第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、人や企業が世の中に生み出す「価値」とそれに対して得られる「対価」の2つが等しい社会を

実現することを経営ビジョンとしております。そのために、中長期経営方針として成果報酬型コンサルティング及

びその他BtoBサービスの拡充を掲げております。

 

(2)経営環境等

 当社グループの主要な事業領域であるコンサルティング市場におきましては、顧客企業における慢性的な人材不足や新型コロナウイルス感染症の影響による先行き不透明な経済情勢等もあり、引き続き潜在的なコスト削減ニーズは高いと考えております。他方で、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、小売業や飲食業等の顧客業種において事業運営上大きな混乱が生じた結果、これらの顧客業種からの当社売上高にも影響が生じました。具体的には、特に当連結会計年度の下半期において、これらの顧客業種において当初見込んでいた大型案件の延期や中止が顕在化しました。

 このように、当社グループの受注はコロナ禍の影響を一定程度受けるため、当社グループを取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。コロナ禍収束までは予期せぬ事態が発生する可能性があるため、常に経済情勢や市場環境を注視し、必要な対応策を講じてまいります。

 このような経営環境のもと、当社グループとしては営業パートナーの拡充及びリレーション強化、営業プロセスの見直し、営業人員の増員により、受注活動の推進に努めてまいりました。また、コスト削減においては、サービス提供をする費目の拡大や費目ごとのコスト削減率の維持向上等を図ることにより、収益拡大に取り組んでおります。

 

(3)優先的に対処すべき課題

① 市場対応力の強化

 当社グループは、クライアントの様々な経営課題の解決に寄与することを目的に、成果をクライアントと共有する成果報酬型コンサルティングのサービス拡充を図ってまいります。前連結会計年度における㈱知識経営研究所の連結子会社化により、今後の成長分野である環境・リスク管理のコンサルティング・サービス拡充を行うなど、更なる事業領域の拡大を推進しております。また、既に提供しているコンサルティング・サービスにおいては、プロジェクト期間の短縮及びクオリティの向上を進め、クライアントへの満足度向上からリピート率(クロスセル)の向上へとつなげてまいります。

 

② 優秀な人材の採用と育成

 当社グループの事業の中核である経営コンサルティング・サービスの策定とその実行支援を行うためには、高い能力を有する人材が必要になります。そのため、今後持続的な成長及び発展をしていくためには、常にメンバーの能力を高めるという質的向上と、高い能力を有する人材を獲得するという量的拡大の両方の施策が必要であります。質的向上については、充実した研修プログラムやコンテストを設けてビジネススキルの向上を図るとともに、多様性を重んじて個人の成長を最大限に引き出しております。量的拡大については、リクルーティングの方法としては、多様なリクルーティングチャネル及びリファーラルを活用していく方針であります。また、社内環境は、メンバーへのストック・オプション制度の導入の検討、多様な価値観を認め合える社風、安心して働きやすい環境・待遇の整備に努めてまいります。

 

③ 大企業への営業力

 当社グループにはコンサルティング・サービスを通じて、これまで積み重ねてきた実績とパートナー陣の幅広い人的ネットワークがあり、プロジェクトの受注においても奏効しております。今後は企業として組織的に営業活動を行うべく、会社としての実績を着実に一つ一つ積み重ね、ブランディングを踏まえた広報活動を通して、企業としての信用を向上させることが必要と考えております。BtoBビジネスに必要な認知度向上のために随時セミナーや出版を行い、マスコミとも良好な関係を構築することで、当社グループの知名度の向上を図っていく方針であります。

 

④ 最先端テクノロジーへの対応

 当社は、BSM領域におけるSaaSであるプロサインを開発しております。プロサインは、企業の間接材購買の最適化、効率化を実現するプラットフォームであり、コスト見える化分析から見積もり取得、発注・購買、請求・支払いまでの一連の購買プロセスを一気通貫でサポートするものです。当社は、プロサインを2022年6月から課金開始する計画ですが、課金社数の拡大やその後の継続率の維持のためには、顧客満足度を高める様々な先進的な機能を提供する必要があります。特に、AIを用いたデータ解析や請求書の読み取り等において、最先端テクノロジーを活用することを計画しており、社内エンジニアを中心にこれらのテクノロジーへの対応に関して最善を尽くしてまいります。

