当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更があった事項は、次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
当社グループは、前事業年度の有価証券報告書「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(継続企業の前提に関する事項)」に記載のとおり、保険代理店事業における代理店手数料売上の計算について再検証を実施し、過年度に遡って売上高の訂正を行いました。併せて、固定資産に係る減損損失の計上及び繰延税金資産の取崩等も行っております。これらの訂正等の結果、前連結会計年度において営業損失711百万円、経常損失808百万円、親会社株主に帰属する純損失2,250百万円を計上し、2期連続で営業損失及び経常損失、3期連続で親会社株主に帰属する当期純損失を計上、さらに2期連続で営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスの状況となっております。また、これらの損失の計上に伴い、当中間連結会計期間末において6,535百万円の債務超過となっており、当社が上場している東京証券取引所プライム市場、福岡証券取引所本則市場及び札幌証券取引所本則市場における上場維持基準等(純資産が正であること)に適合しない状態となっております。改善期間は2025年9月末迄であり、2025年9月末までに純資産の額基準に適合していることが確認できなかった場合には、東京証券取引所等により監理銘柄(確認中)に指定され、その後、当社が提出する当連結会計年度の有価証券報告書にて純資産の額が正となったことが確認できなかった場合には、整理銘柄に指定され、当社株式は2026年4月1日に上場廃止となります。(福岡証券取引所及び札幌証券取引所においては、整理銘柄に指定された日から起算して、1か月を経過した日に上場廃止となります。)加えて、一部の取引金融機関と締結している債権流動化に係る諸契約について、財務制限条項に抵触しております。以上より、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは、当該状況を解消すべく以下の対応策を講じておりますが、これらの対応策は実施途上であり、想定どおりの進捗と十分な成果が得られない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 資本政策
債務超過の状態を早期に解消すべく、財務状態を抜本的に改善するための資本増強施策等の検討と実行が必須であると考えております。当社は、株主の皆様に関連する議案をご審議いただくための臨時株主総会(以下「本株主総会」という。)の開催を検討しており、2025年4月15日開催の取締役会において、本株主総会において議決権を行使することができる株主を確定するため、2025年5月2日を基準日と設定いたしました。本株主総会は基準日から3か月以内に開催する予定であり、本株主総会の付議議案等の具体化に向けて引き続き検討を進めております。
(2) 営業社員の商品提案力強化による生産性の向上
業績の回復と再成長に向け、営業社員一人ひとりの商品提案力を強化することにより、一人あたり生産性の向上を目指してまいります。当社の保険代理店事業においては、入社3年以内の社員が自社開発のオンライン面談システム(Dynamic OMO)やアバターといった最新テクノロジーを駆使し高い営業成果を挙げる等、多くの若手社員が活躍しております。また、AVITA株式会社が開発したアバターAIロープレ支援サービス「アバトレ」を営業社員教育、特に新卒の営業社員教育に積極的に活用することで、新卒社員の即戦力化に繋げております。このようなテクノロジーを用いた営業教育により若手社員の更なる成長を促すとともに、営業社員全体の総合提案力の向上、一人あたりの生産性の向上に繋げてまいります。
(3) 固定費の適正化
新規採用及び既存人員の配置転換等を行うことにより、当社全体の人員構成の最適化を図り、人件費を適切にコントロールしてまいります。並行して、業務委託費を中心とした活動経費の見直しを進め、固定的な費用の削減を進めております。これらの取り組みの結果、当中間連結会計期間における販売費及び一般管理費の合計は3,042百万円となり、前年同期比で9.2%減少いたしました。
(4) 財務制限条項
一部の取引金融機関と締結している債権流動化に係る諸契約については、財務制限条項に抵触しているものの、当該条項には、抵触した場合に契約上の債務の返済等について期限の利益を喪失する旨の定めはありません。また、本契約の継続について取引金融機関の承諾を得ております。取引金融機関には当社より今後の事業計画についてご説明し、良好な関係の維持に努めております。
(5) 資金の確保
当社は、取引金融機関との当座貸越契約等に基づいて借入を実行し、手元資金の確保に努めております。当該借入の実行額は、当中間連結会計期間において計908百万円、2025年4月1日から同年5月15日までの間において計226百万円であります。このほか、一部の資産を売却するなどして手元資金の確保を図っております。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間(2024年10月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する中で、個人消費が一部復調する等、緩やかな回復基調を維持いたしました。その一方で、円安、長期化する不安定な世界情勢を背景とした物価上昇によるコスト高等、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
保険業界においては、少子高齢化社会による公的医療保険制度への不安感から、医療保障を補う商品の多様化が進んでおります。併せて、個人金融資産を貯蓄から投資へ移行する動きから、貯蓄性保険商品のニーズは堅調に推移している等、民間保険の需要はより拡大することが見込まれております。また、保険業界は保険代理店事業の体制整備及びお客様本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)の実現が求められている状況にあります。
