文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「幸せはこぶ住まいづくり」、「買っていただいたお客様に幸せになっていただくこと」を事業の目的とし、「富士山のように日本一愛される会社」にするという想いのもと創業された会社であります。大阪府全域、兵庫県南部及び和歌山県北部を主たる営業地盤として売りっ放し建てっ放しにしないお客様に顔を向けた責任のとれる住まいづくりを経営の基本として事業を展開しております。そのため、一時的な利益や事業拡大を求めるのではなく、長期的な安定経営によるつぶれない会社づくりが重要であると考えております。長期的な安定経営には、人財が必要不可欠であり、見識、胆識、洞察力の優れた立派なリーダーを育成することが重要であることから、人は財産であるという考えのもと、当社グループでは、「人材」ではなく「人財」と表現し、次のような経営理念と社訓を掲げております。
「経営理念」
・ 社員のため
・ 社員の家族のため
・ 顧客・取引先のため
・ 株主のため
・ 地域社会のため
・ ひいては国家のために当社を経営する
「社訓」
・ 我々はフジ住宅の社員である
・ 我々は熱意と誠意をもって仕事に接しよう
・ 我々は自己の仕事の責任と重要性を認識しよう
・ 我々は感謝と奉仕の精神をもって仕事をしよう
・ 我々は顧客・取引先に感謝されるような仕事をしよう
経営理念は、「社員のため」「社員の家族のため」から始まります。これは、社員と社員の家族が幸せでなければ、お客様に心から喜んでいただける仕事はできないと考えているためです。社員とその家族を大切にし、全社員が感謝の気持ちや仕事に対しての誇り、やりがい、生きがいを持つと、社員のモチベーションが高まり、社員は心からお客様を大切にすることができます。その結果、お客様をはじめ、お取引先様、株主様、地域社会、国家へと全てのステークホルダーの幸せにつながっていくと考えております。
上記の経営理念・方針を活かしながら、人財の成長に合わせて事業を拡大するという考えのもと、過去からの営業地域のさらなる深耕を図るとともに、府下最大のマーケットである大阪市内をはじめ大阪府北部地域及び兵庫県南部地域への積極的な地域拡大を図り、収益力の向上及び財務体質の強化を推進することにより、お客様、お取引先様、株主様から常に信頼され、事業を通じて社会のお役に立てる企業となることを目指しております。
(2)中長期的な会社の経営戦略
(安定した収益の確保)
不動産業界は好不調の激しい業界であるため、長期的な安定経営を行うことが重要と考え、不動産事業の中での多角化によるバランス経営を図るとともに、大阪府全域、兵庫県南部及び和歌山県北部を主たる営業地盤として地域密着型経営を行っております。
当社グループは、地域に根付いた住宅提供事業者として、新築戸建住宅、分譲マンション、改装付中古住宅の販売、土地有効活用提案によるアパート建設、サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設、個人投資家向け一棟売賃貸アパート販売、分譲マンション管理、賃貸管理、建設関連など住宅・不動産に関するあらゆる住まいのワンストップサービス企業としてお客様に心から喜んでいただける商品及びサービスの提供を目指して参ります。また、当社グループは、つぶれない会社づくりをするため、大きな景気変動下でも揺るがない経営体質を保持し、土地有効活用事業や賃貸及び管理事業の非分譲事業の比率を高めるなど、賃貸収入を生むストック型ビジネスを拡大することで継続的に安定した収益の確保を行い、経営のさらなる安定化を目指して参ります。
(ESGに関する取組み)
当社グループでは、2021年12月14日の取締役会にて、以下の通りサステナビリティ基本方針を決議いたしました。
「当社グループは『社員のため、社員の家族のため、顧客・取引先のため、株主のため、地域社会のため、ひいては国家のために当社を経営する』という経営理念のもと、創業以来、事業活動を通じて社会貢献活動に取り組んで参りました。国連で採択された『SDGs』(持続可能な開発目標)など、社会課題に対する企業が果たす役割の重要性が増しております。ESG(環境・社会・企業統治)及びSDGsと地域密着型経営である当社の事業活動との関連を意識し、社会貢献に取り組むことにより、今後も社会とともに持続的に成長し、信頼される企業グループを目指して参ります。」
サステナビリティ基本方針に基づき、以下の取り組みを実施しております。
(新型コロナウイルス感染症による影響)
新型コロナウイルス感染症蔓延の長期化・深刻化による国内外における経済活動の抑制、個人消費や企業収益の減少などが経済全体に影響を及ぼしております。当社グループにおいては、土地有効活用セグメントで前連結会計年度のコロナ禍における1度目の緊急事態宣言に伴う約3か月の営業自粛により、建築請負の受注件数が減少し、当連結会計年度の売上高に影響を及ぼしました。一方で、従前にも増して、個人投資家向け一棟売賃貸アパートについては投資家による注目度が高まり、極めて順調に受注、引渡しが増加しております。また、分譲住宅セグメントにおいては、前連結会計年度はコロナ禍による将来的な業績影響を軽減すべく実施した販売価格柔軟化による販売促進のため、多額の評価損を計上しましたが、当連結会計年度はそのような影響は無く、増収に伴う利益をそのまま反映し大幅な増益となりました。
不動産業界におきましては、テレワークの普及などにより、住環境の見直しが進んだことや低金利の環境による後押しが好影響となったものの、数年来の土地価格の上昇やウッドショックによる木材価格の高騰と住宅設備の相次ぐ値上げによる建物原価の上昇が販売価格に転嫁されることによって、販売環境は厳しさを増しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症による影響が、中長期的に当社グループの経営環境に大きな変化をもたらすとは考えにくく、経営方針、経営戦略等や経営環境への影響については記載しておりません。
当社グループにおいては、これまでに培ったお取引先様等との協力関係を基礎として、売りっ放し建てっ放しにしないお客様に顔を向けた責任のとれる住まいづくりを着実に実行し、また、社員に対してはテレワークの推進等の安心・安全に就業できる環境の整備を行うことで、引き続き長期的な安定経営を目指して参ります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、有価証券報告書提出日現在で入手可能な情報に基づき想定しており、新型コロナウイルス感染症の拡大が想定以上に続き、財務諸表等に重要な影響を及ぼすことが判明した場合には、四半期報告書や臨時報告書、適時開示等において、速やかに情報開示します。
(3)目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の向上と継続的な成長を図り、企業の経営効率を判断する指標である自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標として意識し、10%以上を目標としております。
また、財政状態の安全性及び健全性の確保のため、自己資本比率25%以上を目標としております。当社グループは不動産事業の多角化によるバランス経営を行っていることから、事業形態が異なる事業部門ごとに、定期的に事業部門別貸借対照表を作成することや、事業形態ごとに売上高に対する在庫の金額をコントロールする目標比率を設定し、事業部門ごとに在庫の回転状況を検証しております。また、全社的な安全性の指標として、在庫に対する有利子負債の額をコントロールする目標比率や、急激な土地の時価下落に備えるため純資産額に対する在庫の金額をコントロールする目標比率を設定しており、これらの指標についても定期的にモニタリングを行うことで、経営のさらなる安定化と収益力の向上を目指しております。
2022年5月10日に当社グループの新たな経営指標として、中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)を公表しました。2023年3月期を初年度とする3ヶ年の業績目標は、以下のとおりであります。
|
2023年3月期計画 |
2024年3月期計画 |
2025年3月期計画 |
連結売上高 |
1,106億円 |
1,170億円 |
1,218億円 |
連結営業利益 |
60億円 |
68億円 |
70億円 |
連結経常利益 |
57億円 |
63億円 |
66億円 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
38億円 |
42億円 |
44億円 |
なお、引き続き、自己資本当期純利益率(ROE)10%以上、自己資本比率25%以上を目標とし、企業価値の向上と継続的な成長、財政状態の安全性・健全性の確保の両面からバランスのとれた経営を目指して参ります。
(4)報告セグメントごとの経営環境
① 分譲住宅事業
