文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
当社グループは、企業理念を「Best Values」とし、先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを掲げています。また、企業のビジョンを「Excellent Creative Company」に定めております。
(2)経営環境
本書提出日現在におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しとインバウンド消費の拡大に支えられ、回復基調を維持しました。一方、為替相場の円安、原材料価格の高騰、エネルギー価格の高止まり等、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
再生可能エネルギー市場においては、国内では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言の下、2030年度に温室効果ガス排出を2013年度比46%削減するとの目標が設定されています。国際的には、2024年に開催された国連気候変動枠組条約(COP29)及び米国のインフレ抑制法(IRA)による気候変動対応等、脱炭素化社会の実現への取り組みは進展しており、再生可能エネルギー市場は、中長期的な成長が見込まれています。
米国ではインフレ抑制法等により、米国内での投資が活発化し、「Made in USA」の動きが進んでいましたが、今後の共和党政権下におけるエネルギー政策動向による当社グループ事業への影響を注視しています。
当社グループの主力事業である太陽光パネル製造事業においては、世界的に需要は旺盛であるものの、太陽光関連製品の供給過剰から市況が低迷しています。市況改善には時間を要するものと見込まれます。主要な販売先である米国市場では、アンチダンピング関税及び相殺関税の賦課に関する仮決定が米国政府より、ベトナム国のVSUNに下されています。なお、最終決定は2025年央までに下される見通しです。このような経営環境に対応し、インド及びOEMによる米国顧客向けの新たな販売戦略が功を奏し、一定の改善が出始めました。
(3)経営戦略
当社グループは「Abalance グループビジョン for 2030」の中で、長期で当社グループが目指す姿として「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を掲げています。2030年までに国内と海外を合わせて保有発電容量1GWを目指すほか、太陽光パネル製造事業では、製造目標をインゴット・ウエハ8GW、セル16GW、パネル12GWとして、長期での事業成長を目指しています。
上記の目標を達成するために、当社グループは下記の経営戦略に取り組みます。
① 太陽光パネル製造事業において、太陽光パネル市場の需要動向及び各国の政策(補助金政策、税制等)、地政学的リスク等を鑑み、最適なグローバル・サプライチェーン体制を構築します。戦略的に、ベトナム国での太陽光パネル、同原材料となるセルの生産体制の最適化を図り、インゴット・ウエハの内製化で収益性を高めます。また、地政学的リスクの対応として、今後はVSUN及びTOYO SOLARの製品の輸出販売先として、欧州及びインド国を始めとするアジア市場等販売先の多角化に取り組みます。加えて、TOYOはエチオピアに太陽光セルの新工場を建設し、今後TOYOが米国テキサス州に建設する太陽光パネルの新工場への製品供給を行います。そして、米国市場において太陽光パネル関連製品の安定した供給体制を構築し、同国内での太陽光パネル製造事業の拡大に取り組みます。
② グリーンエネルギー事業において、太陽光発電所の自社保有化推進によるストック型ビジネスの拡充、積極的な海外展開を進めています。また、将来的に懸念される太陽光パネルの廃棄問題に対応するため、当社グループのPV Repower株式会社を中心に、太陽光パネルのリユース事業等への展開を行い、事業成長と社会問題の解決に取り組みます。
③ バーディフュエルフェルズ合同会社では、脱酸素社会に向け、次世代のクリーンエネルギー貯蔵システムを担う水素エネルギーを活用した貯蔵システムの研究開発を計画的に推進しております。
④ 財務体質強化のため、自己資本比率の改善に取り組んでいます。今後も太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業の成長による利益剰余金の積み上げ等により自己資本の増強に努めます。
(4)重視する財務目標(KPI)
当社グループは、持続的にグループ企業価値を向上させるため、財務目標として、営業利益、自己資本利益率(ROE)及び自己資本比率を重視しております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長期的に「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指しています。本目標を達成するため、下記事項をアクション・プランと捉え、グループ全体の持続的成長に基づく企業価値の向上に努めてまいります。
① VSUN及びTOYO SOLARの収益力向上と販売先の多角化
ベトナム国に生産拠点を置くVSUNでは、太陽光パネルに加え、上流工程のインゴット・ウエハの生産体制構築ならびに同国内のTOYO SOLARでのセルの生産体制構築により、収益力の向上に取り組んでいます。一方、主要な販売先である米国での太陽光パネル関連製品に対する輸入関税免除措置終了は、当社グループの太陽光パネル製造の事業運営に影響を与えております。当社グループは、VSUN及びTOYO SOLARの製品販売先として、引き続き米国市場を重視しながらも、今後は欧州及びインド国を始めとするアジア市場等販売先の多角化に取り組みます。
② 米国ナスダックに上場したTOYOの米国内における太陽光パネル製造事業の展開
TOYO SOLARの親会社であるTOYOは2024年7月に米国ナスダックに上場しました。米国ではインフレ抑制法等により、国内での投資が活発化し、「Made in USA」の動きが進展しています。TOYOはエチオピアに太陽光セルの新工場を建設し、今後TOYOが米国テキサス州に建設する太陽光パネルの新工場への製品供給を行います。そして、米国市場において太陽光パネル関連製品の安定した供給体制を構築し、同国内での太陽光パネル製造事業の拡大に取り組みます。
③ 太陽光発電所の自社保有化による安定収益の確保
当社グループは太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売を行うストック型ビジネスを強化しています。売電収入に基づく安定収益、キャッシュ・フローの創出を目的として、財務戦略の多様化を図り、必要に応じ、再生可能エネルギー関連企業に対するM&Aの検討を継続的に行ってまいります。
④ 財務体質強化へ向けた自己資本比率の改善
