種類 |
発行数 |
内容 |
普通株式 |
832,845株 |
完全議決権株式であり、権利内容に何ら限定のない当社における標準となる株式であります。なお、単元株式数は100株であります。 |
(注)1.本有価証券届出書の対象とする当社普通株式の発行は、2025年5月14日付の代表執行役決定に基づくものです。
2.募集の目的及び理由
当社では、2018年3月期に取締役(社外取締役を除く)及び執行役員に対する株式報酬として業績連動型株式報酬(PSU)制度(以下「PSU制度」といいます。)を導入しました。2019年6月の指名委員会等設置会社への移行後も、執行役及び執行役員に対する株式報酬としてPSU制度を継続するとともに、取締役(社外取締役を含む)及び執行役に対し「企業価値の最大化を図り様々なステークホルダーの期待に応える」という意識を強く持たせ、その責務に相応しい処遇とすることを基本方針とし報酬制度の見直しを行ってまいりましたが、その一環として2021年3月期より取締役(社外取締役を含む)及び執行役に対する株式報酬として事後交付型譲渡制限付株式報酬(RSU)制度(以下「RSU制度」といいます。)を導入しました。また、同様の基本方針のもと、執行役員に対しては2022年3月期よりPSU制度に加えRSU制度を、当社及び当社子会社の上級管理職である従業員(以下「当社グループの従業員」といいます。)に対しては2023年3月期よりRSU制度並びにPSU制度を導入しました。
RSU制度及びPSU制度に基づく自己株式の処分(以下「本自己株式処分」といいます。)は、割当予定先である執行役、執行役員及び当社グループの従業員(以下「割当対象者」といいます。)に対する株式報酬として行うものです。また取締役の内、株式報酬付与時に執行役員であった者も割当対象者とします。
RSU制度及びPSU制度の概要等につきましては、以下のとおりです。
[RSU制度の概要等]
① RSU制度の概要
権利算定期間において当社グループに在籍することを条件として、当社が定める数の当社普通株式を取得する権利を付与した上で、予め設定した時期に、予め設定した数の当社普通株式を支給する制度であり、執行役については報酬委員会の決議、執行役員および当社グループの従業員については代表執行役の決定によります。
本自己株式処分の対象となる2023年3月期に付与したRSU(以下「FY2023-RSU」といいます。)、2024年3月期に付与したRSU(以下「FY2024-RSU」といいます。)及び2025年3月期に付与したRSU(以下「FY2025-RSU」といいます。)は権利算定期間を3年とし、権利算定期間の開始時点で取得の権利を有する株数を決定し1年を経過するごとにその数の3分の1の株式を支給します。なお、FY2024-RSUには権利算定期間の開始時点で取得の権利を有する株式を決定し2年経過後にその数の株式を支給する付加分が含まれています。権利算定期間内に割当対象者が、報酬委員会または代表執行役またはチーフヒューマンリソーシズオフィサーが認める正当な事由(任期満了、死亡、病気、障碍等による退任及び定年退職、死亡、病気、障碍等による退職を含む)により退任または退職した場合には、退任月または退職月を含む在任月数で取得の権利を有する株数を按分し、相当する株数を報酬委員会の決議または代表執行役またはチーフヒューマンリソーシズオフィサーの確認を経て定められた日に支給します。また、執行役の退任または当社グループの従業員の退職が引退に該当する場合は、退任時または退職時に保有している取得の権利を有する株数の全てを報酬委員会の決議またはチーフヒューマンリソーシズオフィサーの確認を経て支給します。なお、引退とは、退任または退職時点で55歳以上である執行役または当社グループの従業員のうち、退任または退職時点での年齢と従業員としての在職期間を含む当社及び当社の関係会社での勤続年数を合算した数が65以上になる者の退任または退職をいいます。
以上に基づき、退任執行役1名に対し2022年3月期に付与したRSUに係る株式を、執行役7名、退任執行役1名、執行役員10名、退任執行役員1名、当社グループの従業員25名及び退職従業員3名に対しFY2023-RSUに係る株式を、執行役8名、退任執行役1名、執行役員11名、退任執行役員1名、当社グループの従業員33名及び退職従業員4名に対しFY2024-RSUに係る株式を、執行役11名、執行役員11名、退任執行役員1名、当社グループ従業員43名及び退職従業員2名に対しFY2025-RSUに係る株式を支給することを決定しました。
② 権利喪失事由
