当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社は、経営理念「私たちは、お客さま、地域社会の『環境価値』を創造し続けます。」のもと、アジアを主たる活動領域にファシリティマネジメント(以下、「FM」)事業を展開しています。当社が掲げる「環境価値創造」とは、人々が平和と豊かさを享受できる環境を創出していくということです。当社は、事業を通じて環境価値を創造し続け、社会の持続的発展に貢献していくことで、お客さま、地域社会から必要とされ続ける企業でありたいと考えています。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の見通し
2024年10月8日付「2025年2月期 中間期決算 中期3ヵ年経営計画(2025年2月期-2027年2月期)」のとおり、当社を取り巻く市場環境は足元で大きく変化しており、主たる事業領域である国内ファシリティマネジメント(以下、「FM」)市場は緩やかな拡大傾向にあるものの、人件費や外注費といった原価上昇圧力の継続に加え、人手不足の深刻化が最大の経営課題となっています。他方、顧客企業においては、インフレ経済が定着する中、コスト管理意識が高まる一方、資産の老朽化対策や環境対応ニーズ、競争力強化に向けた非中核業務のアウトソーシングニーズ等が高まっています。
こうした中、当社では2024年度を初年度とする中期3ヵ年経営計画において、人手不足に対応した新たな施設管理モデルへの転換やFMのコンサルティング機能の強化等、環境変化に対応したビジネスモデルの変革を掲げております。しかしながら、環境変化の速度が増す中、当社が持続的成長を果たしていくにはオーガニックな成長戦略のみでは不十分であるとの認識のもと、イオングループのスケーラビリティを最大限に活用し、成長戦略を加速することを目的に、2025年2月28日付「親会社であるイオン株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」のとおり、親会社であるイオン株式会社が当社の完全子会社化に向けて実施する当社株券等に対する公開買付けについて賛同の意見表明及び応募推奨を決議するに至りました。
イオン株式会社の完全子会社となることで、従来よりも戦略的なイオングループとの連携が可能になると考えています。これにより、事業領域の拡大に向けて、非中核業務のアウトソーシングニーズに対応したノウハウ獲得も視野に、イオングループ内のバックオフィスに係る様々なニーズを事業機会として捉え、当社が受託を目指すことも検討してまいります。当社は、イオングループのスケーラビリティを活用し、様々な成長機会を模索することで、FM企業としての競争力を強化し、引き続き、イオングループ内外市場で成長を果たし、アジアNo.1のFM企業を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組 ア.ガバナンス 当社グループは、2022年4月よりESG経営の全社推進機関として、社長執行役員を委員長、関連業務を所管する執行役員ならびに経営幹部を委員とする「サステナビリティ委員会」を設置し、事業活動を通じた社会課題の解決、および持続可能な社会の実現に向けた協議を進めています。 サステナビリティ委員会では、サステナビリティ基本方針およびマテリアリティ(重要課題)に基づく最優先課題を決定し、関連する方針・目標・重要施策の策定と、その進捗管理を行います。これらの活動結果は、取締役会に報告を行っています。
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イ.戦略
事業活動を取り巻く社会情勢は今後も大きく変動し続け、企業に対する社会からの要請・ニーズも変化することが予想されます。当社グループは持続可能な社会の実現を目指し、リスク低減と事業機会活用を両輪としたESG経営を推進する中で、2021年8月、ESG経営推進に関する基本的な考え方として、「サステナビリティ基本方針」を制定しました。
ウ.リスク管理
当社グループは、「イオンディライトグループリスク管理基本規程」をもとに、重要リスクに対応したリスクマネジメントを実施しています。リスクアセスメントをもとにリスク管理委員会で重要リスクを選定、それぞれ任命した「重要リスクオーナー」がリスク低減施策の遂行とモニタリングを行っています。リスク管理委員会は重要リスクオーナーから報告を受け、その内容を評価・解析するとともに、取締役会に報告しています。
また、当社グループは、気候変動リスクをはじめとしたサステナビリティ関連リスクについては「サステナビリティ委員会」において、リスクを評価するとともに、分析・対応を行っていきます。
(2)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
ア.気候変動
イ.人的資本、多様性
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
ア.気候変動
当社グループは2022年5月、気候変動が事業活動に与える影響の把握とその開示を推進するTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明しました。
またイオングループの一員として、「イオン脱炭素ビジョン」に基づき、店舗で排出する温室効果ガスを総量でゼロにする取り組みを支援していきます。
気候変動に伴う、当社グループにまつわる機会とリスクの双方を検討した結果、事業活動の機会がリスクを上回ると認識しました。これは、リスクを適切に管理し、従来培ってきた災害などに対する危機対応力や施設の省エネルギー化をはじめとしたお客さまの脱炭素支援サービスを強化し続けることを前提としています。今後も気候変動が事業にもたらすリスクや機会を広範に分析し、自社の取り組みの方向性を確認し経営戦略に反映することで、当社グループとお客さまの気候変動に対するレジリエンス向上につなげます。加えて、脱炭素社会の実現に向けた貢献と、企業としての持続的な成長のために、気候変動への対応に関する情報開示を積極的に行っていきます。
