第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、インバウンド需要の拡大や雇用・所得環境に改善が見られ、緩やかな回復が続くことが期待されております。一方で、不安定な国際情勢を背景とした原材料価格・エネルギー価格の高騰や急激な為替変動等による景気への影響が懸念される等、依然として先行き不透明な状況が続いております。

一方、当社グループが事業を展開している国内のインターネット広告市場については、社会のデジタル化を背景に2024年のインターネット広告費は前年比109.6%の3兆6,517億円(株式会社電通「2024年日本の広告費」)と継続的に高い成長率を維持しており、総広告費に占める割合も47.6%まで拡大しております。

また、当社グループのもう一つの対面市場であるEC市場については、2023年国内BtoC-EC市場規模は前年比109.2%の24.8兆円となりました。分野別では、物販系分野に関して前年比104.8%と伸長しており、物販系分野におけるEC化率についてもBtoC-ECで9.4%(前年比0.3ポイント増)と伸長しております。BtoB-EC市場におけるEC化も40.0%(前年比2.5ポイント増)と増加傾向にあり(いずれも経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」)、国内のEC市場規模拡大は継続しております。

このような事業環境の下、当社グループは、データとテクノロジーによって世界中の企業によるマーケティング活動を支援し、売り手と買い手の幸せをつくる企業を目指して事業展開を行っております。当中間連結会計期間においては、2024年9月30日に連結子会社化したルビー・グループ株式会社による業績貢献が期首から発生することから増収となりましたが、コマース支援事業の利益率が低下し前期比で減益となったこと等により、売上高2,382,354千円(前年同期比28.7%増)、営業利益71,399千円(前年同期比33.1%減)、経常利益65,028千円(前年同期比39.5%減)、親会社株主に帰属する中間純利益26,817千円(前年同期比49.1%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は以下のとおりとなりました。

(マーケティングDX支援事業)

当事業は、インターネットにおける消費者行動を横断的に測定し、マーケティングに活用するためのクラウドサービス等を提供する事業であります。当事業では、2024年9月期を開始年度とする中期経営方針「VISION2027」の戦略として、広告効果測定におけるクロスセルを強化し、新たなSaaSの提供開始・人的支援サービスの強化後、これら3つを掛け合わせたクロスセルを強化し、2027年9月期までに過去最高アカウント数を更新することを目指しております。提供しているサービスは広告効果測定プラットフォーム「アドエビス」を主力サービスとし、分析レポート自動作成サービス「アドレポ」を提供する広告代理店向けプラットフォームビジネスやインキュベーション領域として新サービスの開発にも取り組んでおります。また、当事業において2025年5月に国内初のマーケティング・キャンペーンマネジメント・プラットフォーム「AD EBiS Campaign Manager」(以下、キャンペーンマネージャー)の有償版の提供開始を予定しております。属人化しやすく施策の成果や効果が組織内に蓄積されにくい性質であるマーケティング活動において、「マーケティング施策の効果改善サイクルを回したい」という顧客課題がありました。これに対し、「キャンペーンマネージャー」によって暗黙知を形式知へ転換し、マーケティング施策のPDCAを構造化・効率化することによって解決を図ってまいります。これまで「アドエビス」によって広告効果測定領域の顧客支援を行ってまいりましたが、「キャンペーンマネージャー」の提供により支援範囲をマーケティングプロセス全体へ拡大いたします。

当中間連結会計期間においては、各広告媒体のコンバージョンデータにおける計測精度向上と広告配信の最適化をサポートするコンバージョンAPIツール「CAPiCO」において、X広告のX Ads API とMicrosoft広告のMicrosoft Advertising Bing Ads APIに新たに対応いたしました。今回の対応媒体追加により、「CAPiCO」ではX広告とMicrosoft広告を含む主要7媒体への正確なデータ計測と広告配信の最適化支援が可能となりました。

この結果、当中間連結会計期間の売上高は1,457,538千円(前年同期比1.4%増)、セグメント利益は134,636千円(前年同期比72.1%増)となりました。前年同期との比較においてはインキュベーション領域の売上高が伸長したこと等により、増収増益となりました。また、「Growth Step Program」や「CAPiCO」を軸としてアカウント数の増加に取り組んだ結果、アカウント数については前連結会計年度末から増加となっております。

 

 

(コマース支援事業)