 

⑤  コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制

 当社が継続的な成長を続けるためには、コーポレート・ガバナンスの更なる強化と内部管理体制の強化が重要であると認識しております。コーポレート・ガバナンスに関しては、経営の効率性、健全性を確保すべく、監査役会の設置や内部監査の実施及び内部統制システムの整備によりその強化を図っております。また、内部管理体制については、管理部門の増員を実施しておりますが、適時開示の重要性が高まる中、適時開示の専任者の採用を図るなど、一層の体制強化が必要であると認識しております。

 

⑥  財務報告に係る内部統制の強化について

 当社グループの連結上の投資事業組合に係る収益・費用及び関連科目の会計処理等について、2021年10月期決算の作業過程において誤謬があることが判明いたしました。

 当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために下記を含む再発防止策を講じて、財務報告の信頼性を確保していく方針であります。

・経理部門の専門知識及び人材の強化

・連結決算、財務報告プロセスの連結仕訳に関する検証機能の強化

・リスク評価の実効性の向上

・適時、適切な人材配置や外部専門家の活用

 

2【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあり、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。これらのリスクについては、その発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末日において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)当社グループのコンサルティング・サービスについて

 当社グループは、大手・上場企業やプライベート・エクイティ・ファンド等、広範囲に事業を展開する大企業を中心にコンサルティング・サービスを提供しております。コンサルティング・サービスのうち、コストマネジメントに関しては、成果報酬としてクライアントのコスト削減の成果に連動する報酬体系になっております。

 国内のインフレーションの進行、為替の変動等により、直接材や間接材の価格高騰が発生した場合には、これらの影響を受け、コスト削減が困難になることで、クライアントに十分なコスト削減の成果を提供できない可能性があります。その場合、コスト削減の成果または受注案件の減少を通じて、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)BSM市場について

 当社が開発中のBSMプラットフォーム「プロサイン」は、クラウドサービスのサブスクリプション売上高が主体となります。国内のBSM市場は黎明期にありますが、当社としては当該市場が今後急速に拡大することを事業展開の前提として考えています。新たな法的規制の導入、技術革新の停滞、その他何らかの要因により、BSM市場の成長が阻害され、プロサインの導入・課金が想定通りに進捗しない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)業績の変動について

 当社グループは成果報酬型のコンサルティング・サービスを提供しており、受託する案件の規模により、報酬が異なっております。当社グループでは、受託する案件数を増やすことにより、安定した業績があげられるよう取り組んでおりますが、案件規模の大小や案件数の一時的な変動により、四半期毎の一定期間で区切った場合に、各四半期の業績が大きく変動する可能性があります。

 また、当社グループはコンサルティング・サービスの品質向上、契約条件の明確化等取り組んでおりますが、当初想定した成果をあげられないこと、取引先に当社グループの提案が採用されないことにより想定した報酬を受領できない可能性があります。その場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)競合について

 当社グループが属するコンサルティング業界は、許認可等の制限がないため、基本的に参入障壁は高くない業界といえます。当社グループが成果報酬型によるコンサルティング・サービスの提供を通じて、当社グループが積み上げてきた豊富な経験、実績及び社内ノウハウや教育システムは容易に模倣できるものではないと認識しております。しかしながら、競合のコンサルティングファームによる成果報酬型サービスの導入やサービス品質の向上により、競争環境が激化した場合においては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材の確保について

 当社グループの事業の中核である経営コンサルティング・サービスの策定とその実行支援を行うためには、高い能力を有するコンサルタントの獲得・育成・維持が課題であると認識し、人材投資を強化しております。職場としての魅力を高めて発信し、採用手法や育成機会を多様化する等、人材投資の効果向上を図っておりますが、人材を適時に確保できない場合、能力開発が進まない場合、あるいは人材が大量に社外流出してしまった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)代表取締役への依存について

 創業者であり代表取締役である佐谷進は、当社グループ全体の経営方針や経営戦略の立案をはじめ、取引先との関係構築、新規事業の構想等、当社グループの事業活動上重要な役割を担っております。代表取締役に対し、過度に依存しない組織的な経営体制の構築を進めておりますが、不測の事態により代表取締役が職務を執行することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)小規模組織であることについて