分譲住宅事業では、地域密着型経営の強みを活かし、良質な分譲用地の選別や、お客様のニーズへの対応等を図り、顧客満足日本一を目指しております。また、長期的には少子高齢化が進むにつれ新築住宅市場は縮小するため、厳しい環境になっていくことが予想されます。しかしながら、住宅業界は特定の大手企業が寡占している状態ではなく、地元の工務店や中小企業など数多くの不動産会社が存在している業界であるため、さらにシェアを増やすことができると考えております。また、新型コロナウイルス感染症の影響により自宅で過ごす時間が増えるなど新しい生活様式や、テレワークの定着といった新しいワークスタイルの変化に合わせて快適な住空間を求める世帯が増加し、住宅の購入意欲や住宅性能への関心も高まっております。
当社グループは、特許取得システム「炭の家」の使用権を当社グループ営業地域内(大阪府・兵庫県の一部・和歌山県の一部)で取得しております。「炭の家」は、炭の自浄作用を活用して外気からの有害物質を除去する独自の換気システムであり、新築戸建住宅ではこの換気システムを採用した「炭の家/ピュアエア」を販売しております。
新築戸建住宅の建築にあたっては、耐震や耐風性能と同時に、通風と気密性を両立させたフジ住宅独自の「FX-WOOD 工法」を採用する等により、国土交通省で定められた住宅性能表示制度で最も高い耐震性を表す耐震等級3を実現し、また、地震の揺れを大幅に低減する制震ダンパーを採用するなど、強度や耐震性、耐久性を追求した住まいづくりを行っております。
分譲マンションにおいては、従来の「シャルマンフジ」シリーズに加え、大阪市内及び大阪府北部を対象に、これまでに培った住まいづくりの知恵と技術を集結し、都市生活にふさわしいマンションの在り方を追求した新ブランドの都市邸宅型マンション「ブランニード」の販売を行っております。今後、より幅広いエリア及び顧客のニーズに対応できるマンションの供給を行って参ります。
このように、独自の商品による競合他社との差別化やお客様にとって安心できる住まいづくりを提供することにより、少子高齢化社会による市場の縮小や新型コロナウイルス感染症等による経済活動への影響など、様々な要因によって経営環境が大きく変化する中においても、引き続き地域密着型経営を行い営業地域内でのシェアを増やすことで、事業の拡大を図ることが十分できると考えております。
② 住宅流通事業
当社グループは、新築住宅に加えて中古一戸建住宅や中古マンションを取り扱うことによって、住宅販売での多角経営の強みを活かしております。新築住宅に比べ低価格帯である中古住宅の需要は根強く、中古住宅の需要は一層高まっております。また、既存住宅を活かし再生させる住宅流通事業では、人口減少にともなう空家増加問題を解決し、新築住宅の建築と比較して二酸化炭素の排出量や木材の使用量等を大幅に抑えられることから、新たな建設にかかるエネルギー消費を抑え、持続可能な社会へ貢献することができる事業となっております。
当社グループの住宅流通事業では、中古住宅の買い取りを行い、リフォームし、安心して購入していただけるように独自のアフターサービス保証を付けて販売しております。
中古住宅販売は、新築住宅に比べ低価格帯である中古住宅を取り扱うため、1物件当たりの利益額は少なくなりますが、取り扱い物件数を増やすことでセグメント利益を確保する事業です。そのため、物件取得から引渡しまでの在庫保有期間が長期化することは、資金効率を低下させ、財務体質の悪化を招く可能性があります。当社グループでは、良質な中古住宅を仕入れて、在庫保有期間は半年を目途に設定し、在庫回転率を意識した効率的な販売を行うことで、収益及び資金の両面からバランスのとれた経営を行って参ります。
③ 土地有効活用事業
建築コストの高止まり等により厳しい事業環境が続いておりますが、土地有効活用事業は資産承継や相続税対策を背景とした需要の高い事業であります。また、少子高齢化が進むにつれて、今後もサービス付き高齢者向け賃貸住宅の需要が一層高まっていくことが予想されます。さらに、金融緩和の影響を受け、個人投資家向け一棟売り賃貸アパートについても引き続き需要が見込まれる状況となっております。
当社グループの土地有効活用事業では、100%紹介営業を行っており、オーナー様にとって有益とならない、また、アパート等の経営をするには厳しい立地であると当社グループが判断した場合は、オーナー様及び紹介者の信頼を裏切らないよう、建築請負をお断りしております。このような経営姿勢によって、既オーナー様のリピート受注率は競合他社と比べて高くなっており、引き続きリピート率のさらなる向上を目指すとともに、「日本一愛される土地有効活用事業部」を目指した経営を行って参ります。
④ 賃貸及び管理事業
今後、人口流入や少子高齢化により、都市部における賃貸住宅及びサービス付き高齢者向け賃貸住宅の需要の拡大が予想されます。良質の賃貸・管理サービスは提案型の建築請負の営業支援となり、引渡し後の賃貸管理の引き受けと併せて、土地有効活用事業と相乗効果が高い事業となっております。
サービス付き高齢者向け賃貸住宅「フジパレスシニア」では、「自分の親を安心して預けられる住まい」をコンセプトに、介護業者スタッフが24時間常勤し、巡回や見守りを行い安否確認を万全に整えるなど安心・安全なサービスの確保や、健康面でバランスのとれた食事の提供を行っております。また、全戸個室でありながら家賃は低価格を実現するなど、入居者や入居者のご家族のさまざまなニーズに応えております。
経営のさらなる安定化を目指し、非分譲事業である賃貸及び管理事業の比率を高め、継続的に安定した収益の確保を行うため、引き続き顧客満足度の高いサービスの提供に注力して参ります。
⑤ 建設関連事業
建設関連事業では、土地有効活用事業の需要へのさらなる対応に向けてサービス付き高齢者向け賃貸住宅「フジパレスシニア」において木造以外の住宅提供を行うほか、民間工事や公共工事などさまざまな建築工事を行っており、建築物においても給排水工事、外構工事、リフォーム、リニューアル、解体工事など多種多様な施工実績を誇っております。着工から竣工まで一貫して同じ担当者が現場を管理するため、高い技術を有する複数の協力会社ともスムーズな連携が可能です。高い品質はもちろん、適切な工期を実現しながら、引き続き安全に最善を尽くした施工を行って参ります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが対処すべき主な課題は以下のとおりです。
① 優秀な人財の採用及び育成並びに働き甲斐のある環境の整備
当社グループの長期的な安定経営を継続するためには、能力と熱意を兼ね備え、当社グループの経営理念・方針や価値観に共感する優秀な人財を採用すること、また、そのような人財が長期にわたってやりがいを感じるとともに明るく元気にイキイキとストレスのない働きやすい就業環境を整備することが、重要であると考えており、パートタイマーを含め役職員全員が会長または社長と直接対話できる「会長・社長への質問会」を定期的に開催しております。会長または社長自らが質問者一人ひとりと電話ミーティングを行い、仕事のみならず、プライベートの悩み・問題まで解決に努める取り組みを行っております。業績向上の原動力は、経営理念や方針の理解、実践と同一の価値観を共有する人財の育成にあると考え、役員を含め社員、パート社員全員が全員を評価する人事評価システムを採用し、直属の上司からの評価にとどまらず、他部署を含めた部下や同僚など全方面から評価する360度の公平・公正な人事評価・査定を行うことで、年齢・性別による区別や職務範囲を限定することなく実力・実績に応じた役職に登用しております。加えて、社員の専門的かつ高度な知識獲得のために資格取得支援制度を充実させることで、各種業務資格の取得を促進しております。働きやすい環境の整備としましては、いつでも電話相談できる健康相談ダイヤル活用の積極的な推奨、テレワークによる柔軟な働き方の推進、パートタイマーを含め全役職員対象の診断項目の充実した健康診断の実施、部屋型の高気圧酸素ボックスを社内に設置することで打ち合わせや休憩に利用できるようにするなど、多様性を尊重し、社員が働きやすく、健康を維持できる就業環境づくりを行っております。当社グループは、社員の健康管理に積極的に取り組む企業として、経済産業省が東京証券取引所と共同で選定を行う「健康経営銘柄」に2016年、2018年、2019年の3回選定されました。また、2022年3月9日付で経済産業省が日本健康会議と共同で認定を行う「健康経営優良法人2022 大規模法人部門(ホワイト500)」にも認定されました。こちらは初年度より6年連続での認定となっております。経営トップが先頭に立ち、全ての社員が健康への意識を高め、心身の健康を維持できるよう、枠にとらわれず柔軟性を活かし様々な環境を整えていることを評価いただいたものと認識しております。さらに、2020年度には当社グループの「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」が認められ、一般社団法人日本テレワーク協会主催の「第21回テレワーク推進賞」において「優秀賞」を受賞いたしました。当社グループのこのような取組みは、優秀な人財の採用につながり、採用活動において、実際に優位性を保てております。また、財務面においても、DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)最高格付を4度にわたり取得し、日本政策投資銀行からの低利の融資調達につながっております。
