第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当中間連結会計期間(2024年10月1日から2025年3月31日まで)におけるわが国経済は、インバウンド消費の拡大や雇用・所得環境の改善などから、緩やかな回復の動きが見られました。一方で、米国新政権の影響や国際情勢の不安定化など、国内外における経済的な見通しは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループの属する情報サービス産業においては、「2025年の崖」(注1)をキーワードとしたDX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、アナログ的な事務作業のデジタル化や、オンプレミス(注2)で運用されているレガシーシステム(注3)のクラウド化など、業務効率化・企業競争力強化のためのIT投資は旺盛な状況となっております。一方で、未だ企業のDX化の進捗は十分に進んでいるとは言えず、今後、IT企業の役割はますます重要になっていくことが予想されます。総務省・経済産業省の「2024年経済構造実態調査」によりますと、情報通信業の2023年売上高は前年比7.6%増の85兆6,434億円となっており、引き続き、市場全体として拡大傾向に進むと思われます。また、DX時代の人材戦略としてリスキリングが重要視されており、デジタル技術の力で企業価値を創造できる能力やスキルの再開発が必要となってきております。

 このような環境の中、当社グループにおいては、中長期的視点から事業利益の創出に取り組むための「中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)」及び中長期ビジョン「Vision2028」(2028年9月期目標:売上高100億円・営業利益10億円)を策定し、元請け案件や受託案件の獲得拡大に対する取り組みや顧客企業のセキュリティ課題解決に対する取り組み、生成系AIや仮想空間を活用した技術開発への取り組み等、各施策を積極的に遂行してまいりました。さらに、当社グループが提供している教育サービス業務で蓄積した研修ノウハウの活用や、社内での技術共有を進めることで、より規模の大きな案件や難易度の高い案件を確保するために必要な技術力の強化、プロジェクトマネージャー(注4)の育成やコンサルティング力の強化を進めてまいりました。

 これらの結果、当中間連結会計期間における売上高は3,395百万円(前年同期比2.9%増)となりましたが、社員の待遇向上に伴う人件費の増加に加え、本社移転関連費用及び社内IT投資費用の増加等により、営業利益は215百万円(同5.5%減)、経常利益は215百万円(同5.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は148百万円(同2.5%減)となりました。

 

(注1)「2025年の崖」とは、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート」内で示された言葉で、過度に複雑化した国内の古いシステムを刷新しない限り、2025年以降に最大で毎年12兆円の経済損失が生じる可能性があるといわれています。

(注2)「オンプレミス」とは、システムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバやネットワーク機器、あるいはソフトウェアなどを自社で保有し運用するシステムの利用形態です。

(注3)「レガシーシステム」とは、過去の技術や仕組みで構築されている古いシステムのことを表します。

(注4)「プロジェクトマネージャー」とは、プロジェクトの計画、遂行に責任を負うプロジェクトの管理者のことをいいます。

 

 セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 なお、各セグメントの業績数値には、セグメント間の内部取引高を含んでおります。

 

(システムインテグレーション事業)

 業務用システムの設計・開発及び構築、運用保守の各工程を、当社グループにて提供できる体制(ワンストップ体制)を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。IT通信業・金融業・流通業・医療・官公庁等の幅広い業種に対応しており、業務用アプリケーションの設計開発業務、インフラシステムの設計構築業務、業務用アプリケーション・インフラシステムの運用保守業

務等を行っております。

 

 当中間連結会計期間においては、加速化する企業のDX推進を背景に、サーバリプレイスや基幹システムリプレイス、クラウドストレージ導入に伴うデータ移行、標的型メール訓練サービス(注5)などの案件が、引き続き増加傾向となりました。さらに、大型案件の引き合いも増加しており、それらの案件を迅速かつ高品質で対応するため、ビジネスパートナー(注6)を積極的に活用するとともに、前連結会計年度に発足した当社の品質管理専門チームを中心に品質の管理・向上に十分に努めながら各案件を遂行してまいりました。

 当社ホームページへの問い合わせ件数につきましても増加傾向となっており、元請け案件の獲得にも繋がっております。引き続き、楽々WorkflowⅡ(注7)や楽々Framework3(注8)、COMPANY(注9)などの問い合わせが増加傾向となっております。また、昨年8月より販売を開始した自社製品「Syslog Watcherアプライアンス『ためログ』」(注10)についても、Webマーケティングなどを活用しながら積極的に販売展開してまいりました。

 これらの結果、システムインテグレーション事業の売上高は3,246百万円(前年同期比3.1%増)、セグメント利益につきましては734百万円(同8.6%増)となりました。

 

(注5)「標的型メール訓練サービス」は、株式会社ブロードバンドセキュリティと協業し、提供しているサービスです。

(注6)「ビジネスパートナー」とは、外注先企業に在籍しているエンジニアのことをいいます。

(注7)「楽々WorkflowⅡ」は、本格的なワークフローも簡単・スピーディに実現し、グローバルにも対応した電子承認・電子決裁システムです。(住友電気工業株式会社の登録商標です。)

(注8)「楽々Framework3」は、システム開発の費用・リスクを大幅に削減できる純国産ローコード開発プラットフォームです。(住友電気工業株式会社の登録商標です。)

