第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは『Make the Impossible Possible』をコーポレートメッセージとして掲げ、「ものづくりのグローバルメーカーとして新しい価値を創造し、ヘルスケア産業の発展と人々の健康・福祉に貢献する」ことをMISSIONとしております。

 

(2)経営環境

当社グループの主力製品である衛生用品製造機械の需要は、最終製品である紙おむつや生理用ナプキン等の消費動向に影響を受けます。これらの衛生用品の市場は、成長が期待される地域も存在するものの、グローバル全体では緩やかな成長に留まると見込まれます。また、当社グループにとって主要な市場であった日本においては、少子化の加速や人口減少を背景に、大きな需要増加が見込みにくい環境にあります。同じく主要市場である中国においては、少子化の加速に加えて、景況感の回復に時間を要すると見込んでおります。このような状況のなか、当社グループでは新興国を中心に海外顧客を積極的に開拓しておりますが、競合企業の技術力の向上も見られ、競争環境は厳しさを増しております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

上記のような経営環境のもと、当社グループでは、第3次中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)を見直し、第4次中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)を新たに策定いたしました。衛生用品製造機械の販売台数が必ずしも増加しないとの前提にたったうえで、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる事業構造への変革を図ってまいります。

A)衛生用品製造機械事業の競争力再生

① 付加価値を高める

衛生用品製造機械の付加価値向上に加えて、機械本体以外(改造案件や部品・ユニットの販売等)での価値提供も強化してまいります。

② コスト競争力の向上

グループ内の生産拠点の連携強化、モジュール設計の推進による製品の短納期化、Value Engineering等に取り組みます。

B)新規事業の加速による事業ポートフォリオ拡充

既存の技術や事業領域と関連のある事業に取り組み、第2・第3の収益の柱を築くことで持続的な成長の礎を築いてまいります。また、衛生用品製造機械の売上のボラティリティを緩和し、収益性の安定化を図ります。

新規事業の育成・拡大にあたっては、研究開発や設備投資に積極的に取り組むとともに、M&Aも積極的に活用してまいります。一方で、事業性を早期に見極め、選択と集中を図ることで、収益性の確保を図ります。

 

財務面では、資本効率を高める観点から、自己資本の適正化や有利子負債の活用も課題と認識しており、株主還元にも積極的に取り組んでまいります。

「第4次中期経営計画」では『SPEED & CHALLENGE』をテーマにこれらの課題に取り組み、目標の達成を目指してまいります。

 

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 第3次中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)においては、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、営業利益率、ROEを目標としておりました。

新たに策定した第4次中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)では、ROE、新規事業の売上高、配当総額を指標としております。第3次中期経営計画の達成状況および第4次中期経営計画の目標は以下の通りです。

 

1.第3次中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)

指標

2025年2月期

中期計画目標

実績

売上高  (百万円)

30,000

19,950

営業利益率(%)

10.0

△1.5

ROE    (%)

6.5

△2.3

 

2.第4次中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)

指標

2028年2月期

目標

ROE

6.0%以上

新規事業の売上高

8,000百万円以上

配当総額

(※1)2,000百万円以上

(※1)2026年2月期~2028年2月期の3ヶ年累計

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ

 当社グループは、サステナビリティをめぐる課題への対応が当社グループにとって重要なリスク管理の一部であるとの認識を持ち、法令遵守、労働環境の改善、人権尊重といった財務活動以外の面も企業の持続的な成長のために不可欠であると考えております。

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。サステナビリティに関連する具体的な取り組み等の詳細は、株式会社瑞光ホームページ(「企業情報」-「サステナビリティ」)をご覧ください。(https://www.zuiko.co.jp/about/sustainability/)

 

当社グループの「サステナビリティ基本方針」は次のとおりです。

 

<サステナビリティ基本方針>

 当社グループは、「ものづくりのグローバルメーカーとして新しい価値を創造し、ヘルスケア産業の発展と人々の健康・福祉に貢献する」という使命及び、企業理念である「Make the Impossible Possible」を念頭に、人間尊重の精神と地球環境に配慮した製品・サービスの提供を通じ、持続的な経営に向け、透明性と健全性を確保しながら、事業成長と社会課題解決の両立へ、これからも積極的に取り組んでまいります。

 

