名 称 三日月株式会社
所在地 東京都品川区東五反田二丁目7番18号
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2025年5月9日開催の取締役会において、下記「(2) 意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
なお、当該取締役会決議は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む)の承認」に記載の方法により決議されております。
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社を非公開化し、最終的に公開買付者及び不応募合意株主のみが当社の株主となる状態を実現することを目的とした一連の取引(以下「本取引」といいます。)を実施することを主たる目的として2025年3月28日に設立された株式会社とのことです。本書提出日現在、当社の代表取締役社長 社長執行役員である長瀬俊二郎氏が公開買付者の代表取締役社長を務めており、公開買付者の発行済株式を全て所有しているとのことです。なお、本書提出日現在、公開買付者は当社株式を所有しておりませんが、長瀬俊二郎氏は当社の普通株式43,418株(注1)(所有割合(注2):0.10%)を所有しているとのことです。
(注1) 当社は、譲渡制限付株式報酬として当社の取締役等に対し譲渡制限付株式(以下「本譲渡制限付株式」といいます。)を割り当てているところ、長瀬俊二郎氏所有株式43,418株(所有割合:0.10%)は、いずれも長瀬俊二郎氏が所有する本譲渡制限付株式43,418株(所有割合:0.10%)となるとのことです。なお、長瀬俊二郎氏は、本書提出日現在、当社の役員持株会を通じた持分は所有していないとのことです。
(注2) 「所有割合」とは、当社が2025年5月9日に提出した「2025年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社決算短信」といいます。)に記載された2025年3月31日現在の発行済株式数(44,741,467株)から、当社決算短信に記載された、当社が同日現在所有する自己株式数(444,809株)を控除した株式数(44,296,658株、以下「本基準株式数」といいます。)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入)をいいます。以下同じとします。
本公開買付けは当社取締役会の賛同のもと、友好的に当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募株式(以下に定義します。)を除きます。)の全てを取得するために実施するとのことです。また、本取引の実行後は、当社の代表取締役会長である長瀬文男氏及び当社の代表取締役社長 社長執行役員であり公開買付者の代表取締役社長である長瀬俊二郎氏(長瀬文男氏及び長瀬俊二郎氏を総称して、以下「提案者」といいます。)は、本取引成立後も継続して当社の経営にあたることを予定しており、公開買付者及び当社経営陣の合意に基づいて本公開買付けを行うものであるため、本取引はいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注3)に該当するとのことです。長瀬文男氏は、当社株式を所有していないとのことです。
(注3) 「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が対象者の役員との合意に基づき公開買付けを行うものであって対象者の役員と利益を共通にするものである取引をいいます。
本取引は、本公開買付け、及び、本公開買付けが成立した場合であって、公開買付者が本公開買付けにおいて、当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募株式(以下に定義します。)を除きます。)の全てを取得できなかった場合に当社が行う株式併合(以下「本株式併合」といいます。)及び本貸株取引(以下に定義します。)を通じて、最終的に当社の株主をクレアート(注4)(所有株式数:20,642,247株、所有割合:46.60%)、クレアートの完全親会社であるクレアートHD(注4)(所有株式数:400,000株、所有割合:0.90%)及び公開買付者のみとし、最終的に公開買付者が当社を非公開化することを企図しているとのことです。なお、本株式併合の詳細につきましては下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。
本公開買付けに際し、公開買付者は、2025年5月9日付で、当社の第1位の株主(2025年3月31日現在)であるクレアート及びクレアートHDとの間で、それぞれが所有する当社株式の全てについて本公開買付けに応募しない旨、本公開買付けが成立した場合には本株主総会(下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に定義します。以下同じです。)において本公開買付けの成立後に実施することが予定されている、当社の株主(当社を除く。)をクレアート及び公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)に関連する各議案に賛成する旨及び本スクイーズアウト手続の実施に必要な協力を行う旨を定めた契約(以下「本不応募契約」といいます。)を締結しているとのことです。不応募合意株主が所有する当社株式の全てであり本公開買付けに応募しない旨の合意をしている株式(以下「本不応募株式」といいます。)は合計24,542,247株(注5)、所有割合:55.40%となります。本不応募契約の詳細については、下記「(7) 本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」をご参照ください。
(注4) クレアート及びクレアートHDはいずれも当社の創業家一族の資産管理会社であり、長瀬文男氏、長瀬俊二郎氏及びその三親等以内の親族が議決権の全てを直接的又は間接的に有するとともに、当社の代表取締役会長である長瀬文男氏が両社の代表取締役を務めています。
(注5) クレアートは、クレアートを唯一の委託者兼受益者とし、受託者を三井住友信託銀行株式会社(以下「三井住友信託銀行」といいます。)、再信託受託者を株式会社日本カストディ銀行(以下「日本カストディ銀行」といいます。)として、その所有する当社株式のうち3,500,000株(所有割合:7.90%。以下「本信託株式」といいます。)を信託しており、本不応募株式は本信託株式を含みます。
本公開買付けにおいては、公開買付者は、買付予定数の下限(注6)を4,841,400株(所有割合:10.93%)としており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、公開買付者は、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。一方、本公開買付けにおいては、当社の非公開化を企図しているため、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(4,841,400株)以上の場合は、公開買付者は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
かかる買付予定数の下限を設定したのは、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本株式併合の手続を実施する際には、会社法第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされるため、本取引を確実に遂行すべく、本公開買付け及び本貸株取引(以下に定義します。)後に公開買付者及びクレアートが所有する当社株式並びに当社取締役が所有する本譲渡制限付株式に係る議決権の数の合計が当社の総株主の議決権数の3分の2以上となるようにするためとのことです。なお、下記「(7) 本公開買付けに係る重要な合意に関する事項」に記載のとおり、クレアート及びクレアートHDは、本不応募契約に基づき、本株主総会において本株式併合に係る議案に賛成の議決権を行使することを合意しているとのことです。
本公開買付け成立後に、公開買付者は、当社が所有する自己株式及び本不応募株式を除く当社株式の全てを所有していなかった場合には、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本株式併合の実施を要請することを予定しているとのことです。
本株式併合の効力発生日において、公開買付者及び不応募合意株主以外に、当社の株主が存在することを避けるため、クレアートHDは、本株式併合の効力発生に先立ち、クレアートとの間で当社株式に係る消費貸借契約を締結し、クレアートに対してクレアートHDの所有する当社株式の全部又は一部を貸し付ける貸株取引(以下「本貸株取引」といいます。)を実施するとのことです。本取引においては、最終的に、クレアートHD、クレアート及び公開買付者のみを当社の株主とすることを予定しているところ、本貸株取引は、クレアートHDが下記「Ⅲ.本公開買付けの実施後」の「③ 本貸株取引の解消」に記載の本貸株取引の解消後に当社株式の返還を受け、当社株式を所有することで本スクイーズアウト手続においてクレアートHDが所有する当社株式が端数処理により現金化された結果、上記の本取引の目的を達成できなくなることを避けることを目的としているとのことです。なお、貸株料等の条件は本書提出日現在未定ですが、仮に貸株料が有償となった場合でも、本貸株取引は、貸株料等の条件を定める各株式貸借契約を締結する日以前1年以上継続して法第27条の2第7項第1号に定める形式的特別関係者の関係にある者との間で行われることが想定されているため、法第27条の2第1項但書に定める「適用除外買付け等」に該当することになるとのことです。また、本貸株取引が実行される場合には、借主となるクレアートが、本株式併合の効力発生日後に、借り受けた当社株式と同等の価値の当社株式を返還できるようにするため、公開買付者及びクレアートは、当社に対して、公開買付者及びクレアートの別途指定する基準日及び割合をもって、当社株式の分割を行うことを要請する予定とのことですが、本書提出日現在において詳細は未定とのことです。
(注6) 本公開買付けにおける買付予定数の下限(4,841,400株、所有割合:10.93%)は、本基準株式数に係る議決権の数(442,966個)の3分の2以上となる議決権の数(295,311個)から、本不応募株式24,542,247株に係る議決権の数(245,422個)及び、本譲渡制限付株式のうち、当社取締役が保有している株式数(合計147,660株、所有割合0.33%)に係る議決権数の合計(1,475個)(注7)を控除した数(48,414個)に当社の単元株式数(100株)を乗じた株式数(4,841,400株)に設定しているとのことです。
(注7) 本譲渡制限付株式は、譲渡制限が付されていることから本公開買付けに応募することができませんが、2025年5月9日開催の当社取締役会において、本取引の一環として実施される本公開買付けに賛同する意見を表明することを決議していることから、本公開買付けが成立した場合には、本譲渡制限付株式の所有者のうち、当社取締役は本株式併合に賛同する見込みであると考えておりますので、買付予定数の下限を考慮するに際して、これらの本譲渡制限付株式のうち当社取締役が保有している株式数に係る議決権の数を控除しているとのことです。
なお、本取引の概要は以下のとおりとのことです。
2025年3月31日時点において、クレアートが20,642,247株(所有割合:46.60%)、クレアートHDが400,000株(所有割合:0.90%)、クレアートから三井住友信託銀行を通じて再信託を受けている日本カストディ銀行が3,500,000株(所有割合:7.90%)、その他の株主が残りの19,754,411株(所有割合:44.60%)を所有。

