名称 VTホールディングス株式会社
所在地 愛知県名古屋市中区錦三丁目10番32号
普通株式
(1)意見の内容
当社は、2025年5月14日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
(2)意見の根拠及び理由
本「(2)意見の根拠及び理由」の記載のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
① 本公開買付けの概要
公開買付者は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を18,684,400株(所有割合(注):72.20%)所有しており、当社を連結子会社としているとのことです。公開買付者は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第370条及び公開買付者の定款の規定に基づく取締役会の決議に代わる2025年5月14日付の書面決議により、当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
(注) 「所有割合」とは、当社が2025年5月14日に公表した「2025年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2025年3月31日現在の発行済株式総数(26,950,000株)から、当社決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(1,073,100株)を控除した株式数(25,876,900株)に対する割合をいい、その計算において小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の計算において同じです。
公開買付者は、本公開買付けにおいて、当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、買付予定数の上限を設定していないとのことです。また、公開買付者は、本公開買付けにおいて、買付予定数の下限を設定しておらず、本公開買付けに応募された株券等の全部の買付け等を行うとのことです。これは、当社の株主を公開買付者のみとするために本株式併合(下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」で定義されます。以下同じです。)を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされているところ、公開買付者が本書提出日現在所有する当社株式18,684,400株(所有割合:72.20%)に係る議決権の数が当社の総株主の議決権の数の3分の2を超えているため、本公開買付け実施後に本株式併合を確実に実施するという観点から買付予定数の下限を設定する必要性がないことに加え、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考えたためとのことです。
公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的として本公開買付けを実施するため、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施する予定とのことです。
なお、公開買付者が本書提出日現在所有する当社株式18,684,400株(所有割合:72.20%)に係る議決権の数が当社の総株主の議決権の数の3分の2を超えていることから、本公開買付けを経ずに本株式併合を実行することも可能ですが、①本公開買付けを前置した方が、本公開買付けに応募する株主の皆様にとっては、本公開買付けを前置しない場合と比較して株式売却の対価を得るタイミングがより早くなり、より早期に売却機会を提供することができること、②本公開買付けを前置することにより、対抗提案が可能な期間を比較的長期間確保することができるため、より少数株主の利益に配慮したストラクチャーであると考えられることから、本公開買付けを前置したとのことです。
なお、当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されていますが、下記「(5)上場廃止となる見込み及びその事由」に記載のとおり、本公開買付けの結果次第では、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があり、また、本公開買付けの成立後に、下記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続を実施することとなった場合には、所定の手続を経て上場廃止となります。
② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程
公開買付者は、1983年3月に商号を株式会社ホンダベルノ東海として設立したとのことです。その後、2003年4月に自動車ディーラー事業を新設分割し、株式会社ホンダベルノ東海(現・株式会社ホンダカーズ東海)に承継するとともに、持株会社体制に移行し、商号をVTホールディングス株式会社に変更し、現在に至っているとのことです。また、公開買付者は、1998年9月に株式会社名古屋証券取引所(以下「名古屋証券取引所」といいます。)市場第二部に株式上場し、2000年6月には、株式会社大阪証券取引所(以下「大阪証券取引所」といいます。)ナスダック・ジャパン市場に株式上場し、2010年4月に行われた株式会社ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所JASDAQ市場に移行し、同年10月には大阪証券取引所ヘラクレス市場、同証券取引所JASDAQ市場及び同証券取引所NEO市場の各市場の統合に伴い、大阪証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に移行したとのことです。さらに、2013年1月に行われた東京証券取引所と大阪証券取引所の経営統合を受けた、2013年7月の東京証券取引所と大阪証券取引所の現物株式市場の統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場に移行し、2015年5月、東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)市場から東京証券取引所市場第一部、名古屋証券取引所市場第二部から名古屋証券取引所市場第一部に指定替えを行った後、2022年4月の東京証券取引所及び名古屋証券取引所の市場区分の見直しにより、本書提出日現在においては、東京証券取引所プライム市場及び名古屋証券取引所プレミア市場にそれぞれ株式上場しているとのことです。
公開買付者は、本書提出日現在、公開買付者及び公開買付者の連結子会社57社(当社を含みます。)及び持分法適用関連会社3社からなる企業グループ(以下「公開買付者グループ」といいます。)で構成され、ディーラー事業、レンタカー事業及び自動車の輸出事業からなる自動車販売関連事業を主な事業内容とし、このほか住宅関連事業を行っているとのことです。公開買付者は「我々は、常に若さとアイデアと不断の努力により、顧客に安全・安心なサービスを提供し、地域社会に貢献すると共に社業の発展に努める。」という社是を指針とし、社会の公器として地域社会、株主、そして従業員など、全てのステークホルダーにとって価値ある企業となることを目指しているとのことです。また、公開買付者グループは、自動車ディーラー経営の新しいビジネスモデルを構築し、積極的なM&Aにより事業拡大と利益成長を実現することを経営戦略とし、「事業規模の拡大」、「収益力の強化」、「投資効率の向上」をテーマに、公開買付者グループ全体の発展を目指しているとのことです。特に、公開買付者は、1998年9月の名古屋証券取引所市場第二部への株式上場以降、積極的なM&Aにより事業を拡大させてきているとのことです。これまでの長きに亘る事業運営により培ったディーラー運営ノウハウを公開買付者グループに加わった自動車ディーラーに積極的に導入することで、赤字の状態で買収した自動車ディーラー各社を、人員の整理や処遇の見直しといった手法ではなく、高付加価値の商品やサービスメニューの拡充、在庫の付加価値向上と回転率を重視した中古車販売・在庫管理の見直し、CR(注1)活動の効率化など即効性のある収益改善策を取り入れることにより、買収先の従業員の待遇を維持しながらスキルアップを図ることで、買収後3ヶ月から1年程度で黒字化させるなど、短期間で収益性を改善させてきた実績を有していると認識しているとのことです。また、公開買付者グループは、中長期的な経営基盤強化策として、①基盤収益の強化、②財務体質の強化、③リスク管理体制の強化、④コーポレート・ガバナンスの強化、⑤SDGsの目標達成や持続可能な社会の実現に向けた社会課題等への対応、⑥住宅関連事業における労働環境の整備・改善や生産性、品質制度の向上等の課題解決、といった重点課題に対する取り組みを進めているとのことです。
(注1) 「CR」とは、カスタマーリテンションを指し、既存顧客との関係を維持し、商品やサービスを引き続き利用してもらうための施策のことをいうとのことです。
公開買付者は、1998年9月に名古屋証券取引所への上場を果たして以降、更なる事業拡大を図るためのM&Aを模索していた中、2003年3月、当社との協業を通じた更なる事業成長の実現を目指し、当社の株主から当社株式を譲り受けることで、当社を公開買付者の子会社としたとのことです。その後、公開買付者から当社への役員派遣や経営資源の提供等、相互の業務提携等により、当社の経営基盤や競争力、収益性を高め、中古車の輸出業務を公開買付者グループの中核事業に育て上げたとのことです。
一方、当社は、1988年12月、海外の個人顧客向けに中古車の輸出販売を主な事業として設立され、その後、公開買付者との協業を通じた更なる事業成長の実現を目指し、2003年3月、当社の株主が当社株式を公開買付者に譲渡することにより、公開買付者の子会社となりました。また、当社は、2004年11月に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、2015年8月には東京証券取引所市場第二部に指定替えを行った後、2022年4月に東京証券取引所の市場区分見直しに伴い東京証券取引所スタンダード市場に移行いたしました。なお、当社は、上記の市場区分の見直しに伴う東京証券取引所スタンダード市場への移行に際しては、移行基準日時点(2021年6月30日)において流通株式時価総額が9.6億円、流通株式比率が18.3%となっており、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準のうち、流通株式時価総額10億円以上、流通株式比率25.0%以上とする基準を充たしていなかったことから、2021年12月22日付で「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」(以下「本計画書」といいます。)を公表し、業績向上及び株主還元の強化、並びに公開買付者が所有する当社株式の一部の売却等の各種取り組みを進めた結果、当社が公表した2022年11月15日付「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」に記載のとおり、同日時点の流通株式時価総額は23.8億円、流通株式比率は26.4%となり、いずれも上記基準を上回ったことにより、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準の全ての項目に適合することとなりました。しかし、当社が公表した2024年6月28日付「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」に記載のとおり、2024年3月末日時点における当社の流通株式比率は24.4%となり、上記基準を再度充たさないこととなったため、公開買付者が所有する当社株式の更なる売却等の施策を検討していましたが、その後、当社は、下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、2025年5月14日開催の当社取締役会において、上場廃止を前提とした本公開買付けに賛同する旨の意見を決議したことから、併せて、本公開買付けが成立することを条件として本計画書を撤回することも決議しております。
当社は、本書提出日現在、当社、連結子会社4社及び非連結子会社2社(以下、当社及びその子会社を総称して「当社グループ」といいます。)で構成され、当社グループは、親会社である公開買付者グループに属しております。当社グループは、「CLOSER TO YOU お客様のために」という経営理念のもと、「Trust(信頼)」として「質の高いサービスと商品の提供を通じお客様と社会から信頼され、人と人とが相互に信頼しあえる関係を構築します。」、「Responsibility(責任)」として「責任ある企業経営を通じ社会に貢献し、全てのステークホルダーの信頼に応え、企業価値の向上に努めます。」、「Usefulness(有用性)」として「挑戦・改善・改革を常に行い自らを変革し、社会に必要とされ、有用性の高い会社であり続けます。」、「Satisfaction(満足)」として「全てのステークホルダー、社会に満足して頂くことが出来るよう行動し、社会、人々の幸福度を向上させます。」、「Thanks(感謝)」として「感謝し、感謝される存在となるために、『ありがとう』の気持ちを忘れず、全ての事に自身の持てる最大限の力で取り組みます。」の5項目を経営方針と定めて事業活動を行っております。具体的には、中核事業であり海外市場をターゲットとしている中古車輸出事業、自動車の所有から利用の流れの中で安定的な成長を続けるレンタカー事業、南アフリカ共和国における海外自動車ディーラー事業の3事業を行っており、各事業の経営戦略及び経営課題については以下のように考えております。
(a)中古車輸出事業
(ア)売上高の拡大
中古車業界において、日本の中古車は走行距離が少なく、諸外国と比較して厳しい車検制度が整備されているため車輌の状態が良いことに加え、円安の影響もあり、日本の中古車の輸出台数は年々拡大傾向にある中で、競合他社も増加しており、以前にも増して競争が激化しております。また、中古車の輸出台数は、2025年3月期にはアジア及びアフリカ地域の輸出量は微増であるものの、ロシアやニュージーランドにおける輸出量には落ち込みが見られ、業界全体ではほぼ横ばいで推移しており、今後も輸出先の現地情勢に左右されることが想定されるため、地政学的リスクや海外情勢の変化に対応することが重要となっております。
そのような市場環境において、当社は、中古車の商品ラインナップの拡充や中古車販売のためのECサイトの利便性の向上を図り、CS(注2)強化によって個人顧客のみならず海外ディーラーのロイヤルカスタマーの獲得を図るとともに、当社とは異なる販売経路を持つ国内外の企業との業務・資本提携により、販売協力体制を強化し、売上高の拡大を図ってまいります。
(注2) 「CS」とは、Customer Satisfactionの略称で、顧客満足度のことをいいます。
一方、当社は、中古車輸出事業の展開に必要な海外情勢を踏まえた市場分析や情報収集に課題があり、現地情勢に対応できる人材も十分ではないことから、新たな国や地域への進出、追加の投資を行う際の障壁となっております。また、当社の中古車販売のためのECサイトは、競合他社と比較して利便性に劣る部分があり、ロイヤルカスタマーの獲得のために追加の投資を行いECサイトの抜本的な改定を行うことが必要と考えております。
