第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針

 当社グループは、「私たちは事業活動を通じて 人と自然を大切にし あらゆる人々に愛され 社会の発展に貢献します 先端技術をもって開発を推進し 世界の人々に喜ばれる価値を創造します」を経営理念としております。この理念に基づき、新製品開発を通じて常に技術革新を図り、様々な先端産業の発展に貢献し続けると共に、人と地球の豊かな未来のための価値を創造していく企業を目指し、今後も努力してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、最先端のニッチな成長市場への事業展開を推進し、事業ライフサイクルに左右されない持続的な成長を図ることを経営目標としております。これまでに培ってきた技術力を活かし、高付加価値で高品質な製品を生産し事業の拡大に繋げ、企業価値の向上・持続的な成長に取り組んでまいります。その観点から、収益性については売上高及び営業利益率の増大・向上を重要視しており、効率性についてはROE(自己資本当期純利益率)の向上等を目標とし、財務基盤の強化と企業価値の向上を目指してまいります。

 2025年1月期を初年度とする「中期成長戦略 2028」の目標として売上高239億円、営業利益率20.0%、自己資本利益率11.1%を達成することを目指しております。

 

(3)経営環境

 当社グループを取り巻く経営環境は、地政学的リスクが長期化していることに加え、中国経済の停滞、インフレ圧力が鈍化傾向にはあるものの、原材料等の価格が高止まりしている等、先行きが不透明な状況が継続しました。

 プラスチック成形事業については、当社の事業ドメインである半導体業界の需要回復が足元ではまだら模様の状況にありますが、中期的にはAI・IoT等の新技術の需要増加等により市場の拡大を見込んでおります。

 成形機事業については、関連する自動車業界、電機業界の設備投資の需要回復は足元では弱含みの状況にありますが、中期的にはEV市場の拡大等の影響により需要の拡大を見込んでおります。

 

(4)経営戦略及び対処すべき課題

 今後の経営環境としましては、インフレ圧力は落ち着きつつあるものの、原材料等の価格高止まり、中国経済の減速、地政学的問題の長期化の影響により、国内外の景気回復については依然として不透明な状況が継続すると思われます。

 プラスチック成形事業については、当社の主要販売先である半導体シリコンウエーハ業界は、在庫調整は底打ちしたものの、短期的には全体として緩やかな需要回復基調が継続するものと見込まれます。米中関係や地政学的リスクが半導体市場に与える影響も懸念されますが、さまざまな産業のデジタル化の進展、AIやIoT、5G等の新技術による需要増加等により、中期的には市場の拡大が見込まれます。シリコンウエーハ容器については、半導体の微細化の進展による顧客要求の高度化等の課題に対処し、更なる品質の改善に取り組んでまいります。また、増産体制の構築及び効率的な生産のための生産設備の導入や人材の確保・育成による生産体制の強化を継続的に取り組み、競争力を高めてまいります。半導体業界以外へのアプローチとしては、当社コア技術の他分野への応用展開による新分野開拓・新事業創出等に取り組み、引き続き、より強固な収益基盤の構築に努めてまいります。

 成形機事業については、関連する自動車業界、電機業界の設備投資の需要回復は足元では弱含みの状況にありますが、中期的にはEV市場の拡大等の影響により設備投資需要の増加が見込まれまる一方で、購入部材高止まりの長期化や、人材の確保が難航した場合に当事業の業績に影響を与える可能性があります。当事業においては、長年培ってきた竪型成形機の強みを活かした特殊機の拡販により、安定的な利益を確保し、グループ一丸となって技術的・営業的連携の強化にも引き続き取り組んでまいります。また、サービスの一層の充実を図ると同時に、過去顧客の掘り起こしや、新規顧客開拓活動を推進してまいります。

 「中期成長戦略 2028」で掲げたミッション「ずっと、必要とされ続ける」企業グループとして、自らを革新し、独自性ある開発に挑み続け、将来を見据えた成長戦略を確実に実行してまいります。また、サステナブル経営、より強固なガバナンス、株主還元強化の視点を踏まえ、企業価値の持続的な向上を目指してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