(ア)ガバナンス
ガバナンスについては、(1)サステナビリティ全般に関する考え方及び取組 ア.ガバナンスに記載の通りです。
(イ)戦略
・シナリオの選択
当社グループは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)が公表しているシナリオに基づき、分析を行いました。低炭素社会への移行に伴う影響を表した「1.5℃/2℃未満シナリオ」と、気候変動による災害など物理的な影響を示した「4℃シナリオ」を設定しています。時間軸は、中期を2030年、長期を2050年としました。
シナリオ分析の実施にあたっては、当社グループ全体に及ぶ影響を確認するため、分析の対象を当社グループの売上高の約9割を構成する国内の全事業(一部サポート事業を除く)としました。
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・重要なリスク/機会およびその影響度
シナリオ分析の結果、気候変動に伴い想定される移行リスクや物理的リスクなど、さまざまなリスク・機会がある中、当社グループにとって重要なリスク・機会として、以下を特定しました。
‐炭素税の導入とコストの増大
国内で炭素税の導入が想定されますが、試算の結果、追加費用は当期純利益の1%未満程度と影響は限定的と推定しています。環境へのインパクト低減を図るため、引き続き省エネ化に努めます。
‐再生エネルギー調達コストの増大
イオングループ各店舗から排出される温室効果ガスを総量でゼロにする「イオン脱炭素ビジョン」の達成に向け、当社グループの電力調達を100%再生可能エネルギーに置き換えた場合でも、追加コストは当期純利益の1%未満程度で影響は限定的と想定しています。
‐脱炭素・省エネルギーサービスの需要拡大
当社グループは各種設備の省エネ化支援をはじめ、フロン管理サービスや環境配慮型資材の提案など、地球温暖化対策につながる多様なサービスの提供を行っています。今後とも、お客さまの脱炭素化を全面的に支援するソリューションを展開していきます。
(設備の省エネルギー化に向けた提案)
ビルなどの建物内の電力使用状況を「監視・制御・見える化」するエネルギー管理システムBEMS(Building and Energy Management System)の導入のほか、使用電力を大幅に削減できるLED照明をはじめ、空調機器と大型設備の省エネ化を提案しています。
(オープンネットワークシステムの導入)
施設内の各種設備をネットワークでつなぎ、リアルタイムでの一元管理を可能とするオープンネットワークシステムの導入を提案しています。遠隔オペレーションによる効率的な施設運営とともに、施設の省エネ化に貢献しています。
(フロン管理サービスの提供)
第一種特定製品※の簡易点検や定期点検をはじめ、メンテナンスやデータベース化などが求められるフロン排出抑制法に基づき、管理業務代行サービスを提供しています。また、より省エネ効果が高く、地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)が極めて低いノンフロン冷凍冷蔵ショーケースの導入も積極的に提案しています。
※ 第一種特定製品:フロン類が使用されている業務用エアコンディショナーや業務用の冷蔵/冷凍機器など
(環境配慮型商材の提案)
2030年までに使い捨てプラスチック使用量半減(2018年比)を目指す「イオンプラスチック利用方針」に基づき、店舗納入資材におけるプラスチック削減を推進しています。スプーンやフォークのFSC認証材を含む紙や木への素材変更にも取り組み、強度と耐水性を兼ね備える4層構造の紙製ストローも自社開発しました。
また、バイオマスプラスチックを採用したレジ袋や包装資材、バイオマス由来の成分を含むインキの使用をお客さまに提案しています。
‐気候変動に起因する大規模災害の発生
当社グループは、気候変動に起因する自然災害を含む大規模災害・広域災害が発生した際には、発災直後に対策本部を設置。全国各地のサービス拠点や自社グループ内外のネットワークを活用し、被災設備の復旧や応援人員の派遣、関係官庁(消防、警察、水道局など)との調整、災害対応資機材/物資の調達など、お客さまのクライシスマネジメントを支援してきました。災害対応時に中核防災拠点となるADソリューションセンター(大阪市・愛知県小牧市) では、災害によるリスクに備え、常時、災害情報の収集・分析や管理施設の異常有無の遠隔監視を行っているほか、本社(東京都千代田区)にはADソリューションセンターの代替機能を配備し、さらなる防災レジリエンス強化に努めています。今後も、自社のBCP(事業継続計画)だけでなく、お客さまのBCPを含めた防災・減災体制の整備に取り組みます。
(ADソリューションセンターとカスタマーサポートセンター(CSC))
ADソリューションセンターでは、平時より24時間365日、自然災害・事故などの情報収集・配信といった危機管理対応や設備の異常有無を遠隔監視しています。加えて、全国8支社には各地域におけるお客さま施設の管理運営を遠隔サポートするCSCを設置。有事の際には、ADソリューションセンターを情報収集分析班として、CSCと連携を図ることでお客さま施設の早期復旧、営業再開を実現するための迅速な災害支援を実施します。
‐操業への影響
当社グループは、店舗向け包装・パッケージなどを供給するための全国をカバーする物流センターを配置しています。今後異常気象が激甚化することで河川の氾濫リスクが高まり、一部の物流センターに浸水リスクが生じる可能性がありますが、在庫棄損などの被害額は軽微と推定しています。また、物流センターが停電または被災などで稼働停止した場合でも、他の物流拠点から代替品を納品するための対策を行っています。
・今後のシナリオ分析の高度化について
当社グループは、シナリオ分析により気候変動が事業に与えるリスク・機会の大きさを再認識しました。リスクは甚大とまでは言えず、また、ある一定の重要リスクには対策済みであることを確認しています。
