当社は、2025年5月12日開催の取締役会において、株式会社神戸製鋼所(以下「神戸製鋼所」といい、当社と神戸製鋼所を総称して、以下「両社」といいます。)を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」といいます。)を行うことを決議し、同日、両社の間で株式交換契約(以下「本株式交換契約」といいます。)を締結いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の2の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
(1) 本株式交換の相手会社に関する事項
① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
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(2025年3月31日現在) |
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商号 |
株式会社神戸製鋼所 |
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本店の所在地 |
兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通二丁目2番4号 |
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代表者の氏名 |
代表取締役社長 勝川 四志彦 |
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資本金の額 |
250,930百万円 |
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純資産の額 |
(連結)1,237,059百万円 (単体)749,518百万円 |
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総資産の額 |
(連結)2,891,053百万円 (単体)1,860,003百万円 |
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事業の内容 |
鉄鋼・非鉄金属及びその合金の製造販売、鋳鉄品・鋳鍛鋼品及び非鉄合金の鋳鍛造品の製造販売、電気供給事業、産業機械器具・輸送用機械器具・電気機械器具及びその他の機械器具の製造販売、各種プラントのエンジニアリング及び建設工事の請負等 |
② 最近3年間に終了した各事業年度の売上高、営業利益、経常利益及び純利益
(連結)
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(単位:百万円) |
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決算期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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連結売上高 |
2,472,508 |
2,543,142 |
2,555,031 |
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連結営業利益 |
86,365 |
186,628 |
158,721 |
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連結経常利益 |
106,837 |
160,923 |
157,192 |
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親会社株主に帰属する 当期純利益 |
72,566 |
109,552 |
120,180 |
(単体)
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(単位:百万円) |
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決算期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
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売上高 |
1,403,979 |
1,326,810 |
1,375,958 |
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営業利益 |
43,606 |
57,534 |
50,132 |
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経常利益 |
60,538 |
87,307 |
109,169 |
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当期純利益 |
55,125 |
65,531 |
103,721 |
③ 大株主の氏名又は名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合
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(2025年3月31日現在) |
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大株主の氏名又は名称 |
発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合(%) |
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日本マスタートラスト信託銀行(株) (信託口) |
16.94 |
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(株)日本カストディ銀行(信託口) |
4.26 |
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野村信託銀行(株)(投信口) |
2.22 |
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STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505001 |
1.41 |
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日本生命保険(相) |
1.28 |
④ 提出会社との間の資本関係、人的関係及び取引関係
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資本関係 |
神戸製鋼所は、当社の発行済株式数(14,687,617株)から自己株式数(33,685株)を減じた株式数の51.69%に相当する7,575,300株の株式を保有しており、親会社であります。 |
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人的関係 |
神戸製鋼所の従業員1名が、当社の取締役を兼務しております。また、神戸製鋼所の従業員1名が、当社の管理部長として出向しております。また、当社は、2025年3月31日現在、神戸製鋼所より3名を出向者として受け入れております。 |
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取引関係 |
軸受鋼の二次加工の受委託、他 |
(2) 本株式交換の目的
神戸製鋼所は、1905年9月に合名会社鈴木商店が小林製鋼所を買収、神戸製鋼所として改称したことを発祥とし、1911年6月に合名会社鈴木商店から分離、株式会社神戸製鋼所として設立されました。KOBELCOグループ(神戸製鋼所を中核企業とした企業グループをいいます。以下同じです。)は、2025年3月31日現在、神戸製鋼所及び子会社196社、関連会社47社から構成されており、鉄鋼アルミ事業、素形材事業、溶接事業、機械事業、エンジニアリング事業、建設機械事業、電力事業及びその他事業を営んでおります。
KOBELCOグループは、鋳鍛鋼メーカーとしてスタートし、機械事業、鉄鋼の圧延、銅、エンジニアリング、建設機械、アルミ、溶接とその事業を徐々に広げてまいりました。110年を超える歴史の中で、社会のニーズに応え、選択と拡大を進めてきた結果、現在、鉄鋼やアルミ等の素材、鋳鍛鋼やアルミ鋳鍛等の素形材、溶接材料からなる「素材系事業」、産業用機械、エンジニアリング、建設機械からなる「機械系事業」、そして「電力事業」の3つの事業領域で事業を展開しています。
KOBELCOグループが提供する製品・サービスは、輸送機、電機、建設・土木、産業機械、社会インフラ等あらゆる産業の基礎資材となっています。KOBELCOグループは、独自の技術をもとにした代替困難な素材や部材、省エネルギーや環境に配慮した様々な機械製品やエンジニアリング技術等、KOBELCOグループ独自の多彩な製品群を幅広いお客様に供給することで、競争優位性を生み出しています。また、電力事業では、極めて重要な社会的インフラである電力の供給という公共性の高いサービスを提供しており、KOBELCOグループは社会的にも大きな責任を担っているものと考えています。
一方、当社は、1936年1月に、高周波電流応用の電撃精錬による低品位鉱石及び砂鉄の精錬から製品に至る一貫生産の企業化を目的として設立された日本高周波重工業株式会社を前身とし、1950年5月に日本高周波鋼業株式会社として発足しました。2025年3月31日現在、当社のグループは、当社、親会社である神戸製鋼所、子会社4社で構成され(以下、当社及びその子会社4社を「当社グループ」といいます。)、特殊鋼・鋳鉄製品の製造、販売を主な事業内容としております。なお、当社は、その子会社と合わせて、特殊鋼事業(工具鋼、特殊合金及び軸受鋼製品(鋼線・線材・棒材、鍛鋼品・二次加工品等)の製造・販売)と、鋳鉄事業(自動車部品や建設機械・産業機械部品等の特殊鋳物製品の製造・販売)の2つの事業セグメントを有しております。
昨今、特殊鋼業界及び鋳造業界を取り巻く環境は、少子高齢化や人口減少等による国内需要の中長期的な縮小、海外メーカーによるローコスト商品の進出、主要な顧客である自動車産業におけるEV(電気自動車)化の進展による製品構成の急激な変化等により厳しさを増しております。また、労働人口の減少や働き方の多様化に伴う人手不足・採用難、最低賃金や物流・エネルギーコストの上昇、円安による原材料費の高騰等により、当社における事業の継続的な成長に対する難易度はますます高まっていると考えております。