 サステナビリティに関する取組はリスクの減少のみならず収益機会にもつながり企業価値の向上に資するものとして認識しており、2024年2月に次のサステナビリティ基本方針を取締役会で決議しております。

 

<サステナビリティ基本方針>

 当社グループは、搬送容器、高機能樹脂製品および関連の商品・サービスの提供を通してお客さまに快適な暮らしをお届けし、また地域・社会への積極的な貢献により、地域・社会の皆さまと共に繁栄することを目指します。また、法令と社会のルールを順守し、公平・公正で高い透明性を持った効率的な事業活動のもと、お客さま、株主、取引先、従業員、地域社会などすべてのステークホルダーを尊重しながら、社会の一員として、持続可能な社会の発展を目指します。

 

 当社グループは重要課題の解決に向けた取組を着実に進捗させ、中長期的な成長力・持続可能性を向上させるとともに、事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献していくことを目的として、2024年度にサステナビリティ委員会を設置しました。

 

①ガバナンス

当社グループは、企業価値の長期的かつ安定的な成長の実現と株主・顧客・社会・従業員等のステークホルダーに対する社会的責任を果たし、持続可能な環境・社会への貢献を追求するため、サステナビリティ経営を実践いたします。サステナビリティ経営を実効的かつより確かなものとするため、諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置し、事業活動を推進すると同時に、リスク管理等の経営監視機能の強化を目指し、有効なコーポレート・ガバナンスの維持・強化に努めてまいります。

サステナビリティ委員会は、管理担当執行役員を委員長とし、取締役および従業員で構成され、サステナビリティに関連する活動方針の策定、施策の立案、推進を担い、経営会議へ答申を行います。経営会議はサステナビリティに関する重要事項について審議・決定するとともに、執行役員への指示、実行状況の評価・検証および、サステナビリティへの取組に関する進捗状況を監督し、サステナビリティ経営を推進してまいります。

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<2024年度のサステナビリティ委員会の開催実績と主な議題>

開催時期

主な議題

2024年6月

マテリアリティのKPI検討、委員会スケジュール策定

2024年7月

マテリアリティのKPI検討、サステナビリティ推進体制の検討

2024年8月

CO2排出量管理システムの検討・統合報告書作成に関する提案

2024年9月

CO2排出量管理システムの検討、CO2削減計画の検討

2024年10月

CO2削減計画の検討

2024年11月

マテリアリティのKPI検討

2024年12月

マテリアリティのKPI検討

 

②戦略

(1)サステナビリティに関する戦略

当社グループは、搬送容器、高機能樹脂製品および関連商品・サービスの提供を通してお客さまに快適な暮らしをお届けすると同時に、地域・社会への積極的な貢献によって地域の皆さまと共に繁栄することを目指しております。その実現にあたってはサステナビリティの視点が不可欠であり、近年は当社グループが担うべき社会的責任もより大きくなってきております。また、サステナビリティに関する取組は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながり、企業価値の向上に資するものと捉えております。以上を踏まえて、サステナビリティに関する取組にあたっては、当社グループの事業特性や事業環境などを踏まえ、次の7つのマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。

 

<当社グループの重要課題「マテリアリティ」>

 

テーマ

主な取組内容

E 環境

1.気候変動への対応

・CO2排出量の削減に向けた再エネ・省エネの推進

S 社会

1.持続可能な人材育成

・女性管理職比率の向上

・従業員持株会を活用した譲渡制限付き株式報酬制度の導入による株主目線での経営意識醸成

・外部研修等への参加を通じた従業員の能力開発の促進

2.安心安全な労働環境

・安全で健康的な職場環境の整備

・労働災害発生件数の抑制

・安否確認システムの導入

3.地域社会への貢献

・地域イベント・ボランティアへの参画

4.生物多様性の保全

・廃棄物の削減

・水使用量の削減

・重大環境事故「0件」の継続

G ガバナンス

1.コーポレートガバナンスの強化

・株主との対話の実施

・社外取締役活用によるガバナンスの強化

2.サステナビリティ経営の推進

・サステナビリティ委員会の設置

・女性取締役の登用

 