一方、当社グループの気候変動対策、クライシスマネジメントが自社のみならず、お客さまのリスク回避、および気候変動リスクへのレジリエンス向上に寄与することも確認しました。今後も、脱炭素サービスやクライシスマネジメントを強化し、社会における気候変動リスク低減に貢献していきます。
(ウ)リスク管理
リスク管理については、
(エ)指標と目標
・イオン脱炭素ビジョン
イオングループは「イオン脱炭素ビジョン」に基づき、店舗で排出する温室効果ガスの総量ゼロを目指しています。当社グループも、お客さま施設の省エネルギー化推進など地球温暖化対策や環境配慮型商品の販売などを通じ、脱炭素に貢献していきます。
イ.人的資本、多様性
(ア)人材育成方針
当社グループは、施設管理の専門家集団として、お客さま、地域社会の課題解決に貢献し続けるため、「技術力」「人間力」を兼ね備えた専門人材の育成に注力しています。
ファシリティマネジメント業界では人手不足や有資格者の高齢化が深刻化しており、「人手不足解消」は当社の取り組むべき重要課題と認識しています。DXによるビジネスモデルの変革に加えて、技術・マネジメント・資格取得のための社内研修、グループ内公募や若手人材の早期育成など、社内育成と社外からの採用を組み合わせることで、人材確保につなげています。
[人材育成方針] ①最大の資産である従業員の価値を最大に引き出すことで経営の価値を高める。 ②会社方針と連動した教育施策の提供により、従業員の経営貢献意欲とやる気を高め、業績の 向上に寄与する。 ③従業員が保有する知識・スキル・経験を資産として尊重し、その価値を高めるために効果的 な教育投資を続ける。 ④各分野において従業員がプロ意識と誇りを持って業務に従事できるように、専門知識の向上 と資格取得の支援を行う。 ⑤従業員一人ひとりの志を聴き、志を知り、志を活かすことを通じた成長の機会を与える。
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(イ)社内環境整備方針
当社グループは、革新し続ける企業集団であるために、人種・国籍・民族・性別・年齢・出身地・宗教・学歴・採用区分・心身の障がい・性的指向と性自認等に関わらず多様な人材を活かし、多様な人材が成長していくことができる職場であることを目指しております。それが実現できる職場環境のインフラとして、人権に関わる知識を全従業員に対して啓発し、人権意識の醸成に努めています。
また、ダイバーシティ&インクルージョンと共に、エンゲージメントや働きがい・働きやすさを高めることで、金銭的報酬だけではない非金銭報酬を増大することにより、当社で働き続けることから得られるトータル・リワードを増大させることに努めています。
そして、従業員の安全と健康に配慮した健康経営の推進を、極めて重要な施策と位置付けています。
(ウ)取組
・人材育成
‐「技術力」「専門性」向上の取り組み 技術力とホスピタリティを兼ね備えたプロフェッショナル人材育成のため、自社グループの研修施設「イオンディライトアカデミーながはま」を滋賀県長浜市に保有しています。電気・空調・消防などの研修用設備機器や清掃作業習得のためのスペースを保有し、約30種類の実践的な研修を実施 |
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研修施設「イオンディライトアカデミーながはま」 |
しています。業務に関連した14の公的資格対象の受験対策研修のほか、電気・空調・給排水・消防設備における管理技術、緊急時の対応方法、清掃など、受講者のレベルに合わせた内容を用意しています。
教育研修実施概要
年度 |
2021 |
2022 |
2023 |
2024 |
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425 |
346 |
329 |
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11,840 |
14,953 |
13,127 |
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21 |
28 |
24 |
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82 |
108 |
95 |
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‐従業員の資格取得を促す取り組み
ファシリティマネジメントは業務遂行上多くの資格が必要となります。また従業員自らが積極的に学び、専門性を高めようとする風土醸成のため、資格取得を促す取り組みを行っています。
自己啓発を支援する「エンジニア・スタディ」は、当社グループ所属の全従業員を対象に、対象16資格の通信教育・eラーニング講座・テキストの受講・購入費用を最大50%、上限10万円の補助を行う取り組みで、2024年度は171名に対し288万円の補助を行いました。
なお「エンジニア・スタディ」を用いず資格取得した場合でも、対象資格であれば受験料・初回登録手数料を援助する仕組みも導入し、積極的に資格取得を図る風土づくりを推進しています。
新卒従業員に対しては、入社時研修での「第二種電気工事士」資格の取得を義務付けるとともに、「第三種電気主任技術者」または「建築物環境衛生管理技術者」資格の取得を推進しています。また、従業員の保有資格207種類を管理し、保有と選任に対する手当を支給しています。2024年度は保有資格に対する手当として1億4,361万円(基礎資格手当)、対象資格取得者に奨励金2,092万円を支給するとともに、資格取得者を社内報にも掲載することで資格取得に対する意欲促進を図っています。
‐経営人材開発体制
経営人材の計画的育成を目的に、指名・報酬諮問委員会の中で経営人材の開発に関する議論を実施しています。執行役員および経営幹部を対象職位とし、候補者の選定と、育成につながるキャリアプラン・配置計画を審議しています。