今後も引き続き、社員の健康保持・増進に向けた取組みを全社一丸で行い、社員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的な取組みによる企業価値の向上を通じてお客様をはじめ、お取引先様、株主様、地域社会、国家と全てのステークホルダーへの社会的責任を果たすべくこれからも邁進して参ります。
② 気候変動リスクへの対応
当社グループは「OSAKAゼロカーボンファウンデーション」の活動に参加しており、同会の設立目的である『「持続可能な開発目標(SDGs)」に関する一層野心的で先進的な取組みを大阪から具体化し、これを全国へと波及させることによって、我が国が目指す2050年の脱炭素化社会実現における先導的な役割を果たしていく』に賛同しており、今後活動領域を広げて参ります。中でも、当社グループでの脱炭素の取組みとして、和歌山県の「企業の森」事業による、森林保全・管理活動に係る協定を締結し、和歌山県日高郡日高川町の2.16ヘクタールの森林を「フジ住宅の森」と名付けて、当社及びフジ住宅グループ社員・家族のボランティアによる植林並びに育林活動を行っております。この事業では、認証企業51企業・団体全体で、127.52ヘクタールを企業の森として植林・育林を実施することにより、今後100年間で54,100トンの二酸化炭素吸収実績が見込めます。また、当社の「フジ住宅炭の家/ピュアエア」では、換気にともなう熱エネルギーの喪失を防ぐ「全熱交換システム」を採用し、省エネに配慮した住宅をお客様にご提供しております。今後におきましても、ステークホルダーの皆様との対話や積極的な情報開示を行いながら、社会と企業の持続的成長を目指して参ります。
③ 既存事業による収益基盤の維持・強化
好不調の激しい不動産業界においては、長期的な安定経営を行うことが重要と考えております。大きな景気変動下でも揺るがない経営体質の保持のため、当社グループでは、分譲住宅事業、住宅流通事業、土地有効活用事業、賃貸及び管理事業、建設関連事業と不動産事業の中での多角化を図っております。経営の安定化・つぶれない会社づくりを重点にした基本方針を継続し、ストック型ビジネスでの賃貸収入を安定して確保するために、個人投資家向け一棟売り賃貸アパート及びサービス付き高齢者向け賃貸住宅の一括借り上げ事業や中古住宅アセット事業、自社保有のサービス付き高齢者向け賃貸住宅事業といった非分譲事業の比率を高めることにより、経営のさらなる安定化を目指して参ります。
④ DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
経済状況や社会情勢の変化が急速に進む現代社会において、時代の変化に即した商品・サービスの提供、加えて働き方改革等の労働環境の変化に対応するためには、変化に強い基盤システムを構築しDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることは重要事項であると考えております。当社グループでは、より変化に強いシステム基盤の構築を目指す上で次世代システム構築プロジェクトを推進しております。これにより、豊富な用地情報の全社的な活用、複数部署でのデータ連携強化、生産性向上等、全体を最適化することにより業務効率を向上させ、急速な社会の変化への対応を目指します。次世代システム構築プロジェクトを推進することで、DX時代への転換に対応し、継続的かつ長期的に企業価値を高め、迅速かつ丁寧な顧客対応やサービスの提供を行い、顧客満足度の向上を目指して参ります。
当社グループの事業は、全て不動産に関連する事業であることから、不動産市況、住宅関連税制、住宅ローン金利水準等による購買者の需要動向、各種不動産法規の改廃、建築資材の原材料の価格動向等に影響を受けております。当社グループの事業展開においてリスク要因となる可能性が考えられる主な事項は、以下のとおりであります。当該リスクが当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす金額は不明ですが、リスクが顕在化した場合は、事業継続の観点から、純資産の範囲内で賄えることが、リスクの最大の許容量と考えております。当該リスクの顕在化する可能性は、常にあるものと認識し、それぞれ対応策を講じております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)法的規制について
当社グループの属する不動産業界は、宅地建物取引業法、建設業法、建築基準法、建築士法、都市計画法、住宅の品質確保の促進等に関する法律、マンションの管理の適正化の推進に関する法律等の様々な法的規制を受けております。当社グループでは、上記の法令を遵守するためにコーポレート・ガバナンス及びコンプライアンス推進体制を強化するとともに、法務部門が作成した法令遵守のチェックリストを用い、関係各部署による宅地建物取引業法及び建設業法のセルフチェックを行っております。また、内部監査部門による宅地建物取引業法・建設業法コンプライアンス監査を実施しております。
しかしながら、今後、これらの法令等の改正や新たな法令等の制定により規制強化が行われた場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは事業活動を継続していくために、以下の免許、登録、許可を得ております。現在、当該免許、登録、許可が取り消しとなる事由は発生しておりませんが、今後何らかの理由によりこれらの免許、登録、許可の取り消し等があった場合、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
会社名又は 事務所名称 |
許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期間 |
許認可等の取消事由 |
フジ住宅㈱ |
宅地建物取引業者免許 |
国土交通大臣 |
2018年10月18日 ~ 2023年10月17日 |
宅地建物取引業法 |
フジ住宅㈱ |
特定建設業許可 (建築工事業、内装仕上工事業、土木工事業) |
国土交通大臣 |
2017年10月3日 ~ 2022年10月2日 |
建設業法 |
フジ住宅㈱ 一級建築士事務所 |
一級建築士事務所登録 |
大阪府知事 |
2018年11月5日 ~ 2023年11月4日 |
建築士法 |
フジ住宅㈱ 一級建築士事務所 |
一級建築士事務所登録 |
大阪府知事 |
2018年3月8日 ~ 2023年3月7日 |
建築士法 |
フジ・アメニティ サービス㈱ |
宅地建物取引業者免許 |
大阪府知事 |
2020年7月7日 ~ 2025年7月6日 |
宅地建物取引業法 |
フジ・アメニティ サービス㈱ |
マンションの管理の適正化の推進に関する法律に基づくマンション管理業者登録 |
国土交通大臣 |
2020年7月30日 ~ 2025年7月29日 |
マンションの管理の 適正化の推進に関する 法律第83条 |
フジ・アメニティ サービス㈱ |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律に基づく賃貸住宅管理業者登録 |
国土交通大臣 (01)第000532号 |
2021年8月14日 ~ 2026年8月13日 |
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する 法律第23条 |
雄健建設㈱ |
特定建設業許可 (土木工事業、建築工事業、大工工事業、左官工事業、とび・土工工事業、石工事業、屋根工事業、管工事業、タイル・れんが・ブロック工事業、鋼構造物工事業、鉄筋工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業、板金工事業、ガラス工事業、塗装工事業、防水工事業、内装仕上工事業、熱絶縁工事業、建具工事業、水道施設工事業、解体工事業) |
大阪府知事 (特-3)第51771号 |
2021年7月1日 ~ 2026年7月1日 |
建設業法 |
会社名又は 事務所名称 |
許認可等の名称 |
許認可登録番号 |
有効期間 |
許認可等の取消事由 |
関西電設工業㈱ |
特定建設業許可 (電気工事業) |
大阪府知事 (特-3)第60766号 |
2021年7月27日 ~ 2026年7月26日 |
建設業法 |
関西電設工業㈱ |
一般建設業許可 (電気通信工事業) |
大阪府知事 |
2021年7月27日 ~ 2026年7月26日 |
建設業法 |
(2)棚卸不動産の評価について
