第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

当社の経営理念は、『我が社は、「ありがとうの心」と「武士の精神」をもって社業を推進し、お客様と社会の安全・安心の確保のために最善を尽くす。』であります。これに基づく経営指針として、社徳の確立を基本精神に、お客様に対して最高の商品・サービスをご提供することを最優先とし、併せて社員にとって働きがいのある会社の実現に努めるとともに、収益を拡大すること、警備業を中核としつつ新たな分野における商品・サービスを幅広くご提供すること、社会の発展に貢献するサービスの展開と商品の開発を行うことを定めております。

(2)目標とする経営指標

当社グループは、収益性の向上のためセキュリティ事業を中心とした事業の拡大及び業務全般にわたる合理化・効率化の推進を重要な課題として位置付けており、現状では経営指標として「連結売上高経常利益率」を重視しております。また、株主資本の最適活用を図る経営指標としては、「ROE(連結自己資本当期純利益率)」を重視しております。中期的には、両指標とも10%以上を想定しております。

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、中長期的なグループの経営戦略として、中期経営計画「Grand Design 2025」を策定いたしました。中期経営計画「Grand Design 2025」では、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに対応すべく、警備ビジネスモデルの変革を推進し、強靭な「綜合安全安心サービス業」を目指し、お客様と社会の安全・安心ニーズへの対応能力の強化、デジタル化とデータ活用、社員が活躍できる環境の構築、サステナビリティへの取組強化を行ってまいります。

(4)経営環境及び会社の対処すべき課題

当社グループは、日本の警備業におけるリーディングカンパニーとして、社会の安全・安心の確保に貢献するとともに、法令を遵守し、社徳のある会社を目指して、より一層の企業価値向上に取り組んでまいります。また、リスクが多様化する社会の中で、安全・安心に係る社会インフラの一翼を担う企業として、既存の業務領域における融合強化・新たな業務領域の拡大を図り警備ビジネスモデルの変革を推進し、拡大するお客様と社会の安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。

ア 新型コロナウイルス感染症への対応

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に係る国の基本的対処方針、自治体による事業者向けガイドライン等に基づき、感染症拡大防止及び事業継続に適切に取り組んでいくとともに、お客様と社会の新たな安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。

イ お客様と社会の多様な安全・安心ニーズへの対応

新型コロナウイルス感染症の再拡大の中にあって、高齢者、女性、子ども等の社会的弱者を狙った身近な犯罪の増加、相次ぐ自然災害やインフラ老朽化等社会を取り巻くリスクは多様化しており、安全・安心に関するニーズに的確に最高の品質で応えていくことが重要であると認識しております。

当社グループではこれらのニーズに対して、お客様個々人の安全・安心を見守るサービス、BCPソリューション等自然災害リスクに対応するサービス、働き方改革を背景とした各種アウトソースニーズへの対応、建物設備やインフラに対する包括的な管理サービス等、警備・ファシリティマネジメント業等で培った内外インフラの強化と多様なサービス機能を組み合わせた新たなソリューション、外部とのアライアンス(連携)による対応能力強化により、引き続き拡充してまいります。

また、大規模イベントや施設警備におきましては、これまで培ってきた警備ノウハウに新たなICTを組み合わせ、IoT機器を装備した警備員等における円滑な連携を実現することで、事案の発生や予兆にいち早く対応する最先端の警備をご提供することにより、7月開催の東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の警備も展望し、より迅速・より広範囲にわたる警備力の向上とコストの最適化を実現させるサービスの展開を図ってまいります。

ウ 事業領域の拡大

当社グループでは、個人のお客様の安全・安心に関する様々なニーズにお応えするとともに、企業活動を多方面からサポートするため、介護事業や施設管理・工事等に係る事業などセキュリティ事業とシナジー効果の見込める新規事業・サービスにも積極的に取り組んでまいりました。今後もこのような観点から事業領域の拡大を加速させてまいります。

エ 海外事業の展開

当社グループは、海外でも高まる安全・安心ニーズに対し、日本で培ったノウハウを基に、国ごとに最適な商品・サービスをご提供し、お客様の海外事業をサポートするべく、積極的な展開を図ってまいります。

オ デジタル化とデータ活用

デジタル技術の進展等、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化する中、お客様とのコミュニケーション強化やデータ活用による新たなサービスの創造、社内のフロント部門やバックオフィスにおけるオペレーションの効率化・省人化による生産性向上や新たな付加価値創出に注力してまいります。

カ 社員が活躍できる環境の構築

当社グループは、セキュリティ事業、設備・工事を含めた綜合管理・防災事業、介護・高齢者生活支援事業の各事業を牽引する多様な人材の採用並びに多様な働き方の提供、能力開発など個々の働き手が持てる能力を最大限に発揮できる制度、環境を整備し、エンゲージメントを高めながら、グループ内の働き方改革を一層推進してまいります。

キ サステナビリティへの取り組み強化

当社グループは、ガバナンスの強化によって、持続的な成長の実現と、中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいります。また、CSR活動を通じてSDGsの達成に貢献するとともに、地球環境問題が人類共通の課題であるとの認識のもと、持続可能な社会の実現に貢献することを目指して、環境に配慮した活動を推進してまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)感染症の流行に関するリスク

ア 継続的なサービスの提供に関して

当社グループは、社会の安全・安心に関するサービス(セキュリティサービス事業、綜合管理・防災事業、介護・高齢者生活支援事業)を行う事業者として、適切にサービスを提供し、事業を継続してまいります。

仮に、当社グループの重要な施設等を警備する社員や、当社グループが運営する介護施設等において集団感染が発生した場合、継続的なサービスの提供に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の危機にさらされるなか、感染拡大防止に向けた対応として、本社内に「対策本部」を設置し、安定した各種サービスの提供に努めているところであり、感染拡大防止に向けた取り組みとして、下記の対応を行うとともに、継続的なサービス提供が維持できるようコンティンジェンシープランを策定しております。

 

(感染拡大防止に向けた取り組み)

・日頃からの体調管理はもとより、勤務前の検温(サーモグラフィーによる検温チェック等)、マスクの着用、頻繁な手指の消毒等を徹底しております。

・当社グループの各施設においては、とりわけ介護施設等においては、マスクの着用等を徹底し、感染拡大防止のための入館規制を行うとともに、施設内清掃を徹底しております。

・業務特性を踏まえながら「三つの密」を避けるための対策として、管理部門、営業部門の社員を中心に在宅勤務(リモートワーク)を行っております。なお、お客様への対応に支障の無いよう在宅勤務者はiPadやオンライン会議システム・Eメール・電話等を通じて、お客様とご連絡をとっております。

 