当社グループは国内外で開発プロジェクト等に積極的に取り組んでいます。その結果として、自己資本利益率(ROE)は高水準を維持する一方で、借入金の増加を主因として自己資本比率が低下傾向にありました。2024年6月期は太陽光パネル製造事業の成長により、借入金の返済が進み、利益剰余金が積み上がりました。2025年6月期第2四半期は自己資本比率が17.0%までに回復しております。財務健全性の確保のため、今後も太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業の成長による利益剰余金の積み上げ等により自己資本の増強に努めます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)基本的な考え方
当社グループは、社会価値と経済価値を両立させるという観点から、再生可能エネルギーの供給に貢献するグループ企業の事業を推進することにより、地球温暖化の主な原因とされる温室効果ガスの排出削減に取り組み、その活動を通じて、中長期的なグループ企業価値の向上に努めております。そして、当社グループとして、持続可能な社会を実現するべく、企業理念とビジョンを以下の通り定めております。
<企業理念>Best Values
<ビジョン>Excellent Creative Company
当社は、お客様、株主、従業員、その他取引先等の全ての利害関係者の方々に対して当社グループとして果たすべき社会的責任を強く認識し、それを全うすることが経営上の最大の目標である企業価値の向上に繋がると考えております。この目標を達成する手段としてコーポレート・ガバナンスを捉え、経営の効率性とコンプライアンスの両面を総合的に判断し、透明性のある健全な企業統治の体制を構築してまいります。
当社グループでは監査等委員会設置会社として、監査等委員会が、取締役会の職務執行の組織的監査を担っており、取締役会の実効性について確保し得る状況にあります。また当社グループでは、併せて内部統制機能を強化し、利害関係者の方々からの信頼の向上と企業価値の向上に取り組んでまいります。
なお、当社グループのESG・SDGsへの取り組みについては、ホームページにおいて公開しております(URL:
当社グループは、Abalanceビジョンのもと、サステナビリティの推進に向けて、グループとして一体となった取り組みを推進しております。持続的にグループとしての企業価値を高めていくためには、社会情勢や経営環境の動向を見据えたうえで、今後のグループ成長の障壁となり得るリスクやサステナブルに関する重要課題(マテリアリティ)に焦点を当てた取り組みを一層強化することが重要と考えております。
当社グループは、2030年グループビジョンである「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指すため、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を“成長エンジン”として、グループの持続的成長、企業価値の最大化を図ってまいります。
当社グループは、政治・経済情勢の変化等様々な全社的リスクや個別事業運営に関するリスクの下、国内外で幅広く事業を展開しています。そして、当社グループの経営理念や経営戦略の達成を阻害する可能性のあるリスクの把握と適切な対処を行うことによりリスクの低減に取り組んでいます。
リスク管理については、全社的リスクマネジメント体制を構築し、リスク把握、評価・分析、優先順位付け、対応計画の立案、実施、実施状況の評価・改善プロセスの実施により、リスクを適切にコントロールした経営戦略の構築に取り組んでいます。その取り組み状況については、内部監査室から取締役会へリスクや進捗管理を含めた報告が行われており、組織全体として十分に監督が行われております。
気候変動リスクについては、国際的に確立された開示の枠組みである気候関連財務情報開示タスクフォース(TCDF)に則り、リスクと機会の評価、シナリオ分析、気候変動リスクシナリオ分析等を計画的に進め、投資判断に有用と考えられる連結ベースの段階的な開示を進めていく予定です。
当社グループは、前記のガバナンス、戦略、リスク管理の各構成要素や今後の世界情勢・再生可能エネルギー市場の動向等を注視しながら、マテリアリティについて、優先度の高い短期的な取り組みと中長期的な取り組みとを峻別した上で、目標設定を行い、今後段階的な開示を進めてまいります。
当社グループの太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業は、世界的な潮流である脱炭素社会の実現へ向けた再生可能エネルギーの拡大に直結した事業です。
ベトナム国の子会社VSUNは太陽光パネルの製造販売を行っていますが、サプライチェーンを主体とするサステナビリティ評価の世界的な評価機関であるEcoVadis(エコバディス、本社:フランス国)の評価において、前年度に続き、2023年度もBronze Medalを受賞しました。EcoVadisは、グローバル・サプライチェーンのサステナビリティ評価を環境、労働と人権、倫理、及び持続可能な資材調達の4分野で包括的な評価を行う世界的な第三者機関です。
また、当社グループは日本国内において、SDGsに関する目標設定のサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)により、その達成状況に応じて、金利が変動するサステナビリティ・リンク型のローンを実行しております。当社グループは、グリーンエネルギー事業において太陽光発電所の保有を推進しておりますが、本融資にあたり、再生可能エネルギー発電設備の当社グループ保有の国内発電容量を評価指標(KPI)として、目標設定を行っております。
加えて、当社グループの子会社であるPV Repower株式会社は、社会的課題にもなっている太陽光パネルの廃棄問題に対して、資源の有効活用のため、リサイクル・リユース事業に着手しております。
(6)人的資本及び多様性について
① 基本方針
当社グループの人的資本及び多様性に関する基本的な考え方は、年齢・性別・国籍等、あらゆる属性にとらわれず、人格、見識、経営能力ともに優れた人材を経営幹部に積極的に登用することです。当社グループは、女性の管理職への登用を推進しているほか、国際性を含む多様性を重視しております。今後も性別、人種、国籍等多様性から生じる多角的な視点が、グローバルな事業の拡大にも資するとの認識に立ち、多様な人材の経営幹部への登用を積極的に推進してまいります。
② 取締役の登用
当社は女性の社外取締役を1名選任しているほか、子会社のEVN株式会社でも1名女性の外国人取締役を選任しており、国際性を含めた多様性を確保しております。
③ 人材育成と安心して働ける職場づくり
当社グループは、中長期的に企業の成長・発展を担っていく社員を継続的に育成するために、幹部社員を対象としたマネジメント研修の実施及び若手社員を対象とした職場ローテーション等の施策を実施しています。また、人事評価制度の刷新やハラスメント研修・メンタルヘルス研修、更に資格取得支援や余暇支援等も実施しており、優秀な人材がより安心して快適に活躍できる職場環境を整備してまいります。
なお、当社グループでは、人的資本・多様性に関する指標について、目標を設定しておりません。各国ごとに異なる社会的な背景や各社毎の現状を踏まえ、当社グループとしてどのような指標を用いて目標を設定するかについて、現在データ収集並びに分析を進めております。その結果により開示項目を検討し、今後目標を設定してまいります。