①ガバナンス

 当社グループでは、サステナビリティに関する課題について、リスクマネジメント委員会にて審議・検討を行っております。リスクマネジメント委員会は、委員長を代表取締役社長、総務課が事務局として構成され、原則として年1回開催しています。また、同委員会にてサステナビリティ課題に関わる重要事項について審議された場合、委員長は取締役会に提起し、対策を講じるとともに、その進捗をモニタリングし、事業戦略と結びつけるかたちで改善を進めております。

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②戦略

 当社グループでは、第3次中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)において、「持続的な企業価値向上に向けた基盤強化」を重点戦略の一つとして掲げ、その中でサステナビリティについて、以下の重点取り組み事項を掲げて取り組んでまいりました。また、当社グループは第4次中期経営計画(2026年2月期~2028年2月期)を2025年4月に開示いたしましたが、今後も引き続き「持続的な成長と中長期的な企業価値向上」に向けたサステナビリティに関連した取り組みを推進してまいります。

 

<気候変動等の地球環境問題への配慮>

 昨今、世界では気候変動を含む環境課題が深刻化しています。地球温暖化の影響により、グローバルベースで異常気象が発生する等、悪影響が生じており、気候変動への対応は企業にとって重要な課題となっています。このような状況下において、当社グループは、気候変動関連のリスク及び機会が事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、「気候変動等の地球環境問題への配慮」を重点取り組み事項と位置付け、サステナブルな社会の実現を目指します。脱炭素化に向けた調達コストの増加等、気候変動は当社グループの事業活動に対し、さまざまなリスク及び機会をもたらす可能性があり、気候変動への対応は当社グループの持続的な成長においても、重要なテーマであります。今後、TCFD※1提言の以下プロセスに基づき、気候変動が当社グループに及ぼすリスク及び機会の特定・評価やシナリオ分析等を進めてまいります。

 

※1 TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures/気候関連財務情報開示タスクフォース

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 また、当社グループはステークホルダーとの連携によって、温室効果ガス(GHG)削減に積極的に関わっていくことを目指しております。当社グループの製品・事業に直接かかわるGHG排出量(SCOPE1,2,3)を削減するとともに、その排出量よりも多くの排出削減貢献を社会・顧客で創出する状態の早期実現を目指しております。

 具体的取り組みとして、下記の項目を重点事項と定め、持続可能な社会の実現に向けて取り組みを推進しております。

 

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・再生可能エネルギーの活用

 当社グループは地球環境に優しい再生可能エネルギーの活用の一環として2023年2月に太陽光発電システムを本社工場へ導入いたしました。パネル発電容量合計735kW、年間約776,105kWhの発電により、2024年2月期は再生可能エネルギー比率26%を達成いたしました。更なる取り組みとして、2024年12月には蓄電池を本社工場へ導入いたしました。この取り組みにより、2025年2月期は再生可能エネルギー比率が31%に向上しました。今後もエネルギーコスト削減の取り組みを推進するとともに、環境に配慮したモノづくりを加速させて、SDGsの実現に向けて貢献してまいります。

 

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③リスク管理

 当社グループにおいて、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、現在把握しているその他の事業等のリスクと同様に、リスクマネジメント委員会の事務局である総務課を所轄部署として定め情報を集約し、当社グループのリスク管理の観点から適切な運用・対応を行っております。また、取締役会は年に1回、リスクマネジメント委員会から気候変動に係るリスクを含む統合したリスク管理の状況と対応について報告を受け、指導・監督を行っております。

 

(2)人的資本

 当社は、持続的な成長と高い収益性を実現するために多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出し、グローバルな事業拡大と新たな価値を創出する原動力とするとともに、ワークエンゲージメントの向上に取り組んでおります。

 

①戦略

<人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針>

 当社は、持続的な成長と高い収益性を実現できる事業構造への転換を図っております。従来の企業風土から脱却し変革を進めるためには、多様な技術・知識・視点を融合させてイノベーションを生み出すことが不可欠と認識しています。この考えのもと、挑戦する風土、働きがいのある環境づくりを推進し従業員一人ひとりのキャリア実現を支援する施策に取り組んでいます。

 

・多様性のある人材の採用

 当社は、グローバルな事業拡大を牽引できる人材の育成・確保に向けて、新卒採用に注力しています。特に、外国人を含む多様なバックグラウンドを持つ新卒人材の採用を積極的に進めており、2024年度の新卒採用者11名のうち7名、2025年度の新卒採用者10名のうち5名が外国人となっています。入社後は、技術力や専門性を着実に高められる育成環境を整備し、将来的な専門人材としての成長と活躍を支援しています。これにより、当社の強みである“ものづくり”の技術を深化・拡張し、新たな価値の創出につなげてまいります。

