当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1)会社の経営の基本方針
当社は、次の経営理念により、信頼性の高い誠実な企業運営を続けることを基本方針としています。
「商業を通じ消費生活と生活文化の向上に貢献することを基本とする。
常に最先端の商業、流通技術の運用によって高い生産性と適正な企業業績を維持する。
世界的視野と人間尊重の経営を基本とし、普遍的な信用、信頼性をもつ誠実な企業運営を続ける。」
2)経営環境
わが国の今後の経済状況は、米国新政権の政策について不確実性が大きいものの、2025年の賃上げ率は2023年・2024年に続いて高い伸び率で着地するとみられます。一方、個人消費は、エネルギー支援策の縮小や食料品価格の高騰による物価高が消費の重しとなると考えられます。
小売業を取り巻く環境は、賃金上昇を背景に消費者の値上げ許容度が高まるものの、生活必需品への節約志向は依然として強く、価値と価格のバランスが取れた商品施策がより重要視されることが予測されます。また、サプライチェーンにおける環境や人権問題などの社会的意識の高まりにより、サステナブル商品の需要は更に増加し、販売面では実店舗とECを融合したオムニチャネル施策が加速すると考えられます。
3)目標とする経営指標
当社は、小売業としての適切な営業利益率を10%として意識し、連結営業利益率についても10%が適切と認識して
おります。このためにグループ全体を統合した物流システム、情報システムを基本に調達・運営・組織の高度化を
図り、新しい企業構造への仕組みの構築を進めております。
4)中長期的な会社の経営戦略
当社は、経営理念に基づいた企業運営を行うため、「社員」「お客様」「取引先」「株主」「社会」にとって「いい会社」を造ることを、長期に渡る経営ミッションとして掲げております。また、本業を通じてESG課題にも取り組み、全てのステークホルダーに対して価値を創造することで、持続可能な社会の実現、企業価値の向上を目指していきます。
①長期経営計画2030
当社グループでは、長期的かつ持続的な成長を実現するために、2030年2月期に向けた成長戦略として「長期経営計画2030」を策定しています。長期ビジョンのテーマを「日々の暮らしにワクワクを」とし、既存店事業の伸長と積極的な出店を通じて商圏シェアを拡大し、地域のお客様に対して“ワクワク”する商品とサービスを提供することで、日々の暮らしに楽しさをお届けします。「長期経営計画2030」の骨子は以下の通りです。
a.成長戦略では、事業ポートフォリオの再構築、既存店売上の伸長、新規出店の強化と既存店改装の推進、EC事業
の拡大、新たな海外展開を含む新規事業の研究を進めます。
b.基礎と基盤の強化においては、労働力不足への対応や人事労務制度の見直しを進め、教育体系も改善します。ま
た、デジタル化の推進により業務効率を向上させ、物流網の再構築では新規商品センターおよびECセンターの設
置を進めます。
c.資本政策では、店舗・商品センターや人的資本への成長投資を継続し、長期的・安定的な株主還元と適正な規模
の内部留保を維持します。
d.ESG活動では、プラスチックごみの削減や環境に配慮したサステナブル商品の開発を推進し、サプライチェーン
における環境・人権への配慮も強化します。また、社員のダイバーシティ推進とガバナンス体制の更なる強化も
図ります。これらの戦略のもと、2030年2月期に売上高8,000億円以上、営業利益率10%、ROE9.0%以上の実現
を目指します。
②中期経営計画2027
当社グループでは、長期ビジョンの実現に向けて、2025年2月期から2027年2月期までの3ヵ年を対象とした中期経営計画を策定しています。2027年2月期に売上高7,250億円、営業利益率9.2%を目標とします。基本方針は「ネクスト・チャレンジ(成長への挑戦)」とし、社員全員の創意工夫で様々な課題に挑戦し、当社グループの強みを更に強固なものとします。また、既存店業績の伸長と積極的な出店により事業規模を拡大し、効率的な運営で収益性を高めます。
5)会社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2025年度のグループ統一テーマは、“ネクスト・チャレンジ2nd『限界を改め更なる高みへ』”とします。昨年はこれまで当たり前と思われてきた各分野にメスを入れ、今まで私たちが限界と思っていたラインも様々なチャレンジによって更に上へと引き上げることが出来ました。今年も様々な挑戦を通じて、限界を上に引き上げていきます。
①重点課題
a.商品力の強化
ヒット商品の開発と自社ブランドの進化、企画商品のブラッシュアップにより、ブランド力の更なる向上を図り
ます。また、ラインロビングによる顧客ターゲット層の拡大とデータ分析の高度化による新規商品の発掘を進め
ます。
b.販売力の強化
販促手法の多様化とデジタル化の推進に加え、店舗特性や地域特性に応じた販促の最適化を進めます。また、イ
ンストアプロモーションのデジタル化とVMDを強化します。
c.基礎と基盤の強化
デジタル化による店舗オペレーションの再構築で労働生産性の向上を図ります。出店戦略では、都市部への出店
強化、店舗の再配置、既存店の改装とファッションモール化を進め、店舗の収益力を向上させます。商品調達で
は、リスクヘッジが可能で、優位性および継続性があるサプライチェーンを再構築します。人材育成では、働き
やすく、働きがいのある「いい会社」を実現するための人材戦略を推進します。ESG課題への取り組みでは、本
業を通じた持続可能なESG活動を推進します。EC事業では、オンラインサイトを統一することで利便性を向上さ
せ、EC売上の拡大を図ります。また、海外事業では台湾事業の拡大を図るとともに、新規海外事業への研究を進
めます。
②主力のしまむら事業
20代から60代の女性とその家族をターゲットとするしまむら事業では、お客様が気軽に楽しく選べる品揃えと売
場の進化を目指します。商品力の強化では、PBでのヒット商品の開発、高品質商品の拡大、JBのブラッシュアッ
プを推進します。販売力の強化では、天候や気温に左右されにくい販売手法の拡大、地域対応の強化、デジタル
販促の拡大、実店舗とオンラインストアの連動によるEC売上の拡大を進めます。
2025年度は、16店舗の開店と8店舗の閉店を予定し、年度末には1,424店舗とする予定です。
③アベイル事業
10代から40代の男女をターゲットとするアベイル事業では、トレンドからベーシック、キャラクターまで幅広く
旬な品揃えを提供するために、商品力と販売力の更なる強化を図ります。トレンド商品では、インフルエンサー
企画の拡大による新規顧客の獲得を目指し、ベーシック商品はトレンド+機能性商品の開発による商品グレード
の向上を図ります。キャラクター商品では、オリジナルや限定感のある企画によるファン層の拡大を目指します。
また、オンラインストアでは、企画・生産スピードの速さを活かして、高効率な売上作りを進めます。
2025年度は、12店舗の開店と3店舗の閉店を予定し、年度末には325店舗とする予定です。
④バースデイ事業
「ベビー・子供用品の総合専門店」として国内No.1を目指すため、JBの企画力の強化、出産準備用品の品揃えの
改善、プレミアムラインへの挑戦、親子・姉妹のリンクコーディネート企画の提供を進めます。同時に、短期生
産が可能な生産背景の確保と貿易部の活用拡大に取り組み、生産背景の強化を図ります。販売力の強化では、店
舗イベントの最適化、顧客データ分析に基づく販促方法の改善を進めるとともに、デジタルカタログの充実やオ
ンラインストア販売の品揃えの拡大を進めます。
2025年度は、12店舗の開店と6店舗の閉店を予定し、年度末には342店舗とする予定です。
⑤シャンブル事業
10代から60代の女性をターゲットとした「雑貨&ファッション」の専門店であるシャンブルは、お客様へのライ
フスタイル提案を強化するために、JBのブラッシュアップ、ラインロビングの拡大、ギフトアイテムの充実を進
めていきます。販売力の強化においては、2024年型レイアウト店舗の完成度を高めるとともに、店舗限定クーポ
ンの活用を進めます。
2025年度は、5店舗の開店と1店舗の閉店を予定し、年度末には127店舗とする予定です。
⑥ディバロ事業
「足元を含めた着こなし提案の店」をコンセプトとしたファッショングッズ専門店のディバロでは、20代から50
代の婦人をターゲットに、靴を中心としたトータルコーディネートの完成度を高めていきます。また、販売力の
強化においては、下期にオンラインストアをオープンし、認知度の向上と新規顧客の獲得を図ります。
2025年度は、5店舗の開店を予定し、年度末には21店舗とする予定です。
⑦EC事業
2020年度に実店舗との相互送客を目的としてオープンしたオンラインストアは、2025年度下期にディバロを加え、
各事業で独立していたオンラインストアを統合してモール化することで、集客力の強化を図ります。更に、オン
ラインストアで注文した商品は、全事業の店舗で全事業の商品を見て触ってから購入できるサービスを導入します。
⑧思夢樂事業
台湾全域で店舗を展開する思夢樂は、20代から60代の女性とその家族をターゲットとした総合衣料の専門店とし