公開買付者は、当社株式の全てを対象に本公開買付けを実施(当社株式1株あたりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)は795円)。
不応募合意株主は、本不応募契約に基づき、公開買付者との間で、それぞれが所有する当社株式の全てを本公開買付けに応募しないことを合意。

① 信託解除及び本貸株取引の実行(2025年9月頃(予定))
本公開買付けの決済後、本スクイーズアウト手続の効力発生前に、クレアートは、本信託株式の全て(所有株式数:3,500,000株、所有割合:7.90%)につき、当該信託の設定に係る契約等を解約の上で、特段の対価の支払いなく、本信託株式の全ての返還を受ける予定(以下「本信託解除」といいます。)(注8)。また、クレアートHDは、その所有する当社株式の全て(所有株式数:400,000株、所有割合:0.90%)について、クレアートに貸し出す本貸株取引を実施。

(注8) 公開買付者によれば、①クレアートが返還を受ける予定の当社株式は、府令第7条第1項第1号に定める、信託業を営む者である受託者の日本カストディ銀行が信託財産として所有する株券等であること、②当該信託の設定に係る契約等においては、契約締結当初から、クレアートが委託者兼受益者であり、変更されていないこと、及び③クレアートは、当社株式の返還を対価の支払いなく受けるにすぎないことから、当該当社株式の返還は、公開買付規制の趣旨に反しないため、公開買付けを行う必要はないものと考えているとのことです。
② 本株式併合(2025年10月頃(予定))
公開買付者は、当社に対して本株式併合の手続の実行を要請し、当社の株主を公開買付者及びクレアートのみとするための一連の手続を実施。

③ 本貸株取引の解消(2025年10月頃(予定))
本株式併合の効力発生後、本貸株取引を解消し、本貸株取引における借主であるクレアートが、貸主であるクレアートHDに対して、借り受けた当社株式の全てを返還。なお、本貸株取引の解消に先立ち、クレアートが借り受けた当社株式と同等の価値の当社株式をクレアートHDに返還できるようにするため、公開買付者及びクレアートは、当社に対して、公開買付者及びクレアートが別途指定する基準日及び割合をもって、当社株式の分割を行うことを要請する予定(詳細は本書提出日現在未定。)。

当社の前身である株式会社極東現像所は、1935年2月に、映画フィルムの現像及びプリント受注を目的として設立され、1942年1月に株式会社東洋現像所、1986年1月に株式会社イマジカにそれぞれ商号変更をいたしました。その後、同社は、2002年4月に株式会社エフ・イー・エルに商号変更するとともに、新設分割により株式会社イマジカを設立いたしました。新設分割により設立された株式会社イマジカは、2006年4月に株式会社イマジカホールディングス、同年7月に株式会社イマジカ・ロボット ホールディングスにそれぞれ商号変更をいたしました。同社は、2011年4月、同社を吸収合併消滅会社、当社(当時の商号は株式会社フォトロン)を吸収合併存続会社とする吸収合併により解散し、当社は株式会社イマジカ・ロボット ホールディングスに商号変更をいたしました。その後、当社は2018年10月に、現在の商号である株式会社IMAGICA GROUPに商号変更をいたしました。その間、当社は2011年4月に大阪証券取引所ジャスダック市場に株式を上場後、2012年12月に東京証券取引所市場第二部、2014年4月に東京証券取引所市場第一部にそれぞれ市場変更し、2022年4月に実施された東京証券取引所の市場区分見直しに伴い、本書提出日現在においては東京証券取引所プライム市場に上場しています。当社のグループは、本書提出日現在、当社及び子会社48社(以下、総称して「当社グループ」といいます。)で構成され、映像コンテンツ事業、映像制作技術サービス事業、映像システム事業を展開しています。当社グループの事業内容は、以下のとおりです。
ア 映像コンテンツ事業
劇場映画・ドラマ番組・アニメーション作品、ミュージックビデオ、音楽ライブ演出の他、テレビCMから商業施設・屋外のデジタルサイネージ(注9)、Webといった様々な媒体への広告プロモーションなど、あらゆる映像コンテンツの企画・制作を提供しております。
また、最先端の映像技術を駆使した高精細ライブビューイングなど新しいライブエンタテインメントの提供やライトノベルなどの出版事業の他、近年ではライトノベル「薬屋のひとりごと」をはじめとした独自IP(知的財産)創出による事業展開にも取り組んでおります。
(注9) 「デジタルサイネージ」とは、表示と通信にデジタル技術を活用して平面ディスプレイやプロジェクタなどに映像や文字を表示する情報・広告媒体の総称をいいます。
イ 映像制作技術サービス事業
編集から字幕・吹替などのローカライズ(注10)、配信向けサービスまで、私たちが「E2E(End to End)」と呼ぶサービス(注11)をハリウッドのメジャースタジオ、動画配信事業者や国内の映画会社などグローバルクライアントにワンストップで提供しております。
また、スポーツの撮影・中継、ゲームの3DCG(注12)制作やデバッグ(注13)、ゲームクリエイターの人材派遣等の人材ソリューションサービスも展開しており、幅広いクライアントの多様なニーズに応えられるように努めております。
(注10) 「ローカライズ」とは、映像コンテンツを国・地域を越えて流通させるために、音声の翻訳・吹替・字幕付・フォーマット変換や、現地の法令・慣習・文化に合うようコンテンツの一部を改訂するサービスの総称をいいます。
(注11) 「E2E(End to End)サービス」とは、映画・ドラマ・アニメーション等の映像コンテンツを制作するポストプロダクションから、それらを劇場、テレビ、インターネットを介した動画配信などあらゆるメディアで流通させるために必要なローカライズ(吹替、字幕制作)、ディストリビューション(流通)のためのメディアサービスまで、ワンストップで提供するサービスの総称をいいます。
(注12) 「3DCG」とは、「3次元コンピュータグラフィックス」を指し、コンピュータの演算によって3次元空間内の仮想的な立体物を2次元である平面上の情報に変換することで奥行き感・立体感を表現した画像をいいます。
(注13) 「デバッグ」とは、コンピュータプログラム中の誤り・欠陥を特定して取り除き、コンピュータプログラムの動作を仕様どおりのものとするための作業の総称をいいます。
ウ 映像システム事業
最高品質のハイスピードカメラの開発製造販売を行うとともに、映像に係る伝送ソリューション(注14)やネットワークサービスを提供しています。また、放送映像機器に関する設計から導入までをトータルにご提案しております。
医療や教育、一般産業分野への映像技術の活用も積極的に展開しており、画像に関わる最先端のテクノロジーで、世界中をマーケットに、放送業界だけでなく、病院、大学、空港、メーカー、研究機関など、広い業種の期待に応えられるように取り組んでおります。
(注14) 「伝送ソリューション」とは、映像ファイルの高速転送及び映像作品(物理メディア)の保管を扱う倉庫・配送の運用管理をいいます。
当社グループは、グループ経営理念として、誠実な精神をもって新たな価値創造につとめ、世界の人々に「驚きと感動」を与える映像コミュニケーショングループ(注15)を目指すことを掲げ、エンタテインメントから産業分野に至るまで、“映像”を核にした多様なサービスや製品をグローバルマーケットで総合的に提供してまいりました。
(注15) 「映像コミュニケーション」とは、当社グループが、TV、映画、CM・PR映像、特殊映像等の映像を用いた表現によって人々の感情を動かす行為及びその行為から波及するあらゆるビジネスと定義し、それらを総称したものを指します。
一方、当社グループは、2021年度より「高収益体質のグループ」を実現するため2025年度を最終年度とした中期経営計画「G-EST2025」(ジーエスト2025)を推進してまいりましたが、3年目である2023年度まで営業利益目標を連続してクリアすることができたものの、ハリウッドストライキによる制作遅延やハリウッドスタジオによる動画配信サービスの積極投資から収益化(コスト削減)への戦略シフト等、グローバルでの動画配信市場が急激に変化するなど、当社グループを取り巻く外部環境が大きく変化しており、当該中期経営計画の目標達成が困難になるとともに、このような外部環境変化への更なる対応が必要となっております。
現在、当社グループは映像の制作領域などグローバルな競争力を持つ事業を行っているものの、全社の収益性や資本効率性を高める余地があると認識しており、改善にとどまらない変革の取り組みを加速する必要があります。
当社グループとしては、これに対応するためには戦略的な対応施策の検討及びそれを速やかに実行に移すための迅速な経営判断がこれまで以上に求められるものと考えております。
公開買付者は、これらの状況を踏まえ、当社グループが既存の各事業をこれまで同様に発展させていくだけでは当社グループの持続的な成長を実現していくことは困難であると考えており、具体的には以下の施策を実行することで、当社グループの更なる企業価値向上を実現することが可能であると考えているとのことです。
(a) 非映像領域における大型のM&Aや開発投資を通じたビジネスの拡大
公開買付者は、上述の当社グループを取り巻く外部環境の変化を受けて、映画及びドラマ等の製作委員会、テレビ局、動画配信事業者、広告代理店等を主な顧客とし、国内映像領域(注16)におけるBtoB事業がメインである現在のビジネスモデルが転換点に差しかかっていると認識しており、映像システム事業の拡大を目的とした周辺事業への投資等、既存の映像領域ビジネスに囚われない新たな分野での投資についても国内外問わず積極的に検討していくべきであると考えているとのことです。
(注16) 「国内映像領域」とは、劇場映画・ドラマ・テレビCM・アニメ等、国内で制作される映像コンテンツ全般を指します。
公開買付者は、当社グループがこれまでにもM&Aを通じて既存事業の強化に取り組んできているものの、いずれも補完的な周辺サービスの買収を目的として実施されており、非映像領域での大規模なM&Aは経験がないものと認識しているとのことです。公開買付者は、新規領域におけるM&Aや開発投資の実施においては、収益化までに相応の期間やコストを要し、それに伴って、よりリスクを伴った経営判断が求められますが、長期的な企業価値の向上のためには、急速に変化する時代のニーズに合わせ、既存のビジネスに囚われない非映像領域での積極的な投資により新たな競争力を備えることが必要と考えているとのことです。
(b) 制作請負業務に加えた新たなビジネスモデルの構築
公開買付者は、現状の当社の事業ポートフォリオのうち、制作請負業務が売上の大部分を占めており、「高収益体質のグループ」を実現するに際しては、当該業務に加えて新たなビジネスモデルを構築し、事業の多角化を図ることが重要であると認識しているとのことです。
制作請負業務は、当社グループのビジネスの基盤事業としてこれまで安定的に収益を獲得してきた一方で、労働集約的なビジネスモデルのため、一人あたりの売上、利益が他事業に比較して小さいという特徴があると理解しているとのことです。それに対して、IP関連事業(注17)やネットワークモデル(注18)は、初期段階で多額の費用を要し、収益化までに一定の期間を要するものの、一度事業が軌道に乗れば、少ない人的リソースで高収益を獲得できるビジネスモデルのため、これらの資本集約的な事業を拡大することで当社グループ全体の収益基盤を強化することが可能と思料しているとのことです。
また、当社グループのビジネスの中でも成長領域として位置付けてられているE2E事業や、現在すでに高い競争力を有するハイスピードカメラ等の計測器事業についても、継続的に人的・経済的リソースを投下することで当社ビジネスの柱としてさらに大きく成長できる余地があると考えているとのことです。