上記の課題認識を踏まえ、神戸製鋼所は当社の事業の戦略及び方向性につき、神戸製鋼所の社内において議論を重ねる中で、神戸製鋼所の事業戦略との整合性、両社で発揮可能なシナジー、当社の少数株主の皆様への影響、神戸製鋼所への財務インパクトと神戸製鋼所の株主の皆様の利益への影響等の観点から検討した結果、更なる協業体制の強化による経営資源の有効活用、重複機能の解消による経営資源の最適な配分等、更に踏み込んだグループ一体化経営を実現することで、当社の企業価値向上を目指すために、完全子会社化も含めた抜本的な経営改革を検討しておりました。
また、これまでに神戸製鋼所及び当社は、連携を強化することで当社の収益性の改善や金型・工具事業の合理化等の企業価値向上に向けた取り組みを進めてまいりました。当該取り組みを通して一定の成果が得られた一方で、当社の特殊鋼事業と神戸製鋼所の事業ポートフォリオとの間でシナジーが限定的であることが次第に明確になってきたことから、神戸製鋼所は、当社の特殊鋼事業に関する取扱いにつき、慎重に検討を重ねてまいりました。しかしながら、企業価値向上に向けた取り組みを実施している状況においても、2020年3月期、2021年3月期、2023年3月期には親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、2024年3月期には親会社株主に帰属する当期純利益は当社の子会社である高周波精密株式会社の固定資産の譲渡による特別利益によって一時的に回復したものの営業損失及び経常損失を計上し、さらに2025年3月期には、営業損失及び経常損失に加えて再度親会社株主に帰属する当期純損失を計上したように(注)、当社の業績が安定的に黒字化するには至りませんでした。これらの結果、当社が収益性を更に改善し、安定した事業運営が可能な状態となるには、上場会社として独立した事業運営を続けるよりも、当社の特殊鋼事業をコア事業とし、事業基盤の構築に関する強力なサポートを行うことが可能な第三者との資本提携によって、収益性の改善及び安定した事業運営体制の再構築を目指すことが必要だと判断するに至りました。
(注)詳細は、2025年5月12日公表の日本高周波鋼業のプレスリリース「2025年3月期連結業績予想数値と実績値との差異、及び個別業績実績値と前期実績値との差異について」をご参照ください。
こうした中で、神戸製鋼所は、以前より接点のあった大同特殊鋼株式会社(以下「大同特殊鋼」といいます。)との間で、当社の特殊鋼事業の譲渡について協議及び検討を開始いたしました。大同特殊鋼と協議を重ねるとともに、その結果を踏まえて改めて神戸製鋼所において検討する中で、特殊鋼事業を中核事業として位置付け、高い専門性と豊富な経験を有する大同特殊鋼に当社の特殊鋼事業を譲渡し、鋳鉄事業については引き続きKOBELCOグループとして事業を運営することで、神戸製鋼所及び当社の企業価値向上を目指すことが最善の選択と考えるに至りました。その結果、神戸製鋼所及び大同特殊鋼は、当社を非公開化し、当社の特殊鋼事業を大同特殊鋼が取得することを企図し、その取引の実現可能性や採用できる取引ストラクチャーについて詳細な検討を開始することといたしました。
その後も神戸製鋼所及び大同特殊鋼間で協議を重ね、2024年5月31日には、神戸製鋼所及び大同特殊鋼から当社に対して、当社の非公開化及び大同特殊鋼による当社の特殊鋼事業の取得(以下「本取引」といいます。)を提案いたしました。同日時点の当該提案においては、神戸製鋼所又は大同特殊鋼のいずれが当社を非公開化するかは確定していなかったものの、当社の非公開化の手法の1つとしては当社株式に対する公開買付け及びその後のスクイーズアウト手続を実施することが想定されていました。
当社は、本取引に係る提案は、親会社で支配株主である神戸製鋼所からの提案であったことに伴い、下記「(4) 株式交換に係る割当ての内容の算定根拠」の「④公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」に記載のとおり、本取引の公正性を担保するため、本取引の検討に当たり必要となる独立した検討体制の具体的な内容について検討し、当該検討体制を適切に構築した上、本取引に係る具体的検討を開始することといたしました。具体的には、本取引の検討を開始するに際して、当社は、当社の取締役会における意思決定過程の公正性、透明性及び客観性の確保並びに意思決定の恣意性の排除を目的として、2024年8月27日に支配株主である神戸製鋼所及び大同特殊鋼との間で利害関係を有しない独立した委員から構成される特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。詳細については下記「(4) 株式交換に係る割当ての内容の算定根拠」の「④公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」をご参照ください。)を設置し、併せて外部専門家を起用する等の具体的検討に向けた体制を整備いたしました。なお、本特別委員会は、下記「(4) 株式交換に係る割当ての内容の算定根拠」の「④公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」の「(3) 当社における利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得算定の経緯」に記載のとおり、2024年9月24日、独自の財務アドバイザーとして株式会社Stand by C(以下「Stand by C」といいます。)を選任しております。
その後、神戸製鋼所及び大同特殊鋼による当社に対するデュー・ディリジェンスや神戸製鋼所及び大同特殊鋼による取得対象のより詳細な精査及び協議等の結果、当社の特殊鋼事業を大同特殊鋼に譲渡することを円滑に実行するために、既に当社の親会社である神戸製鋼所が主体となって当社を一度非公開化することについて、両社及び大同特殊鋼との間で合意に至りました。また、神戸製鋼所は、2024年5月31日時点の本取引に係る提案のように、非公開化の手法として公開買付け及びその後のスクイーズアウト手続を実施することも想定されるものの、神戸製鋼所の普通株式(以下「神戸製鋼所株式」といいます。)を対価とする株式交換によって当社を完全子会社化することで、当社の少数株主の皆様にとって、神戸製鋼所株式の保有を通じて、本取引によって神戸製鋼所に生じることが期待される事業ポートフォリオの最適化を含む神戸製鋼所の全社戦略を通じて生み出される利益を享受していただくことが可能となることや、神戸製鋼所株式は株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場しており流動性が確保されているため、神戸製鋼所株式を保有し続けることも、当社の少数株主の皆様が希望する場合には随時現金化することも可能となることから、当社の少数株主の皆様の利益にも資するため、当社を非公開化する手法として神戸製鋼所株式を対価とする株式交換による完全子会社化を選択することが望ましいと考えるに至りました。以上の点を踏まえて、神戸製鋼所は、当社の非公開化の手法について大同特殊鋼と協議を重ね、大同特殊鋼との間で神戸製鋼所株式を対価とする株式交換による完全子会社化とすることについて合意に至った結果、2025年4月3日に、当社に対して、本取引における当社の非公開化の手法として、本株式交換を提案いたしました。
当社は、本株式交換の提案を踏まえて、本株式交換の検討のために、下記「(4) 株式交換に係る割当ての内容の算定根拠」の「④公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」に記載の検討体制及び外部専門家の起用を維持することを確認するとともに、本特別委員会に対して本株式交換に関する事項を諮問し、本株式交換の検討を進めてまいりました。
両社及び大同特殊鋼による検討及び協議の結果、本取引を行うことで、当社の特殊鋼事業においては大同特殊鋼グループ(大同特殊鋼を中核とした企業グループをいいます。以下同じです。)の有する特殊鋼事業に関する経営ノウハウを活用するとともにシナジーの発現を図ることで競争力の強化及び収益性の向上を目指すことが可能となることや、鋳鉄事業においてはKOBELCOグループの経営資源の活用やKOBELCOグループの各社との協業及び受発注を通じた生産数量拡大が可能となること、神戸製鋼所においては事業ポートフォリオの再構築によって成長戦略の核となる分野へ経営リソースを集中させることが可能となることから、本取引が両社の企業価値向上のために有益であるとの結論に至りました。
両社及び大同特殊鋼は、本取引により、具体的には、主に以下のシナジーが顕在化すると考えております。
(ⅰ) 生産アロケーション・生産レイアウト最適化によるコストダウン、生産量の拡大及び重複投資の抑制
当社及び大同特殊鋼においては、生産アロケーション・生産レイアウトの最適化を通じて、余剰キャパシティの活用による生産効率性の向上及び生産量・生産ロットの拡大を図ることが可能となります。また、重複投資を抑制することⅰでキャッシュフローを改善し、当社の特殊鋼事業の競争力の底上げを実現できるものと考えております。
(ⅱ) 大同特殊鋼グループが持つ国内外の広範なネットワークの活用による、プレゼンスの向上及び売上拡大
事業において、当社グループと大同特殊鋼グループの販売網共有によりプレゼンスを高めることで新規顧客を獲得し、海外事業においては、当社グループは大同特殊鋼グループの広範な海外ネットワークを活用し、当社グループの商品の販売を促進することで、当社グループの売上拡大及びサービス向上が可能と考えております。
(ⅲ) 各機能の共有化・集約化によるリソースの最適化、及び流通機能の統合
当社グループと大同特殊鋼グループの営業部門、研究部門、調達部門、物流部門、コーポレート部門等において、リソースの最適化を行うことを企図しております。また、中長期的には、流通機能の統合を図っていくことで、当社グループと大同特殊鋼グループの効率的な運営を促進するとともに、サービス向上及びコスト削減を図っていくことを検討しております。
本取引を通じて当社は上場廃止となり、一般的な上場のメリットとして挙げられるエクイティファイナンスによる資金調達手段の多様化、知名度向上による信用力の向上及び採用活動への好影響、会計監査を受けることによる財務への信頼性の向上等のメリットを失う可能性があります。しかし、当社は2000年4月以降エクイティファイナンスによる資金調達を実施しておらず、エクイティファイナンスの手段がなくなることによる資金調達へのデメリットは実質的にないものと考えられること、当社の知名度は、その業歴の長さ、事業の実績等から既に十分に高く、非上場会社となったとしても知名度の低下のリスクは低く、人材採用等への悪影響は想定されないと考えられること、本取引実施後も神戸製鋼所及び大同特殊鋼の連結の会計監査の対象となることから財務への信頼性は維持可能と考えられることなどを踏まえますと、上場廃止によって当社に生じるデメリットは限定的であり、その一方で本取引実施によって得られるメリットの方が大きいと考えております。