今後とも当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に係る国の基本的対処方針、自治体による事業者向けガイドライン等に基づき、感染症拡大防止及び事業継続に適切に取り組んでいくとともに、お客様と社会の安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。

 

また、当社が使用する機器の海外供給業者の操業停止や、物流の逼迫等によって機器の調達に障害が生じた場合、継続的なサービスの提供に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社グループは、主要な機器の調達に関しては、一定量を在庫として保有するなどして、事業を継続するための体制構築に努めております。

 

イ 事業環境に関して

警備分野においては、1年延期された東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される一方、引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響により、各種イベントの中止や延期・規模縮小、店舗の休廃業による警備契約の中断・値下げ等の影響が予想されます。他方、お客様の感染症防止対策へのサポート、高齢者、女性、子ども等の社会的弱者の安全・安心への懸念、相次ぐ自然災害やインフラ老朽化など、警備・設備・介護のトータルでのサービス提供が当社グループに期待されております。

このような事業環境の中で当社グループは、国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務である社会の安全・安心に関するサービス(セキュリティサービス事業、綜合管理・防災事業、介護・高齢者生活支援事業)を行う事業者として、十分な感染防止策を講じつつ適切にサービス提供を継続していくとともに、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに対応すべく、警備ビジネスモデルの変革を推進し、強靭な「綜合安全安心サービス業」を目指し、お客様と社会の安全・安心ニーズへの対応能力の強化、デジタル化とデータ活用、社員が活躍できる環境の構築、サステナビリティへの取組強化を行ってまいります。

(2)大規模災害等の発生に関するリスク

大規模災害等の発生により、当社グループの社員や、当社グループが運営する施設等が被災した場合、業務運営に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社グループは、これら大規模災害の発生に備え、経験等によって培ったノウハウを活かし、事業継続計画及び災害対策規程に基づく対応マニュアルの整備、対策品の備蓄、全国規模による機動的な対応体制、定期的な教育訓練の実施などの対策を講じております。

また、大規模災害やそれに伴う長期間にわたる停電等の発生により、当社グループが構築しているネットワーク等の機能が停止した場合、サービスの提供に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社グループは、重要システムのバックアップ環境として東日本と西日本の2拠点にデータセンターを設置し、大規模災害等の発生に備えて相互監視を行っております。

 

(3)人材の確保・育成に関するリスク

当社グループは、幅広い業務領域(セキュリティ事業、設備・工事を含めた綜合管理・防災事業、介護・高齢者生活支援事業)で事業を展開しており、国内の生産年齢人口減少が続く状況下において、質の高い人材の確保が困難となった場合、各事業の運営を担う人材及びそれらをマネジメントする経営人材が不足し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対応するため、当社グループは、多様な人材の採用並びに多様な働き方の提供、能力開発など個々の働き手が持てる能力を最大限に発揮できる制度、環境を整備し、エンゲージメントを高めながら、グループ内の働き方改革を一層推進してまいります。

なお、組織の活性化と社員の能力育成を目的としたグループ全体での人事交流の促進、女性社員の配置先の拡大、マルチタスクの強化等により柔軟な人事管理を実施し、適材適所配置の強化を図っています。

加えて、豊富な実務経験を有する定年退職者が、グループ内で定年後も長期間活躍可能な仕組みを取り入れるなど、質の高い労働力の確保や、デジタル化とデータ活用を進めるなど、社内のフロント部門やバックオフィスにおけるオペレーションの効率化・省人化による生産性向上にも努めております。

 

(4)技術環境の変化に関するリスク

当社グループがお客様と社会の安全・安心ニーズに的確に応えていくためには、実用化段階に入っているAI、5G、IoT技術等を活用した新たな商品・サービス開発が不可欠となっております。そのような状況において、こうした技術環境の変化に適切に対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社グループは、最新の技術動向を把握するとともに、AI、5G、IoT技術等を積極的に活用し、デジタルトランスフォーメーションを推進することで、リスク回避に努めております。

 

(5)システム開発、運用に関するリスク

当社グループは、新商品・サービスや基幹システム等の開発において、社外のベンダーへ開発業務を委託することがあります。そのような状況において、当社や委託先の開発業務の進捗の遅れが生じ、計画通りにリリースされなかった場合、当社グループの業績や経営計画に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が使用する基幹システム等の開発において、導入後にシステムトラブル等が発生した場合、当社グループの業績や内部統制に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社グループは、開発業務の進捗管理に関しては、委託先と緊密に連携し、両社の責任者が詳細な進捗確認を行うことで、早期に適切な対応を講じ、遅延防止を図っております。あわせて、受入試験や導入後の改修・改良等についても迅速化を図っております。さらに、プロジェクトマネジメントスキル等の高度な専門知識を持った人材の確保・育成を強化することで、委託先の進捗や品質をより適切にコントロールしてまいります。

そのほか、商品・サービスの提供に関わるシステムや基幹システム等の運用において、通信障害やシステムトラブル等が発生した場合、サービスの提供等に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社グループは、各拠点においてネットワーク機器を多重化するほか、遠隔地に各種バックアップサーバーを確保するなど、バックアップ体制を整えたうえで、システム障害を想定した訓練等を実施するなどして、安定的な運用に努めております。

 

(6)情報管理に関するリスク

当社グループは、多くの個人情報や機密情報を取り扱っております。これら情報資産に対して、悪意を持った第三者による攻撃や、社員や業務委託先といった当社グループ関係者の不注意又は故意による流出等が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い、法的罰則等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社グループは、全社的な情報セキュリティ確保の礎として「情報セキュリティ基本方針」を定め、この基本方針を、役員を含む全社員、保有する全ての情報資産に適用しております。また、情報資産管理担当役員を委員長とする情報資産管理委員会を組織し、情報資産管理規則に基づき、全社的な情報資産管理体制の構築及び推進、重大な情報資産事故に関する訓練等を実施しております。なお、重大な情報資産事故が発生した場合には、ALSOK-CSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置することとしており、事故対応から再発防止策の検討・実行まで適切に対応する体制を整えております。

 

(7)レピュテーションに関するリスク

当社グループでは、商品・サービスの提供に当たって、複数の会社で共通のコーポレートブランドを使用しております。このような状況において、当社若しくは関係会社において不備・不祥事案が発生した場合、当社グループのブランドイメージが低下し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社では、グループガバナンスの強化の観点から、関係会社管理のための専管部署を設置し、職務の執行に係る事項の報告及び関係会社の損失の危険に係る重要な情報の報告を適時受け、当社と関係会社が連携してリスク対応を行うこととしているほか、当社から取締役又は監査役を派遣するなどして厳正な指導、監督を行っております。

