第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

継続企業の前提に関する重要事象等

当社は、がん免疫療法市場の環境変化に伴う細胞加工業の売上急減後、回復が十分でないことに加え、再生医療等製品事業分野における自社製品の開発進捗に伴う支出が累増しているため、継続的に営業損失及びマイナスの営業キャッシュ・フローが発生しており、継続企業の前提に疑義を生じさせるリスクが存在しております。

しかしながら、当社は、細胞加工業セグメントにおいては、特定細胞加工物の受託拡大と新規のCDMO案件の獲得等にて売上高の回復を図るとともに、製造体制の適正化による原価の低減、販売費の効率化等により、同セグメントのセグメント利益の黒字回復を目指しております。また、再生医療等製品事業セグメントにおいては、早期の製造販売承認の取得に向けて有望でかつ可能性の高いシーズを優先して開発を進めるとともに、再生医療等製品の開発費等については資金状況を勘案の上、機動的に資金調達を実施してまいります。現状では、2019年6月の第14回及び第15回、2020年7月の第16回、2020年9月の第17回、2021年9月の第18回並びに2023年3月の第19回新株予約権の発行による再生医療等製品開発費の資金調達等により、安定的なキャッシュポジションを維持しており、当面の資金繰りに懸念はないものと判断しております。これらに加えて、当社における当中間会計期間末の資金残高の状況を総合的に検討した結果、事業活動の継続性に疑念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当中間会計期間(2024年10月1日から2025年3月31日まで)においては、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大等を背景に、景気は緩やかな回復基調となりましたが、一方では物価上昇の継続やアメリカの政策動向等の影響により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 こうした状況の中、当社は事業の中核をなす医療機関向けの特定細胞加工物の製造に加えて、企業等に向けた細胞加工業への展開、再生医療等製品の開発の加速等、新たなビジネス領域の拡大により早期の収益構造の改善に注力しておりますが、当社を取り巻く事業環境は依然として厳しさが続いております。

 この結果、当中間会計期間における経営成績は以下のとおりとなりました。

(金額単位:百万円)

 

売上高

営業損失(△)

経常損失(△)

中間純損失(△)

1株当たり

中間純損失

(△)

当中間会計期間

404

△755

△710

△705

△2.67円

前中間会計期間

399

△658

△632

△634

△2.55円

増減率(%)

1.3

 当中間会計期間においては、「特定細胞加工物製造業」の売上高は前年同期に計上した技術移転一時金は発生しなかったものの、前年より開始した株式会社資生堂より技術提供を受けた製造受託に伴う売上高が期初より発生したほか、「バリューチェーン事業」の売上高が52百万円(前年同期比85.6%増)となったことから、売上高は404百万円(前年同期比1.3%増)となりました。損益面につきましては、上記のとおり売上高が増加した一方、細胞加工受託の拡大に向けた新規細胞加工の受託体制の整備に係る先行投資により原価が増加し、売上総利益は58百万円(前年同期比24.8%減)、販売費の増加等により販売費及び一般管理費は814百万円(前年同期比10.5%増)となり、営業損失は755百万円(前年同期は営業損失658百万円)となりました。また、加工中断収入5百万円(前年同期比15.7%増)、投資事業組合運用益30百万円(前年同期比48.8%増)等の営業外損益により、経常損失は710百万円(前年同期は経常損失632百万円)となり、投資有価証券売却益7百万円を特別利益に計上したことにより、中間純損失は705百万円(前年同期は中間純損失634百万円)となりました。

 報告セグメント別の経営成績の概況は、以下のとおりであります。

 

(金額単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

(注)1

中間損益計算書

計上額(注)2

細胞加工業

再生医療等製品事業

売上高

セグメント

損失(△)

売上高

セグメント

損失(△)

セグメント

損失(△)

売上高

セグメント

損失(△)

当中間会計期間

404

△231

0

△216

△307

404

△755

前中間会計期間

399

△154

0

△219

△285

399

△658

(注)1.セグメント損失(△)の調整額は、全社費用であります。全社費用は、報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

2.セグメント損失(△)は、中間損益計算書の営業損失と調整を行っています。

 

① 細胞加工業

 細胞加工業については、細胞加工業の3つのビジネス領域(「特定細胞加工物製造業」・「CDMO事業」・「バリューチェーン事業」)の拡大に向けて積極的な活動を展開しております。当中間会計期間においては、「特定細胞加工物製造業」では従来の免疫細胞の製造受託に加え、前年より開始した株式会社資生堂より技術提供を受けたS-DSC®の製造受託開始に伴う売上高が期初より発生しましたが、前年同期に計上した技術移転一時金が発生しなかったことから売上高は300百万円(前年同期比5.6%減)、「CDMO事業」では従来のヤンセンファーマ株式会社からの製造受託が継続しており売上高は51百万円(前年同期比2.7%減)となりました。一方、「バリューチェーン事業」ではMedigen社からのロイヤリティ収入及び医療機器の販売等が発生したことから売上高が52百万円(前年同期比85.6%増)となった結果、売上高は404百万円(前年同期比1.3%増)となりました。細胞加工受託の拡大に向けた新規細胞加工の受託体制の整備に係る先行投資による原価の増加や販売費の増加等より、セグメント損失は231百万円(前年同期はセグメント損失154百万円)となりました。