て、日常で必要なソフトグッズが欲しい時に揃う店舗の実現に向けて、事業の育成を進めています。商品力の強
化においてオリジナル商品とラインロビングの拡大を進めるとともに、販売力の強化では、インフルエンサーの
活用拡大、台北市のファッションエリアへの出店、自社ECの導入を進めます。
2025年度は、2店舗の開店と1店舗の閉店を予定し、年度末には45店舗とする予定です。
当社グループのサステナビリティに関する考え方や取り組みは以下の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1)サステナビリティ全般
当社グループは、本業を通じて持続可能な「しまむら流のESG対応」を推し進め、「社員」「お客様」「取引先」「株主」「社会」にとって「いい会社」を造ることで、企業の持続的な成長を目指します。
①ガバナンス
ガバナンスは、提出日(2025年5月19日)現在の状況を記載しております。
a.取締役会の役割
当社グループのESGに関する方針は、取締役会の諮問機関である経営計画策定委員会で審議したうえで、取締役会で決定しています。当社はESG課題を経営課題と捉えており、経営計画について議論を行う経営計画策定委員会でESG課題についても審議しています。経営計画策定委員会の委員は、取締役全員の計8名です。
取締役会は、年2回以上、各部門やESG推進チームで取り組んだ内容と結果について報告を受け、それをモニタリングし、監督しています。さらに、ESGに関する経営戦略、経営計画等の重要な事項について決定を行っています。
b.グループ経営会議の役割
取締役会で決定された方針は、各部署に伝達され、それぞれの部署方針に組み込んでいます。また、部署を超えて取り組むべき方針については、執行役員が参加するESG推進チームで審議したうえで、各部署と連携して取り組んでいます。
c.サステナビリティ(ESG)推進体制
当社グループは、サステナビリティ方針の基本的な考え方に沿って、ESG課題に対して持続的な活動を行っています。ESG課題に対するテーマ設定や課題への解決プロセス、数値目標などについては、経営計画策定委員会で審議し、取締役会で決定します。
その後、決定された目標に対して、執行役員及び社内各部署が横断的に連携するESG推進チームを設置し、月1回の定期ミーティングで、課題に対する進捗報告や問題提起等を行っています。
ESG推進チームの活動内容については、ESG対応部署である広報室が進捗管理を行い、毎月社長へ報告しています。また、年2回以上、取締役会または経営計画策定委員会へ報告しています。
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|
②戦略
当社グループは、持続可能な社会の実現のため、サプライチェーンの各段階における「環境」「社会」「ガバナンス」の諸問題を重点課題と捉え、その課題解決に向けて取り組んでいます。当社グループの経営理念や経営ミッションは、国連の提唱するSDGsの目標に通じており、企業活動や課題解決に向けての取組みがSDGsの達成にも貢献すると考えています。SDGsの17の目標の内、9つの目標について、特に関連性が高いと考えており、しまむらグループは 9つの目標に関連する 6つのサステナビリティ重点課題を設定しています。
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サステナビリティ重点課題 |
SDGsの目標 |
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環境 |
サーキュラーエコノミーの推進 |
11、12、13、14、15 |
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GHG排出量の削減 |
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持続可能な調達 |
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社会 |
多様な人材活躍 |
5、8、11、16、17 |
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衣料品インフラの役割強化 |
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ガバナンス |
ガバナンスの進化 |
16、17 |
③リスク管理
当社グループでは、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクについては、「
④指標と目標
2030年2月期までの長期目標、2027年2月期までの中期目標、2024年度の数値実績は下記のとおりです。
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重点課題 |
取組み事項 |
2024年度 数値実績 |
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長期目標2030 |
中期目標2027 |
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サーキュラー エコノミーの推進 |
プラスチックごみの削減 |
ハンガーの完全循環型リサイクル比率90.0% (注)1 |
75.4% |
|
ビニールの完全循環型リサイクル比率50.0% (注)2 |
19.7% |
||
|
GHG排出量の削減 |
商品廃棄ゼロの継続と進化 |
商品廃棄ゼロの継続 (注)3 |
商品廃棄ゼロ |
|
GHG排出量の削減 |
GHG排出量(Scope1,2)2013年度比60.0%削減 |
55.7% (注)7 |
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持続可能な調達 |
サステナブル商品の開発と 販売促進 |
サステナブル商品比率40.0%(注)4 |
27.5% |
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サプライチェーンの人権尊重 |
サプライヤーCoC遵守体制の継続と強化 |
- |
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|
多様な人材活躍 |
ダイバーシティの推進 |
女性管理職比率23.0% (注)5 |
19.3% |
|
障がい者雇用率5.0% |
5.03% (注)8 |
||
|
衣料品インフラの 役割強化 |
衣料品インフラの役割強化 (主に買い物弱者への対応) |
売上計画1.3億円 (注)6 |
71百万円 |
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出張販売の実施 |
- |
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買い物ツアーの受け入れ実施 |
- |
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オンラインストアの拡大 |
- |
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ガバナンスの進化 |
成長戦略・資本政策の継続的な審議と実行 |
- |
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リスク管理の継続と進化 |
- |
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後継者の育成 |
- |
||
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取締役会の多様性と適正規模の確保 |
- |
||
(注)当社グループにおける主要な事業を営む提出会社の状況を記載しております。
(注)1.商品に付属する当社指定色のプラスチックハンガー。
リサイクル可能なハンガーの追加及びリサイクル拠点の追加に伴い、中期目標2027を変更しました。
2.納品時に使用している商品保護用透明ビニール(ポリプロピレン素材)。
3.当社は、現在も商品廃棄ゼロ。今後も継続します。
4.しまむら事業、アベイル事業、バースデイ事業、シャンブル事業のPB(プライベートブランド)商品。
サステナブル商品の販売促進を重視するため、中期目標2027を「サステナブル商品仕入比率40%」から売上高で示す「サステナブル商品比率40%」に変更しました。
5.主幹級以上の女性管理職比率。
6.出張販売、買い物ツアー、高齢者向けオンラインストアの合算の売上。
7.GHG排出量の削減率は、2023年度実績。
8.障がい者雇用率の実績は、「障害者雇用状況報告書」の最新値(2024年6月1日現在)を記載しております。
2)気候変動への取組み
当社グループは、気候変動への対応を重要な経営課題であると考えており、温室効果ガス削減のために独自の合理的な取組みを推し進めています。そのうえで、ESG投資を行う機関投資家などが適切な投資判断を行えるよう、TCFD提言に賛同し、TCFDの4つの開示項目に沿ってその取り組みを開示しています。