2024年度は支店長に次ぐ各地域・各施設の長となる職位である「エリアマネージャー」「サイトマネージャー」の新任教育として、これからのイオンディライトのあるべき方向性を示し、自らの役割を明確にするための教育を計43名に対し実施しました。また、持続的かつ計画的に現場管理職を育成する方針のもと、24年度は現場の初級管理者である「チーフ」の候補者教育を計105名に対して実施致しました。
‐キャリアグレードと評価制度
従業員の人材等級の仕組みとして、学歴・年齢・性別・国籍に関わらず、個人の能力に応じて処遇・育成する「キャリアグレード認定制度」を導入しています。9段階のキャリアグレードを設け、段階ごとに対応する職位を定めています。
人事考課・筆記試験と面接からなる「キャリアグレード登用試験」の受験により登用者を決定することで公正性を保っています。また、2023年3月からは電気・工事他の上位資格保有者を対象に、専門知識・技術を活かして職務を行う「専門職制度」を導入しました。「キャリアグレード認定制度」と「専門職制度」を互いに行き来できる複線型キャリアパスにより、専門人材確保と従業員の志向するキャリアコースやライフスタイルの双方の実現を図ります。
評価制度も職制に基づき、公正な処遇、能力の発揮、キャリア構築を目指した人事考課を実施しています。人事考課ではそれぞれに求められる職務に対し、知識・能力と部下の育成に対する「能力評価」と、業績や政策事項、自己目標への度合いに対する「達成評価」の二側面から評価を行います。納得性を高めるために半期ごとに個人での目標設定を行うとともに、中間面談で進捗管理し、結果に対しフィードバックを行うことを定めています。
‐フレキシブルワークによる多様な働き方の実現
当社は1カ月単位での変形労働時間制を導入しており、業務量に応じて労働時間を柔軟に調整することで、時間外労働の抑制、長時間労働の防止につなげています。
また、新型コロナウイルス感染症の予防対策を契機に、2021年度よりテレワーク勤務制度を導入しました。会社が承認した全従業員・出向者・派遣社員を対象に従来の出社のほか、「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」を行うことが可能であり、自宅のほか、会社で契約するサテライトオフィスなど就業場所の多様化も図っています。
・労働安全衛生
当社グループにとって「安全・安心」は経営理念につながる基盤となる考え方です。お客さまの施設への「安全・安心」の提供に加えて、従業員およびパートナー企業の皆さまを含む全ての関係者に対して、安全衛生基準を満たした労働環境の整備を目指していきます。従業員の
基本的な心構えである「私の約束」においても「私は安全を最優先し、事故の防止に努めます。」と定めています。また、マテリアリティのうち「適正な労務管理」において、勤務中の事故リスクを認識しています。労働安全衛生における基本方針をもとに、労働関係法令にのっとり、労働安全衛生の推進に努めています。 |
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‐労働安全衛生体制
「安全衛生管理規程」「安全衛生委員会規程」にのっとり、安全衛生活動にかかる方針・目標策定と課題抽出・改善に向けた取り組みを決定しています。
労働安全衛生法にのっとり、50名以上の事業場に「安全衛生委員会」を設置、法令で定められていない50名未満の事業場でも安全衛生委員会に準じた活動として「職場安全衛生ミーティング」を開催しています。また、全社を統括する仕組みとして「中央安全衛生委員会」を労使で開催しています。中央安全衛生委員会では人事担当部長を統括安全衛生管理者とし、関連する事業セグメント・グループ会社の安全衛生責任者が出席しています。
‐中央安全衛生委員会
中央安全衛生委員会では、毎年、基本方針・重点取り組み・月度ごとの安全衛生重点活動を安全衛生管理活動計画として策定、PDCAを回すことで安全衛生向上に努めています。各事業場では年度計画に基づき毎月安全衛生委員会を開催し、各支社および中央安全衛生委員会がその活動状況をモニタリング、継続的な改善を図っています。
また、再発防止に向け、過去に発生した労働災害事故の原因分析と対策立案を実施、必要に応じてルール化し、水平展開を行っています。
度数率
年度 |
2021 |
2022 |
2023 |
2024 |
労働災害度数 |
3.8 |
2.71 |
6.78 |
5.08 |
‐安全衛生教育
入社時の電気取扱特別安全教育に加え、建設施工・設備管理分野で危険を伴う作業を行う従業員に対し、労働安全衛生法に基づく特別教育および社内教育を行っています。パートナー企業を含む全ての清掃担当者が常時携帯する「クリーンクルーディライト手帳」にも、作業時の事故発生防止のために留意すべきポイントを記載し、定期的な読み合わせを行っています。
また、ADソリューションセンターでは、「事件・事故システム」により受託物件で発生した労働災害を含むすべての事件・事故情報を常時、収集・共有するとともに、分析・原因追及と再発防止のための啓発を行っています。それらの情報を品質管理本部に共有し、各現場に対する注意喚起を都度行っています。これらの分析結果は月1回発行する「ADソリューションセンター通信」や、作業時の事故再発防止の留意点を纏めた事故対応事例集として全就業先に共有・周知を図ることで、再発防止に努めています。
・ダイバーシティ
当社グループは、「サステナビリティ基本方針」において、「多様な人材が能力を発揮できる活力ある組織風土づくり」を行うことを掲げています。またダイバーシティの推進は、社会課題解決への対応だけでなく、当社グループの持続可能な成長と事業機会の創出のために必要な事項ととらえ、マテリアリティのひとつにも位置付けています。
人種・国籍・民族・性別・年齢・出身地・宗教・学歴・心身の障がい・性的指向と性自認などを理由とした差別を禁止し、従業員一人ひとりが個性や能力を十分に発揮し、活躍できる企業となることを目指しています。
‐管理職・採用者における多様性
当社および当社グループは創立以来、複数の合併・統合を経て成長しており、従業員・管理職はいずれもさまざまな企業出身者による多様性のある構成となっています。当社(単体)においては、中途入社者の管理職比率は2021年度時点で既に約半数となっています。