(2)人的資本に関する戦略

当社グループは、上記マテリアリティに記載のとおり、「持続可能な人材育成」や「安心安全な労働環境」等の人的資本に関する項目をマテリアリティとして特定し、経営基盤の強化の一つとして人的資本基盤を構築することを掲げております。

 

「持続可能な人材育成」

当社グループでは、独自のモノとサービスで最先端市場の課題を解決するため、人的資本の充実を図ります。そのためにも社会のニーズを先取りし、自発的に考え行動する自立型人材の育成を目指しており、従業員持株会を活用した譲渡制限付き株式報酬制度の導入と教育を実行し、株主目線での経営意識の醸成を進めております。また、当社グループは、人材の価値を最大限に引き出すための施策に取り組んでおり、キャリア形成のために資格取得の支援、階層別研修の整備を推進しております。また、従業員エンゲージメントの向上のために人事評価・賃金制度の見直しを進めており、女性や高齢者、子育て世代、外国人、障がい者などの人権を尊重し、あらゆる人たちが多様で柔軟に働きやすい職場環境整備を進めてまいります。

さらには、既存事業の拡大や新規事業への参入など、当社の事業戦略に合わせて、即戦力として活躍できる「経験者採用」を積極的に行い、内定者フォローなどによる優秀な人材の採用、意欲・能力のある社員の育成とキャリア形成支援の取組を推進しております。

 

「安心安全な労働環境」

当社グループでは、すべての従業員の人権と多様性を尊重し、一人ひとりが能力を発揮し、成長の喜びを感じられる労働環境を構築します。その一環として、DX推進による業務効率化、プロセスの見直しなどの継続的業務の改善に取り組んでおります。また、育児・介護が必要な社員向けの休職や短時間勤務制度にも取り組み、その時々の状況に合わせて無理なく活躍し続けられる環境整備を進めております。今後も、すべての従業員が安定して長く活躍でき、新たな働き方にもチャレンジしやすい環境を目指して改善を図ってまいります。

 

 

③リスク管理

当社グループは、サステナビリティ基本方針およびマテリアリティを定めており、サステナビリティ関連のリスクの特定に向け個別の検討を進めております。リスク管理については、リスク管理委員会を設置し、管理体制の整備を進めております。

リスク管理委員会では、代表取締役社長を統括責任者として、リスク管理体制の整備や社内啓発活動を行っております。万が一、リスク事案が発生した場合には、緊急事態の対応区分に応じて、緊急対策本部や現地対策本部を設置し、迅速かつ的確な対応を実施します。

詳細については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要⑤リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。

 

④指標と目標

当社グループは、事業活動及び製品・サービスが環境に与える影響について慎重に検討し、業務改善やエネルギー効率の向上を通じて環境負荷の低減に努めるとともに、技術開発、製造、販売活動を通じて地域社会への積極的な貢献を行っております。また、持続可能な人材育成や安心安全な労働環境の整備を通じて、経営基盤の強化を図りつつ、持続可能な社会の発展を目指して取り組んでおります。

現在、サステナビリティ及び人的資本に関する指標及び目標の設定を進めており、重要な指標については、当社グループの企業価値向上に寄与するものを選定するため、さらに精査を行っており、指標及び目標が確定した際には、開示することを予定しております。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクには該当しない事項についても、投資判断上あるいは当社の事業活動を理解していただく上で重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 なお、将来に関する部分の記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)業績の変動要因について

①景気変動について

 当社グループのプラスチック成形事業及び成形機事業の業績は、販売先の業績、設備投資動向及び資材等の市場価格や供給状況に大きく影響を受ける傾向があります。当社グループとしては、地道な原価低減活動や調達先の見直し等を継続するとともに、自動化・省人化などの生産技術を積極的に展開し、5GやIoT、AIといった最新技術を取り入れながら、市場の変化に柔軟かつ効率的に対応できる生産体制の構築を目指しています。