当社グループは不動産販売業という性質上、棚卸不動産の評価が損益に直接的な影響を与えるため、この評価を誤ると財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業用地の仕入れに際して、営業面、資金面、リスク等について、事前に関係各部署が十分に協議し、その結果を踏まえて仕入れを行っております。しかし、土地を取得し開発及び宅地造成を行い、建物を建築し販売を完了するまでの工事期間が長期にわたるため、その間の不動産市況の悪化等により、販売を開始したものの当初計画通りに契約獲得が進まず、販売可能価額の再設定が必要になる場合があります。また、開発計画時において予期し得なかった事象の発生に伴う工事の長期化や遅延、変更、中断等が生じた場合にはコストが増加し、結果として当初想定の利益が見込めなくなります。
以上のことから、棚卸不動産については、販売可能性を考慮した最新の販売可能価額を把握するとともに、期末時点の見積追加原価及び見積販売経費を控除した正味売却価額を算出し、期末ごとに正味売却価額と簿価を比較し、簿価切り下げ要否の判断を行っております。
なお、今後におきまして開発計画時に予期し得なかった事象の発生に伴う工事の長期化や中断、その他不動産市況の悪化等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)有利子負債について
当社グループは、「幸せはこぶ住まいづくり」、「買っていただいたお客様に幸せになっていただくこと」を事業の目的とし、売りっ放し建てっ放しにしないお客様に顔を向けた責任のとれる住まいづくりを経営の基本として事業を展開しており、当社グループの経営姿勢を理解してくださる多数の金融機関から好意的に融資を受けることが出来ております。
当社グループにおいては、原則として分譲住宅事業のプロジェクト案件ごとに、用地の取得資金と開発費用等そのプロジェクトの推進に必要な資金を、プロジェクトの期間に応じて短期借入金、長期借入金での調達を行っており、有利子負債残高の合計額は総資産に対して比較的高い水準で推移しております。また、運転資金については、原則として手持資金で賄うこととしておりますが、資金繰り弾力化のため、当座借越枠をはじめ、一部短期借入金、長期借入金及び社債発行により調達することがあります。
近年においては、低金利の継続により、金利負担は比較的低水準で推移しておりますが、金利の引き上げ要請があった場合、または将来において金融引き締めの影響等で金融機関から返済を迫られ、新たな融資を受けることが出来なくなった場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、棚卸不動産の仕入れに係る資金調達の一部に活用しております。当該契約においては、一定の担保制限条項及び財務制限条項が付されており、当該条項に抵触した場合には当該借入金の返済義務が生じる可能性があり、その場合は当社グループの財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)災害等によるリスクについて
当社グループは、社員の安全・健康を事業経営の基盤と捉え、大地震対応マニュアルの作成や緊急連絡・安否確認システムの構築、災害備蓄品の設置、定期的な火災訓練等を実施しております。また、当社グループは、棚卸不動産・事業用固定資産等の様々な不動産を保有しております。地震や火災、その他の災害に備えて、当社グループの純資産が大幅に棄損しないように、保有資産の規模・重要性等を考慮した上で、適切な火災保険・地震保険・損害保険等に加入しております。しかしながら、当社グループは、大阪府全域、兵庫県南部及び和歌山県北部を主たる営業地盤として地域密着型経営を行っているため、近畿地方を中心とした南海トラフ地震等の災害が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、新型コロナウイルス感染症については、蔓延が長期化・深刻化する状況のなか、変異株の急激な感染拡大や医療体制のひっ迫などが懸念された一方で、ワクチンの接種率が急速に向上した結果、段階的に経済活動が再開され正常化に向けての期待感が高まりました。しかし、感染力が強いとされるオミクロン株による第6波となる感染再拡大、その後の感染者数の減少傾向の鈍化により、新型コロナウイルス感染症の終息時期の見通しが立たない状況となっております。
新型コロナウイルス感染症に対して当社グループは、リスク・コンプライアンス推進委員会を中心として、多人数が集まる社内外での会議やイベントの延期、テレワーク・時差出勤の推奨、オフィスや各事業所におけるアルコール消毒液の配備・手洗い・マスク着用の周知徹底などの行政機関の方針に沿った全社的な感染予防対策を実施しながら、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を最小限に止めるための対応に取り組んでおります。しかしながら、再度、感染拡大による営業活動の縮小による受注減及びサプライチェーンの不安定化による建築物件の設備等の納品遅れや、それに伴う工期の遅延等が長期化するようなことがあれば、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)原材料・資材価格等の高騰について
建築コストは仕入価格とともに売上原価の主要項目であり、国内外市場の動向等により原材料・資材・物流等の価格が上昇した場合は、上昇分に応じて販売価格に転嫁しております。しかしながら、想定を上回って建築コストが上昇し、販売価格へ転嫁することが難しい場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(6)契約不適合責任について
当社グループの不動産販売事業において、新築住宅は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)及び宅地建物取引業法の規定に基づいて、構造耐力上主要部分と雨水の浸入を防止する部分については引渡し後10年間、その他の部分については引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。中古住宅は、宅地建物取引業の規定に基づいて、引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。また、請負物件については、品確法の規定に基づいて、構造耐力上主要部分と雨水の浸入を防止する部分については引渡し後10年間、その他の部分については引渡し後2年間の契約不適合責任を負っております。
当社グループは、建設工事の工程ごとにチェックリストを用いて完了チェックを行い、品質管理に万全を期しております。しかしながら、当社グループの販売した物件や請負った物件に契約不適合があった場合には、契約不適合責任に基づく当該不適合部分の補修や損害賠償、契約の解除等により予定外の費用を負担せざるを得ないことがあり、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)人財の確保・育成について
当社グループは、長期的な安定経営を行うことを基本方針とし、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①優秀な人財の採用及び育成並びに働き甲斐のある環境の整備」に記載のとおり、優秀な人財の採用及び育成とストレスのない働きやすい就業環境を維持することが重要課題であると認識しております。近年、少子高齢化の進行と労働人口の減少、価値観や働き方の多様化など、労働市場を取り巻く環境は大きく変化しておりますが、今後も継続的に優秀な人財を採用し、社員が働きやすく長く活躍できるような環境を維持して参ります。しかしながら、当社グループの求める人財を十分に確保・育成することが出来なかった場合は、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、宅地建物取引業法、建設業法、建築士法等の法律上要求される宅地建物取引士、一級建築士等の国家資格をはじめとする各種資格や技能を有する人財の確保が必要であるため、資格取得支援を充実させることで各種資格の取得を促進しております。しかしながら、宅地建物取引業法、建設業法及び建築士法上の法定有資格者を適正に配置できない場合には免許や許可の取り消しの可能性もあり、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)外部の協力業者へ委託している業務について
当社グループは、建設工事における施工面の大部分を外部の協力業者へ委託しております。社員や取引先等の関係者を通じて協力業者を紹介していただくなど積極的な新規開拓に取り組むとともに、既存の協力業者に対しては、毎月開催される安全衛生協議会で当社グループの経営理念の共有及び安全・品質管理の徹底等を行うとともに、表彰制度や健康診断のご案内と実施、協力業者にとって有益な書籍などの情報発信を行うことによって良好な関係の維持・強化を図っております。しかしながら、当社グループの選定基準に合致する協力業者を十分に確保できなかった場合や、協力業者の経営困難や労働者不足に伴う工期の遅延や外注価格が上昇した場合等には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)個人情報の管理について
