独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

 

2025年5月20日

 

株式会社髙島屋

 

 

取締役会 御中

 

 

 

有限責任 あずさ監査法人

 

東京事務所

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

服  部  將  一

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

中  村  太  郎

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている株式会社髙島屋の2024年3月1日から2025年2月28日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

 

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、株式会社髙島屋及び連結子会社の2025年2月28日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

株式会社髙島屋の固定資産の減損損失の測定に用いる正味売却価額の合理性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 当連結会計年度の連結貸借対照表において、有形固定資産759,774百万円及び無形固定資産37,025百万円が計上されている。連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、国内百貨店業を営む株式会社髙島屋(以下、会社という。)の固定資産は495,399百万円(有形固定資産477,459百万円、無形固定資産17,939百万円)であり、当該金額は連結総資産の38.2%を占めている。そのうち、柏店及び大宮店の固定資産の合計は5,495百万円である。また、当連結会計年度の連結損益計算書において、柏店に帰属する資産グループから減損損失1,631百万円が計上されている。

 会社は、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位として、主として店舗を基本単位に資産のグルーピングを行っている。これらの固定資産は土地を除き規則的に減価償却されるが、減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定する。判定の結果、減損損失の認識が必要と判定された場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識する。なお、回収可能価額は資産グループの時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と、資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値である使用価値のいずれか高い方として算定される。

 当連結会計年度において、柏店及び大宮店の営業損益が2期連続でマイナスとなっていることから、会社は上記店舗ごとの資産グループに減損の兆候を識別し、減損損失の認識の要否を判定している。当該判定の結果、柏店については、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ったことから、帳簿価額を回収可能価額として正味売却価額まで減額し、帳簿価額の減少額を減損損失として計上している。大宮店については、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回ったものの、正味売却価額が帳簿価額を上回ったことから、減損損失は計上していない。

 回収可能価額の算定に用いられる正味売却価額は、不動産鑑定士が算定した不動産鑑定評価額を基礎として算定されているが、不動産鑑定評価額の評価手法及びその算定の基礎となる主な前提条件には経営者の主観的な判断が介入するだけでなく、高度な専門知識を必要とするものである。

 以上から、当監査法人は、柏店及び大宮店の減損損失の測定に用いられる正味売却価額の合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

 当監査法人は、会社の柏店及び大宮店の固定資産の減損損失の測定における回収可能価額としての正味売却価額の合理性を評価するため、主に以下の監査手続を実施した。

(1) 内部統制の評価

 会社の固定資産の減損損失の測定における回収可能価額の算定に関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

 

(2) 正味売却価額の合理性の評価

 正味売却価額の基礎となる、不動産鑑定評価額の評価手法及びその算定の基礎となる主な前提条件の合理性を評価するために、当監査法人のネットワークファームの不動産評価の専門家を関与させ、経営者及び関連部署の責任者並びに経営者が利用する専門家にその根拠について質問を実施した他、主として以下の手続を実施した。

 

●  会社が入手した不動産鑑定評価書を閲覧し、不動産鑑定評価額の評価手法の適切性を評価した。

●  不動産鑑定評価額の算定の基礎となる主な前提条件について、過年度の実績及びマーケットデータと比較した。

 

 

サイアム タカシマヤ(タイランド)CO.,LTD.の固定資産の減損テストに用いる将来キャッシュ・フローの見積りの合理性

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 当連結会計年度の連結貸借対照表において、有形固定資産759,774百万円及び無形固定資産37,025百万円が計上されている。連結財務諸表注記(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、海外百貨店業を営む連結子会社サイアム タカシマヤ(タイランド)CO.,LTD.(以下、サイアム髙島屋という。)の固定資産は4,341百万円(有形固定資産4,293百万円、無形固定資産47百万円)である。

 株式会社髙島屋及びその連結子会社は、概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位として、主として店舗を基本単位としている。サイアム髙島屋の固定資産は規則的に減価償却されるが、国際財務報告基準に基づいて、減損の兆候があると認められる場合には、減損テストを実施している。その結果、資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識する。なお、回収可能価額は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と、資金生成単位から生じると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値である使用価値のいずれか高い方として算定される。

 当連結会計年度において、サイアム髙島屋の営業損益が継続してマイナスとなったことから、サイアム髙島屋は減損の兆候を識別し、減損テストを実施している。減損テストにおいて、使用価値に基づく回収可能価額が帳簿価額を上回ったことから、減損損失の認識は不要と判断している。

 使用価値は、経営者により承認された事業計画を基礎として見積もられる将来キャッシュ・フローの現在価値で算定される。当該見積りには、主として新規テナントの導入による売上高の伸長を見込んでいるため、見積りの不確実性を伴うことに加え、経営者の主観的な判断の程度が大きい。

 以上から、当監査法人は、サイアム髙島屋の固定資産の減損テストに用いる将来キャッシュ・フローの見積りの合理性が、当連結会計年度の連結財務諸表監査において特に重要であり、監査上の主要な検討事項の一つに該当すると判断した。

 当監査法人は、サイアム髙島屋の固定資産の減損テストに用いる将来キャッシュ・フローの見積りの合理性を評価するため、主として以下の監査手続を実施した。なお、以下の監査手続の一部にサイアム髙島屋の監査人を関与させ、同監査人への指揮、監督及びその作業の査閲を実施した。

 

(1) 内部統制の評価

サイアム髙島屋の将来キャッシュ・フローの見積りに関連する内部統制の整備及び運用状況の有効性を評価した。

 

(2) 将来キャッシュ・フローの見積りの合理性の評価

将来キャッシュ・フローの見積りの前提となる事業計画に含まれた主要な仮定の適切性を評価するため、サイアム髙島屋の取締役会で事業計画が決議されていることを確かめた上で、経営者にその仮定の根拠について質問を実施した他、主に以下の手続を実施した。

 

●  過年度の事業計画の達成状況及び計画との差異の原因を分析した。

●  新規テナントの導入について、契約書等の関連資料を閲覧した。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、株式会社髙島屋の2025年2月28日現在の内部統制報告書について監査を行った。

当監査法人は、株式会社髙島屋が2025年2月28日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等 (3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

以 上

 

 

※1 上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2 XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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