本書に記載した事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性がある主要なリスクは、以下のとおりです。
また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、リスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針です。当社の株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載も併せて慎重に検討した上で行う必要があります。
以下の記載のうち、将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が独自に判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。また、下記の記載は、当社株式への投資に関するリスク全てを網羅するものではない点につきましてもご留意ください。
(1) 経済状況について
当社グループの事業展開において、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3 事業等のリスク」に記載の内容をご参照ください。
当社グループでは、以下の企業理念を掲げ、先進的な商品・業務・サービスの提供を中心に、価値の創造を通じて社会生活の改善と向上を図り、社会の持続可能な発展に貢献し続けることを掲げています。
<企業理念>Best Values
2030年にグループが目指す姿として、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」となることを目標に据え、保有発電容量1GW、年間製造目標8GWを成長戦略の柱としております。当社は、グループの持続的成長と社会価値を両立しながら、企業価値の最大化を図ってまいります。
<企業価値向上への強化施策について>
・VSUNの太陽光パネル及びTOYO SOLARの太陽光セル収益力向上と販売先の多角化
・セル製造のほか、インゴット、ウエハ製造の上流工程を視野に入れたサプライチェーンの強化
・米国ナスダックに上場したTOYOの米国及びエチオピアにおける太陽光パネル製造事業の展開
・グリーンエネルギー事業における太陽光発電所の自社保有化と安定収益基監の構築
・自己資本比率の計画的な向上(財務健全化)
・戦略的なパートナーシップ、有力企業・総合商社等との提携推進
当社グループは、2025年2月21日の臨時株主総会において「定款一部変更の件」が承認されたことにより、決算期の変更に伴い会計期間が9か月となることから、2025年6月期通期業績予想を、2025年3月期業績予想として修正いたしました。主要セグメントである太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業を中心に予算編成を行った結果、2025年3月期の連結業績予想(2024年7月1日~2025年3月31日)については、売上高60,000百万円、営業利益5,100百万円、経常利益5,100百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円としております。
連結業績予想に係る前提条件は、外部環境の動向を踏まえ、以下のように、現状において合理的に予測可能な条件等に基づいて設定しております。
(a) 太陽光パネル製造事業
太陽光発電市場は、世界的な地球温暖化による気候変動対策として、今後も世界各国の再生可能エネルギーの導入は加速し、中長期的な成長が見込まれる市場です。しかしながら、当社グループの主力事業であるベトナム国を中心とした太陽光パネル製造事業においては、世界的な太陽光関連製品の需給緩和により市況が低迷しています。また、米国市場においては、東南アジア4カ国の太陽光パネル関連製品に対する免税措置が終了し、アンチダンピング関税及び相殺関税についても米国政府の検討中であることから、同国への製品輸出が厳しい状況になっています。加えて、米国政府による国内産業の保護・育成を目的としたインフレ抑制法の制定により、国内での生産能力が拡大していることから、米国への輸出販売が低迷しています。当社グループは、VSUN及びTOYO SOLARからの製品販売先として、引き続き米国市場を重視しつつも、欧州及びインドを始めとするアジア市場等販売先の多角化に取り組みます。また、TOYO SOLARの親会社であるTOYOは2024年7月に米国ナスダックに上場いたしました。TOYOはエチオピアに太陽光セルの新工場を建設し、今後TOYOが米国テキサス州に建設する太陽光パネルの新工場への製品供給を行います。そして、米国内での太陽光パネル関連製品の地産地消体制を確立し、当社グループの持続的成長を目指します。
(b) グリーンエネルギー事業
当社グループでは、太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売を行うストック型ビジネスを強化しています。発電所開発・建設のほか、M&Aも積極的に活用し、事業基盤の拡充に取り組みます。また、太陽光発電関連サービスを提供するフロー型ビジネスに関し、小売量販店と組んで、量販店の顧客宛に太陽光発電設備ならびに蓄電設備を販売するビジネスをスタートしております。そして、積極的な海外展開に取り組むほか、将来的に太陽光パネルの廃棄問題が懸念される状況に対し、社会問題解決への取組みという観点からも、PV Repower株式会社を中心に太陽光パネルのリユース、リサイクル事業への取り組みも積極的に展開してまいります。
当社グループは、引き続き成長が見込まれる太陽光パネルのグローバル市場において、市況及び政策等の市場環境変化に機動的に対応することにより、太陽光パネル製造事業の競争力あるサプライチェーン構築及び販売エリアの多角化等を推進し、事業成長を図ってまいります。新たな数値目標につきましては、合理的に算定可能となった段階で、速やかに開示させて頂きます。
(1) 経営成績等の概況
第25期連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
最近連結会計年度における世界経済は、米国を中心に緩やかな景気回復がみられたものの、中国経済の減速や世界的なエネルギー・資源価格の高止まり、更にはロシアによるウクライナ侵攻に加え、中東情勢を含む地政学的リスク等、引き続き不透明な状況が続いています。
再生可能エネルギー市場においては、国内では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言の下、2030年度に温室効果ガス排出を2013年度比46%削減する目標が設定されています。国際的には、2023年に開催された国連気候変動枠組条約(COP28)及び米国のインフレ抑制法(IRA)による気候変動対応等、脱炭素化社会の実現への取り組みは一層進展し、再生可能エネルギー市場は、中長期的な成長が見込まれています。
