文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「環境創造企業」をスローガンに掲げ、リサイクルを中心とした産業廃棄物中間処理を事業の中心として業容の拡大を図るとともに、「環境」を通して社会に貢献してまいりました。近年、世界では2006年に当時のアナン国連事務総長が提唱した「責任投資原則」においてESGが新たな投資判断基準として紹介され、その後2015年9月開催の国連サミットでSDGsが採択されると、これを契機に我が国においても多くの企業が経営としてESGに積極的に取り組むようになってまいりました。当社は、1995年に業界初の公開企業となり、産業廃棄物処理業界のリーダー的存在として、当社のみならず業界全体の社会的信頼性向上に努力してまいりました。今後もさらにESGを経営の最重要課題の一つとしてとらえ、真摯に対応していくことにより、各方面からの信頼を裏切ることなく、「環境」に貢献する企業グループとして、株主の皆様、取引先の皆様をはじめとして社会全体からの信頼と期待に応えられる経営を目指してまいります。
当社グループは、産業廃棄物のリサイクルを中心とした産業廃棄物中間処理業を主体としております。わが国の産業廃棄物処理市場は、中小・零細企業の乱立する業界から、各種環境規制の強化と環境に関する社会的関心の高まりにより、適正で、なおかつリサイクル処理を主体とした企業に処理委託が集約化されていく動きになりつつあります。
当社グループは、多様化・複雑化する産業廃棄物の適正処理・リサイクル化のニーズに対処するため、技術力の向上、新設備の導入による処理・リサイクル可能品目の拡大、並びに積極的な設備投資と営業展開により、特に関東地区、関西地区の2つの大規模な市場を中心とした地域でのシェア上昇を目指し、業容拡大を図ってまいります。また、新たに北海道地区・東北地区・広島地区において、新たな拠点の開発に注力してまいります。なお、北海道地区では、2024年9月に事業用地を取得、広島地区では、2024年3月に広島事業所を開設いたしました。
産業廃棄物中間処理のみにとどまらず、顧客の環境リスクに対するニーズに応えるため、特に子会社である株式会社ダイセキ環境ソリューションとの連携を密にし、土壌汚染調査・処理、環境分析、ゼロ・エミッション支援等の、企業の環境に対するトータル・プランナーとしての能力を高めることにより、グループとしての事業分野の拡大を図ってまいります。株式会社ダイセキMCRにおいては、鉛のリサイクル業という従来当社グループが持たなかった金属リサイクルを展開、さらには、大型タンク清掃事業の大手であるシステム機工株式会社では、大型タンク以外の清掃事業にも注力をしております。今後も「環境」「リサイクル」をキーワードにM&A戦略も積極的に展開してまいります。こうした施策により、当社グループは「環境創造企業グループ」としてさらなる飛躍を目指してまいります。
以上の施策により、中期計画として3期後の2028年2月期には、売上高810億円・営業利益180億円・親会社株主に帰属する当期純利益112億円を目指してまいります。
当社グループでは、株主資本コストを上回る連結ROE(自己資本利益率)を維持しつつ、中長期的には連結ROE15%以上を目標としております。なお、当連結会計年度末時点における連結ROEは11.2%となりました。
経営環境につきましては、政治情勢の変動による原油などのエネルギー価格や原材料価格の高騰、物価上昇の継続等による影響を受けましたが、円安によるインバウンド需要の増加や、雇用・所得環境の改善等により、社会経済活動に緩やかな回復の動きが見られ、また、社会の環境に対する意識の高まりや、世界的にカーボンニュートラルへの動きが本格化するなど、当社グループのリサイクル中心の処理方法やリサイクル燃料に対する社会的評価は一段と高まってまいりました。ウクライナ・ロシア情勢、中東情勢については、世界経済が不安定になる可能性があり、現時点でその影響を予測することは困難な状況ですが、当社の経営環境に大きな影響はないものと考えております。
当社グループは、今後の事業拡大のために、引続き人材確保ならびに教育を強化し、環境創造企業として「限られた資源を活かして使う『環境を通じ社会に貢献する環境創造企業』」というパーパスを重視した経営を行うことにより、地域社会から愛される企業を目指してまいりました。
当社グループは、その事業の推進そのものが「環境」「社会」への貢献となるものであると確信し、地域の皆様や顧客の皆様からの期待に応えるべく、法令遵守の徹底を図り、また積極的な技術開発や設備投資を実行し、社会から信頼される企業を目指し、事業の拡大を図ってまいる所存です。
環境関連事業を営む当社グループは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」をはじめとした環境関連法規制の遵守を企業の最重要課題と位置付け、法令遵守に対する一層の社内意識の向上と体制強化を図るため、継続的な施策を採り、社会的な信頼を得る努力を行ってまいります。
グループ連携をさらに強化し、情報の共有化を図り、複雑化・高度化する環境に対する社会的ニーズに対応できる体制を整えてまいります。
当社グループは、引続きエリア戦略として、大規模な市場を有し、かつ相対的に当社グループのシェアが低い関東地区・関西地区において業容拡大のための積極的な設備投資と営業力の注入を継続してまいります。また、新たに北海道地区・東北地区・広島地区において、新たな拠点の開発に注力してまいります。なお、北海道地区では、2024年9月に事業用地を取得、広島地区では、2024年3月に広島事業所を開設いたしました。