割当対象者が権利算定期間中に自己都合で退任または退職する場合、詐欺的行為、不正行為、又は背徳行為に関連するいかなる犯罪行為により有罪判決を受けた場合、破産手続又は民事再生手続開始等の申立てを受けた場合など一定の事由に該当した場合は、その該当時点をもって、当該割当対象者がその時点で保有する株式取得の権利の全部を当社は無償で取得します。
[PSU制度の概要等]
① PSU制度の概要
3年間の業績評価期間において、予め基準となる株数を定めた上で、予め定めた業績指標の達成度に応じて一定の範囲で調整した数の当社普通株式を支給する制度であり、執行役については報酬委員会の決議、執行役員および当社グループの従業員については代表執行役の決定によります。
本自己株式処分の対象となる2023年3月期から2025年3月期を業績評価期間とするPSU(以下「FY2023-PSU」といいます。)は、営業利益率、相対TSR及びESGを業績評価指標としており、業績評価期間終了後に、執行役については報酬委員会が、また執行役員及び従業員については代表執行役が、業績評価指標に対する達成度の確認を行い支給率を決定の上、予め個別に定めていた基準株数にこの支給率を乗じ支給株式の数を決定しました。
また、業績評価期間内に割当対象者が、報酬委員会または代表執行役またはチーフヒューマンリソーシズオフィサー認める正当な事由(任期満了、死亡、病気、障碍等による退任及び定年退職、死亡、病気、障碍等による退職を含む)により退任または退職した場合には、執行役、執行役員については、業績評価期間終了後に算出された支給株数を、退任月または退職月を含む在任月数で按分し、相当する株数を報酬委員会の決議または代表執行役の確認を経て支給し、当社グループの従業員については、退職時に退職月を含む在任月数で取得の権利を有する株数を按分し、相当する株数をチーフヒューマンリソーシズオフィサーの確認を経て支給します。また、執行役の退任が引退に該当する場合、報酬委員会が別途定める要件を満たす限りにおいて、退任時に保有している全ての権利未確定の株数を報酬委員会の決議により支給します。なお、執行役の引退とは、退任時点で55歳以上である割当対象者のうち、退任時点での年齢と従業員としての在職期間を含む当社及び当社の関係会社での勤続年数を合算した数が65以上になる者の退任をいいます。
以上に基づき、非業務執行取締役1名、執行役7名、退任執行役1名、執行役員10名、退任執行役員6名、当社グループの従業員25名及び退職従業員3名に対しFY2023-PSUに係る株式を、退職従業員3名に対し2024年3月期から2026年3月期を業績評価期間とするPSUに係る株式を、退職従業員2名に対しに2025年3月期から2027年3月期を業績評価期間とするPSUに係る株式を支給することを決定しました。
② 権利喪失事由
割当対象者が業績評価期間内に自己都合で退任する場合、詐欺的行為、不正行為、又は背徳行為に関連するいかなる犯罪行為により有罪判決を受けた場合、破産手続又は民事再生手続開始等の申立てを受けた場合など一定の事由に該当した場合は、その該当時点をもって、当該割当対象者がその時点で保有する株式取得の権利の全部を当社は無償で取得します。
3.本有価証券届出書の対象とした募集は、会社法(平成17年法律第86号)第199条第1項の規定に基づいて、当社の保有する当社普通株式の自己株式処分により行われるものであり、金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令第9条第1号に定める売付けの申込み又は買付けの申込みの勧誘となります。
4.振替機関の名称及び住所
名称:株式会社証券保管振替機構
住所:東京都中央区日本橋兜町7番1号
区分 |
発行数 |
発行価額の総額(円) |
資本組入額の総額(円) |
株主割当 |
- |
- |
- |
その他の者に対する割当 |
832,845株 |
1,679,848,365 |
- |
一般募集 |
- |
- |
- |
計(総発行株式) |
832,845株 |
1,679,848,365 |
- |
(注)1.「第1〔募集要項〕 1〔新規発行株式〕 (注)2.募集の目的及び理由」に記載のRSU制度及びPSU制度に基づく割当対象者に割り当てる方法によります。
2.発行価額の総額は、本自己株式処分に係る会社法上の払込金額の総額であります。なお、本有価証券届出書の対象とした募集は、自己株式処分により行われるものであるため、払込金額は資本組入れされません。
3.現物出資の目的とする財産は、RSU制度及びPSU制度に基づき、事後交付型株式報酬及び業績連動型株式報酬として支給された金銭報酬債権であり、その内容は以下のとおりです。
|
割当株数 |
払込金額(円) |
内容 |
執行役1名(退任者) |
8,359株 |
16,860,103 |
2022年3月期に付与したRSU |
執行役8名(退任者を含む)、執行役員11名(退任者を含む)及び当社グループの従業員28名(退職者を含む) |