採用においても、国籍・出身国・ジェンダーに関わらず最適な人材の確保に努めています。当社が拠点を持つ中国・アセアン地域の出身者を中心に、多様な国籍・出身国の従業員を採用しています。2024年度は、当社(単体)ではインドネシアより60人の特定技能外国人が入社しました。また、当社(単体)の2025年度新卒入社者のうち、女性は18.6%、外国籍は4.7%となっています。
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正社員・日給月給社員(無期雇用) 時間給社員・日給月給社員(有期雇用) すべての従業員 |
81.9% 73.4%
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※算出対象は2024年度に子が生まれた日給月給 社員 |
55.1日/人 |
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2024年度 単体 |
‐ワーク・ライフバランスを実現する取り組み
(時間単位年次有給休暇制度の導入)
多様な働き方を支える柔軟な休暇取得方法として、1時間単位で取得可能な時間単位年次有給休暇制度を2023年7月より導入しました。正社員・契約社員・嘱託社員・パートタイマーを対象に、1年間に5日分を上限とした取得を可能としています。
(「育児・介護ガイドブック」の作成)
2023年4月、従業員の出産や育児・介護での休職・勤務体制について纏めた「育児・介護ガイドブック」を作成しました。産後パパ育休などの法改正のポイントや社内規程、給付のしくみや社内相談窓口について、記載しています。従業員の仕事と家庭の両立を支援し、働きやすい職場環境づくりを目指しています。
(定年年齢の65歳への延長)
2022年3月より、年齢に関係なく経験・技能・知識を積極的に活かすため、正社員における定年年齢を60歳から65歳に延長しました。60歳以降、働く場合にもこれまでと同様の職種、勤務制度が適用されます。60歳以降も役職定年制度はなく、処遇は職務・職位に重点を置く職務給制とすることで、各世代それぞれが活躍できる環境を整備しました。
65歳の定年退職後も、本人が希望し、会社が認めた場合には70歳までの再雇用を行っています。
・人権尊重
「サステナビリティ基本方針」および「イオンの人権基本方針」に基づき、国際労働機関(ILO)の「労働における基本原則および権利に関するILO宣言」に記された人権規範の遵守、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」の支持と実践による人権尊重を行っています。
当社では、人権方針を社内に広く浸透し、事業で実践していくために、当社で就業する全ての従業員を対象に、人権に関する研修および啓発を実施しています。
2024年度は、新規入社者を対象に「人権に関する基礎知識」の研修を、役員・管理職・一般の階層別に「外国人の人権」「障がい者の人権」をテーマとした人権研修を、延べ17,183名に実施しました。
また当社グループ各社に人権啓発担当者を設置して定期的にミーティングを行い、人権への理解浸透や課題解決に取り組みました。
2023年度からは、従来の取り組みに加えて人権デューデリジェンスに着手し、自社従業員・取引先・地域社会の3つの人権侵害の側面における6カテゴリの課題を設定して33のチェック項目によるリスクアセスメントを実施しております。
2025年度は、『ハラスメント/サプライチェーン上の人権/外国人労働者の権利』の人権課題をイオングループ共通テーマとして設定し、人権研修とコンプライアンス研修双方で連携を取りながら実施することで、これらのリスク低減に取り組んでまいります。
・健康経営の推進 当社グループは、イオンの健康経営宣言にのっとり、従業員の健康の維持向上に取り組んでいます。「心と身体の健康の増進」、「安全・安心で活力ある職場づくり」を通し、従業員の健康推進を今後も進めていきます。 |
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イオンは従業員とお客さまの健康と幸せを実現し地域社会へ貢献するために、人材こそが最大の経営資源であるとの信念に基づき、多様な人材が健康で能力を発揮し活躍し続けられる企業集団となることを目指しています。従業員一人ひとりが心身ともに健康で、長く働き続けたいと感じ、働く意欲に満ちた存在となることが、健康経営で解決したい経営上の課題であると考えています。 従業員の健康づくりは、企業活動の要であり、従業員が健康であってこそ、地域のお客さまへ健康と幸せをもたらすサービスを提供できるという考えのもと、2016年に「イオン健康経 |
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営宣言」を発表し、健康経営を推進しています。また日本健康会議より、当社および当社グループの3社は、2023年3月に健康経営優良法人の認定を受け、2025年3月まで継続して認定を受けています。
(エ)目標と実績
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実績 |
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(参考)2021年度 |
2023年度 |
2024年度 |
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人手不足解消による事業継続性の向上 ・ ・ ・ ・ |
22.1% 23.7%
268.3時間
139件 |
24.8% 30.1%
342.4時間
98件 |
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※ 当社では環境トレンドの変化を踏まえ、長期目標の見直しを予定しております。そのため、人的資本、多様性に関する指標及び目標についても上記より変更となる可能性があります。