当社グループの産業廃棄物中間処理の基本はリサイクルであります。リサイクル処理による環境負荷の低減が社会貢献につながり、また当社グループの処理コストの低減にも役立っております。当社グループは、積極的な研究開発・設備投資によりリサイクル技術を向上させ、社会貢献と収益確保の両立を図ってまいります。
当社グループは、業容拡大に伴い、正確かつ迅速な情報把握により的確な経営の意思決定の迅速化を促進するため、また迅速な情報開示体制の確立のため、全社レベルでの情報システムの再構築に取り組んでおります。これに加え、業務改革も併せて実行することにより、企業運営上のコストの削減にも取り組んでまいります。また、重要情報の漏洩を防止するための情報セキュリティの強化にも取り組んでまいります。
当社グループは、金融安定理事会(FSB)が提言した気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures。以下、TCFDという。)に賛同し、2017年に開示した最終報告書「気候変動関連財務情報開示タスクフォースによる提言」に基づき、気候変動問題等に関するシナリオ分析を行っております。対策が不十分で温室効果ガス排出量が大きく2100年に産業革命以降の気温上昇が4.0℃となるシナリオと、厳しい気候変動政策が導入され、2100年の気温上昇を1.5℃以内に抑える排出量に制限したシナリオの2つを設定し、気候変動による物理的リスク・移行リスクについて財務的影響分析を行い、事業へのインパクトを評価し、対応を検討し、統合報告書等により開示いたします。今後も情報開示の充実を図るとともに、TCFD提言を当社グループの気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、より高いレベルのESG経営に取り組んでまいります。

当社グループは、代表取締役社長をトップとする環境マネジメントシステムによる環境経営の体制を構築しております。製造業などの“動脈”産業を陰で支える社会の“静脈”として産業廃棄物を極限までリサイクルし、資源を有効活用するとともに、廃棄物を処理する過程での環境に及ぼす影響の低減に努めております。当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関する取組
当社グループは、地球環境への負荷を低減しながら事業を成長させるため、気候変動に関わる基本方針や主要事項等を検討・審議する組織として、代表取締役社長を含む業務執行役員と、グループ会社の社長を構成員とした「サステナビリティ本部会」を設置しており、取締役会等がリスクと機会の実態を把握・監視できる体制を整備し、気候変動に関するガバナンスの強化をグループ全体で推進しております。
当社グループは、気候変動や人的資本への取り組みが、企業価値の持続的な向上とサステナブル経営に影響を与えると考えております。地球環境への負荷を低減しながら事業を成長させるため、代表取締役社長を含む業務執行役員とグループ会社の社長で構成されるサステナビリティ本部会にて、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のシナリオ分析を踏まえながら環境問題への対応方針の審議を行い、推進状況のモニタリングを実施しております。また、事業基盤の強化や企業価値の向上などの観点を考慮した上で、長期経営ビジョン「VISION2030」の実現やSDGsへの貢献、サーキュラーエコノミーの実装による社会のサステナビリティ向上等、2030年時点の社会像からのバックキャスティングにより取り組むべき5点のマテリアリティ(重点課題)を以下のとおり特定しております。
(限られた資源を活かして使う)
独自の環境技術や企業・市民との連携により、化石燃料や天然資源の使用量削減と、廃棄物を資源化して社会に再循環させるサーキュラーエコノミーを創出するとともに、再資源化により自社とお客様から排出されるCO2を削減するカーボン・ニュートラルを実現してまいります。
(ひとりひとりの個性が輝く職場づくり)
社員がそれぞれの個性を尊重し、お互いが支え合う、心身共に健康で働きやすい職場づくりを目指します。また社員が成長しながらプロとして社会やお客様からの信頼を獲得し、家族に誇れる仕事ができる会社を目指します。
(労災事故と環境事故の撲滅)
社員の労災事故や、環境に影響を与える漏洩事故等を事業リスクと考え、必要な経営資源を投入し、これらの事故撲滅に向けて取り組んでまいります。
(地域社会から愛される企業)
産業廃棄物を取り扱うビジネスは地域住民の皆様のご理解がなければ成立しません。私たちのビジネスへのご理解を深めていただきながら、環境を通じて地域に貢献する活動を進めていきます。
(強固なコンプライアンス・法令遵守の周知・徹底)
産業廃棄物処理業者として法令遵守は何よりも優先すべき重要事項です。全社員を対象とした教育を継続して行い、法令遵守の意識向上と、知識不足による法令違反の防止を図ります。
我が国が目指す2050年カーボン・ニュートラル社会の実現に向けて、経済社会システムを含めた変革が欠かせません。当社は、2023年5月にGXリーグに参画しました。また、当社はサーキュラーエコノミーの実現に必要な産官学の連携を促進するために経済産業省が2023年12月に設立したサーキュラーパートナーズに加入しました。
当社グループのサステナビリティ全般のリスク・機会について、代表取締役社長を長とするサステナビリティ本部会において年2回、環境保全、気候変動問題、人的資本に関係するリスク管理を含む重要事項について、その計画の内容を審議し、策定しております。その後、取締役会に、その計画の内容と進捗状況を報告しております。また、これらのサステナビリティに関する基本方針の策定、マテリアリティ(重点課題)の特定、マテリアリティごとの活動計画や目標設定ならびにその進捗管理、そしてそれらの情報開示に関する事項等の審議及び業務指示等を行い、持続可能な社会の実現に向けた企業活動を推進するための取り組みを進めています。