57,168株 |
115,307,856 |
2023年3月期に付与したRSU |
執行役9名(退任者を含む)、執行役員12名(退任者を含む)及び当社グループの従業員37名(退職者含む) |
370,658株 |
747,617,186 |
2024年3月期に付与したRSU |
執行役11名、執行役員12名(退任者を含む)及び当社グループの従業員45名(退職者を含む) |
151,435株 |
305,444,395 |
2025年3月期に付与したRSU |
非業務執行取締役1名、執行役8名(退任者を含む)、執行役員(退任者を含む)16名、当社グループの従業員28名(退職者を含む) |
235,687株 |
475,380,679 |
2023年3月期に付与したPSU |
当社グループの従業員3名(退職者) |
6,807株 |
13,729,719 |
2024年3月期に付与したPSU |
当社グループの従業員2名(退職者) |
2,731株 |
5,508,427 |
2025年3月期に付与したPSU |
発行価格 (円) |
資本組入額 (円) |
申込株数単位 |
申込期間 |
申込証拠金 (円) |
払込期日 |
2,017 |
- |
1株 |
2025年5月30日~ 2025年6月12日 |
- |
2025年6月13日 |
(注)1.「第1〔募集要項〕 1〔新規発行株式〕 (注)2.募集の目的及び理由」に記載のRSU制度及びPSU制度に基づき、割当対象者に割り当てる方法によるものとし、一般募集は行いません。
2.発行価格は、本自己株式処分に係る会社法上の払込金額であり、恣意性を排除した価格とするため、2025年5月13日(代表執行役決定日の前営業日)の東京証券取引所における当社の普通株式の終値である2,017円としております。なお、本有価証券届出書の対象とした募集は、自己株式処分により行われるものであるため、払込金額は資本組入れされません。
3.本自己株式処分は株式報酬として付与された金銭報酬債権を出資財産とする現物出資により行われるため、金銭による払込みはありません。
4.割当対象者から申込みがない場合には、当該株式に係る割当てを受ける権利は消滅します。
店名 |
所在地 |
オリンパス株式会社 人事 |
東京都八王子市石川町2951番地 |
店名 |
所在地 |
- |
- |
(注) RSU制度及びPSU制度として支給された金銭報酬債権を出資財産とする現物出資の方法によるため、該当事項はありません。
該当事項はありません。
払込金額の総額(円) |
発行諸費用の概算額(円) |
差引手取概算額(円) |
- |
96,000 |
- |
(注)1.金銭以外の財産の現物出資の方法によるため、金銭による払込みはありません。
2.発行諸費用の概算額には、消費税等は含まれておりません。
3.発行諸費用の概算額の内訳は、有価証券届出書作成費用等であります。
本自己株式処分は、RSU制度及びPSU制度に基づき、株式報酬として付与された金銭報酬債権を出資財産とする現物出資により行われるものであり、金銭による払込みはありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照すること。
事業年度 第156期(2024年3月期)(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)2024年6月20日関東財務局長に提出
事業年度 第157期(2025年3月期)中(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)2024年11月8日関東財務局長に提出
① 1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書提出日(2025年5月14日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2024年6月27日に関東財務局長に提出
② 1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書提出日(2025年5月14日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の規定に基づく臨時報告書を2024年10月28日に関東財務局長に提出
③ 1の有価証券報告書提出後、本有価証券届出書提出日(2025年5月14日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の規定に基づく臨時報告書を2025年4月25日に関東財務局長に提出