(イ)車輌ラインアップの多様化
国内の中古車市場においては、消費者の意識変化、半導体不足による部品供給の停滞や自動車メーカーの検査不正に伴う新車の出荷停止等により、新車の供給・販売台数が停滞した経緯から、国内における中古車の流通台数が減少傾向にあるものの、依然として日本の中古車に対する需要は高く、中古車の流通価格も上昇傾向にあることから、中古車輸出事業の在庫となる中古車を安定的に確保することが課題となっております。また、輸出先の国や地域において顧客ニーズが多様化している中、販売車輌のラインナップの拡充も図る必要があります。
このような市場環境下において、当社グループとしては、当社子会社であるJ-netレンタリース株式会社及びJネットレンタカー北海道株式会社から、レンタアップ(注3)した車輌を継続的に仕入れるとともに、新車ディーラー及びその他の中古車ディーラーとの取引関係強化により、中古車の安定供給及び販売車輌のラインアップの拡充を図ってまいります。
(注3) 「レンタアップ」とは、レンタカーとして一定期間使用した後、中古車として販売することをいいます。
(b)レンタカー事業
(ア)個人顧客の獲得
レンタカー事業では、これまで新車ディーラーにおける修理又は整備中の代車需要を確実に獲得することで、安定的な収益を確保してまいりました。しかしながら、ディーラーの代車需要は、今後も一定の成長が期待できるものの、新車ディーラーやディーラーの店舗の統廃合等の外部要因によって当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。他方、昨今のインバウンド需要により個人向けのレンタカー需要が高まっており、今後は、ディーラーの代車需要に依存しない店舗展開、具体的には主要な空港やターミナル駅等の好立地に店舗展開を行うことで個人顧客を獲得していくことが課題となっております。
このような市場環境下において、当社グループでは、主要な空港、ターミナル駅等の好立地への出店又は移転を加速し、また、ホームページの刷新やWEB予約システムの強化、TVCMやWEB広告、航空チケット裏広告や駅・電車内広告などによる個人顧客の獲得のための認知度向上の施策に着手しており、今後これらの施策をさらに拡大していくことを検討しております。また、通常のレンタル車輌のみならず新たにレンタルバイクの開始といった施策により、多様なニーズを捉えて個人顧客の獲得を図るとともに、レンタル車輌の増加に伴い、稼動率の向上を目指してまいります。さらに、新型コロナウイルス感染症に起因した安全・安心需要の高まりを受け、レンタル車輌・店舗においても一層の清掃管理に努めてまいります。
(イ)店舗網の拡大
上記(ア)に記載のとおり、個人向けのレンタカー需要は高まっており、競合他社との競争に打ち勝つためには、早期に空港やターミナル駅等の好立地への店舗展開を実現するとともに国内における認知度の向上とブランドの確立を図る必要があります。
特に当社グループにおいては、国内の多くの地域で展開するブランドではあるものの未だ出店のない都道府県、地域があるため、FC(注4)の新規開拓及び直営店の新規出店に注力することにより、直営店とFCによる全国展開を行い、ブランドの認知度の向上とネットワーク網を構築することが必要と考えております。
(注4) 「FC」とは、フランチャイズチェーンの略称で、加盟店(フランチャイジー)が本部(フランチャイザー)の経営ノウハウやブランド等を利用し、本部(フランチャイザー)にロイヤルティ(対価)を支払うシステムを指します。
今後、当社グループが、個人顧客の需要を確実に獲得するため、主要な空港やターミナル駅等へ積極的な店舗展開やレンタル車輌台数の増加を実現するためには多額の投資が先行することになり、短期的には当社グループの利益を圧迫する可能性があり、迅速かつ適切な出店計画の策定と機動的な投資資金の確保が課題となっております。
(ウ)事故防止対策
上記(ア)に記載のとおり、レンタカー事業においてはレンタル車輌の稼働率の向上が課題であるところ、レンタカー事故により、稼働率が低下し、任意保険料や車輌修理代の支払が増加することによって、当社グループの利益を圧迫する要因となっております。
当社グループとしては、ブレーキアシストや自動ブレーキ、車線逸脱警報機能等が搭載されたレンタル車輌の取扱い台数を増やし、ドライブレコーダーの装着率を高めるとともに、お客様へ交通安全の啓発を行う等の対策をすることで事故の発生率を下げ、安定的なレンタル車輌の稼働率の確保を図ってまいります。
(c)海外自動車ディーラー事業
(ア)顧客ニーズに適した販売戦略
海外自動車ディーラー事業においては、南アフリカ共和国で事業を展開しているところ、過去には多くの車輌ブランドをラインナップしていたものの、南アフリカ共和国における顧客ニーズを的確に捉えることができなかったことにより非効率な経営となっていた部分があり、現在は顧客ニーズに沿ったブランド、販売車輌を選択することで収益力を高めることに注力しております。
一方、国内とは言語、文化、経済情勢等が大きく異なるアフリカ地域において、今後、需要の見込まれる地域を選別すること、効率的な店舗展開を進めること、当該地域における販売員やマネジメント人材を確保することが経営課題となっております。
(イ)安定収益の確保
現状ではディーラーとして新車販売に注力しておりますが、今後は、中古車の下取り、中古車販売、整備・修理等のサービスを拡張することによって収益性を高めることができると考えており、当該サービスを拡張し安定的な収益の確保を図るための体制整備が課題となっております。
公開買付者グループを取り巻く外部環境につきましては、世界情勢の変化による原材料費、エネルギー価格の変動、新車に搭載する機能の追加等により、新車小売価格が上昇しており、新車購入に対するハードルが高くなっていることから、新車と比較して安価で購入が可能である中古車の重要性が一層高まっていると認識しているとのことです。また、新車のうち一部の人気車種については、高い需要がありながら、納車が数ヶ月から年単位で遅れることがある等、供給が需要に追い付いていない状況も見受けられる一方で、モデルの異なる同じ車種で、新車と遜色ないコンディションを有しており、すぐに入手可能な中古車が、中古車オークションで新車小売価格以上の価格で取引されることがあることなどからも、中古車における需要の高まりを認識しているとのことです。また、国内から海外への中古車輸出におきましては、円安の進行を背景に日本の中古車の割安感が高まっており、日本中古車輸出業協同組合が公表した2024年の中古車輸出台数(車輌価格20万円以上)は156万6,621台(前年比2.0%増)となり、2年連続で過去最高を更新するなど年々拡大傾向にあると認識しているとのことです。こうした海外への中古車輸出の拡大のほか、人口動態や若年層の車離れなどの消費者の意識変化、半導体不足による部品供給の停滞や自動車メーカーの検査不正に伴う新車の出荷停止等により新車の供給、販売が停滞することなどから、国内における中古車の流通台数が減少し在庫不足が続いており、結果として、中古車の仕入・流通価格の上昇につながっているものと認識しているとのことです。
2024年3月期における公開買付者グループの中核事業である自動車販売関連事業の中古車部門において、コロナ禍やウクライナ情勢、半導体不足等の要因で停滞していた新車の国内生産が回復基調に転じつつあることから、公開買付者グループ全体では、付加価値の高い中古車の販売に注力し、国内の中古車販売台数は26,327台(前期比10.3%増)と増加したとのことです。一方で、海外では、公開買付者グループの販売子会社が存在するイギリスやスペインにおける中古車市況の低迷や、欧州諸国を中心にEV(注5)購入時の補助金や税金の優遇措置により新車EVの普及が促進され、各自動車メーカーによるEVの生産も加速し、価格競争が起きたことで、EVの新車販売価格が下落したことに伴い、EVの中古車価格の相場も下落したため、公開買付者は、公開買付者グループ全体が所有する中古車の海外における販売方針について、仕入価格や販売時の利幅を鑑み、販売台数を抑える方向に見直したこともあり、海外における中古車販売台数は18,179台(前期比4.4%減)と減少し、公開買付者グループ全体での中古車販売台数は増加したものの、海外における中古車相場の下落の影響が大きかったことから増収減益となっているとのことです。上記のとおり、今後も中古車市況は根強さが見込まれる中、公開買付者としては、中古車ビジネスの競争力向上が、公開買付者グループの事業基盤の強化には必要であると考えており、中古車輸出事業の根幹を担う当社は、公開買付者グループの更なる事業拡大、企業価値向上に寄与する可能性があるものと考えていたとのことです。
(注5) 「EV」とは、Electric Vehicleの略称で、電気を動力源とする車輌(電気自動車)のことをいうとのことです。
このような中、公開買付者は、2024年7月下旬、当社が公表した2024年6月28日付「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」に記載のとおり、2024年3月末日時点における当社の流通株式比率が24.4%となり、当社が東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準を再度充たさないこととなったため、公開買付者が所有する当社株式の更なる売却等の施策を検討している旨を当社より報告を受けたことから、当社株式の上場を維持すべきかどうかについて議論を開始したとのことです。
その中で、公開買付者は、公開買付者が当社の支配株主に該当するため、2019年6月に経済産業省が策定した「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」において「上場子会社において利益相反が生じうる具体的な場面」として例示されたとおり、公開買付者と当社の間の直接取引や事業連携は、公開買付者と当社の少数株主の利益相反が顕在化し得る局面であって、当社が公開買付者グループの一員でありながら、公開買付者グループ全体の最適に資する事業運営よりも当社の少数株主の利益に資する事業運営を行うよう留意すべき立場であること、また、当社の独立性及び自主性を維持する必要があることから、公開買付者グループの経営資源(各種人材・財務基盤・ノウハウ等)の相互活用等に制約がかかり、公開買付者と当社がそれぞれの経営資源やノウハウを最大限活用して事業運営を十分に行うことができずにいたとのことも踏まえ、当社株式の上場を維持したままでは、当社を含む公開買付者グループの更なる企業価値向上を実現させるための機動的かつ効率的な施策の実行には制約があると考えるに至り、当社を公開買付者の完全子会社とすることで当該懸念が解消されると考えたとのことです。また、公開買付者は、当社の総株主の議決権の数の3分の2以上を有しており、公開買付けを経ずに株式併合を実施し、当社を公開買付者の完全子会社とすることも可能であるところ、上記のとおり、公開買付けを前置することがより少数株主の利益に配慮したストラクチャーであり、少数株主に対し公正かつ平等に当社株式売却の機会を提供することが可能であると考えたことから、2024年8月下旬より、公開買付けを通じた当社の完全子会社化に関して検討を開始したとのことです。
そして、2024年9月上旬、公開買付者としては、需給動向による価格変動が激しい中古車市場に的確かつ迅速に対応する体制を構築し、公開買付者グループに属する当社の経営資源を有効的に活用するとともに、当社への経営資源やノウハウ等の提供を行い、シナジーを追求することにより、公開買付者グループ全体の更なる企業価値向上を図り、他社に打ち勝つ競争力を高めていくことが必要であると考えるに至ったとのことです。
上記の外部環境等に関する認識や議論を経て、公開買付者は、2024年10月下旬、公開買付者が、本取引を通じて当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることにより、上場子会社である当社の少数株主との構造的な利益相反を解消し、当社グループと公開買付者グループ全体の経営資源を迅速かつ柔軟に相互活用できる体制を整えるとともに、意思決定を迅速化させ、当社グループと公開買付者グループのより緊密な連携を促進することで、主に以下のような取り組みやシナジー効果の発現を期待できるとの考えに至ったとのことです。
(a)情報の共通化による在庫管理の効率化
公開買付者は、従来、当社が本来得るべき利益を公開買付者が得ることにより、当社の少数株主が害されるおそれがあるという構造的な利益相反関係が存在することから、上場企業としての独立性を鑑み、当社グループにおける中古車、レンタカーの仕入及び在庫管理について、公開買付者が具体的に指示する機会は少なく、当社の意向や方針を尊重しておりましたが、当該利益相反関係が解消されることで、両社が所有する国内外の中古車流通市場の動向に関する情報等を相互に共有、補完しあう、又は公開買付者と当社グループとの間で在庫の中古車の一部を融通しあうことで、公開買付者グループとしての仕入・在庫管理の効率化を図ることが可能になると考えているとのことです。
(b)システム関連投資の推進
公開買付者は、当社に少数株主が存在し、当社への投資効果を公開買付者が100%享受することができない状況に鑑み、公開買付者の有するITインフラを当社と完全に共通化することができず、当社との効率的な業務運営を行うことができていないと考えていたところ、当社を公開買付者の完全子会社とすることにより、公開買付者が構築してきたITインフラを当社にも積極的に導入し、当社グループを含む公開買付者グループにおけるITインフラの共通化を図ることで、当社グループの生産性向上や効率的な業務運営を行うことが可能になると考えているとのことです。
(c)人材の採用及び育成
当社は、本書提出日現在、公開買付者の連結子会社であるものの、独立した上場企業であることを前提に、公開買付者及び当社の人材採用を個別に行っておりましたが、上記の利益相反関係が解消されることにより、人材採用面での連携も強化し、労働人口減少が見込まれる中において、安定的に人材を獲得することが可能になると考えているとのことです。また、公開買付者グループと当社グループとの間で、人材の相互交流も積極的に行い、コミュニケーションを深めることで、公開買付者グループとしての連携を強化していくとのことです。
(d)公開買付者グループ間の資金調達の安定化
上記のとおり、公開買付者は、構造的な利益相反関係の懸念が存在することによって公開買付者から当社グループへの資金提供については、都度慎重な検討を要していたところ、当社が公開買付者の完全子会社となることにより、柔軟かつ迅速な意思決定に基づく資金提供をもって、当社グループの更なる資金調達の安定化を図ることが可能になるとともに、当社グループの事業運営の更なる成長を実現することが可能になると考えているとのことです。
(e)M&Aや新規事業進出における支援
公開買付者は、これまで積極的なM&Aの実行により既存事業の拡大及び新規事業の進出を図っており、M&A戦略の立案からM&Aの検討・実行、シナジーの実現を含むPMI(注6)まで、豊富な経験と知見を有していると考えているとのことです。また、公開買付者は、上記の資金面での支援のほか、公開買付者によるこれらの経験、知見を活用し、当社グループにおけるM&A、新規事業の進出において、戦略の構想段階からサポートすることで、より有益かつ効果的なM&Aを実現し、当社グループ及び公開買付者グループの企業価値向上を図ることが可能になると考えているとのことです。