当社グループは、事業を通して取得したお客様の個人情報を多数取り扱っております。当社グループにおいては「個人情報の保護に関する法律」に基づき、プライバシーポリシーを策定し個人情報の取り扱いに関する当社グループの姿勢・考え方を公表するとともに、社内規程の整備、管理体制の構築を行い、システム対策を含め情報セキュリティについては想定しうる対策を講じております。しかしながら、これらの対策にもかかわらず高度なサイバー攻撃による不正アクセスやコンピューターウイルスによる被害、また、パソコンの盗難や業務上の過失等、何らかの原因により、重要な情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用力の低下や多額の損害賠償の請求等によって、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(10)気候変動リスクについて
当社グループは、気候変動は事業活動に影響を与える課題と認識しており、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略 (ESGに関する取り組み)及び(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ②気候変動リスクへの対応」に記載の通り、環境保全に配慮した事業活動及び社内活動を実施しております。TCFDへの対応については、2022年4月12日の取締役会において内部統制推進委員会の分科会としてTCFDワーキンググループ(以下、「本グループ」)を設置することを決議しました。
本グループにおいて、次の事項について協議して参ります。
① 気候変動が当社の事業活動に与える影響の把握及びTCFD提言に基づく情報開示の内容の策定
② サステナビリティ基本方針に基づいた取り組みの状況の確認及び取り組みの推進
今後、大規模な気候変動の発生により、経済環境や社会環境の変化が発生した場合、不動産需要の低下、地価等の下落、個人消費の低迷等が起こる可能性があり、また、環境問題に関する法令等の強化等が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)サイバーセキュリティについて
当社グループは、事業の円滑・効率的な運用等を目的として、ITシステムの利活用を推進しております。近年のデジタル技術の著しい発展の一方で、サイバー攻撃手法の高度化・巧妙化も進んでおり、当社グループでは、電子情報セキュリティ規程等を定め、サイバーセキュリティの体制整備を行うとともに、ネットワーク及び設備の監視を始めとする各種情報セキュリティ対策に加え、役職員向けに不審メールへの対応訓練を実施しております。しかしながら、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、重要なシステムの誤作動や停止、保有する機密情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜、事業活動の混乱や停滞、顧客・取引先への補償等が発生し、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の蔓延が長期化・深刻化する状況のなか、変異株の急激な感染拡大や医療体制のひっ迫などが懸念された一方で、ワクチンの接種率が急速に向上した結果、段階的に経済活動が再開され正常化に向けての期待感が高まりました。しかしながら、感染力が強いとされるオミクロン株による第6波となる感染再拡大、その後の感染者数の減少傾向の鈍化、更には第7波が懸念される状況となり、新型コロナウイルス感染症の収束時期の見通しが依然として困難となっております。2022年初頭より、世界経済の正常化に伴うインフレの進行と、米国の利上げ、急激な円安により、かねてよりのコロナ禍におけるサプライチェーンの混乱によって生じた資源価格の高騰に拍車がかかり、内需企業を中心に収益の悪化や国民生活への影響も懸念される状況となり、加えて、ロシアによるウクライナ侵攻と対ロシア経済制裁がもたらす影響は、先行きの混迷度を更に深める状況となっております。
不動産業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う雇用・所得環境が悪化する状況のなか、低金利の環境や政府による各種の住宅取得支援策が継続されていることを背景に、コロナ禍におけるテレワーク(在宅勤務)の普及による住まいへの関心の高まりとともに、新しい生活様式やワークスタイルが定着しつつあり、住居ニーズの変化が中古不動産や居住空間の広い一戸建て需要の喚起に繋がり、特に上半期までは住宅産業は全般的に好調に推移しました。一方で、コロナ禍における住宅特需は一巡し、下半期からの受注動向は平時並みに落ち着きはじめており、また新型コロナウイルス感染症の蔓延による受注活動への影響やウッドショックによる住宅建築資材の不足及び原材料価格の高騰、住宅設備の値上がりが新設住宅着工戸数や販売利益へ及ぼす影響は不透明な状況が継続しております。
このような状況のもと、当社グループは住宅・不動産に関するあらゆる住まいのワンストップサービス企業として、不動産事業の中での多角化によるバランス経営を図り、より収益性が高く効率性のよい賃貸及び管理事業の比率を高め、長期的な安定経営・つぶれない会社づくりを重点に事業を展開して参りました。
また、当社グループの対処すべき課題に対する当連結会計年度の主な取り組みは、次のとおりであります。
会社の成長を支える重要な経営基盤である優秀な人財の採用及び育成並びに働き甲斐のある環境の整備については、積極的なテレワークの活用による柔軟な働き方の推進やスニーカー通勤の奨励、昇降式スタンディングデスクの導入、毎日午後3時をストレッチの時間として設定するなど、健康保持増進に向けた様々な取り組みを実施して参りました。また、健康診断では法定の検査項目に加えて多くの項目を付加しており、パートタイマーを含め全役職員が100%受診することを目標に設定し、過去10年以上受診率100%を達成しております。新型コロナウイルス感染症への対応については、引き続き社員の安全確保を最優先とし、テレワークやWEB会議の一層の導入を進める等の感染防止・予防に向けた取り組みを実施し、社員が安心・安全に就業できる環境の整備に努め、社員と社員の家族の幸せ・健康を第一に考えた取り組みを行っております。
2022年2月、3年連続となるスポーツ庁による「スポーツエールカンパニー2022」認定、2022年3月には、6年連続6回目となる経済産業省による「健康経営優良法人2022大規模法人部門(ホワイト500)」に認定されるなど、当社の取り組みは公的にも高い評価を受けており、健康で働きやすい職場の整備に努めることで、優秀な人財の確保に向けた取り組みを進めております。
気候変動リスクへの対応については、脱炭素社会の実現に向けて、オフィスの照明のLED化、オフィスの最大需要電力を監視し電力コントロールを行うデマンド監視装置の設置、電子決裁システムや経費精算システムの導入による社内書類のペーパーレス化といった環境保全に配慮したオフィス環境の改善を実施しております。また、全営業車にハイブリッド車を導入しているほか、和歌山県日高郡日高川町の「フジ住宅の森」では当社及びフジ住宅グループ社員・家族のボランティアによる植林並びに育林活動により年間約4トンの二酸化炭素の削減に貢献しております。さらに、当社の新築戸建住宅につきましては、換気に伴う熱エネルギーの喪失を防ぐ「全熱交換システム」を採用するなど、省エネに配慮した住宅となっております。断熱材はその製造過程においてエネルギーの発生が少なく、天然系素材であり、リサイクル材を主原料とする「セルローズファイバー」を採用するなど、省エネ住宅の供給に努めており、環境保全・地域社会への影響に責任をもった事業活動を行っております。