有価証券報告書に記載した事業の、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)イオングループ企業との取引について
当社は、純粋持株会社であるイオン㈱の企業集団におけるサービス・専門店事業に属しております。
2025年2月期における同社グループに対する契約金額に基づく取扱高は、2,338億6百万円であり、総取扱高全体に占める割合は62.3%であります。
大口取引先であるイオングループ企業との取引について、条件の変更等が発生した場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制について
当社の主な事業内容は、商業施設やオフィスビル等の建物の設備管理、警備、清掃、建設施工等であります。これらの事業を行ううえで、当社は、法的規制に基づく各種許可、登録、認可等を受けております。
今後、これらの法的規制の要件を満たすことができなかった場合には、事業活動に制約を受けることもあり、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)情報セキュリティについて
当社は、ファシリティマネジメント事業を展開する上でお客さまやお取引先から得た個人情報、従業員の個人情報、経営に関する機密情報等を保管・管理しております。ICTの普及やテレワークの拡大により情報セキュリティの重要性が高まる中、かかる情報の漏洩が生じないよう、情報セキュリティに関する体制や規程を整備し、情報の取り扱いや情報システムの運用に具体的な基準を設け、定期的なチェックを行う等、対策を講じております。
しかしながら、個人情報や機密情報等が何らかの事情により漏洩、改ざん、不正使用等が生じた場合、また、サイバー攻撃によるインシデントが発生した場合、被害者に対する損害賠償義務やサービスの大規模な停止による損害及び対応費用の発生のほか、当社の社会的信用の低下により、当社の事業、財務状況及び業績に影響が及ぶ可能性があります。
(4)中国及びアセアンでの事業展開について
当社は、中国及びアセアン地域において現地子会社を設立し、事業展開を行っておりますが、同地域にて政治的要因(法規制の動向等)、経済的要因(高成長の持続性等)及び社会環境における予測し得ない事態が発生する可能性があります。また、文化や習慣の違いから生ずる労務問題や疾病といった社会的なリスクが、当社の予想を超える水準で発生する可能性に加え、商習慣の違いにより、取引先との関係構築においても予想できないリスクが潜んでいると考えております。
こうしたリスクが顕在化した場合、現在実施している事業の中断等が懸念され、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)人材及び労働力の確保について
当社は、労働集約型事業を展開しているため、労働力としての質の高い人材の確保、適正な要員配置が必要不可欠であります。働き方改善に向け取り組み、労働環境の改善及び整備、社員の定着に取り組んでまいりますが、労働需給がさらに逼迫し、人材を十分に確保できなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、法令や制度の改正、物価変動等により社員に関わるコストが大幅に増加した場合にも、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)競争激化による影響について
当社が事業を行っている業界において、技術の進展や新規参入等により競争が激化し、これに十分な対応ができない場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)委託先との関係について
当社は、事業遂行にあたり委託先と協力関係を構築することが必要不可欠であり、「パートナーシップ構築宣言」を公表しております。委託先が当社の要望に応え、委託先との良好な関係が継続するように、当社は委託先の選定と取引開始後の関係性及び委託先の管理には常に最大限の注意を払っております。しかしながら、委託先に技術的あるいは経済的な問題が生じた場合、また委託先を十分に確保できない場合、新規受注の見送りや既存の受注の縮小を余儀なくされ、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)テクノロジーの活用について
当社は、提供するサービスの生産性向上を図るため、進化を続けるIoTやロボット等のテクノロジーの活用を進めております。しかしながら、テクノロジーの活用に係る研究開発が進捗しない、または中断するなどした場合に、期待する成長が達成できない可能性があります。
(9)子会社の管理体制について
当社は、連結子会社27社、持分法適用の関連会社5社を有しており、各社の業績及び財政状態は当社グループの連結財務諸表における業績及び財政状況に影響を及ぼします。
また、連結子会社の運営にあたり、アセアン事業COO及び中国事業COO並びに関連企業グループなどの管理担当部署を設置し関係会社管理規程に基づき適切な管理及び支援を行っておりますが、当社による連結子会社への管理及び支援が適切に行われず、当該連結子会社の業績の悪化や不祥事等が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)地震や台風等の災害、パンデミック、テロ活動等について
当社の事務所等及び当社が管理する店舗・施設の周辺地域において大地震や台風等の災害或いは予期せぬ事故等の発生、暴動、感染症のパンデミック、テロ活動その他事業活動に影響する何らかの事象が発生し、物理的損害や人的損害により、当社の事業活動が阻害された場合、当社の事業、財務状況及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
1.経営成績等の状況
(1) 経営成績に関する説明
当連結会計年度(2024年3月1日~2025年2月28日)の業績は、売上高が3,379億29百万円(対前年比104.0%)、営業利益164億29百万円(同107.8%)、経常利益166億33百万円(同107.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益115億24百万円(同107.6%)となり増収増益、営業利益、経常利益は過去最高益となりました。