 

② 再生医療等製品事業

 再生医療等製品事業については、九州大学と共同で実施しておりました慢性心不全治療を目的とする再生医療等製品(α-GalCer/DC)の医師主導第Ⅱb相試験の結果を踏まえて総合的に検討した結果、α-GalCer/DCの開発中止を2024年11月に決定いたしました。今後、α-GalCer/DCにかわる開発候補品の早期獲得を目指すとともに、国内外で行われている再生医療等製品の開発動向にも注目し、それらのパイプライン取得、拡充を行ってまいります。当中間会計期間においては、売上高は0百万円(前年同期比12.0%増)、研究開発費の減少等によりセグメント損失は216百万円(前年同期はセグメント損失219百万円)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(財政状態)

 

前事業年度末

当中間会計期間末

増減

資産合計(百万円)

5,700

5,437

△262

負債合計(百万円)

509

1,004

495

純資産合計(百万円)

5,190

4,432

△757

自己資本比率(%)

91.1

81.5

△9.6

1株当たり純資産(円)

19.62

16.75

△2.87

資産合計は、前事業年度末に比べて262百万円減少し、5,437百万円となりました。主な要因は現金及び預金1,299百万円の減少、有価証券の増加500百万円、流動資産「その他」の増加501百万円です。

負債合計は、前事業年度末に比べて495百万円増加し、1,004百万円となりました。主な要因は、未払金482百万円の増加です。

上記の流動資産「その他」及び未払金の増加は合同金銭信託の購入の過程で一時的に発生したものであり、自己資本比率が一時的に減少しております。

純資産合計は、前事業年度末に比べて757百万円減少し、4,432百万円となりました。主な要因は、第29回定時株主総会決議に基づく欠損填補による資本金1,387百万円及び資本準備金1,327百万円の減少並びに利益剰余金2,714百万円の増加、また中間純損失計上に伴う利益剰余金705百万円の減少です。

以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末の91.1%から81.5%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて2,299百万円減少し、2,351百万円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 なお、当社は、現金及び現金同等物を、取得日から満期までの期間が3ヶ月以内の短期投資であり、容易に換金可能で、かつ価格変動リスクが僅少なものと定義しております。当中間会計期間末において保有する一部の定期預金については、満期までの期間が3ヶ月を超えており、かつ途中解約による即時換金が制限されているため、現金同等物には含めず、投資活動によるキャッシュ・フローとして計上しております。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によって使用した資金は754百万円(前年同期は573百万円の使用)となりました。

 これは主に、税引前中間純損失703百万円、売上債権の増加73百万円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によって使用した資金は1,543百万円(前年同期は17百万円の使用)となりました。

 主な支出は、定期預金の預入による支出1,000百万円、有価証券の取得による支出500百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によって使用した資金は2百万円(前年同期は1,095百万円の獲得)となりました。

 主な支出は、株式の発行による支出1百万円であります。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間会計期間における研究開発活動の金額は、234百万円であります。

① 細胞加工業

 当中間会計期間においては、脂肪由来間葉系幹細胞の凍結製品の実用化を目指し、非臨床試験、細胞の品質に関

するデータの取得、製造のセットアップを進めております。

 なお、当中間会計期間における細胞加工業に係る研究開発費は48百万円であります。

 

② 再生医療等製品事業

九州大学と慢性心不全の治療に用いる再生医療等製品(α-GalCer/DC)の実用化を目指して共同で実施しておりました医師主導第Ⅱb試験(以下「PⅡb試験」)については、九州大学において試験データの解析が行われた結果、一部評価項目において有効性を示唆する結果は得られたものの、主要評価項目を達成できなかったことから、九州大学とも協議を行い、総合的に判断した結果、本製品の開発を中止することを決定しました。

自家細胞培養軟骨「MDNT-01」(米国製品名NeoCart®)の開発については、現在NeoCart®の資産を保有しておりますOcugen社(所在地:米国ペンシルベニア州モルバーン市)は、米国での2025年中の治験開始に向け治験製品製造体制を整備中です。一方、当社においてはOcugen社がFDAと合意した追加の米国PhaseⅢ試験プロトコルを参考に国内試験デザインについてPMDAと事前面談を行い、現在対面助言の実施に向けて相談資料を作成しております。今後、国内試験デザインについてのPMDAとの協議結果並びに、Ocugen社での治験製品製造体制確立の情況を考慮し、日本における自家細胞培養軟骨「MDNT-01」の開発方針を今期中に決定する予定です。

その他の開発パイプラインについては当中間会計期間において、研究開発状況に重要な変更等はありません。

なお、当中間会計期間における再生医療等製品事業に係る研究開発費は186百万円であります。

 

(7)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。