また監査部では、「内部監査規程」に基づき、関係会社に対して経営活動の全般にわたる管理、運営の制度及び業務の改善を重視しての指導、助言、勧告を実施するなど、グループ全体のコンプライアンス遵守に取り組んでいます。

なお、当社の内部統制システムの整備の状況や、監査役監査及び内部監査の状況等については、有価証券報告書内「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております。

 

(8)環境問題に関するリスク

近年、世界各地で熱波や豪雨、干ばつなどの極端な気象現象(異常気象)が頻発しています。我が国でも1時間に100mmを超える豪雨や、40℃を超える猛暑などの異常気象が各地で観測され、当社グループだけではなく、広く企業活動や市民生活に大きな影響を与えています。社会全体でこの問題を解決しようという機運の高まりの中、当社グループの取り組みやステークホルダーへの説明が不足し、社会的批判を受けるなどお客様の支持の低下に繋がった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、このような気候変動等への対応として、気候変動の緩和・適応策、水・海洋・森林資源の保全、循環型社会への対応、汚染防止と廃棄物管理、生物多様性の保全といった課題に関し、リスクと機会の両面から、さまざまな取り組みや商品・サービス提供を行い、課題の解決と持続可能な社会の実現を目指しています。また、その他の活動として、気候変動に関する国内イニシアティブ(JCI気候変動イニシアティブ)にも賛同・加盟しています。さらに、2020年1月より、地球環境問題の解決と持続可能な開発に貢献することを目的として発足したNGOである地球環境行動会議(GEA:Global Environmental Action)に会員企業として加盟し、事業活動費を寄付するなど、多方面から積極的に取り組んでおります。なお、これらの取り組みについては、当社ホームページや、毎年発行しているALSOKレポート(統合レポート)等を通じて発信しています。

 

(9)法的規制に関するリスク

当社グループは、セキュリティ事業等のサービスを提供するに当たり、各種の法的規制を受けており、主なものは次の表に記載のとおりであります。

今後、これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループでは、各業務主管部及び関係会社にて、それぞれが主管する業務に関係する法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられていないかについて確認、対応することとしており、そのリスク情報については定期的に当社法務室へ報告することとしております。今後も、関係当局の動向を注視し、法的規制の変更に伴う業績変化を回避すべく、適時適切に対応してまいります。

 

 

 

 

 

関係する主な法律又は条例

監督官庁等

セキュリティ事業

警備業法

国家公安委員会(警察庁)

道路交通法

電気通信事業法

総務省

電波法

電気工事業の業務の適正化に関する法律

経済産業省

電気用品安全法

特定商取引法

経済産業省、消費者庁

消費者契約法

消費者庁

建設業法

国土交通省

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

貨物自動車運送事業法

貨物利用運送事業法

道路運送車両法

倉庫業法

構造改革特別区域法

内閣府

下請代金支払遅延等防止法

公正取引委員会、中小企業庁

刑事収容施設法

法務省

綜合管理・防災事業

建設業法

国土交通省

公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律

宅建業法

建築士法

マンション管理適正化法

医薬品医療機器等法

厚生労働省

建築物衛生法

廃棄物処理法

環境省

電気事業法

経済産業省

電気工事業の業務の適正化に関する法律

液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律

消防法

総務省

火災予防条例

市町村

介護事業

介護保険法

厚生労働省、都道府県、市町村

老人福祉法

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律

その他

信書便法

総務省

労働者派遣法

厚生労働省

職業安定法

保険業法

金融庁

金融商品の販売等に関する法律

犯罪による収益の移転防止に関する法律

国家公安委員会(警察庁)

探偵業の業務の適正化に関する法律

古物営業法

個人情報保護法

個人情報保護委員会

消費税転嫁対策特別措置法

公正取引委員会、中小企業庁、消費者庁

景品表示法

消費者庁

新型インフルエンザ等対策特別措置法

厚生労働省

建築物における衛生的環境の確保に関する法律

食品衛生法

放射性物質汚染対処特措法

環境省

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

公正取引委員会

 

 

(10)のれん等の減損に関するリスク

当社グループは、警備事業を起点とした周辺分野への事業領域拡大等のため、会社を買収することがあります。このような中で、買収した会社の業績が買収決定時の事業計画と大きく乖離した場合や合併等の組織再編を行った場合、のれんや顧客関連資産などの無形固定資産、その他有形固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

そのため当社では、買収した会社の業績については、常時管理する体制を構築しており、定期的に取締役会に報告しております。なお、買収決定時の事業計画と実績の乖離が認められた場合には、速やかに関係部署において対応策を策定・実行することとしております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。

ア 財政状態及び経営成績の状況

(業績等の概要)

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により大幅に悪化しましたが、その後の回復過程においては業種間・企業間で好不調が二極化し「K字型回復」と言われる状況になっています。先行きについては、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の推進等の各種政策の効果による回復が期待される一方、感染力の高い変異株の流行を背景とした緊急事態宣言の継続、まん延防止等重点措置の新たな対象地域の決定等もあり、当面、不透明な状況が続くものと想定されます。

警備分野においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、各種イベントの中止や延期・規模縮小、店舗の休廃業による警備契約の中断・値下げ等が増加しましたが、他方で、お客様の感染症防止対策へのサポート、高齢者、女性、子ども等の社会的弱者の安全・安心への懸念、相次ぐ自然災害やインフラ老朽化など、警備・設備・介護のトータルでのサービス提供が当社グループに期待されております。

このような情勢の中、当社グループは、国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務である社会の安全・安心に関するサービス(セキュリティサービス事業、綜合管理・防災事業、介護・高齢者生活支援事業)を行う事業者として、十分な感染防止策を講じつつ適切にサービス提供を継続してまいりました。また、お客様と社会の安全・安心を支える「綜合安全安心サービス業」を目指して、多様化・高度化する一人一人のお客様と社会の安全・安心ニーズに応えるべく、ローカル5Gやドローンを活用した警備業務の高度化に関する実証実験を行うなど、関連事業全体の進化・深化に引き続き取り組んでまいりました。加えて、新型コロナウイルス感染症対策をサポートするための商品・サービスを積極的に提供しており、グループ会社である「株式会社エムビックらいふ」においてPCR検査等の新型コロナウイルス感染症検査を実施しております。

以上の結果、当連結会計年度における当社グループの連結業績は、M&Aの効果もあり、売上高は469,920百万円(前年同期比2.1%増)、営業利益は36,076百万円(前年同期比1.3%増)、経常利益は38,106百万円(前年同期比1.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は24,247百万円(前年同期比3.8%増)となりました。

 