参照書類としての有価証券報告書及び半期報告書(以下「有価証券報告書等」といいます。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後、本有価証券届出書提出日(2025年5月14日)までの間において、変更すべき事項が生じています。以下の内容は、当該変更を反映して「事業等のリスク」を一括して記載しています。
また、当該有価証券報告書等に記載されている将来に関する事項は、下記に記載された事項を除き、本有価証券届出書提出日(2025年5月14日)現在においてもその判断に変更はなく、新たに記載する将来に関する事項もありません。
[事業等のリスク]
当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営理念や基本的な指針を含む事業目標を達成するために、グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメントの枠組みを構築しています。この体制は、「リスクマネジメント及び危機対応方針」に基づいて運用されています。また、当社グループは、「機会」と「脅威」の両面からエンタープライズ・リスクマネジメントに取り組んでいます。機会は、当社グループの持続的な成長と価値創造につながる積極的かつ適切なリスクテイクを通じて捉えられる一方、脅威は、事業目標の確実な達成とコンプライアンス違反の防止のために特定され、優先順位をつけて対処されます。
グローバル組織体制では、リスク&コントロール、コンプライアンス、プライバシー、情報セキュリティーの4つの機能が統合されています。この体制は、4つの機能に加えて、製品セキュリティー、サイバーセキュリティーを含む関連管理システムおよび当社グループにおけるリスク全体像を把握しビジネスプロセスに組み込む、いわゆるアラインド・アシュアランスを推進することを目的としています。2025年3月期において、これらの領域はグローバル法務機能と統合され、グローバルジェネラルカウンセルの管轄下にあるリーガル・リスク・コンプライアンス機能(以下、LRC)として再編されました。グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー(GCCO)は、引き続きグループ経営執行会議に出席するとともに、CEO、取締役会、監査委員会へ定期的な報告を行います。
エンタープライズ・リスクマネジメントにおいて特に注力する活動は以下の通りです。
- LRC機能におけるグローバルなリスクコントロール機能の構築
- グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメント手法とアプローチの強化
- グローバルに一貫性のあるエンタープライズ・リスクマネジメントの構築
これらの活動に注力することで、合理的なエンタープライズ・リスクマネジメントが実行され、事業計画及び財務計画にリスクを反映することを企図しています。また、十分な情報に基づいた経営の意思決定をサポートすることで、当社の事業目標と経営戦略の達成の確度を高めることを目指しています。当社は2024年3月期に構築した統合的なグローバルリスクマネジメントポートフォリオを更に発展させ構築、2025年3月期には、全ての関連部門のリスク評価を実施し、地域別およびグローバルなリスクポートフォリオを検証、更新しました。
エンタープライズ・リスクマネジメントの組織体制
当社グループは、グローバルおよび地域レベルの委員会組織として、グローバル及び地域リスクアシュアランス・コンプライアンス委員会(以下、G-RACC、R-RACC、総称してRACCs)を設立しました。RACCsは、リスクに対処し、適用される方針、法律、規制を遵守するための枠組みを確立、実施、管理することを目的としています。また、勧告、指導、重要リスクについては、グループ経営執行会議(以下、GEC)、取締役会、 監査委員会に定期的に報告され、継続的なモニタリングが行われます。
また、リスクオーナーとして、グローバル事業・機能責任者、地域事業・機能責任者を任命し、更に各事業・機能でリスク管理を担うリスクコーディネーターを任命しています。リスクオーナーは、自身が管轄する領域において対策(例:組織体制、プロセス準備、重点対策など)を講じる責任を負います。
<エンタープライズ・リスクマネジメント体制>
エンタープライズ・リスクマネジメントの手法とアプローチ
当社グループでは、5つのリスクカテゴリー(1.戦略(外部環境変化を含む)、2.オペレーション&製品、3.ファイナンス、4.ガバナンス、5.IT&デジタル)、及びそれらを具体化したサブカテゴリーによるエンタープライズ・リスクマネジメント手法とアプローチを用いています。
<エンタープライズ・リスクマネジメント リスクカテゴリー>