その他の当社グループ全体のリスクについては、代表取締役社長を長とするリスク管理委員会を組織し、当社及び子会社のリスクを網羅的・総括的に管理しております。重要度の高いリスクについては、対応策を決定し、リスクコントロールに努めております。新たに発生したリスクについては、すみやかに担当部門を定めております。
当社グループは環境への取組として、2027年度までに以下の環境関連目標を定めております。
1.SCOPE1※1+SCOPE2※2:2027年度までに34%削減(2021年度比)
2.SCOPE3※3 :2027年度までに20%削減(2021年度比)
3.再エネ電力への切替:2030年度までに100%の電力を再生可能エネルギー由来電力に切替
※1:Scope1:燃料の使用に伴う直接排出
※2:Scope2:外部から購入する電力や熱の使用に伴う間接排出
※3:Scope3:Scope1、2以外の間接排出
実績(2023年度)2024年度数値につきましては現在集計中です。
1.SCOPE1:29,366t-CO2、SCOPE2:11,322t-CO2
2.SCOPE3:176,169t-CO2
3.再生可能エネルギーの導入比率:6.2%※4
4.再エネ電力の導入比率:28.3%※5
※4:再生可能エネルギーの導入比率:事業活動で使用する全てのエネルギー(非再生可能エネルギー+再生可能エネルギー)に占める再生可能エネルギーの比率
※5:再エネ電力の導入比率:事業活動で使用する電力エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率
施策(2027年度まで)
●再エネ導入によるSCOPE2の削減
●営業車のハイブリッド車への切替
●業務用車のEV化または代替燃料切替の検討
●省エネタイプの処理施設の導入
考え方
ダイセキグループの主な事業は、製造業のお客様が排出する産業廃棄物の中間処理とリサイクルにより、環境保全と資源循環の価値を生みだすことです。私たちはカーボン・ニュートラルやサーキュラーエコノミーの重要性が叫ばれるようになる前から環境保全をビジネスとしてきました。
ダイセキグループは「限られた資源を活かして使う『環境を通じ社会に貢献する環境創造企業』」のパーパスに基づき、環境を通じ社会に貢献する活動を進めています。産業廃棄物の中間処理とリサイクルを中心とする事業活動により、有害な廃棄物の無害化、有用資源の循環、温室効果ガス排出量の削減に貢献しています。このような活動により日本の製造業を始めとする諸産業を支える役目を担っています。
(2)気候変動に関する取組
①環境マネジメントシステムによる環境経営の構築
当社グループでは、代表取締役社長をトップとする環境マネジメントシステムによる環境経営の体制を構築しており、代表取締役社長を含む業務執行役員と、グループ会社の社長を主な構成員としたサステナビリティ本部会にて、環境保全や気候変動問題に関係する重要事項の審議・決定を行っております。また、グループ共通の基本理念をもとに、各社で環境方針を制定しております。環境方針は全社員に周知し、環境創造企業として目標の実現に向かって取り組んでおり、ダイセキ、ダイセキ環境ソリューション、及びダイセキMCRはISO14001認証を取得しております。また北陸ダイセキ、グリーンアローズ中部、及びグリーンアローズ九州はエコアクション21認証を取得しています。当社グループは2023年度に廃掃法、大気汚染防止法、騒音規制法、悪臭防止法等の規定による不利益処分(改善命令、措置命令、事業停止命令等)を受けておりません。また、環境に関する罰金、訴訟等も発生しておりません。
②気候変動問題のシナリオ分析及びリスク管理
当社グループではサステナビリティ本部会を設置し、気候変動関連リスクも含めたリスクマネジメントを行っております。気候変動リスクについては影響度と発生頻度だけではリスクの把握が困難であるため、シナリオについて分析を行っております。
・想定する4.0℃シナリオ
(対策が不十分で温室効果ガス排出量が大きく、2100年に産業革命以降の気温上昇が4.0℃)
カーボン・ニュートラルに向けた政策が不透明であり、カーボンプライシング等の化石燃料使用に関する規制が強化されません。ある程度企業のカーボン・ニュートラルに向けた意識は高まるものの、企業が コスト増を許容してまで低炭素製品を選択することはあり ません。この場合エネルギーコストは変わりません。化石燃料の使用量が減らず、再生燃料はこれまでと同程度の需要が見込まれるため、ダイセキは再生燃料のリサイクル事業を拡大します。また中長期的に気象災害の激甚化が予想されますので、ダイセキは自社が被災するリスクに備えて防災対策を行います。
・想定する1.5℃シナリオ
(厳しい気候変動政策が導入され、2100年の気温上昇が1.5℃以内)
カーボンプライシング制度や炭素税等の温室効果ガス排出量規制が導入されることで、エネルギーコストが増大するため再生可能エネルギー由来電力(再エネ電力)や排出量 の少ない車両や処理施設を導入して対応します。また化石燃料の使用量が減少し、再生燃料の需要も減少するため、売上の減少が予想されます。一方で、排出量の少ない産廃処理サービスや原材料に対する需要が高まります。このようなパラダイムシフトを見越して、ダイセキはマテリアルリサイクルに重心を移します。マテリアルリサイクルは廃棄物を原料として元の製品に近い機能を持つ製品にリサイクルすることです。廃棄に伴う焼却や埋立がなく天然資源も消費しないため、カーボン・ニュートラルと資源循環の実現に貢献できます。