しかしながら、当社グループの主力事業である海外の太陽光パネル製造事業において、現在全世界的な太陽光パネルの生産過剰により市況が低迷しています。また、米国市場において、東南アジア4カ国の太陽光パネル関連製品に対する免税措置が終了(2024年6月)となりました。更にアンチダンピング関税及び相殺関税についても米国政府の検討が続いていることから、同国への製品輸出が厳しい状況になっています。加えて、米国政府による産業の保護・育成を目的としたインフレ抑制法の制定により、米国製太陽光パネルメーカーへの補助金等の支援政策もあり、今後米国への輸出販売の低迷が見込まれる状況です。
このような経営環境の下、当社グループは、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」(2030年グループが目指す姿)の実現に向けて、太陽光パネル製造事業とグリーンエネルギー事業を成長ドライバーとして、中長期的な企業価値の向上に取り組んでまいりました。
以上の結果、最近連結会計年度の売上高は208,972百万円(前期比2.9%減)、営業利益は23,349百万円(前期比82.4%増)、経常利益は24,894百万円(前期比77.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は9,530百万円(前期比91.9%増)となりました。
太陽光パネル製造事業は、ベトナム国のVSUN及びTOYO SOLARが連携し、太陽光パネルの上流工程となるセル及びウエハ・インゴットの内製化等グローバル・サプライチェーンの強化に取り組んでいます。
グリーンエネルギー事業は、太陽光発電所及び関連設備にかかる物品販売(フロー型ビジネス)を継続するとともに、太陽光発電所の自社保有化(ストック型ビジネス)を展開することにより、事業基盤の強化に取り組んでいます。
セグメント毎の経営成績については、次の通りです。
1.太陽光パネル製造事業
売上高199,874百万円(前期比3.4%減)、セグメント利益23,876百万円(前期比88.0%増)となりました。売上高は、太陽光パネルのグローバルな需給軟化を受け、販売価格の下落が顕著になったほか、主要な販売先である米国での太陽光パネル関連製品に対する輸入関税免除措置の終了(2024年6月)もあり、受注減少から減収となりました。一方、セグメント利益は、VSUNがベトナム国のバクニン省にて、2022年10月から稼働を開始したパネル第4工場の通年での稼働、材料価格の下落及びTOYO SOLARが手掛けるセル内製化の効果で原価改善が進み、増益となりました。
VSUNは、日本の生産・品質管理体制を採用し、米国・欧州向けの産業用及び家庭用太陽光パネル製造販売により事業基盤を拡大してまいりました。また、セル製造の上流工程であるインゴット・ウエハ製造を開始(2024年4月、4GW/年)し、主要材料の内製化による原価改善に取り組んでいます。TOYO SOLARは、2023年10月より高性能なN型TOPConセルの自社製造(第1フェーズ、4GW/年)を開始しています。加えて、当社グループはOCI社(韓国)との契約に基づき、ポリシリコンの安定調達も含め、競争力のあるサプライチェーンの構築に取り組んでいます。
再生可能エネルギー市場は、中長期で大きく成長が見込まれる一方、各国の政策等により、市場環境が大きく変化する傾向にあります。このため、当社グループは、今後業界や各国の政策動向を注視し、太陽光パネル製造事業における最適な販売戦略及び機動的な生産体制を構築し、更なる事業の成長に取り組んでまいります。
2.グリーンエネルギー事業
太陽光発電所及び関連設備にかかる物品販売3,904百万円、売電及びO&M収入等4,423百万円を計上し、売上高8,341百万円(前期比4.2%増)、セグメント利益532百万円(前期比50.5%減)となりました。
当社グループでは、WWB株式会社、株式会社バローズを主体に、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS(パワーコンディショナ)、産業用及び住宅用蓄電池等の太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型ビジネスとして行いつつ、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型ビジネスを推進しています。
フロー型ビジネスにおいては、小売量販店をチャネルとする販売体制を構築し、販売数量の増加を目指します。ストック型ビジネスにおいては、自社の開発能力を活用した優良発電プロジェクトの拡充を図ります。また、北海道地区において、電力需要の高い時間帯や停電時等に備えて、安定的な電力供給を可能とする系統蓄電池事業に参入しました。
また、海外では、ベトナムの子会社WWB Thang Long Corporation(以下、「WWBTLC」という。)にて締結したPPA契約の許認可取得及び太陽光発電所の施工を開始しております。WWBTLCでは日系企業を中心に新規商談も進めており、事業基盤の拡充を進めております。
3.IT事業
売上高590百万円(前期比12.9%減)、セグメント利益40百万円(前期比14.5%減)となりました。当社グループでは、株式会社デジサインを主体に、様々な業界のビジネス課題へのコンサルティング・DX支援から、電子認証・セキュリティ技術等を活かした業務系システム開発から保守まで、幅広いニーズに対応する技術ソリューション提供を推進しております。また、ナレッジ共有から業務プロセス再構築を通じて生産性向上・組織力強化を実現するAbit株式会社製品「KnowledgeMarket」、インボイス制度・電子帳簿保存法等に対応して取引文書配信からライフサイクル管理を行う株式会社FORTHINK製品「e-Digi DataSharing」、契約書作成・締結・管理まで契約業務のワンストップ電子契約サービス「e-Digi Sign」、Microsoft 365等、パッケージ製品を活用したQCDバランスの高いソリューション提供もしております。
4.光触媒事業
売上高41百万円(前期比0.6%増)、セグメント利益2百万円(前年同期はセグメント損失40百万円)となりました。大手食品スーパーや病院への除カビ・防カビ施工の提案に継続して取り組んだほか、海外需要が増加したことから、増収となり、損失が縮小しました。なお、当事業における業容拡大のため、下期は「空間改善ソリューション企業」としての進展を図り、防曇(曇り止め)、防滑(滑り止め)、ガラス遮熱(省エネ化)、高級ガラス修繕等の取組みも開始いたしました。当事業は、今後も様々なニーズに幅広く応える営業戦略を核とし、収益基盤の改善、安定化に取り組んでまいります。
第26期中間連結会計期間(自 2024年7月1日 至 2024年12月31日)
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しとインバウンド消費の拡大に支えられ、回復基調を維持しました。一方、為替相場の円安、原材料価格の高騰、エネルギー価格の高止まり等、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
再生可能エネルギー市場においては、国内では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言の下、2030年度に温室効果ガス排出を2013年度比46%削減するとの目標が設定されています。国際的には、2024年に開催された国連気候変動枠組条約(COP29)及び米国のインフレ抑制法(IRA)による気候変動対応等、脱炭素化社会の実現への取り組みは進展しており、再生可能エネルギー市場は、中長期的な成長が見込まれています。