また、当社グループでは、事業目標の達成や経営戦略に影響を及ぼす可能性があると合理的に判断されるリスクを評価し、明示するために、3つのリスク評価基準(1.エクスポージャー、2. 脆弱性、3.速度)を用いています。
- エクスポージャーは、発生可能性と発生時の影響によって決定します。可能性とは、リスクが顕在化する確率を示し、影響度とは、リスクが顕在化した場合の結果の重大性を示します。可能性と影響度のレベルは、定量的(財務的数値に基づく)または定性的基準として評価します。
- 脆弱性(Vulnerability)とは、リスクが発生した場合に、組織がそのリスクを管理する準備がどの程度できているかを示します。
- 速度 (Velocity)とは、リスク発生後、当社がどの程度の速さでリスクの影響を受けるかを示します。
<エンタープライズ・リスクマネジメント評価手法>
これらの基準に基づき、当社グループはリスクを積極的に特定、軽減し、監視しており、対応策を定期的に見直し、その有効性を検証しています。また、リスクを可視化して管理するため、エクスポージャー、脆弱性、速度を組み合わせてリスク評価結果を4つの象限に分け、当該リスクにどのように対処するべきかについて示す「3Dリスクマトリックス」と呼ばれる手法を用いています。さらに、最新のITツールを用いたデータベース及びダッシュボードを導入しています。2025年3月期においては、リスクポートフォリオを最適化し、同時にリスク記述を構造化、分類、標準化してより明瞭で分かりやすい記載を実現するため、社内で設計された人工知能ツールを用いてITツールをアップグレードしています。
エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス
当社グループのエンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスの主な構成要素は以下の通りです。
- リスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価)
- 対応策(リスクの低減、リスクマネジメント活動の実行及び調整)
- リスクモニタリング(リスクモニタリングプロセスの設計、実施、リスクトリートメント活動の有効性の評価)
- リスク報告(リスク及びその対応策を集約・評価し、関連するステークホルダーに定期的に報告する。リスク報告は、リスクマネジメントの年次計画の一部として立案・社内へ展開される)
エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスでは、いわゆる3つのラインモデルの考え方に沿って、リスクコントロール機能と各事業・機能が緊密に連携を行っています。また、リスクコントロール機能は、エンタープライズ・リスクマネジメント手法及び運用ガイダンスを提供、維持、開発する責任を負っています。
<エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス>
マクロ経済ビジネス環境
2024年4月以降の世界経済においては、サプライチェーンの混乱、エネルギー価格の上昇等により、多くの国で予想を上回ってインフレが進展しました。
地政学的緊張は引き続き世界のマクロ経済環境にリスクをもたらしています。ウクライナにおける戦争や中東情勢、米国と中国を含む主要経済国間の貿易摩擦等による不確実性に加え、足元では米国における追加関税に関する動向にも不透明感がみられ、グローバルな貿易とサプライチェーンにも大きな影響を与えています。
技術面では、デジタル技術、人工知能、自動化の急速な浸透が、生産性の向上を促進し、新たな経済機会を生み出している一方、データプライバシーとサイバーセキュリティーに関する懸念など、課題ももたらしています。
気候変動と持続可能性は、世界的に重要視されており、持続可能性の重視、二酸化炭素排出量の削減が求められていますが、一方で、大規模な設備投資の必要性や従来の産業への混乱が生じる可能性など、課題も抱えています。
医療機器セクターのリスク環境
メドテック企業各社は、上記のマクロ経済ビジネス環境に加えて、業界に特有の要因にも大きく影響を受けています。
この業界では、医療費の抑制や医療サービスの安全性・有効性の向上による患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、国内外で医療制度改革が継続的に実施されています。また、米国食品医薬品局(以下、FDA)や欧州医療機器規制(以下、EU-MDR)をはじめ、各国の医療機器申請・登録・市販後調査に対する法規制要件は年々厳格になっており、感染予防や再処理(洗浄・消毒・滅菌)に関する要件も複雑化しています。