なお、通常、株式交換完全子会社の株主は、株式交換実施後も、株式交換完全親会社への出資を通じて、株式交換完全子会社の企業価値向上による果実を間接的に享受することができる関係にありますが、本取引では、少なくとも特殊鋼事業に関しては大同特殊鋼に譲渡されることから、上記の関係が成り立たず、投資の強制的な終了を伴うこととなります。
日本高周波鋼業は、投資の強制的な終了を伴うスキームとして、実務上、採用される手法である、金銭対価の公開買付け(日本高周波鋼業の非公開化を目的とするものに限る。)や株式交換の可能性を神戸製鋼所に確認したところ、神戸製鋼所からは、日本高周波鋼業の事業環境の不透明さから、現金を対価として日本高周波鋼業の株主から株式を取得する手法は難しいとの回答がなされました。加えて、日本高周波鋼業は、大同特殊鋼が神戸製鋼所の保有する日本高周波鋼業株式のみを公開買付けを通じて取得する方法についての可能性を神戸製鋼所に対して確認しましたが、大同特殊鋼は鋳鉄事業の取得を考えていないことや、大同特殊鋼は日本高周波鋼業の非公開化を希望していることから、同じく採用が難しいとの回答がなされております。
日本高周波鋼業は、本取引に係るスキームの変更は困難であるということを前提として、本株式交換を含む本取引に係るスキームの妥当性を検討しましたが、以下の点から、本取引の方法及び取引対価の種類等に不合理な点は認められず、適切なものと考えております
① 本株式交換において、日本高周波鋼業の株主は、神戸製鋼所株式の保有を通じて、日本高周波鋼業の鋳鉄事業に期待されるシナジー効果を間接的に享受できる関係が認められる。
② 本取引を通じて、日本高周波鋼業の株主は日本高周波鋼業の特殊鋼事業への投資が終了となるものの、本株式交換に関しては、(日本高周波鋼業において2期連続の営業赤字が見込まれている状況においても)株式交換比率の設定に際して一定のプレミアムが付されており、本取引の実施後に想定されている日本高周波鋼業の特殊鋼事業に係る各種施策の実行を通じた、日本高周波鋼業の特殊鋼事業に期待されるシナジー効果が、日本高周波鋼業の株主にも公平に分配されていると言いうる。
③ 本株式交換に際して割当交付される神戸製鋼所の株式は、東京証券取引所プライム市場に上場しており、少なくとも日本高周波鋼業株式よりも流動性が高いと考えられ、本株式交換あるいはその後の事業展開等に納得いかない場合は、本株式交換により取得する神戸製鋼所株式を市場で売却し、現金化することもでき、投資を回収する機会が保障されている。
以上の点を踏まえて、両社及び大同特殊鋼との間において総合的に検討した結果、当社の特殊鋼事業を大同特殊鋼に譲渡することで、競争力の強化及び収益性の向上を目指すことが可能になるとの認識で一致したことから、これを達成するために、2025年5月12日、(ア)両社の取締役会は、本株式交換によって神戸製鋼所が当社を完全子会社化するべく本株式交換契約を締結すること、(イ)両社の取締役会は、本株式交換の効力発生を条件として、当社が保有する高周波鋳造株式会社(以下「高周波鋳造」といいます。)の発行済み株式の全て(以下「高周波鋳造株式」といいます。)及び当社が鋳鉄事業に関連して保有する資産を当社から神戸製鋼所に対して現物配当(以下「本現物配当」といいます。)を実施すること、並びに、(ウ)神戸製鋼所の取締役会は、本株式交換の効力発生及び本現物配当の実施、並びに、本株式交換の効力発生を条件として実行される神戸製鋼所から大同特殊鋼に対する神戸製鋼が保有する当社株式全部の譲渡(以下「本株式譲渡」といいます。)について、大同特殊鋼において必要となる公正取引委員会等の国内外の関係当局の許認可の取得(以下「本クリアランス取得」といいます。)を条件として神戸製鋼所が大同特殊鋼に対して本株式譲渡(本株式譲渡に係る株式譲渡契約の締結を含みます。)を実施することをそれぞれ決定いたしました。
なお、2025年5月12日、両社は、大同特殊鋼との間で、本取引の実施後の当社の経営等に関する事項に関する覚書を締結しております(以下「本覚書」といいます。)。本覚書では以下に関する事項が合意されています。
・本取引の実現に向けて、それぞれ協力を行うものとする。
・神戸製鋼所は、本覚書締結日時点において、本現物配当を通じた当社の鋳鉄事業の取得に関して、以下の意向を有していることを確認する。
(ア)高周波鋳造の鋳鉄事業については、引き続きKOBELCOグループとして八戸地区において事業を継続する予定である。
(イ)高周波鋳造の主要事業である産業機械及び建設機械分野におけるトップラインの向上に向けてKOBELCOグループの経営資源を活用し、KOBELCOグループ各社との協業及び受発注等を通じた生産売上数量拡大、並びに安全・環境・品質におけるリスク管理活動や人材確保等の課題解決をサポートする。
(ウ)本取引実施後も鋳鉄事業に従事する高周波鋳造の役職員に事業の運営・経営を担わせるとともに、本取引実行を機に高周波鋳造の役職員の雇用及び処遇について、大きな変更を行うことは本覚書締結日時点において、予定していない。
・大同特殊鋼は、本覚書締結日時点において、本株式譲渡を通じた当社の特殊鋼事業の取得に関して以下の意向を有することを確認する。
(ア)当社の経営状態の著しい変化がない限りは、本取引実行を機に、当社の特殊鋼事業の各拠点の操業について大きな変更を行うことは予定していない。
(イ)大同特殊鋼グループ及び当社の保有する経営資源の相互活用によってシナジーの発現を図り、両社の競争力強化、ひいては両社の企業価値の向上を目指す。
(ウ)生産アロケーション・生産レイアウトの最適化を通じて、余剰キャパシティの活用による生産効率性の向上及び生産量・生産ロットの拡大を図る。また、重複投資の抑制で、キャッシュフローを改善させ、当社の競争力の強化を図る。
(エ)国内事業においては、大同特殊鋼グループの販売網共有によりプレゼンスを高めることで新規顧客を獲得し、売上拡大及びサービス向上を図り、海外事業においては、大同特殊鋼グループの広範な海外ネットワークを活用し、当社の商品の販売を促進することで、売上拡大及びサービス向上を図る。
(オ)半導体・医療・エネルギー分野等の高付加価値領域のトップライン向上を図るために、大同特殊鋼グループの経営資源を活用する。当社自らが行う安全・環境・品質におけるリスク管理活動及び人材確保等の課題解決をサポートする。
(カ) 本取引実施を機に、当社の従業員の雇用及び処遇について大きな変更を行うことは予定していない。
・当社は神戸製鋼所の意向及び大同特殊鋼の意向に賛同する。
(3) 本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容その他の本株式交換契約の内容
① 本株式交換の方法
本株式交換は、神戸製鋼所を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換です。本株式交換は、神戸製鋼所においては、会社法第796条第2項の規定に基づき、株主総会の決議による承認を必要としない簡易株式交換の手続により、また、当社においては、2025年6月24日に開催予定の当社の定時株主総会において本株式交換契約の承認を受けた上で、2026年2月2日を効力発生日として行われる予定です。
なお、本株式交換の効力発生を条件として、当社が保有する高周波鋳造株式及び鋳鉄事業に関連する資産について、当社から神戸製鋼所に対して本現物配当を実施する予定です。また、本株式交換の効力発生及び本現物配当の実施、並びに本クリアランス取得を条件として、神戸製鋼所は、その保有する当社株式の全てを大同特殊鋼へ譲渡する予定です。
② 本株式交換に係る割当ての内容
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神戸製鋼所 (株式交換完全親会社) |
当社 (株式交換完全子会社) |
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本株式交換に係る割当比率 |
1 |
0.26 |
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本株式交換により交付する株式数 |
神戸製鋼所株式:1,840,444株(予定) |
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(注1) 株式の割当比率
当社株式1株に対して、神戸製鋼所株式0.26株を割当交付いたします。ただし、基準時(以下に定義します。)において神戸製鋼所が保有する当社株式については、本株式交換による株式の割当ては行いません。なお、上記の本株式交換に係る割当比率(以下「本株式交換比率」といいます。)は、算定の根拠となる諸条件に重大な変更が生じた場合、両社間で協議し合意の上、変更することがあります。
(注2) 本株式交換より交付する神戸製鋼所株式の数
神戸製鋼所は、本株式交換に際して、本株式交換により神戸製鋼所が当社の発行済株式(ただし、神戸製鋼所が保有する当社株式を除きます。)の全てを取得する時点の直前時(以下「基準時」といいます。)における当社の株主の皆様(ただし、以下の当社による自己株式の消却後の株主をいい、神戸製鋼所を除きます。)に対し、その保有する当社株式に代えて、その保有する当社株式の数の合計に本株式交換比率を乗じて得た株数の神戸製鋼所株式を交付いたします。
また、神戸製鋼所が交付する株式は、神戸製鋼所が2025年5月12日時点で保有する自己株式及び神戸製鋼所が2025年5月12日以降に新たに取得する自己株式の一部を充当する予定であり、現時点で本株式交換における割当てに際して新たに株式を発行する予定はありません。
なお、当社は、本株式交換の効力発生日の前日までに開催する当社の取締役会の決議により、基準時において保有している自己株式(本株式交換に関してなされる会社法第785条第1項に定める反対株主の株式買取請求に係る株式の買取りによって当社が取得する自己株式を含みます。)の全てを、基準時をもって消却する予定です。本株式交換によって割当交付する株式数については、当社による自己株式の消却等の理由により今後修正される可能性があります。
(注3) 単元未満株式の取扱い
本株式交換に伴い、神戸製鋼所の単元未満株式(100株未満の株式)を保有することとなる当社の株主の皆様については、神戸製鋼所の定款及び株式取扱規則の定めるところにより、神戸製鋼所株式に関する以下の制度をご利用いただくことができます。なお、金融商品取引市場において単元未満株式を売却することはできません。
① 単元未満株式の買増し制度(100株への買増し)
会社法第194条第1項の規定及び神戸製鋼所の定款の規定に基づき、神戸製鋼所の単元未満株式を保有する株主の皆様が、その保有する単元未満株式の数と併せて1単元となる数の株式を神戸製鋼所から買い増すことができる制度です。
② 単元未満株式の買取請求制度(単元未満株式の売却)
会社法第192条第1項の規定に基づき、神戸製鋼所の単元未満株式を保有する株主の皆様が、その保有する単元未満株式を買い取ることを神戸製鋼所に対して請求することができる制度です。
(注4) 1株に満たない端数の取扱い