 

・キャリア開発支援

 当社は、2024年2月期より「キャリアヒアリング」を実施し、社員一人ひとりが自律的にキャリアプランを考える風土を醸成しております。2025年2月期では、上司と部下の評価面談時に加え、キャリア面談を実施し、上司と部下の面談を通じてキャリアにおける課題の解決を支援する仕組みづくりを行っております。さらに、社内公募を定期的に実施することで、業務の垣根を越えた新たな成長の場を提供しております。今後も、一人ひとりの個性や志向を尊重しながら、社員が自らキャリアを描きその実現に向け成長できる環境を提供し、個人の能力や創造性を活かした組織パフォーマンスの向上につなげてまいります。

 

<社内環境整備に関する方針>

 当社は、多様な人材一人ひとりが活躍できるよう、アンケートや対話、面談機会の充実でニーズの把握に努め、多様な支援制度の拡充を進めております。また、新入社員が職場に適応できずに離職することを防ぐため、同部署・別部署・人事総務部からそれぞれ1名ずつ、計3名のメンターを配置する制度を導入し、日常業務や職場適応、人間関係など多面的なサポートを行っています。こうした取り組みにより、新入社員が不安や孤立を感じることなく、安心して働き続けられる環境づくりを推進しています。

 

・従業員との対話

 当社は、従業員と経営層の対話を積極的に行っております。2024年2月期から引き続き2025年2月期は、社長とのランチミーティングを実施し、社長と社員が直接対話をして会社のありたい姿について意見を交わし、共感の深化を進めております。人事課と育休から復帰した男性社員・女性社員たちとの座談会を実施し、育休制度の改善を行いました。加えて、育休を取得する社員に対しては、制度の内容や利用方法について一人ひとりに対して丁寧に説明を行い、不安の解消と円滑な取得を支援しております。さらに、各種アンケートやサーベイを通じて従業員のニーズを把握し、スピード感を持って施策に反映しております。たとえば、従業員からの声を受けて、社内福利厚生の一環として提供している英会話学習支援については、よりネイティブな英語が学べるプログラムに変更し、利便性と学習効果の向上を図りました。これにより、グローバル人材の育成や語学力向上をより実効的に支援しています。

 

・健康経営の推進

 当社は、持続的な企業価値向上には従業員が心身ともに健康でいることが欠かせないと認識し、健康経営の浸透と定着を図っております。その結果として、2023年2月期から3年連続して健康経営優良法人に認定されました。また、設計・生産両部門が連携し、設計段階からリスクを洗い出し、事故や故障のリスクを低減する“安全標準”を設定し、労働災害の予防に努めました。さらに、日本人の三大疾病にあたるがんに関して、早期発見や適切な対応を促進し、生活の質を向上させるための研修を実施し、最新の知識や予防策などについて情報提供を行いました。

 

②指標及び目標

 上記人的資本に係る戦略に記載した各項目の具体的な目標・実績については次のとおりです。

 なお、当社グループに属する全ての会社では指標及び目標の設定が行われていないため、当社グループにおける記載が困難であることから、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。

 

目標(重点施策)

実績(推進状況)

人材の多様性の確保を含む

人材の育成に関する方針

多様な人材の活躍

女性管理職率 8.0

多様な人材の活躍

女性管理職率 8.0

キャリア開発支援

従業員がキャリアプランを検討するための機会を提供し、キャリア支援施策を実施する。

キャリア開発支援

キャリアプランを問うキャリアヒアリングの実施、また評価面談時に上司が部下のキャリアプランに寄り添えるようキャリア面談を実施した。

社内環境整備に関する方針

対話を活かした環境整備

経営層や管理職者と従業員の対話機会を設け、情報の浸透度の把握や課題発見を行い居がいのある環境整備を行う。

対話を活かした環境整備

社長と従業員のランチミーティングを定期的に実施し対話機会を設けた。また、社内福利厚生の一環として提供している英会話学習支援については、利用者の声を受けてよりネイティブな英語が学べるプログラムに変更し、利便性と学習効果の向上を図った。

健康経営の推進

従業員等の健康面のサポート、活力向上を目指した施策を行う。

健康経営の推進

健康診断の受診項目追加を推奨しそのオプション費用を補助、従業員への健康セミナー等を行った。

※健康経営優良法人2025を取得

ワークエンゲージメントの向上

従業員サーベイを通じて人的課題を明らかにし社内環境改善のための施策を実施する。

ワークエンゲージメントの向上

実感値スコアの低いキャリア形成に対して施策を実行した結果、従業員サーベイのスコアが向上された。

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。以下はリスク要因を当社グループの判断により、外的要因の影響の高いリスクと内的要因の影響の高いリスクに分類して記載いたします。