なお、気候変動への取組みについては、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社の状況を記載しております。
①ガバナンス
「
②戦略
a.シナリオ分析の実施
気候変動リスクには、政策や法規制の変化などがもたらす「移行リスク」と、自然災害の増加による資産の損害といった「物理的リスク」があります。当社は、気候変動に関する主なリスクと機会が事業へ与える影響を特定し、対応戦略を立案するために、シナリオ分析を行いました。なお、シナリオ分析は、下記のプロセスで行っています。
|
1 |
ESGを担当する広報室がシナリオ分析を行います。 |
|
2 |
広報室から取締役会へシナリオ分析結果を報告します。 |
|
3 |
取締役会で審議されたうえで、決定します。 |
ア.シナリオ分析の前提
・使用したシナリオ
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国際エネルギー機関(IEA) WEO 2023 |
気候変動に関する政府間パネル (IPCC)第6次評価報告書 |
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脱炭素シナリオ (1.5℃~2℃) |
NZE(実質排出量ゼロシナリオ) |
SSP1-1.9,SSP1-2.6 |
|
温暖化進行シナリオ (2.7℃~4℃) |
STEPS(公表政策シナリオ) |
SSP3-7.0,SSP5-8.5 |
・分析対象
国内事業(株式会社しまむら)
・想定した時期
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短期 |
~2027年2月(中期経営計画の期間) |
|
中期 |
~2030年2月(長期経営計画の期間) |
|
長期 |
~2050年 |
イ.シナリオ分析で想定した世界観(シナリオで想定する気温は、2100年までの平均気温の上昇。)
|
脱炭素シナリオ (1.5℃~2℃) |
法規制 |
脱炭素に向けて、炭素税や厳しい法規制が課される。 |
|
エネルギー価格 |
化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が進み、電力価格が上昇する。 |
|
|
自然災害 |
短~中期では、自然災害が頻発・激甚化する。 長期では、温暖化シナリオに比べて、自然災害の激甚化に歯止めがかかる。 |
|
|
温暖化進行シナリオ (2.7℃~4℃) |
法規制 |
現行の法規制が継続し、炭素税が導入された場合も影響は軽微。 |
|
エネルギー価格 |
化石燃料への依存が継続するため、原油価格が上昇する。 |
|
|
自然災害 |
長期になる程、自然災害が頻発・激甚化する。 脱炭素シナリオに比べて、発生頻度・被害が大きい。 |
b.特定した気候変動に関する主なリスクと機会
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リスク・機会の種類 |
重要な変化 (発生時期) |
内容 |
影響度 |
||
|
1.5~2℃ |
2.7~4℃ |
||||
|
移行 リスク |
政策・ 法規制 |
炭素税の導入 GHG排出規制 (短~長期) |
増税やエネルギー価格の上昇で、原材料価格・物流費が上昇することによる、商品調達コスト増加 |
非常に 大きい |
大きい |
|
増税やエネルギー価格の上昇による、光熱費等の店舗・商品センター運営のコスト増加 |
非常に 大きい |
大きい |
|||
|
環境負荷の高い素材等への法規制に伴い、原材料・包装資材等の変更による、商品調達コストの増加 |
非常に 大きい |
大きい |
|||
|
評判 |
環境課題への対応遅れ(短~長期) |
環境課題への対応遅れによるステークホルダーからの評判の低下 |
非常に 大きい |
大きい |
|
|
移行 機会 |
製品/ サービス |
顧客行動の変化 (短~長期) |
消費者のサステナビリティへの意識の高まりに伴う、サステナブル商品の販売機会の増加 |
非常に 大きい |
大きい |
|
物理的 リスク |
急性 リスク |
台風・豪雨による 自然災害の増加 (短~長期) |
被災地の店舗の営業休止による販売機会の喪失 |
大きい |
非常に 大きい |
|
被災地の商品センターの営業休止による、商品供給体制の寸断 |
大きい |
非常に 大きい |
|||
|
被災地の建物被害による、店舗・商品センターの修繕コストの増加 |
大きい |
非常に 大きい |
|||
|
慢性 リスク |
平均気温の上昇 (短~長期) |
農作物収穫量が減少することによる、商品調達コストの増加 |
大きい |
非常に 大きい |
|
|
夏期が長くなり、冬期が短くなることに伴い、冬物商品の購買動機が縮小することによる販売機会の喪失 |
大きい |
非常に 大きい |
|||
|
降水量の不安定 (短~長期) |
農作物収穫量が減少することによる、商品調達コストの増加 |
大きい |
非常に 大きい |
||
c.当社への財務インパクト(2050年を想定)
|
炭素税導入 |
脱炭素シナリオ (1.5℃~2℃) |
3,802百万円 *炭素税250US$/t-CO2(NZE) *当社GHG排出量(2023年度・Scope1,2):100,481t-CO2 |
|
温暖化進行シナリオ (2.7℃~4℃) |
2,053百万円 *炭素税:135US$/t-CO2(STEPS) *当社GHG排出量(2023年度・Scope1,2):100,481t-CO2 |
|
|
災害による損失 |
脱炭素シナリオ (1.5℃~2℃) |
112百万円 *産業革命前と比べて災害発生率1.5倍(SSP1-1.9,SSP1-2.6) *当社災害による損失(2014-2023年度平均):97百万円 |
|
温暖化進行シナリオ (2.7℃~4℃) |
202百万円 *産業革命前と比べて災害発生率2.7倍(SSP3-7.0,SSP5-8.5) *当社災害による損失(2014-2023年度平均):97百万円 |
d.対応戦略
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重要なリスク・機会 |
対応策 |
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リスク |
商品調達コスト増加 |
・生産国やサプライヤー(=メーカーや商社など商品の仕入れ先。約600社)の多様化・分散化によるリスク分散 ・サプライヤーとの連携により、素材(原材料)が調達できなくなる場合への早期対策(素材の早期予約や、代替素材への変更等)の実施 |
|
物流コスト増加 |
・物流の効率化(商品センターの自社運営、自社共同配送、直接物流、自社物流のモーダルシフトの拡大) |
|
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光熱費増加 |
・電力使用量削減のための設備導入(照明のLED化、省エネ型空調機への入替等) ・サステナブル店舗の開発(省エネ設備の導入、遮熱塗装、断熱材の増加等) |
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冬物商品の 販売機会の喪失 |
・トレンド商品やキャラクター商品等の企画・提案力の強化により、天候や気温以外の購買動機を創出 |
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店舗の営業休止による 販売機会の喪失 |
・多店舗展開によるリスク分散(約2,200店舗) ・営業復旧のための体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用 |
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商品センター営業休止に よる商品供給体制の寸断 |
・災害時の配送ルート等、体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用 |
|
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建物被害による 修繕コストの増加 |
・建物復旧のための体制や実施策について記載したBCP(事業継続計画)の運用 ・店舗開発時にハザードマップ等を確認したうえでの出店 ・浸水が予想される店舗へ止水板設置等の災害対策を実施 |
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環境課題への対応遅れ |
・資源のサーキュラーエコノミーの推進(ハンガー・ビニールリサイクル) ・商品廃棄ゼロの継続(商品回収とリサイクル) |
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機会 |
サステナブル商品の 販売機会の増加 |