本株式交換に伴い、1株に満たない端数の神戸製鋼所株式の交付を受けることとなる当社の株主の皆様においては、会社法第234条その他の関連法令の定めに従い、その端数の合計数(その合計数に1に満たない端数がある場合は切り捨てるものとします。)に相当する神戸製鋼所株式を売却し、かかる売却代金をその端数に応じて当該株主の皆様に交付いたします。
③ 本株式交換に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
本株式交換により株式交換完全子会社となる当社は、新株予約権及び新株予約権付社債のいずれも発行していないため、該当事項はありません。
④ その他の本株式交換契約の内容
神戸製鋼所が、当社との間で2025年5月12日に締結した本株式交換契約の内容は次のとおりであります。
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株式交換契約書 |
株式会社神戸製鋼所(以下「甲」という。)及び日本高周波鋼業株式会社(以下「乙」という。)は、2025年5月12日(以下「本契約締結日」という。)付けで、次のとおり株式交換契約(以下「本契約」という。)を締結する。
(本株式交換)
第1条 甲及び乙は、本契約に定めるところに従い、甲を株式交換完全親会社とし、乙を株式交換完全子会社とする株式交換(以下「本株式交換」という。)を行い、甲は、本株式交換により乙の発行済株式(ただし、甲が所有する乙の株式を除く。以下同じ。)の全部を取得する。
(商号及び住所)
第2条 甲及び乙の商号及び住所は、それぞれ次のとおりである。
甲(株式交換完全親会社)
商号:株式会社神戸製鋼所
住所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通二丁目2番4号
乙(株式交換完全子会社)
商号:日本高周波鋼業株式会社
住所:東京都千代田区岩本町一丁目10番5号
(本株式交換に際して交付する株式及びその割当て)
第3条 甲は、本株式交換に際して、本株式交換により甲が乙の発行済株式の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」という。)における乙の株主(ただし、第9条に基づく乙の自己株式の消却後の株主をいうものとし、甲を除く。以下「本割当対象株主」という。)に対し、その所有する乙の普通株式に代わり、その所有する乙の普通株式の数の合計に、0.26を乗じて得た数の甲の普通株式を交付する。
2 甲は、本株式交換に際して、本割当対象株主に対し、その所有する乙の普通株式1株につき、甲の普通株式0.26株の割合をもって、前項の甲の普通株式を割り当てる。
3 前二項に従い甲が本割当対象株主に対して割り当てるべき甲の普通株式の数に1株に満たない端数があるときは、甲は、会社法第234条その他の関連法令の規定に従ってこれを処理する。
(資本金及び準備金に関する事項)
第4条 本株式交換により増加する甲の資本金及び準備金の額は次のとおりとする。
(1) 資本金の額
0円
(2) 資本準備金の額
会社計算規則第39条の規定に従い甲が別途適当に定める金額
(3) 利益準備金の額
0円
(効力発生日)
第5条 本株式交換がその効力を生ずる日(以下「本効力発生日」という。)は、2026年2月2日とする。ただし、本株式交換の手続進行上の必要性その他の事由により必要な場合は、甲及び乙は、協議し合意の上、これを変更することができる。
(株式交換契約承認株主総会)
第6条 甲は、会社法第796条第2項本文の規定により、本契約について会社法第795条第1項に定める株主総会の決議による承認を受けることなく本株式交換を行う。ただし、会社法第796条第3項の規定により、本契約につき株主総会の決議による承認が必要となった場合、甲は、本効力発生日の前日までに、本契約につき株主総会の決議による承認を求めるものとする。
2 乙は、本効力発生日の前日までに、本契約について会社法第783条第1項に定める株主総会の決議による承認を求めるものとする。
(会社財産の管理等)
第7条 甲及び乙は、本契約締結日から本効力発生日までの間において、それぞれ善良なる管理者としての注意をもって自らの業務執行並びに財産の管理及び運営を行い、且つ、それぞれの子会社をして行わせるものとし、本契約において別途定める行為を除き、その財産又は権利義務に重大な影響を及ぼすおそれのある行為又は本株式交換の実行若しくは本株式交換の条件に重大な影響を及ぼすおそれのある行為を行い又はそれぞれの子会社をして行わせる場合には、事前に甲及び乙が協議し合意の上、これを行い又は行わせるものとする。
(剰余金の配当等)
第8条 甲は、2025年3月31日を基準日として、1株当たり55円を限度として、また、2025年9月30日を基準日として、1株当たり55円を限度として、それぞれ剰余金の配当を行うことができる。
2 甲は、2025年5月12日開催の取締役会において決議した以下の内容の自己株式取得を行うことができる。
(1) 取得する株式の種類 :甲普通株式
(2) 取得する株式の総数 :190万株
(3) 株式の取得価額の総額 :39億円
(4) 取得する期間 :2025年5月13日から2025年6月9日
(5) 取得の方法 :市場買付
3 甲及び乙は、前二項に定めるものを除き、本契約締結日から本効力発生日までの間のいずれかの日を基準日とする剰余金の配当及び本契約締結日から本効力発生日までの間のいずれかの日を取得日とする自己株式の取得(適用法令に従い株主の権利行使に応じて自己の株式を取得しなければならない場合を除く。)を行わないものとする。
(自己株式の処理)
第9条 乙は、本効力発生日の前日までになされる取締役会の決議により、基準時において所有する自己株式(本株式交換に際して行使される会社法第785条第1項に定める反対株主の株式買取請求に応じて取得する自己株式を含む。)の全部を基準時において消却するものとする。
(本契約の変更及び解除)
第10条 本契約締結日から本効力発生日の前日までの間に、甲又は乙の財政状態又は経営状態に重大な変動が生じた場合、本株式交換の実行に重大な支障となる事態が生じ又は判明した場合その他本契約の目的の達成が困難となる事態が発生又は判明した場合は、甲及び乙は、協議し合意の上、本株式交換に関する条件その他の本契約の内容を変更し、又は本契約を解除することができる。
2 甲及び乙は、本契約締結日から本効力発生日の前日までの間に、相手方が本契約の条項に違反した場合には、相当の期間を定めて相手方に是正することを催告の上、その期間内に是正がなされないときは、本契約を解除することができる。
(本契約の効力)
第11条 本契約は、本効力発生日の前日までに本契約について第6条第1項ただし書に定める甲の株主総会の決議による承認(ただし、会社法第796条第3項の規定により、本契約について甲の株主総会の決議による承認が必要となった場合に限る。)若しくは第6条第2項に定める乙の株主総会の決議による承認が得られなかった場合、本効力発生日の前日までに本株式交換の実行に必要な国内外の法令に定める関係官庁の承認等(関係官庁に対する届出の効力の発生等を含むがこれに限らない。)が得られなかった場合、又は前条に従い本契約が解除された場合には、その効力を失う。
(準拠法及び管轄裁判所)
第12条 本契約は、日本法に準拠し、これに従って解釈される。
2 本契約の履行及び解釈に関し紛争が生じたときは、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。
(協議事項)
第13条 本契約に定めのない事項その他本株式交換に関し必要な事項は、本契約の趣旨に従い、甲及び乙が誠実に協議し合意の上、これを定めるものとし、本契約の内容について解釈上の疑義が生じた場合は、甲及び乙が誠実に協議し合意の上、その解決を図るものとする。
本契約締結の証として本契約書2通を作成し、甲及び乙がそれぞれ記名押印の上、各1通を保有する。
2025年5月12日
甲: 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通二丁目2番4号
株式会社神戸製鋼所
代表取締役社長 勝川 四志彦
乙: 東京都千代田区岩本町一丁目10番5号
日本高周波鋼業株式会社
代表取締役社長 小椋 大輔
(4) 株式交換に係る割当ての内容の算定根拠
① 割当ての内容の根拠及び理由
神戸製鋼所及び当社は、上記「(3) 本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容その他の本株式交換契約の内容」の「②本株式交換に係る割当ての内容」に記載の本株式交換比率の決定に当たって公正性及び妥当性を確保するため、それぞれ両社及び大同特殊鋼から独立した第三者算定機関及び各種アドバイザーを選定いたしました。神戸製鋼所はファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)を、法務アドバイザーとして西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下「西村あさひ法律事務所」といいます。)を選定し、当社はファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として山田コンサルティンググループ株式会社(以下「山田コンサル」といいます。)を、法務アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を選定し、本格的な検討を開始いたしました。
神戸製鋼所においては、下記「④公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」に記載のとおり、神戸製鋼所のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である野村證券から2025年5月9日付で取得した株式交換比率に関する算定書、法務アドバイザーである西村あさひ法律事務所からの助言、神戸製鋼所が当社に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて、慎重に協議・検討した結果、本株式交換比率は妥当であり、神戸製鋼所の株主の皆様の利益に資するとの結論に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
他方、当社においては、下記「④公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」に記載のとおり、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルから2025年5月9日付で取得した株式交換比率に関する算定書 、法務アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所からの助言、支配株主である神戸製鋼所及び大同特殊鋼との間で利害関係を有しない独立した委員のみから構成される特別委員会からの指示、助言及び2025年5月12日付で受領した答申書(詳細については、下記「④公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)」の「(3)当社における利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得」をご参照ください。)の内容等を踏まえて、慎重に協議・検討をいたしました。その結果、本株式交換比率は妥当であり、当社の少数株主の皆様の利益に資するとの判断に至ったため、当社は本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