当社グループの連結損益計算書を項目別に対前年度で比較すると、次のとおりであります。

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

百分比

金額

百分比

増減額

増減率

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

売上高

460,118

100.0

469,920

100.0

9,802

2.1

売上原価

345,783

75.2

353,451

75.2

7,667

2.2

売上総利益

114,335

24.8

116,469

24.8

2,134

1.9

販売費及び

一般管理費

78,713

17.1

80,393

17.1

1,679

2.1

営業利益

35,621

7.7

36,076

7.7

454

1.3

営業外収益

4,342

0.9

5,184

1.1

841

19.4

営業外費用

2,257

0.5

3,154

0.7

896

39.7

経常利益

37,706

8.2

38,106

8.1

400

1.1

特別利益

27

0.0

178

0.0

151

553.1

特別損失

547

0.1

529

0.1

△18

△3.4

法人税等

12,284

2.7

11,667

2.5

△616

△5.0

非支配株主に帰属する当期純利益

1,551

0.3

1,841

0.4

289

18.6

親会社株主に帰属する当期純利益

23,349

5.1

24,247

5.2

897

3.8

 

 

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して9,802百万円(2.1%)増加し、469,920百万円となりました。

売上原価につきましては、従業員の処遇改善等により労務費が4,223百万円増加したことや、賃借料等の経費が5,478百万円増加したことなどにより353,451百万円となりました。

販売費及び一般管理費につきましては、給料諸手当1,292百万円、のれん償却額673百万円、退職給付費用291百万円の増加等により80,393百万円となりました。

経常利益につきましては、営業利益の増加に伴い400百万円(1.1%)増加し、38,106百万円となりました。

特別利益の増加は、固定資産売却益が99百万円、受取補償金が50百万円増加した結果であります。

特別損失の減少は、固定資産除却損が79百万円、減損損失が75百万円増加した一方で、投資有価証券評価損が102百万円、固定資産売却損が94百万円減少した結果であります。

親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、営業利益の増加に伴い897百万円(3.8%)増加し、24,247百万円となりました。

なお、包括利益につきましては、20,690百万円(101.5%)増加の41,065百万円となりました。好調な金融市場の状況を反映する形で退職給付に係る調整額の期中変動額が14,635百万円、その他有価証券評価差額金の期中変動額が4,264百万円増加したことや、当期純利益が1,187百万円増加した結果であります。

セグメントごとの経営成績の状況につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ア 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」に記載のとおりであります。

 

(連結貸借対照表項目の比較分析)

当社グループの連結貸借対照表を項目別に対前年度で比較すると、次のとおりであります。

項目

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

構成比

金額

構成比

増減額

増減率

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

(百万円)

(%)

資産の部

流動資産

229,486

53.1

227,617

46.9

△1,869

△0.8

固定資産

203,089

46.9

257,838

53.1

54,748

27.0

資産総額

432,576

100.0

485,456

100.0

52,879

12.2

負債の部

流動負債

98,435

22.8

103,793

21.4

5,357

5.4

固定負債

72,259

16.7

86,261

17.8

14,001

19.4

負債総額

170,695

39.5

190,055

39.1

19,359

11.3

純資産の部総額

261,881

60.5

295,400

60.9

33,519

12.8

当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末と比較して52,879百万円(12.2%)増加し、485,456百万円となりました。うち流動資産は、1,869百万円(0.8%)減少の227,617百万円、固定資産は54,748百万円(27.0%)増加の257,838百万円となりました。

流動資産の減少につきましては、現金及び預金が4,451百万円増加した一方で、警備輸送業務用現金が4,684百万円、受取手形及び売掛金が1,759百万円減少した結果であります。

固定資産の増加につきましては、運用資産の評価額が増加したことを受け退職給付に係る資産が17,562百万円増加したことや、M&Aにより投資有価証券が15,783百万円、リース資産が11,858百万円、のれんが10,331百万円増加したことが主たる要因であります。

当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末と比較して19,359百万円(11.3%)増加し、190,055百万円となりました。うち流動負債は、5,357百万円(5.4%)増加の103,793百万円、固定負債は14,001百万円(19.4%)増加の86,261百万円となりました。

流動負債の増加につきましては、短期借入金が4,606百万円増加したことが主たる要因であります。

固定負債の増加につきましては、前述のリース資産の増加に伴いリース債務が13,430百万円増加したことが主たる要因であります。

当連結会計年度末の純資産の部総額は、前連結会計年度末と比較して33,519百万円(12.8%)増加し、295,400百万円となりました。

 

イ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は53,143百万円(前年同期比8.9%増)となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

(%)

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

33,896

55,522

63.8

投資活動によるキャッシュ・フロー

△13,395

△38,452

187.1

財務活動によるキャッシュ・フロー

△15,113

△12,714

△15.9

現金及び現金同等物に係る換算差額

△33

△2

△92.9

現金及び現金同等物の増加額

(△は減少)

5,354

4,353

△18.7

現金及び現金同等物の期首残高

43,435

48,790

12.3

現金及び現金同等物の期末残高

48,790

53,143

8.9

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果増加した資金は55,522百万円(前年同期比63.8%増)であります。資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益37,756百万円(前年同期比1.5%増)、減価償却費による資金の内部留保15,828百万円(前年同期比6.2%増)、警備輸送業務に係る資産・負債の増減8,894百万円(前年同期は9,721百万円の減少)であります。これらに対し、資金の主な減少要因は、法人税等の支払12,337百万円(前年同期比23.5%増)であります。

なお、警備輸送業務に係る資産・負債の増減額には、警備輸送業務用現金、及び短期借入金のうち警備輸送業務用に調達した資金等の増減が含まれております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果使用した資金は38,452百万円(前年同期比187.1%増)であります。子会社株式を13,689百万円(前年同期は該当なし)、有形固定資産を11,937百万円(前年同期比8.2%増)、関係会社株式を9,164百万円(前年同期は221百万円)取得したことが主たる要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動により減少した資金は12,714百万円(前年同期比15.9%減)であります。配当金の支払により7,138百万円(前年同期比1.4%増)、リース債務の返済により5,248百万円(前年同期比25.4%増)の資金が減少した結果であります。

 

 

ウ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当社グループは生産活動を行っておりませんが、当連結会計年度末日現在実施中の契約件数をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度末

(2020年3月31日)

当連結会計年度末

(2021年3月31日)

前年同期比

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

機械警備業務    (件)

973,066

990,155

1.8%

常駐警備業務    (件)

4,468

4,371

△2.2%

警備輸送業務    (件)

77,791

79,289

1.9%

合計      (件)

1,055,325

1,073,815

1.8%

綜合管理・防災事業   (件)

109,697

113,880

3.8%

介護事業        (件)