収益基盤の維持・強化については、連結子会社である雄健建設グループとの初の協業となる鉄骨造のサービス付き高齢者向け賃貸住宅(大阪府吹田市)が2022年2月に竣工しました。さらに2棟目として、他社が社宅として使用していた物件を中古物件として仕入れ、リノベーションしたサービス付き高齢者向け賃貸住宅(兵庫県西宮市)の竣工も予定しており、従来から取り扱っておりました木造のサービス付き高齢者向け賃貸住宅に加え、より収益性の高い鉄骨造の取り扱いを推進しております。商品ラインアップの充実化により、協業による相乗効果を高め、需要が高く、安定収益源に繋がる土地有効活用事業、賃貸及び管理事業をさらに強化していく考えであります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進については、従来より、協力業者との受発注状況の自動化や可視化等を進めるクラウド型の購買管理システムの導入、効率的な受発注管理体制の構築等に取り組んでおります。また、RPA(Robotic Process Automation)によるシステム化を全社的に進めており、RPAツール「AutoMate」では70以上の業務を自動化し、年間約2,800時間を省力化しております。さらに、2021年11月には、株式会社紀陽銀行と国立大学法人和歌山大学との連携による「AIが創る最適な街並み」の実現に向けた共同研究として、AIやデータ分析の知見を有する国立大学法人和歌山大学との共同研究を開始しております。このような取り組みによって、労働環境の改善による業務の生産性の向上、サイバーセキュリティーや災害リスクへの対応強化、レガシーシステムの技術的負債の解消など、ICTを活用した業務の改革とお客様との新たな接点の創出や潜在的なニーズの発掘に繋げるべく開発を推進しております。
また、対処すべき課題としまして、SDGs及びESGへの取り組みがあげられます。
当社は地域密着型経営を標榜しており、特に「社会」との関わりにおいては、社会貢献活動や従業員の健康や働きやすさに配慮した諸施策等については、前段のとおりであります。また、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略」において、ESGに関する当社の取り組みの概要について記載しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(分譲住宅セグメント)
販売におきましては、感染力が強いとされる新型コロナウイルス感染症オミクロン株による第6波の感染再拡大による影響及びコロナ禍における住宅特需が一巡したことにより受注減となりました。また、前連結会計年度は兵庫県加古川市の大型分譲住宅用地を素地販売したこともあり、当連結会計年度の素地販売は大きく減少したものの、戸建自由設計住宅等及び分譲マンションについては、前連結会計年度に好調に推移した受注物件の引渡しにより増加しました。
当連結会計年度の戸建自由設計住宅等の引渡戸数が823戸(前期は714戸)、分譲マンションの引渡戸数が210戸(前期は138戸)と前連結会計年度に比べて大幅に増加したことに加えて、収益性の改善により、当セグメントの売上高は45,388百万円(前期比12.8%増)となり、セグメント利益は1,475百万円(前期比273.0%増)となりました。
(住宅流通セグメント)
中古住宅に対する需要は根強く、総じて販売は好調に推移しましたが、前連結会計年度に不採算在庫を中心に大幅な在庫調整を実施したことによる在庫の減少に伴い、当連結会計年度の売上高は大幅に減少しました。一方で、在庫回転率を意識した運営を行い仕入れの厳選を続けており、収益性は大きく改善しております。そのため、当連結会計年度の中古住宅の引渡戸数は1,039戸(前期は1,459戸)となり、前連結会計年度に比べ大幅に減少したものの収益性が改善されたことにより、当セグメントの売上高は23,928百万円(前期比27.0%減)となり、セグメント利益は1,280百万円(前期比153.3%増)となりました。
(土地有効活用セグメント)
前連結会計年度のコロナ禍における1度目の緊急事態宣言に伴う約3ヶ月の営業自粛により、建築請負の受注件数が減少し、当連結会計年度の売上高に影響を及ぼしました。一方で、個人投資家向け一棟売賃貸アパートについては、オーナー様からのリピート受注率が依然として高く、加えて投資家による注目度が従来以上に高まり、極めて順調に受注、引渡しが増加しております。そのため、当連結会計年度の賃貸住宅等建築請負の引渡件数が40件(前期は61件)となり、前連結会計年度を下回ったものの、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡棟数が130棟(前期は113棟)となり、前連結会計年度に比べ増加したことにより、当セグメントの売上高は26,775百万円(前期比2.6%増)となり、セグメント利益は2,365百万円(前期比2.4%増)となりました。
(賃貸及び管理セグメント)
主として土地有効活用事業にリンクした賃貸物件の引渡しに伴い管理物件の取扱い件数が増加したこと及び自社保有のサービス付き高齢者向け賃貸住宅の増加により、当セグメントの売上高は23,829百万円(前期比9.7%増)となり、セグメント利益は2,766百万円(前期比7.0%増)となりました。
(建設関連セグメント)
当連結会計年度における建設工事が工程どおりに順調に進捗したことに加えて、利益率が高まったことにより、当セグメントの売上高が2,454百万円(前期比3.2%増)となり、セグメント利益は112百万円(前期比388.6%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高118,698百万円(前期比2.3%減)を計上し、営業利益5,871百万円(前期比47.3%増)、経常利益5,627百万円(前期比58.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,869百万円(前期比64.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ527百万円の減少となり、当連結会計年度末には19,629百万円(前期比2.6%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は6,324百万円(前期比77.4%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上額5,827百万円(前期比63.4%増)、棚卸資産の減少額64百万円(前期比99.7%減)仕入債務の増加額2,470百万円(前期は918百万円の使用)及び法人税等の支払額2,076百万円(前期比4.2%増)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は6,333百万円(前期比23.5%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出7,745百万円(前期比40.7%増)及び有形固定資産の売却による収入1,289百万円(前期比148.0%増)等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は518百万円(前期比97.0%減)となりました。これは主に、長短借入金の純増加額1,596百万円(前期は18,603百万円の純減少)、社債の償還による支出850百万円(前期比61.9%増)及び配当金の支払額977百万円(前期比1.1%増)等によるものであります。
③ 販売及び契約の実績
a.販売実績
当連結会計年度及び前連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|||
数量 |
金額(千円) |
数量 |
金額(千円) |
||
分譲住宅 |
|
|
|
|
|
自由設計住宅等 |
714戸 |
28,734,628 |
823戸 |
33,647,584 |
|
分譲マンション |
138戸 |
4,816,426 |
210戸 |
7,988,518 |
|
土地販売 |
50,967㎡ |
6,690,819 |
25,976㎡ |
3,752,641 |
|
|
計 |
852戸 50,967㎡ |
40,241,875 |
1,033戸 25,976㎡ |
45,388,745 |
住宅流通 |
|
|
|
|
|
中古住宅(一戸建) |
215戸 |
5,554,323 |
117戸 |
2,826,992 |
|
中古住宅(マンション) |
1,244戸 |
27,233,574 |
922戸 |
21,079,158 |
|
建売住宅・その他 |
- |
1,911 |
- |
22,445 |
|
|
計 |
1,459戸 |
32,789,809 |
1,039戸 |
23,928,595 |
土地有効活用 |
|
|
|
|
|
賃貸住宅等建築請負 |
35件 |
3,460,822 |
27件 |
2,341,501 |
|
サービス付き高齢者向け賃貸住宅 |
26件 |
5,369,397 |
13件 |
3,322,276 |
|
個人投資家向け一棟売賃貸アパート |
113棟 |
15,571,444 |
130棟 |
18,127,435 |
|
|
計 |
61件 113棟 |
24,401,664 |
40件 130棟 |
23,791,213 |
賃貸及び管理 |
|
|
|
|
|
賃貸料収入 |
――― |
16,058,489 |
――― |
17,391,178 |
|
サービス付き高齢者向け賃貸住宅事業収入 |
――― |
4,796,090 |
――― |
5,552,684 |
|
管理手数料収入 |
――― |