・サステナブル商品の開発・販売の強化 |
③リスク管理
当社グループでは、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクについては、「
④指標と目標
当社は、気候変動によるリスクを評価・管理する指標として、温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)を算定しています。
a.2023年度のGHG(Greenhouse Gas:温室効果ガス)排出量
ア.Scope1、2 (単位:t-CO2)
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年度 |
2013 |
2023 |
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Scope1 |
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Scope2 ロケーション基準 |
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Scope2 マーケット基準 |
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・範囲
Scope1:灯油・ガス等のエアコン燃料、商品センターのフォークリフトの燃料、社有車のガソリン使用量
(2013年度は社有車のガソリン使用量を含んでいません)
Scope2(ロケーション基準):店舗・商品センター・本社の使用電力量×全国平均係数
Scope2(マーケット基準):調整後排出係数(省エネ法の特定事業者定期報告書、Scope1除く)
イ.Scope3
当社は、Scope3の15カテゴリのうち、どのカテゴリが重要であるか特定するために、Scope3の算定を行いました。なお、算定方法は、サプライチェーンに関連する企業が多い(商品の一次サプライヤーのみで約600社)ため、積み上げ式(サプライチェーンの関連取引先への聞き取り調査)ではなく、環境省排出原単位データベースやIDEAv2から引用した排出原単位と支出額等を用いた簡易的な算定方法を用いています。
気候変動の詳細な情報については当社ウェブサイトをご参照ください。
(URL:https://www.shimamura.gr.jp/sustainability/environment03.html)
b.目標
当社は、気候関連リスク・機会を管理するために、GHG排出量(Scope1、2)、余剰在庫の廃棄量(廃棄ゼロ)、当社指定色ハンガーの完全循環型リサイクル比率、当社指定ビニールの完全循環型リサイクル比率、サステナブル商品比率の目標を定めており、「
なお、気候変動評価の指標にはこの他に水や土地などがありますが、当社は小売業であり、水や土地の汚染への影響が小さいため、評価指標の対象にしていません。
3)人的資本・多様性
当社グループは、社員一人ひとりが長きにわたる人生において、仕事を通じて自己実現を図ると共に、日々の暮らしを安定させ、充実した社会生活を送ることができるよう、労働条件や職場環境の整備に努めることを社員に対する経営ミッションとしています。人的資本への投資を通じて社員一人ひとりの成長を促すことで、生産性や付加価値の向上などの成果を発揮し、当社の持続的な成長を目指します。
なお、人的資本・多様性については、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社の状況を記載しております。
①ガバナンス
「
②戦略
a.人材育成方針
当社は、人的資本への投資を通じて社員一人ひとりの成長を促すことで、生産性や付加価値の向上などの成果を発揮し、当社グループの持続的な成長を目指します。
ア.人材育成
当社の社員の成長には、現場経験やOJTを通じた知識や技能の習得に加え、Off-JTにより当社の社員として必要な基礎知識や考え方、倫理観を学び、人材育成の土台を築くことが重要です。これらの人材育成制度により、会社の考えや理念、業務の目的、自身の存在意義などを再確認し、個々の意欲向上にも繋げます。
・M社員制度
M社員制度は、店舗で働くパート社員のために作られた制度です。これは、能力があるもののフルタイムで働きにくい主婦層を想定し、高い処遇と家庭生活を両立できる時間シフト制を取り入れた当社独自の制度です。高い能力のM社員と、マニュアルに基づいた店舗運営により、店長1名とM社員6~10名程度という少人数での店舗運営を実現しています。
・店長昇進制度
当社では、M社員の中から有能な人材を店長(正社員)として登用しており、現在の店長の約7割がこの制度から誕生しています。店長昇進後はその上位職に当たるブロックマネージャーや他の職種にも挑戦でき、社員本人の働きやすさと成長を両立した制度です。店長昇進の目標を持つことで、仕事へのモチベーションが上がり、社員一人ひとりの能力向上だけでなく会社の成長にも繋がっています。
・適性に応じた職場配置
当社では積極的な大卒採用を継続的に行い、管理職への登用を行っています。正社員の人事は、入社10年以下は仕事のポストを短期間で変えるジョブローテーションを基本とし、その後は適性のある部署に5年以上所属し、スペシャリストを養成します。ジョブローテーションにより、様々な部署で広い視野と知識・業務スキルを身につけ、常にチャレンジ精神を持ち続ける有能な人材へ成長することができます。
・公平な人事評価
全社員が会社の方針を理解し、直属上司の指示・命令のもとで最高の成果を得るために、そして全社員が能力を充分に発揮するために、公平な人事考課制度を定めています。また社員には、常に広い視野に立って新しいあるべき流通業の姿を求め、自己育成することによって質の高い業務を遂行し、良い業績と社業拡大によって社会的役割を果たすことを期待しており、その結果として賃金を公平に支払うための給与規程を定めています。
・Shimamura Women's empowerment Curriculum (しまむら女性活躍カリキュラム)
当社では、2023年度から女性が活躍できる環境作りの一環として、女性管理職の能力向上を目的とした「しまむら女性活躍カリキュラム」を実施しています。マインドセットプログラムとスキルアッププログラムを通じて、モチベーションの向上や、上位職を目指すうえで必要なスキルの習得を行い、女性管理職の能力向上を行っています。
イ.教育制度
会社が成長するためには、社員一人ひとりの成長が不可欠です。
当社では社員へ求める能力を明確にし、当社がその能力を育成するための教育体系を構築及び管理することで、社員の自律的な成長を促します。
・しまむら能力構造モデル
当社は、社員が成果を出すために必要な能力(知識、スキル、思考、コンピテンシー)を「しまむら能力構造モデル」として設定し、当社がこれらの能力を体系的に学ぶ環境を整備することで社員の能力開発を行います。
・階層別教育
正社員を対象として階層別(学卒社員、主任級、主幹級、部長級)に教育を実施し、社員の知識・スキル向上につなげます。
・部署別教育
各部署教育で業務の基本的考え方や仕事の進め方、業務をする上で必要となる知識・スキルを学びます。
・共通教育
差別やハラスメントの発生を防止するためにハラスメント研修、情報セキュリティに関する教育・訓練を行うために情報セキュリティ教育、「しまむら流のESG対応」を推し進め、全社員でESGに取り組むためにESG教育を実施しています。
・自己啓発支援
全社員(アルバイトは除く)を対象に、社員の幅広い知識習得につなげる通信教育制度を設けています。
また、正社員を対象に、社員の自発的な学習を促進するため、資格取得支援制度を設けています。
ウ.ダイバーシティ
当社は、年齢、性別、雇用形態、障がいを持つ方など多様な生活背景を持つ社員がいます。その社員一人ひとりが能力を発揮し、それぞれの職場で活躍し、新たな価値観を創出できる環境をつくることで企業の持続的な成長に繋げます。
・女性活躍推進
当社は、全従業員の約9割が女性であり、女性活躍推進を重要な取組みと位置づけております。女性の管理職が一層活躍できるよう、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定しており、2025年2月20日現在、課長相当職以上の女性管理職比率19.3%と向上しております。またESG推進チーム内にダイバーシティ推進チームを作り、目標達成に向け各種施策を展開しています。
・障がい者雇用
ダイバーシティ社会の実現を目指し、障がい者の雇用を継続しています。2024年6月1日現在、857名の障がいのある社員が働いており、法定雇用率を上回る5.03%の雇用率となっております。また当社は、積極的に障がい者雇用を行っており、障がいのある社員の採用や勤務内容等のサポートができる体制を整えています。2021年度より、障がい者採用を担当するブロックマネージャーには「障害者職業生活相談員」取得を推奨しており、2025年2月20日現在、420名の社員が「障害者職業生活相談員」を取得しています。
・定年と再雇用
当社は、2025年4月16日から定年年齢を満60歳から満65歳に変更しました。
