第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績

当中間連結会計期間においては、17年ぶりに日本銀行は政策金利を0.5%に引き上げマイナス金利政策を解除した一方、米国はトランプ政権のもと実質GDPは2025年1~3月期にマイナス成長を記録した期間でありました。当社グループの主要顧客が属する金融業界においては業務プロセスのDX化が本格化してきており、大手生命保険会社ではAI-OCRによる書類の読取・データ化、生成AIの活用による顧客対応メモの自動作成さらには顧客のデータに基づく最適保険商品の組合せ提案等、先進的なデジタル技術の導入が進んでいます。銀行業務においても行内の業務プロセスの改善・効率化を図るため、AIチャットボットの導入、証券会社では生成AIによるAIオペレーターの新NISA等の問合せに対する会話形式の応答サービスが実現し始めており、金融業界においても着実に生成AIの導入による業務の効率化や顧客対応の高度化が進展しつつあります。

また、政府の資産所得倍増プランが推進されるなか、生命保険各社においては従来の死亡、入院介護の発生に備えた保障型の商品に加えて、資産形成型商品に対するニーズの高まりに対応した変額保険・変額個人年金保険の新商品投入が拡大しました。一方、銀行・証券会社は事業承継・財産承継・M&Aのコンサルティング業務の推進、自社株対策や信託、遺言作成支援業務をデジタル活用しながら実行する等、人生100年時代・大相続時代の幕開けに合わせた金融業界における新たな展開が始まったと言えます。

当社グループは、「FT(Financial Technology)とIT(Information Technology)の統合により、ファイナンシャルウェルネスを創造する」というパーパスを掲げ、「金融サービスとアセットマネジメントのイノベーターになる」というビジョンの実現を目指しています。昨今の金融機関の金融DX・MX(Management Transformation)に対するニーズの高まりを捉え、また政府が推進している資産運用立国実現プランにも明記されている金融機関における顧客本位の業務運営の一助となるべく、2025年9月期~2027年9月期の3カ年を対象とする中期経営計画の1年目として、生命保険会社を中心とした既存顧客に新サービスの提供および銀行・証券会社を対象にした新規顧客開拓活動を展開しているところであります。

 

当中間連結会計期間における主なトピックスは、次のとおりです。

 

①  当社グループの主たる事業であるシステム受託開発事業は、生命保険会社の新商品販売時期が4月と10月に集中することにより、売上高が3月(第2四半期)と9月(第4四半期)に偏重する傾向がありますが、当中間連結会計期間の売上高は4,722,074千円(前年同期比10.5%増)と中間期として過去最大の売上高を計上しました。一方、営業利益は383,775千円(前年同期比11.5%増)、経常利益は389,173千円(前年同期比11.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は267,096千円(前年同期比43.8%増)となり、いずれも前年同期を上回る段階利益の計上となりました。

②  生命保険会社向けでは、保険商品の設計書・申込書作成に係る営業支援システムや顧客管理システムの再構築プロジェクトが継続していることや、変額保険・変額個人年金保険をはじめとする資産形成型商品に対応した保険申込システム、さらに法人向け保険営業システムの受託開発等が好調でありました。それにより、生命保険会社向け売上は前年同期比で14.5%増となりました。

③  銀行向けには、ゴールベースプランニングや相続・財産承継のシミュレーションを可能とするウェルスマネジメントプラットフォームの開発を継続的に行っています。地方銀行向けには、ライフプランシミュレーションやポートフォリオ提案を実現するためCRMシステムとAPI連携した総資産管理営業ツールをリリースしました。また、銀行業界に対するプロモーション活動の強化により、複数の銀行から新規業務を受注しています。

④  証券会社向けには、多様な投資目標の達成可能性を確率的にシミュレーションして資産運用を行うゴールベース資産管理システムの開発支援を継続的に行っているほか、IFAチャンネル向け資産管理プラットフォームの開発を受託しました。これにより、証券会社向け売上は前年同期比で76.5%増となりました。今後とも証券会社向けの業務拡大に向け潜在顧客への提案活動を強化していく方針です。