米国ではインフレ抑制法等により、米国内での投資が活発化し、「Made in USA」の動きが進んでいましたが、今後の共和党政権下におけるエネルギー政策動向による当社グループ事業への影響を注視しています。
当社グループの主力事業である太陽光パネル製造事業においては、世界的に需要は旺盛であるものの、太陽光関連製品の供給過剰から市況が低迷しています。市況改善には時間を要するものと見込まれます。主要な販売先である米国市場では、アンチダンピング関税及び相殺関税の賦課に関する仮決定が米国政府より、ベトナム国のVSUNに下されています。なお、最終決定は2025年央までに下される見通しです。このような経営環境に対応し、インド及びOEMによる米国顧客向けの新たな販売戦略が功を奏し、一定の改善が出始めました。
以上の結果、当中間期連結会計期間の売上高は45,613百万円(前年同期比58.0%減)、営業利益は3,161百万円(前
年同期比68.6%減)、経常利益は3,289百万円(前年同期比68.7%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は348百万円(前年同期比90.4%減)となりました。なお、当中間連結会計期間において、為替が円安で推移した事により、為替差益を672百万円計上したほか、太陽光パネル製造事業におけるベトナム子会社での固定資産除却損270百万円及び追徴金135百万円計上したことにより、特別損失を414百万円計上しております。
太陽光パネル製造事業は、ベトナム国VSUNが当社グループの収益を牽引してきました。当社グループは、太陽光パネルの上流工程となるセル*1を製造するTOYO SOLAR Company Limited*2(以下、「TOYO SOLAR」という。)を傘下におくTOYO Co.,Ltd.(以下、「TOYO」という。)とインゴット*3・ウエハ*4及びパネルを製造するVSUNグループ*5の緊密な連携により、グローバル・サプライチェーンの拡充に取り組んでいます。
TOYOグループ*6はエチオピア連邦民主共和国シダマ州アワサ市において、セルの新工場の建設中であり(2025年3月に竣工予定)、今後米国テキサス州に建設中の太陽光パネルの新工場(2025年3月に竣工予定)への製品供給を行っていきます。そして、第3四半期以降、米国市場において太陽光パネル関連製品の安定した供給体制を構築し、同国内での太陽光パネル製造事業の拡大に取り組みます。
グリーンエネルギー事業では、太陽光発電所及び関連設備にかかる部材販売(フロー型ビジネス)を拡大するとともに、保有太陽光発電所の管理強化等による収益性向上に取り組むことにより(ストック型ビジネス)、安定した事業基盤の構築に取り組んでいます。
(文中注釈)
*1 セルとは、太陽光パネルを構成する最小の単位で、別名「太陽電池素子」とも呼ばれ、太陽光パネルの上流工程にあたります。
*2 TOYO SOLAR COMPANY LIMITEDは、2024年10月にVietnam Sunergy Cell Company Limitedが社名を変更した新社名です。
*3 インゴットとは、太陽電池の原料のシリコン(ケイ素)を熱して溶かし、結晶化して固めたもので、ウエハの上流工程にあたります。
*4 ウエハとは、原料であるシリコン(ケイ素)を加工したインゴットを薄く切った板状のもので、「シリコンウエハ」、「太陽電池ウエハ」等とも呼ばれ、セルの上流工程にあたります。
*5 VSUNグループとは、連結子会社の Vietnam Sunergy Joint Stock Company(VSUN)を筆頭として、VSUN傘下のパネル・ウエハ及びインゴットを製造販売する子会社等を含め、総称したものです。
*6 TOYOグループとは、連結子会社のTOYO Co.,Ltd.を筆頭として、TOYO傘下のセル及びパネルを製造販売する子会社等を含め、総称したものです。
セグメント毎の経営成績については、次の通りです。
1.太陽光パネル製造事業
当中間連結会計期間においては、売上高40,954百万円(前年同期比60.7%減)、セグメント利益3,295百万円(前年同期比67.3%減)となりました。
売上高は、主要な販売先である米国向け販売が太陽光パネル関連製品に対する輸入関税免除措置の終了に加えて、アンチダンピング関税及び相殺関税の先行きの不透明感により受注が減少し、前年同期比減収減益となりました。第1四半期比では太陽光パネル製造事業の収益は改善基調となっております。当社グループは、太陽光パネル及びセルに関し、引き続き米国市場を重視しつつも、欧州やインドを始めとするアジア市場等販売先を多角化することにより、事業の安定化に取り組みました。米国向け販売の低迷によりベトナム工場の稼働率が低下のため、操業コストの削減等に取り組んでおります。
2.グリーンエネルギー事業
当中間連結会計期間においては、太陽光発電所の販売及び部材に係る物販1,952百万円、売電及びO&M収入2,239百万円を計上し、売上高4,191百万円(前年同期比6.2%増)、事業の選択と集中における発電所ポートフォリオの入れ替えによる一時的なフロー型ビジネスの収益低下等により、セグメント利益291百万円(前年同期比54.2%減)となりました。
当社グループでは、WWB株式会社(以下、「WWB」という。)及び株式会社バローズを主体に、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS(パワーコンディショナ)、産業用及び住宅用蓄電池等の太陽光発電設備に係る部材販売をフロー型ビジネスとして行いつつ、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有・管理するストック型ビジネスを推進しています。
フロー型ビジネスにおいては、販売数量増加を目指した国内の小売量販店をチャネルとする販売体制の構築が増収に貢献しました。ストック型ビジネスにおいては、自社の開発能力を活用した優良発電プロジェクトの開発に取組み、発電所開発・建設を進め、事業基盤の拡充に取り組んでいます。
更に、積極的な海外展開に取り組むほか、将来の社会的な課題として懸念されている太陽光パネルの廃棄問題に対する取組みとして、PV Repower株式会社を中心に太陽光パネルのリユース事業を展開しております。また、北海道地区において、電力の需給調整や停電時等に備えて、安定的な電力供給を可能とする系統蓄電池事業に参入しており、今期において、同地区2件目となる案件への補助金交付が決定しております。
3.その他
当中間連結会計期間においては、売上高467百万円(前年同期比39.1%増)、セグメント損失8百万円(前年同期はセグメント損失268百万円)となりました。
なお、今期において、WWBはEV電動トップリフター及びEV充電ステーション*7を神戸の港湾運送大手顧客に対し、国内では業界初となる納入をしました。今後、これらの商品を販売する事により、顧客の荷役作業現場の生産性向上を実現し、環境負荷の低減を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。