 当社グループの組織体制は小規模であり、業務執行体制及び内部管理体制もそれに準じたものとなっております。当社グループは今後の事業展開に応じて、採用・能力開発等によって業務執行体制及び内部管理体制の充実を図っていく方針であります。しかしながら、当社の事業領域の環境や競合状況が急変する場合、対応に要する経営資源が不十分なために、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)システム等に関するリスクについて

 プロサインは、PC、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含みます。)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループのサービスは、外部クラウドサーバーにて提供しており、当該サーバーの安定的な稼働が当社グループの事業運営上、重要な事項となっております。システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等や当社の想定していない事象の発生により当該サーバーが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、または当該サーバーの運営会社との契約が解除される等により当該サーバーの利用が継続できなくなった場合には、顧客への損害の発生、当社グループの追加費用負担、または当社グループのブランドの毀損などにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)情報管理について

 当社グループの提供するコンサルティング・サービス(プロサインを含みます。)においては、クライアントの機密情報や個人情報を取得することから、秘密保持契約等によって守秘義務を負っております。厳重な情報管理の徹底及び従業員への守秘義務の徹底をしておりますが、何らかの理由によりこれらの機密情報や個人情報が外部に漏洩した場合、当社グループの信用失墜等によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法的規制について

 現時点においては、当社グループの事業を制限する直接的な法的規制は存在しないと考えております。しかしながら、今後、当社グループの事業を直接的もしくは間接的に制限する法的規制がなされた場合、または従来の法的規制の運用に変更がなされた場合には、当社グループの事業展開は法的規制により制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)風評リスクについて

 当社グループは、高品質のコンサルティング・サービス提供、役職員に対する法令遵守浸透、厳格な情報管理、コンプライアンス体制の構築等の取組みを行うことにより、健全な企業経営を行っております。しかしながら、悪意を持った第三者が、意図的に噂や憶測、評判等のあいまいな情報を流す、又は何らかの事件事故等の発生に伴う風評により、当社グループに対する誤解、誤認、誇大解釈等が生じ、事業に対し直接間接に損失を被ることが発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)訴訟等に係るリスクについて

 当社グループは、有効なコンプライアンス体制の確立に努めておりますが、事業遂行にあたり当社の法令違反の有無にかかわらず、何らかの原因で当社が訴訟等を提起される可能性があります。これらの訴訟が提起されること及びその結果によっては、当社グループの事業及び業績に直接的な影響や、風評を通じた間接的な影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)自然災害、事故等について

 当社グループは、主に東京都、愛知県に事業拠点を有しております。これら事業拠点が、地震、津波、台風等の自然災害、事故、火災、テロ等の被害を受けた場合、交通網の混乱、営業活動の停止、システム障害等により事業活動に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化や事業拡大及び競争力の確保を経営の重要課題として位置づけております。現時点では、当社グループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、当社は現在まで配当を実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(15)調達資金の使途について

 新規上場及び東証一部への市場変更時における公募増資等の調達資金の使途につきましては、既存コンサルティング・サービスを効率化するための投資、新規コンサルティング・サービスを開発するための投資、事業規模の拡大に応じた組織を構築するための投資(採用費、人件費、オフィス移転費)、ならびにプロサインの開発投資に充当する計画であります。しかしながら、当社グループを取り巻く外部環境や経営環境の変化に対応するため、調達資金を予定以外の使途に充当する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、予定どおりの使途に充当された場合でも、想定どおりの効果を上げることができず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)M&Aについて

 当社グループは、コンサルティングサービスの拡充を目的として、国内におけるM&Aを事業展開の選択肢の一つとして考えております。

 M&Aを行う際には、対象企業の財務内容や契約関係等について、弁護士・公認会計士等の外部専門家の助言を含めたデューデリジェンスを実施すること等により、各種リスク低減に努めております。

 しかしながら、M&Aによる事業展開においては、当社グループが当初想定したシナジーや事業拡大等の効果が得られない可能性があります。また、子会社化後の業績悪化やのれんの償却又は減損等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)新型コロナウイルス感染症の感染拡大に関するリスクについて