各国の医療政策の変化、医療費の削減、医療関連法規の強化、感染予防や再処理に対する要求のさらなる高まりなどにより、技術開発のハードルや複雑さは増しています。それに伴い、新技術や代替技術だけでなく、IT技術大手をはじめとする異業種からの医療業界への参入もあり、事業環境は大きく変化しています。
さらに、先進国を中心に社会の高齢化が進むにつれ、医療に対するニーズは確実に高まっています。当社グループが関わる事業領域には多くの競合他社が存在しており、技術革新も進む中で、競争は一層激化しています。新興国市場においては、経済成長とともに医療ニーズが高まっており、さらなる成長が期待出来ると考えています。
また、当社グループが事業を展開する業界では、 グローバルで人材獲得競争が激化しており、労働市場の変化で退職率の高まりもみられ、人材の採用・育成・確保がますます重要になっています。
当社グループのリスク状況(2025年3月期)
2025年3月期に実施したグローバルリスクアセスメントに基づき、リスクを特定・評価しました。
3Dリスクマトリックスにおいて"Improve"の領域に特定されたリスクについては、対応策の優先順位を高く設定しています。"Test"の領域に特定されたリスクについては、既にコントロールが実施されていますが、同時に、定期的なモニタリングにより、既存のコントロールが適切にかつ効果的に機能しているか、確認しています。"Monitor"の領域に特定されたリスクは、エクスポージャーが許容可能なレベルであることを継続的に確認し、必要に応じて追加の対応策を設定します。
当社グループでは、リスクカテゴリーごとに、以下のトップリスクを報告しています。
リスクカテゴリー:戦略(外部環境変化を含む) |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスク傾向:上昇 |
リスクシナリオ |
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このリスクカテゴリーには、「計画・資源配分」、「事業開発・投資」、「コミュニケーション・ステークホルダーマネジメント」、「マーケットダイナミクス」、及び「不可抗力」が含まれます。最も高いリスクとして評価された中には、地政学上の脅威、不安定な市場における事業展開、サプライチェーンの混乱、が含まれています。
・地政学的緊張は、軍事紛争や貿易戦争によるサプライチェーンへの脅威、コスト増、急速に変化する制裁措置によるコンプライアンスリスクの発生などにより、トップリスクとして認識されています。 ・主要な市場において、国内産業の保護措置の実施等により、市場環境が大きく変化しています。関税の引き上げや国内サプライヤーへの優遇措置等により収益性が低下する可能性があります。 ・また、競争環境が激化する中で、価格・技術・品質等様々な面において競争力を有する製品を適時に投入する必要があります。 ・M&A活動には機会と脅威の両方が存在し、厳格なデューデリジェンスと体系的な統合プロセスが必要です。リスク軽減策が不十分な場合、のれんの減損や関連費用により、事業遂行、業績、財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループでは、上記のリスクに対応するために以下の対応策を実施しています。
・サプライチェーンの混乱に対する脆弱性を軽減するために、サプライチェーンの可視性を高め、サプライヤーを多様化させています。 ・競争環境をモニタリングし、代替技術や市場動向を特定することで、新技術の迅速な開発を可能とする体制の構築を推進しています。また、各主要市場の動向に応じて対応策を実施しています。中国においては現地製造に向けた準備を進展させているほか、米国においては追加関税の動向を注視しつつ、患者さんの安全と健康を最優先に、業界団体と緊密に連携しています。 ・潜在的な混乱を回避して顧客と患者さんへの継続的な供給を確保するための、グローバルな事業継続管理体制を強化しています。 ・自社開発とM&Aや戦略的提携を通じた外部技術獲得の両方を通じたイノベーションへのバランスの取れたアプローチ、およびインテリジェント内視鏡医療エコシステムをはじめとした高付加価値製品の開発を推進しています。 ・ターゲット選定、デューデリジェンス、買収後の統合効果を向上させるため、M&Aプロセスと体制を継続的に改善しています。 |
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経営戦略・方針との関連:患者さんの安全と持続可能性、成長のためのイノベーション、生産性の向上 |
リスクカテゴリー:オペレーション&製品 |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスク傾向:変化なし |
