独立監査人の監査報告書

 

 

 

2025年5月13日

綜合警備保障株式会社

 

 

 

 

取締役会 御中

 

 

 

太陽有限責任監査法人

 

 

東京事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

新井 達哉

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

土居 一彦

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

上原 啓輔

 

監査意見

当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている綜合警備保障株式会社の2020年4月1日から2021年3月31日までの連結会計年度の訂正後の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、  綜合警備保障株式会社及び連結子会社の2021年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

監査上の主要な検討事項

監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

 

のれんの評価

(【注記事項】(重要な会計上の見積り)、(追加情報)、(企業結合等関係))

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

近年、会社はM&Aを活用して事業を強化しており、取得時にのれんが生じている。

当連結会計年度においては、2020年4月30日付にて、介護事業を営む株式会社らいふ及び食品検査事業等を営む株式会社エムビックらいふの持株会社である株式会社らいふホールディングスの全株式を15,500百万円で取得し、12,770百万円ののれんを計上している。

2021年3月31日現在、のれんの連結貸借対照表計上額は29,678百万円であり、金額的重要性が高く、特にセキュリティ事業及び介護事業を営む会社のM&Aによって多額ののれんが計上されている。

会社は、のれんを含む資産をグルーピングした上で、取得時に見込んだ超過収益力が将来にわたって発現するかに着目し、事業計画に基づく営業利益及び割引前将来キャッシュ・フローをモニタリングすることによって、のれんの減損の兆候の把握、減損損失の認識の判断を行っている。

また、当該事業計画には、結合後企業の事業計画に加え、綜合警備保障株式会社のグループ化に伴い期待したシナジー効果を含めている場合がある。

さらに、会社は、介護事業を営む会社の事業の一体化と経営基盤強化を図るため、2020年6月18日付にて株式会社ウイズネットの商号をALSOK介護株式会社へ変更し、2020年10月1日付で株式会社HCM、ALSOKあんしんケアサポート株式会社の介護事業部門、及び有限会社あんていけあをALSOK介護株式会社と統合している。これにより、会社は、各社の事業を在宅事業、施設介護事業、高齢者向け住宅事業のそれぞれ事業単位に統合し、各社に係るのれん残高を合算した上で、より大きな単位で資産のグルーピングを行っている。

のれんの減損に関する当該判断については、将来の事業計画に考慮されている経営者の仮定や固有の判断に大きく影響を受けること及び昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い当該仮定の不確実性が高くなっていることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当監査法人は、のれんの評価を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

 

・内部統制の評価

資産のグルーピング、減損の兆候の把握、減損損失の認識、減損損失の測定に至るまでののれんの評価に関連する内部統制の整備状況及び運用状況を評価した。

評価した内部統制にはのれんの評価に用いられた事業計画の会社の査閲や承認手続を含んでいる。

 

・グルーピング

資産のグルーピングが適切に行われていることを確かめるため、管理会計上の区分や投資の意思決定を行う際の関連資料を閲覧した。

特に2020年10月1日に行われた介護事業4社の統合に伴う資産のグルーピング見直しの合理性を検討するに当たっては、主に以下の手続を実施した。

・統合前の超過収益力が統合後においても維持されるか検討するため、統合前の事業計画に考慮されている重要な仮定が、統合後の将来の事業計画においても考慮されているか検討した。

・各社に係るのれん残高を合算した上で、より大きな単位で資産のグルーピングを行っていることの合理性を検討するため、他の単位から生ずるキャッシュ・イン・フローと相互補完的であるかという観点から管理会計上の区分や事業の性質、市場などの類似性について、会社の財務報告の責任者と統合後の組織体制や内部管理体制を議論するとともに、業務執行会議事録等を閲覧した。

 

・減損の兆候の把握

減損の兆候の把握が適切に行われていることを確かめるため、過年度にのれんの評価に用いられた事業計画と実績の比較分析を行い、乖離がある場合にはその要因分析を行った。

また、当該事業計画に綜合警備保障株式会社のグループ化に伴うシナジー効果を含めている場合には、その効果の発現状況について実績との比較分析を行った。

 

・減損損失の認識

減損の兆候を把握した場合には、減損損失の認識の判定が適切に行われているかを検討するため、事業計画に考慮されている重要な仮定を含め、将来の事業計画の合理性を検討した。当該検討には、グループ化に伴うシナジー効果の検討を含んでいる。

将来の事業計画の合理性を検討するに当たっては、主に以下の手続を実施した。

・過年度にのれんの評価に用いられた事業計画と実績を比較分析することにより、将来計画の見積りの精度を評価した。これには、新型コロナウイルス感染症が業績に与えた影響の程度を確かめ、今後の事業計画に与える影響を評価することを含んでいる。

