万円から当連結会計年度末192億75百万円)となりました。これは主として長期借入金が36億62百万円減少したことなどによるものであります。

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億29百万円増加の360億58百万円(前連結会計年度末は341億29百万円)となりました。

2)経営成績

(営業収益)

 営業収益は、市場の品不足により需要が拡大した米やEDLPを訴求した衣類用洗剤、ペットフード、加工食品が好調に推移したこと、またPB商品の売上が前期比114.3%と増加したことなどから1,365億69百万円(前期比105.4%)となりました。

(営業利益)

 営業利益は、38億23百万円(前期比126.6%)となり、売上高営業利益率は、2.9%となりました。

(経常利益)

 経常利益は、37億82百万円(前期比130.0%)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、24億77百万円(前期比101.4%)となり、1株当たり当期純利益は、74円45銭となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、小売及びこれに付随する事業を行う単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要のうち主なものは、商品の仕入ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用のほか、店舗等の設備投資資金及びシステム投資資金であります。これらの資金需要に対する財源は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としており、十分な手元流動性を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表における報告数値のうち一部の数値については、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる見積りを基にその算出を行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」の注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高営業利益率を重要な経営指標と考えております。当連結会計年度の売上高営業利益率は中期的な目標である5.0%を下回り2.9%となりました。

 なお、当社グループは2029年2月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を策定いたしました。目標を達成するため「店舗出店」、「オムニチャネル」、「M&A及び新規事業戦略」の3つの成長戦略を柱に追求し、規模拡大を目指してまいります。また、売上高営業利益率のさらなる向上のために「エブリデイ・ロープライス(EDLP)及びエブリデイ・ローコスト(EDLC)の徹底」、「お客様に支持される店舗の開発」、「市場の変化へ対応」、「中長期的な成長を支える人材育成」、「持続可能な社会づくりへの貢献」、などの施策によって営業利益高の拡大に努めてまいります。詳細につきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。