②シリコンウェーハの生産動向

 当社グループの主力製品であるシリコンウェーハ出荷容器は、シリコンウェーハメーカーからデバイスメーカーへシリコンウェーハを出荷する際に使用するための容器であり、その需要は、シリコンウェーハの生産動向に影響を受ける可能性があります。中でも、主力製品である300mmシリコンウェーハ出荷容器「FOSB」については、当社グループの売上高に対する比率が高いことから、特に300mmシリコンウェーハの生産量及び出荷量の変動が当社グループの売上高に影響を及ぼすと考えられます。また、デバイスメーカーにおけるリユース回数の増加が当社容器の需要に影響を与える可能性があります。
 当社グループでは、高性能樹脂製品のライン拡大等、コア技術を活用した他分野への展開にも努めております。

③原材料の市況変動等について

 当社グループ製品の多くは、石油化学製品を原材料としておりますが、原油価格及び原料の製造や輸送等にかかる費用の変動により原料価格が影響を受ける恐れがあるため、原油市場の動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、原材料のうち一部は特定の原料メーカーにおける特注グレードのものを使用しております。当該グレードの供給体制に問題が生じた場合は、代替グレードが確保できない、代替グレードへの変更に時間がかかる等の可能性があります。当社としては、代替グレード、他メーカー品の評価を進め、一定期間分の在庫を確保する等の対策を講じておりますが、同事象が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

④競合について

 現在のシリコンウェーハ市場は、半導体市場の成長に伴い引き続き拡大が予測されております。そして、当社グループの主力製品である300mmシリコンウェーハ出荷容器「FOSB」の市場においては、当社グループは一定のシェアを確保しておりますが、市場拡大に伴う新規参入の増加や、同業他社との競争の熾烈化が懸念されます。また、200mm以下のシリコンウェーハ出荷容器並びにシリコンウェーハ工程内容器については、市場が成熟化しており、競合状態も固定化しております。

 かかる環境下、当社グループとしては、シェアの確保・拡大のため、他社との差別化を図るための製品機能の向上、価格競争力維持を目的とした生産技術の開発及び生産プロセスの効率化を推進しております。しかし、半導体業界の技術進歩は日進月歩であり、競争が激化するマーケットの中で、当社グループの生産技術開発・生産プロセスの効率化の成否によっては、当社グループ製品の優位性の低下をもたらし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤特定販売先への依存度が高いことについて

 当社グループの主要製品であるシリコンウェーハ出荷容器は、シリコンウェーハメーカーに出荷されております。顧客各社とは、基本取引契約書を締結しておりますが、納入数量、価格等に関する長期納入契約等は締結しておりません。当社グループは、毎年継続的に製品を各社に販売しており、取引関係は取引開始以来安定しております。当社グループとしては、製品機能の向上を通じて、引き続き、各社との安定取引の継続を図ると共に、広く顧客層の拡大を進めてまいりますが、主要販売先の購買方針によって当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

⑥特定仕入先への依存度が高いことについて

 当社グループの主要仕入先である原料メーカーより、当社製品の原料の多くを仕入れております。同社とは基本取引契約書を締結しておりますが、長期納入契約は締結しておりません。同社との取引関係は取引開始以来安定しておりますが、主要仕入先の販売方針、供給体制に問題が生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)その他のリスクについて

①知的財産権等について

 当社グループの事業分野に関する知的財産権については、特許権、意匠権、商標権を取得しております。当該知的財産権に基づく具体的な製品化ノウハウについては当社グループ内に蓄積しているため、知的財産権が侵害されることにより当社グループの業績が重大な影響を受けることは想定されませんが、類似製品が市場に参入してきた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、第三者の特許等を侵害することによる紛争を避けるべく、平素から他社の知的財産権の監視に努めております。しかしながら当社グループの認識の範囲外で、第三者の知的財産権を侵害した場合、当該第三者から権利行使を受け、これが当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②品質不良等の発生によるリスク

 当社グループは、ISO9001品質マネジメントシステムを採用することで、品質保証と継続的改善体制の確立・運用を推進し、不良発生と流出の防止に努めておりますが、現実的にはクレーム発生の可能性を皆無にすることは困難です。また、製造物責任賠償に関しては、PL保険に加入済みですが、大規模なクレームや製造物責任につながる事態が発生した場合には、これらのクレームに対する補償、対策に伴うコストが発生し、当社グループの業績及びブランドの評価に影響を与える可能性があります。