(注6) 「PMI」とは、Post Merger Integrationの略称で、M&A成立後に譲受企業と譲渡企業との間で行われる経営の統合プロセスのことをいうとのことです。
(f)親子上場関係解消による利益相反関係の解消及び公開買付者グループの利益最大化
当社は、本書提出日現在、公開買付者の連結子会社であるものの、独立した上場企業であることにより、公開買付者と当社の少数株主の皆様との間で構造的な利益相反関係の懸念が存在しているとのことです。公開買付者は、本取引により当該利益相反関係が解消されることで、公開買付者と当社との間で、人材の相互交流や自動車輸出・販売事業に関する各国の規制や市場動向に合わせた有用なデータ、ノウハウの相互共有等でより一層の連携が図れるようになり、公開買付者グループとしての利益最大化を追求していくことが可能になると考えているとのことです。また、公開買付者は、当社において、コーポレートガバナンス・コード対応や上場を維持するために生じていた業務上の負荷や金銭的負担を、本取引により公開買付者の完全子会社となることで、軽減又は解消することが可能になると考えているとのことです。
以上の経緯から、公開買付者は、当社を完全子会社化することで、上記のメリットやシナジーを享受し、当社グループを含む公開買付者グループの企業価値向上を加速させることが可能であると考えたことから、公開買付けによる当社の完全子会社化を基本方針として検討を進めていくこととしたとのことです。なお、本取引が成立した場合、当社株式の上場が廃止されることとなりますが、上場廃止に伴うデメリットとして、一般的に、①資本市場から資金調達を行うことができなくなることや、②取引先を含む外部からの社会的信用や知名度の獲得・維持といった上場企業としてのメリットを享受できなくなること等が挙げられるとのことです。もっとも、本取引が成立した場合には、当社は、東京証券取引所プライム市場に上場している公開買付者の完全子会社となり、公開買付者によって信用が補完されることにより、当社グループによる金融機関からの借入れや社債等を利用した安定的な資金調達が可能であると考えられ、資金調達に対する影響は限定的であると考えているとのことです。また、当社グループと取引先との信頼関係や当社における社会的信用は、これまでの事業運営により十分に積み上げてきたと考えており、上場廃止により既存の取引関係や社会的信用が剥落することはないと考えているとのことです。さらに、公開買付者の完全子会社となり、上記のシナジーを実現することで、当社の更なる社会的信用及び知名度の向上が見込まれることから、上場廃止に伴い、上記のシナジーの実現による当社の企業価値向上というメリットを上回るほどのデメリットが生じることはないと考えているとのことです。
以上の背景や目的から、2024年10月下旬、公開買付者は、当社を完全子会社とし、経営資源を迅速かつ柔軟に相互活用できる体制を整えることで、上記のシナジーの早期実現が見込まれるとの判断に至ったことから、本取引について本格的な検討を開始したとのことです。その後、公開買付者は、2024年11月下旬、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として東海東京証券株式会社(以下「東海東京証券」といいます。)を選任し、2024年12月16日に当社に対して本取引に関する協議を開始したい旨の意向を伝え、同日、公開買付者から当社に対して、本取引の実施意向、当社に対するデュー・ディリジェンスの対応依頼並びに本取引のスキーム及び本公開買付けを2025年2月中旬に開始する等の本取引に関する想定スケジュールを記載した意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、2024年12月26日、当社より本取引を前向きに検討する旨の回答が得られたことから、公開買付者は、当社と本取引の意義及び目的について協議を開始するとともに、2025年1月上旬、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所を、公開買付者及び当社から独立した財務・税務に関するデュー・ディリジェンスを担うアドバイザーとして税理士法人山田&パートナーズをそれぞれ選任したとのことです。なお、税理士法人山田&パートナーズの報酬は、デュー・ディリジェンス業務に対する固定報酬及び会計・税務に関する相談対応業務に対する時間単位の報酬のみであり、本取引の成立を条件に支払われる成功報酬は含まれていないとのことです。
その後、公開買付者は、2025年1月10日、当社に対して、本公開買付けの準備期間を十分に確保するため、本意向表明書に記載の本公開買付けの想定開始時期を2025年2月中旬から2025年3月14日に変更する旨を連絡したとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年1月31日、本特別委員会(下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」で定義されます。以下同じです。)より、公開買付者及び当社から本取引の是非を判断するための情報を収集し、AGS FAS及び北浜法律事務所(下記「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」でそれぞれ定義されます。)から意見を取得した上で、本取引が当社の企業価値向上及び当社の少数株主の利益確保に資するものであるかという観点から十分な検討を行う必要があると認識している一方で、2025年3月14日に公表するスケジュールでは本特別委員会における本取引に係る検討期間を十分に確保することができないと判断したため、本公開買付けの開始を2025年5月中旬まで延期することを求める要請を受けたとのことです。その後、公開買付者は、2025年2月19日に、本特別委員会を通じて本意向表明書における提案内容を踏まえた質問事項書を受領いたしました。公開買付者は、2025年2月25日、当社に対し、本特別委員会による当該要請を応諾し、本公開買付けの想定開始時期を2025年5月中旬とする旨を連絡したとのことです。また、公開買付者は、2025年3月3日に、当社に対して、当該質問事項に対する書面回答を送付し、2025年3月4日に、本特別委員会を通じて公開買付者に対するインタビューを受け、本取引を提案するに至った検討過程、本取引の目的及びストラクチャー、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について説明し、質疑応答を行ったとのことです。
また、公開買付者は、2025年1月下旬から同年4月下旬まで、当社に対して財務・税務及び法務に関するデュー・ディリジェンスを実施したとのことです。
公開買付者は、2025年1月下旬から同年4月下旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果や当社株式の過去の株価推移及び東海東京証券による当社株式の価値算定結果等を総合的に勘案し、2025年4月15日、当社に対して本公開買付けにおける買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を1株当たり382円(当該提案がなされた日の前営業日である同年4月14日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値278円に対して37.41%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値283円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値において同じです。)に対して34.98%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値290円に対して31.72%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値286円に対して33.57%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする初回提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年4月16日、当社から、当該提案価格は、当社の企業価値及び少数株主の利益保護に鑑み受け入れられない水準であることから、より高い公開買付価格の再提示の要望を受けたとのことです。
その後、公開買付者は、2025年4月22日、当社に対して、本公開買付価格を1株当たり397円(当該提案がなされた日の前営業日である同年4月21日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値285円に対して39.30%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値282円に対して40.78%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値289円に対して37.37%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値287円に対して38.33%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年4月22日、当社から、当該提案価格は、当社の企業価値及び少数株主の利益保護に鑑み引き続き受け入れられない水準であることから、より高い公開買付価格の再提示の要望を受けたとのことです。
その後、公開買付者は、2025年4月24日、当社に対して、本公開買付価格を1株当たり402円(当該提案がなされた日の前営業日である同年4月23日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値285円に対して41.05%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値282円に対して42.55%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値289円に対して39.10%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値287円に対して40.07%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年4月30日、当社から、当該提案価格は、当社の企業価値及び少数株主の利益保護に鑑み不十分であることから、本公開買付価格を1株当たり415円とする旨の対案の提示を受けたとのことです。
その後、公開買付者は、2025年5月2日、当社に対して、本公開買付価格を1株当たり404円(当該提案がなされた日の前営業日である同年5月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値295円に対して36.95%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値281円に対して43.77%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値288円に対して40.28%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値288円に対して40.28%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を行ったとのことです。これに対し、公開買付者は、2025年5月8日、当社から、少数株主の利益に最大限配慮すべく、当社の最終提案として本公開買付価格を1株当たり415円とする旨の再度の要請を受けたとのことです。
その後、公開買付者は、2025年5月9日、当社に対して、本公開買付価格を1株当たり410円(当該提案がなされた日の前営業日である同年5月8日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値294円に対して39.46%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値285円に対して43.86%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値288円に対して42.36%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値289円に対して41.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする最終の提案を行ったとのことです。これに対して、公開買付者は、2025年5月13日、当社から、本公開買付価格を1株当たり410円とすることで応諾する旨の回答を受け、本公開買付価格について当社との間で合意に至ったとのことです。
これらの協議・交渉を経て、公開買付者は、2025年5月14日付の取締役会決議により、本公開買付価格を410円とし、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
③ 本公開買付け後の経営方針
本公開買付け後の経営方針について、公開買付者は、当社の企業価値向上のための経営戦略の具体的な施策として、主に上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の各シナジーを実現する施策を講じることを考えておりますが、具体的な内容及び方法については、公開買付者と当社の間で協議の上決定する予定とのことです。
本書提出日現在、公開買付者の専務取締役である伊藤誠英氏及び公開買付者の取締役である伊藤和繁氏が当社の取締役を兼務、公開買付者より当社に出向している野木森直樹氏が当社の取締役を務めておりますが、本公開買付け成立後の当社の経営体制について決定している事項はなく、本公開買付けの決済の完了後に当社と誠実に協議の上決定する予定とのことです。
④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由
(ⅰ)検討体制の構築の経緯
当社は、上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2024年12月16日、公開買付者から本取引の検討・協議を開始したい旨の打診を受け、同日付で本意向表明書を受領しました。その後、2024年12月26日、当社より、公開買付者に対して、当該申し入れを前向きに検討する旨の連絡を行った上で、2025年1月28日、本公開買付価格の公正性その他の本取引の公正性を担保すべく、本取引に関して、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社AGS FAS(以下「AGS FAS」といいます。)を、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして弁護士法人北浜法律事務所(以下「北浜法律事務所」といいます。)をそれぞれ選任するとともに、公開買付者が当社の支配株主(親会社)であり、本取引が構造的な利益相反の問題を内包することに鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、同日開催の当社取締役会より、公開買付者及び当社から独立した藤澤昌隆氏(当社独立社外取締役)、羽田恒太氏(当社独立社外監査役)及び小出修平氏(当社独立社外監査役)の3名によって構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)(本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本取引に係る提案を検討するための体制を構築いたしました。