(注17) 「IP関連事業」とは、アニメやゲームコンテンツ等のIPを活用することにより、ライセンス使用料等の収益を獲得するビジネスモデル全般を指します。
(注18) 「ネットワークモデル」とは、映像データ用の送受信システム等、当社グループが構築したオンラインのインフラシステムを提供することで収益が発生するビジネスモデル全般を指します。
(c) 既存事業の売却や統合を通じた大規模な構造改革
公開買付者は、資本効率を重視しながら最適な市場を選択した上で事業及び人材のポートフォリオを構築していく必要があると認識しているとのことです。公開買付者は、当社グループが、直近でもTV市場の縮小傾向を受けたTVポストプロダクション事業(注19)からの一部撤退等、事業ポートフォリオの変革に取り組んでいるものと認識している一方で、上述の当社グループを取り巻く外部環境の変化に対応するためには、これまで以上にリスクとコストを伴う抜本的な構造改革が必要になると考えているとのことです。
既存事業のうち、利益率が高い映像システム事業や成長事業として位置付けているIP関連事業、グローバルE2E事業、ゲーム関連事業等の分野においては人的・経済的リソースの投下を継続することでさらなる事業拡大を目指しつつ、不採算分野においては事業の売却や統合を行い、ビジネスを縮小することで、当社グループ全体の資本効率を改善しながら、事業ポートフォリオの再構築を図ることが必要と考えているとのことです。
また、当社グループの既存事業においては制作請負業務に代表されるような労働集約的なビジネスが多く、今後はAI等を活用した業務効率化によって既存業務に必要な人員の最適化を図り、これによって捻出した人的リソースを上述の注力分野に充当することも想定しているとのことです。
(注19) 「TVポストプロダクション事業」とは、撮影後に行う編集、加工等のテレビ番組制作の工程を指します。
一方で、公開買付者は、当社が株式上場を継続する限りは株主を意識した経営が求められ、短期的な利益の確保・分配への配慮が必要になることから、当社株式の上場が、短期的なキャッシュ・フローや収益の悪化を招くおそれがある先行投資や抜本的な構造改革等の中長期的な施策実行の足枷となる可能性が高いと考えているとのことです。また、上記(a)~(c)の施策は直ちに収益に貢献するとは限らず、相応の時間と大きなリスクを伴うものであり、当社株式の上場を維持したまま、当社の株主に当該リスクを負担いただきつつ、施策の実行を全面的に支持いただくことは難しいと考えているとのことです。加えて、中長期的な当社グループの企業価値最大化を考えると、急速に変化していく事業環境において激化する競争に勝ち抜くために、抜本的かつ機動的な意思決定を柔軟かつ迅速に実践できる経営体制を構築することこそが、必要不可欠であると考えているとのことです。
さらに、公開買付者は、近年、当社グループにおける株式の上場を維持するために必要な費用(継続的な情報開示に要する費用、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用等)が増加しており、今後、当該コストは当社グループの経営上の更なる負担となる可能性があると考えているとのことです。また、公開買付者は、当社グループが上場以来、社会的な信用の向上や知名度の向上による優秀な人材の確保等、上場会社としてのメリットを享受してきたと認識しているとのことです。他方で、公開買付者は、事業活動を行うために必要な資金が金融機関からの借入金等で十分に確保できている現在の当社グループの財務状況に鑑みても、当面はエクイティ・ファイナンスの活用による大規模な資金調達の必要性は高くなく、また、当社グループの社会的な信用やブランド力は、事業活動を通じて獲得してきたものと考えており、非公開化によって失われる性質のものではなく、非公開化後も引き続き社会的な信用やブランド力も維持可能であると見ており、今後も継続して当社株式の上場を維持することの必要性を見出しにくい状況にあると考えているとのことです。加えて、非公開化に伴う一般的なデメリットとして、当社グループが上場会社として享受してきた社会的な信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保並びに取引先の拡大等にマイナスの影響を及ぼす可能性が考えられるとのことですが、当社グループの社会的な信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保及び取引先の拡大等は事業活動を通じて獲得される部分もあることや当社グループがこれまで培ってきたブランド力や知名度により、非公開化が人材確保に与える影響は大きくないと考えられることから、その程度は限定的であると考えているとのことです。このようなことから、公開買付者は、当社を非公開化することが当社グループの企業価値向上のために最も有効な手段であるという考えに至ったとのことです。
また、公開買付者は、当社株式の非公開化にあたっては、第三者ではなく、当社グループの事業内容を熟知している当社の代表取締役社長 社長執行役員である長瀬俊二郎氏が代表取締役を務める公開買付者自身がマネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、当社の所有と経営を一体化させた上で上記施策を迅速かつ積極的に実行していくことが当社にとって最善であると考えるに至ったとのことです。
以上の考えのもと、提案者は、2025年2月上旬に、当社の非公開化に関する初期的な検討を開始したとのことです。提案者は、本取引に関して検討するにあたり、提案者、公開買付者、不応募合意株主(以下「公開買付関連当事者」と総称します。)及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザーとして大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)を、公開買付関連当事者並びに当社から独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所外国法共同事業(以下「森・濱田松本法律事務所」といいます。)を選任し、当社の非公開化に係る協議・交渉を行う体制を構築したとのことです。その後、提案者は、当社の非公開化に関する具体的な検討を進め、2025年2月20日、当社に対し、提案者が本取引を申し入れた背景や本取引実施後の成長戦略、本取引に係るスキーム等を記載した法的拘束力を有しない初期的提案書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出したとのことです。その後、提案者は、2025年3月4日、当社から本取引の提案を検討するための特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。委員の構成その他具体的な諮問事項等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公平性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見(答申書)の取得」をご参照ください。)を設置し、本取引の実施に向けた協議・交渉に応じる旨の連絡を受けたとのことです。
その後、提案者は、本取引の諸条件等についてさらに具体的な検討を進め、当社の財務情報等及び当社の株価の動向等を総合的に勘案し、2025年4月8日、本公開買付価格を670円(提案日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値457円に対して46.61%のプレミアム(小数点以下第三位を四捨五入。以下、プレミアムの計算において同じです。2025年4月7日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値513円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じです。)に対して30.60%、過去3ヶ月間の終値の単純平均値522円に対して28.35%、過去6ヶ月間の終値の単純平均値515円に対して30.10%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の初回の価格提案書を提出したとのことです。これに対して、提案者は当社から、同月17日、当該提案価格は、当社が考える当社株式の適正な価値を大幅に下回る水準として提案内容の再検討を要請する旨の回答書を受領するとともに、本取引を実行するに至った背景や経緯等を理解するための面談機会を申し入れる旨の連絡を受領したとのことです。これを受けて、提案者は、同月22日に本公開買付価格を、700円(提案日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値523円に対して33.84%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値515円に対して35.92%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値518円に対して35.14%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値516円に対して35.66%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨について提案を行い、加えて、同月25日に、申し入れのあった面談を実施し、本取引を実行するに至った背景や経緯等を当社に対して伝達したとのことです。これに対して、提案者は当社から、当面談にて、当該提案価格は依然として当社が考える当社株式の適正な価値に照らして十分な水準ではないとして、提案内容の再検討を口頭で要請されたとのことです。その後、同月28日に本公開買付価格を、730円(提案日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値544円に対して34.19%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値520円に対して40.38%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値519円に対して40.66%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値518円に対して40.93%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨について提案を行ったとのことです。これに対して、提案者は当社から同月30日に、当該提案価格は、プレミアム水準やマクサス・コーポレートアドバイザリー株式会社(以下「マクサス・コーポレートアドバイザリー」といいます。)の株式価値に係る試算結果を踏まえると、本公開買付けに対し応募推奨を行うには依然として不十分な価格であるとして、提案内容の再検討を要請されたとのことです。その後、2025年5月1日に本公開買付価格を、755円(提案日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値566円に対して33.39%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値521円に対して44.91%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値519円に対して45.47%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値518円に対して45.75%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨について提案を行ったとのことです。これに対して、提案者は当社から同月2日に、当該提案価格は、プレミアム水準や1株あたり純資産の水準を踏まえると、本公開買付けに対し応募推奨を行うには依然として不十分な価格であるとして、提案内容の再検討を要請されたとのことです。これを受けて、提案者は同月7日に本公開買付価格を、795円(提案日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値544円に対して46.14%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値524円に対して51.72%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値520円に対して52.88%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値519円に対して53.18%のプレミアムをそれぞれ加えた価格です。)とする旨の最終提案を行ったとのことです。これに対して、提案者は当社から、本特別委員会の意見を踏まえた上で、当社の少数株主の利益を最大限確保する観点等を考慮して、同月8日に、最終提案内容の再検討を要請されたとのことです。これを受けて、提案者は同日、前回提案が最終提案であるとの意向に変更はなく、本公開買付価格のさらなる引上げは困難であるとして、本公開買付価格を前回提案価格と同額の795円とする旨の最終提案を再度行ったとのことです。その後、提案者は当社から同日、提案者からの最終提案を応諾する旨の回答を受領したとのことです。