③人材の確保について

 当社グループは、未だ成長の途上であり、高付加価値の製品開発を推進し、事業を拡大していくには人材の確保が不可欠です。かかる認識の下、当社グループでは、製造・技術に精通した人材、営業開拓力に優れた人材等を採用・育成していく方針ですが、適切な時期にこのような人材を採用ないしは育成できなかった場合には、当社グループの業績及び業務運営に支障が生じる可能性があります。
 また、わが国では少子高齢化の影響により、労働人口が減少しております。当社グループでは、生産の自動化による省人化や多様な雇用形態・採用手法による人員確保に努めておりますが、生産維持・拡大に必要な人員を確保できなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

④研究開発について

 当社グループでは、既存事業の充実や新規事業のための研究開発費、設備投資が先行して発生します。適切に検討・承認手続きを取りリスクの回避を進めておりますが、研究開発費や設備投資費用を投入したにもかかわらず、その事業が軌道に乗らなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

⑤自然災害について

 当社グループでは、一部の製品を専用工場で集中生産をしております。このため、地震等の自然災害が発生した場合、当該製品の生産に影響が出る可能性があります。当社グループでは、このような事態に対応するため、同じ生産ラインを複数の工場棟に独立配置する等の対策を講じておりますが、大規模な自然災害が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
 また、新たなウイルス等の感染症拡大により、当社グループの生産体制、物流体制、営業活動等の事業活動の継続に支障が生じた場合には、当社グループの業績に影響をおよぼす可能性があります。なお、当社グループでは、衛生管理や対策マニュアル等の徹底により、感染症拡大予防の対策を強化しております。

⑥設備投資について

 当社グループにおいては、新製品開発、生産能力拡大や製品の競争力維持のため、設備投資を行っております。設備投資にあたり、適切に検討・承認手続きを取りリスクの回避を進めておりますが、設備投資に対して製品需要が想定を大きく下回った場合、過剰な減価償却費負担、設備除却及び減損により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社を取り巻く経営環境は、地政学的リスクが長期化していることに加え、中国経済

の停滞、インフレ圧力が鈍化傾向にはあるものの、原材料等の価格が高止まりしている等、先行きが不透明な状

況が継続しました。

 このような経営環境の中、プラスチック成形事業は、ウエーハ在庫調整が底打ちしたものの、需要の回復についてはAI・IoT関連分野の回復が堅調である一方で、スマートフォン等の民生品の市況は軟調となり、全体としては緩やかな回復となりました。成形機事業は、自動車業界の需要の失速等の影響を受け、受注状況は軟調に推移したものの、部品の供給が安定したこともあり一定の工場稼働率を維持することができました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,991百万円増加し、28,522百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて1,288百万円増加し、6,026百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて702百万円増加し、22,496百万円となりました。

 

ロ 経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は14,003百万円(前期比5.6%増)、営業利益は1,434百万円(前期

比5.7%減)、経常利益は1,516百万円(前期比5.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,058百万円(前期比3.2%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(プラスチック成形事業)

 当連結会計年度の売上高は12,321百万円(前期比0.1%増)、営業利益は1,840百万円(前期比9.0%減)となりました。

 

(成形機事業)

 当連結会計年度の売上高は1,894百万円(前期比61.1%増)、営業利益は273百万円(前期比156.0%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ285百

万円減少し、6,474百万円となりました。


(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、3,336百万円(前年度は338百万円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,532百万円の計上、減価償却費1,296百万円の計上、仕入債務427百万円の増加等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、△3,239百万円(前年度は△4,598百万円)となりました。これは有形及び無形固定資産の取得による支出3,357百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、△386百万円(前年度は△478百万円)となりました。これは配当金の支払額360百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

プラスチック成形事業

12,070,108

△1.6

成形機事業

1,654,606

25.2

合計

13,724,715

1.0

 (注)金額は販売価格によっております。

(b)受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

プラスチック成形事業

11,931,854

11.8

2,761,248

△7.0

成形機事業

1,722,249

10.9

1,243,110

△10.3

合計

13,654,104

11.7

4,004,358

△8.0

 (注)金額は販売価格によっております。

(c)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

プラスチック成形事業

12,138,800

0.2

成形機事業

1,864,687

63.5

合計

14,003,488

5.6

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.主要な輸出先及び輸出販売高は、次のとおりであります。

なお、( )内は販売実績に対する輸出高の割合であります。

輸出先

前連結会計年度

(自 2023年2月1日

  至 2024年1月31日)