(注9)「COMPANY」はクラウド型統合人事システムで、株式会社Works Human Intelligenceが製造・販売している製品です。

(注10)「Syslog Watcherアプライアンス『ためログ』」は、当社で開発した製品で、あらゆるネットワークデバイスのシステムログを収集し一元管理することができるログ管理ソリューションです。

 

(教育サービス・セキュリティソリューション事業)

 当該事業は、自社で開発した商材を基に、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修業務を行う教育サービス分野と、セキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行うセキュリティソリューション分野をサービス領域として提供しております。

 

 教育サービス分野については、IT研修の企画及びコンサルティング、研修プログラムの開発、研修実施の各工程を当社グループにて提供できる体制を構築しており、顧客の要望に応じて、全工程の業務サービス、または、工程別の業務サービス提供を行っております。当社連結子会社のアスリーブレインズ株式会社が当該分野を担っております。

 当中間連結会計期間においては、新規研修の研究開発を継続するとともに、講師の育成強化を図りました。売上につきましては、昨今のITスキル習得需要の高まりを背景に、無線LAN構築や生成系AI関連の研修の受注が増加傾向となりました。新規研修としては、前連結会計年度にリリースした「Copilot for Microsoft 365(注11)体験研修」が好評であったことを受け、より効果的なCopilot活用を

目的とした「Copilot for Microsoft 365応用研修」を昨年10月にリリースいたしました。生成系AIの市場はさらに拡大することが予想されていることから、教育サービス分野にとどまらず、システムインテグレーション事業へ波及する可能性もあり、今後、新しい付加価値を生み出すイノベーションが期待されます。

 また、顧客企業においては、DX化のためのIT人材確保や育成が重要になってきているとともにリスキリングの重要性も叫ばれていることから、当社グループが提供するIT教育サービスの需要は、今後ますます増加していくものと見込んでおります。

 

 セキュリティソリューション分野については、主に、金融機関やクレジットカード会社、保険会社など、監査やセキュリティに対して厳格な業界を対象に、サーバやデータベースを操作したログを取得するセキュリティ製品の開発、販売、導入、保守を行っております。当社連結子会社のウイーズ・システムズ株式会社が当該分野を担っております。

 自社製品として、重要システムからの情報漏洩リスクを防ぐIT運用統制ソフトウェアツール群「WEEDS Trace」(注12)を販売しており、さまざまな情報システムのログを収集する主要製品をベースに、顧客の目的に応じて、必要な機能やライセンスの提供を行っております。

 当中間連結会計期間においては、顧客の多様なニーズに柔軟に対応できるよう、前連結会計年度から引き続き、「WEEDS Trace」の機能拡張を実施いたしました。売上につきましては、公共法人向け及び地方銀行向けのライセンス販売が好調となりました。

 

 これらの結果、教育サービス・セキュリティソリューション事業の売上高は174百万円(前年同期比4.9%増)となりましたが、新規研修の研究開発及び研修運営体制強化に伴う外注費の増加等により、セグメント利益につきましては42百万円(同20.2%減)となりました。

 

(注11)「Copilot for Microsoft 365」は、大規模言語モデル(LLM:Large Language Model)をTeams、Word、Excel、PowerPoint、Outlookなどの各Officeアプリケーションに組み込み、組織内のチームやメンバーの生産性向上や業務効率化を改善するためのツールです。

(注12)「WEEDS Trace」は、当社連結子会社のウイーズ・システムズ株式会社で企画・開発した特権IDの管理・重要情報保護のためのセキュリティソフトウェア製品です。

 

(2)財政状態の分析

①流動資産

 当中間連結会計期間末における流動資産は2,105百万円となり、前連結会計年度末に比べ52百万円減少いたしました。これは、主に売掛金及び契約資産が82百万円及び仕掛品が39百万円増加した一方、現金及び預金が167百万円減少したことによるものであります。

②固定資産

 当中間連結会計期間末における固定資産は899百万円となり、前連結会計年度末に比べ164百万円増加いたしました。これは、主に有形固定資産が82百万円、無形固定資産のその他が20百万円、繰延税金資産が19百万円及び投資その他の資産のその他が53百万円増加した一方、のれんが11百万円減少したことによるものであります。

③流動負債

 当中間連結会計期間末における流動負債は1,198百万円となり、前連結会計年度末に比べ11百万円増加いたしました。これは、主に買掛金が13百万円、未払法人税等が32百万円及び流動負債のその他が83百万円増加した一方、1年内返済予定の長期借入金が33百万円、契約負債が46百万円及び賞与引当金が30百万円減少したことによるものであります。

④固定負債

 当中間連結会計期間末における固定負債は294百万円となり、前連結会計年度末に比べ27百万円増加いたしました。これは、主に退職給付に係る負債が18百万円増加したことによるものであります。

⑤純資産

 当中間連結会計期間末における純資産は1,512百万円となり、前連結会計年度末に比べ73百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が75百万円増加したことによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ167百万円減少し、904百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は35百万円(前年同期は99百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益215百万円、賞与引当金の減少30百万円、売上債権及び契約資産の増加82百万円、棚卸資産の増加34百万円、その他の負債の減少31百万円、法人税等の支払額55百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は97百万円(前年同期は58百万円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出29百万円、保証金の差し入れによる支出47百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は105百万円(前年同期は97百万円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出33百万円及び配当金の支払額72百万円によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(7)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。