第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び当社の関係会社)が判断したものであります。

 

(1) 業績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、日本銀行が物価安定の目標としている物価上昇率の2%超えが約3年連続で続き、実質賃金についても改善傾向が続くなど、穏やかな回復傾向にありましたが、米国トランプ政権が公表した関税政策をきっかけに世界景気の先行きに対する懸念が広がるなど、今後の景気動向に予断を許さない状況が続いております。
 当社グループが属する出版業界は新刊書籍価格の上昇や返品率の改善など、業界全体での取り組みが徐々に進んでおりますが、新刊点数・発行部数の減少は止まらず、当中間連結会計期間の書籍・雑誌の推定販売金額が前年同期比4.9%減少(出版科学研究所)するなど縮小傾向が続いております。
 このような状況の中、当社グループは、読者ニーズを的確に捉えた企画立案、物価高に対応した価格設定やマーケティング、既刊本の販売強化と返品減少対策など、高コスト化する出版流通への対応などを主要なテーマに活動を行い、好評既刊書籍の売上を伸ばしました。また、執筆者によるセミナーを書籍出版にあわせて開催する取り組みを広げるほか、note記事を継続的に投稿するなど顧客基盤の強化を行いました。
 その結果、当中間連結会計期間の連結売上高は1,697,793千円(前年同期比8.1%増)、営業利益137,796千円(前年同期比66.3%増)、経常利益146,156千円(前年同期比64.3%増)、親会社株主に帰属する中間純利益130,264千円(前年同期比153.5%増)となりました。
 事業別の概況は次のとおりです。

 (出版事業)

 会計分野では、質の高い研究成果として、国内外の基準設定に携わった編著者による本格的な体系書『財務会計』を刊行したほか、研究と実務の橋渡しとなる実務に活きる研究成果を提示した『財務・非財務報告のアカデミック・エビデンス』を刊行いたしました。また、現在盛んなビジネスモデルを会計の視点から解説した『サブスク会計学』は刊行直後から話題となり、即重版となるなど好評です。
 実務書としては、2027年4月開始年度から強制適用される新しいリース会計基準について、旬刊経理情報の人気記事を1冊にまとめた『ここから始める新リース会計基準』をいち早く刊行し好評を博したほか、基準設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)の研究員による『詳解 リース会計基準』を刊行し、今後も監査法人による書籍の投入を計画しています。また、国内外でサステナビリティ開示をめぐる制度化が進む中、関連する書籍として『ESRS〈欧州サステナビリティ報告基準〉ハンドブック』や『サステナビリティ保証の実務対応』を刊行しました。その他、IFRS会計基準による財務諸表、特に損益計算書が今後大きく変わることを受けて、『IFRS財務諸表の表示・開示実務』『IFRS「財務諸表の表示・開示」プラクティス・ガイド』や『しくみ図解 IFRS会計基準のポイント』を刊行しました。また、既刊の『内部監査 現場の教科書』は刊行後から半年以上経ちましたが、売行きが衰えず、今期も増刷を重ねております。
 経営・経済分野では、資本コストを意識した経営が求められる中で、『マネジメント・バイアウトの経済分析』を刊行したほか、企業の稼ぐ力を判断するための指標として注目されている投下資本利益率(ROIC)を扱った、『ROICツリーで読み解く経営戦略』が注目を浴び、早々に重版となりました。また、2022年から設立が可能となった、地域の課題に取り組むための新たな組織として注目される労働者協同組合について、歴史的背景まで踏み込んで解説した『労働者協同組合とは何か』は関心を持つ読者が多く、こちらも早々に版を重ねています。税制の根拠を経済学から検証した『税制と経済学』は第1四半期に刊行して以来、引き続き読者の関心を集めており、大規模な増刷を重ね、売上を伸ばしております。
 全国の大学をはじめとした教育機関で標準的テキストとして広く採用されている「ベーシック+(プラス)」シリーズも年度替わりにあわせて好評タイトルを改訂したほか、新たに『公共政策論』を刊行しました。