その他の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、IT事業、光触媒事業及び建機販売事業等を含んでおります。なお、IT事業及び光触媒事業については、当中間連結会計期間より、報告セグメントから除外しています。
(文中注釈)
*7 EV電動トップリフター及びEV充電ステーションとは、WWBが取り扱う、中国SANY Groupの子会社である三一海洋重工有限公司製の港湾荷役作業向けの電動式リフター及び充電システムのことです。顧客の導入メリットとして、環境負荷の低減、運転手の作業環境改善及び外来トラックの待機時間の短縮等があります。
② キャッシュ・フローの状況
第25期連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
最近連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、17,546百万円増加し、37,053百万円となりました。
最近連結会計年度における各キャッシュ・フローの分析は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は44,757百万円(前連結会計年度は18,526百万円の獲得)となりました。主な増減要因は、税金等調整前当期純利益24,278百万円、売上債権の増加による1,441百万円の減少、棚卸資産の減少による33,161百万円の増加、前受金の減少による19,113百万円の減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は21,191百万円(前連結会計年度は20,670百万円の支出)となりました。主な増減要因は、有形固定資産の取得による9,656百万円の支出、及び預け金の預入による10,914百万円の支出であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は5,446百万円(前連結会計年度は17,235百万円の収入)となりました。主な増減要因は、短期借入れによる65,378百万円の収入、及び短期借入金の返済による72,327百万円の支出であります。
第26期中間連結会計期間(自 2024年7月1日 至 2024年12月31日)
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は30,425百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,627百万円減少しました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの分析は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動に使用した資金は、5,191百万円であります(前年同期は16,727百万円の収入)。主な内容として、税金等調整前中間純利益3,058百万円、減価償却費3,695百万円を計上したほか、運転資金項目として、棚卸資産の減少により4,045百万円それぞれ資金が増加する一方、売上債権の増加により6,078百万円、仕入債務の減少により3,363百万円、前渡金の増加により2,012百万円それぞれ資金が減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に獲得した資金は、97百万円であります(前年同期は8,667百万円の支出)。主な内容は、太陽光発電所の開発・保有やVSUN等での設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出2,569百万円、預け金の預入による支出2,862百万円の一方、預け金の回収による収入5,335百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、876百万円であります(前年同期は2,437百万円の収入)。主な内容は、短期借入金の返済による支出23,419百万円、長期借入金の返済による支出1,531百万円等があった一方、短期借入れによる収入24,677百万円があったことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
IT事業は開発を終了し製品化したソフトウェアの販売を行っており、受注から売上までの期間が短いため、生産実績は販売実績とほぼ一致しております。したがいまして、生産実績に関しては販売実績の欄をご参照ください。
太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業及び光触媒事業につきましては、商品仕入実績の欄をご参照ください。
最近連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
最近連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
最近連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、最近連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
当社グループの最近連結会計年度のキャッシュ・フロー分析につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資本の財源は、第三者割当増資、金融機関からの借入やリース会社からの割賦バック契約等により資金調達を行った一方で、資金の返済を行った結果、財務活動によるキャッシュ・フローは5,446百万円の支出)となっております。また、国内外既存事業及び新規有望事業に対し積極的に支出(投資活動によるキャッシュ・フロー21,191百万円)しております。当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、その効果の発現する期間にわたって均等償却しております。また、その資産 性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合は、のれんの帳簿価格を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、経営環境の変化に伴う収益性の悪化等により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境の悪化等によりその見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来の課税所得の見積りが減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
第25期連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