③SBT目標の達成に向けて
当社グループは以下の温室効果ガス削減目標を設定し、SBTiによる認定を2022年11月に取得しました。
④2050年温室効果ガス排出量ゼロに向けて
当社グループでは、2050年カーボン・ニュートラルに向けて、お客様の排出量削減を支援しながら、自社の排出量の削減にも取り組みます。
⑤ カーボン・ニュートラルに向けた取り組み
(CO2排出量の少ない設備の導入)
当社グループにおける大きなエネルギーを利用する事業活動は、廃液を処理する活性汚泥のブロワー、廃油処理時に加温するボイラー、鉛リサイクル時の廃鉛の熔解、タンクローリーやトラック等の大型車両の運転です。これらの設備を老朽切替と合わせて省エネタイプのものに切り替えていきます。2024年度は、前年度に引き続き、電力消費量の大きい活性汚泥施設について、省エネタイプのブロワーを導入し、約2割の電力使用量を削減いたしました。
⑥低炭素仕様の車両の導入
EVやFCVのように温室効果ガス排出量の少ない大型車両の導入を目指します。
⑦再生可能エネルギー由来電力への切替
事業活動に伴う温室効果ガス排出量を削減するため、ダイセキ、ダイセキ環境ソリューション、ダイセキMCRでは再エネ電力を導入しており、2023年度は、ダイセキグループの使用電力の28.3%を再エネ電力に切り替えました。(2024年度数値につきましては現在集計中です。)2027年度までに全グループ会社で再エネ電力を導入し、SCOPE2排出量をゼロとする計画です。当社グループは再エネ100宣言RE Actionにこの計画を登録して公表しております。
⑧CDPのAランク評価取得
当社グループはこのたび国際的な環境格付け機関であるCDPの2024年度気候変動部門において最高ランクのAリスト企業として2年連続で選定されました。スコアリングされた世界の22,400社の企業のなかでAリスト企業は約2%のみです。当社グループの気候変動に向けた取り組みが高く評価されました。
⑨GXリーグへの参画
2022年2月に経済産業省が公表したGXリーグ基本構想への賛同を2022年3月に表明し、2023年5月にGXリーグの活動に参画いたしました。このGXリーグは「2050年カーボン・ニュートラルのサステナブルな未来像を議論・創造する場」、「カーボン・ニュートラル時代の市場創造やルールメイキングを議論する場」、「カーボン・ニュートラルに向けて掲げた目標に向けて自主的な排出量取引を行う場」として立ち上げられたものです。ダイセキは日本を代表する静脈産業企業として、GXリーグを通じて他社や国との情報交換や、政策提言を行っております。
⑩温室効果ガス排出量削減効果の顧客へのアピール
自社サービスによる温室効果ガス排出量削減効果をまとめた資料を作成し顧客へのアピールを行っております。ダイセキの強みは排出量の少ない産業廃棄物のリサイクル処理サービスと、化石燃料の代替となり排出量を削減できる再生燃料です。カーボン・ニュートラル実現のため、全国の多くの製造業で排出量削減の需要が高まりこれらのサービスを利用する企業が増えてきております。
⑪循環経済協会への加入
2022年2月に一般社団法人循環経済協会に加入し、委員に就任しました。循環経済協会とは、限りある天然資源を有効活用しながら持続的に発展可能なサーキュラーエコノミー(循環経済社会)の実現に向けて、「循環経済型ビジネス」の開発・実装を推進するために設立された団体です。ダイセキは、今後サーキュラーエコノミーを事業活動に反映することが必要になると考えており、そのために循環経済協会において情報交換や今後のビジネスモデルの検討を進めております。
⑫サーキュラーパートナーズへの加入
2023年12月にサーキュラーパートナーズに加入しました。これは経済産業省が2023年3月に策定した「成長志向型の資源自立経済戦略」に基づき、サーキュラーエコノミーの実現に必要な産官学の連携を促進するために設立したパートナーシップです。当社グループは、サーキュラーパートナーズの中に設置された3つのワーキンググループである「ビジョン・ロードマップ」、「サーキュラーエコノミー情報流通プラットフォーム」、「地域循環モデル」の議論に参加し、サーキュラーエコノミーに貢献するビジネスの検討を進めております。
(3)人的資本に関する取り組み
当社グループでは、「限られた資源を活かして使う『環境を通じ社会に貢献する環境創造企業』」として、100年続く企業を目指すには、社員一人ひとりが環境問題に立ち向かい、それを会社が後押ししなければいけないと考えております。そのためには、社員が自律した人材として活躍し、会社がその人材価値を最大限引き出すことが重要だと考えております。また、2023年10月に参画いたしました「サーキュラーエコノミーに関する産官学のパートナーシップ」に関する施策に向けた人材育成にも取組んでまいります。
①ガバナンス
当社グループでは、人材戦略・育成はグループ全体の経営の重要項目という認識のもと、代表取締役社長を含む業務執行役員と、グループ会社の社長を構成員とした「サステナビリティ本部会」を設置しており、取締役会等がリスクと機会の実態を把握・監視できる体制を整備し、人材育成に向けた取組、職場環境整備、ダイバーシティ&インクルージョン施策、健康経営戦略に対する取組に関するガバナンスの強化をグループ全体で推進しております。
②戦略
当社グループでは、人的資本経営とESG経営は、相互に関連しており、当社グループが社会に貢献するためには不可欠であると考えております。そのためには人材戦略が重要となるため、様々な施策を行うことにより企業価値の向上と新たな価値の創出に向け、「家族に誇れる会社」「家族に誇れる仕事」をキーワードにサステナビリティを意識した人的資本経営及びESG経営に取り組んでおります。