満65歳で定年退職を迎えた社員の就労意欲・能力について会社が妥当性を評価、承認し、本人が希望した場
合、再雇用します。再雇用は定年退職日の翌日から始まり、1年の有期雇用とします。
以降、最長満70歳の誕生日まで繰返し再雇用されることがあります。
b.社内環境整備
当社は、社員一人ひとりが長きにわたる人生において、仕事を通じて自己実現を図ると共に、日々の暮らしを安定させ、充実した社会生活を送ることができるよう、労働条件や職場環境の整備に努めることを社員に対する経営ミッションとしています。
ア.ワークライフバランス
当社は、社員全員が性別に関係なく、仕事と家庭を両立しながら働きがいのある職場環境の実現のために、様々な取組みを行っています。
・育児休業・介護休業
当社は、社員が仕事と育児・介護を両立しながら働く社員を支援する制度を整えています。
・再雇用制度(正社員のみ)
管理職勤務年数が満3年以上あり、結婚、出産、育児、介護または配偶者の転勤を事由に退職する正社員は、退職時に予め申込みをする事で、退職後10年の間、再雇用制度を利用することができます。
イ.労働安全衛生
全ての職場で、社員が安全で安心して働ける環境を作ることは、当社を継続的に発展させる上で、重要な基盤となります。法律に基づいて、衛生推進者、安全衛生推進者を選任し、労働災害を防止し、社員が健康で安心して働ける環境、お客様に満足して頂ける清潔な環境を維持します。
・衛生委員会・安全衛生委員会
全ての職場において社員が健康で安心して働ける労働環境の維持に取り組んでいます。毎月、衛生委員会・安全衛生委員会を開催し、衛生管理者や産業医を中心に、健康管理や労働災害防止等について調査審議しています。
・労働災害防止
経営会議で月に1回、担当執行役員が労災発生事例の報告を行い、執行役員全員で労災防止について情報共有と対策を協議しています。また、毎月開催の店長会議で全店長が労災事例を情報共有し、店長が店舗社員へ動画を使用して労災事例を説明するなど、社員全員で労災発生の予防に努めています。
・長時間労働管理・ストレスチェック
過労やストレスが原因の疾患やメンタル不調などを防止するため、産業医による長時間労働の管理とストレスチェック制度を設けています。
③リスク
人的資本に関するリスクを当社は認識しており、対策を講じております。詳細については、「
④指標及び目標
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取組み内容 |
項目 |
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2024年度実績 |
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人材育成に関する取組み |
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多様性に関する取組み |
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ワークライフバランスに 関する取組み |
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全社員 |
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全社員 |
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全社員 |
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育児休業取得率 |
女性全社員(注)4 |
96.1% |
100.0% |
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男性全社員 (注)5 |
104.9% |
100.0% |
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労働安全衛生に関する取組み |
休業災害度数率 |
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1.68 |
- |
|
(注)1.パート・アルバイトは除く。
2.主幹級以上の女性管理職比率。
3.障がい者雇用率の実績は、「障害者雇用状況報告書」の最新値(2024年6月1日現在)を記載しております。
4.女性全社員の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。
5.男性全社員の育児休業取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものであります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識しているリスクに対して、当社グループは下記の方針や体制で取り組んでいます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1)基本方針
①基本的考え方
・当社グループは、リスクを「目標達成を阻害する要因」と定義し、大きく以下の 3つに分類します。
気候変動や社会情勢の変化などの「外部環境リスク」。
商品調達や物流などに関する「事業活動リスク」。
人的資本や情報管理に関する「経営基盤リスク」。
これらのリスクは多様化と複雑化が進んでおり、その内容によっては企業活動へ大きな影響を及ぼします。
・リスク管理とは、リスクを回避または発生時の損失を最小化するために、経営上の障壁となるリスクを事前に把握し、企業活動への影響度に応じて分類し、リスクレベルに応じて優先度を付けて防止策を計画、実行することです。
・当社グループは、リスク管理を経営の重要課題と位置付け、持続的な事業活動による企業価値の向上と人命・財産の保護を目的に、リスクの未然防止と低減に取り組みます。
②行動指針
・リスクの把握と未然防止に努め、事業の継続を図ります。
・事態が発生した場合には、人命の安全確保を最優先とし、経営資源の保全を図ります。
・被害が生じた場合には、迅速な対応と復旧を図り、商品・サービスの安定供給に努めます。
・ステークホルダーの安全と利益を損なわないように活動します。また、社会的要請をリスク管理に反映します。
・取締役と執行役員はリスク管理を率先垂範し、社員のリスク管理対応能力の向上に努めます。
2)リスク管理の職務分掌と体制図
①取締役会
リスク管理規程およびリスク管理の基本方針を決定し、リスクの未然防止と有事に適切な対応ができる体制を整備します。年1回以上、本規程の運用状況を評価し、その結果に応じて執行役員への指示や本規定の見直しを行います。
②執行役員
取締役会が決定した基本方針に基づき、担当部署に関するリスクの対策立案と管理体制の整備・運用を行います。
また、リスク管理の状況や新たに生じたリスクとその対応について、取締役会およびグループ経営会議へ報告します。
③部署長
自部署におけるリスク管理を適切に実施します。
④広報室
リスクの把握と分類、分析を行い、執行役員が立案する対策を取り纏めて取締役会へ報告します。
⑤体制図
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3)リスクの把握・分類・分析
①リスクの把握・分類
当社グループを取り巻く外部環境と内部環境を分析し、現在と将来においてどのようなリスクが存在するのかを特定し、把握します。具体的な対策に繋げるため、把握したリスクを「大分類」「中分類」「小分類」に分類します。主なリスク(大分類)は、以下の3つです。
・外部環境リスク
当社グループのみならず社会全体に影響を及ぼすリスクである「気候変動・災害・感染症リスク」、「地政学リスク」、「相場変動リスク」、「情報セキュリティリスク」が該当します。
・事業活動リスク
当社グループが事業活動をするうえで直接的に業績に影響を及ぼす「出店」、「商品調達」、「物流」、「販売」に関するリスクが該当します。
・経営基盤リスク
当社グループの経営の土台に影響を及ぼす「事業戦略」、「人的資本」、「ESG」、「情報管理・内部統制」に関するリスクが該当します。
②リスク分析
取組みの優先順位を付けるため、発生可能性と経営計画への影響度を分析し、リスクマトリックスを作成します。
・発生可能性
|
高 |
断続的に発生または毎年複数箇所で発生する |
|
中 |
散発的に発生または数年に1度発生する |
|
低 |
単発的に発生または数十年に1度発生する |
・経営計画への影響度
|
大 |
対応不足または発生時に計画未達となる可能性が高い |
|
中 |
対応不足または発生時に計画未達となる可能性がある |
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小 |
対応不足または発生時でも計画に与える影響は限定的 |
・リスクマトリックス
発生可能性と経営計画への影響度が高い順から、S→A→B→C→Dでレベル分けします。
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4)主なリスクと取組み