24,976

27,503

10.1%

報告セグメント計  (件)

1,189,998

1,215,198

2.1%

その他         (件)

29,382

29,693

1.1%

合計      (件)

1,219,380

1,244,891

2.1%

(注)上記件数は、当社グループがサービスを提供している対象先の数ではなく、お客様と約定している長期契約(一定期間継続的にサービスを提供する契約)の数を集計したものであります。各セグメントに含まれる代表的なサービスは、次のとおりです。

機械警備業務

法人向けのALSOKガードシステム各種、個人向けのホームセキュリティ各種

常駐警備業務

ご契約先施設等に警備員を配置する常駐警備

警備輸送業務

現金、有価証券等を輸送する現金輸送サービス、入(出)金機オンラインシステム

綜合管理・防災事業

設備管理、清掃管理、電話対応等、施設の維持、管理、運営業務、消防用設備の点検、AEDのレンタル等

介護事業

訪問介護、デイサービス、有料老人ホーム、グループホーム等

その他

ご家族を携帯端末で見守る「まもるっく」、ALSOK PCマネジメントサービス、ホームページ改ざん検知サービス等、QRコード決済を中心としたキャッシュレス決済サービス

 

(販売実績)

販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントへの収益の配分方法を変更しております。前期比較に当たっては、前連結会計年度の実績を変更後の配分方法に組み替えて行っております。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

機械警備業務   (百万円)

175,604

176,504

0.5

常駐警備業務   (百万円)

116,953

113,168

△3.2

警備輸送業務   (百万円)

65,601

65,887

0.4

合計     (百万円)

358,159

355,559

△0.7

綜合管理・防災事業  (百万円)

69,241

68,173

△1.5

介護事業       (百万円)

28,105

40,375

43.7

報告セグメント計 (百万円)

455,506

464,108

1.9

その他        (百万円)

4,612

5,812

26.0

合計     (百万円)

460,118

469,920

2.1

(注)1.金額には、消費税等は含まれておりません。

2.販売実績が総販売実績の10%以上の相手はありません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において判断したものであります。

 

ア 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営者の視点による分析・検討内容)

当連結会計年度における当社グループの連結業績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ア 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、売上は、11期連続で増収、10期連続で過去最高を更新いたしました。利益についても、各利益段階で過去最高を更新し、親会社株主に帰属する当期純利益は、9期連続で増益となりました。当社グループは、M&Aの活用等によりセキュリティ事業を強化するとともに、セキュリティ事業と親和性の高い綜合管理・防災事業や介護・高齢者生活支援事業を拡大し、リスクが多様化する社会の中で、拡大する安全・安心ニーズに的確に応えることに注力しております。

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高経常利益率とROE(連結自己資本当期純利益率)を重視しております。2019年3月期から2021年3月期における3か年の中期経営計画「Grand Design 2020」においては、売上高経常利益率8.0%程度、ROE10.0%を目標として掲げ、当連結会計年度は、売上高経常利益率8.1%、ROE9.6%となりました。

 

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、当社グループは、資産については事業セグメントに配分していないことから、セグメントごとの財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容は省略しております。また、当連結会計年度より一部の収益及び費用の配分方法を変更しております。前期比較に当たっては、前連結会計年度の実績を変更後の配分方法に組み替えて行っております。

 

売上高のセグメント別の増減

セグメントの名称

前連結会計年度

当連結会計年度

前年同期比

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

構成比

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

セキュリティ事業

 

 

 

 

 

 

機械警備業務

175,604

38.2

176,504

37.6

900

0.5

常駐警備業務

116,953

25.4

113,168

24.1

△3,785

△3.2

警備輸送業務

65,601

14.3

65,887

14.0

285

0.4

合計

358,159

77.8

355,559

75.7

△2,599

△0.7

綜合管理・防災事業

69,241

15.0

68,173

14.5

△1,068

△1.5

介護事業

28,105

6.1

40,375

8.6

12,269

43.7

報告セグメント計

455,506

99.0

464,108

98.8

8,601

1.9

その他

4,612

1.0

5,812

1.2

1,200

26.0

合計

460,118

100.0

469,920

100.0

9,802

2.1

セキュリティ事業につきましては、機械警備業務においては、法人向けサービスとして、ライブ画像確認を標準装備した「ALSOK-G7(ジーセブン)」の販売を推進しました。

個人向けサービスとしては、設置工事が簡単な住宅向けスタンダードモデルである「ホームセキュリティBasic」等を提供しております。2020年7月には、高齢者向け見守りサービス「HOME ALSOK みまもりサポート®」をリニューアルし、自治体と連携した災害対策や「地域包括ケア」をキーワードにした多様なサービスとして、小型見守り端末「みまもりタグ」との連携、熱中症の見守り、緊急速報メールの音声読み上げといった機能を充実させました。

常駐警備業務においては、前期の大規模臨時警備の反動減や、新型コロナウイルス感染症の影響による各種イベントの中止等により臨時警備が減少しました。なお、新たなサービスとして、大規模イベント警備等の高度化・効率化に資するとともに東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会警備にも貢献する「ALSOKスタッフ等連携システム®」、交通誘導業務の品質向上及び省人化に寄与する「ALSOK交通誘導システム」の販売を行っております。

 

警備輸送業務においては、新型コロナウイルス感染症の影響による店舗の休廃業等により、入(出)金機オンラインシステム契約の中断・値下げ等が見られましたが、キャッシュレス進展の中においても、官民における現金管理業務の合理化ニーズは根強く、引き続き入(出)金機オンラインシステムの販売拡大に努めております。また、地域金融機関等からのアウトソースの受注についても、店舗統廃合等の影響を受けながらも堅調に推移しております。

これらの結果、セキュリティ事業の売上高は355,559百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は36,137百万円(前年同期比2.7%減)となりました。

綜合管理・防災事業につきましては、建設工事部門の売上の大幅減の影響があったものの、オゾン除菌・脱臭器やサーマルカメラ等、お客様の新型コロナウイルス感染症対策関連商品の受注が堅調に推移した結果、売上高は68,173百万円(前年同期比1.5%減)、営業利益は7,823百万円(前年同期比17.2%増)となりました。なお、2020年2月28日付にて三菱商事株式会社との間で合意したファシリティマネジメント事業に係る資本業務提携に加え、2021年4月1日付にて連結子会社間の合併により発足したALSOKファシリティーズ株式会社を中心に、「警備と設備の融合」のコンセプトのもと、国内外におけるファシリティマネジメント業務の一層の拡大にも取り組んでまいります。