売上高は、イオングループ内外における顧客内シェア拡大や新規受託物件の増加に加え、人件費や外注費、原材料費等の原価上昇に伴う単価見直しの推進により増収となりました。セグメント別では、自動販売機を除く6事業で増収となりました。
営業利益は、売上高の拡大に加え、売上総利益率の改善や販売管理費の適切なコントロールにより売上高の伸び率を上回る増益となりました。セグメント別では、全7事業で増益となりました。
(2) 当連結会計年度における主要事業の概況
[セグメント別業績]
<売上高>
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
構成比(%) |
対前年比(%) |
設備管理事業 |
75,381 |
22.3 |
108.4 |
警備事業 |
53,345 |
15.8 |
104.8 |
清掃事業 |
71,875 |
21.3 |
102.1 |
建設施工事業 |
60,794 |
18.0 |
102.7 |
資材関連事業 |
48,209 |
14.3 |
104.1 |
自動販売機事業 |
9,300 |
2.7 |
96.7 |
サポート事業 |
19,023 |
5.6 |
101.1 |
合計 |
337,929 |
100.0 |
104.0 |
<セグメント利益>
セグメントの名称 |
セグメント利益(百万円) |
構成比(%) |
対前年比(%) |
設備管理事業 |
6,159 |
23.8 |
104.2 |
警備事業 |
3,158 |
12.2 |
101.6 |
清掃事業 |
5,538 |
21.4 |
104.9 |
建設施工事業 |
5,495 |
21.3 |
103.2 |
資材関連事業 |
2,620 |
10.2 |
112.8 |
自動販売機事業 |
1,301 |
5.0 |
100.9 |
サポート事業 |
1,560 |
6.1 |
286.2 |
合計 |
25,834 |
100.0 |
108.6 |
<設備管理事業>
設備管理事業は、売上高753億81百万円(対前年比108.4%)、セグメント利益61億59百万円(同104.2%)となりました。同事業では、お客さまからの引き合い増加に対応した人材確保により原価が増加したものの、継続契約の新規受託や既存管理物件における契約外業務の受託拡大により原価上昇分の影響を吸収し増収増益となりました。
<警備事業>
警備事業は、売上高533億45百万円(対前年比104.8%)、セグメント利益31億58百万円(同101.6%)となりました。同事業では、単価見直しを上回る人件費の上昇が収益性を圧迫したものの施設警備の新規受託等により原価上昇分の影響を吸収し増収増益となりました。
<清掃事業>
清掃事業は、売上高718億75百万円(対前年比102.1%)、セグメント利益55億38百万円(同104.9%)となりました。同事業では、単価見直しを上回る人件費の上昇が収益性を圧迫したものの、継続契約の新規受託の寄与等により、原価上昇分の影響を吸収したことで増収増益となりました。
<建設施工事業>
建設施工事業は、売上高607億94百万円(対前年比102.7%)、セグメント利益54億95百万円(同103.2%)となりました。同事業では、お客さまのエネルギーコスト上昇に対応した省エネ関連工事の受託拡大に加え、工事体制強化により大型複合施設のフロア改修や外資系メーカーの研究所リニューアル等、大型工事を複数受託したことにより増収増益となりました。また、各工事における仕様や工程の最適化により収益性を改善しました。
<資材関連事業>
資材関連事業は、売上高482億9百万円(対前年比104.1%)、セグメント利益26億20百万円(同112.8%)となりました。同事業では、各種資材の受注拡大を推進し増収となりました。また、原材料費や物流費が上昇傾向にある中、各種資材における原価上昇分の売価への適正な反映や配送効率の向上を通じた物流費の抑制に取り組み収益性を改善したことで大幅な増益となりました。
<自動販売機事業>
自動販売機事業は、売上高93億円(対前年比96.7%)、セグメント利益13億1百万円(同100.9%)となりました。同事業では、取扱高が減少したものの不採算機撤去等により収益性が改善し減収増益となりました。
<サポート事業>
サポート事業は、売上高190億23百万円(対前年比101.1%)、セグメント利益15億60百万円(同286.2%)となりました。施設管理に付随するサービスや旅行関連事業等により構成される同事業では、2019年に判明した旧連結子会社による不適切会計処理問題やコロナ禍をはじめとする過去数年にわたる事業環境の変化に伴うマイナス影響を払拭し、収益構造を適正化したことにより増収増益となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ34億90百万円増加し、712億4百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとお
りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益の計上162億60百万円、減価償却、減損損失及びのれん償却41億68百万円、売上債権の増加39億10百万円、法人税等の支払34億15百万円により、137億93百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券及び投資有価証券の取得による支出154億35百万円、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入149億8百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出28億53百万円により、36億12百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払41億55百万円、自己株式の取得による支出27億90百万円により、72億8百万円の支出となりました。