リスクシナリオ |
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このリスクカテゴリーには、「研究開発」、「製造・修理」、「エンド・ツー・エンド・サプライチェーン」、「販売・マーケティング・サービス」、「品質」、「資産」、及び「人的資源」が含まれます。最も重大なリスクは、主に製品品質、エンド・ツー・エンドのサプライチェーン、マーケティング&セールスに関連しており、製品の安定的な供給とライフサイクル管理に影響を与えます。 主な課題は以下の通りです。
・製造、品質、サプライチェーンマネジメント、研究開発機能にまたがり、大規模な資源配分を行いつつ、FDAから受領した警告書に係る是正活動を継続しています。 ・地政学的緊張の高まりと気候変動にともなう自然災害が増加する中、サプライチェーンの回復力は依然として持続的な課題と認識しています。 |
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対応策 |
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当社グループは、患者さんの安全を重視した高品質のサービスを提供するために、エンド・ツー・エンド・サプライチェーンの安定と品質プロセスの改善に優先的に取り組んでいます。主な活動は以下の通りです。
・グローバルな事業継続管理体制に継続的に取り組んでいます。 ・サプライチェーンの可視化向上プロジェクト推進とサプライヤーの多様化により、特定サプライヤーへの依存度を軽減させています。 ・品質マネジメントシステムとプロセスを強化し一貫性を持たせるために、グローバルな複数年にわたる品質プログラムを実施しています。 |
||
経営戦略・方針との関連:患者さんの安全と持続可能性、生産性の向上 |
リスクカテゴリー:ファイナンス |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスク傾向:変化なし |
リスクシナリオ |
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このリスクカテゴリーには、「資本構造」、「会計・報告」、「流動性・信用」、「収益サイクル」、及び「税務」が含まれています。
・外国為替レートの変動は、大きなリスクをもたらします。外貨建て取引に対するヘッジを行っていますが、円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響をもたらす可能性があります。 • 資金調達リスクは、資本及び借入等へのアクセスに影響を与える金融市場の変動や、借入コストに影響を与える企業業績から生じます。業績の悪化や金融市場の環境変化は、資金調達オプションを制限する可能性があります。 • グローバルな管轄当局における適用税法や解釈の変更により、税負担が増大する可能性があります。また、事業環境の変化や組織再編により、繰延税金資産の評価の見直しが必要になる可能性もあります。 ・顧客やサプライヤーの信用リスクが当社の財務の安定性に影響を与える可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループでは、次のような方法でファイナンスリスクの軽減を図っています。 ・為替変動を管理するために、為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を導入しています。この対応は外貨エクスポージャー低減のためのグローバルなキャッシュプーリングによって補完されています。 ・調達コストを最適化するための公募社債発行等による資金調達方法の多様化と、金利変動を最小化するための長期債務に対する固定金利採用を組み合わせて対応しています。 ・繰延税金資産を最適化するために管轄当局間の税法改正を積極的に監視し、グループ内取引ルールの適切な調整と徹底した収益性管理を行っています。 ・与信先の財務状況を体系的にモニタリングし、適切な対応を実施しています。 |
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経営戦略・方針との関連性:生産性の向上 |
リスクカテゴリー:ガバナンス |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスク傾向:変化なし |
リスクシナリオ |
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このリスクカテゴリーには、「カルチャー」、「規制」、「法務」、「コンプライアンス」、「データプライバシー」、及び「コーポレートガバナンス」が含まれます。