 

1.当社グループのリスクマネジメント体制

 当社グループのリスクマネジメントは、リスク及び機会を踏まえた適切な意思決定を促し、ビジネスの成長を推進することを目的として取り組んでいます。

 リスクマネジメントのプロセスは、はじめに当社グループの経営理念の実現、中長期計画の実行及び達成を阻害しうる不確実性をリスクと捉え、当社の全部門及び全グループ会社からリスク及びその対応策を抽出します。

 次に、抽出したリスクを、影響度、発生可能性(頻度)の観点から評価し、代表取締役社長を委員長としたリスクマネジメント委員会にて議論の上、重要なリスクを決定するとともに、各重要なリスクの責任者及びリスク対応策を決定します。

 このように特定された重要なリスクについては、各重要なリスクの責任者の指示の下、実行部門により対応策が実行されます。各重要なリスクの責任者は、対応策の実行状況をモニタリングし、その実効性を測定します。これら一連の取り組みは取締役会に報告され、リスクマネジメントプロセスとその対応策の実効性が確認されます。より一層のリスクマネジメント体制強化のため、今後も更なる活動を推進してまいります。

 

2.外的要因の影響が大きいリスク項目

リスク項目

内容

取り組み

影響度

発生頻度

顧客企業の設備投資

動向

当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の衛生用品製造機械の販売が連結売上高の大半を占めております。そのため、衛生用品市場の需要減少、衛生用品メーカーにおける設備投資の抑制等により製造機械への注文が減少した場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、グローバル市場の流動的なニーズを的確に捉えながら、顧客企業の需要に合致した新コンセプト機の開発、製品や素材の提案を通じて受注拡大に取り組んでおります。

また、既存の技術や事業領域と関連のある事業に取り組み、衛生用品製造機械以外の収益の確保および新たな成長領域を獲得するための取り組みを行っております。

材料の調達に関する

リスク

当社グループの原価構成のうち、材料費及び外注加工費の占める割合が相対的に高い水準にあります。国内外の材料の市場動向により材料の調達が計画から前後することにより、機械製品の納品時期が前後する可能性や、市場価格の変動により収益が変動し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、諸外国の情勢に伴う原材料の高騰や調達困難に備えるため、早期手配による在庫の確保、代替となる材料・部品の調査、調達先や外注業者の新規開拓などを推進しております。

カントリーリスク

当社グループは海外売上比率が約80%に達し、幅広い国・地域で積極的な事業活動を展開しております。これらの事業展開にあたっては、国内とは異なり、予期しない法律又は規制の変更、政治・経済の混乱、為替の変動等のリスクが内在しており、これらの事態が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、海外子会社を設立するにあたって、事業上の必要性とともに当該国のカントリーリスクを慎重に検討しております。また、「関係会社管理規程」において海外子会社各社を所管する部門を定め、定期的に事業上のリスクに係る重要事項を当社に報告する体制としております。

さらに、当社の内部監査室が、定期的に海外を含む拠点を巡回し、子会社のコンプライアンス、リスク管理その他の管理状況を確認し、問題があれば適宜指摘して是正を促しております。

為替リスク

当社グループは、海外への売上高比率が増加しているだけでなく、製造コスト削減のために海外からの部品調達も増加傾向にあります。海外への輸出は、外貨建ての契約も存在するため、大幅な為替変動(円高)は価格競争力の低下や受注済みプロジェクトの売上高の目減りが発生する可能性があります。また、海外の連結子会社の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しておりますので、大幅な為替変動は当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社においては、為替予約等を活用することで為替リスクの緩和・平準化を図ってまいります。在外子会社の財務諸表を換算する際の為替リスクの回避は困難であり、在外子会社については、現地通貨での業績管理を行い、現地通貨ベースでの業績の向上を目指します。在外子会社が現地通貨以外の通貨で取引する場合は、基軸通貨である米ドルで取引を行い、為替の変動幅を最小限に抑えます。

 