介護事業につきましては、M&Aの効果等により、売上高は40,375百万円(前年同期比43.7%増)、営業利益は702百万円(前年同期比74.6%増)となりました。2020年10月1日付にてグループ介護事業会社をALSOK介護株式会社として統合したことで、今後、経営基盤の強化を図りつつ、他社にはないトータルケアを介護事業の統一ブランド『ALSOKの介護』のもとで提供してまいります。また、2020年12月に三菱商事株式会社及び株式会社日本ケアサプライとの間で合意した介護・高齢者生活支援事業に係る資本業務提携により、介護事業者向けサービスや介護サービス利用者・高齢者向け生活支援サービスの一層の拡充に取り組むとともに、その顧客基盤を活用した当社グループの商品・サービスの拡販にも努めてまいります。

当社グループは、コロナ禍にあっても、社会の安全・安心に関するサービスを行う事業者としての責務を果たしつつ、新技術の活用や生産性の向上等に引き続き取り組み、今後も拡大する社会の安全・安心ニーズに的確に応えてまいります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

①財務規律に関する基本的な考え方

2021年5月策定の中期経営計画「Grand Design 2025」では、中期的な財務目標として、ROE10%以上を想定しております。ROEの向上に向けては、配当性向30%を目安に安定配当を維持しつつ、中期的に連結売上高経常利益率を10%以上まで高めることを目標に収益性を拡大することが基本的な方針であります。こうした中、当社グループの最近5連結会計年度末における自己資本比率が安定的に推移しているのは、株主と債権者双方にバランスよく配慮し、財務規律の維持に努めた結果であると評価しております。

(最近5連結会計年度末における自己資本比率)

 

2017年3月期

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

自己資本比率

[連結](%)

51.0

55.0

54.3

54.8

55.3

 

②資金需要の動向及び資金調達の方法並びにそれらに係る経営者の認識

当社グループにおける自己資金の主たる源泉は、セキュリティ事業を中心としたお客様からの月額料金の収受であり、先行きが見通しやすい安定的な収入を毎月得られております。こうした安定的な自己資金を所与として資金の支出を計画していることから、将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。また、外部からの資金調達についても、こうした安定的な自己資金の状況や最近の自己資本比率の動向、主要な金融機関との良好な関係より、比較的低いコストで実現することができると考えております。

このような資金の源泉に対し、当社グループの主要な資金需要及び資金調達の方法については、以下のとおりです。

(運転資金需要)

当社グループにおける運転資金需要のうち主なものは、労務費や外注費を中心とする売上原価、人件費を中心とする販売費及び一般管理費、及び警備輸送業務における入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための現金であります。

売上原価や販売費及び一般管理費の支払資金については、年間を通して安定的に需要が生じるものが多く、自己資金を充当することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの短期借入を実施することとしております。

 

入(出)金機オンラインシステムによる売上金の入金処理等のための資金については、自己資金及び金融機関からの短期借入を併用して対応することとしております。当該短期借入は、当座貸越を通じて、資金需要に即して実行できるものとなっております。売上金の入金処理の金額は、前日にお客様が入(出)金機に売上金を投入した金額となり、お客様の動向により大きく変動しますが、特に月曜日や国民の祝日の後の営業日においては、その前日までの休日に投入された売上金にもあわせて対応する必要があることから、入金処理金額が多額となり、金融機関からの借入への依存度も高まる傾向にあります。

(投資目的の資金需要)

当社グループにおける投資目的の資金需要のうち主なものとして、M&Aが挙げられます。これについては、自己資金を充当することを基本としながら、必要に応じて金融機関からの短期借入や長期借入を実施し、対応することとしております。

このほか、機械警備に係る警報機器の経常的な取得も設備投資に含められております。警報機器の取得は、1件当たりの金額が少額で、受注に伴って生じるため、運転資本を構成する棚卸資産と類似の性格も有すると考えており、年間を通じて安定的に資金需要が生じることから、運転資金需要と同様に自己資金をもって対応することを基本としております。

当連結会計年度後1年間における資本的支出を含む設備投資計画は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

(株主還元の方針)

当社グループでは、株主に対する利益還元を経営の重要政策として位置づけ、内部留保の充実を図りながら、業績に裏付けられた成果の配分を行うことを基本方針としております。具体的な利益還元の手法としては、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としており、現在は中期経営計画「Grand Design 2025」の下、配当性向30%を目安に安定配当を維持することを目指しております。

(手許資金)

警備輸送業務用現金以外の現金及び預金については、当社グループの資金繰りの実務上明確に最低限維持すべき手許資金の目安を定めてはいないものの、支出に係る資金需要が年間を通して安定的に生じるものが多いことから、月商の1~2か月程度の維持が適切であると認識しております。

警備輸送業務用現金については、当座貸越を通じて、実需に即して調達することとしております。

(先行きの資金需要の動向及び資金調達方法に係る経営者の認識)

当連結会計年度における警備輸送業務を除いた資金需要については、おおむね自己資金の範囲で対応いたしました。当連結会計年度後1年間についても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による不透明感はあるものの、現時点ではこれまでの資金需要の傾向から大きな変化を見込んでいないことから、同様に自己資金の範囲で対応することが基本となると認識しております。

 

③当連結会計年度におけるキャッシュ・フロー及び資金調達の状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 イ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

また、当連結会計年度末日時点における負債による資金調達の状況につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」における社債明細表及び借入金等明細表に記載のとおりであります。なお、同日末時点における主要な借入先別の借入金額は、株式会社みずほ銀行が9,808百万円、株式会社三井住友銀行が4,301百万円、株式会社三菱UFJ銀行が2,932百万円、株式会社りそな銀行が1,354百万円となっております。

 

 

イ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

また、当社グループは、連結財務諸表の作成上、固定資産の減損会計、各種引当金の見積り計算、繰延税金資産の回収可能性の判断等に対し、現在入手可能な前提に基づく合理的な見積りを反映させておりますが、将来、これらの見積りと大きな差が生じる可能性があります。

なお、当社グループにおける会計上の見積りにおいて使用する事業計画は、新型コロナウイルス感染症が当連結会計年度の業績に与えた影響の程度を勘案して策定しております。

重要な会計方針のうち、見積りや仮定等による影響が大きいと考えている項目は、次のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

固定資産については、「固定資産の減損に係る会計基準」(2002年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2009年3月27日最終改正)に基づき、減損処理の要否を判定しております。将来の企業環境等の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることとなった場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

①のれん及び顧客関連資産

(のれん及び顧客関連資産の価値の源泉)

当連結会計年度末におけるのれん29,678百万円は、過去の企業結合により発生したものであり、その主たる発生原因は、結合後企業が当社グループに加入したことにより、同社に期待される超過収益力であります。一部ののれんについては、結合後企業ではなく、当社などにおいて発現されることが期待されるシナジー効果が発生原因となっております。