以上のとおり、両社は、両社がそれぞれの第三者算定機関から提出を受けた株式交換比率の算定結果を参考に、神戸製鋼所が当社に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて慎重に検討し、両社の財務状況・資産状況・将来の見通し等の要因を総合的に勘案した上で、交渉・協議を重ねてまいりました。その結果、両社は、本株式交換比率は妥当であり、それぞれの株主の皆様の利益に資するとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことが妥当であると判断いたしました。
なお、本株式交換比率は、本株式交換契約に従い、算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じた場合には、両社間で協議し合意の上、変更することがあります。
② 算定に関する事項
(1) 算定機関の名称及び両社との関係
神戸製鋼所の第三者算定機関である野村證券、当社の第三者算定機関である山田コンサルはいずれも、両社及び大同特殊鋼から独立した算定機関であり、両社の関連当事者に該当せず、本株式交換に関して記載すべき重要な利害関係を有しません。
(2)算定の概要
(ⅰ) 野村證券による算定
野村證券は、神戸製鋼所については、同社が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価平均法(2025年5月9日を算定基準日として、東京証券取引所における算定基準日の終値、算定基準日までの直近5営業日、1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月の各期間の終値単純平均値を採用しております。)を採用して算定を行いました。
当社については、同社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価平均法(2025年5月9日を算定基準日として、東京証券取引所における算定基準日の終値、算定基準日までの直近5営業日、1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月の各期間の終値単純平均値を採用しております。)を、同社に比較可能な上場類似会社が複数存在し、類似会社比較法による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)を採用して算定を行いました。
各評価方法による神戸製鋼所株式の1株当たりの株式価値を1とした場合の株式交換比率の算定結果は以下のとおりです。
|
採用手法 |
株式交換比率の算定結果 |
|
市場株価平均法 |
0.21~0.23 |
|
類似会社比較法 |
0.16~0.24 |
|
DCF法 |
0.19~0.27 |
野村證券は、株式交換比率の算定に際して、公開情報及び野村證券に提供された一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。両社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。当社の財務予測その他将来に関する情報については、当社の経営陣により現時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。野村證券の算定は2025年5月9日までに野村證券が入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、野村證券の算定は、神戸製鋼所の取締役会が本株式交換比率を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
なお、野村證券がDCF法による算定の根拠とした当社の財務予測において、大幅な増減益が見込まれている事業年度が含まれております。具体的には、2026年3月期において、鋳鉄事業の売上の増加と営業利益率の改善により、対前年度比で大幅な増益を見込んでおります。また、当該財務予測は、本株式交換の実施を前提としておりません。
(ⅱ) 山田コンサルによる算定
山田コンサルは、神戸製鋼所については、同社が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価法(2025年5月9日を算定基準日として、東京証券取引所における算定基準日の終値、算定基準日までの1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の各期間の終値単純平均値を採用しております。)を採用して算定を行いました。
当社については、当社が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価法(2025年5月9日を算定基準日として、東京証券取引所における算定基準日の終値、算定基準日までの1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の各期間の終値単純平均値を採用しております。)を、同社に比較可能な上場類似会社が複数存在し、類似会社比較法による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、DCF法を採用して算定を行いました。
各評価方法による神戸製鋼所株式の1株当たりの株式価値を1とした場合の株式交換比率の算定結果は以下のとおりです。
|
採用手法 |
株式交換比率の算定結果 |
|
市場株価法 |
0.20~0.24 |
|
類似会社比較法 |
0.03~0.12 |
|
DCF法 |
0.18~0.66 |
山田コンサルは、株式交換比率の算定に際して、公開情報及び当社から提供を受けた一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っておりません。両社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。当社の財務予測その他将来に関する情報については、当社の経営陣により算定時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。山田コンサルの算定は算定時点までに山田コンサルが入手した情報及び経済条件を反映したものです。なお、山田コンサルの算定は、当社の取締役会及び本特別委員会が本株式交換比率を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。
なお、山田コンサルがDCF法による算定の根拠とした当社の財務予測において、大幅な増減益が見込まれている事業年度が含まれております。具体的には、2026年3月期において、製品構成改善や品質・操業コストの改善により特殊鋼事業と鋳鉄事業の売上と営業利益率が増加し、営業利益850百万円(前期は赤字)が見込まれております。2027年3月期において、特殊鋼事業は引き続き製品構成改善を図ることによる売上総利益率の増加により、営業利益1,290百万円(前期比+51.7%)が見込まれております。また、当該財務予測は、本株式交換の実施を前提としておりません。
③ 上場廃止となる見込み及びその事由
本株式交換により、その効力発生日(2026年2月2日(予定))をもって、当社は神戸製鋼所の完全子会社となり、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従って、2026年1月29日付で上場廃止(最終売買日は2026年1月28日)となる予定です。なお、現在の本株式交換の効力発生日が変更された場合には、上場廃止日も変更される予定です。
上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできなくなります。当社株式が上場廃止となった後も、本株式交換の対価として交付される神戸製鋼所株式は、東京証券取引所プライム市場に上場されており、本株式交換の効力発生日以降も東京証券取引所プライム市場において取引が可能であることから、基準時において当社株式を385株以上所有し、本株式交換により神戸製鋼所の単元株式数である100株以上の神戸製鋼所株式の割当てを受ける株主の皆様は、その保有する当社株式の数に応じて一部単元株式数に満たない神戸製鋼所株式の割当てを受ける可能性はあるものの、1単元以上の神戸製鋼所株式については引き続き東京証券取引所プライム市場において取引が可能であり、株式の流動性を提供できるものと考えております。
他方、基準時において385株未満の当社株式を保有する神戸製鋼所の株主の皆様には、神戸製鋼所株式の単元株式数である100株に満たない神戸製鋼所株式が割り当てられます。そのような単元未満株式を金融商品取引所市場において売却することはできませんが、単元未満株式を保有することになる株主の皆様は、神戸製鋼所に対し、その保有する単元未満株式を買い取ることを請求することが可能です。また、その保有する単元未満株式の数と併せて1単元となる数の株式を神戸製鋼所から買い増すことも可能です。詳細については、上記「(3) 本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容その他の本株式交換契約の内容」の「②本株式交換に係る割当ての内容の(注3)「単元未満株式の取扱い」をご参照ください。また、本株式交換に伴い1株に満たない端数が生じた場合における端数の詳細については、上記「(3) 本株式交換の方法、本株式交換に係る割当ての内容その他の本株式交換契約の内容」の「②本株式交換に係る割当ての内容」の(注4)「1株に満たない端数の取扱い」をご参照ください。
なお、当社の株主の皆様は、最終売買日である2026年1月28日(予定)までは、東京証券取引所スタンダード市場において、その保有する当社株式を従来どおり取引することができるほか、基準時まで会社法その他関係法令に定める適法な権利を行使することができます。
④ 公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含む)
両社は、神戸製鋼所が、2025年5月12日現在、当社株式7,575,300株(2025年3月31日現在の発行済株式総数(14,687,617株)から当社の自己株式数(33,685株)を控除した株式数(14,653,932株)に占める割合にして51.69%)を保有し、当社が神戸製鋼所の連結子会社に該当することから、本株式交換に際しては、利益相反を回避して公正性を担保する必要があると判断し、以下のとおり公正性を担保するための措置(利益相反を回避するための措置を含みます。)を実施しております。