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リスク |
主なリスク |
取組み |
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外部環境 リスク |
異常気象 |
天候に左右されにくい商品政策、地域別対応、機動的な販促の実施 |
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自然災害 |
BCP(事業継続計画)の見直し |
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国内の人口減少・少子高齢化 |
ラインロビング、リロケーション等による地域シェアの拡大 |
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生産国の政情不安、世界各地での紛争の発生 |
生産国やサプライヤーの多様化・分散化 |
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エネルギーや原材料の価格高騰 |
節電対策、貿易部仕入れの拡大、生産国の見直し |
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極端な円安など為替の急激な変動 |
貿易部仕入れの為替予約の活用、生地契約・縫製ライン契約による安定生産 |
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サイバー攻撃、不正アクセス等の意図的脅威 |
セキュリティの強化、BCP訓練の実施 |
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事業活動 リスク |
新規出店の不足 |
都市部への出店、郊外のリロケーション強化 |
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店舗の契約満了に伴う既存店の減少 |
既存店オーナーとの良好な関係の維持 |
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仕入原価の上昇 |
高価格帯商品の拡大、貿易部仕入れの拡大、生産国の見直し |
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市場ニーズの変化への対応遅れ |
顧客管理システムやSNS分析ツール等を活用した商品開発 |
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商品の品質低下 |
サプライヤーと商品部の意識向上、商品管理部による工場監査、商品検査の強化 |
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商品センターのキャパシティオーバー |
新商品センターの開設、既存商品センターの改装 |
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配送コストの上昇 |
自社物流のモーダルシフト、直接物流の活用 |
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商品センターの整備の故障・老朽化 |
既存商品センターの修繕、改装、リロケーション |
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作業の増加に伴う労働生産性の低下 |
DXの推進等による定型業務の見直し |
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経営基盤 リスク |
事業戦略・ポートフォリオの転換遅れ |
既存事業の成長戦略と新規事業立上げの研究 |
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風評・報道等による企業イメージダウン |
情報の一元管理による迅速な対応、社員教育の実施 |
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人手不足 |
社員採用の柔軟化、人事労務制度の改善 |
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人材不足 |
人事労務制度の改善、教育制度の充実、女性活躍推進への対応 |
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働き方改革の遅れ |
勤務体系の見直し |
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後継者育成の遅れ |
教育制度の充実、後継者育成カリキュラムの運用 |
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組織コミュニケーションの低下 |
教育制度の充実、デジタルツールの活用 |
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環境課題への対応遅れ |
リサイクル推進、GHG排出量の削減 |
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社会課題への対応遅れ |
サプライチェーンの人権配慮、社内のハラスメント削減、ダイバーシティの推進 |
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ガバナンス課題への対応遅れ |
コーポレートガバナンス・コードへの対応と開示 |
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システム基盤の老朽化 |
定期的な機器の入替え、データ保存のクラウド化、セキュリティの強化 |
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度のわが国の経済は、一時停滞感を強めたものの、3月にはマイナス金利政策が解除され、春の賃上げではバブル期以来の高い伸び率を記録し、日経平均株価は史上最高値を更新するなどの要因により、回復基調を維持しました。その結果、実質GDPは2024年通年で前年比0.1%増と4年連続のプラス成長となりました。
世界経済については、米国が個人消費の好調により年間を通して経済成長を押し上げた一方で、欧州経済は緩やかな回復基調にとどまり、中国経済は個人消費の低迷や不動産市場の停滞によって弱い動きとなりました。
1)当連結会計年度の消費環境の概要
①当連結会計年度におけるわが国の消費環境は、ゴールデンウィークや年末年始などの長期休暇の増加によるお出
かけ需要や、訪日客による旺盛なインバウンド消費が見られましたが、想定以上の円安の長期化や天候不良の影
響による日用品や食料品の値上げが家計を圧迫しました。その結果、消費者の節約志向は依然として強く、衣料
品の販売にとっては厳しい消費環境が続きました。
②天候については、夏から秋にかけて平均気温が過去最高に達するなど高温が続いたため、夏物は好調でしたが、
秋物と冬物の動き出しは非常に厳しい状況となりました。11月下旬以降は全国的に気温が下がり、冬物の販売は
好調に推移しました。
2)当社グループの状況
このような状況下で、当社は2024年度のグループ統一テーマを“ネクスト・チャレンジ1st『当たり前を改め
る』”とし、中期経営計画2027の初年度として、商品の作り方や売り場の見せ方はもちろん、組織や人材育成、
システムや用地確保など、全ての部署で新たなチャレンジに取り組みました。
3)しまむら事業
当連結会計年度は13店舗を開設、12店舗を閉店し、店舗数は1,416店舗となりました。
また売上高は前期比4.4%増の4,977億9百万円となりました。
4)アベイル事業
当連結会計年度は7店舗を開設、3店舗を閉店し、店舗数は316店舗となりました。
また売上高は前期比7.0%増の659億80百万円となりました。
5)バースデイ事業
当連結会計年度は16店舗を開設、4店舗を閉店し、店舗数は336店舗となりました。
また売上高は前期比5.2%増の765億7百万円となりました。
6)シャンブル事業
当連結会計年度は5店舗を開設し、店舗数は123店舗となりました。
また売上高は前期比4.2%増の154億53百万円となりました。
7)ディバロ事業
当連結会計年度の店舗数は16店舗となりました。
また売上高は前期比8.9%増の8億97百万円となりました。
8)以上の結果、当連結会計年度の日本国内の業績は、売上高6,565億47百万円(前期比4.7%増)、営業利益587億
62百万円(前期比6.9%増)、経常利益608億56百万円(前期比8.1%増)、当期純利益は420億74百万円(前期比
1.7%増)となりました。
9)思夢樂事業
当連結会計年度は3店舗を開設、1店舗を閉店し、店舗数は44店舗となりました。
また売上高は前期比13.1%増の19億7百万NT$(88億10百万円)となりました。