以上の協議及び交渉を経て、公開買付者は、2025年5月9日、本公開買付価格を795円とし、本取引の一環として本公開買付けを開始することを決定したとのことです。
本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、提案者は、本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定しており、上記「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の経営施策を推進する予定とのことです。なお、公開買付者と当社のその他の取締役との間では、本取引後の役員就任や処遇について何らの合意も行っていないとのことです。本取引後の当社の役員構成を含む経営体制の詳細については、本取引後、当社と協議しながら決定していく予定とのことです。
当社は、2025年2月中旬に、提案者より当社株式の非公開化について初期的な検討を行っている旨の打診を受けたことから、当該打診に関して当社として検討体制を構築するための検討を進めてまいりました。その後、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり、当社は、2025年2月20日に、提案者より、当社の取締役会に対して、本意向表明書の提出を受けたことから、本取引に関する具体的な検討を開始いたしました。
そして、当社は、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」及び「③ 当社における独立した法律事務所からの助言」に記載のとおり、公開買付関連当事者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてマクサス・コーポレートアドバイザリーを、公開買付関連当事者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所をそれぞれ選任するとともに、マクサス・コーポレートアドバイザリーに対して当社株式の価値算定を依頼いたしました。
さらに、当社は、本取引がマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、当社の少数株主の利益を適切に確保するとともに、本取引に係る当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、その公正性を担保することを目的として、2025年3月4日付の取締役会決議に基づき、千葉理氏(当社社外取締役(監査等委員)、独立役員、弁護士)、山川丈人氏(当社社外取締役(監査等委員)、独立役員)及び中沢ひろみ氏(当社社外取締役(監査等委員)、独立役員、公認会計士)の3名から構成される本特別委員会を設置いたしました。なお、本特別委員会の設置等の経緯、具体的な諮問事項、検討の経緯及び判断内容等の詳細については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見(答申書)の取得」をご参照ください。
そして、当社は、上記体制を整備した上で、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づき、長島・大野・常松法律事務所及びマクサス・コーポレートアドバイザリーの助言を受けながら、本取引の実行の是非に関して公開買付関連当事者との間で複数回にわたる協議・交渉を行いました。
具体的には、本意向表明書の受領後、当社は、2025年4月8日に提案者から、本公開買付価格を1株あたり670円とする旨の初回提案を受領し、その後、マクサス・コーポレートアドバイザリーから受けた当社株式の株式価値に係る試算結果の報告内容及び本特別委員会の意見を踏まえた上で、マクサス・コーポレートアドバイザリー及び長島・大野・常松法律事務所の助言を受けながら、2025年4月17日に、提案者に対して、当該提案価格は、当社が考える当社株式の適正な価値を大幅に下回る水準として、提案内容の再検討を要請し、また、本取引を実行するに至った背景や経緯等を理解するための面談機会を申し入れました。その後、当社は2025年4月22日に提案者から本公開買付価格を1株あたり700円とする旨の提案を受領した後、本特別委員会とも協議を重ねた上で、同月25日に、提案者に対して本取引を実行するに至った背景や経緯等を理解するための面談を実施し、当面談にて当該提案価格は依然として当社が考える当社株式の適正な価値に照らして十分な水準ではないとして、提案内容の再検討を口頭で要請いたしました。その後、2025年4月28日に提案者から本公開買付価格を1株あたり730円とする旨の提案を受領した後、本特別委員会の意見を踏まえた上で、同月30日に、提案者に対して、当該提案価格は、プレミアム水準やマクサス・コーポレートアドバイザリーの株式価値に係る試算結果を踏まえると、本公開買付けに対し応募推奨を行うには依然として不十分な価格であるとして、提案内容の再検討を要請いたしました。その後、2025年5月1日に提案者から本公開買付価格を1株あたり755円とする旨の提案を受領した後、本特別委員会の意見を踏まえた上で、同月2日に、提案者に対して、当該提案価格は、プレミアム水準や1株あたり純資産の水準を踏まえると、本公開買付けに対し応募推奨を行うには依然として不十分な価格であるとして、提案内容の再検討を要請いたしました。そして、当社は、提案者から、2025年5月7日、本公開買付価格を795円とする旨の最終提案を受領しました。当該最終提案に対して、当社は、本特別委員会の意見を踏まえた上で、当社の少数株主の利益を最大限確保する観点等を考慮して、2025年5月8日に、提案者に対して最終提案内容の再検討を要請しました。そして、当社は、提案者から、2025年5月8日、前回提案が最終提案であるとの意向に変更はなく、本公開買付価格のさらなる引上げは困難であるとして、本公開買付価格を前回提案価格と同額の795円とする旨の最終提案を再度受領し、当社は、同日、提案者に対して、提案者からの最終提案を応諾する旨を回答しました。
以上の経緯の下で、当社は、長島・大野・常松法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2025年5月9日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要及び本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立した特別委員会の設置及び意見(答申書)の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言及び2025年5月8日付でマクサス・コーポレートアドバイザリーから取得した株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引を通じて当社の企業価値を向上させることができるか、本取引は公正な手続を通じて行われることにより少数株主の享受すべき利益が確保されるものとなっているか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。
その結果、以下の観点から本取引は、当社の企業価値の向上に資するものであり、かつ本取引に関する諸条件が妥当なものであると判断いたしました。
当社は、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載のとおり、グローバルでの動画配信市場や広告メディアの多様化に伴う業界収益モデル、ライブエンタテインメント市場が急激に変化するなど、当社グループを取り巻く外部環境が大きく変化していることを認識しております。
このような環境下において、当社は、収益性及び資本効率性を重視しながら最適な市場を選択するとともに、事業及び人材のポートフォリオを再構築していく必要があります。また、急激な環境の変化に対応すべく新たな分野での投資と事業展開に積極的に取り組む必要もあります。
当社は、これらの実行には、相応の期間と大きなリスクを伴う踏み込んだ施策を、スピード感をもって実施していくことが必要であるとの考えに至りました。このような状況の下、当社は、提案者が企図している上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の(a)乃至(c)の施策は、当社の現状の各施策をより深く、よりスピード感をもって実現するための有効な手段であって、当社の中長期的な更なる企業価値向上のために積極的に推進していくべきものであり、これらの施策の実現により当社の中長期的な競争力の確保及び企業価値の向上を見込むことができるとの考えに至りました。
しかしながら、上記の施策は、直ちに収益に貢献するとは限らず、相応の期間と大きなリスクを伴うもので、短期的なキャッシュ・フローや収益の悪化を招くおそれがある先行投資や抜本的な構造改革等が含まれていることを考慮すると、上場を維持したままでこれらの施策を実行すれば、短期的に当社株式の市場価格の下落といったマイナスの影響を及ぼすリスクがあり、当社の株主の皆様に対して多大な悪影響を与えてしまう可能性があるものと考えております。
そのため、当社としても、当社の株主の皆様に対して短期的な悪影響を被ることなく株式を売却できる機会を提供するとともに、当社株式を非公開化することで、短期的な株式市場からの評価にとらわれない施策を実施でき、かつ、機動的かつ柔軟な意思決定を可能とする株主と経営陣が一体となった新たな経営体制を構築することが、当社の更なる企業価値向上を実現する最良の選択であると判断いたしました。
加えて、当社の現代表取締役会長である長瀬文男氏及び当社の現代表取締役社長 社長執行役員である長瀬俊二郎氏が当社グループの事業内容を熟知していることを踏まえれば、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により引き続き当社の経営陣の立場であり続けること、すなわち上記2氏が所有と経営の双方を担うことは十分な合理性があると判断いたしました。