 世界的な新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、国内経済は依然として先行き不透明な状況が続いております。当社といたしましては、マスク着用の徹底、在宅勤務及び時差出勤の推奨、WEB会議の推進、オフィス出入口での検温の実施、会議室等の定期的な消毒等の取り組みを行っております。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、当社グループ従業員に感染が広がった場合及び取引先企業が事業活動の縮小や休止等を行った場合などにおいては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとお

 りであります。

① 経営成績の状況

  当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動抑制の影響を引

 き続き受けることになりました。段階的に経済活動が再開されているものの、景気回復への影響は限定的で、依

 然として厳しい経済状況が続いております。

  このような経済状況の中、当社の事業領域であるコンサルティングサービス市場におきましては、デジタルト

 ンスフォーメーション(DX)支援型の案件が増加しており、ビジネスコンサルティング市場全体としては逆風下

 にありながらも、成長回帰の兆しが見え始めています。2021年7月1日にIDC Japan株式会社が発表した「国内

 コンサルティングサービス市場予測」によると、国内ビジネスコンサルティングサービス市場の成長予測が上方

 修正され、2020年~2025年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は9.3%、2025年の市場規

 模は8,012億円と予測されております。

  このような経営環境のもと、当社は国内屈指の実績を持つ成果報酬型コストマネジメント・コンサルティング

 において事業成長に取り組んだほか、当連結会計年度より当社独自のDXプラットフォーム「プロサイン」に対す

 る本格的な開発投資を始めました。

  まず、成果報酬型コストマネジメント事業においては、顧客企業数を継続的に増加させ、当社が特に重視する

 企業規模(顧客売上高100億円以上5,000億円未満の中堅・大企業)に該当する顧客企業の割合を全体の8割程度

 まで上昇させるなど、当社の顧客基盤を着実に強化することができました。加えて、昨年1月に実施した報酬体

 系の改定が順調に進捗し、リピート受注も堅調なペースで確保できたほか、コンサルタントの新規採用も計画通

 り進むなど、当社コンサルティング収益の持続的な成長を実現するための事業基盤が整いつつあるといえます。

  他方で、①昨今の新型コロナウイルス感染症の感染拡大(コロナ禍)の影響を大きく受けた顧客業種からの売

 上高において期初計画対比で下振れが生じ、また、②当社子会社である株式会社知識経営研究所が提供している

 企業向けコンサルティング事業(管理者/リーダー研修、食品安全マネジメントシステムの構築等)において

 も、コロナ禍のため対面研修が遅延、キャンセルとなった等の理由により同様に売上高の下振れが生じるなど、

 厳しい事業環境が続きました。

  当社としては、当社が強みを持つ成果報酬型コストマネジメントに対する潜在需要は依然大きく、当社の市場

 ポジションも強固であると考えており、営業リード獲得の加速、新事業領域の拡大等の施策を実行することによ

 り、当該事業が早期に成長軌道に回帰するよう事業運営を行ってまいります。

  新たな成長の柱として期待されるプロサイン事業については、本年6月にソフトローンチして以降、顧客企業

 からの引き合いが想定を大幅に上回って推移した結果、2021年10月末時点において222社の導入を完了し、2022

 年10月までの導入社数目標200社を1年前倒しで達成できました。足元の好調な導入ペースを踏まえ、翌連結会

 計年度中の課金開始ならびに中期的な収益化の蓋然性が高まったものと判断し、当連結会計年度の第3四半期以

 降に計上したプロサイン開発費用をソフトウエア仮勘定として資産計上することになりました。プロサインが対

 象とする Business Spend Management領域は、グローバルで急速に普及が進んでおり、まだ黎明期にある国内市

 場において、当社が同領域のパイオニアとしてマーケット・リーダーとなるべく積極的な事業展開を進めてまい

 ります。

  以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,649百万円、営業利益726百万円、投資前EBITDA(注)1,008

 百万円となりました。

  なお、当社はコンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

 (注)投資前EBITDA:事業開発の途上にある新規事業(プロサイン含む)にかかる損益を控除した償却前利益

 (営業利益+償却費)