(4) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績及び受注実績
当社の業務内容は、ファシリティマネジメント事業の役務提供を主体としており、生産実績及び受注状況を画一的に表示することは困難なため、記載しておりません。
② 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
対前年比(%) |
設備管理事業 |
75,381 |
108.4 |
警備事業 |
53,345 |
104.8 |
清掃事業 |
71,875 |
102.1 |
建設施工事業 |
60,794 |
102.7 |
資材関連事業 |
48,209 |
104.1 |
自動販売機事業 |
9,300 |
96.7 |
サポート事業 |
19,023 |
101.1 |
合 計 |
337,929 |
104.0 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年3月1日 至 2024年2月29日) |
当連結会計年度 (自 2024年3月1日 至 2025年2月28日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
イオンリテール㈱ |
60,411 |
18.6 |
63,468 |
18.8 |
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ131億9百万円(4.0%)増加し、3,379億29百万円となりました。セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、設備管理事業22.3%、警備事業15.8%、清掃事業21.3%、建設施工事業18.0%、資材関連事業14.3%、自動販売機事業2.7%、サポート事業5.6%となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ105億86百万円(3.8%)増加し、2,927億93百万円、販売費及び一般管理費は13億28百万円(4.9%)増加し、287億6百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ11億94百万円(7.8%)増益の164億29百万円となりました。
③ 経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ11億50百万円(7.4%)増益の166億33百万円となりました。
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、減損損失3億2百万円等の特別損失を計上したことにより、前連結会計年度に比べ6億81百万円(4.4%)増益の162億60百万円となりました。
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計は、前連結会計年度に比べ1億50百万円減少し、46億22百万円となりました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ8億16百万円(7.6%)増益の115億24百万円となりました。また、1株当たり当期純利益については、前連結会計年度より19.59円増加し、239.29円となりました。
(2) 当連結会計年度の財政状態の分析
① 資産
総資産は、前連結会計年度末に比べ96億25百万円(6.0%)増加して1,698億82百万円となりました。
これは主に現金及び預金の増加34億14百万円、受取手形、売掛金及び契約資産並びに電子記録債権を合わせた売上債権の増加45億8百万円、有価証券の増加4億97百万円、流動資産のその他の増加5億54百万円、投資有価証券の増加4億35百万円によるものであります。
② 負債
負債は、前連結会計年度末に比べ33億83百万円(6.0%)増加して594億27百万円となりました。
これは主に未払金の増加10億86百万円、賞与引当金の増加2億54百万円、流動負債のその他の増加2億78百万円、繰延税金負債の増加2億56百万円、固定負債のその他の増加4億96百万円、未払法人税等の増加8億60百万円によるものであります。
③ 純資産
純資産は、前連結会計年度末に比べ62億41百万円(6.0%)増加して1,104億54百万円となりました。
これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上115億24百万円、配当の実施41億55百万円、自己株式の取得27億90百万円、その他の包括利益累計額の増加15億84百万円によるものであります。
(3) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「1.経営成績等の状況」(3)キャッシュ・フローの状況をご参照ください。
(4) 資本の財源及び資金の流動性
① 資金需要
当社グループが営むファシリティマネジメント事業は人的サービスを主としていることから、資金需要の主なものは人件費及び委託先へ支払う外注費用であります。
また、設備投資にかかる資金需要の主なものは、自動販売機及び清掃資機材等の器具備品並びにシステムソフトウェアであります。
② 財務政策
当社グループの事業活動に必要な資金については、自己資金にて賄うことを基本としております。
(5) 目標とする経営指標の状況
当社は、積極的な投資を通じて持続的な成長を実現し、中長期的に株主価値を高め、会社の成長に合わせて株主への利益還元を拡大できるように努めます。
また、資本効率に関する目安として自己資本利益率(ROE)を重視し、当面は12%水準を意識してまいります。
なお、2025年2月期の自己資本利益率(ROE)は10.9%であります。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
特記事項はありません。
特記事項はありません。