(ⅱ)検討・交渉の経緯
上記「(ⅰ)検討体制の構築の経緯」に記載の検討体制の下、当社は、公開買付者から受領した本意向表明書に記載された本取引の実施意向、並びに、シナジー、公開買付け及びその後のスクイーズアウト手続を通じて当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得するというスキーム並びにスケジュールを含む本公開買付けの概要のほか、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、公開買付者から受けた本公開買付価格の提案内容について慎重に検討して参りました。なお、当社は、以下の協議・検討過程において、随時、本特別委員会に報告を行い、本特別委員会から事前に確認された対応方針や交渉上の重要な局面における意見、指示、要請等に基づいた上で、AGS FAS及び北浜法律事務所の助言を受けながら、以下のとおり、公開買付者との間で、2025年5月中旬まで複数回に亘る協議・交渉を行いました。
具体的には、当社は、2024年12月16日に本意向表明書を受領し、また、2025年1月10日に、公開買付者から、本公開買付けの開始時期について、本公開買付けの準備期間を十分に確保するため、本意向表明書記載の2025年2月中旬から同年3月14日に変更したい旨の連絡を受けました。その後、2025年1月28日に本取引に係る提案を検討するための体制を構築した上で、2025年1月30日開催の特別委員会において、本公開買付けの開始時期について検討を行ったところ、本特別委員会は、公開買付者及び当社から本取引の是非を判断するための情報を収集し、AGS FAS及び北浜法律事務所から意見を取得した上で、本取引が当社の企業価値向上及び当社の少数株主の利益確保に資するものであるかという観点から十分な検討を行う必要があると認識している一方で、同年3月14日に公表するスケジュールでは本特別委員会における本取引に係る検討期間を十分に確保することができないと判断したため、同日、公開買付者に対して、本公開買付けの開始予定時期を2025年5月中旬まで延期することを要請いたしました。その後、引き続き本取引の是非を検討するため、2025年2月18日に、本特別委員会を通じて本意向表明書における提案内容を踏まえた質問事項書を公開買付者に送付し、2025年2月25日に、公開買付者より当該要請を応諾し、本公開買付けの想定開始時期を2025年5月中旬とする旨の連絡を受け、2025年3月3日に、公開買付者より当該質問事項に対する書面回答を受領し、2025年3月4日に、本特別委員会を通じて公開買付者に対するインタビューを実施し、本取引を提案するに至った検討過程、本取引の目的及びストラクチャー、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。その上で、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か等について並行的に検討を進めることとしつつ、本公開買付価格について公開買付者との協議・交渉を2025年4月16日に開始しました。本公開買付価格については、当社は、公開買付者より、2025年1月下旬から同年4月下旬まで実施したデュー・ディリジェンスの結果や当社株式の過去の株価推移及び東海東京証券による当社株式の価値算定結果等を総合的に勘案し、2025年4月15日に、本公開買付価格を1株当たり382円(当該提案がなされた日の前営業日である同年4月14日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値278円に対して37.41%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値283円に対して34.98%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値290円に対して31.72%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値286円に対して33.57%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を受けたものの、2025年4月16日、当社は、当社株式の市場株価の推移、当社の1株当たり純資産額及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準を踏まえると、当該提案価格は、当社の企業価値及び少数株主の利益保護に鑑み受け入れられない水準であることから、より高い公開買付価格の再提示を要請いたしました。その後、公開買付者より、2025年4月22日、当社に対して、過去10年間における当社株式の終値の最高値と同額となることから、本公開買付価格を1株当たり397円(当該提案がなされた日の前営業日である同年4月21日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値285円に対して39.30%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値282円に対して40.78%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値289円に対して37.37%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値287円に対して38.33%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を受けたものの、同日、当社は、当社の1株当たり純資産額及び過去に公表された類似事例のプレミアム水準を踏まえると、当該提案価格は、当社の企業価値及び少数株主の利益保護に鑑み引き続き受け入れられない水準であることから、より高い公開買付価格の再提示を要請いたしました。その後、公開買付者より、2025年4月24日、当社に対して、本公開買付価格を1株当たり402円(当該提案がなされた日の前営業日である同年4月23日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値285円に対して41.05%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値282円に対して42.55%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値289円に対して39.10%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値287円に対して40.07%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を受けたものの、2025年4月30日、当社は、過去に公表された類似事例のプレミアム水準(当社は、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2025年3月31日までに実施され、かつ、公開買付者による対象者の議決権所有割合が実質的に3分の2超である事例のうち、案件公表日の直近四半期末時点において対象者のPBRが1倍未満の類似事例9件におけるプレミアム割合を参照しており、これらの事例における公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの平均値は、順に44.51%、43.92%、42.20%、39.41%です。)を踏まえると、当該提案価格は、当社の企業価値及び少数株主の利益保護に鑑み不十分であることから、本公開買付価格を1株当たり415円とする対案を要請いたしました。その後、公開買付者より、2025年5月2日、当社に対して、本公開買付価格を1株当たり404円(当該提案がなされた日の前営業日である同年5月1日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値295円に対して36.95%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値281円に対して43.77%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値288円に対して40.28%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値288円に対して40.28%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を受けたものの、2025年5月8日、当社は、当社の少数株主の利益を最大限に確保する可能性を考慮し、本公開買付価格を1株当たり415円とする対案を再度要請いたしました。その後、公開買付者より、2025年5月9日、当社に対して、本公開買付価格を1株当たり410円(当該提案がなされた日の前営業日である同年5月8日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値294円に対して39.46%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値285円に対して43.86%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値288円に対して42.36%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値289円に対して41.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする提案を受け、2025年5月13日、当社は、本公開買付価格を1株当たり410円とすることで応諾する旨の回答をいたしました。
(ⅲ)判断の内容
以上の経緯の下、当社は、リーガル・アドバイザーである北浜法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2025年5月14日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーである北浜法律事務所から受けた法的助言及び第三者算定機関であるAGS FASから2025年5月13日付で取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(AGS FAS)」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は公正なものであり少数株主の利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
その結果、当社は2025年5月14日開催の当社取締役会において、以下の点を踏まえると、本取引を通じて当社株式を非公開化し、公開買付者の完全子会社となることが、当社グループの企業価値の向上に資するものであると考えるに至りました。
当社グループは、長期化する地政学的リスクやそれらに起因した物価上昇及び為替の乱高下等により先行き不透明な世界経済において、輸送コストの高騰、競合他社との競争の激化及びメーカーの新車生産体制の変更による商材の減少等、厳しい経営環境に置かれています。また、国内の中古車市場においては、消費者の意識変化、半導体不足による部品供給の停滞や自動車メーカーの検査不正に伴う新車の出荷停止等により新車の供給、販売が停滞した経緯から、国内における中古車の流通台数が減少傾向にあるものの、依然として日本の中古車に対する需要は高い水準を維持し、中古車の流通価格も上昇傾向にあり、安定して中古車を確保することが容易ではない状況にあります。このような不安定な経営環境において、当社は、本取引を通じて、支配株主である公開買付者と当社の少数株主との構造的な利益相反を解消し、当社グループを含む公開買付者グループの経営資源の有効活用を可能とすることが、中長期的な当社グループの企業価値向上に資すると判断するに至りました。
当社が本取引によって実現可能と考える具体的なシナジー及びメリットは、以下のとおりです。
(a)新規出店及びECサイトのアップデートによる事業拡大
当社が非公開化し公開買付者の完全子会社となることにより、レンタカー事業における積極的な店舗展開など、短期的な利益の減少に囚われることなく中長期的な収益力の向上を目指した積極的な投資施策が可能となり、また、公開買付者の人的リソースや資金力の活用も期待できるため、インバウンド需要を含む個人顧客の獲得という当社グループの課題解決にも資すると考えております。さらに、公開買付者グループの新車ディーラーと連携を強化することで新車ディーラーからの代車需要の拡充も期待でき、さらに安定した収益基盤を確保することにも繋がると考えております。
また、中古車輸出事業においても、公開買付者の人的リソースや資金力を活用することで、当社の中古車輸出事業における主要な販売経路であるECサイトの大幅なアップデートや販売管理システムの刷新などIT投資を加速させることが可能となり、当該ECサイトのアップデート等により訪れた顧客のユーザーエクスペリエンス(注1)を向上させることで、ロイヤルカスタマーの獲得にも繋がり、また、適切な販売管理システムの構築により経営効率の向上にも資すると考えております。加えて、レンタカー事業の拡大に伴い、レンタル車輌の増加も見込めることから、レンタアップした車輌の安定的な仕入れが実現できると考えられ、レンタカー事業と中古車輸出事業の相乗効果も期待できると考えております。
(注1) 「ユーザーエクスペリエンス」とは、サービスを通して利用者が獲得する体験や満足度のことをいい、Webサイトでは、操作性や視認性、提供する情報の有用性等の向上が重要となります。
(b)仕入在庫の連携強化及び市場動向等の情報の共有化による事業拡大の推進
従来は構造的な利益相反関係を理由に当社グループと公開買付者グループとの間で中古車の在庫を融通することは行っておりませんでしたが、当社が公開買付者の完全子会社となることにより、当社グループと公開買付者グループとの間で中古車の在庫を融通することが期待でき、当社グループの在庫管理の効率化を図ることが可能となり、かつ、充実した販売車輌のラインアップを安定的に揃えることも可能となることで、更なる事業拡大が期待できると考えております。また、公開買付者グループ全体で有する市場動向等の情報を柔軟に共有でき、公開買付者グループの海外自動車販売ディーラー等が保有する世界各地の新車及び中古車の需給状況や、EV車の急速なシェア拡大等の市場トレンドをより正確に把握することが可能になると考えております。公開買付者グループは、イギリス、スペイン及びオーストラリアにおいて自動車販売ディーラー事業を行う子会社を展開しており、海外の市場動向等の情報を豊富に保有しているところ、かかる情報は特に当社グループの中古車輸出事業において、需要を正確に把握した事業戦略の立案に資すると考えております。具体的には各地域において新車供給が追い付いていない人気車種の中古車を積極的にラインナップし、また、EV車のシェアが拡大する地域においてはEV車のラインナップを充実させる等の施策を講じる際の有力な情報となることにより、最適な販売戦略や在庫管理を実現することが可能になると考えております。
