第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは「私たちは、グローバルな発想を持つ心豊かなプロフェッショナル集団としてあらゆる不動産シーンにおいて新たな価値と感動を創造する。」ことを存在理念とし、常に「モノづくり」へのこだわりを持ち、不動産と金融の融合を意識した多様な不動産関連事業の推進により社会に貢献し、グループ企業価値を向上することを目指しております。

 

(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題

 ① 経営環境

当社グループの主力市場である首都圏不動産投資市場は、日銀の金融政策転換により国内金利が上昇傾向にあり、イールドギャップの幅は縮小傾向にあるものの、安定した賃貸市況や高い流動性などを背景に良好な不動産投資環境は継続しています。一方で、建築費高騰や人手不足による工期長期化は当面継続するとみられており、引き続き開発事業においては慎重な開発計画の検討が必要だと認識しています。

 

 ② 中長期的な会社の経営方針、経営戦略及び優先的に対処すべき課題

当社グループを取り巻く事業環境は、気候変動問題の深刻化や地政学的リスクの顕在化、国内では少子高齢化社会の進行やコロナ禍をきっかけとした行動変容の加速、デジタル技術の急速な進歩など大きな変革が起きており、不確実性が高まっています。このような事業環境の変化に適応し、当社グループが将来に亘って成長を続け、サステナブルな社会の実現への貢献を通じて企業価値向上を実現していくために、当社グループの競争優位の源泉となるコア・コンピタンスに立脚した「目指す方向性(ありたい姿)」を明確にし、グループ一丸となってビジョン実現に取り組むことを目的として「トーセイグループ長期ビジョン2032」を策定しました。

 

長期ビジョン2032

多様なソリューション力を持つユニークな不動産ポートフォリオマネージャーとして

サステナブルな社会の実現に貢献する

 

 

当社グループは、6事業からなる不動産関連事業を通じて、不動産の潜在価値を顕在化する様々なソリューションを提供してまいりました。また、事業特性の異なる複数事業を組み合わせることにより、リスクを低減しながら事業領域を広げており、多種多様なアセットを取り扱うことが出来るポートフォリオマネージャーとして不動産投資技術の研鑽を続けております。また、アセットマネジメントの分野では、世界の不動産投資家に信頼される世界品質でのサービスを提供しており、これらの「不動産ソリューション力」・「ポートフォリオ・マネジメント力」・「グローバル・リーチ力」を当社のコア・コンピタンスとして更に発展させながら、事業成長と長期ビジョン2032の実現に取り組んでまいります。

長期ビジョン実現に向けた9年間の当初3年間(第1フェーズ)として、新中期経営計画「Further Evolution 2026」(2023年12月~2026年11月)を策定しました。本計画では、以下の大方針のもと、5つの基本方針に基づく各施策の実行によって当社グループの競争力を高めるとともに、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

 

<中期経営計画「Further Evolution 2026」>

大方針

サステナブルな社会の実現に貢献できる独自性のある総合不動産会社として、更なる進化を目指す

基本方針

サステナビリティ

・環境・社会課題へのソリューション提供の拡大とサステナビリティ経営の推進

・グループの将来の成長に向けた施策への投資を拡大

・非財務情報開示によるトーセイブランドの確立と浸透

事業

事業ポートフォリオの進化と成長
・6事業のシナジー追求による不動産ソリューション力の強化

人材・組織

多様な社員が個性を活かし、力を発揮できる環境の整備
豊富な経験・知識・強いリーダーシップを持ち、企業理念への深い造詣を併せ持つ人材を

 育成

DX

IT・デジタル活用による商品・サービスの差別化、業務効率化を推進

財務戦略・資本政策

持続的な成長に向けた資金調達力の強化
資本コストを上回る資本収益性の維持およびBSマネジメントの継続

 

 

定量計画(連結)※下線部を修正しております。

業績動向並びに事業環境の見通しを踏まえ、以下の通り計画を修正しております(2025年1月10日発表)。

 

初年度

2024年11月期

実績

2年目

2025年11月期

修正計画

3年目(最終年度)