・断片化された契約管理プロセスとデータベースは透明性の欠如を生み出し、契約違反、クレームあるいは法的責任を招く可能性があります。 ・複雑な医療機器および貿易規制への対応には包括的な文書化が要求されますが、その不備により製品供給に直結するコンプライアンス違反を引き起こす可能性があります。 ・2023年3月期にFDAから受領した警告書で指摘された事項に対して実施中の是正活動は、規制を遵守するために完全に実行する必要がありますが、今後の経過によっては、FDAによりさらなる規制措置が取られる可能性があります。 ・不十分な事業継続管理体制は、自然災害やその他の緊急事態の際のオペレーションに混乱をきたす可能性があります。 |
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対応策 |
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当社グループでは、以下の対応でガバナンス改善を図っています。
・プロセス改善とデータベースの更新を伴う契約管理強化プロジェクトに取り組んでいます。 ・グローバルな品質保証・法規制対応の変革プロジェクト「Elevate」を推進しています。 ・2023年3月期にFDAから受領した警告書に関する是正措置に関して、引き続き全社で対応を推進しています。 ・既存の事業継続対策を標準化するために、一貫性があり、かつ的をしぼった事業継続管理体制を策定、実行します。 ・また、2025年3月期にCEOが辞任した件を踏まえて、当社はグローバル行動規範および関連する研修を改定し、私たちは当社の行動規範、ポリシー、および適用されるすべての法律・規制を遵守しなければならないことを明確化します。2026年3月期には、改定されたグローバル行動規範に関する年次研修を、全従業員を対象に実施するとともに、役員のメンタルケアの強化のサポート等に取り組んでいます。 |
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経営戦略や方針との関連:患者さんの安全と持続可能性 |
リスクカテゴリー:IT&デジタル |
リスクタイプ:機会と脅威 |
リスク傾向:変化なし |
リスクシナリオ |
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このリスクカテゴリーには、「ITセキュリティー・サイバー」、「ITアプリケーション」、「ITガバナンス」、「ITインフラ・サービス」及び「デジタル」が含まれます。
・デジタルシステムへの高い依存により、IT障害によるオペレーション混乱に関する脆弱性が生じる可能性があります。 ・サイバーセキュリティー侵害は、継続的なモニタリングと対応が必要な優先度の高いリスクと認識しています。 ・老朽化したITアプリケーションが耐用年数を迎えることにより、システム障害やオペレーション混乱を引き起こす重大なリスクとなる可能性があります。 ・当社製品におけるデジタル技術の統合が進むにつれ、バリューチェーン全体で包括的なサイバーセキュリティー対策が必要となります。 |
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対応策 |
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当社では、IT&デジタルリスクに対して以下の対応を図っています。
・複数年にわたる包括的なITセキュリティー・プログラムを計画通りに推進しています。 ・ITインフラの大規模な刷新、アップグレード、移管を計画通りに進めています。 ・サードパーティのプロバイダーに対するセキュリティーおよび協業要件を強化しています。 ・セキュリティー・インシデント発生時の顧客への影響を最小化するため、グローバルな事業継続管理体制構築プロジェクトにおいて、事業継続計画および災害復旧計画をアップグレードします。 ・最新のサイバーセキュリティー要件に沿った技術とプロセスにより、当社製品とデジタルサービスを保護します。 ・サイバーセキュリティーの脅威および日常業務における予防策に関する定期的な社員教育を実施します。 |
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経営戦略・方針との関連:患者さんの安全と持続可能性、生産性の向上 |
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該当事項はありません。
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