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ1,369百万円増加し、8,892百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,269百万円減少し、5,404百万円となりました。これは主に現金及び預金が1,386百万円減少したことによるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,639百万円増加し、3,487百万円となりました。これは主に投資有価証券が2,296百万円、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が267百万円、敷金及び差入保証金が37百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ224百万円減少し、1,031百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ94百万円減少し、818百万円となりました。これは主に未払法人税等が157百万円減少したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ129百万円減少し、213百万円となりました。これは主に社債が80百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ1,593百万円増加し、7,860百万円となりました。これは主に非支配株主持分が1,821百万円、利益剰余金が親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により533百万円、自己株式が762百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末より 1,386百万円減少し、4,566百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動の結果得られた資金は307百万円(前年同期は596百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等

 調整前当期純利益が523百万円であった一方で、法人税等の支払額331百万円があったことによるものでありま

 す。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動の結果使用した資金は2,679百万円(前年同期は760百万円の支出)となりました。これは主に、投資

 有価証券の取得による支出2,317百万円があったことによるものであります。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動の結果得られた資金は985百万円(前年同期は1,855百万円の獲得)となりました。これは主に、非支

 配株主からの払込みによる収入1,851百万円があった一方で、自己株式の取得による支出762百万円があったこと

 によるものであります。

 

   ④生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績

  該当事項はありません。

 

  b.受注実績

  当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しており

 ます。

 

  c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はコンサルティング事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

コンサルティング事業

3,649,639

合計

3,649,639

  (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

     2.主な相手先の販売実績は、いずれも総販売実績に対する当該割合が100分の10未満のため記載を省略して

       おります。

     3.前連結会計年度は貸借対照表のみ連結しているため、前期との比較は行っておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

  経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

 す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについ

 ては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に

 記載のとおりであります。

 なお、会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関して、当事業年度における連結財務諸表及び財務諸表に会計上の見積りが及ぼす影響は軽微なものと判断しております。

 

   ②経営成績の分析

    a.売上高

      当連結会計年度の売上高は、売上高3,649百万円となりました。これは主に、前連結会計年度末より知識経

      営研究所を連結したことによるものと当社グループのコンサルティング事業が引き続き成長したことによる

      ものであります。

    b.売上原価、売上総利益

      当連結会計年度の売上原価は、1,473百万円となりました。これは主に、当社コンサルティング事業の拡大

      に伴い人件費が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は2,175百万円となりました。

    c.販売費及び一般管理費、営業利益

      当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,449百万円となりました。これは主に、当社コンサルティン

      グ事業の拡大並びにプロサイン事業の開発に伴う人件費の増加したことによるものです。この結果、営業利

      益は726百万円となりました。

    d.経常利益

      当連結会計年度において営業外収益が10百万円、営業外費用は主に投資事業組合管理費の計上により213百

      万円発生しております。この結果、経常利益は523百万円となりました。

    e.特別損益、包括利益

      税金等調整前当期純利益は523百万円となりましたが、法人税等合計177百万円の計上により包括利益は346

      百万円となりました。

 

    なお、当社グループは、前連結会計年度から連結財務諸表を作成しておりますが、連結子会社のみなし取得日を

   連結会計年度末日としていることから、貸借対照表のみ連結しているため、前期との比較は行っておりません。

 

   ③財政状態の状況

    財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フ

   ローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。

 

   ④キャッシュ・フローの状況

    キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャ

      ッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照くださ

   い。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、中長期的に持続的な成長を図るため、人件費等や従業員等の採用に係る人材関連費用、並びに販売費及び一般管理費等の営業費用への資金需要があります。

 当事業年度における資金の主な増減要因については、「第2 事業の概況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますが、経常的な運転資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としております。

 

   ⑥経営成績に重要な影響を与える要因について

    当社グループは、「第2 事業の状況2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、サービスの性質、人材の

   確保等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

    そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニ

   ーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適

   切に対応を行ってまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは新たなプラットフォームの開発を行い、コンサルティングのデジタル化・オートメーション化を通じて、企業のコスト管理にイノベーションをもたらすことを企図しております。当連結会計年度における研究開発活動の金額は57百万円となりました。