また、一部の企業結合においては、企業結合時における既存の顧客との契約に係る価値を算定し、顧客関連資産としてのれんとともに計上しております。

(将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画)

当社グループにおけるのれんに係る減損要否の検討は、のれん発生の原因である超過収益力やシナジー効果が将来にわたって発現するかに着目して行っており、平時においてはのれんを発生させた結合後企業の事業計画(当社などに発現が期待されるシナジー効果の計画を含む。)に沿って利益やキャッシュ・フローが計上されているかを毎月モニタリングしております。こうした下、設定された事業計画の達成が危ぶまれる状況など減損の兆候が認められる場合には、事業計画の合理性について見直すこととしております。そしてこのように見直された事業計画に基づく割引前将来キャッシュ・フローによって、減損損失を認識するかを決定し、認識する場合においては割引将来キャッシュ・フローで算定する使用価値に基づき減損損失を測定することとしております。

顧客関連資産に係る減損の検討は、のれんに係る減損の検討と併行して行っており、設定された事業計画に沿って利益やキャッシュ・フローが計上されているかをもって減損の兆候の有無の判定を実施するとともに、減損の兆候が認められる場合は、見直された事業計画に基づき、減損損失の認識・測定の手続を実施することとしております。

事業計画には、次に掲げる重要な仮定を考慮しております。これらについては、その性質上、何らかの見積り・前提を設定した上での判断を伴うものであり、当該見積り・前提は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

・セキュリティ事業及び綜合管理・防災事業を営む会社

受注の状況、人員計画、売上高の成長率

・介護事業を営む会社

区分

考慮する重要な仮定

在宅介護事業

職員1人当たりの売上高、既存拠点の利益率、人員計画等

施設介護事業

既存施設の将来事業計画、新規施設の開設状況、新規施設及び既存施設の入居率、人員計画等

高齢者向け住宅事業

新規施設・既存施設の事業計画、新規施設の開設状況、人員計画等

 

 

当連結会計年度においては、こうした重要な仮定に加え、新型コロナウイルス感染症が業績に与えた影響の程度を確かめ、今後の事業計画に与える影響を評価した上で判断しておりますが、それでも依然として十分な将来キャッシュ・フローが期待でき、いずれののれん・顧客関連資産についても、今のところ減損損失を計上する必要はないと判断しております。

なお、事業計画は、当社の個別財務諸表に計上されている結合後企業に係る関係会社株式の評価を検討する際にも活用しております。当該関係会社株式の回収可能性が認められなくなった場合には、当社の損益計算書上、評価損が計上されることとなります。

(割引率)

使用する割引率については、当社グループの大部分の会社がグループ内借入を通じて当社とほとんど同様の条件で資金調達が可能であると考えられることから、当社の上場以来の株価や金利に係るヒストリカル・データに基づき算出した年限別の加重平均資本コストをのれんの残存償却期間に応じて使用することとしております。株価が大きく上昇したり金利が高騰した場合は、加重平均資本コストが高く算出されることを通じ割引将来キャッシュ・フローが少額となることから、測定される減損損失金額が多額となる可能性があります。

(グルーピングの変更)

当連結会計年度においては、いずれも過去の企業結合によりのれんを発生させたALSOK介護株式会社、株式会社HCM及びALSOKあんしんケアサポート株式会社の介護事業部門を統合しております。この統合は、従前から相互に依存・互換する関係にあった3社の事業を一体化することを通じ、更なる経営基盤強化を目的としたものであることから、統合を契機として3社ののれんを合算し、より大きな単位で資産のグルーピングを行っております。

 

②その他の有形・無形固定資産

(将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画)

のれん及び顧客関連資産以外の有形・無形固定資産についても、事業計画に基づく利益やキャッシュ・フローの状況をもって、減損処理の必要性を判定しております。

有形・無形固定資産に係る減損要否の検討に際しては、経営の実態に即して資産のグルーピングを行っております。主な資産のグルーピングの方法は、次のとおりであります。

区分

主な勘定科目

資産のグルーピングの方法

ガードセンター設備

契約先設置警備用機器

防災設備等

建物及び構築物

機械装置及び運搬具

これらの資産については、エリア別にサービスを展開し、投資意思決定を行っている経営実態に即して管理会計単位を設定している状況に鑑み、当該管理会計単位を資産グループとして設定しております。具体的には、当社については「第3 設備の状況 2 主要な設備の状況 (1)提出会社の状況」が示す本社及び各地域本部を1つの資産グループとし、子会社及び関連会社については個社を1つの資産グループとしております。

介護施設

リース資産

介護施設については、各施設が独立してサービスを展開し、投資意思決定を行っている経営実態に即し、単独の管理会計単位として設定されている状況に鑑み、個々の介護施設を1つの資産グループとしております。

各資産グループに係る事業計画には、のれん及び顧客関連資産の場合と同様、重要な仮定を含めるに際して何らかの見積り・前提を設定しており、当該見積り・前提は、減損の兆候の有無の判断、認識するか否かの判定、又は測定する減損損失金額に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(割引率)

のれん及び顧客関連資産の場合と同様、使用する割引率については、当社の上場以来の株価や金利に係るヒストリカル・データに基づき算出した年限別の加重平均資本コストを使用することとしております。このため、株価や金利動向によっては、加重平均資本コストが高く算出され、測定される減損損失金額が多額となる可能性があります。

 

(退職給付会計)

当社及び当社の関係会社においては、確定給付型の企業年金制度や退職給付制度が設けられております。在籍している従業員数の少ない一部の連結子会社を除き、これらの制度に係る退職給付債務及び年金資産の算定手続きについては、数理計算上の仮定を置いたうえで実施しております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職一時金選択率、死亡率、退職率、予想昇給率が含まれます。当社グループは、設定したこれらの数理計算上の過程について、直近の実績など現在把握可能な各種のデータを勘案して合理的に判断したものと考えておりますが、実績との間に差異(数理計算上の差異)が生じた場合においては、その発生時における従業員の平均残存勤務期間以内の一定の年数(主として10年)による定額法により発生の翌連結会計年度より費用処理することとするため、当社グループの営業費用等に重要な影響を与える場合があります。

割引率の設定に際しては、連結会計年度末における高格付けの国内社債や日本国債の利回りを勘案して決定しております。また、割引率の変更は、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2016年12月16日最終改正)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月25日最終改正)に基づき、前連結会計年度末に用いた割引率により算定した退職給付債務と比較して、当連結会計年度末の割引率により計算した退職給付債務が10%以上変動する場合において行うこととしております。