(人材育成方針)
当社グループでは、会社の経営戦略の実現には、様々な人材の活躍が必要であると考えております。次世代経営人材の育成を中核と位置付け、新入社員から管理職までの階層別教育を充実していくとともに、社員のキャリア志向に応じた育成プログラムを充実することで、内発的動機付けを高めてまいります。また、人材教育を目的としたジョブローテーションを活用することで、社員の視野を広げ、仕事への好奇心と社内コミュニケーションを向上させていきます。
a.人材育成
当社グループの持続的成長の実現のためには、「経営視点を持った人材」、「海外視点を持った人材」、「生産技術開発視点を持った人材」、「新規開拓営業ができる人材」の育成が必要であると考えております。次世代経営人材の育成を中核と位置付け、様々な施策を行うことにより、社会の変化や多様な価値観に柔軟に対応できる人材の育成を行ってまいります。また、時代の働き方に合った人事制度の改革を検討し、社員一人一人の「働きがい」の向上を促していきます。
b.ダイバーシティ&インクルージョン
当社グループでは創造的な事業活動を拡大するため、「ダイバーシティ&インクルージョン」に取り組んでおります。社会課題を解決し、常にスピード感を持って新しい価値を創出し続けるには、多様な人材の知見を最大限に生かし、新しい発想やイノベーションを生み出す必要があります。社員の国籍・性別や属性を問わず、多様な価値観や考えを持った人材を互いに尊重し合い、個性や能力を存分に発揮し活躍できる環境づくりを推進しております。当社グループは人種、宗教、性別、性的指向、年齢、国籍、障がい等の多様性を認め、あらゆる人権を尊重し、ダイバーシティの推進に向け取り組んでまいります。
c.健康経営戦略
ダイセキは2021年度に健康経営戦略を策定しました。健康経営で解決したい課題を明確化したうえで、必要な投資と具体的な取り組みを推進いたします。
(社内環境整備方針)
当社グループでは、社員が家族に誇れる仕事をするためには、仕事と私生活の両面で充実していることが重要であると考えております。社員一人ひとりが働きがいを感じ、成長の意欲を高く持つためには、仕事を通じた成功体験の積み重ね、認め合う・褒め合う文化の醸成によるチームワークの発揮、限られた時間内で効率的に成果を出すことによる私生活の充実、その軸である社員とその家族の健康と安全が重要だと考えております。当社グループは、身近な職場環境から地球環境まで目を向け、成長しチャレンジし続けられる風土を構築し、生き生きと働き、家族に誇れる職場環境を提供します。
a.ダイバーシティ&インクルージョン施策
ⅰ.女性の社外取締役と女性社員の懇談会の開催
ⅱ.健康経営の推進のため、保健師を採用
ⅲ.ダイバーシティ推進に向けた女性管理職候補者の育成
b.健康経営施策
社員の健康が「会社の健全な成長を支える経営基盤である」との考え方を基本とし、経営トップが号令をかけて健康経営に取り組んでおります。社員の人間ドックの結果を受けて、適切な検査や治療を行うように社員に指導しております。生活習慣改善、メンタルヘルス対策、禁煙治療等の指導や支援も行っております。
ⅰ.定期健康診断、人間ドックの実施
当社グループは社員の健康の維持・増進に向け、全社員による定期健康診断受診を継続しております。また、対象となる社員に人間ドックを実施し、病気の早期発見・治療ができるよう努めております。
ⅱ.ストレスチェックの実施
当社グループでは社員のストレスチェックを実施しております。高ストレスの結果が出た社員には希望に応じて医師面談や相談のうえで適宜配置転換等を行っております。
ⅲ.保健師による健康指導
2023年度から保健師を採用し、社員の健康相談や職場巡回を行っています。
ⅳ.健康経営優良法人の認定
ダイセキとダイセキMCRは社員の心身の健康の維持増進と働きやすい職場づくりに取り組み、このたび3年連続で、「健康経営優良法人2024」に認定されました。今後は社員がより高いパフォーマンスを発揮できる職場環境を整備し、それぞれホワイト500、ブライト500の認定を目指します。
c.職場環境改善プロジェクト
当社グループでは「職場環境改善プロジェクト」を実施しています。これは社員一人ひとりが安全で健康に働くことができる職場をつくることを目的とした社内の改善活動です。プロジェクトの担当者が社員から職場環境改善に向けた意見を聞き、各部署と連携し改善を進めています。
d.人権保護
当社グループは社員の基本的人権を尊重し、人種、信条、性別、身体障がい等による差別や人権侵害行為の防止の徹底を図っております。その一環として定期的に、管理職全員を対象に外部講師によるハラスメント研修会を開催しております。加えて、新任管理者研修のなかでセクハラ・パワハラ防止のための講義を実施しております。また人事部員が定期的に社員面談を行い、人権侵害行為等がないか、モニタリングを行っております。倫理憲章及び行動規範において、人権保護に関する考え方や規範を定め、グループ社員に周知しております。
ⅰ.倫理憲章(人権の尊重と自由闊達な企業風土の醸成)
人権を尊重し、働きがいのある自由闊達な企業風土の醸成に努めます。
ⅱ.行動規範(基本的人権の尊重)
価値観、ものの考え方が異なる社員が、協力し、仕事を進めていくためには、互いの相違点を尊重しあうことが大切です。相違点を認めることで、相互理解が生まれ、進歩、発展が生まれます。ダイセキは、相互理解の前提となる基本的な人権を常に尊重します。
・社員の基本的人権を尊重し、人種、信条、性別、身体障がい等による差別は、いかなることがあっても行わない。
・個人のプライバシーを保護する。
・セクシャルハラスメント等人権侵害にあたる行為は行わない。
・お互いが敬愛、尊重しあう企業風土を築く。
e.ワークライフバランス実現に向けた支援