なお、一般的には、株式の非公開化を行った場合には、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社として享受してきた社会的な信用力及び知名度の向上による優れた人材の確保並びに取引先の拡大等に影響を及ぼす可能性があると指摘されています。しかしながら、当社においては、事業活動に必要な資金は自己資金及び金融機関からの借入れによって確保することが可能であり、また、東京証券取引所に20年以上にわたって上場してきたことにより獲得した当社の社会的な信用力及び知名度は、非公開化によって直ちに失われるものではないと考えております。加えて、株式上場は当社の確固たる業界地位の獲得に大きく貢献したものの、上場維持に必要な人的・経済的コストが近年増加し続けていると認識しており、上場企業である限り発生する上場維持費用、金融商品取引法上の開示及び監査対応に係るリソース及び費用、IR関連費用等の経営資源を他の経営課題の解決に振り分けることが可能になると考えております。以上の点を踏まえ、当社取締役会は、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると判断いたしました。
以上を踏まえ、当社取締役会は、2025年5月9日に、本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することが、当社の企業価値の向上に資するものであると判断いたしました。
また、当社取締役会は、(a)本公開買付価格(795円)が、下記「(3) 算定に関する事項」の「② 算定の概要」に記載のマクサス・コーポレートアドバイザリーによる当社株式の算定結果のうち、市場株価平均法による算定結果の上限値を上回るとともに、かつ、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定結果のレンジの範囲内であり中央値を上回っていること、(b)本公開買付価格(795円)が、2025年5月8日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値559円に対して42.22%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値534円に対して48.88%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値519円に対して53.18%及び同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値521円に対して52.59%のプレミアムが加算された価格であり、これらのプレミアムは類似案件(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2025年5月8日までに公開買付けが成立した非公開化を目的としたMBO案件の実例83件(公表の前営業日を基準日として、基準日終値、同日までの過去1ヶ月間、同過去3ヶ月間及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値におけるそれぞれのプレミアム率の中央値が42.44%、45.18%、46.01%、48.57%))と比較して遜色ない水準が確保されており、合理的なプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置がとられていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置がとられた上で、マクサス・コーポレートアドバイザリーによる当社株式の株式価値に係る算定結果の内容や本特別委員会との協議、長島・大野・常松法律事務所から受けた法的助言等を踏まえながら、当社と提案者の間で、真摯かつ継続的に協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会の要請により、本公開買付けに関する価格提案の有意な引き上げが実現されていること等を踏まえ、本公開買付価格は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
また、本公開買付価格は、当社の2025年3月31日現在の1株あたりの純資産額である779.76円を上回っており、純資産額との比較においても、本公開買付価格の妥当性を否定すべき事由は特段認められないと判断いたしました。
なお、当社は、2025年3月4日付「連結子会社の希望退職者募集結果および特別損失の計上、業績予想の修正に関するお知らせ」に記載のとおり、2025年3月期の通期業績予想の下方修正を行っております。当該下方修正は、2024年12月26日付「連結子会社の一部事業撤退および希望退職者募集、特別損失の計上見込に関するお知らせ」において公表していた当社連結子会社である株式会社IMAGICA Lab.の希望退職者募集の実施結果を踏まえた判断であって本取引とは無関係の要因によるものであり、当社が意図的に当社株式の株価を下げる目的で当該下方修正を策定及び公表したものではありません。したがって、下記「(3) 算定に関する事項」に記載のマクサス・コーポレートアドバイザリーによる市場株価平均法の算定及び上記プレミアム水準の判断において、当該下方修正の公表日以降の当社株価も考慮の対象とすることに問題はないと考えております。
以上より、当社は、2025年5月9日開催の当社取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。なお、かかる当社取締役会決議は、公開買付者が本公開買付け及び本スクイーズアウト手続を実施することにより当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。
当該取締役会における決議の詳細は下記「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含む)の承認」をご参照ください。
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、提案者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付関連当事者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるマクサス・コーポレートアドバイザリーに対して、当社株式の価値の算定を依頼し、2025年5月8日付で本株式価値算定書を取得しております。マクサス・コーポレートアドバイザリーは、当社、提案者及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。なお、当社は、「(6) 本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、マクサス・コーポレートアドバイザリーから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。本取引に係るマクサス・コーポレートアドバイザリーに対する報酬には、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のほか、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれています。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行であること及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等を勘案すれば、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるものではないと判断の上、上記の報酬体系によりマクサス・コーポレートアドバイザリーを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。また、本特別委員会において、マクサス・コーポレートアドバイザリーの独立性に問題がないことが確認されております。
マクサス・コーポレートアドバイザリーは、複数の算定手法の中から当社株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価平均法を、当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法を、それぞれ算定手法として用いて当社の1株あたりの株式価値の分析を行い、当社は、2025年5月8日付でマクサス・コーポレートアドバイザリーより本株式価値算定書を取得いたしました。
上記各手法に基づいて算定された当社株式1株あたりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価平均法では、2025年5月8日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における基準日の終値559円、直近1ヶ月間の終値単純平均株価534円、直近3ヶ月間の終値単純平均株価519円及び直近6ヶ月間の終値単純平均株価521円を基に、当社株式1株あたりの価値の範囲を519円~559円と算定しております。
DCF法では、当社の事業計画に基づく2026年3月期から2030年3月期までの5期分の財務予測や、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2026年3月期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株あたりの価値の範囲を628円~916円までと分析しております。なお、割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)を採用し、北米の主な事業会社以外:7.4%~9.4%、北米の主な事業会社:12.6%~14.6%を使用しており、継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率を北米の主な事業会社以外:-0.5%~0.5%、北米の主な事業会社:1.0%~2.0%として算定しております。
マクサス・コーポレートアドバイザリーがDCF法の算定の前提とした当社作成の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。なお、計画期間中、対前年度比較において大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、営業利益について、2028年3月期に今後実施を予定している事業構造改革等による売上高の増加及び粗利率の改善を主因として、前事業年度に比べて大幅な増益が見込まれております。また、フリー・キャッシュ・フローについても大幅な変動を見込んでいる事業年度が含まれています。具体的には、2026年3月期において、映像制作技術サービス事業における米国事業の業績回復により大幅な増額、2027年3月期において、事業成長に必要な投資額の増加により大幅な減額、2028年3月期から2029年3月期において、利益率の改善による営業キャッシュ・フローの大幅な増額を見込んでおります。
また、当該財務予測は、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果について現時点において具体的に見積もることは困難であるため、本取引の実施を前提としたものではなく、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の本取引後の具体的な施策及びその効果を含んだものではありません。
マクサス・コーポレートアドバイザリーは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等をそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。マクサス・コーポレートアドバイザリーの算定は、2025年5月8日までの上記情報を反映したものです。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しておりますが、公開買付者は本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。
