第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 なお、当中間連結会計期間において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度末との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 あらゆる情報がデジタル化されビッグデータ化する中で、当社グループは「見える化プラットフォーム企業」のビジョンのもと、先進的なテクノロジー活用によるデータを可視化する技術を武器に、ビッグデータ活用による企業の業務効率化や意思決定を支援するサービスを展開しております。

 

 当中間連結会計期間の経営環境においては、企業のデジタル化シフトや働き方の見直しに伴う業務の自動化・効率化などへの取り組みが続いており、それらを支援するソフトウェアについては高い需要が維持されております。特に当社グループが手掛けるSaaS型クラウドサービスは、イニシャルコストを抑えて短期での導入が可能であることや、システム更新などの運用負荷を軽減できることから導入へのハードルが低く、企業規模や業種を問わず投資意欲が高く、市場成長をけん引しております。

 

 当社では、2008年5月にスタートした見える化エンジンにより高収益を確立しながら、2011年7月に立ち上げたカスタマーリングスでは安定成長を継続し、2016年9月に参入したタレントパレットで高成長を続けながら、2023年10月には新規事業となるヨリソルを立ち上げております。いずれも継続収益が大部分を占めるSaaS型サービスであり、それぞれの事業による収益が上乗せされる形で成長を継続しております。立ち上げ期にあるヨリソルを除く全ての事業は黒字化しており、高収益の安定事業、安定成長事業、高成長事業の組み合わせにより、全社ベースで高い成長率と利益率を同時に実現しております。

 

 新規顧客を獲得するための活動としては、マス広告やWeb広告等によるオンラインマーケティング、展示会やWebセミナー等へのイベント参加により、当社グループのサービスに関心をもつ顧客を集客し、導入を検討する企業にはサービス説明や分析手法の紹介などのデモを実施し、顧客の導入意欲を高めることにより受注を獲得しております。また、インサイドセールスやアウトバウンドなどの手法も活用し、潜在的な顧客に対して積極的に提案を行うことで、新たな顧客層の開拓を推進しております。

 

 なお、2022年10月からは株式会社グローアップ、2024年3月からはAttack株式会社、2024年6月からはディー・フォー・ディー・アール株式会社、および2024年7月からはオーエムネットワーク株式会社が連結子会社となり、タレントパレットとの連携を図りながらグループの成長に寄与しております。

 

 以上の取り組みの結果、当中間連結会計期間における売上高は8,178,543千円(前年同期比26.5%増)となり、前年の高成長を継続しております。また、将来の大きな市場獲得を見据えた人員採用やマーケティング投資などの積極的な成長投資を継続した結果、営業利益は2,792,288千円(前年同期比28.9%増)、経常利益は2,735,073千円(前年同期比26.1%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は1,851,695千円(前年同期比25.8%増)となっております。

 

 セグメント別の経営成績は次の通りであります。

 

<マーケティングソリューション>

 当セグメントは「見える化エンジン」および「カスタマーリングス」に関わる事業により構成されております。

 

 見える化エンジンでは、コールセンターやマーケティング部門に集まる顧客の声に加え、近年拡大してきたソーシャルメディア上での口コミを分析できるツールを提供しております。当サービスでは「顧客体験フィードバック」のコンセプトのもと、企業が顧客に提供したい顧客体験と、顧客の感じ方のギャップを分析する仕組みを提供しており、企業の商品・サービスの企画および改善を支援するソリューションとして事業展開を図っております。

 単独のツールとしての提供だけでなく、分析ノウハウや分析結果の活用方法などのコンサルティングを提供することや、従来のテキストマイニング技術をベースとしたサービスに生成AI技術を掛け合わせることで、新たな機能・サービスを開発するなどにより差別化を図っております。

 主力顧客の製造業からの受注は引き続き堅調であるほか、サービス業などでも顧客の声をマーケティングに活かす取り組みは着実に浸透しつつあることから、見える化エンジンへの引き合いは堅調に推移しております。また、顧客内の幅広い部門での活用を促す取り組みを強化した結果、受注案件の大型化が進んでいるほか、既存顧客についても活用シーンの拡大とともに顧客単価は堅調に推移しております。

 

 カスタマーリングスでは、主にEC事業者や通信販売事業者向けに、顧客の属性、購入履歴、メール配信への反応等の情報に基づき、最適なキャンペーンを実施できる統合マーケティング・ツールを提供しております。当サービスでは「実感型デジタルマーケティング」のコンセプトのもと、データの効率的な活用にとどまらず、オンライン施策が顧客行動に与える影響を分析・見える化することで、次の施策決定を支援し、また分析した結果を直接マーケティング施策に活用できるソリューションとして事業展開を図っております。