10)以上の結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高6,653億58百万円(前期比4.8%増)、営業利益592億40百万円
(前期比7.1%増)、経常利益605億96百万円(前期比6.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は418億85百万
円(前期比4.5%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動及び新規出店等
による投資活動、ならびに財務活動を行った結果、当連結会計年度末の資金残高が、前連結会計年度末に比べ
449億65百万円増加し、2,062億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度と比べ116億38百万円増加し、528億円となりました。
これは、税金等調整前当期純利益594億18百万円、減価償却費61億5百万円、その他の流動負債の増加額24億57
百万円、その他の流動資産の減少額15億81百万円等に対し、法人税等の支払額166億8百万円、売上債権の増加
額13億76百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は、前連結会計年度と比べ918億47百万円増加し、46億49百万円となりました。
これは有価証券の償還による収入4,486億円等に対し、有価証券の取得による支出4,280億円、有形固定資産の取
得による支出114億39百万円、投資有価証券の取得による支出63億98百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、前連結会計年度と比べ25億65百万円増加し、125億9百万円となりました。
これは、配当金の支払額124億94百万円等によるものです。
生産、受注及び販売の実績
(1)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
事業部門の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年2月21日 至 2025年2月20日) |
|
|
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
婦人衣料 |
106,772 |
103.6 |
|
肌着 |
74,953 |
104.4 |
|
紳士衣料 |
31,081 |
103.1 |
|
寝装品 |
30,439 |
102.1 |
|
ベビー・子供服 |
27,228 |
108.0 |
|
洋品小物 |
23,816 |
97.2 |
|
インテリア |
20,802 |
101.9 |
|
靴 |
11,907 |
93.5 |
|
しまむら |
327,002 |
102.9 |
|
レディースウエア |
15,756 |
101.8 |
|
シューズ・服飾 |
11,616 |
113.7 |
|
メンズウエア |
8,487 |
103.5 |
|
アンダーウエア・インテリア |
4,506 |
112.1 |
|
アベイル |
40,367 |
106.5 |
|
雑貨・マタニティ |
23,401 |
102.3 |
|
キッズ衣料・肌着 |
15,428 |
108.8 |
|
ベビー衣料・肌着 |
12,466 |
103.6 |
|
バースデイ |
51,297 |
104.5 |
|
シャンブル |
9,667 |
102.5 |
|
ディバロ |
575 |
105.4 |
|
日本計 |
428,910 |
103.4 |
|
思夢樂 |
5,230 |
110.3 |
|
海外計 |
5,230 |
110.3 |
|
合計 |
434,140 |
103.5 |
(2)売上の実績
当連結会計年度の売上実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
|
事業部門の名称 |
当連結会計年度 (自 2024年2月21日 至 2025年2月20日) |
|
|
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
婦人衣料 |
158,902 |
104.2 |
|
肌着 |
120,066 |
105.9 |
|
紳士衣料 |
46,425 |
104.7 |
|
寝装品 |
45,628 |
102.8 |
|
ベビー・子供服 |
39,836 |
107.9 |
|
洋品小物 |
36,018 |
99.0 |
|
インテリア |
31,831 |
102.6 |
|
靴 |
18,999 |
105.8 |
|
しまむら |
497,709 |
104.4 |
|
レディースウェア |
25,640 |
102.0 |
|
メンズウェア |
14,100 |
104.9 |
|
シューズ・服飾 |
13,667 |
106.8 |
|
アンダーウェア・インテリア |
12,572 |
121.8 |
|
アベイル |
65,980 |
107.0 |
|
雑貨・マタニティ |
33,538 |
103.3 |
|
キッズ衣料・肌着 |
23,640 |
109.4 |
|
ベビー衣料・肌着 |
19,328 |
103.8 |
|
バースデイ |
76,507 |
105.2 |
|
シャンブル |
15,453 |
104.2 |
|
ディバロ |
897 |
108.9 |
|
日本計 |
656,547 |
104.7 |
|
思夢樂 |
8,810 |
109.1 |
|
海外計 |
8,810 |
109.1 |
|
合計 |
665,358 |
104.8 |
(3)都道府県別売上実績
当連結会計年度の都道府県別の売上実績を示すと次のとおりです。
|
都道府県名 |
当連結会計年度(自 2024年2月21日 至 2025年2月20日) |
|||
|
売上高(百万円) |
前年同期比(%) |
構成比(%) |
期末店舗数 (店) |
|
|
北海道 |
32,521 |
103.4 |
4.9 |
116 |
|
青森県 |
10,563 |
102.6 |
1.6 |
39 |
|
岩手県 |
8,828 |
101.7 |
1.3 |
34 |
|
宮城県 |
14,776 |
103.3 |
2.2 |
57 |
|
秋田県 |
7,264 |
101.7 |
1.1 |
31 |
|
山形県 |
8,134 |
101.5 |
1.2 |
32 |
|
福島県 |
16,412 |
102.9 |
2.5 |
59 |
|
茨城県 |
21,744 |
102.5 |
3.3 |
87 |
|
栃木県 |
15,816 |
102.8 |
2.4 |
63 |
|
群馬県 |
14,396 |
100.5 |
2.2 |
64 |
|
埼玉県 |
59,811 |
113.2 |
9.0 |
152 |
|
千葉県 |
33,889 |
105.2 |
5.1 |
119 |
|
東京都 |
34,925 |
107.8 |
5.2 |
90 |
|
神奈川県 |
32,249 |
105.0 |
4.8 |
85 |
|
新潟県 |
14,628 |
103.7 |
2.2 |
59 |
|
富山県 |
6,947 |
102.8 |
1.0 |
29 |
|
石川県 |
6,583 |
106.2 |
1.0 |
24 |
|
福井県 |
5,309 |
105.3 |
0.8 |
21 |
|
山梨県 |
6,027 |
102.5 |
0.9 |
20 |
|
長野県 |
15,735 |
102.0 |
2.4 |
59 |
|
岐阜県 |
9,840 |
103.1 |
1.5 |
37 |
|
静岡県 |
21,563 |
103.1 |
3.2 |
66 |
|
愛知県 |
30,804 |
105.6 |
4.6 |
88 |
|
三重県 |
9,007 |
103.2 |
1.4 |
35 |
|
滋賀県 |
7,920 |
105.2 |
1.2 |
32 |
|
京都府 |
10,451 |
103.5 |
1.6 |
34 |
|
大阪府 |
31,260 |
104.9 |
4.7 |
88 |
|
兵庫県 |
22,308 |
104.0 |
3.4 |
72 |
|
奈良県 |
6,860 |
103.3 |
1.0 |
29 |
|
和歌山県 |
5,607 |
102.8 |
0.8 |
19 |
|
鳥取県 |
4,392 |
101.9 |
0.7 |
15 |
|
島根県 |
3,875 |
102.9 |
0.6 |
17 |
|
岡山県 |
10,187 |
103.6 |
1.5 |
33 |
|
広島県 |
10,703 |
104.4 |
1.6 |
32 |
|
山口県 |
8,398 |
104.9 |
1.3 |
32 |
|
徳島県 |
4,305 |
103.7 |
0.6 |
15 |
|
香川県 |
5,465 |
103.7 |
0.8 |
21 |
|
愛媛県 |
8,086 |
105.7 |
1.2 |
29 |
|
高知県 |
4,600 |