自然災害、事故、テロ等の人為的災害、感染症等のリスク

当社グループは大規模地震や気候変動に伴う自然災害や火災・事故等の発生や、テロ等の人為的災害及び感染症等が発生した場合に、当社グループの設備、情報システム等に影響が出る可能性があります。その他、大規模災害の発生により、経済環境の悪化によって需要動向に大きな変化が生じた場合は、経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、自然災害等からの早期復興のため、事業継続計画(BCP)を策定しております。この計画に基づき、緊急連絡網などを整備し、また、非常時を想定した避難訓練、安否確認訓練を実施しております。

また、太陽光発電、蓄電池の導入を行い、長時間の停電にも対応可能な非常電源を確保しております。

その他、データの保護や迅速な復旧のため、社内データの管理システム及び社外にデータのバックアップを補完するセンターを整備しております。

知的財産権のリスク

当社グループが販売した製品、あるいは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があり、また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。そのような場合、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し、自社が保有する技術等については特許権等の取得による保護を図っているほか、他社の知的財産権に対する侵害のないよう知財部門を中心に弁護士や弁理士と協働して、リスク管理に取り組んでおります。

税制等に関するリスク

当社グループは国内外において税制に関する様々な法規制の適用を受けております。今後についても、社会情勢の変化等により規制が強化される可能性や新たな法的規制が設けられる可能性があり、この場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、国内外における税務当局との見解の相違等により追加課税が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、税制面に関する法律改正や規制について、事業活動への影響を最小限に抑えるべく、法令制度の調査や社内での情報共有を行っております。

また、当社グループを構成する事業法人は、各国の税法に準拠して適正な納税を行っており、適用される各国の移転価格税制など国際税務のリスクについても注意を払っております。

コンプライアンスに関するリスク

当社グループは、事業活動において、対外的には、国内外を問わず、取引に関連する法令等、また、対内的には、会社法等のガバナンスに関する法規制や労働基準法等の適用を受けております。

当社グループに、以上のような取引又はガバナンスや労務におけるコンプライアンス上の問題が発生した場合、顧客を含む各種ステークホルダーとの関係の悪化、遮断、関係官庁等による処分や社会的信用の失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、「瑞光グループ倫理方針」を基盤に、具体的な倫理基準を「コンプライアンス・マニュアル」に記載し、当社グループのすべての役員、従業員への周知活動を進めております。

また、コンプライアンス委員会により、事業活動遂行のために留意が必要なコンプライアンスに関する情報発信、重要な法分野を対象としたe-ラーニングを定期的に実施することで、社内手続やコンプライアンスに対する意識の維持・向上と問題発生の未然防止に努めております。

 

3.内的要因に起因する傾向の高いリスク項目

リスク項目

内容

取り組み

影響度

発生頻度

生産形態に関する

リスク

当社グループは顧客からの個別受注生産が大半を占めており、受注後の仕様変更、工程遅延、工事費の高騰等により、売上計上時期の後ずれや見積もり費用の超過等が発生する可能性があります。また、予定した検収時期に変動が生じ出荷が遅れた場合、次に予定していた製品の生産スケジュールも遅延し、売上が後ずれする可能性があります。その場合には、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、受注機械において新規開発要素を含む部分を先行してテストするなど、工程遅延のリスクを早期に把握・抑制できるよう取り組んでおります。また、共通部品の標準化や生産管理システム導入によるデータの活用とフィードバックを推進することにより、スケジュール管理や原価管理の継続的な改善に取り組んでおります。

製品の品質維持に関するリスク

予期せぬ製品の欠陥が発生した場合には、多額の費用が生じるとともに当社機械の信頼性や評価を低下させ、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは社内加工品や外注品の受入検査において品質の担保を図っております。また、製品については、顧客立会いのもと自社工場にて試運転を行った後、顧客の工場へ運搬し、再度試運転を行った後に検収を得る、という品質管理を行っており、製品の品質及び安全性には細心の注意を払っております。

情報セキュリティの

リスク

当社グループは事業活動において、顧客情報・個人情報等に接することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しております。そのため、万が一、情報漏えい等の事故が発生した場合には、情報管理に関する法的責任を問われる可能性や当社グループの評判・信用、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは左記各種情報の取扱い、機密保持には細心の注意を払っており、不正なアクセス、改ざん、破壊、紛失等から守るため、管理体制及び取扱い規則を定め、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じております。

人材確保のリスク

雇用情勢の変動等により、的確な人材の確保や育成が出来なかった場合、もしくは人材流出の増加が継続した場合は、当社グループの人材確保が計画どおりに進まず、今後の事業展開も含めて当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