(1) 両社における独立した第三者算定機関からの算定書の取得
本株式交換に用いられる株式交換比率の算定に当たって公正性を期すため、神戸製鋼所は、両社及び大同特殊鋼から独立した第三者算定機関である野村證券を選定し、2025年5月9日付で、株式交換比率に関する算定書を取得し、また、当社は、両社及び大同特殊鋼から独立した第三者算定機関である山田コンサルを選定し、2025年5月9日付で、株式交換比率に関する算定書を取得いたしました。
上記各算定書の概要は上記「②算定に関する事項」をご参照ください。なお、両社は、いずれも各第三者算定機関から、本株式交換比率が神戸製鋼所又は当社の株主にとって財務的見地より公正である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
(2) 独立した法律事務所からの助言
神戸製鋼所は、本取引の法務アドバイザーとして、西村あさひ法律事務所を選任し、本取引の諸手続及び取締役会の意思決定の方法・過程等について法的な観点から助言を得ております。なお、西村あさひ法律事務所は、両社及び大同特殊鋼から独立しており、両社との間で重要な利害関係を有しません。
他方、当社は、本取引の法務アドバイザーとして、アンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、本取引の諸手続及び取締役会の意思決定の方法・過程等について法的な観点から助言を得ております。なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、両社及び大同特殊鋼から独立しており、両社及び大同特殊鋼との間で重要な利害関係を有しません。
(3) 当社における利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得
当社は、2024年8月27日、本取引について検討を進めるに当たり、取引条件の公正性を担保し、本取引に関する意思決定の恣意性を排除し、当社の意思決定過程の公正性、透明性及び客観性を確保し、利益相反を回避するとともに、当社が本取引を行う旨の決定をすることが当社の一般株主の皆様にとって不利益なものではないことを確認することを目的として、いずれも、神戸製鋼所及び大同特殊鋼と利害関係を有しておらず、当社の社外取締役であり東京証券取引所に独立役員として届け出ている社外取締役である宮島哲也氏及び長野寛之氏、並びに当社の社外監査役である高尾和一郎氏の合計3名によって構成される本特別委員会を設置いたしました(なお、本特別委員会の委員の報酬は、その職務の対価として、答申内容にかかわらず、固定額の報酬を支払うものとされており、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。)。
当社の取締役会は、本取引を検討するに当たって、本特別委員会に対し、2025年4月3日に、(ⅰ)本取引の目的は正当性を有するか(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)、(ⅱ)本取引の条件(本株式交換に係る株式交換比率を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか、(ⅲ)本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされているか、(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)のほか、本取引は少数株主にとって不利益でないと考えられるか(以下(ⅰ)乃至(ⅳ)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問いたしました(なお、本取引は、当初、当社の非公開化の方法として公開買付け及びその後のスクイーズアウト手続を実施するものであったことから、2024年8月27日の本特別委員会の設置時の諮問事項から、当社の非公開化の方法として株式交換を実施することを前提とした諮問事項に修正しております。)。
本特別委員会は、2024年9月4日から2025年5月9日までに、合計15回、約17.5時間にわたって開催したほか、情報収集を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項について慎重に検討を行いました。
具体的には、本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサル並びに法務アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所について、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認し、その選任を承認いたしました。また、本特別委員会は、2024年9月24日、両社及び大同特殊鋼から独立した独自の財務アドバイザーとしてStand by Cを選任いたしました。本特別委員会は、Stand by Cが両社及び大同特殊鋼の関連当事者には該当しないこと、並びに両社及び大同特殊鋼との間で重要な利害関係を有していないことを確認しております。
その上で、当社からは、本株式交換の目的、本株式交換に至る背景・経緯、本株式交換比率の算定の前提となる当社の事業計画の作成手続及び内容、本株式交換の検討体制・意思決定方法等について説明を受けたほか、神戸製鋼所に対して本取引の目的等に関する質問状を送付した上で、神戸製鋼所から、本取引の目的、本取引に至る背景・経緯、本取引により創出されるシナジーの内容・シナジー創出に向けた具体的な施策、本取引を選択した理由、本取引後の経営方針や従業員の取扱い、本株式交換比率その他の条件等について説明を受け、質疑応答を行いました。また、当社の法務アドバイザーであるアンダーソン・毛利・友常法律事務所から、本取引に係る当社の取締役会の意思決定の方法・過程等、本特別委員会の運用その他の本取引に係る手続面の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置に関して助言を受けております。更に、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である山田コンサルから、本株式交換比率の算定方法及び算定結果の説明を受け、質疑応答を行い、また、その独自の財務アドバイザーであるStand by Cから受けた財務的見地からの助言も踏まえて検討を行いました。
なお、本特別委員会は、両社の間における本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容につき適時に報告を受けた上で、神戸製鋼所から本株式交換比率についての最終的な提案を受けるまで、複数回にわたり交渉の方針等について協議を行い、当社に意見する等して、神戸製鋼所との交渉過程に実質的に関与しております。
本特別委員会は、かかる手続を経て、本諮問事項について慎重に協議及び検討を行い、本取引は、当社の一般株主にとって不利益なものとは認められない旨の答申書を、2025年5月12日付で、委員全員の一致で、当社の取締役会に対して提出しております。本特別委員会の答申書の概要は、次のとおりです。
(a)答申内容
(ⅰ)本取引は当社の企業価値の向上に資するものと評価でき、その目的は正当であり、かつ合理的であると認められる。
(ⅱ)本取引の条件(本株式交換に係る株式交換比率を含む。)は公正性・妥当性が確保されていると考えられる。
(ⅲ)本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると考えられる。
(ⅳ)上記(ⅰ)から(ⅲ)のほか、当社にとって本取引を行うことについての決定が少数株主にとって不利益なものでないと考えられる。
(b)答申理由
1 本取引の目的は正当・合理的と認められるか(本取引が当社の企業価値向上に資するかを含む。)
本特別委員会は、本取引に至る背景・経緯、本取引の目的及び本取引により得られるシナジー等について、両社及び大同特殊鋼に対するヒアリングを行い確認した。その内容をまとめると、大要、以下のとおりである。
A) これまでに両社は、連携を強化することで当社の収益性の改善や金型・工具事業の合理化等の企業価値向上に向けた取り組みを進めてきた。
B) その結果、神戸製鋼所は、当社が収益性を更に改善し、安定した事業運営が可能な状態となるには、上場会社として独立した事業運営を続けるよりも、当社の特殊鋼事業をコア事業とし、事業基盤の構築に関する強力なサポートを行うことが可能な第三者との資本提携によって、収益性の改善及び安定した事業運営体制の再構築を目指すことが必要だと判断するに至った。
C) こうした中で、神戸製鋼所は、以前より接点のあった大同特殊鋼との間で、当社の特殊鋼事業の譲渡について協議及び検討を開始した。神戸製鋼所は、特殊鋼事業を中核事業として位置づけ、高い専門性と豊富な経験を有する大同特殊鋼に当社の特殊鋼事業を譲渡し、鋳鉄事業については引き続きKOBELCOグループとして事業を運営することで、両社の企業価値向上を目指すことが最善の選択と考えるに至った。
D) その後も神戸製鋼所及び大同特殊鋼間で協議を重ね、2024年5月31日には、神戸製鋼所及び大同特殊鋼から当社に対して、当社の非公開化及び大同特殊鋼による当社の特殊鋼事業の取得を提案した。
E) 神戸製鋼所は、非公開化の手法として公開買付け及びその後のスクイーズアウト手続を実施することも想定されるものの、神戸製鋼所株式を対価とする株式交換によって当社を完全子会社化することで、当社の少数株主にとって、神戸製鋼所株式の保有を通じて、本取引によって神戸製鋼所に生じることが期待される事業ポートフォリオの最適化を含む神戸製鋼所の全社戦略を通じて生みだされる利益を享受することが可能となることや、神戸製鋼所株式は東京証券取引所プライム市場に上場しており流動性が確保されているため、神戸製鋼所株式を保有し続けることも、当社の少数株主の皆様が希望する場合には随時現金化することも可能となることから、当社の少数株主の利益にも資するため、当社を非公開化する手法として神戸製鋼所株式を対価とする株式交換による完全子会社化を選択することが望ましいと考えるに至った。
次に、当社によれば、本取引により期待されるシナジーは以下のとおりである。
(i) 生産アロケーション・生産レイアウト最適化によるコストダウン、生産量の拡大及び重複投資の抑制
当社及び大同特殊鋼においては、生産アロケーション・生産レイアウトの最適化を通じて、余剰キャパシティの活用による生産効率性の向上及び生産量・生産ロットの拡大を図ることが可能となる。また、重複投資を抑制することでキャッシュフローを改善し、当社の特殊鋼事業の競争力の底上げを実現できるものと考えられる。
(ii) 大同特殊鋼グループが持つ国内外の広範なネットワークの活用による、プレゼンスの向上及び売上拡大
国内事業において、当社グループと大同特殊鋼グループの販売網共有によりプレゼンスを高めることで新規顧客を獲得し、海外事業においては、当社グループは大同特殊鋼グループの広範な海外ネットワークを活用し、当社グループの商品の販売を促進することで、当社グループの売上拡大及びサービス向上が可能と考えている。