当連結会計年度

(自 2024年2月1日

  至 2025年1月31日)

 

 金額 (千円)

構成比 (%)

 金額 (千円)

構成比 (%)

 

欧州地域

345,962

5.2

257,462

3.9

 

アメリカ地域

431,166

6.5

299,435

4.6

 

アジア地域

5,862,711

88.3

6,022,872

91.5

 

合計

6,639,841

(     50.1%)

100.0

6,579,770

(     47.0%)

100.0

 

3.主要な販売先及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2023年2月1日

   至 2024年1月31日)

当連結会計年度

(自 2024年2月1日

   至 2025年1月31日)

 

 金額 (千円)

割合 (%)

 金額 (千円)

割合 (%)

 

丸紅プラックス株式会社

1,945,985

14.7

1,780,423

12.7

 

株式会社SUMCO

1,719,634

13.0

1,599,477

11.4

 

GLORYSEMI PTE.LTD.

1,567,728

11.2

 

(注)前連結会計年度のGLORYSEMI PTE.LTD.に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)財政状態の分析

(流動資産)

  当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べて355百万円減少し、12,929百万円となりました。これは主に、原材料及び貯蔵品の増加350百万円があったものの、現金及び預金の減少285百万円、その他流動資産の減少208百万円、仕掛品の減少163百万円があったこと等によるものであります。

(固定資産)

  当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べて2,346百万円増加し、15,592百万円となりました。これは主に、投資その他の資産の減少73百万円があったものの、有形固定資産の増加2,432百万円があったこと等によるものであります。

(流動負債)

  当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,308百万円増加し、5,492百万円となりました。これは主に、賞与引当金の減少21百万円があったものの、その他流動負債の増加658百万円、電子記録債務の増加345百万円、未払法人税等の増加249百万円があったこと等によるものであります。

(固定負債)

  当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べて20百万円減少し、533百万円となりました。これは主に、繰延税金負債の減少18百万円があったこと等によるものであります。

(純資産)

  当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて702百万円増加し、22,496百万円となりました。これは主に、配当金の支払360百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益1,058百万円の計上があったこと等によるものであります。

 

(b)経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は14,003百万円(前期比5.6%増)となりました。

 プラスチック成形事業においては、AI・IoT関連分野の回復が堅調である一方で、民生品の市況は軟調となり、全体としては緩やかな回復となりました。成形機事業においては、受注状況は軟調に推移したものの、部品の供給が安定したこともあり一定の工場稼働率を維持することができました。セグメント別の売上高につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費及び営業利益)

 設備投資に伴う減価償却費の増加及び水道光熱費の高騰により、売上原価については、前連結会計年度比829百万円増加の10,836百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、役員報酬の減額及び製品保証引当金の戻入があったものの、従業員の昇給に伴う人件費の増加により、前連結会計年度比4百万円増加の1,732百万円となりました。

 当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比5.7%減の1,434百万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度の11.5%に対して10.2%となりました。

 

(営業外収益(費用)及び経常利益)

 営業外収益は、補助金等収入、売電収入等を計上し、105百万円となりました。営業外費用は、減価償却費及びメガソーラーの修繕費の計上等により23百万円となりました。

 経常利益は、前連結会計年度比5.4%減の1,516百万円となり、売上高経常利益率は前連結会計年度の12.1%に対して10.8%となりました。

 

(特別利益(損失)及び税金等調整前当期純利益)

 特別利益は、関係会社清算益、固定資産売却益等を計上したことにより50百万円となりました。

 特別損失は、固定資産除却損及び減損損失を計上したことにより33百万円となりました。

 その結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比0.8%増の1,532百万円となりました。

 

(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税等は474百万円となりました。

 その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比3.2%増の1,058百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、プラスチック成形事業、成形機事業における原材料の仕入や製造経費、販売費および一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