 税務分野では、主要な税目と会計・法律・ビジネスを横断的・多角的につなげて解説した『「税務マトリックス」ケース30』が、これまであるようでなかった本として増刷を重ねているほか、定番の『図解・表解 確定申告書の記載チェックポイント』に加え、増加が予想される譲渡所得申告にあわせ刊行した『図解・表解 譲渡所得の申告書記載チェックポイント〈第2版〉』が確定申告期間の読者ニーズに応え順調に推移しています。
 法律分野では、株主総会支援の実務書として好評を博している『2025年 株主総会の準備実務・想定問答』や『2025年版 株主総会の手引き なるほどQ&A』に加え、新たに『企業価値向上に向けた 株主総会年間実務・想定問答〈2025年版〉』を刊行し、株主総会関連書籍のラインナップを拡充いたしました。また、契約業務を扱ったベストセラー書籍『企業法務1年目の教科書 契約書作成・レビューの実務』の姉妹書として刊行した、『企業法務1年目の教科書 法律相談・ジェネコ対応の手引』は刊行前から話題となり、早々に増刷を決定するなど、好調な滑り出しとなっています。そのほか、要件・手続から書類作成まで丁寧に解説した『そこが知りたい! 帰化申請Q&A50』は、類書がないため反響が大きく、増刷を重ねています。
 企業実務分野では、実践的なノウハウを解説した『事業計画の極意』が昨年末の刊行以来、好調に売れ続けており、今期も大規模な増刷を行っております。
 資格分野では、定番書として認知された感のある『宅建士 出るとこ集中プログラム〈2025年版〉』『同・10分ドリル〈2025年版〉』、『ビジネスマネジャー検定試験® 公式テキスト〈5th edition〉』、『同・公式問題集〈2025年版〉』を刊行し、いずれも好評を博しております。 
 生活・実用分野では、受注している雑誌など定期刊行物が終了したことなどにより売上の谷間が生じ減収となりました。
 以上により、当中間連結会計期間の売上高は1,638,374千円(前年同期比7.4%増)、営業利益は128,371千円(前年同期比47.5%増)となりました。

 (出版付帯事業)

 出版付帯事業の主力事業は、当社雑誌への広告請負代理ですが、雑誌記事と連動した広告獲得活動を強化した結果、売上高及び営業利益が増加いたしました。
 以上により、当中間連結会計期間の売上高は59,418千円(前年同期比31.9%増)、営業利益9,420千円(前年同期は営業損失4,280千円)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

 当中間連結会計期間末における資産合計は5,993,901千円となり、前連結会計年度末に比べ171,477千円増加いたしました。これは流動資産の増加148,411千円、固定資産の増加23,065千円があったことによるものです。
 流動資産の増加については、主に仕掛品の減少24,797千円があったものの、売掛金の増加94,894千円及び現金及び預金の増加69,594千円などによるもので、固定資産の増加については、建物及び構築物の減少17,642千円があったものの、投資有価証券の増加42,205千円などがあったことによるものです。

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債合計は1,723,745千円となり、前連結会計年度末に比べ54,367千円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の増加55,135千円などによる流動負債の増加55,984千円などがあったことによるものです。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産合計は4,270,155千円となり、前連結会計年度末に比べ117,110千円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加88,673千円及びその他有価証券評価差額金の増加28,241千円などがあったことによるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は1,847,413千円となり、前連結会計年度末に比べ94,911千円増加いたしました。
 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は125,091千円(前年同期は169,309千円の獲得)となりました。これは主に売上債権の増加98,324千円があったものの、税金等調整前中間純利益150,431千円、仕入債務の増加55,185千円及び減価償却費23,841千円などがあったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は23,931千円(前年同期は42,154千円の獲得)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出3,596千円があったものの、定期預金の減少25,200千円及び投資有価証券の売却による収入4,374千円などがあったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は53,261千円(前年同期は29,611千円の使用)となりました。これは主に配当金の支払額39,500千円及び長期借入金の返済による支出12,504千円があったことによるものです。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。