・将来の事業計画及び事業計画に考慮されている重要な仮定について財務報告の責任者と議論した。

 

なお、将来の事業計画の合理性を検討する際に、評価の対象とした事業計画に考慮されている重要な仮定は以下のとおりである。

 

(1) セキュリティ事業

常駐警備、機械警備、警備輸送等の受注の状況や人員計画、売上高の成長率等

 

(2) 介護事業

介護事業は、在宅介護事業、施設介護事業、高齢者向け住宅事業に区分されており、それぞれ評価の対象とした重要な仮定は以下のとおりである。

在宅介護事業

職員1人当たりの売上高、既存拠点の利益率、人員計画等

施設介護事業

既存施設の将来事業計画、新規施設の開設状況、新規施設及び既存施設の入居率、人員計画等

高齢者向け

住宅事業

新規施設・既存施設の事業計画、新規施設の開設状況、人員計画等

 

 

 

株式会社らいふホールディングス株式の取得原価の配分

【注記事項】(企業結合等関係))

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

近年、会社はM&Aを活用して事業を強化しており、当連結会計年度において株式会社らいふ及び株式会社エムビックらいふの持株会社である株式会社らいふホールディングス(以下、3社まとめて「らいふグループ」という)の株式を取得し、新たに連結子会社としている。

当該株式の取得原価は15,500百万円であり、会社は純資産との差額13,690百万円を以下のように配分している。

 

①:顧客関連資産へ配分

1,406

百万円

②:①に係る税効果

(繰延税金負債)

△486

百万円

③:のれんとして計上

12,770

百万円

合計

13,690

百万円

 

会社は、受け入れた資産に法律上の権利など分離して識別可能な無形資産(以下、「識別可能資産」という)が含まれる場合には、当該無形資産は識別可能なものとして取り扱っており、らいふグループ株式の取得に当たっては、施設介護事業等に係る顧客関連資産を識別している。

また、顧客関連資産は、その資産が生み出す将来キャッシュ・フローに基づき算定されており、顧客減少率や既存顧客関連の営業利益等の重要な仮定が含まれている。さらに、会社は顧客関連資産の価値の算定に当たり、専門家を利用している。

当該顧客関連資産の金額的重要性は高く、取得原価の配分に当たっては、専門的な知識を必要とする複雑な会計上の見積りが含まれることから、当監査法人は当該事項を監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

 

当監査法人は、株式会社らいふホールディングス株式の取得原価の配分の妥当性を検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

 

・内部統制の評価

取得原価の配分に関連する内部統制の整備状況及び運用状況を評価した。

 

・識別可能資産の網羅性の検討

取得原価のうち配分すべき資産が顧客関連資産以外に存在しないことを、取締役会等の意思決定機関の議事録、開示資料及び買収関連資料の閲覧、並びに経営者への質問等により確かめた。

 

・会計基準への準拠性の検討

企業結合に関する会計基準(企業会計基準第21号)及び企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(企業会計基準適用指針第10号)に従った会計処理が行われているか検討を行った。具体的には以下のとおりである。なお、当該検討に当たり、必要と認められた領域については、無形資産価値の評価に係る専門知識を有する専門家を利用している。

・顧客関連資産

(1) 顧客関連資産の価値の算定に当たり、会社が利用した専門家が作成した情報を監査証拠として利用するため、以下の手続を実施した。

・専門家の適性、能力及び客観性を評価した。

・専門家の業務を理解した。

・専門家の業務について、監査証拠としての適切性を評価した。

(2) 顧客関連資産の価値の算定の妥当性を検討するため、以下の手続を実施した。

・顧客関連資産が生み出す将来キャッシュ・フローに関し、経営者が想定した前提及び計画値について財務責任者と協議し、その合理性を検討した。なお、これには顧客減少率や既存顧客関連の営業利益等の重要な仮定を含んでいる。

・価値の算定に用いられた割引率について、利用可能な外部データを用い、使用された割引率の妥当性を評価した。

・顧客関連資産が生み出す将来キャッシュ・フローの計算モデルを再構築の上、顧客関連資産の価値を再計算し、会社の計算結果と比較した。

 

 

強調事項

追加情報に記載されているとおり、会社は、連結財務諸表を訂正している。

当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。

なお、当監査法人は、訂正前の連結財務諸表に対して2021年6月24日に監査報告書を提出しているが、当該訂正に伴い、訂正後の連結財務諸表に対して本監査報告書を提出する。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見を表明するために、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指示、監督及び実施に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去又は軽減するためにセーフガードを講じている場合はその内容について報告を行う。

監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

 

利害関係

会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以 上

 

(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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