このような状況下、当社グループは「人とテクノロジーを深化させ進化する会社」を標榜し、あらゆる保険ニーズに対応できる「保険業界のプラットフォーム」と、OMO(Online Merges with Offline.=オンラインとオフラインの融合)時代に相応しい体制を構築すべく、日々新たな挑戦を行っております。具体的には、2020年以降、自社開発のオンライン面談システム「Dynamic OMO」により、対面と非対面の垣根をなくし、オフラインと同等のオンライン保険相談を実現しております。また、2022年7月からは、大阪大学の石黒浩教授が代表を務めるスタートアップ企業「AVITA株式会社(以下「AVITA社」という。)」と提携し、同社が開発したアバターを保険相談等に活用すると共に、アバターの活用事例やシステム改修案、顧客アンケート結果等をAVITA社と連携することで、より利便性の高いアバターの共同開発を進めております。また、生成AIを用いた「アバターAIロープレ支援サービス『アバトレ』」での教育を通して、営業社員の早期戦力化を目指しております。さらに、従来はお客様とのコミュニケーション手段として電話を使用することが一般的でしたが、LINEやSMS等のテキストツールの活用、生成AIを用いた夜間・早朝のお問い合わせに対する自動応答等、お客様の利便性の向上に努めております。加えて、生成AIを用いたSNS上でのプロモーション活動を行い、若年層をターゲットにした集客を行っております。
当社は今後も、保険募集プロセスのDX化を推進することで、収益力のさらなる向上を図ってまいります。併せて、保険業界の共通プラットフォームシステム「Advance Create Cloud Platform」(以下「ACP」という。)の開発と販売についても、引き続き推進してまいります。ACPの普及により、営業活動のデジタル化と事務負担の大幅な軽減が期待できます。ACPの主要機能である顧客情報管理システム「御用聞き」、申込共通プラットフォームシステム「丁稚(DECHI)」、保険証券管理アプリ「folder」、オンライン面談システム「Dynamic OMO」は、いずれも導入したお客様からご好評をいただいております。また、各種システムのアプリ化等さらなる機能拡充を進めております。さらに、「Dynamic OMO」とAVITA社のアバターを連携するシステム開発を行い、共に販売を行っております。これらACPシステムを保険業界のスタンダードとすべく積極的に展開し、サブスクリプションモデルとしてのストック収入の確保及び協業事業の拡大を目指します。これらの営業施策を推進・拡充する一方で、情報セキュリティ体制、保険募集管理体制の強化等、ガバナンス及びコンプライアンス体制を一層充実させるために、積極的に経営資源を投下してまいります。
当中間連結会計期間においては、保険代理店事業において、PV計算における変動対価の精緻化によりPVが減少したこと、アポイント獲得数が伸び悩み、新規保険面談数に影響が出たことで特に協業での実績が低迷したこと、メディア事業において、保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への広告出稿が伸び悩んだことが、主な減収減益要因となりました。
以上により、当中間連結会計期間の売上高は2,720百万円(前年同期比39.3%減)、営業損失は1,037百万円(前年同期は92百万円の利益)、経常損失は1,138百万円(前年同期は82百万円の利益)、親会社株主に帰属する中間純損失は1,622百万円(前年同期は332百万円の損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(保険代理店事業)
PV計算における変動対価の精緻化によりPVが減少したこと、アポイント獲得数が伸び悩み、新規保険面談数に影響が出たことで特に協業での実績が低迷したこと等により、減収減益となりました。
この結果、保険代理店事業におきましては、当中間連結会計期間の売上高は1,975百万円(前年同期比37.6%減減)、営業損失は1,075百万円(前年同期は321百万円の損失)となりました。
(ASP事業)
乗合保険代理店等へのACPの販売が堅調に推移したことにより、増収増益となりました。
この結果、ASP事業におきましては、当中間連結会計期間の売上高は152百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益は59百万円(前年同期比10.4%増)となりました。
(メディア事業)
保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への広告出稿が伸び悩んだことにより、減収減益となりました。
この結果、メディア事業におきましては、当中間連結会計期間の売上高は38百万円(前年同期比96.7%減)、営業損失は16百万円(前年同期は249百万円の利益)となりました。
(メディアレップ事業)
前年同期に比べて受注が伸び悩んだことにより、減収減益となりました。
この結果、メディアレップ事業におきましては、当中間連結会計期間の売上高は224百万円(前年同期比40.2%減)、営業損失は58百万円(前年同期は12百万円の利益)となりました。
(再保険事業)
再保険の取引量が減少したことにより、減収減益となりました。
この結果、再保険事業におきましては、当中間連結会計期間の売上高は508百万円(前年同期比13.0%減)、営業利益は32百万円(前年同期比55.8%減)となりました。
①財政状態
(資産合計)
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ881百万円減少し6,292百万円(前連結会計年度末は7,174百万円)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ718百万円減少しましたが、これは主に、未収消費税等が129百万円増加した一方で、現金及び預金が619百万円減少、売掛金が248百万円減少したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ159百万円減少しましたが、これは主に、保険積立金が124百万円減少したこと等によるものです。