採用活動において、インターンシップでの業務体験機会の増大、専門性の高い外国人採用も積極的に進めるなど、新卒採用を強化し、入社後においても、メンター制度を活用し、スムーズな業務適応を支援しています。さらに、職種毎のキャリアパスの明確化、個人のキャリアプランに基づいた定期面談の実施などにより、エンゲージメントの向上や離職率の低下に繋げております。

固定資産の減損の

リスク

当社グループの固定資産について、経営環境の著しい悪化により事業の収益性が低下した場合や、市場価格が著しく下落した場合等には、固定資産の減損会計の適用による減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは固定資産の稼働状況、キャッシュ・フローの状況等を定期的にモニタリングしております。

労働災害の発生に関するリスク

当社グループは日常的な安全教育、各種技能研修、資格取得の促進等を通じて、労働災害の削減と安全管理への取り組みを行っております。ただし、生産部門における工場での現場作業を中心に、労働災害に繋がる可能性がゼロではないため、重大な労働災害が発生した場合は、社会的な責任とともにその後の受注に影響を受ける可能性があります。

当該リスクへの対応策として、設計・生産両部門が連携し、設計段階からリスクを洗い出し、事故や故障のリスクを低減する“安全標準”を設定しました。また、作業マニュアルを完備し、現場での教育及び全従業員へのe-ラーニングを実施し、作業員の安全意識を高め、労働災害の予防に努めております。

環境規制に関連するリスク

当社グループは気候変動問題(GHG/温室効果ガス排出)、水質、化学物質、廃棄物等多様な環境問題に対し環境法及び規制の影響を受けており、年々それらの規制が厳しくなっております。環境法等の厳格化に対応するため、追加的義務並びにコスト増加が発生するリスクがあり、当社グループの財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

リスクマネジメント委員会を主管として、TCFD提言のプロセスに基づき、気候変動が当社グループに及ぼすリスク及び機会の特定・評価やシナリオ分析等を進めております。それらの分析結果を元に顧客およびサプライヤーを含むステークホルダーとの連携を図ることによって、GHG排出量削減の実現を推進してまいります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績

 当社グループでは、国内外の衛生用品メーカーを中心に衛生用品製造機械等の提案活動を積極展開するとともに、受注済みの機械製造案件や改造案件の早期完成・引渡し、部品販売の促進に努めることで、売上拡大を図っております。

 当連結会計年度においては、これまでの主力市場である日本・中国での需要が大きく減少する中、海外顧客の新規開拓・受注活動に重点的に取り組みました。しかしながら、日本向け及び中国向けの売上減少に加え、受注済み案件の進捗遅れにより当連結会計年度に予定していた売上高が翌連結会計年度にずれ込んだことなどから、売上高は19,950百万円(前期比8.2%減)となりました。主な製品別売上高では、小児用紙おむつ製造機械6,870百万円(同49.8%増)、大人用紙おむつ製造機械6,369百万円(同37.3%減)、生理用ナプキン製造機械3,109百万円(同18.5%減)、部品2,809百万円(同25.5%増)、その他792百万円(同15.9%減)となり、小児用紙おむつ製造機械の売上が3期ぶりに増加に転じました。

 利益面においては、売上高の減少に加えて、製品の高付加価値化を図る中で難易度の高い案件が増えていることや海外子会社の棚卸資産の販売可能性を保守的に検討して評価損を計上したこと等から原価率が大きく上昇しました。販売費及び一般管理費は前期比で減少したものの売上総利益の減少を補うことができず、営業損失は307百万円(前期は営業利益1,027百万円)、経常損失は149百万円(前期は経常利益1,427百万円)と赤字での着地となりました。また、保有株式の縮減に伴い投資有価証券売却益を特別利益に計上しましたが、グループ内の資金政策の見直しに伴う税効果会計の処理(一過性の費用計上)の影響もあり、親会社株主に帰属する当期純損失は788百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1,378百万円)となりました。

 受注環境におきましては、日本・中国での需要動向は厳しい状況が継続すると見込んでおります。当社グループは、新興国向けの小児用紙おむつ製造機械や生理用ナプキン製造機械の受注活動を積極化するとともに、2024年6月より子会社となったZUIKO DELTA S.R.L.(イタリア)を通じて欧州での受注活動を強化しております。これらの結果、当連結会計年度中の受注高は21,767百万円(前期比8.6%増)、当連結会計年度末の受注残高14,772百万円(同14.0%増)となりました。詳細については、P.22「② 生産、受注及び販売の実績 b.受注実績」をご参照下さい。