104.0 |
0.7 |
15 |
|
福岡県 |
24,414 |
103.5 |
3.7 |
82 |
|
佐賀県 |
4,917 |
103.1 |
0.7 |
17 |
|
長崎県 |
7,131 |
103.1 |
1.1 |
24 |
|
熊本県 |
8,962 |
103.4 |
1.3 |
32 |
|
大分県 |
7,017 |
105.3 |
1.1 |
27 |
|
宮崎県 |
7,055 |
102.7 |
1.1 |
23 |
|
鹿児島県 |
8,786 |
101.2 |
1.3 |
32 |
|
沖縄県 |
6,052 |
108.8 |
0.9 |
21 |
|
日本計 |
656,547 |
104.7 |
98.7 |
2,207 |
|
思夢樂(台湾) |
8,810 |
109.1 |
1.3 |
44 |
|
海外計 |
8,810 |
109.1 |
1.3 |
44 |
|
合計 |
665,358 |
104.8 |
100.0 |
2,251 |
(4)単位当たりの売上実績
|
項目 |
前連結会計年度 (自 2023年2月21日 至 2024年2月20日) |
当連結会計年度 (自 2024年2月21日 至 2025年2月20日) |
|
売上高(百万円) |
635,091 |
665,358 |
|
従業員数(平均)(人) |
15,295.0 |
15,804.6 |
|
1人当たり期間売上高(千円) |
41,522 |
42,098 |
|
売場面積(平均)(㎡) |
2,249,657 |
2,261,191 |
|
1㎡当たり期間売上高(千円) |
282 |
294 |
(注)1.売場面積(平均)は営業店舗の稼働月数を基礎として算出しております。
2.従業員数(平均)は定時社員(パートタイマー)を正社員換算して算出しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴い実際の結果は異なる場合があります。
(2)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産残高は、前連結会計年度末に比較して255億41百万円増加して3,704億29百万円となりました。これは、主として、有価証券の増加261億95百万円、売掛金の増加13億76百万円、流動資産のその他の減少16億79百万円によるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産残高は、前連結会計年度末に比較して77億95百万円増加して1,967億15百万円となりました。これは主として、投資有価証券の増加38億41百万円、建物及び構築物の増加35億1百万円によるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債残高は、前連結会計年度末に比較して34億54百万円増加して556億5百万円となりました。これは主として、流動負債のその他の増加24億45百万円、未払法人税等の増加14億5百万円によるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債残高は、前連結会計年度末に比較して3億15百万円増加して105億62百万円となりました。これは主として、資産除去債務の増加2億34百万円、退職給付に係る負債の増加1億95百万円、役員退職慰労引当金の減少1億5百万円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産残高は、前連結会計年度末に比べ295億67百万円増加し、5,009億76百万円となりました。これは主として、利益剰余金の増加293億89百万円によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「経営成績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご覧下さい。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループの事業活動における運転資金については、日々回収される売上金と自己資金を主な財源としており、
設備投資に関しましても、当連結会計年度では、新規出店を中心に127億円の投資を行っており、これらは全て自
己資金で賄っております。投資は営業キャッシュ・フローの範囲内であるため財務面の安全度は増しております。
(4)経営成績の分析
1)しまむら事業
①主力のしまむら事業は、商品力の強化として、主力プライベートブランド(以下、PB)の「CLOSSHI」において、
長く使用できるシリーズの「ヘビロテ」や、睡眠空間をサポートするシリーズの「眠眠ラボ」など、お客様の不安
や不満を解決する商品の販売とともに、付加価値を高めた高価格帯PB「CLOSSHI PREMIUM」の拡大を進めました。
また、サプライヤーとの共同開発ブランド(Joint Development Brand、以下JB)においては、新規JBの立ち上げ
や天然素材を使用した高付加価値の商品を取り揃えることで、商品の1点単価が向上しました。
②販売力の強化においては、気温に左右されにくい売上作りを目的としたインフルエンサーやキャラクター企画の拡
大、キッズやファッショングッズのフェアの実施、客層や店舗の特性に応じた地域対応の施策を進めました。ま
た、しまむらファンの増加を目的とした11月20日からの「しまむら超サプライズセール」では、チラシ初日の売上
と客数が過去最高を記録し、既存店売上の更なる向上が進みました。デジタル販促の強化では、Web CMやSNS販
促、オンラインストアでの販売を強化しました。特にオンラインストア販売商品は、都市部店舗での店舗受取サー
ビスが好調に推移し、実店舗とオンラインの相互送客が一層進みました。
③基礎と基盤の強化においては、人材育成や既存店舗の改装を積極的に進めるとともに、商品調達においては貿易部
を活用し、ASEANでの生産を拡大することで仕入原価の上昇に対応しました。店舗オペレーションにおいては、自
動釣銭機や床清掃ロボット、音声AIの導入により、労働生産性の向上を図りました。
2)アベイル事業
アベイル事業は、商品力の強化として、素材やデザインにこだわった商品の展開、カー用品やペット用品などの新
規カテゴリーの導入、低身長向けや大きいサイズなどの取り扱いサイズの拡大を積極的に進めました。販売力の強
化においては、インフルエンサーとのコラボレーションを継続的に実施し、SNS販促とオンラインストアでの販売
を強化しました。特にオンラインストア販売商品は、しまむらグループ全店(ディバロ除く)での店舗受取サービ
スが好調に推移しました。
3)バースデイ事業
バースデイ事業は、オリジナル商品の拡大と新規顧客の獲得を進めました。オリジナル商品の拡大においては、JB
の「MY LITTLE WONDER(マイリトルワンダー)」を展開し、不足しているカジュアルテイストの強化を図りまし
た。新規顧客の獲得に関しては、インフルエンサーとキャラクターのコラボレーション企画や「子育てアプリ」と
の共同プロジェクトによるオリジナル商品の取り扱いを拡大し、SNS販促とオンラインストアでの販売を強化しま
した。特に、オンラインストア販売商品は、しまむらグループ全店での店舗受取サービスが好調に推移し、実店舗
とオンラインの相互送客が一層向上しました。
4)シャンブル事業
シャンブル事業は、品揃えの開拓と新レイアウト型店舗(名称:2024年型レイアウト店舗)の開発を進めました。品揃えの開拓においては、モードナチュラルテイストのJB「Clasiiki(クラシーキ)」を新たに展開したほか、コスメやお菓子の品揃えを拡大しました。また、VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)のレベル向上を目的とした2024年型レイアウト店舗への変更は32店舗で実施され、売上は好調に推移しました。
5)ディバロ事業
ディバロ事業は、商品力の強化として「立ったまま履けるシューズ」の取り扱いを拡大しました。販売力の強化に
おいては、主力商品である靴と、昨年度から展開を拡大しているアウターおよび雑貨とのトータルコーディネート
提案を強化し、SNSやAIモデルを活用した販促を進めました。
6)思夢樂事業
台湾で事業展開する思夢樂事業は、総合衣料の専門店として、台湾のお客様にとって適時、適品、適価な品揃えを
実現するために事業の再構築を進めました。商品力の強化においては、日本企画のPBやJBに加え、思夢樂オリジナ
ルのPBの拡大を進めました。販売力の強化では、インフルエンサーとのコラボレーションにより認知度が向上し、
新規顧客の獲得が進みました。
(5)経営上の目標の達成状況について
当社グループは、安定的な企業の成長を続けるため、中長期的な経営上の目標として連結営業利益率は10%が適切と認識しております。
当連結会計年度における当社グループの連結営業利益率は、8.9%となりました。今後につきましても、適正な粗利益確保と販売費及び一般管理費の抑制を図り、当該目標の達成に努めて参ります。
特記すべき事項はありません。
特記すべき事項はありません。