当社グループでは2024年度に25名の社員が育児休業を取得し、うち17名は男性社員でした。時差出勤やテレワークシステムを導入、そして幼い子どものいる社員を対象とした特別休暇制度を導入しております。また、子どもが小学校4年生の始期に達するまでは利用できる時短勤務制度を導入しております。
f.従業員持株会制度
当社グループは社員を人的資本と考え、社員が当社の経営に関心を持てるように、福利厚生制度の一環として、積立額の15%の持株会奨励金を付与し、社員の自社株取得を支援しております。
③リスク管理
人的資本に関するリスク管理は、サステナビリティ全般に関する取組に組み込まれております。詳細につきましては、「(1)サステナビリティ全般に関する取組 ③リスク管理」をご参照ください。
④指標と目標
(人材育成強化目標)
当社グループでは社員を人的資本ととらえて積極的に研修を実施しております。2021年度からは従来の課長研修、主任研修に加えて、評価者研修、eラーニングを始めました。
a.人材育成施策
ⅰ.教育体系の見直し
・人事制度改革と共に、教育体系の見直しを実施
ⅱ.資格取得支援の充実
・2023年度に「資格取得推奨」に関する手当制度の見直しを実施
・2023年度に資格試験料補助の明確化や難関資格取得時の一時金支給などの見直しを実施
ⅲ.「100年続く企業」及び「VISION2030」の成長を支える人材成長の支援及び人材の獲得
・現場を支える社員の育成
・技術開発を推進する社員の育成
・事業を支える社員の育成及び育成体系の構築
ⅳ.組織間の連携推進による企業風土改革
ⅴ.新たなチャレンジを後押しする制度構築
・「自ら多方面の知見を吸収し、行動する人材」を創出するためのしくみづくり
(ダイバーシティ&インクルージョン目標)
a.女性活躍推進:2026年度末までに管理職の女性比率10%
女性管理職比率:2026年度末までに10%以上(10%以上)
b.中途採用の促進:様々な経験・スキル・専門知識を有する方の採用を積極的に推進
c.様々な特性をもつ方の採用・活躍推進
様々な特性をもつ方の募集を通年行い、その特性に応じた就業配慮を行い、個々のスキルや特性を生かした活躍の場を提供していきます。
このたび当社グループでは健康経営の推進に向けて、具体的な数値目標を設定いたしました。
離職率:2%未満(1%未満)※( )はダイセキ単体の数値
有給休暇取得率:80%以上(80%以上)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、産業廃棄物の収集運搬・中間処理を主たる業としており、当該事業は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、「廃掃法」という。)及びその関係法令等により規制されております。基本法である「廃掃法」では、廃棄物の適正処理のための様々な規制を行っております。基本的に、廃棄物処理業は許可制であり、当社グループの主要業務である産業廃棄物処理事業は各都道府県知事又は政令市長の許可が必要とされ、また、産業廃棄物処理施設の新設・増設に関しても各都道府県知事又は政令市長の許可を必要とする旨規定されております。
当社グループは、「廃掃法」に基づいて、産業廃棄物の収集運搬・中間処理業を行うために必要な許可を取得しておりますが、万一、「廃掃法」に抵触し、当該営業の全部又は一部の停止命令や許可取消等の行政処分を受けた場合は、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループにおける土壌汚染処理事業においては、原位置での処理の場合と、土壌を掘削し、掘削除去した土壌を処理する場合があり、原位置での処理と土壌の掘削については、土木工事に該当するため、「建設業法」の規制を受けます。
当社グループは、土木工事業等について「特定建設業」の許可を取得しておりますが、万一、「建設業法」に抵触し、当該営業の全部又は一部の停止命令や許可取消等の行政処分を受けた場合は、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループにおける土壌汚染調査・処理事業においては、工場跡地等の不動産の売買時や同土地の再開発時等に汚染の有無を確認するための調査を行っておりますが、「土壌汚染対策法」で土壌汚染状況調査を義務付けられた区域の調査は、環境大臣による指定を受けた「指定調査機関」が調査を行うこととされております。
当社グループは、「指定調査機関」の指定を受けておりますが、万一、「土壌汚染対策法」に抵触し、「指定調査機関」の指定を取り消された場合は、「土壌汚染対策法」で土壌汚染状況調査及び第16条第1項の調査を義務付けられた区域の調査を受注することができなくなるため、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループにおける計量証明事業は、土壌中の有害物質の分析や廃棄物の成分分析を主に行っており、当該事業は「計量法」の規制を受けます。
当社グループは、「計量証明事業」の認定を受けておりますが、万一、「計量法」に抵触し「計量証明事業」の登録や認定の取消等の行政処分を受けた場合は、当社グループの事業展開に影響を与える可能性があります。
当社グループにおける土壌汚染調査・処理の需要は、企業の環境投資や「土壌汚染対策法」及び各地方自治体により施行される条例等の影響を受けます。
例えば、土壌汚染調査が必要な場合は、有害物質使用特定施設の使用が廃止された場合や、3,000㎡以上の土地の形質変更を届け出て都道府県知事等に汚染のおそれがあると判断された場合(土壌汚染対策法)等、法令や条例等により具体的に決められており、その際の調査方法、浄化対策等もそれぞれ法令や条例等で基準が設定されております。