 電子商取引市場の拡大により、顧客とのデジタル接点から収集した情報をマーケティング施策に活かす取り組みが広がってきている一方で、成長市場であるデジタルマーケティング分野は新規参入も多く、競争環境は厳しくなってきております。そのような環境の中で、多様な条件設定によりリアルタイムに有望顧客を抽出・可視化することで顧客に合わせたきめ細かなマーケティング・シナリオ構築と最適アクション実施を実現できるツールとして差別化を図っております。

 

 このような市場環境の中で、足元では生成AIを活用した機能強化を推進しており、当サービスへの引き合いは堅調に推移しております。また、既存顧客の利用度拡大に伴うプランアップや従量課金の増加により顧客単価は上昇傾向にあり、収益拡大に寄与しております。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間におけるセグメント売上高は1,950,505千円(前年同期比4.3%増)、セグメント利益は881,027千円(前年同期比9.5%増)となりました。

 

<HRソリューション>

 当セグメントは「タレントパレット」と「ヨリソル」に関わる事業、子会社の株式会社グローアップ、Attack株式会社、ディー・フォー・ディー・アール株式会社およびオーエムネットワーク株式会社により構成されております。

 

 タレントパレットでは、企業内に散在する社員スキル、適性検査結果、職務経歴、人事評価、従業員アンケート、採用情報などの人材情報を集約して分析・見える化できるプラットフォームを提供しております。働き方改革や労働人口減を背景とした人材活用プロセス(採用、教育、配置、評価)の質的向上や効率化を目指した人材管理のソフトウェア市場は急拡大しております。当社グループでは、顧客基盤の拡大に向け、先行的に積極的な人員採用やマーケティング投資を実施しており、導入社数は急速に増加しております。

 タレントパレットは、分析的視点での人事戦略を実現する「科学的人事」のコンセプトのもと、継続的にサービスの機能強化を図っているほか、導入企業へのコンサルティングを通じて蓄積された分析ノウハウや活用方法などをサービス強化に結び付けております。また、生成AIの活用による機能強化を推進しており、これら機能を顧客が最大限に活用できるよう専門の生成AIコンサルティングを提供しており、サービスの高度化を推進しております。

 従業員数が多い大手企業での採用が多いほか、利用企業へのオプション機能提供やプランアップによるアップセルを推進していることから、全体の顧客単価は上昇傾向にあり、収益拡大に寄与しております。

 

 ヨリソルでは、教育DXと教育データの見える化を実現する統合型スクールマネジメントシステムを提供しております。志願者、在校生、卒業生、保護者、教職員など、散在している教育に関する情報を一元管理できるほか、収集したデータを豊富な分析機能により見える化することで、教育機関でのデータに基づく施策の企画から実行の支援を行っております。

 2022年からトライアルの形で運営を開始し、事業化の可能性を検討してきましたが、2023年10月に新規事業としてスタートし、既に大学、中学・高等学校、塾・専門学校など、先進的な教育機関を中心に幅広く導入が進んでおります。

 

 株式会社グローアップでは、企業と学生を結びつけるプラットフォーム「キミスカ」を提供しております。学生は無料でデータベースにプロフィールを登録し、利用企業は登録された学生プロフィールを閲覧しながら求人ニーズにマッチする候補者に直接アプローチする「逆求人」型のサービスを展開しております。

 利用企業にとっては、就職ナビ等を経由して企業に応募する「エントリー型」の応募では出会えない学生へのアプローチが可能となるほか、学生にとっては、自分の強みやスキル、価値観、経験などを評価してくれる企業からのオファーを得られるサービスとなっております。タレントパレットの導入企業がキミスカを通じて効率的に新卒学生とのマッチングを図るための連携機能を強化しており、グループ連携を通じて利用企業の開拓を推進しております。

 

 Attack株式会社では、企業向けに採用コンサルティング事業を展開しており、主に採用支援サービスである「TARGET」を運営しております。TARGETでは、顧客企業の採用活動に関して「プロジェクトマネジメント」「候補者日程調整」「ダイレクトリクルーティング支援」「採用広報」など、幅広い業務をアウトソースで請け負うプロジェクトマネジメント型の採用支援サービスを提供しております。TARGETとタレントパレットの連携を通じて、人事の採用領域においてサービス範囲を拡大するとともに、相互サービスの連携による付加価値向上を図るほか、営業活動の連携等を推進し、更なる成長力の向上を図りたく考えております。

 

 ディー・フォー・ディー・アール株式会社では、企業の戦略企画、事業創発、組織活性化、マーケティング支援およびリサーチ等、幅広い分野でのコンサルティング・サービスを提供しております。大手企業を中心に安定した顧客基盤を有しており、特に、技術変化やライフスタイル・価値観の変化といった軸で、10年、20年先の未来社会に向けた重要テーマを扱う「未来戦略コンサルティング」において、多くの経験とノウハウ蓄積を背景に、顧客企業のシンクタンク的な機能も果たしております。