長期期待運用収益率の設定に際しては、直近の年金資産のアセット・アロケーションや、株式・社債などの各金融商品グループごとの過去における運用利回りの実績を勘案しております。また、長期期待運用収益率の変更は、「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 2016年12月16日最終改正)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 2015年3月25日最終改正)に基づき、変更が翌連結会計年度以降の退職給付費用に重要な影響をもたらすと判断した場合において行うこととしております。

 

(繰延税金資産)

当社及び当社の関係会社各社は、個社別に法人税を申告しており、繰延税金資産の回収可能性に関する判断においては、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第26号 2016年3月28日改正)に基づき、当社及び当社の関係会社各社を収益力により「分類1」から「分類5」に分類しております。会社分類については、連結会計年度末における各社の状況に基づき、毎期見直しております。この分類に際しては、将来の経営環境の変化や一時差異等加減算前課税所得の見積りの上で仮定を置いており、この仮定の設定は、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を与える場合があります。なお、将来に関する事項の見積りにおいては、固定資産の減損に関する判断において用いる事業計画に沿って検討を行うため、見積りと実績が乖離するリスクもおおむね同様と考えられます。

「分類2」から「分類5」に該当する会社については、回収可能性があると見込まれる将来減算一時差異等についてのみ繰延税金資産を計上しております。回収可能性の判断においては、十分な収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得が存在するかを最重要視しており、このほか含み益のある固定資産や有価証券を売却する等のタックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得が存在するかについては、その実行可能性が高いと見込まれるものに限定して考慮しております。また、将来減算一時差異等が解消する時期及び金額についても、解消する可能性が高いものに限定して考慮することとしており、例えば含み損に係る土地再評価差額金の場合においては、売却する契約を締結した事実を認識した場合等に限りスケジューリングに含めております。こうした回収可能性に係る一連の手続きについても、何らかの見積り・前提を設定の上で実施しているため、これらの判断は、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

税効果会計に適用する税率については、「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第27号 2016年3月14日)に基づき、決算日時点において国会で成立している税法に規定されている税率を使用しております。このため、税率の変更が行われる場合においては、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

なお、当社の繰延税金資産のほとんどは、日本国内に属する会社に係る将来減算一時差異等を源泉とするもので構成されているほか、連結会社間の移転価格に関する不確実性は、ほとんど該当がないものと評価しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)2020年4月1日付にて、当社の連結子会社であり主に綜合管理・防災事業を営む総合管財株式会社及び株式会社ヘルス・サポートの両社が合併いたしました。

(2)当社は、2020年4月30日付にて、介護事業を営む株式会社らいふ及び食品検査事業等を営む株式会社エムビックらいふの持株会社である株式会社らいふホールディングスの全株式を取得いたしました。なお、食品検査事業等については、セグメント情報上、「その他」に含めております。

(3)2020年6月18日付にて、当社の連結子会社である株式会社ウイズネットの商号をALSOK介護株式会社へ変更いたしました。

(4)当社の連結子会社であり介護事業を営む株式会社HCM、ALSOKあんしんケアサポート株式会社の介護事業部門、及び有限会社あんていけあは、2020年10月1日付でALSOK介護株式会社に統合しました。なお、ALSOKあんしんケアサポート株式会社は、緊急通報事業及び健康支援事業に特化した会社として存続します。

(5)当社は、三菱商事株式会社との間で介護・高齢者生活支援事業に係る資本業務提携に合意し、2020年12月15日付にて、当社が三菱商事株式会社の子会社である株式会社日本ケアサプライの株式の4,965,000株(議決権比率の32.1%)を取得する旨の契約を締結し、当社の持分法適用関連会社としております。

(6)2021年4月1日付にて、当社の連結子会社であり主に綜合管理・防災事業を営むALSOKビルサービス株式会社及び日本ビル・メンテナンス株式会社の両社が合併いたしました。なお、本合併に際し、存続会社日本ビル・メンテナンス株式会社の商号をALSOKファシリティーズ株式会社へ変更いたしました。

 

5【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、主に提出会社が行っております。当社の研究開発は、収益性の向上に貢献することを目的とし、多様化する市場ニーズを捉え、かつ市場競争力のある技術及び商品の開発を推進することを基本方針としております。当連結会計年度における研究開発費は、総額578百万円であり、主にセキュリティ事業に係るものであります。また、当社の研究開発部門は、研究や開発に該当しない調査・企画・知的財産管理・品質管理等の活動についても研究開発と一体として行っており、研究開発費にこうした活動に係る費用を加えた総額は1,307百万円であります。

当社では、安全・安心に関する様々な社会課題やニーズに応えるべく、「少子高齢化による人手不足」、「増加する自然災害」、「子どもや女性を狙った犯罪」、「巧妙化するサイバー犯罪」などに対処するために、次のような研究を行っております。また、新型コロナウイルス感染症対策商材等の開発に取り組み、刻々と変化する社会情勢に対応していきます。

(1)個人向けセキュリティ

ホームセキュリティサービスにとどまらず、今後益々需要が拡大する高齢者市場に対応しつつ、新たなホームセキュリティユーザー層を獲得すべく、日々の生活の安全・安心を支援する綜合的なセキュリティサービスの研究開発を進めていきます。

(2)最新技術を活用した独自のセキュリティシステム

不審者発見や犯罪・テロ防止を図るべく、「被害未然防止サービス」の実現を目指しており、AI、5G、IoT技術等を活用した研究開発を行っております。

少子高齢化による人手不足の進展の中で、省人化を目指した次世代のセキュリティシステムの創造に積極的に取り組む一方で、既存の警備センサーの改良なども行い、常に社会環境に適応した最先端のセキュリティを追求しています。

(3)ロボティクス

1982年より警備用ロボットの研究開発に着手して以降、自律走行機能や警備機能、案内機能などを搭載した警備ロボットを開発し、全国の商業施設やオフィスビルなどに提供してきました。今後も、危険ガス検知や不審物の置き去り検知に限らず、新型コロナウイルス感染症対策も含めた、新たな技術を搭載したロボットの研究開発に取り組んでいきます。

また、ドローンによる屋内外の画像巡回業務など、ドローンの開発も推進していきます。

(4)情報警備

「生命・財産」に加え「情報」を警備するというコンセプトの下、物理的なセキュリティとサイバーセキュリティ両面からの情報セキュリティソリューション「情報警備」の開発を行い、メニューの充実を図っていきます。

(5)その他

高所に設置したカメラ映像より、河川氾濫時や火災の状況等をリアルタイムに把握するAI・5G技術の他、環境問題解決に寄与する新サービス・商品の開発にも取り組んでいきます。