今後、法令や条例等が新設又は改正される場合、その内容によっては、調査、処理の機会が増加し、調査方法、浄化対策等の基準もさらに厳しくなると考えられます。その結果、土壌汚染調査・処理の需要が拡大する可能性がありますが、法規制の強化に当社グループが対応できない場合は、拡大する需要を受注に結びつけられず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、気候変動に伴う自然災害や異常気象等によってもたらされる物理的な被害や気候関連の規制強化及び脱炭素化・低炭素化社会への移行関連コストが当社グループや取引先の業務状況等に影響を及ぼした場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、気候変動による事業リスクを重視し、TCFDの提言に賛同し、環境課題の解決に向けて取り組むとともに、統合報告書等により環境情報の適切な開示を行っていきます。しかしながら、年々深刻さを増す気候変動の影響は大きく、将来、環境規制への適応が極めて困難な事象や不測の事態が発生する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、円安によるインバウンド需要の増加や、雇用・所得環境の改善があったものの、原材料・エネルギー価格の高騰、物価上昇の継続等により、国内鉱工業生産は伸び悩み、先行きは依然として不透明な状況が続いております。
こうした経済情勢下、グループの主力事業である株式会社ダイセキの工場廃液を中心とした産業廃棄物の処理事業は、昨年度から引続いての新規工場取引獲得によるシェアアップが奏功し、また、リサイクル燃料の出荷も好調に推移いたしました。これらにより、株式会社ダイセキでは、売上・利益共に過去最高を更新いたしました。
株式会社ダイセキ環境ソリューションが手掛ける土壌汚染処理関連事業は、日銀の利上げ後にもかかわらず底堅い状況で推移しました。このような状況において、大規模工場地中埋設廃棄物・汚染土壌撤去工事案件が前年と比べ減少したものの、関東での大規模汚染土壌処理・工事案件など、翌期以降も継続が見込まれる高付加価値案件の受注獲得があったことにより、売上高と営業利益共に計画を上回り、順調に推移いたしました。また、土壌汚染調査・処理事業を中心にリサイクルや環境分野への展開も積極的に進めてまいりました。
株式会社ダイセキMCRが手掛ける鉛リサイクル事業は、円安による鉛相場の高止まりや、再生鉛の国内相場が引続き堅調に推移したこと等により、売上、利益共に計画を大きく上回りました。システム機工株式会社が手掛ける大型タンク等の洗浄事業は、引続きほぼ100%の稼働を続けながら継続的にシェア拡大を図り、売上・経常利益は過去最高を更新しました。
当社グループは、今後の事業拡大のために、引続き人材確保ならびに教育を強化し、環境創造企業として「限られた資源を活かして使う『環境を通じ社会に貢献する環境創造企業』」というパーパスを重視した経営を行うことにより、地域社会から愛される企業を目指してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高67,304百万円(前年同期比2.7%減)、営業利益14,318百万円(同3.3%減)、経常利益14,830百万円(同4.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9,307百万円(同1.6%減)となりました。
また、当社グループの総資産は、前連結会計年度末に比べ4,994百万円増加し113,635百万円となりました。これは主に投資有価証券が911百万円減少したものの、有形固定資産4,489百万円、現金及び預金1,254百万円が増加したこと等によります。負債は19,784百万円と前連結会計年度末に比べ578百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が443百万円減少したものの、長期借入金974百万円が増加したこと等によります。純資産は93,850百万円と前連結会計年度末に比べ4,415百万円増加いたしました。これは主に自己株式の取得等により2,353百万円減少したものの、利益獲得等により利益剰余金が5,928百万円、非支配株主持分が696百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当社グループは、環境関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得13,825百万円、投資活動による資金の支出7,280百万円、財務活動による資金の支出5,321百万円により、前連結会計年度末に比べ1,224百万円増加し、当連結会計年度末には30,122百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に法人税等の支払額5,065百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益14,676百万円、減価償却費3,345百万円、棚卸資産の減少額471百万円等により、総額では13,825百万円の収入(前年同期比0.2%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、主に定期預金の払戻による収入1,164百万円等があったものの、有形固定資産の取得による支出8,248百万円等により、総額では7,280百万円の支出(同11.7%減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、主に長期借入れによる収入2,100百万円があったものの、配当金の支払額3,339百万円、自己株式の取得による支出2,725百万円、長期借入金の返済による支出914百万円、短期借入金の純減額170百万円等により、総額では5,321百万円の支出(同28.4%増)となりました。