(負債合計)
当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ679百万円増加し12,827百万円(前連結会計年度末は12,147百万円)となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ873百万円増加しましたが、これは主に、短期借入金が958百万円増加したこと等によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ194百万円減少しましたが、これは主に、債務保証損失引当金が95百万円増加した一方で、債権流動化に係る調整勘定(負債)が205百万円減少したこと等によるものです。
(純資産合計)
当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,561百万円減少し△6,535百万円(前連結会計年度末は△4,973百万円)となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する中間純損失を1,622百万円計上したこと等によるものです。
②経営成績
(売上高)
当中間連結会計期間の売上高は、2,720百万円(前年同期比39.3%減)となりました。これは主に、保険代理店事業において、PV計算における変動対価の精緻化によりPVが減少したこと、アポイント獲得数が伸び悩み、新規保険面談数に影響が出たことで特に協業での実績が低迷したこと、メディア事業において、保険選びサイト「保険市場(ほけんいちば)」への広告出稿が伸び悩んだことによるものであります。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当中間連結会計期間の売上原価は、715百万円(前年同期比31.0%減)となりました。これは主に、マーケティングコストの見直しを行ったことによるものであります。
当中間連結会計期間の販売費及び一般管理費は、3,042百万円(前年同期比9.2%減)となりました。これは主に、各部門での固定費の見直し等、各種コスト低減に努めたことによるものであります。
(営業利益)
当中間連結会計期間の営業損失は、1,037百万円(前年同期は92百万円の利益)となりました。これは主に、保険代理店事業及びメディア事業において、前述の要因により売上高が減少したことによるものであります。
(経常利益)
当中間連結会計期間の経常損失は、1,138百万円(前年同期は82百万円の利益)となりました。これは主に、保険代理店事業及びメディア事業において、前述の要因により売上高が減少したことによるものであります。
(親会社株主に帰属する中間純利益)
当中間連結会計期間の親会社株主に帰属する中間純損失は1,622百万円(前年同期は332百万円の損失)となりました。これは主に、保険代理店事業及びメディア事業において、前述の要因により売上高が減少したことと、固定資産の減損により特別損失として減損損失を144百万円計上したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ618百万円減少し、322百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において営業活動の結果使用した資金は、税金等調整前中間純損失1,590百万円(前年同期は316百万円)、減価償却費34百万円(前年同期は42百万円)、売上債権の増減額248百万円(前年同期は△1,473百万円)、未収入金の増減額△13百万円(前年同期は274百万円)及び法人税等の支払額11百万円(前年同期は66百万円)等により、1,362百万円の支出(前年同期は1,411百万円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において投資活動の結果使用した資金は、無形固定資産の取得による支出162百万円(前年同期は327百万円の支出)、保険積立金の解約による収入88百万円等により、48百万円の支出(前年同期は114百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において財務活動の結果獲得した資金は、短期借入金の増減額958百万円(前年同期は1,612百万円)等により、799百万円の収入(前年同期は1,573百万円の収入)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当中間連結会計期間において、経営成績に重要な影響を与える要因に変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性
当中間連結会計期間において、資本の財源及び資金の流動性の重要な変更はありません。
(7)保険代理店事業に係る売上計上について
保険代理店事業の主たる収入は保険代理店手数料収入であります。当社グループは、保険契約の媒介及び代理行為に伴い、各保険会社との契約及び手数料規程に基づき保険代理店手数料を受領しております。
保険代理店手数料の受領形態は、保険商品の種類(生命保険・損害保険、契約期間(1年・複数年)、保険料支払方法(年払い・月払い)、その他)、保険会社毎の契約及び規程により様々な形態があり、保険契約成立時に受領するもの(初回手数料)及び保険契約継続に応じて受領するもの(2回目以降手数料)等、これらについて一括又は分割ならびにその受領割合等が異なるものが存在しております。
当社グループは、初回手数料については保険契約成立時に受領する手数料額を売上計上しているほか、将来支払われる代理店手数料の割引現在価値を算出し、これを保険契約成立時に認識、計上する方法により売上を計上しております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。