(c)IT投資の実行による業務効率化及び財務モニタリング体制の整備
当社グループでは、IT投資を継続的に検討し、適宜実行しているものの、多額のIT投資が必要となる抜本的なシステム開発等を実行するまでには至っておりませんでした。また、公開買付者と当社との構造的な利益相反関係により、公開買付者グループの経営資源やITノウハウの活用にも制約があったことから、公開買付者の資金力やITの知見を活用したIT投資も実行できていない状況にあります。そのため、当社が公開買付者の完全子会社となり、構造的な利益相反を解消することで、当社グループの更なるIT投資の実行が可能になり、中長期的に当社グループの企業価値向上に資すると考えております。
具体的には、当社グループのビジネスモデルにより適した販売管理システムに刷新し、在庫管理から販売に係る業務を一元管理することで、業務効率化が実現できると考えております。また、現在、当社グループにおいては、事業毎に異なる会計システムを活用しているところ、公開買付者グループの会計システムに統一することで、財務状況を適宜モニタリングできる環境を整え、迅速な投資判断を行うことが可能になると考えております。
(d)人的リソースの共有による当社グループを含む公開買付者グループの人材配置の最適化
上場企業である当社の独立性を確保する観点から、これまでは当社グループと公開買付者グループとの間で人的リソースの共有及びグループ全体における適材適所の人員配置が実現できなかったものの、当社が公開買付者の完全子会社となり、独立性確保の観点から生じる制約を解消することで、当社グループと公開買付者グループとの間で人的リソースの共有が可能となると考えております。具体的には、公開買付者グループが本業とする自動車ディーラー事業に精通した人材やノウハウを活用することで、当社の海外ディーラー事業におけるサービス拡充やディーラー運営の効率化を図ることができ、当該事業の拡大が期待できると考えております。また、バックオフィス部門においては、公開買付者グループに在籍する管理系人材により当社グループのガバナンスを含む管理業務を兼務することで、当社グループにおける管理業務の強化と人材の育成が期待でき、当社グループを含む公開買付者グループ全体でより最適な人材配置が可能になると考えております。
(e)公開買付者の豊富な経験及び知見を活用したM&Aの実行による事業拡大の実現
当社は、上場企業である当社の独立性を確保する観点から、これまで公開買付者グループのM&Aに関する経験や知見の積極的な活用はできなかったものの、公開買付者では、M&A戦略の立案からM&Aの検討・実行、シナジーの実現を含むPMIまでの豊富な経験と知見を有していると認識しており、当社が公開買付者の完全子会社となることにより、公開買付者グループのM&Aに関する知見やノウハウ、M&Aに精通した人材を活用することができ、当社グループにおいても、積極的なM&Aの実施によって企業価値の向上を図ることが期待できると考えております。特に当社グループの中古車輸出事業においては、国内の競合他社を買収・統合することにより買収先が有する海外顧客や販売ルートを獲得することが期待でき、また、レンタカー事業においても、未出店地域等において既存の競合他社を買収・統合することにより店舗網の拡大を加速することが可能になり、当社グループの事業規模の拡大及び競争力の向上が期待できると考えております。
(f)上場維持コストの負担軽減
当社が公開買付者の完全子会社となり、当社株式が上場廃止となることで、監査費用のほか、株主総会の運営に関する費用や株主名簿管理人への事務委託に関する費用等の固定的なコストを削減することが可能となります。また、当社が公開買付者グループの上場子会社として上場を維持するための体制や業務負担は、新市場区分における上場維持基準への適合対応及びコーポレートガバナンス・コードの改訂等に対応するために、年々増大しておりますが、当社が公開買付者の完全子会社となり、当社株式が上場廃止となることで、これらのコスト及び業務負担を軽減できると考えております。
さらに、上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社株式が上場する東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準として、流通株式比率25.0%以上とする基準が設けられておりますが、当社の親会社である公開買付者が当社株式の72.20%を所有していることにより、当該株式が流通株式に該当せず、東京証券取引所の市場区分見直しに係る移行基準日(2021年6月30日)以降、本計画書を公表し、業績向上及び株主還元の強化、並びに公開買付者が所有する当社株式の一部の売却等の各種取り組みを進めた結果、2022年11月15日時点において、上記基準を上回ったことにより、東京証券取引所スタンダード市場の上場維持基準の全ての項目に適合することとなりました。しかし、当社が公表した2024年6月28日付「上場維持基準の適合に向けた計画に基づく進捗状況について」に記載のとおり、2024年3月末日時点での流通株式比率は24.4%となり、再度上記基準を充たさないこととなった現状を踏まえると、将来的に、上場維持基準への抵触により当社株式は上場廃止となる可能性があると考えております。また、同市場における上場維持基準に係る経過措置として、流通株式比率5%以上という基準が設けられておりましたが、2025年3月1日以後に到来する基準日(2025年3月31日)から本来の上場維持基準が適用され、原則として1年間の改善期間内に基準に適合しない場合は上場廃止となり、また、2023年3月31日時点において、2026年3月1日以後最初に到来する基準日を超える期限の上場維持基準の適合に向けた計画を開示していた会社は当該計画期間期限まで上場廃止は保留されるものの、当社は、上場維持基準の適合に向けた計画の期限を2025年3月末日としているため、2026年3月末日までに本来の上場維持基準を上回っていない場合は上場廃止となることから、当社における流通株式比率の状況を踏まえると、引き続き上場維持基準に抵触してしまう可能性も否定できないと考えております。このような中、本取引を行うことによって、当社の少数株主の皆様に当社株式の上場廃止に伴う不利益が生じることを回避しつつ、当社株式の売却機会を提供することが、当社の少数株主の皆様にとっての合理的な選択肢であると考えております。
なお、上場廃止に伴う一般的なデメリットとして、資本市場から資金調達を行うことができなくなることや、上場会社として享受してきた知名度や社会的信用の低下に伴う取引先その他ステークホルダーへの影響、従業員のモチベーション低下の可能性及び今後の人材採用に影響することが挙げられますが、上記のとおり本取引の実施後においては公開買付者からの支援の積極化が期待でき、また、当社としては、2004年に東京証券取引所マザーズ市場に上場して以来、上場会社としての社会的信用力を培い、一定の知名度を獲得してきたと認識しており、上場廃止後も現状と同じく公開買付者グループの一員であり続けること等に照らせば、上場廃止後も当社における知名度や社会的な信用面に特段の懸念はないと想定され、当社株式の上場廃止によるデメリットは限定的と考えております。また、上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2003年以降、当社は公開買付者の子会社であり、本書提出日現在においても公開買付者は当社株式の72.20%を所有しているところ、上場廃止後も当社は引き続き公開買付者グループに含まれ、かつ、本取引の実施に伴い、上記の(a)乃至(f)に記載されたシナジー及びメリットが見込まれることから、公開買付者の完全子会社となることによるデメリットはないものと認識しております。
また、当社は、2025年5月14日開催の当社取締役会において、以下の点等を踏まえると、本公開買付価格(410円)及び本公開買付けに係るその他の諸条件は妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(a)本公開買付価格が、下記「(3)算定に関する事項」に記載のAGS FASによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果のレンジの上限値を上回っており、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果の範囲内であり、レンジの中央値を大きく上回る価格であること。
(b)本公開買付価格が、本公開買付けの公表日の前営業日である2025年5月13日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値295円に対して38.98%、同日までの直近1ヶ月間の終値単純平均値289円に対して41.87%、直近3ヶ月間の終値単純平均値287円に対して42.86%、直近6ヶ月間の終値単純平均値289円に対して41.87%のプレミアムがそれぞれ加えられた価格であり、過去に公表された類似事例のプレミアムの平均値(注2)と比較して、合理的な水準であること。
(注2) 当社は、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2025年3月31日までに実施され、かつ、公開買付者による対象者の議決権所有割合が実質的に3分の2超である事例のうち、案件公表日の直近四半期末時点において対象者のPBRが1倍未満の類似事例9件におけるプレミアム割合を参照しており、これらの事例における公表日前営業日の終値、並びに直近1ヶ月間、直近3ヶ月間及び直近6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアムの平均値は、順に44.51%、43.92%、42.20%、39.41%です。
(c)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られていること等、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること。
(d)本公開買付価格が、上記本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること。
(e)公開買付者及び当社から独立した本特別委員会が、取引条件に係る交渉過程に実質的に関与した上で、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本答申書において、本公開買付価格を含む本取引の取引条件の公正性及び妥当性は確保されていると考えられる旨の意見が示されていること。
以上より、当社は、2025年5月14日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。当該取締役会における決議の方法につきましては、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
(3)算定に関する事項
① 算定機関の名称並びに公開買付者及び当社との関係
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGS FASに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年5月13日付で本株式価値算定書(AGS FAS)を取得いたしました。
なお、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付けの公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施しており、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、AGS FASから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
AGS FASは、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るAGS FASの報酬は、本取引の過程に複数のマイルストーンを設定し、各マイルストーンに到達する都度支払われるマイルストーン報酬が含まれているところ、AGS FASとしては、本取引の成否が不明な中において、報酬体系を固定報酬のみとするよりもむしろ、報酬の一部をマイルストーン報酬とする方が当社の金銭的負担の観点から望ましく、双方にとっても合理性があると考えているとのことであり、当社としてはマイルストーン報酬が含まれていることをもって独立性が否定されているわけではないと判断しております。また、本特別委員会は、2025年1月30日開催の第1回の本特別委員会において、AGS FASの独立性に問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認しております。
② 算定の概要
AGS FASは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場していることから市場株価法を用い、また、将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法を用いて当社株式の株式価値の算定を行いました。
AGS FASによれば、当社株式の株式価値算定にあたり、採用した手法及び当該手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法:287円~295円
DCF法 :219円~426円
市場株価法では、本公開買付けに対する意見表明に係る当社取締役会決議日の前営業日である2025年5月13日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値295円、直近1ヶ月間の終値単純平均値289円、直近3ヶ月間の終値単純平均値287円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値289円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を287円から295円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した2026年3月期から2028年3月期までの3期分の事業計画(以下「本事業計画」といいます。)における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を219円から426円までと算定しております。
また、本事業計画には対前年度比較において大幅なフリー・キャッシュ・フローの増減を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2027年3月期については、主に当社グループの営業利益及び正味運転資本の増加に伴い、フリー・キャッシュ・フローは2027年3月期に272百万円(対前年比47.90%増加)となることを見込んでおります。