また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(5) 本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、公開買付者は、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことであるため、その場合、当社株式は東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所において取引することはできません。
公開買付者は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社を非公開化する方針であり、本公開買付けにおいて、公開買付者が当社株式(但し、当社が所有する自己株式及び本不応募株式を除きます。)の全てを取得できなかった場合には、本公開買付け成立後、当社において以下のとおり、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
具体的には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第180条に基づく当社株式に係る本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本株主総会」といいます。)の開催を当社に要請する予定とのことです(但し、本取引の円滑な遂行その他の目的のために合理的に必要な場合には、全部取得条項付種類株式を用いる方法その他公開買付者、不応募合意株主及び当社が別途合意する方法により行う予定とのことです。)。なお、上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者及び不応募合意株主は、本株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本株主総会において本株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主の皆様は、本株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当該端数が生じた当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主の皆様(公開買付者、当社及び不応募合意株主を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。また、当社株式の併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者及びクレアートが当社の発行済株式の全て(当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、当社及びクレアートを除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう要請する予定とのことです。当社は、本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。
本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従って、当社の株主の皆様(公開買付者、当社及びクレアートを除きます。)は、当社に対してその所有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(公開買付者、当社及びクレアートを除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、本株式併合に反対する当社の株主の皆様は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、これらの申立てがなされた場合における、当社株式の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
なお、本譲渡制限付株式については、その割当契約書において、(a)譲渡制限期間中に、株式併合(当該株式併合により、付与対象者の有する本譲渡制限付株式が1株に満たない端数のみとなる場合に限ります。)に関する事項が当社の株主総会で承認された場合(但し、株式併合の効力発生日(以下「株式併合効力発生日」といいます。)が譲渡制限期間の満了時より前に到来するときに限ります。)には、当社取締役会の決議により、本譲渡制限付株式の払込期日を含む月から当該承認の日(以下「株式併合承認日」といいます。)を含む月までの月数を36で除した数(ただし、1を超える場合は1とみなします。)に、株式併合承認日において付与対象者が保有する本譲渡制限付株式の数を乗じた数(ただし、計算の結果、1株未満の端数が生ずる場合には、これを切り捨てます。)の本譲渡制限付株式について、これに係る譲渡制限を解除され、(b)上記(a)に規定する場合、当社は、株式併合効力発生日の前営業日をもって、株式併合効力発生日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式の全部を当然に無償で取得するとされております。本スクイーズアウト手続においては、上記割当契約書の(a)の規定に従い、株式併合承認日をもって譲渡制限が解除された本譲渡制限付株式については、本株式併合の対象とし、上記割当契約書の(b)の規定に従い、株式併合効力発生日の前営業日をもって、株式併合効力発生日において譲渡制限が解除されていない本譲渡制限付株式の全部について、当社において無償取得する予定です。
上記の手続については、関係法令の改正や関係法令についての当局の解釈等の状況、本公開買付け後の公開買付者の当社株式の所有割合、公開買付者及び不応募合意株主以外の当社株主の当社株式の所有状況等によっては、実施に時間を要し、又はそれと概ね同等の効果を有するその他方法に変更する可能性があります。但し、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の各株主(公開買付者、当社及び不応募合意株主を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定です。以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等については、決定次第、当社が速やかに公表する予定ですが、本株主総会を開催する場合には2025年9月上旬を目途に開催されることを見込んでおります。
なお、本公開買付けは、本株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものではありません。加えて、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当する本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置(以下の⑥)については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
当社は、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本取引がマネジメント・バイアウト(MBO)に該当し、構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が存在することを踏まえ、当社の少数株主の利益を適切に確保し、本公開買付けを含む本取引の実施を決定するに至る当社の意思決定過程における恣意性及び利益相反のおそれを排除し、本取引の公正性を担保することを目的として、公開買付関連当事者及び当社から独立した委員によって構成される本特別委員会を設置することといたしました。その後、当社は、長島・大野・常松法律事務所及びマクサス・コーポレートアドバイザリーの助言も得つつ、本特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ適正な規模をもって本特別委員会を構成すべく、公開買付関連当事者及び当社から独立し高度の識見を有すると考えている千葉理氏(当社社外取締役(監査等委員)、独立役員、弁護士)、山川丈人氏(当社社外取締役(監査等委員)、独立役員)及び中沢ひろみ氏(当社社外取締役(監査等委員)、独立役員、公認会計士)の3名によって構成される本特別委員会を設置することを、2025年3月4日付の取締役会決議において決議いたしました。なお、本特別委員会の委員は設置当初から変更されておらず、また、本特別委員会の互選により、千葉理氏が本特別委員会の委員長として選定されております。本特別委員会の各委員の報酬は固定額のみであり、本公開買付けを含む本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬制は採用されておりません。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、①本取引の目的の合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含む。)、②本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)、③本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)、④本取引が当社の一般株主にとって不利益なものでないか、⑤上記①から④を踏まえ、当社取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、①乃至⑤の事項を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申を行うことを委嘱いたしました。なお、本特別委員会への諮問にあたり、当社取締役会は、本取引に関する当社取締役会の重要な意思決定は本特別委員会の判断内容を最大限尊重して行われるものとし、特に本特別委員会が本取引の取引条件について妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は本取引の実施を決定しない(本取引の一環として本公開買付けが実施される場合、本公開買付けに賛同せず応募推奨しない)ものとすることを2025年3月4日付の取締役会にて併せて決議しております。
また、当社は、本特別委員会に対して、(ⅰ)当社の財務アドバイザー、第三者評価機関及び法務アドバイザーその他の外部専門家(以下「アドバイザー等」といいます。)を指名又は承認(事後承認を含む。)する権限、(ⅱ)本特別委員会が独自に助言を受けるためのアドバイザー等を当社の合理的な費用負担により選定する権限、(ⅲ)当社の業務執行取締役等に対して、本特別委員会への出席並びに本取引に係る検討及び判断に必要な情報についての説明を求めることができる権限、並びに(ⅳ)当社が公開買付関連者との間で行う本取引に関する協議及び交渉の過程に実質的に関与する権限(必要に応じて公開買付関連者との協議及び交渉に係る方針について指示又は要請を行い、法令上許容される範囲で自ら直接協議及び交渉を行う権限を含みます。)を付与することを2025年3月4日付の取締役会にて併せて決議しております。