当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、環境関連事業の単一セグメントであります。
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっております。
2.処理実績等にて記載しております。
当連結会計年度における商品仕入実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える重要な見積りは次のとおりであります。
(のれん及び顧客関連資産の評価)
のれん及び顧客関連資産は、その効果の発現する期間を見積り、その期間に基づく定額法により償却しております。また、のれん及び顧客関連資産の評価にあたっては、事業計画に基づく将来キャッシュ・フローや割引率等の見積りや仮定を用いており、将来の事業計画や経営環境の変化等によりこれらの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
(財政状態の分析)
当社グループの総資産は、前連結会計年度末に比べ4,994百万円増加し113,635百万円となりました。これは主に投資有価証券が911百万円減少したものの、有形固定資産4,489百万円、現金及び預金1,254百万円が増加したこと等によります。負債は19,784百万円と前連結会計年度末に比べ578百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が443百万円減少したものの、長期借入金974百万円が増加したこと等によります。純資産は93,850百万円と前連結会計年度末に比べ4,415百万円増加いたしました。これは主に自己株式の取得等により2,353百万円減少したものの、利益獲得等により利益剰余金が5,928百万円、非支配株主持分が696百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(経営成績の分析)
当連結会計年度の売上高は67,304百万円(前連結会計年度は69,216百万円)となり、1,912百万円減少いたしました。また、売上原価は44,856百万円(前連結会計年度は46,537百万円)となり、1,680百万円減少いたしました。これは主に当社グループの主力事業である工場廃液を中心とした産業廃棄物の処理業は、昨年度から引続いての新規工場取引獲得によるシェアアップが奏功し、また、リサイクル燃料の出荷も好調に推移したものの、子会社である株式会社ダイセキ環境ソリューションが手掛ける土壌汚染処理関連事業において、大規模工場地中埋設廃棄物・汚染土壌撤去工事案件が前年と比べ減少したこと等によります。当社グループは、気候変動や人的資本への取り組みを強化し、また、その事業の推進が「環境」への貢献となるものであると確信し、環境創造企業として「限られた資源を活かして使う『環境を通じ社会に貢献する環境創造企業』」というパーパスを重視した経営を行うことにより、持続可能な環境・社会・経済に貢献してまいります。
販売費及び一般管理費は8,129百万円(前連結会計年度は7,864百万円)となり、264百万円増加いたしました。これは主に運賃及び人件費等が増加したためであります。
これらの結果、営業利益は14,318百万円(前年同期比3.3%減)、経常利益は14,830百万円(同4.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,307百万円(同1.6%減)、ROE(自己資本利益率)は11.2%(前連結会計年度は12.0%)となりました。
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、産業廃棄物中間処理、製品の製造に使用する原材料の購入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用、継続的な研究開発のための費用であります。また、長期性の資金需要は、工場等の設備の投資であります。
これらの運転資金や設備資金は、自己資金により調達することを基本としておりますが、必要に応じて金融機関等より調達していく考えであります。
⑤ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におきましては、連結ROEは11.2%(前連結会計年度は12.0%)となりました。引続き連結ROEの継続的な向上に向け、効率的な事業経営に取り組んでまいります。
該当事項はありません。
当社グループの主な研究開発活動は、産業廃棄物を有効利用するために、産業廃棄物から再利用可能な資源を回収し、それらをリサイクルする技術、及び複雑化する産業廃棄物を複合処理する技術等の研究開発であります。当連結会計年度における主な研究開発実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは環境関連事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
アンモニア含有廃棄物からのアンモニア回収についての研究
新しいリサイクル製品の開発についての研究
サーキュラーエコノミーを目指した未利用資源(金属・有機物・無機物)回収についての研究
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は