874,173 |
――― |
885,278 |
|
|
計 |
――― |
21,728,753 |
――― |
23,829,141 |
建設関連 |
156件 |
2,379,416 |
115件 |
1,761,184 |
|
合計 |
2,311戸 50,967㎡ 217件 113棟 |
121,541,518 |
2,072戸 25,976㎡ 155件 130棟 |
118,698,880 |
(注)1.最近2連結会計年度に、販売実績が総販売実績の100分の10以上の相手先はありません。
2.住宅流通セグメントの「その他」は、仲介手数料収入等であります。
b.受注契約実績
当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメントごとの受注契約実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
|||||||
期中契約高 |
期末契約残高 |
期中契約高 |
期末契約残高 |
||||||
数量 |
金額(千円) |
数量 |
金額(千円) |
数量 |
金額(千円) |
数量 |
金額(千円) |
||
分譲住宅 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
自由設計住宅等 |
761戸 |
31,197,443 |
608戸 |
24,782,674 |
641戸 |
26,276,938 |
426戸 |
17,412,028 |
|
分譲マンション |
131戸 |
5,209,599 |
128戸 |
5,054,345 |
234戸 |
9,875,971 |
152戸 |
6,941,797 |
|
土地販売 |
57,035㎡ |
7,310,217 |
12,593㎡ |
1,652,269 |
16,127㎡ |
2,459,618 |
2,744㎡ |
359,246 |
|
|
計 |
892戸 57,035㎡ |
43,717,261 |
736戸 12,593㎡ |
31,489,289 |
875戸 16,127㎡ |
38,612,528 |
578戸 2,744㎡ |
24,713,072 |
住宅流通 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
中古住宅(一戸建) |
199戸 |
4,935,788 |
29戸 |
587,873 |
111戸 |
2,817,288 |
23戸 |
578,169 |
|
中古住宅(マンション) |
1,193戸 |
25,896,653 |
112戸 |
2,303,988 |
949戸 |
21,901,977 |
139戸 |
3,126,808 |
|
建売住宅・その他 |
― |
1,911 |
― |
- |
― |
22,445 |
― |
- |
|
|
計 |
1,392戸 |
30,834,353 |
141戸 |
2,891,861 |
1,060戸 |
24,741,710 |
162戸 |
3,704,977 |
土地有効活用 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
賃貸住宅等建築請負 |
20件 |
2,148,103 |
― |
3,215,905 |
35件 |
3,930,251 |
― |
4,804,655 |
|
サービス付き高齢者向け 賃貸住宅 |
7件 |
1,906,027 |
― |
3,277,624 |
17件 |
5,197,968 |
― |
5,153,315 |
|
個人投資家向け一棟売賃貸アパート |
147棟 |
20,485,444 |
89棟 |
12,491,000 |
128棟 |
18,085,435 |
87棟 |
12,449,000 |
|
|
計 |
27件 147棟 |
24,539,575 |
89棟 |
18,984,529 |
52件 128棟 |
27,213,655 |
87棟 |
22,406,971 |
建設関連 |
142件 |
1,109,382 |
― |
1,533,291 |
112件 |
1,083,742 |
― |
683,974 |
|
合計 |
2,284戸 57,035㎡ 169件 147棟 |
100,200,572 |
877戸 12,593㎡ 89棟 |
54,898,971 |
1,935戸 16,127㎡ 164件 128棟 |
91,651,636 |
740戸 2,744㎡ 87棟 |
51,508,994 |
(注) 期中契約高に記載された金額は、期中契約高と期中解約高を純額表示しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、現行の見積りを必要とする会計処理については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりの方法によっており、会計基準等の新設・更新や連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合は、基本的には会計処理基準に準拠する方法によることとしており、新たに見積りを必要とする場合は、蓋然性の高い見積り方法による方針としております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。
(棚卸資産)
当社グループの棚卸資産の評価については、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により評価損を計上しております。今後、市場状況の悪化による処分価額の低下が生じた場合、棚卸資産の評価損を計上する可能性があります。
(貸倒引当金)
当社グループは、営業未収入金等の回収事故に対処するため、貸倒懸念債権等特定の債権については、個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当金が必要となる可能性があります。
(有価証券の減損)
当社グループのその他有価証券については、期末日における時価が取得価額の50%以上下落した場合、または、2年間に渡り連続して取得価額の30%以上下落した場合に、減損処理を行う事としております。
将来、投資先の株価の著しい下落があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループの繰延税金資産については、中長期の損益見込みに基づいて将来の課税所得を検討し、回収可能性を考慮して計上しております。当連結会計年度末において計上されている繰延税金資産は十分回収できると判断しておりますが、予測し得なかった損失の発生が見込まれた場合、当該繰延税金資産が法人税等調整額として費用化される可能性があります。
② 財政状態の状況、分析及び検討
当社グループは、適切な流動性の維持、事業活動のための資金確保及び健全なバランスシートの維持を財務方針としております。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ5,918百万円増加して153,512百万円(前期比4.0%増)となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,698百万円増加して103,486百万円(前期比1.7%増)となり、固定資産は、前連結会計年度末に比べ4,219百万円増加して50,025百万円(前期比9.2%増)となりました。
流動資産増加の主な要因は、現金及び預金の減少額680百万円(前期比3.3%減)及び棚卸資産の増加額1,882百万円(前期比2.4%増)等を反映したものであります。
固定資産のうち有形固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,674百万円増加して44,541百万円(前期比9.0%増)となりました。この増加の主な要因は、中古住宅アセット事業に係る土地・建物の取得、自社保有サービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る土地・建物の取得、本社設備並びに分譲住宅事業及び住宅流通事業に係る販売センター設備等の取得による増加額7,738百万円等の増加要因並びに賃貸資産の売却、所有目的の変更及び減価償却実施による減少額4,093百万円等の減少要因を反映したものであります。無形固定資産は、前連結会計年度末に比べ74百万円減少の592百万円(前期比11.2%減)となりました。また、投資その他の資産は、前連結会計年度末に比べ620百万円増加の4,892百万円(前期比14.5%増)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3,061百万円増加して109,162百万円(前期比2.9%増)となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ3,586百万円増加して48,223百万円(前期比8.0%増)となり、固定負債は、前連結会計年度末に比べ525百万円減少して60,939百万円(前期比0.9%減)となりました。