(iii) 各機能の共有化・集約化によるリソースの最適化、及び流通機能の統合
当社グループと大同特殊鋼グループの営業部門、研究部門、調達部門、物流部門、コーポレート部門等において、リソースの最適化を行うことを企図している。また、中長期的には、流通機能の統合を図っていくことで、当社グループと大同特殊鋼グループの効率的な運営を促進するとともに、サービス向上及びコスト削減を図っていくことを検討している。
本取引を通じて当社は上場廃止となり、一般的な上場のメリットとして挙げられるエクイティファイナンスによる資金調達手段の多様化、知名度向上による信用力の向上及び採用活動への好影響、会計監査を受けることによる財務への信頼性の向上等のメリットを失う可能性がある。しかし、当社は2000年4月以降エクイティファイナンスによる資金調達を実施しておらず、エクイティファイナンスの手段がなくなることによる資金調達へのデメリットは実質的にないものと考えられること、当社の知名度は、その業歴の長さ、事業の実績等から既に十分に高く、非上場会社となったとしても知名度の低下のリスクは低く、人材採用等への悪影響は想定されないと考えられること、本取引実施後も神戸製鋼所及び大同特殊鋼の連結の会計監査の対象となることから財務への信頼性は維持可能と考えられることなどを踏まえると、当社は、上場廃止によって生じるデメリットは限定的であり、その一方で本取引実施によって得られるメリットの方が大きいと考えている。
以上の、本取引に至る経緯、当社の経営課題、本取引の目的及び本取引により得られるシナジー等についての説明内容については、いずれも特段不合理な点はなく、合理的な検討の結果と認められる。
したがって、本取引は当社の企業価値の向上に資するものと評価でき、その目的は正当であり、かつ合理的であると認められる。
2 本取引の条件(株式交換比率を含む。)の公正性・妥当性が確保されているか
(1)本取引に係るスキームの妥当性
通常、株式交換完全子会社の株主は、株式交換実施後も、株式交換完全親会社への出資を通じて、株式交換完全子会社の企業価値向上による果実を間接的に享受することができる関係にある。他方で、本取引では、少なくとも特殊鋼事業に関しては大同特殊鋼に譲渡されることから、上記の関係が成り立たず、投資の強制的な終了を伴うこととなる。
投資の強制的な終了を伴うスキームとして、実務上、採用される手法としては、金銭対価の公開買付け(当社の非公開化を目的とするものに限る。)又は株式交換も考えられるが、神戸製鋼所からは、当社の事業環境の不透明さから、現金を対価として当社の株主から株式を取得する手法は難しいとの回答がなされた。
加えて、当社は、大同特殊鋼が神戸製鋼所の保有する当社株式のみを公開買付けを通じて取得する方法についての可能性を神戸製鋼所に対して確認したところ、大同特殊鋼は鋳鉄事業の取得を考えていないことや、大同特殊鋼は当社の非公開化を希望していることから、同じく採用が難しいとの回答がなされた。
以上の点から、本特別委員会は本取引に係るスキームの変更は困難であるということを前提として、本株式交換を含む本取引に係るスキームの妥当性を検討すると、以下の点から、本取引の方法及び取引対価の種類等に不合理な点は認められず、適切なものと考える。
① 本株式交換において、当社の株主は、神戸製鋼所株式の保有を通じて、当社の鋳鉄事業に期待されるシナジー効果を間接的に享受できる関係が認められる。
② 本取引を通じて、当社の株主は当社の特殊鋼事業への投資が終了となるものの、本株式交換に関しては、(当社において2期連続の営業赤字が見込まれている状況においても)株式交換比率の設定に際して一定のプレミアムが付されており、本取引の実施後に想定されている当社の特殊鋼事業に係る各種施策の実行を通じた、当社の特殊鋼事業に期待されるシナジー効果が、当社の株主にも公平に分配されていると言いうる。
③ 本株式交換に際して割当交付される神戸製鋼所株式は、東京証券取引所プライム市場に上場しており、少なくとも当社株式よりも流動性が高いと考えられ、本株式交換あるいはその後の事業展開等に納得いかない場合は、本株式交換により取得する神戸製鋼所株式を市場で売却し、現金化することもでき、投資を回収する機会が保障されている。
(2)株式交換比率に関する検討
本特別委員会は、株式交換比率である1:0.26(当社株式1株に対して神戸製鋼所株式0.26株を割当て)は、以下の理由から公正かつ相当な比率であると考える。
(ⅰ)株式交換比率について、両社及び大同特殊鋼から独立した本特別委員会が交渉を行うことにより、一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本株式交換が行われることを目指して合理的な努力が行われる状況、すなわち独立当事者間取引と同視し得る状況が確保された上で、初回提案である1:0.22(当社株式1株に対して神戸製鋼所株式0.22株を割当て)から最終提案に係る比率である1:0.26(当社株式1株に対して神戸製鋼所株式0.26株を割当て)まで、神戸製鋼所による合計6回の提案を経て合意された比率であり、真摯な交渉を重ねた上で合意に至った比率であると考えられること。
(ⅱ)本株式交換の公表日の前営業日(2025年5月9日)における神戸製鋼所の株式の市場価格を基に算出した対価相当額434円は、2022年5月10日以降2025年5月9日までの3年間においては、土地売却の影響が株価に影響を与えていたとも考えられる2023年8月2日付プレスリリース「子会社の固定資産の譲渡による特別利益の計上に関するお知らせ」を公表した翌日の2023年8月3日から、2024年8月2日付プレスリリース「第2四半期連結累計期間及び通期連結業績予想の修正について」を公表した翌日の2024年8月3日までの期間を除くと当社株式の場中を含む高値を上回っており、同期間に市場で当社株式を取得した株主に経済的不利益が生じない水準であること。
(ⅲ)山田コンサルが株式価値を算定するにあたり前提とした当社の事業計画に関して、株式交換比率が不合理に低く算定されるような前提を置いているなどの不合理な点は認められなかったこと。
(ⅳ)山田コンサルによる株式交換比率算定結果は、神戸製鋼所の市場株価法の株式価値算定結果に対して、市場株価法では0.20~0.24、類似会社比較法では0.03~0.12、DCF法では0.18~0.66となり本株式交換に係る交換比率については、山田コンサルによる株式交換比率の算定結果のうち、市場株価法及び類似会社比較法の算定レンジの上限を上回り、DCF法による算定結果のレンジの範囲内であること。
(ⅴ)当社の株式1株に対して神戸製鋼所の株式0.26株という株式交換比率は、本株式交換の公表日の前営業日(2025年5月9日)を算定基準日として、基準日の終値による株価比率、直近1ヶ月の終値による株価比率の単純平均、直近3ヶ月の終値による株価比率の単純平均及び直近6ヶ月の終値による株価比率の単純平均をもとに算定された比率に対して11.0%、20.6%、25.6%及び18.5%のプレミアムをそれぞれ加えた比率である。これは、経済産業省により策定された「公正なM&Aの在り方に関する指針」が公表された2019年6月28日以降に公表された類似事例(組織再編実施前の時点で対象会社が買収者の上場子会社かつ、買収者が上場会社、かつ株式交換比率について公表日の前営業日を基準日として、基準日の終値、基準日までの1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の各期間の終値単純平均値に基づいて算定された比率のいずれに対してプレミアムを加えた比率となっている事例)におけるプレミアム水準と照らしても遜色のない水準であり、相応のプレミアムが付されているものと認められる。特に、当社は、2020年3月期、2021年3月期、2023年3月期及び2025年3月期に親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、2024年3月期及び2025年3月期に営業損失及び経常損失を計上しており、事業の収益性において不安定さを抱えていることから大幅なプレミアムを見込むことが困難な状況にある。かつ、これに加えて、当社は、2025年5月12日付で「特別損失(減損損失)の計上に関するお知らせ」を公表の上、特殊鋼生産設備等及び特殊鋼販売拠点に関して7,364百万円の減損損失を計上することを一般に公表予定であるところ(以下「本件減損」という。)、当該公表がなされた場合には当社株式の市場株価は相応に下落する可能性があり、当該公表がなされる前の当社株式の市場株価を基準として一定程度のプレミアムが付されている株式交換に係る提案を承認することは株主利益の観点から一定の合理性があるものと考えられること(注)。
(注)当社によれば、本件減損は、本取引の交渉・協議・検討とは無関係に、当社の事業の状況を原因として、当社の監査法人からの指摘により議論が開始されており、本株式交換に係る株式交換比率の協議に影響を与える意図等は存在しない。
以上を総合的に考慮すると、株式交換比率を含む本取引の条件は妥当性が確保されていると考えられる。
3 本取引における、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされているか
当社は、本株式交換に係る手続の公正性の担保、本株式交換の実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、以下の対応を実施している。以下を総合的に考慮すると、本取引において、公正な手続を通じた当社の株主の利益への十分な配慮がなされていると考えられる。
(1) 本特別委員会の設置
当社は、本取引の検討にあたり、当社の取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として本特別委員会を設置しているところ、以下に述べるとおり、本特別委員会は、独立性を有し、かつ、特別委員会としての実効性を高めるための実務上の措置が採られた上で、企業価値の向上及び一般株主の利益を図る立場から、本取引の是非や取引条件の妥当性、手続の公正性について検討・判断を行っている。
(a) 委員構成・独立性
本特別委員会の各委員は、当社の社外取締役2名及び社外監査役1名により構成されているところ、当該各委員は、両社及び大同特殊鋼並びに本取引の成否から独立しており、また、その報酬についても、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれていない。
以上に照らせば、本特別委員会の各委員について独立性はいずれも認められるものと考えられる。
(b) 交渉過程に関与する権限の付与
当社の取締役会は、本特別委員会の設置を決議するに際し、本特別委員会に対して、本取引に係る取引条件等について神戸製鋼所及び大同特殊鋼と交渉を行う権限を付与している。
(c) 外部アドバイザー等の選任権限等の付与