当事業は、EC構築のためのオープンプラットフォーム「EC-CUBE」及びEC構築・運用フェーズを軸として、集客・物流に至るまで、EC事業者が直面する課題に対して支援サービスを提供する事業であります。「EC-CUBE」はフリーミアムモデルのオープンソース・パッケージとして提供しており、「EC-CUBE」と連携する各種サービス(決済代行等)の提供事業者から決済手数料収入を得るというエコシステムを構築しております。また、当中間連結会計期間において大規模EC向けの「EC-CUBE Enterprise」を段階的に提供開始いたしました。注力しているEC構築・運用支援領域において、大規模ECサイトに必要とされる高アクセスに耐えるインフラ基盤・モール型EC・多言語対応等の機能をパッケージとして用意し、コストパフォーマンスに優れた高可用性システムとして大型案件の獲得に寄与しています。当事業では「EC-CUBE」の強みを活かしながら、提供機能を垂直方向へ拡張する垂直統合モデルの実現を戦略として掲げております。豊富な実績やノウハウに基づくECサイトの運用支援事業やフルフィルメントサービスの提供を行うルビー・グループ株式会社を当中間連結会計期間より新たに加え、さらにこの戦略実現を加速してまいります。

当中間連結会計期間において、EC構築・運用支援領域では、開発体制拡充を行いながら開発内製化に取り組んでまいりました。また、営業面においても新規獲得や既存顧客からの追加受注等の事業進捗があった一方で、採用費等の経費が先行する状況にあります。また、新たに連結対象となったルビー・グループ株式会社においては、経営管理体制の見直し等による収益改善について着手した直後であり、その成果が出るには至っていない状況であります。

この結果、当中間連結会計期間の売上高は928,269千円(前年同期比123.7%増)、セグメント損失は63,237千円(前年同期は25,677千円のセグメント利益)となりました。EC構築事業の増収により売上は伸長しているものの、EC構築事業に係る外注費の増加、営業・開発・管理体制の拡充及びのれん償却費増加等により、セグメント損益については減益となりました。なお、新規EC構築案件の受注に注力したことにより、受注高は297,923千円(前年同期比38.0%増)となり、受注残高は195,456千円(前年同期末比169.2%増)となりました。

 

 また、財政状態については次のとおりとなりました。

(資産)

当中間連結会計期間末における流動資産は2,073,403千円となり、前連結会計年度末に比べ166,770千円減少いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が125,021千円増加した一方、未収入金が159,942千円減少したことや税金や配当金の支払い、子会社株式追加取得により現金及び預金が111,238千円減少したこと等によるものであります。

また、固定資産は1,208,558千円となり、前連結会計年度末に比べ75,714千円減少いたしました。これは主に償却によりのれんが65,075千円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は3,281,961千円となり、前連結会計年度末に比べ242,484千円減少いたしました。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における流動負債は975,627千円となり、前連結会計年度末に比べ147,214千円減少いたしました。これは主に未払金が147,153千円減少したことによるものであります。

 また、固定負債は429,146千円となり、前連結会計年度末に比べ37,470千円減少いたしました。これは約定返済により長期借入金が37,470千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は1,404,774千円となり、前連結会計年度末に比べ184,684千円減少いたしました。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産は1,877,187千円となり、前連結会計年度末に比べ57,799千円減少いたしました。これは主に剰余金の配当48,065千円により利益剰余金が減少、連結子会社の株式を追加取得したことにより資本剰余金が45,756千円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は55.9%(前連結会計年度末は53.3%)となりました。

 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ109,507千円減少(前年同期は80,849千円減少)し、1,215,413千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローについては、192,923千円の収入(前年同期は260,678千円の収入)となりました。これは主に、減価償却費95,323千円(前年同期は85,407千円)の計上、税金等調整前中間純利益65,028千円の計上(前年同期は104,714千円)等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローについては、92,042千円の支出(前年同期は68,709千円の支出)になりました。これは主に、自社開発ソフトウエアの計上等の無形固定資産の取得による支出82,709千円(前年同期は62,628千円の支出)によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローについては、209,890千円の支出(前年同期は272,635千円の支出)になりました。これは主に、長期借入金の返済による支出111,188千円(前年同期は117,667千円の支出)、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の追加取得による支出51,240千円(前年同期は7,750千円の支出)、配当金の支払額47,461千円(前年同期は46,213千円の支出)によるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。