 短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

 なお、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は46百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,474百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りによる判断が含まれておりますが、実際の結果は見積りと異なる可能性があります。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

(a) 固定資産の減損処理

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し減損損失として計上しております。
 減損損失の認識及び測定にあたり、その時点における合理的な情報等を基に将来キャッシュ・フローの見積りを行っておりますが、事業計画や経営環境の悪化等により、その見積りの前提とした条件や仮定に変動が生じ回収可能価額が減少した場合、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

(b) 繰延税金資産の回収可能性の評価

 繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは「売上高」「営業利益率」「自己資本利益率」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における連結売上高は14,003百万円(前連結会計年度比5.6%増)、営業利益率は10.2%(前連結会計年度比1.2ポイント減)、自己資本利益率は4.8%(前連結会計年度比0.0ポイント増)となりました。引き続きこれらの指標が改善されるように取り組んでまいります。

5【経営上の重要な契約等】

販売委託契約

契約会社名

相手先

契約名

契約内容

契約期間

ミライアル(株)

(当社)

丸紅プラックス株式会社

取引基本契約

当社製造・販売に係る各種ウェーハ容器及びその付属部品販売に関する契約

 自 2019年2月1日

 至 2020年1月31日

(以降1年毎に自動更新)

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、成形機・金型・成形品それぞれの製造ノウハウを有することで、高付加価値のプラスチック成形に必要なバリューシステムを構築しております。個々の基盤技術を有機的に組み合わせ、既成概念にとらわれることなく自由な発想でお客様に新しい価値をお届けすることが当社グループの研究開発の基本方針であり、使命であると考えております。
 研究開発の推進体制としては、最先端技術の進歩をお客様への価値にスピーディに変換し、いち早く高付加価値製品としてお届けするために、グループ内の連携を強化する体制を構築しております。また、研究開発の推進にあたっては、企業・大学などとのアライアンスを積極化し、より幅広い分野への挑戦と開発のスピードアップを図っております。
 最近の研究開発の取り組み状況は以下のとおりであります。

(1)プラスチック成形事業

<最先端ニーズを満たすシリコンウェーハ容器の開発>

 半導体製造プロセスの技術革新、特に線幅の細線化の流れにより、当社の主力製品でありますシリコンウェーハ容器に関する技術的課題は、近年ますます多様化かつ高度化してきております。このような状況の中、現行品の拡販推進に加え、顧客要望に応じた継続的な改善・改良に取り組んでおります。

 

<シリコンウェーハ工程内容器及びその他のユーザー仕様品の開発>

 300mmシリコンウェーハでの半導体製造が主流である中、工程内容器についても、ウェーハプロセスにおける性能・効率を確保するより高度な機能が要求されます。お客様の要望に応じ、300mmシリコンウェーハ工程内容器「FOUP」の改善・改良を推進するとともに、200mm以下の工程内カセット/ボックスについても、特定ユーザー向けの特殊仕様品の開発を継続しております。

 FOSB同様、新規顧客の獲得と同時に、多様な顧客要求に応え、新たな材料や多様な性能を満たした製品開発活動を行なっております。

 

<高機能プラスチック樹脂の選定・開発>

 高機能プラスチック樹脂の選定・開発に関しては、原料メーカーとの共同作業による新グレード開発、既存グレード改良作業を継続して推進し、問題点の解決や他社製品との差別化に取り組んでおります。また、材料開発を目的とした社内ラボにおける研究も実施しており、既存製品の品質向上はもちろんのこと、新製品・新分野への応用展開も図って参ります。

 当セグメントに係る研究開発費は、19,868千円であります。

 

(2)成形機事業

 株式会社山城精機製作所が、長年にわたって培ってきた多様な成形機に関するノウハウを活かし、顧客ニーズに合った独自の成形機を提案することで、競合との差別化を図って参ります。また、最先端成形技術の研究や、特殊な樹脂に対応した成形機の開発にも力を入れて参ります。

 当セグメントに係る研究開発費は、418千円であります。

 

以上を合わせて、当連結会計年度における研究開発費の総額は20,286千円となっております。