本特別委員会は、2025年3月12日から2025年5月9日まで合計15回開催されたほか、各会日間においても必要に応じて都度電子メール等を通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項に係る職務を遂行いたしました。具体的には、本特別委員会は、2025年3月12日に開催された第1回特別委員会において、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるマクサス・コーポレートアドバイザリー並びにリーガル・アドバイザーである長島・大野・常松法律事務所については、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、それぞれ当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関並びにリーガル・アドバイザーとして承認しております。なお、本特別委員会も必要に応じてマクサス・コーポレートアドバイザリー及び長島・大野・常松法律事務所の専門的助言を受けることができることを確認した上、本特別委員会独自の外部アドバイザーの選任は行わないことを決定するとともに、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)について、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認しております。
その後の具体的な審議状況として、本特別委員会は、当社が作成した事業計画について、当社からその内容、重要な前提条件及び作成経緯等について説明を受けるとともに、これらの事項について合理性を確認しております。
その後、本特別委員会は、本公開買付価格につき、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載のとおり交渉を行い、提案者から795円という最終的な提案を受けるに至るまで、当社と提案者との交渉過程に関与いたしました。さらに、長島・大野・常松事務所から本取引において利益相反を軽減又は防止するために取られている措置及び本取引に関する説明を受け、それぞれ、質疑応答を行うとともに、当社からは本取引の諸条件の交渉経緯及び決定過程等に関する説明を受け、質疑応答を行いました。
これらの内容を踏まえ、本特別委員会は、マクサス・コーポレートアドバイザリー及び長島・大野・常松法律事務所と議論を重ね、本諮問事項について協議・検討を行いました。
本特別委員会は、以上の経緯の下で、当社の依頼により当社のファイナンシャル・アドバイザーであるマクサス・コーポレートアドバイザリーから受けた財務的見地からの助言及び本株式価値算定書の内容、並びに長島・大野・常松法律事務所から受けた法的見地からの助言を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、2025年5月9日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。
(ア)答申内容
① 本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、合理的なものであると認められる
② 本公開買付価格その他の本取引に係る取引条件は妥当であると認められる
③ 本取引に係る手続においては十分な公正性担保措置が講じられており、本取引に係る手続は公正なものであると認められる
④ 本取引を行うことは当社の一般株主(少数株主を含む。以下同じ。)にとって不利益なものではない
⑤ 当社取締役会は、本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議すべきである
(イ) 答申理由
① 取引の目的の合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含む。)について
本特別委員会は、公開買付関連当事者、及び提案者を除く当社経営陣(以下「その他当社経営陣」という。)から提出された各資料及び書類を検討するとともに、提案者に対する2025年4月25日開催のインタビューを実施するなどして、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」に記載されるような、当社グループを取り巻く事業環境に対する評価、本取引の意義及び目的、本取引に伴うデメリットの評価等に関する公開買付関連当事者の認識を確認した。
また、本特別委員会は、その他当社経営陣から提出された各資料及び書類を検討するとともに、その他当社経営陣から随時報告・説明を受けるなどして、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載されるような、当社グループを取り巻く事業環境に対する評価や経営課題、本取引の意義及び目的、本取引に伴うデメリットの評価等に関するその他当社経営陣の認識、並びにその他当社経営陣として本取引が当社の企業価値の向上に資すると判断していることを確認した。
本特別委員会は、本取引の意義及び目的並びに本取引に伴うデメリットの評価等について、公開買付関連当事者がその他当社経営陣と概ね同様の見解を有しており、公開買付関連当事者及びその他当社経営陣の見解について不合理であると考える点はなかった。
この点、本取引の前後において提案者が当社の経営を担う状況に変わりがないことから、本特別委員会は、本取引により当社株式を非公開化する意義について、特に慎重な検討を行った。具体的には、提案者が企図している上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(ⅰ)公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、理由及び意思決定の過程」に記載の(a)乃至(c)の施策について、当社株式の上場を維持したまま実施する可能性について、上記インタビュー等を通じて特に慎重に検証したが、提案者からは、これまで当社を経営してきた中での具体的な課題認識等も踏まえて、当社株式の上場を維持したままではこれらの施策の実行に踏み切りにくい旨の見解が示されており、その他当社経営陣としても概ね同様の見解を有していることが確認された。
本特別委員会として、公開買付関連当事者及びその他当社経営陣の見解に不合理であると考える点は見当たらないことに加えて、本取引による非公開化により上場維持コストの削減も期待できる一方、当社における非公開化に伴うデメリットは限定的と認められることも考慮し、本取引により当社株式を非公開化することは有意義であると評価する。
以上より、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は合理的なものであると認める。
② 本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の種類の妥当性を含む。)について
マクサス・コーポレートアドバイザリーがDCF法による算定の前提とした財務予測は、当社作成の事業計画(以下「本事業計画」という。)に基づくものであるが、本事業計画は、2025年度を最終年度とした中期経営計画「G-EST2025」(ジーエスト2025)の後継として、2025年2月中旬に提案者から本取引に係る打診を受ける前から策定が進められていた当社の次期中期経営計画案に基づいている。当社の次期中期経営計画案の策定においては、提案者のうち当社代表取締役社長 社長執行役員である長瀬俊二郎氏が当社グループ全体の最終責任者として一定の関与をしていたため、本特別委員会は、その他当社経営陣から提出された各資料及び書類を検討するとともに、その他当社経営陣から随時報告・説明を受けるなどして、当社の次期中期経営計画案やそれに基づく本事業計画の作成過程や内容に関して慎重な検討を実施した。
この点、その他当社経営陣によれば、以下の事情に照らし、長瀬俊二郎氏から当社の次期中期経営計画案の数値目標等を不当に押し下げたり、不合理な前提条件等を設定したりするなどの不当な干渉等が存在したという事情は存在せず、また、長瀬俊二郎氏の関与により当社の次期中期経営計画案の内容が不合理なものとなっているわけでもないとの見解が得られた。本特別委員会としても、かかるその他当社経営陣の見解に不合理な点は見当たらず、当社の次期中期経営計画案を基にした本事業計画に基づく財務予測を当社株式価値の算定の前提とすることは不合理なことではないと判断している。
・ 当社の次期中期経営計画案は、当社グループの各事業会社が、当社が作成したガイドラインを踏まえて各社の次期中期経営計画案を策定し、それを積み上げる、いわゆるボトムアップ型で作成されている。長瀬俊二郎氏は、当社グループ全体の最終責任者として上記ガイドラインの策定に関与しているが、上記ガイドラインの作成は、当社の次期中期経営計画案の企画・立案・推進を所掌する社長室が担当しており(提案者は社長室の構成員に含まれていない。)、また、当社グループ全体の戦略や事業ポートフォリオを踏まえた上で、過去の財務実績をもとに作成したもので、恣意性が入る余地は限定的であることから、上記ガイドラインの作成に際して、長瀬俊二郎氏の関与により本取引を意識した不当な影響が及ぼされたり、不合理な前提条件が設定されたりしたことはないと認識している。
・ 当社と各事業会社の執行部との間で、各事業会社が策定した次期中期経営計画案を確認する会議を開催しており、かかる会議に長瀬俊二郎氏も出席しているが、主として定性的な議論に関与したにとどまり、当該会議において上記ガイドラインの内容から逸脱する議論は行われなかった。また、事業会社の一つである株式会社ロボットについては、長瀬俊二郎氏が社長を務めているため、同社の次期中期経営計画案の作成には長瀬俊二郎氏が関与したが、上記ガイドラインにおける同社の数値目標と同社の次期中期経営計画案の数値に乖離はなかった。そのため、株式会社ロボットを含めた各事業会社の次期中期経営計画案の作成に際して、長瀬俊二郎氏の関与によりそれらの数値目標等が不当に押し下げられたといった事情はないと考えている。
・ 当社は、各事業会社の次期中期経営計画案を集計した際、一部数値の調整を実施しているが、その過程に長瀬俊二郎氏は関与していない。
当社は、2025年3月4日に2025年3月期の通期業績予想の下方修正を行っている。もっとも、その他当社経営陣としては、当該下方修正は、2024年12月26日に既に公表していた当社連結子会社の希望退職者募集の実施結果を踏まえたもので本取引とは無関係の要因による判断であり、当社が意図的に当社株式の株価を下げる目的で当該下方修正を策定及び公表したものとは認められないことから、マクサス・コーポレートアドバイザリーの市場株価平均法による株式価値の算定及びプレミアムの分析にあたって当該下方修正の公表日以降の当社株価も考慮の対象とすることに問題はないと考えているとのことであり、本特別委員会としても、その他当社経営陣の判断に不合理な点は認めなかった。
本特別委員会は、上記の点を含めて、本株式価値算定書に記載の株式価値算定結果、並びにその算定方法及び前提条件等を確認したが、マクサス・コーポレートアドバイザリーが採用した株式価値の算定手法は、非公開化取引における株式価値算定において一般的に利用されている算定手法であり、各算定手法の採用理由に不合理な点は認められず、算定内容の合理性についても不合理な点は認められなかった。なお、非公開化取引における株式価値算定において一般的に使用される算定手法の一つである類似会社比較法が採用されていないが、マクサス・コーポレートアドバイザリーによれば、複数の事業を営む当社との財務状況や収益性の類似性における制約から、比較可能な上場類似会社が存在しないためとのことであり、かかる説明に不合理な点は見当たらなかった。
本公開買付価格は、本株式価値算定書における当社の株式価値算定結果のうち、市場株価平均法による算定結果のレンジを上回っており、DCF法による算定結果のレンジ内であり、かつ、中央値を上回っている。また、本公開買付価格のプレミアム水準は、「公正なM&Aの在り方に関する指針」が公表された2019年6月28日以降、2025年5月8日時点までに公開買付けが成立した非公開化を目的としたMBO案件実例83件におけるプレミアム水準(直前日の終値に対して中央値42.44%、直前日の過去1ヶ月の平均終値に対して中央値45.18%、直前日の過去3ヶ月の平均終値に対して中央値46.01%及び直前日の過去6ヶ月の平均終値に対して中央値48.57%)と比較しても遜色のない水準であると認められる。さらに、本公開買付価格は、当社の2025年3月31日現在の1株あたりの純資産額である779.76円を上回っており、純資産額との比較においても、本公開買付価格の妥当性を否定すべき事由は特段認められない。