当社の取締役会は、本特別委員会の設置の決議に際し、本特別委員会に対し、当社が選任する外部アドバイザーを利用することができるほか、必要に応じて本特別委員会独自の外部アドバイザー等を選任する権限(この場合の費用は当社が負担するものとされている。)を付与している。
これを受けて、本特別委員会は、Stand by Cに対するヒアリングを通じて独立性に問題ないことを確認の上、独自の財務アドバイザーとしてStand by Cを選任した。
(d) 当社の取締役会における本特別委員会の判断の取扱い
当社の取締役会は、本特別委員会の設置を決議するに際し、本取引に関する意思決定については、本特別委員会の判断内容を最大限尊重するものとし、特に本特別委員会が本取引に関する取引条件を妥当でないと判断したときには、当社の取締役会は当該取引条件による本取引に賛同しない旨を決議している。
(2) 当社における外部専門家からの独立した専門的助言等の取得
(a) 第三者算定機関からの株式交換比率に関する算定書の取得
当社は、両社及び大同特殊鋼並びに本取引の成否から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として山田コンサルを選任の上、同社に対して本株式交換に係る株式交換比率の算定を依頼し、株式交換比率に関する算定書を取得している。
(b) リーガル・アドバイザーからの法的助言等の取得
当社は、神戸製鋼所、大同特殊鋼、及び当社並びに本取引の成否から独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、アンダーソン・毛利・友常法律事務所より、本株式交換に関する当社の取締役会の意思決定の過程、方法、その他の本株式交換に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受け、また、神戸製鋼所に対する法務デュー・ディリジェンスの結果として法務デュー・ディリジェンス報告書を受領し、その説明を受けた。
(c) 会計・税務アドバイザーからのデュー・ディリジェンス結果の取得
当社は、両社及び大同特殊鋼並びに本取引の成否から独立した会計・税務アドバイザーとして税理士法人山田&パートナーズを選任し、税理士法人山田&パートナーズより、神戸製鋼所に対する会計・税務デュー・ディリジェンスの結果として会計・税務デュー・ディリジェンス報告書を受領し、その説明を受けた。
(3) 交渉過程における神戸製鋼所関係者の関与による不当な影響の不存在
当社の取締役のうち、小椋大輔代表取締役社長(2023年4月に神戸製鋼所から当社に転籍)、小谷清久取締役(2024年4月に神戸製鋼所から当社に転籍)及び生治理仁取締役(2024年6月以降、神戸製鋼所の従業員と日本高周波鋼業の取締役を兼務)を除く4名の取締役により、取締役会において本取引に係る審議を行っている(加えて、当社の監査役のうち、谷川通隆監査役(2022年6月に神戸製鋼所の子会社であるコベルコ建機株式会社から当社に転籍)は当該審議に参加していない。)。
さらに、これらの取締役及び監査役は、本取引に係る2025年5月12日開催の取締役会決議についても審議及び決議に参加しない予定である。
そして、本株式交換における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を回避する観点から、小椋大輔代表取締役社長、小谷清久取締役及び生治理仁取締役に加え、谷川通隆監査役は、当社の立場で本取引に係る検討及び協議・交渉に参加していない。
他方で、小椋大輔代表取締役社長及び小谷清久取締役は、当社の事業計画の策定に際しては、当社の役職員に係る人員の都合上、関与が必須であることから、当社からの要望により、事業計画の策定に関与をしている。小椋大輔代表取締役社長及び小谷清久取締役による当社の事業計画の策定過程の関与に関しては、事業計画の内容や策定の経緯に関して、山田コンサル及びStand by Cからの質疑を通じた確認を経ており特段問題視するべき事情の指摘がなされていない。
そのため、小椋大輔代表取締役社長及び小谷清久取締役の事業計画の策定への関与について特段問題視するべき事象は見当たらない。
(4) 当社による協議・交渉
当社は、本特別委員会が事前に承認した交渉方針に従い、本株式交換に係る株式交換比率について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議·交渉を神戸製鋼所との間で複数回に亘って行っている。
なお、当該協議・交渉にあたっては、本特別委員会は、当社から当該協議・交渉の経緯及び内容等について適時に報告を受け、本特別委員会を通じて方針等を協議し、意見を述べるなどした上で行うなど、本特別委員会が神戸製鋼所との交渉過程に実質的に関与する形で行われている。
(5) マーケットチェックに関する事項
当社及び神戸製鋼所との間において、潜在的な買収者による対抗提案を制限するような合意等は存在しない。
他方で、現在、神戸製鋼所は、当社の株式の50%超を保有する支配株主であるところ、神戸製鋼所は本取引の提案主体として、本取引の実施を推進していることから、当社において積極的なマーケットチェックを実施する必要性が高いとは認められず、積極的なマーケットチェックに係る施策を実施していないとしても不合理とは認められない。
(6) マジョリティ・オブ・マイノリティ条件に関する事項
当社は、本株式交換の実施に関して、株主総会において、一定数以上(神戸製鋼所以外の株主の議決権の過半数)の賛成の議決権行使が行われなかったことを株式交換契約の解除条件として設定することなどの対応を行っていない(いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件)。
しかしながら、支配株主による従属会社の買収のように、対象会社の株式の保有割合が高い買収者によるM&Aにおいては、当該マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することにより、企業価値の向上に資するM&Aが阻害される懸念等も指摘されているところである。
本株式交換についても、神戸製鋼所は、当社の株式の総株主の議決権の50%超を保有する支配株主であることから、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することで、上記の阻害効果が懸念されることから、当該条件を設定しないことについて不合理とは認められない。
(7) 少数株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上
本株式交換に係るプレスリリースにおいては、法令や東京証券取引所の適時開示規制に沿った開示が予定されているほか、当社の一般株主による取引条件の妥当性等についての判断のために相当な情報が開示される予定であることが認められる。
4 上記1から3のほか、当社による本取引を行うことについての決定が少数株主にとって不利益なものではないと考えられるか
以上のとおり、(ⅰ)本取引は当社の企業価値の向上に資するものと評価でき、その目的は正当であり、かつ合理性があると考えられ、(ⅱ)株式交換比率を含む本取引の条件には公正性・妥当性が確保されていると考えられ、(ⅲ)本取引において、公正な手続を通じた当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると考えられる。
当社による本取引を行うことについての決定は、少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。
(4) 当社における利害関係を有しない取締役会全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見
本取引に関する議案を決議した2025年5月12日開催の当社の取締役会においては、当社の取締役7名のうち、小椋大輔代表取締役社長(2023年4月に神戸製鋼所から当社に転籍)、小谷清久取締役(2024年4月に神戸製鋼所から当社に転籍)及び生治理仁取締役(2024年6月以降、神戸製鋼所の従業員と日本高周波鋼業の取締役を兼務)を除く4名の取締役により審議の上、その全員の賛成により本取引の実施を決議しております。なお、小椋大輔代表取締役社長、小谷清久取締役及び生治理仁取締役に加え、谷川通隆監査役(2022年6月に神戸製鋼所の子会社であるコベルコ建機株式会社から当社に転籍)は、当社の立場で本取引に係る検討及び協議・交渉に参加しておりません。他方で、小椋大輔代表取締役社長及び小谷清久取締役は、当社の事業計画の策定に際しては、当社の役職員に係る人員の都合上、関与が必須であることから、特別委員会からの承認を得て、当社からの要望により、事業計画の策定に関与をしております。
(5) 本特別委員会における独立した財務アドバイザーからの助言の取得
本特別委員会は、上記「(3)当社における利害関係を有しない特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、両社及び大同特殊鋼から独立した独自の財務アドバイザーとしてStand by Cを選任し、Stand by Cから本株式交換比率の算定等に関する助言を得ております。なお、Stand by Cは、両社及び大同特殊鋼の関連当事者には該当せず、両社及び大同特殊鋼との間で重要な利害関係を有しません。
(5) 本株式交換の後の株式交換完全親会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
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商号 |
株式会社神戸製鋼所 |
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本店の所在地 |
兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通二丁目2番4号 |
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代表者の氏名 |
代表取締役社長 勝川 四志彦 |
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資本金の額 |
250,930百万円 |
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純資産の額 |
(連結)1,237,059百万円 (単体)749,518百万円 |
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総資産の額 |
(連結)2,891,053百万円 (単体)1,860,003百万円 |
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事業の内容 |
鉄鋼・非鉄金属及びその合金の製造販売、鋳鉄品・鋳鍛鋼品及び非鉄合金の鋳鍛造品の製造販売、電気供給事業、産業機械器具・輸送用機械器具・電気機械器具及びその他の機械器具の製造販売、各種プラントのエンジニアリング及び建設工事の請負等 |
以 上