 

 オーエムネットワーク株式会社では、主力事業として、小売・サービス業向けの月額課金型クラウドサービス(店舗社員/パート社員等の業務シフトの自動作成・管理システム:「R-Shift」)を提供しております。

 R-Shiftは、顧客企業での店舗や業務ごとの必要人員と、従業員の勤務可能日・時間、スキル・経験などを数理最適化エンジンによりマッチングするサービスであり、800を超える標準機能により店舗の実態や特性に合わせた運用が可能であることから、幅広い業種・業態で採用されております。特に大手のドラッグストア、スーパー、量販店などで採用されており、導入社数は約100社を超えて拡大し、従業員1,000名以上の小売・サービス業におけるシフト管理システムの導入実績でトップシェアとなっております。

 また、勤怠管理システム(「R-Kintai」)も提供し、R-Shiftとの組み合わせにより、シフト計画のデータをR-Kintaiにリアルタイムに取り込むことで、予算管理や給与計算に反映できるなど、導入企業の業務効率化に貢献しております。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間におけるセグメント売上高は6,228,667千円(前年同期比35.6%増)、セグメント利益は2,541,682千円(前年同期比32.9%増)となりました。

 

(資産)

 当中間連結会計期間末における流動資産は10,468,553千円となり、前連結会計年度末に比べて1,608,448千円減少しております。これは主に、現金及び預金が1,854,745千円減少したことによるものであります。

 また、固定資産は3,088,907千円となり、前連結会計年度末に比べて244,962千円減少しております。これは主に、のれんが109,308千円、無形固定資産のその他に含まれる顧客関連資産等が86,945千円、投資その他の資産のその他に含まれる繰延税金資産が35,017千円減少したことによるものであります。

 以上の結果、資産合計は13,557,460千円となり、前連結会計年度末に比べて1,853,411千円減少しております。

 

(負債)

 当中間連結会計期間末における流動負債は3,030,040千円となり、前連結会計年度末に比べて61,556千円増加しております。これは主に、その他が48,212千円、買掛金が38,281千円増加したことによるものであります。

 また、固定負債は244,692千円となり、前連結会計年度末に比べて97,859千円減少しております。これは主に、繰延税金負債が96,922千円減少したことによるものであります。

 以上の結果、負債合計は3,274,733千円となり、前連結会計年度末に比べて36,302千円減少しております。

 

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産合計は10,282,727千円となり、前連結会計年度末に比べて1,817,108千円減少しております。これは主に、利益剰余金が1,171,860千円増加した一方、自己株式を2,999,963千円取得したことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は8,334,973千円となり、前連結会計年度末と比べて1,854,745千円減少しております。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は1,899,726千円(前年同期は1,533,445千円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額976,689千円による資金の減少があったものの、税金等調整前中間純利益の計上2,735,073千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は25,679千円(前年同期は239,750千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出23,558千円による資金の減少があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は3,728,792千円(前年同期は527,168千円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出3,061,787千円、配当金の支払額676,105千円による資金の減少があったことによるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当社グループは、各事業部による既存サービスの新機能開発活動を推進しております。また、各セグメントに関連付けられない全社共通の研究開発活動として、情報技術・イノベーション本部によるテキストマイニング技術及びAI活用に関する研究開発活動や全社員を対象とした新規事業開発活動に取り組んでおります。

 毎年、新規事業創発のためのコンテストを開催しており、事業現場、技術部門、企画部門が連携することで、テキストマイニング、CRM・MA、タレントマネジメント、スクールマネジメントに続く、「世の中を「見える化」する新サービス」の開発に努めております。

 

<マーケティングソリューション>

 見える化エンジンについて、顧客内での幅広い利用者による情報活用を可能とするためのプラットフォーム構築や大量データを可視化するための機能開発を行っております。

 また、カスタマーリングスについて、市場変化に迅速に対応するため、業務の自動化、高速化、機能追加及びシステム安定化など、サービス基盤を強化するシステム開発を行っております。

 

<HRソリューション>

 タレントパレット、ヨリソル、キミスカ、R-Shiftについて、時代変化が顧客にもたらす課題を解決するための新機能開発やサービス品質向上を図るためのシステム開発を行っております。

 

<全社共通>

 大量の日本語を分析処理するテキストマイニングの基盤技術である自然言語処理エンジン「Waters」の機能強化や精度向上のためのシステム開発を行っております。また新規事業創造への取り組みとして、新規事業開発活動を行っております。

 

 当中間連結会計期間末における当社グループの研究開発体制は、マーケティングソリューション4名、HRソリューション2名、情報技術・イノベーション本部2名であります。

 当中間連結会計期間の研究開発費の総額は65,812千円であります。

 なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。