太陽光パネル製造事業は、VSUN及びTOYO SOLARが連携し、太陽光パネルの上流工程となるセル及びインゴット・ウエハの内製化等グローバル・サプライチェーンの強化に取り組んでいます。主要な販売先である米国での太陽光パネル関連製品に対する輸入関税免除措置の終了(2024年6月)もあり、受注減少から減収となりましたが、2022年10月から稼働開始したVSUNのパネル第4工場(ベトナム国パクニン省)の通年での稼働及びTOYO SOLARが手掛けるセル内製化の効果で原価改善が進み、増益となりました。
グリーンエネルギー事業は、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS (パワーコンディショナ)、産業用及び住宅用蓄電池等の太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型ビジネスとして行うとともに、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型ビジネスを推進しています。
IT事業は、様々な業界のビジネス課題へのコンサルティング・DX支援から、電子認証・セキュリティ技術等を活かした業務系システム開発から保守まで、幅広いニーズに対応する技術ソリューションの提供を推進しております。
光触媒事業は、大手食品スーパーや病院への除カビ・防カビ施工の提案に継続して取り組んだほか、「空間改善ソリューション企業」としての進展を図り、防曇(曇り止め)、防滑(滑り止め)、ガラス遮熱(省エネ化)、高級ガラス修繕等の取組みも開始いたしました。
第26期中間連結会計期間(自 2024年7月1日 至 2024年12月31日)
太陽光パネル製造事業は、VSUN及びTOYO SOLARが連携し、太陽光パネルの上流工程となるセル及びインゴット・ウエハの内製化等グローバル・サプライチェーンの強化に取り組んでいます。主要な販売先である米国での太陽光パネル関連製品に対する輸入関税免除措置の終了(2024年6月)もあり、受注減少から減収となりましたが、2022年10月から稼働開始したVSUNのパネル第4工場(ベトナム国パクニン省)の通年での稼働及びTOYO SOLARが手掛けるセル内製化の効果で原価改善が進み、増益となりました。
グリーンエネルギー事業は、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS (パワーコンディショナ)、産業用及び住宅用蓄電池等の太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型ビジネスとして行うとともに、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型ビジネスを推進しています。
第25期連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)
資産、負債及び純資産の状況
(資産)
最近連結会計期間末における流動資産は89,197百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,851百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が17,120百万円増加、商品及び製品が35,594百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は60,975百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,375百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が16,361百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は、150,173百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,482百万円増加いたしました。
(負債)
最近連結会計期間末における流動負債は83,261百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,094百万円減少いたしました。これは主に、短期借入金が6,277百万円減少、契約負債が19,207百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は24,479百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,915百万円増加いたしました。これは主に長期割賦未払金が3,877百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、107,741百万円となり、前連結会計年度末に比べ13,179百万円減少いたしました。
(純資産)
最近連結会計期間末における純資産合計は42,432百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,661百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を9,530百万円計上、及び非支配株主に帰属する当期純利益を10,673百万円計上したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は15.8%(前連結会計年度末は8.8%)となりました。
第26期中間連結会計期間(自 2024年7月1日 至 2024年12月31日)
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は85,004百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,192百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が6,730百万円減少、商品及び製品が2,722百万円減少した一方で、売掛金が6,224百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は56,728百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,246百万円減少いたしました。これは機械装置及び運搬具が7,531百万円減少したこと等によるものであります。本件減少は、当中間連結会計期間末において連結対象外としているエチオピア国に設立したTOYO SOLAR MANUFACTURING ONE MEMBER PLCへ売却したことが主要因です。