 当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報として重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

b.財政状態

(資産合計)

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,113百万円増加し52,384百万円となりました。電子記録債権が906百万円、投資有価証券が777百万円及びソフトウェアが102百万円減少いたしましたが、仕掛品が1,372百万円、契約資産が846百万円、現金及び預金が842百万円、原材料及び貯蔵品が489百万円、土地が247百万円、建物及び構築物が246百万円、のれんが237百万円、建設仮勘定が121百万円増加及び前期に計上した貸倒引当金(短期)が債権回収による戻入の影響により144百万円減少いたしました。

(負債合計)

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,596百万円増加し18,116百万円となりました。電子記録債務が549百万円減少いたしましたが、契約負債が1,846百万円、支払手形及び買掛金が1,216百万円、繰延税金負債が632百万円、受注損失引当金が286百万円及び未払金が181百万円増加いたしました。

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ483百万円減少し34,268百万円となりました。為替換算調整勘定が1,143百万円増加いたしましたが、利益剰余金が1,184百万円及びその他有価証券評価差額金が550百万円減少いたしました。

 この結果、自己資本比率は65.3%(前期は70.4%)となりました。

c.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,808百万円増加し、9,732百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は1,091百万円(前期は322百万円の支出)となりました。これは主に、棚卸資産の増加945百万円、投資有価証券売却益の計上628百万円、法人税等の支払額257百万円、受取利息及び受取配当金が207百万円、未収消費税等の増加202百万円及び貸倒引当金の減少153百万円があった一方、税金等調整前当期純利益468百万円に加え、契約負債の増加1,424百万円、減価償却費の計上842百万円、仕入債務の増加349百万円及び受注損失引当金の増加286百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動の結果獲得した資金は1,136百万円(前期比1.9%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出630百万円及び連結の範囲の変更を伴う子会社持分の取得による支出270百万円があった一方、定期預金の純減少1,507百万円及び投資有価証券の売却による収入671百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は772百万円(前期比27.1%減)となりました。これは主に、配当金の支払額396百万円及び長期借入金の返済による支出323百万円があったことによるものであります。

 

② 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、当連結会計年度の生産実績を製品別に記載しております。

製品別

当連結会計年度

(自 2024年2月21日

至 2025年2月20日)

金額(千円)

前年同期比(%)

生理用ナプキン製造機械

3,109,392

81.5

小児用紙おむつ製造機械

6,870,767

149.8

大人用紙おむつ製造機械

6,369,279

62.7

その他機械

398,668

53.3

部品

2,809,302

125.5

その他

393,368

203.3

19,950,779

91.8

 (注)1.金額は、販売価格で表示しております。

2.部品には仕入部品を含んでおります。

3.金額は、外注による生産実績を含んでおります。

 

b.受注実績

 当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、当連結会計年度の受注実績を製品別に記載しております。

製品別

当連結会計年度

(自 2024年2月21日

至 2025年2月20日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

生理用ナプキン製造機械

3,429,265

(3,311,021)

107.5

(110.3)

1,725,900

(1,640,846)

122.8

(125.9)

小児用紙おむつ製造機械

8,171,834

(7,459,366)

109.8

(104.9)

6,268,104

(5,837,839)

126.2

(124.3)

大人用紙おむつ製造機械

6,128,347

(3,082,966)

96.9

(72.2)

5,260,632

(3,211,108)

95.6

(74.1)

その他機械

835,870

(738,995)

128.0

(261.5)

1,517,508

(1,475,103)

140.5

(158.0)

部品

2,809,302

(2,429,236)

125.5

(130.7)

(-)

(-)

その他

393,368

203.3

21,767,989

(17,021,585)

108.6

(103.0)

14,772,145

(12,164,897)

114.0

(108.0)

 (注)1.括弧内の数字(内書)は海外受注高及び受注残高であり、受注高に対する海外受注高の割合は、当連結会計年度78.2%であります。

2.受注後、値引等のあったものは、受注高で調整しております。

3.金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、当連結会計年度の販売実績を製品別に記載しております。

製品別

当連結会計年度

(自 2024年2月21日

至 2025年2月20日)

金額(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

生理用ナプキン製造機械

3,109,392

(2,973,244)

15.6

(14.9)

81.5

(92.1)

小児用紙おむつ製造機械

6,870,767

(6,316,831)

34.4

(31.7)

149.8

(145.2)

大人用紙おむつ製造機械

6,369,279

(4,204,937)

31.9

(21.1)

62.7

(58.8)