以上の点に加え、当社が本特別委員会と協議しながら合計5回にわたって本公開買付価格の引上げを要請するなどの価格交渉が実施された経緯等も考慮に入れれば、本公開買付価格は、一般株主が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、それと同額である本公開買付け成立後の本スクイーズアウト手続において当社株主に交付される対価としても、本公開買付価格は妥当であると認められる。
本取引のスキームその他の取引条件についてみても、本取引の方法及び対価は、一般株主にとって不利益とは認められない。
③ 本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含む。)について
本取引では、本特別委員会の設置等(本特別委員会の実効性を高める実務上の工夫の実施を含む。)、公開買付関連当事者から独立した社内検討体制の整備、独立性を有する外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)からの専門的助言の取得、専門性を有する独立した第三者算定機関からの本株式価値算定書の取得、本取引公表後における当社株主の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び買収提案の機会の確保、強圧性の排除及び一般株主に対する適切な情報開示といった各種の公正性担保措置が履践されており、当委員会として、一般株主を含む当社株主の利益を図る観点から公正な手続が実施されており、公正な手続を通じた当社株主の利益への十分な配慮がなされているものと認める。
本取引においては、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないが、公開買付関連当事者としては、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件をした場合、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する当社の一般株主の利益に資さない可能性もあると考えているとのことであり、本特別委員会としても、かかる公開買付関連当事者の見解は不合理でないと認める。本取引において講じられているその他の公正性担保措置も考慮に入れれば、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことをもって、本取引に係る手続の公正性が担保されていないとはいえない。
④ 本取引が当社の一般株主にとって不利益なものではないかについて
本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、その目的は合理的であると認められる上、本公開買付価格を含め、本公開買付け及び本スクイーズアウト手続を含む本取引の全体について、取引条件の公正性・妥当性が確保されており、かつ、本公開買付けを含む本取引に係る手続の公正性も確保され、当社の一般株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。
以上より、本公開買付け及び本スクイーズアウト手続を含む本取引を行うことは、当社の一般株主にとって不利益なものではないと認められる。
⑤ 当社取締役会が本公開買付けに賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非について
上記①乃至④の検討結果を踏まえ、本特別委員会は、当社が本公開買付けに関して賛同の意見を表明するとともに、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは相当であると判断する。
上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、提案者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、公開買付関連当事者及び当社から独立した第三者算定機関として、マクサス・コーポレートアドバイザリーに当社株式の株式価値の算定を依頼し、2025年5月8日付で本株式価値算定書を取得いたしました。なお、マクサス・コーポレートアドバイザリーは、公開買付関連当事者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本特別委員会は、第1回特別委員会において、マクサス・コーポレートアドバイザリーの独立性に問題がないことを確認した上で、マクサス・コーポレートアドバイザリーが当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関に就任することを承認しております。なお、当社は、マクサス・コーポレートアドバイザリーから本公開買付価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
本株式価値算定書の概要は、上記「(3) 算定に関する事項」をご参照ください。
上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を確保するために、公開買付関連当事者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、同事務所から、本公開買付けを含む本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けております。なお、長島・大野・常松法律事務所は、公開買付関連当事者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。加えて、長島・大野・常松法律事務所に対する報酬は、時間単位の報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬制は採用しておりません。また、本特別委員会は、第1回特別委員会において、長島・大野・常松法律事務所の独立性に問題がないことが確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして承認しております。
上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社は、公開買付関連当事者から独立した立場で、本取引に係る検討及び交渉を行う体制(当社経営戦略部及び経理財務本部及び人事総務本部に所属する従業員の合計4名を主要なメンバーとする体制)を当社の社内に構築いたしました。
具体的には、本特別委員会の承認を受けた上記体制に基づき、公開買付関連当事者との間で利害関係を有する者について、当社と提案者・公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉過程に当社側のメンバーとして関与させないこととしております。
また、当該体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについては、本特別委員会の確認を受けております。
当社は、マクサス・コーポレートアドバイザリーより取得した本株式価値算定書、長島・大野・常松法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本公開買付けを含む本取引について慎重に検討いたしました。その結果、上記「(2) 意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、当社取締役会は、本公開買付けについて、(a)本公開買付けを含む本取引により当社株式を非公開化することが、相応の期間と大きなリスクを伴う踏み込んだ施策を、スピード感をもって実施することにつながり、当社の企業価値の向上に資するものである、(b)本公開買付価格は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2025年5月9日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計8名のうち、提案者を除く取締役6名(監査等委員である取締役3名を含みます。))の全員一致で本公開買付けへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議をいたしました。
なお、長瀬文男氏は不応募合意株主の代表取締役、長瀬俊二郎氏は公開買付者の代表取締役であり、いずれも本公開買付け成立後も継続して当社の経営にあたる予定とのことであって、本取引に関し、当社との間で利益相反関係が存在することから、上記取締役会の審議及び決議には参加しておらず、かつ、当社の立場において、公開買付者との協議及び交渉に参加しておりません。なお、かかる当社取締役会決議は、公開買付者が本公開買付け及びその後の一連の手続を実施することにより当社株式が上場廃止となる予定であることを前提として行われたものです。
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日と設定しているとのことです。
このように公開買付期間を法定最短期間より長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等をする機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。
本公開買付けの実施に際して、公開買付者は、上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、不応募合意株主との間で、2025年5月9日付で、それぞれが所有する当社株式の全てについて本不応募契約を締結しているとのことです。
本不応募契約においては、(a)不応募合意株主は、本不応募株式の全てについて本公開買付けに応募しないこと、(b)不応募合意株主は、本株式併合の効力が生じるまでの間、公開買付者の事前の書面による承諾なしに、当社の株主総会の招集請求権、議題提案権及び議案提案権その他の株主権を行使しないこと、(c)クレアートは、本公開買付けが成立した場合において、公開買付者からの要請に従い、本信託解除を完了させること、(d)不応募合意株主は、本公開買付けが成立した場合において、本貸株取引を行うこと、(e)公開買付者は、本公開買付けが成立した場合、本スクイーズアウト手続の一環として、当社に対し、本株式併合及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を付議議案に含む本株主総会の開催を要請すること、(f)公開買付者及び不応募合意株主は、本株主総会において、上記本スクイーズアウト手続に関する議案に賛成の議決権を行使するとともに、本スクイーズアウト手続の実施に必要な協力を行うこと等を合意しているとのことです。なお、本不応募契約は、(ⅰ)本不応募契約の当事者が書面により合意をした場合、(ⅱ)公開買付者が本公開買付けを開始しないことを決定した場合、(ⅲ)本公開買付けが撤回された場合、(ⅳ)本公開買付けが不成立となった場合及び(ⅴ)本株式併合の効力が発生した場合に終了することが合意されているとのことです。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
(注1) 役職名は本書提出日現在のものです。
(注2) 所有株式数及び議決権の数は2025年3月31日時点のものです。また当社持株会を通じて間接的に所有する当社株式数(小数点以下切捨て)及びそれに係る議決権の数を含めております。
(注3) 村上敦子、千葉理、山川丈人及び中沢ひろみは、社外取締役です。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
7 【公開買付者に対する質問】
8 【公開買付期間の延長請求】