第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当中間会計期間(2024年10月1日から2025年3月31日まで)におけるわが国経済は、引き続き物価高と賃金上昇の傾向が顕著に現れております。日本の消費者物価指数が、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数において3年半以上も連続して上昇しており、想定以上に物価高が継続しています。この影響もあり、国内において力強い個人消費の回復には至っておりません。また、2024年3月に日銀がマイナス金利を解除し、2025年1月24日には政策金利を0.25%から0.5%に引き上げたことで、マクロ環境が大きく変化しています。雇用環境・所得環境の改善とのバランス等が、先行きの不透明さを残した状況のままになっております。

 他方、世界的な選挙イヤーと言われた2024年が終了し、特に、2024年11月に実施された米大統領選挙の結果を受け、地政学リスクの動向、政策動向、金融資本市場の動向及び変動など、新政権の動向次第では予見されない状況も招くことが想定されます。そのため、国内のみならず世界的にも依然として不透明な状況は続くと見られています。なお、米国時間2025年4月2日(日本時間4月3日早朝)に、いわゆる「トランプ関税」が発令され、世界の自由貿易環境が大きな混乱を極めております。

 衛星測位分野のビジネス環境は、利用用途の多様化ニーズが進む中、従来はBtoBでの利用がメインでしたが、BtoBtoCでの事例も出始め、着実に利用用途のすそ野が拡大しています。

 また、政府主導で官民による社会実装に向けた約10年の「デジタルライフライン全国総合整備計画」においても、高精度位置情報が必要とされる領域は幅広く、第2期デジタルライフライン全国総合整備実現会議の第1回会議が2024年9月に開催されました。その後も、普及戦略ワーキンググループとして、ドローン航路普及戦略ワーキンググループ(第1回)が2024年11月に、インフラ管理DⅩ普及戦略ワーキンググループ(第1回)が12月に開催されました。2025年4月には、経済産業省所管の独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に設置されたデジタルアーキテクチャ・デザインセンター(DADC)において設計された「アーキテクチャ」に関する研究開発・実証事業を「デジタルライフライン全国総合整備計画」に沿って行った国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「産業DXのためのデジタルインフラ整備事業」の成果報告会が行われ、ドローン関連、インフラ関連、自動運転関連などの成果が報告されました。このように多様化と使用用途の拡大が進み、その必要性と相まって徐々に普及段階へと進んでいます。さらに、昨年の6月に成立したいわゆるスマート農業法が10月に施行され、2025年度から5年間を「農業構造転換集中対策期間」と位置づけています。政府主導で農政の再構築に取り組む方向性が明確になり、生産方式革新の側面から農業者又はその組織する団体を、開発供給事業の側面から農機メーカーやサービス事業者等をそれぞれ支援することが示されています。農業分野における技術対応力や人材創出の強化、スマート農業に適した農業農村整備の推進、農業農村の情報通信環境の整備まで予算として組み込まれています。ICT土木の分野と同様に、自動化・省人化のニーズとも相まって、IT農業は注目度の高いビジネス領域として大きく成長が期待される分野へと変貌してきています。

 このような状況下において、当社はGNSS補正情報配信サービス等を事業ドメインの中核として、当社が主力とする6分野(測量、航空測量、土地家屋調査、ICT土木、IT農業、ドローン)を中心に、政府主導の国土強靭化政策等による災害対策に関連した予算増や、災害の広域化と激甚化に対する防災の観点、さらには日本国内全域に広がる必要な土木工事のニーズに応えるべく、高精度の位置補正データを安定的かつ高品質に提供し、高付加価値のサービスとして展開するビジネスに邁進しております。

 業績面では、測量分野において、災害からの復興に係る必要な事業が増えたことや国土強靭化に向けた全国的なニーズが強く、必要な公共測量作業に準じてお客様のご利用時間も順調に推移いたしました。ICT土木、IT農業分野においては、既述のとおり国策の側面が強いため、建機レンタル会社や道路会社、ゼネコン等からのニーズが強く、また、国土交通省が進める土木ICT施工に利用できる工種が広がり、中小企業のICT機器導入に向けて政府が補助金等で導入を後押ししていることも背景に、順調に契約者数の増加と利用時間の拡大につながっております。その他の分野として、業務提携先であるKDDI株式会社が提供する「KDDI高精度位置測位サービス(VRS-RTK)」に当社のサービスを活用いただき、愛知県長久手市にあるテーマパークにおいてそのサービスが採用され拡大するなど、従来のBtoBだけでなく、BtoBtoCの領域においても活用される事例が出てきたことで、徐々に用途の拡大が実際のサービスとして利用されるステージに上がってきております。

 以上の結果、売上高は682,567千円(前年同期比8.5%増)となりました。売上原価は、売上高が増加している中でも前年同期比微減にとどまり、また、人件費は増加しておりますが、上場1年目だった前年同期に比べて第1四半期にかかる株主総会開催費用やそれに付随する費用等を低減させたことなどで販売費及び一般管理費が微増にとどまったことにより、営業利益は393,352千円(前年同期比13.9%増)となりました。営業外損益においては、市場金利の上昇が、受取利息及び有価証券利息に影響し、営業外収益として4,826千円計上したことで、経常利益は397,869千円(前年同期比14.9%増)となりました。特別損益は無く、法人税等合計額を121,800千円計上したことで、中間純利益は276,069千円(前年同期比15.1%増)となり、当中間会計期間において、売上高、各利益ともに、過去最高となりました。

 なお、セグメント別の経営成績につきましては、当社はGNSS補正情報配信サービス等事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産)

 資産総額は前事業年度末と比べて579,013千円減少し、3,404,836千円となりました。これは主に、流動資産のうち、現金及び預金が自己株式の取得等により668,786千円減少し、固定資産のうち、無形固定資産がソフトウェアの取得により12,361千円増加し、投資その他の資産が主に投資有価証券の取得により95,014千円増加したためであります。

 

(負債)

 負債総額は前事業年度末と比べて44,026千円減少し、391,561千円となりました。これは主に、流動負債のうち、契約負債が30,133千円、役員退職慰労引当金が15,642千円減少したためであります。

 

(純資産)

 純資産額は前事業年度末と比べて534,986千円減少し、3,013,275千円となりました。これは主に、中間純利益の計上により276,069千円増加し、自己株式の取得により740,000千円、配当金の支払いにより69,315千円減少したためであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して668,786千円減少し、2,842,041千円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは主に法人税等の支払額118,038千円により資金が減少した一方で、税引前中間純利益397,869千円、減価償却費17,493千円を計上したことにより増加した影響で、258,300千円の増加(前中間会計期間は269,742千円の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは主に投資有価証券の取得による100,000千円の支出により、118,707千円の減少(前中間会計期間は198,463千円の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは主に、自己株式の取得による支出740,000千円、配当金の支払額68,379千円により、808,379千円の減少(前中間会計期間は31,155千円の減少)となりました。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 なお、当中間会計期間において、資産除去債務の見積額の変更を行いました。詳細は「第4経理の状況 1 中間財務諸表の注記事項(会計上の見積りの変更)」をご覧ください。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。