流動負債増加の主な要因は、支払手形・工事未払金の増加額2,642百万円(前期比66.8%増)及び短期借入金の増加額1,085百万円(前期比4.0%増)等を反映したものであります。
固定負債減少の主な要因は、社債の減少額725百万円(前期比38.7%減)及び長期借入金の増加額511百万円(前期比0.9%増)を反映したものであります。
当連結会計年度末の純資産の合計は、前連結会計年度末に比べ2,857百万円増加して44,349百万円(前期比6.9%増)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益3,869百万円の計上による資金増加要因及び配当金の支払額977百万円の資金減少要因並びに自己株式の処分による増加額155百万円等を反映したものであります。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の28.11%から28.89%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の1,162.92円から1,232.36円となりました。
当連結会計年度末の財政状態を検討した結果、前連結会計年度と同様に厳選した仕入方針を継続し、在庫の回転率を上げ、収益性を高めたことにより、営業活動によるキャッシュ・フローで投資活動によるキャッシュ・フローを賄うことが出来ましたので、財務方針どおりの理想的な結果となりました。引き続き健全な財政状態を維持、強化できますよう努めて参ります。
③ 経営成績の分析・検討
当連結会計年度の連結損益計算書に重要な影響を与えた要因につき、以下にご説明します。
a.売上高
当連結会計年度の売上高は、当初公表予想を下回ることとなり、前連結会計年度に比べ2,842百万円減少して、118,698百万円(前期比2.3%減)を計上しました。分譲住宅セグメントにおいては、自由設計住宅及び分譲マンションの引渡戸数は前期比大幅増となり、特に分譲マンションの販売単価の上昇により大幅増収となりましたが、土地販売において、前連結会計年度に兵庫県加古川市の大規模素地販売があったことにより、相対的に当期減少となり、当セグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ12.8%増加の45,388百万円となりました。住宅流通セグメントにおいては、中古住宅に対する需要は根強く、総じて販売は好調に推移しましたが、仕入の厳選を進めた結果、在庫の減少が販売に影響し、引渡戸数が大幅に減少したことから、売上高は前連結会計年度に比べ27.0%減少し23,928百万円となりました。土地有効活用セグメントにおいては、賃貸住宅等建築請負及びサービス付き高齢者向け賃貸住宅の引渡件数は減少しましたが、個人投資家向け一棟売賃貸アパートの引渡棟数が堅調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度に比べ2.6%増加して26,775百万円となりました。賃貸及び管理セグメントにおいては、土地有効活用セグメントにおけるサービス付き高齢者向け賃貸住宅等の請負工事の引渡しにリンクした管理物件の増加及び中古住宅アセット事業が軌道に乗っていることにより、売上高は、前連結会計年度に比べ9.7%増加し23,829百万円となりました。また、前連結会計年度より新たに加わりました建設関連セグメントの売上高は、前連結会計年度に比べ3.2%増加し2,454百万円となりました。
b.営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ1,884百万円増加して、5,871百万円(前期比47.3%増)となりました。主な要因としては、分譲住宅セグメント及び住宅流通セグメントにおいて、前連結会計年度に販売価格を市場実勢に応じて柔軟に設定し直したことによる在庫評価損を計上したことにより、分譲住宅セグメントに係る営業利益が前連結会計年度に比べ273.0%増加の1,475百万円となったこと、また、住宅流通セグメントに係る営業利益が前連結会計年度に比べ153.3%増加の1,280百万円となったことによるものであります。
c.経常利益
当連結会計年度の営業外損益は、営業外収益が前連結会計年度に比べ20.9%増加し562百万円となり、営業外費用が主として分譲住宅セグメント及び土地有効活用セグメントの開発用土地購入並びに住宅流通セグメントの中古住宅取得に付随する借入金に係る支払利息の減少により、前連結会計年度に比べ9.8%減少し805百万円となりました。
以上の結果、営業利益に営業外収益・費用を加減算した経常利益は5,627百万円(前期比58.2%増)となり、売上高経常利益率は4.7%(前期は2.9%)となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の特別利益は、主として中古住宅アセット事業等に係る固定資産売却益の計上等により330百万円(前期は163百万円)となり、特別損失は、のれんの減損損失を計上することとなりましたが、固定資産売却損が減少したこと等により前連結会計年度に比べ16.7%減少し130百万円となりました。また、税金費用は、前連結会計年度に比べ62.3%増加し1,957百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ64.0%増益となり3,869百万円を計上しました。
(3)資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要のうち主なものは、不動産(棚卸資産、固定資産)の取得・開発をはじめとする事業への投資資金等であり、金融機関からの短期借入金、長期借入金を基本としております。その中で、中古住宅等の取得資金の効率的な調達を行うため、取引銀行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約並びにコミット型タームローン契約を締結しております。当連結会計年度において、中古住宅アセット事業仕入資金及び一棟売アパート用地仕入資金のためのコミットメントライン契約3件(契約締結額9,500百万円、期末借入額合計1,498百万円)、分譲住宅・中古住宅・一棟売アパート用地など資金使途が柔軟に設定された仕入資金のコミットメントライン型シンジケートローン契約1件(契約締結額1,200百万円)を金融機関と締結しました。現金及び預金は19,644百万円(前連結会計年度は20,325百万円)となりました。
(4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、株主重視の経営という観点から、企業価値の向上と継続的・安定的な成長を図り、企業の経営効率を判断する指標である自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標として位置付けており、中期利益計画(2020年3月期~2022年3月期)において、全期間でのROE10%以上の達成を目指し、さらに、財政状態の安全性及び健全性の確保のため、前連結会計年度より自己資本比率25%以上を目標としております。
当連結会計年度は、ROEにつきましては9.02%で未達成となりましたが、自己資本比率は28.89%で目標を達成しました。
過去5年間におけるROE及び自己資本比率の推移は、以下のとおりであります。
経営指標 |
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
ROE |
12.53% |
11.86% |
7.96% |
5.80% |
9.02% |
自己資本比率 |
25.67% |
25.57% |
24.55% |
28.11% |
28.89% |
中期利益計画(2020年3月期~2022年3月期)の最終年度である当連結会計年度のROEを含めた各経営指標の達成・進捗状況は以下のとおりであります。
経 営 指 標 |
2022年3月期 (計 画) |
2022年3月期 (実 績) |
2022年3月期(計画比) |
売上高 |
125,000百万円 |
118,698百万円 |
△6,301百万円( 5.0%減) |
経常利益 |
6,800百万円 |
5,627百万円 |
△1,172百万円(17.2%減) |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
4,600百万円 |
3,869百万円 |
△730百万円(15.9%減) |
ROE(自己資本当期純利益率) |
10%以上 |
9.02% |
0.98ポイント減 |
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。