AGS FASがDCF法の算定の前提とした本事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、上場維持費用の削減を除き、現時点において具体的に見積もることは困難であるため、AGS FASがDCF法に用いた当社財務予測には加味されておりません。
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(単位:百万円) |
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2026年3月期 |
2027年3月期 |
2028年3月期 |
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売上高 |
54,605 |
61,240 |
68,625 |
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営業利益 |
3,912 |
4,519 |
5,009 |
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EBITDA |
12,164 |
14,005 |
15,798 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
△569 |
272 |
208 |
(注) AGS FASは、当社株式の株式価値の算定に際して、当社から提供を受けた資料及び情報、一般に公開された情報を原則としてそのまま使用し、分析及び検討の対象とした全ての資料及び情報が正確かつ完全であることを前提としており、これらの資料及び情報の正確性又は完全性に関し独自の検証を行っておらず、またその義務を負うものではありません。AGS FASは、当社株式の株式価値の算定に重大な影響を与える可能性がある事実でAGS FASに対して未開示の事実はないこと等を前提としております。当社及び当社の関係会社の全ての資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含み、これらに限られません。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、また第三者機関への評価、鑑定又は査定の依頼も行っておりません。AGS FASは、提供された本事業計画その他将来に関する情報が、当社の経営陣による現時点において可能な最善の予測と判断に基づき、合理的に確認、検討又は作成されていることを前提としており、独自に検証することなくこれらの情報に依拠しております。AGS FASの算定は、2025年5月13日現在における金融、経済、市場その他の状況を前提としております。なお、AGS FASが提出した当社株式の株式価値の算定結果は、本公開買付価格の公平性について意見を表明するものではありません。
(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、公開買付者が当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
① 株式売渡請求
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し当社に対し株式売渡請求を求める予定とのことです。当社がその取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、当社の株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主の全員からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。この場合、売渡株主がそれぞれ所有していた当社株式1株当たりの対価として、公開買付者は、当該各売渡株主に対し、本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。
なお、当社取締役会は、公開買付者より株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、かかる株式売渡請求を承認する予定です。
株式売渡請求に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、会社法第179条の8その他関係法令の定めに従って、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
② 株式併合
本公開買付けの成立後、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、公開買付者は、会社法第180条に基づき、当社株式の併合を行うこと(以下「本株式併合」といいます。)及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に対して要請する予定とのことです。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本臨時株主総会においてご承諾をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数が1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当然売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるように再度算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に対して要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者が当社の発行済株式数の全て(ただし、当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定される予定とのことです。当社は本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。本臨時株主総会を開催する場合、2025年9月下旬を目途に開催する予定ですが、その具体的な手続及び実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。
株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、株式併合により株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の2及び第182条の5その他関係法令の定めに従って、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。
なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することとなります。
上記の株式売渡請求及び株式併合の各手続については、関係法令の改正、施行、当局の解釈等の状況、本公開買付け後の公開買付者の株券等所有割合並びに公開買付者以外の当社株式を所有する当社の株主の株券等所有割合及び所有の状況によっては、実施の方法及び時期に変更が生じる可能性があるとのことです。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定される予定とのことです。
以上の具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
(5)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場されておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、公開買付者は、本公開買付けの成立後に、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、当社株式の全て(当社の所有する自己株式を除きます。)の取得を目的とした手続を実施することを予定しているとのことですので、その場合、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、当社株式が上場廃止となった後は、当社株式を東京証券取引所において取引することはできません。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
公開買付者及び当社は、当社が公開買付者の子会社であり、本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、公開買付者と当社の少数株主との間に構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存在する取引に該当することに鑑み、本公開買付価格の公正性の担保、本取引に関する意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反回避の観点から、本取引の公正性を担保するため、それぞれ以下の措置を実施いたしました。
なお、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、2025年3月31日現在、当社株式18,684,400株(所有割合:72.20%)を所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する少数株主の皆様の利益に資さない可能性もあると考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定していないとのことですが、公開買付者及び当社において以下の措置を実施していることから、当社の少数株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えております。また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである東海東京証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、東海東京証券は公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。
東海東京証券は、対象者が継続企業であるとの前提の下、対象者株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法を、また、将来の事業活動を評価に反映するためにDCF法を用いて当社株式の算定を行い、公開買付者は東海東京証券から2025年5月13日付で当社株式の株式価値に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書(東海東京証券)」といいます。)を取得したとのことです。なお、公開買付者は、本項記載の①乃至⑦に記載された各措置をもって、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えており、東海東京証券から、本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
東海東京証券による当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。
市場株価法:287円~295円
DCF法 :88円~611円
市場株価法では、本公開買付けの開始に係る公開買付者による書面決議日の前営業日である2025年5月13日を算定基準日として、東京証券取引所スタンダード市場における対象者株式の算定基準日の終値295円、算定基準日までの直近1ヶ月間の終値の単純平均値289円、直近3ヶ月間の終値の単純平均値287円及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値289円を基に、対象者株式1株当たりの株式価値の範囲を287円から295円までと算定しているとのことです。
DCF法では、当社より提供された本事業計画、2025年1月下旬から2025年4月下旬まで公開買付者において実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果及び一般に公開された情報等の諸要素を前提として、2026年3月期以降に当社が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことにより当社の企業価値や株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を88円から611円までと算定しているとのことです。
公開買付者は、東海東京証券から取得した本株式価値算定書(東海東京証券)における当社株式の株式価値の算定結果に加え、2025年1月下旬から2025年4月下旬まで実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等を踏まえ、最終的に2025年5月14日、本公開買付価格を410円と決定したとのことです。
なお、本公開買付価格である410円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2025年5月13日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値295円に対して38.98%、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値289円に対して41.87%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値287円に対して42.86%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値289円に対して41.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。
(注) 東海東京証券は、当社株式の株式価値の算定に際し、提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておらず、その義務及び責任を負うものではないとのことです。また、当社グループの資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。加えて、東海東京証券が、株式価値算定で使用している本事業計画等は、算定基準日における最善の予測と判断に基づき、当社により合理的かつ適正な手続に従って作成されたことを前提としているとのことです。なお、東海東京証券の算定は、公開買付者が当社の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としているとのことです。
② 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして北浜法律事務所を選任し、本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。