この結果、総資産は、141,733百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,440百万円減少いたしました。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は75,309百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,952百万円減少いたしました。これは主に買掛金が5,104百万円減少、輸出関税に係る引当金が1,093百万円百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は22,376百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,103百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が2,093百万円百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、97,685百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,055百万円減少いたしました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は44,048百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,615百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する中間純利益348百万円によるもの等であります。
この結果、自己資本比率は17.0%(前連結会計年度末は15.8%)となりました。
当社グループの事業展開において、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「3 事業等のリスク」に記載の内容をご参照ください。
当社グループは、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」を目指し、2030年までに国内と海外を合わせた保有発電容量1GW及び(年間)製造目標をインゴット・ウエハ8GW、セル16GW、太陽光パネル12GWと定め、長期の事業目標としております。本目標を達成するため、下記事項をアクション・プランと捉えており、グループ全体の持続的成長に基づく企業価値の向上を図ってまいります。
1.VSUN及びTOYO SOLARの収益力向上と販売先の多角化
ベトナム国に生産拠点を置くVSUNでは、太陽光パネルの生産能力4GW/年に加え、上流工程のウエハ・インゴット4GW/年の生産体制構築ならびに同国内のTOYO SOLARでのセル4GW/年の生産体制構築を受け、収益力の向上に取り組んでいます。一方、2024年に入り、太陽光パネル及び原材料の需給バランスが軟化し、これに伴い製品価格下落のトレンドが形成されています。また。米国政府による東南アジア製太陽光パネル及びセルに対する免税措置の終了(2024年6月)は、当社グループの太陽光パネル製造の事業運営に影響を与えるものと想定しています。当社グループは、VSUN及びTOYO SOLARの製品販売先として、これまでの米国市場中心から、欧州及びインドを始めとするアジア市場等販売先の多角化に取り組みます。なお、米国市場において、東南アジア4カ国の太陽光パネル関連製品に対する免税措置が終了となり、更にアンチダンピング関税及び相殺関税についても米国政府の検討が続いております。
2.米国ナスダックに上場したTOYOの米国内における太陽光パネル製造事業の展開
TOYO SOLARの親会社であるTOYOは2024年7月に米国ナスダックに上場しました。米国ではインフレ抑制法等により、国内での投資が活発化し、「Made in USA」の動きが進展しています。今後、TOYOは米国市場動向及び税制等の政策動向を注視しながら、同国内での太陽光パネル及びセルのサプライチェーン体制確立へ向けた検討を行ってまいります。
3.太陽光発電所の自社保有化による安定収益の確保
当社グループは太陽光発電所を自社保有化し、電力会社に電力販売を行うストック型ビジネスを強化しています。売電収入に基づく安定収益、キャッシュ・フローの創出を目的として、財務戦略の多様化を図り、再生可能エネルギー関連企業に対するM&Aの検討を継続的に行ってまいります。
4.財務体質強化へ向けた自己資本比率の改善
当社グループは国内外で太陽光発電所等の開発プロジェクトに積極的に取り組んできています。その結果として、自己資本利益率(ROE)は高水準を維持する一方で、借入金の増加を主因として自己資本比率が低下傾向にありました。2024年6月期は太陽光パネル製造事業の成長により、借入金の返済も進みました、また、利益剰余金が積み上がったことにより、自己資本比率が15.8%に回復しております。財務健全性の確保のため、今後も太陽光パネル製造事業及びグリーンエネルギー事業の成長による利益剰余金の積み上げ等により自己資本の増強に努めます。
5.ガバナンス体制、及び内部統制の充実・強化
当社グループでは、監査等委員会設置会社として、過半となる社外取締役である監査等委員会が、取締役の職務執行の組織的監査を担っています。コーポレートガバナンスを強化することで、環境変化の激しい再生エネルギー市場に対し、機動的に対応した事業活動を展開し、当社グループの事業成長と収益力の向上を図ってまいります。また当社グループは、引き続き内部統制機能を強化し、企業としての信頼回復と企業価値の向上に取り組んでまいります。
当社グループは、2023年9月22日に2026年6月期を最終年度とする中期経営計画(2024-26)を公表させていただきました。しかしながら、当社グループを取り巻く事業環境が大きく変化していることを受け、2024年8月14日に中期経営計画の数値目標取り下げを発表しています。当社グループは、持続的な成長が見込まれる太陽光パネルのグローバル市場において、市況及び政策等の市場環境変化に機動的に対応することにより、太陽光パネル製造事業の競争力あるサプライチェーン構築及び販売エリアの多角化等を推進し、事業成長を図ってまいります。中期経営計画の新たな数値目標につきましては、合理的に算定可能となった段階で、速やかに開示いたします。
(相互資金供給枠の設定)
当社は、持分法適用関連会社の明治機械株式会社との間で一時的な余剰資金を供給し合う資金供給枠を相互に設定する契約を締結しました。
(1)契約締結先 明治機械株式会社
(2)資金供給枠 800百万円
(3)資金用途 事業性資金
(4)期間 1年以内
(5)金利 市場実績並みの水準
(注) 2024年12月13日付にて当該相互資金供給枠は解消しております。
(融資契約の締結)
当社は、株式会社第四北越銀行との間でSDGsリンク・ローンの融資契約を2024年3月に締結しました。SDGsリンク・ローンとは、SDGsに関する野心的な目標設定により、その達成状況に応じて、金利が変動するサステナビリティ・リンク型のローンであります。
(1)借入先 株式会社第四北越銀行
(2)借入額 500百万円
(3)資金使途 当社グループのESG・SDGs経営を実践するための資金
当社グループでは、次世代のクリーンエネルギー貯蔵システムを担う水素エネルギーを活用した貯蔵システムの研究開発を計画的に推進しております。
最近連結会計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は289百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。
(1)その他
エネルギー貯蔵システム開発事業において、バーディフュエルフェルズ合同会社は水素エネルギーを活用した貯蔵システムの研究開発を計画的に推進しております。
最近連結会計年度における研究開発費の金額は289百万円であります。