その他機械

398,668

(197,742)

2.0

(1.0)

53.3

(45.2)

部品

2,809,302

(2,429,236)

14.1

(12.2)

125.5

(130.7)

その他

393,368

2.0

203.3

19,950,779

(16,121,992)

100.0

(80.9)

91.8

(94.7)

 (注)1.括弧内の数字(内書)は海外販売高及び売上全体に対する割合であります。

2.主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ユニ・チャーム株式会社

3,778,878

17.4

2,724,634

13.7

(注)当該割合が100分の10未満については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針に基づき見積り及び判断を行っており、実際の結果は、見積りによる不確実性のために異なる可能性があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、小児用紙おむつ製造機械及び部品の生産及び出荷が増加しましたが、大人用紙おむつ製造機械、生理用ナプキン製造機械及びその他機械の生産及び出荷が減少したことにより前連結会計年度と比べ1,786百万円減少し、19,950百万円となりました。

 国内売上高は889百万円減少し、3,828百万円となりました。海外売上高は897百万円減少し、16,121百万円となりました。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は、売上高の減少及び原価率の上昇等により前連結会計年度に比べ1,961百万円減少し、2,643百万円となりました。

(営業損失)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、出張費や支払報酬料が増加しましたが、研究開発費や貸倒引当金繰入額が減少したことにより、前連結会計年度に比べ626百万円減少し、2,950百万円となりました。

 以上の結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ1,334百万円減少し、営業損失307百万円となりました。

(経常損失)

 当連結会計年度における営業外収益は、為替差益が減少したことなどから前連結会計年度に比べ259百万円減少し、311百万円となりました。営業外費用は、為替差損の増加及び減価償却費の減少などから前連結会計年度に比べ17百万円減少し、154百万円となりました。

 以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ1,577百万円減少し、経常損失149百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度における特別利益は、当社の投資有価証券売却により投資有価証券売却益を計上しましたが、固定資産売却益の減少により前連結会計年度に比べ42百万円減少となりました。特別損失は子会社の建物撤去に伴う固定資産除却損を計上しましたが、減損損失が減少したことなどから前連結会計年度に比べ209百万円減少となりました。

 なお、当連結会計年度につきましては、資金政策の見直しに伴う税効果会計処理等の影響により法人税等調整額が前連結会計年度に比べ690百万円増加となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ2,166百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純損失788百万円となりました。

 

財政状態の分析

 当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの主な資金需要は、通常の事業活動に必要な運転資金、競争力強化のための研究開発費及び設備投資等です。

 当社グループが主に製造販売している紙おむつ・生理用ナプキン製造機械は個別受注生産であり、標準品・汎用品を大量に製造販売する業態と比較して、受注から納入までの期間が相対的に長くなる特徴があります。また、製造機械本体の1件あたりの受注金額が大きく、かつ、顧客への納入タイミングにばらつきがある一方で、製造費用や販売費及び一般管理費などの支出は経常的に発生します。

 当社グループは、安定的な事業運営と成長投資に必要な資金を確保するため、営業活動によるキャッシュ・フローで獲得する資金に加えて金融機関からの借入等を有効に活用してまいります。具体的には、受注代金の一部を前受金として製品納入前に回収するなど資金回収時期の早期化・平準化を図り運転資金の安定確保に努めているほか、短期的な流動性確保に向けて金融機関との間で当座貸越契約を締結しています。また、長期借入金や社債等を活用することで、安定的な資金確保を図っております。

 当連結会計年度末における有利子負債残高はリース債務も含め7,572百万円となり、前連結会計年度末と比較して41百万円増加しました。これは主に長期借入金の返済により有利子負債は減少しましたが、持分の取得により新たにZUIKO DELTA S.R.L.を連結したことに伴う有利子負債が増加したことによるものです。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は9,732百万円であり、前連結会計年度末と比較して1,808百万円増加しています。

5【経営上の重要な契約等】

 記載すべき重要な契約等はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動につきましては、高まる顧客ニーズと環境ニーズを先攻する独自技術の開発を基本姿勢としております。
 なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は132百万円であります。

 その主なものは、衛生材料商品の付加価値向上を目的として、省資源、消費エネルギー削減、環境配慮資材の適応を考慮した装置開発及び生産設備への適用に向けた、新たな材料加工プロセスに関しての研究・開発であります。

 また、当社グループは、生理用ナプキン製造機械及び紙おむつ製造機械等の一般産業用機械・装置製造業及びその他の事業でありますが、その他の事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。