北浜法律事務所は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係る北浜法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単位を乗じて算出するものとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
2025年1月30日開催の第1回の本特別委員会において、北浜法律事務所の独立性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして承認しております。
③ 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、上記「(3)算定に関する事項」の「① 算定機関の名称並びに公開買付者及び当社との関係」に記載のとおり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGS FASに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年5月13日付で本株式価値算定書(AGS FAS)を取得いたしました。
AGS FASは、上記「(3)算定に関する事項」の「① 算定機関の名称並びに公開買付者及び当社との関係」に記載のとおり、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。
④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当社は、2024年12月16日、公開買付者から本取引の検討・協議を開始したい旨の初期的な意向を受け、公開買付者が当社の支配株主(親会社)であり、本取引が構造的な利益相反の問題を内包すること等に鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2025年1月28日開催の当社取締役会決議により、公開買付者及び当社から独立した藤澤昌隆氏(当社独立社外取締役)、羽田恒太氏(当社独立社外監査役)及び小出修平氏(当社独立社外監査役)の3名によって構成される本特別委員会を設置しました。当社は、当初から上記3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の委員の互選により、当社の社外取締役兼独立役員である藤澤昌隆氏が本特別委員会の委員長に就任しております。なお、本特別委員会の委員の報酬について、特別委員はいずれも当社の社外取締役であり、その職責に委員としての職務も含まれると考えられることから、社外取締役又は社外監査役の報酬に含まれるものとされており、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、本公開買付けに対する意見表明及び本公開買付けへの応募の推奨が当社の少数株主にとって不利益とならないかを諮問するべく、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(a)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)、(b)本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の公正性、(c)本取引に至る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性、(d)本取引が当社の少数株主にとって不利益なものではないか、(e)上記(a)から(d)を踏まえ、本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、(a)から(e)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申書を当社取締役会に提出することを委嘱しました。
また、当社は、上記取締役会決議において、当社取締役会における本取引に関する意思決定については、本特別委員会の設置の趣旨に鑑み、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行うものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当社取締役会は、当該取引条件による本取引に賛同しないものとする旨を決議しております。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(ア)当社が本取引の取引条件等について公開買付者との間で行う交渉の過程に実質的に関与する権限(必要に応じて、公開買付者との交渉方針に関して指示又は要請を行うこと、及び、自ら公開買付者と交渉を行うことを含む。)、(イ)適切な判断を確保するために、当社の財務アドバイザー、第三者評価機関、法務アドバイザー等の外部専門家(以下「アドバイザー等」といいます。)を指名・承認(事後承認を含む。)する権限及び必要に応じて独自のアドバイザー等を選任する権限(なお、本特別委員会が独自のアドバイザー等を選任する場合の費用は当社が負担する。また、本特別委員会は、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができる。)、さらに、(ウ)当社の取締役、従業員その他本特別委員会が必要と認める者に、本特別委員会への出席、書面による回答その他適宜の方法により、本取引の検討及び判断に必要な情報について説明・提供を求める権限をそれぞれ付与しております。これを受けて、2025年1月30日に開催された第1回の本特別委員会において、当社が選任する外部アドバイザー等について、いずれも独立性に問題がないことを確認した上で、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてAGS FASを、リーガル・アドバイザーとして北浜法律事務所をそれぞれ選任することを承認いたしました。
本特別委員会は、2025年1月30日から2025年5月13日までに、合計12回開催したほか、各会日間においても電子メール等を通じて、意見表明や情報交換、情報収集等を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から、当社の事業内容・業績推移、主要な経営課題、本取引により当社の事業に対して想定されるメリット・デメリット、本取引の条件の検討の際に基礎とされる本事業計画の策定手続等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、公開買付者から、本取引を提案するに至った検討過程、本取引の目的及びストラクチャー、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。さらに、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGS FASから、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、その算定過程に関して質疑応答を行った上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました。以上の検討に際して、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーである北浜法律事務所から、特別委員会の意義・役割等を含む本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容について助言を受けております。
そして、本特別委員会は、AGS FASから、公開買付者の提案内容や協議・交渉の状況等につき適時に報告を受け、北浜法律事務所及びAGS FASから聴収した意見も踏まえて審議・検討するとともに、適宜意見を述べた上で、交渉方針や提案内容に対する回答書を協議・承認し、当社に対して指示・要請を行う等しております。その結果、計4回にわたり、公開買付者に対して本公開買付価格の増額を要請すべき旨を意見し、当社が当該意見に従って公開買付者と交渉を行ったこと等により、公開買付者との交渉過程に実質的に関与いたしました。
本特別委員会は、以上の経緯の下、本諮問事項について慎重に審議及び検討を重ねた結果、2025年5月14日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
(ⅰ)答申内容
(a)本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的の正当性・合理性が認められる。
(b)本公開買付価格を含む本取引の条件の公正性が確保されていると考えられる。
(c)本取引に至る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性が確保されていると考えられる。
(d)上記(a)乃至(c)を踏まえると、本取引の決定は当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。
(e)上記(a)乃至(d)を踏まえると、本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは適切であり、当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられる。
(ⅱ)答申理由
(a)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するかを含む。)について
(ア)本取引の意義・目的、本取引の実施によるメリット・デメリット等について
本特別委員会は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」及び「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社グループの企業価値の具体的な内容並びにこれらを踏まえて当社グループの企業価値向上の可能性等について、当社及び公開買付者に対する質疑を行った。
それらを踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引は当社の企業価値向上に資するものであり、本取引の目的の正当性・合理性が認められる。
(b)本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の公正性について
(ア)本株式価値算定書(AGS FAS)の取得
当社は、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるAGS FASに対して株式価値算定を依頼した。AGS FASによる株式価値算定にあたっては、当社が提出したスタンドアローンベースの本事業計画を算定の基礎としている。
本特別委員会は、本事業計画について、中古車輸出事業、レンタカー事業、海外新車ディーラー事業の売上高、売上総利益、営業利益の増収増益等を見込んだ内容となっており、その作成過程において、公開買付者グループの関係者が、不当な影響を与えた事実は認められず、また、内容についても相応の合理性が認められることを確認した。
なお、本事業計画の策定において、公開買付者から出向している野木森直樹氏が関与しているものの、野木森直樹氏の関与は実務上不可欠かつ当社のほかの役職員により代替できないことから、野木森直樹氏の関与範囲を明確化し、公開買付者の不当な影響・恣意性が排除されているかについてより慎重な検証を行い、本取引に影響がないことを確認している。
本株式価値算定書(AGS FAS)によれば、当社株式の1株当たり株式価値は、市場株価法によると287円から295円、本事業計画を前提としたDCF法によると219円から426円とされているところ、本公開買付価格(410円)は、市場株価法による株式価値算定結果のレンジの上限を上回り、かつ、DCF法による株式価値算定結果のレンジの範囲内であり、レンジの中央値を大きく上回る金額となっている。
そして、本特別委員会は、AGS FASから株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、AGS FAS及び当社に対して、評価手法の選択、DCF法による算定の基礎となる本事業計画、本事業計画に基づく財務予測、継続価値の算定方法、割引率の算定根拠、必要運転資金、類似会社の選定基準・考え方等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
したがって、AGS FASによる当社の株式価値算定の内容は合理的なものであると考えられる。
(イ)プレミアムの水準について
本公開買付価格(410円)は、過去10年間の当社株式の終値の最高値を上回る水準であり、また、2025年5月13日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値295円に対し38.98%、直近1ヶ月間の終値単純平均値289円に対して41.87%、直近3ヶ月間の終値単純平均値287円に対して42.86%、直近6ヶ月間の終値単純平均値289円に対して41.87%のプレミアムをそれぞれ加えた価格であり、過去に公表された類似事例のプレミアムの平均値と比較して、合理的な水準であることを確認した。
以上からすれば、本公開買付けは、当社の少数株主に対して十分なプレミアムによる合理性が認められる株式売却機会を提供するものであると評価できる。
(ウ)PBRとの関係について
本公開買付価格(410円)は、当社の2025年3月31日現在の連結簿価純資産額から算出した1株当たり連結簿価純資産額(397円)を上回っており、当社の過去5年間のPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回っていたことも踏まえると、当社の少数株主に対して合理性が認められる株式売却機会を提供するものであると評価できる。
(エ)公開買付者との協議・交渉の内容について
当社及び本特別委員会は、本特別委員会が事前に承認した交渉方針に従い、少数株主の利益保護の観点から、公開買付者に対し、過去に公表された類似事例のプレミアム水準、当社の簿価純資産から算出した1株当たり純資産額との比較及び当社の上場後の市場株価の推移等についても勘案することを要請する等し、公開買付価格に関する協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。
具体的には、当社及び本特別委員会は、AGS FASを通じて、本特別委員会が承認した方針に従い価格交渉を実施し、4回に亘る価格引上げ要請を行い、公開買付者の当初提案額(1株当たり382円)から、最終的に総額28円(本公開買付価格410円と当初提案額の差額)の引き上げに成功している。
(オ)その他本取引に係るスキーム・条件の妥当性
本取引は、金銭対価による公開買付けとその後のスクイーズアウトによる非公開化スキームであるところ、本取引に係るスキームは一般的な非公開化手法として用いられるものであり、また、公開買付者が所有する当社株式18,684,400株(所有割合:72.20%)に係る議決権の数が当社の総株主の議決権の数の3分の2を超えているため、本公開買付けを経ずに株式併合を実行することも可能であるが、①本公開買付けを前置した方が、本公開買付けに応募する当社の株主にとっては、本公開買付けを前置しない場合と比較して対価を得るタイミングがより早くなり、より早期に売却機会を提供することができ、②本公開買付けを前置することにより、対抗提案が可能な期間を比較的長期間確保することができるため、より当社の少数株主の利益に配慮したストラクチャーであり、さらに、本公開買付価格は上記で述べたとおり、合理的な金額であると評価することができることから、本取引のスキームを採用すること自体が不合理であるとはいえない。