⑤  生成AIに関する取り組みとしては、東京大学松尾豊教授の研究室発スタートアップである株式会社Elithと業務提携し、生成AIを活用して金融サービスを革新するシステム開発に着手しました。現在、決算書をAI-OCR技術を活用して画像認識を行い、企業経営者が保有する非上場株式の評価を効率化した上で総合資産管理や相続税の納税準備・財産分割に係る課題を見える化するシステムの開発に共同で取り組んでいます。さらに当社の主要顧客である生命保険会社向けに生成AIを活用した事務手続きや管理業務を効率化する社内FAQシステムの開発を行いました。これにより、これまで有識者しか実行できなかったナレッジを瞬時に効率的に入手することが可能となりました。

 

なお、当社グループはシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

(売上高)

生命保険会社向けに営業支援システムの再構築プロジェクトや変額個人年金保険を含む新商品に対応した設計書・申込書作成システムならびに法人向け保険営業システムの受託開発等の受注が好調でした。加えて、銀行向けウェルスマネジメントプラットフォームの継続的開発や地方銀行向け総資産営業ツールの提供、さらに証券会社向けにIFA向け資産管理プラットフォーム開発を行う等、受託開発分野の受注が増加しました。

この結果、当中間連結会計期間の売上高は4,722,074千円(前年同期比10.5%増)と中間期としては過去最大の売上高を計上しました。

(営業利益)

当中間連結会計期間は、システム開発受注の拡大に対応してプログラマー等を確保するための外注費が増加したことにより売上原価も増えましたが、売上総利益は1,156,578千円(前年同期比10.3%増)と売上高の伸びと同程度の増加率を確保することができました。一方、販管費及び一般管理費については772,802千円(前年同期比9.7%増)と前年同期に比べ68,213千円の増加に留まり、売上高の増加に比べて販管費及び一般管理費の増加が抑制されたことにより、営業利益は383,775千円(前年同期比11.5%増)と前年同期を上回る結果となりました。

(経常利益)

営業外収益として受取利息及び配当金を12,481千円計上しました。また、営業外費用として支払利息を10,504千円計上した結果、経常利益は389,173千円(前年同期比11.9%増)となりました。

(親会社株主に帰属する中間純利益)

法人税等合計を130,954千円計上した結果、親会社株主に帰属する中間純利益は267,096千円(前年同期比43.8%増)となりました。

 

 

② 財政状態
<資産>

当中間連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて431,929千円増加し、6,092,494千円となりました。

(流動資産)

当中間連結会計期間末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて297,520千円増加し、4,113,521千円となりました。これは主として現金及び預金が176,773千円、売掛金及び契約資産が151,797千円増加したこと等によるものであります。

(固定資産)

当中間連結会計期間末における固定資産合計は、前連結会計年度末に比べて134,409千円増加し、1,978,973千円となりました。これは主として投資有価証券が214,124千円増加した一方で、ソフトウエアが88,648千円減少したこと等によるものであります。

 

<負債>

当中間連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて63,480千円増加し、2,427,863千円となりました。

(流動負債)

当中間連結会計期間末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べて184,598千円増加し、1,898,424千円となりました。これは主として未払法人税等が101,960千円、その他に含まれる未払消費税等が73,966千円増加したこと等によるものであります。

(固定負債)

当中間連結会計期間末における固定負債合計は、前連結会計年度末に比べて121,117千円減少し、529,438千円となりました。これは主として長期借入金が188,919千円減少した一方で、その他に含まれる繰延税金負債が67,100千円増加したこと等によるものであります。

 

<純資産>

当中間連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて368,448千円増加し、3,664,631千円となりました。これは親会社株主に帰属する中間純利益を267,096千円、その他有価証券評価差額金の増加144,420千円、剰余金の配当43,007千円を計上したこと等によるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて149,696千円増加し、1,565,574千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、528,656千円の収入(前年同期は174,269千円の支出)となりました。これは主として税金等調整前中間純利益398,051千円、減価償却費131,356千円を計上したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、63,860千円の支出(前年同期は93,668千円の支出)となりました。これは主として無形固定資産の取得による支出39,906千円、有形固定資産の取得による支出17,099千円を計上したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、315,099千円の支出(前年同期は26,225千円の支出)となりました。これは主として長期借入金の返済による支出272,183千円、配当金の支払額42,916千円を計上したこと等によるものであります。

 

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当中間連結会計期間において、経営方針、経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は57,723千円であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。