また、本スクイーズアウト手続においては、本公開買付けに応募しなかった当社株主に対し最終的に金銭が交付されることになるが、当該手続において交付される金銭の額は、本公開買付価格に当該株主が所有している当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定されるところ、当該金銭の額についても、本公開買付価格と同様の考え方により、合理的な金額であると評価できる。
その他、本取引に係るスキーム・条件に関して、不合理な内容は特段見当たらない。
(カ)小括
以上の点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本公開買付価格は、本株式価値算定書(AGS FAS)における市場株価法による株式価値算定結果のレンジの上限を上回り、かつ、DCF法による株式価値算定結果のレンジの範囲内であり、レンジの中央値を大きく上回る金額であること、2025年5月13日の終値、直近1ヶ月、直近3ヶ月間及び6ヶ月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準としては、過去に公表された類似事例のプレミアムの平均値と比較して、合理的な水準であり、当社の2025年3月31日現在の連結簿価純資産額から算出した1株当たり連結簿価純資産額(397円)を上回っており、また、当社の少数株主に対して十分なプレミアムによる合理性が認められる株式売却機会を提供するものであると評価できること、当社は公開買付者との間で真摯な交渉を複数回にわたり行い、当初の提示価格から28円の引き上げに成功していること等の事情も踏まえ、本取引に係る取引条件(本公開買付価格を含む。)の公正性が確保されていると考えられる。
(c)本取引に至る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性について
(ア)本特別委員会の設置
本取引は、公開買付者が当社の支配株主(親会社)であり、本取引が構造的な利益相反の問題が認められる支配株主による従属会社の買収であることから、当社は、本提案を検討するにあたって、本取引に係る当社の意思決定の恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性のある当社の取締役会における意思決定過程を確立するため、公開買付者及び本取引から独立性を有する藤澤昌隆氏(当社独立社外取締役)、羽田恒太氏(当社独立社外監査役)及び小出修平氏(当社独立社外監査役)の3名で構成される特別委員会を設置し、本答申書を取得している。
また、本特別委員会は、合計12回開催され、上記で述べたとおり、公開買付者との協議及び交渉に実質的に関与しており、真摯な交渉が行われたことが認められる。
(イ)当社のアドバイザー等の選任
当社は、当社、公開買付者及び本取引から独立性を有し専門性が認められるファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、AGS FASを選任し、同社から本株式価値算定書(AGS FAS)を取得するとともに、財務的見地からの助言・意見等を取得している。また、当社、公開買付者及び本取引から独立性を有し専門性が認められるリーガル・アドバイザーとして、北浜法律事務所を選任し、本取引における手続の公正性を確保するために講じるべき措置やその他の法的見地からの助言・意見等を取得している。
(ウ)当社における利害関係を有しない取締役全員の承認
当社は、当社取締役7名のうち公開買付者及び本取引との間で特別な利害関係を有しない当社取締役4名による取締役会決議を実施することを予定している。
また、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程(当社における本事業計画の策定過程を含む。)において、公開買付者グループの関係者その他本取引に特別な利害関係を有する者が、当社側の意思決定過程に不当な影響を与えた事実は認められない。
なお、本事業計画の策定において、公開買付者から出向している野木森直樹氏が策定に関与しているものの、野木森直樹氏の関与は実務上不可欠かつ当社のほかの役職員により代替できないことから、野木森直樹氏の関与範囲を明確化し、公開買付者の不当な影響・恣意性が排除されているかについてより慎重な検証を行い、本取引に影響がないことが確認している。
(エ)他の買付者からの買付機会を確保するための措置
(ⅰ)本公開買付けに関しては、公開買付期間が法令に定められた最短期間(20営業日)よりも長期である42営業日に設定される予定であるとともに、(ⅱ)公開買付者と当社は、公開買付者以外の者による公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、当社が公開買付者以外の買収提案者(以下「対抗的買収提案者」といいます。)と接触することを禁止・制限するような取引保護条項を含む合意等は一切行っておらず、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的買収提案の機会が確保されることにより、本取引に係る手続の公正性の確保に向けた配慮がなされている。
なお、本公開買付けにおいては、積極的なマーケット・チェックが実施されていないものの、他の公正性担保措置を通じて手続の公正性が確保されており、また、支配株主による従属会社の完全子会社化の案件においては、積極的なマーケット・チェックが機能する場面とは一般に言い難いことから、本件において、積極的なマーケット・チェックが実施されていないことの一事をもって、本取引に係る手続の公正性が阻害されることはないと考えられる。
(オ)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定について
公開買付者は、2025年3月31日現在、当社株式18,684,400株(所有割合:72.20%)を所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の少数株主の利益に資さない可能性もあると考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限を設定しない予定であるが、公開買付者及び当社において上記の公正性担保措置を実施していることから、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされており、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定していないことの一事をもって、本取引に係る手続の公正性が阻害されることはないと考えられる。
(カ)本スクイーズアウト手続について
本公開買付けに応募しなかった少数株主は、本公開買付けの後に実施される予定の本スクイーズアウト手続において、最終的に金銭が交付されることになるが、当該手続において交付される金銭の額は、本公開買付価格に当該株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定される予定である旨がプレスリリース等で明示される予定であり、強圧性に一定の配慮がなされるとともに、本スクイーズアウト手続において予定されている株式等売渡請求又は株式併合は、非公開化手法として一般的な手法であり、いずれの手続においても少数株主が対価について異議を述べる機会が適切に確保されているため、本スクイーズアウト手続の内容に関し、特段不合理な点は見当たらない。
(キ)小括
以上の点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引に至る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性が確保されていると考えられる。
(d)本取引の決定が当社の少数株主にとって不利益なものではないかについて
上記(a)乃至(c)を踏まえ、本取引の決定は当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。
(e)上記(a)乃至(d)を踏まえ、本公開買付けに対して当社取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非について
上記(a)乃至(d)を踏まえ、当社取締役会が、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を表明することは適切であり、当社の少数株主にとって不利益ではないと考えられる。
⑤ 当社における独立した検討体制の構築
当社は、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討及び交渉を行う体制を当社の社内に構築いたしました。具体的には、当社は、2024年12月16日に公開買付者から本取引の検討・協議を開始したい旨の初期的な意向を受けて以降、利益相反の疑義を回避する観点から、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉及び当社内部における検討の過程において、公開買付者からの出向者を含め、公開買付者の役職員を兼任又は兼務する当社の役職員を関与させないことといたしました(なお、公開買付者からの出向者である野木森直樹氏は、本事業計画の策定に関与しているものの、下記「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載のとおり、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。)。
以上の取扱いを含めて、当社における本取引の検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会における確認を受けております。
⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見
当社は、AGS FASから取得した本株式価値算定書(AGS FAS)、北浜法律事務所からの法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の諸条件について慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「④ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本取引によって当社が公開買付者の完全子会社となることで、当社グループを含む公開買付者グループの経営資源を有効活用することにより更なる事業拡大や業務効率化、費用の削減等のシナジーが期待できると考えたことから、本公開買付けを含む本取引により当社グループの企業価値の向上が見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年5月14日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
なお、当社の取締役7名のうち、伊藤和繁氏及び伊藤誠英氏は公開買付者の取締役を兼務していることから、また、野木森直樹氏は公開買付者からの出向者であることから、利益相反の疑義を回避する観点により、上記取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案については、当社の取締役7名のうち、伊藤和繁氏、伊藤誠英氏及び野木森直樹氏を除く4名の取締役が審議し、その全員の賛成により決議を行っております。また、上記取締役会には、当社の監査役3名全員が出席し、いずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べております。
さらに、当社の取締役のうち、伊藤和繁氏及び伊藤誠英氏は、利益相反の可能性を排除する観点から、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉には一切関与しておらず、野木森直樹氏は、本事業計画の策定に関与しているものの、利益相反の可能性を排除する観点から、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉には一切関与しておりません。また、本事業計画の策定において、野木森直樹氏の関与は実務上不可欠かつ当社のほかの役職員により代替できないことから、野木森直樹氏の関与範囲を明確化し、公開買付者の不当な影響・恣意性が排除されているかについてより慎重な検証を行うことにより、本取引に影響がないことが確認できることを条件として、本事業計画の策定及び本事業計画の策定結果に関する特別委員会への説明にのみ関与しております。
⑦ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、法令に定められた公開買付けに係る買付け等の最短期間が20営業日であるところ、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)を42営業日に設定しているとのことです。このように、公開買付期間を法定の最短期間より長期に設定することにより、当社の株主の皆様が本取引の是非や本公開買付価格の妥当性について熟慮し、本公開買付けに対する応募の是非について適切な判断を行うための期間を提供しつつ、対抗的な買付け等を行う機会を確保することにより、本公開買付けの公正性を担保することも企図しているとのことです。
⑧ 取引保護条項の不存在
公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っておらず、対抗的な買付け等の機会を妨げないこととすることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項
該当事項はありません。
|
氏名 |
役職名 |
所有株式数(株) |
議決権の数(個) |
|
川村 賢司 |
代表取締役社長 |
24,095 |
240 |
|
伊藤 和繁 |
取締役 |
20,900 |
209 |
|
松田 泰二 |
取締役 |
1,131 |
11 |
|
伊藤 誠英 |
取締役 |
97,825 |
978 |
|
野木森 直樹 |
取締役 |
682 |
6 |
|
竹内 穣 |
取締役 |
0 |
0 |
|
藤澤 昌隆 |
取締役 |
0 |
0 |
|
對馬 正幸 |
常勤監査役 |
2,640 |
26 |
|
羽田 恒太 |
監査役 |
0 |
0 |
|
小出 修平 |
監査役 |
0 |
0 |
|
計 |
― |
147,276 |
1,470 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役 竹内穣氏及び藤澤昌隆氏は、社外取締役であります。監査役 羽田恒太氏及び小出修平氏は、社外監査役であります。
(注3) 所有株式数及び議決権の数は、それぞれ当社役員持株会を通じた所有株式数(小数点以下切捨て)及びそれらに係る議決権の数を含めた数を記載しております。
該当事項はありません。
以 上