2026年11月期

修正計画

連結売上高

821億円

1,020億円

1,230億円

連結税引前利益

173億円

188億円

202億円

ROE

13.9%

13.5%

13.2%

安定事業比率
(営業利益ベース)

50.5%

45%以上

45%以上

自己資本比率

32.7%

35%程度

35%程度

ネットD/Eレシオ

1.45倍

1.4倍程度

1.4倍程度

配当性向

31.9%

33.7%

35.0%

 

(注) 株主還元について、配当性向を30%から35%へ3年間で段階的な引き上げを目指すとともに、自己株式の取得については経営環境、株価動向、株主価値向上等を総合的に判断し実施検討してまいります。

 

本計画では、当社グループの企業価値の源泉である「不動産ソリューション力」・「ポートフォリオ・マネジメント力」・「グローバル・リーチ力」を強化し、各事業のサービス領域の拡大やグループ間シナジーの最大化によって、既存6事業のポートフォリオの進化と成長を目指します。

不動産再生事業・不動産開発事業では、サステナビリティを意識した環境配慮商品の提供や既存不動産ストックの活用促進、取扱商品領域の拡大等による差別化を図り、トーセイブランドの確立と浸透を目指します。また、仕入における競争力を高めるべく、物件査定の効率化に向けた研究やM&Aの活用を促進します。

安定事業では、不動産賃貸事業におけるテナント需要に沿った設備仕様の研究、不動産ファンド・コンサルティング事業や不動産管理事業におけるサービス機能強化とバックオフィス業務の効率化、ホテル事業ではトーセイホテルココネの差別化訴求によるブランド浸透と規模拡大に努めます。

また、DX分野では、業務プロセスの効率化を促進するとともに、自社再生物件、開発物件の出口戦略の多様化に向けて、不動産・金融・DXが融合した不動産テックビジネスである不動産クラウドファンディングやセキュリティ・トークン発行、区分マンション販売におけるデジタルマッチングに取り組み、新たな顧客層へ不動産投資機会を提供してまいります。

成長を支える事業基盤の強化においては、人材育成と多様な社員が個性を活かして力を最大限に発揮できる人事制度・組織体制・職場環境の構築に注力し、社員エンゲージメントを深めてまいります。また、財務面・資本配分については、事業規模および保有資産残高の拡大を下支えすべく資金調達力を強化し、健全な財務体質を維持しながら資本効率を意識した成長投資の継続と利益還元の向上を目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献すべく、「トーセイグループ ESG方針・ESG行動指針」を定め、サステナビリティ委員会を中心としたESG推進体制を整備してサステナビリティに配慮したESG経営の実践に努めてまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

(ガバナンス)

当社グループは、サステナビリティに配慮したESG経営を推進するため、取締役会の直属組織である「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会は、「トーセイグループESG方針」、「ESG行動指針」、「トーセイグループのマテリアリティ」等に基づき、気候変動問題への対応や人的資本経営の推進などをはじめとする当社グループの総合的なサステナビリティ向上に向けた取り組み方針の策定、サステナビリティ推進に係る年間活動計画の立案、各施策や各部門の活動進捗のモニタリング・助言・指導等の機能を担っています。
 同委員会は、執行役員社長が任命するサステナビリティ推進責任者(取締役専務執行役員 平野 昇)を委員長とし、委員はサステナビリティ推進責任者が指名する者で構成されています。原則年6回開催され、その審議・活動進捗・報告事項は毎月取締役会に報告される体制となっています。
 なお、取締役会は、サステナビリティ委員会が立案し取締役会が承認した各施策に関して、委員会からの報告に基づき、必要に応じて施策の見直しや推進体制の改善指示などを通じて適切にモニタリングを行い、進捗状況について監督します。なお、ESGを所管する常勤取締役の評価・報酬を決定する項目には、気候変動をはじめとするESG推進目標が設定されています。また、取締役会は、気候変動課題への対応を含めた当社グループの総合的なリスクマネジメントに対し最高責任を負い、必要な組織体制を整備するとともに、これを適切に監督し、必要に応じて指示を行います。

<サステナビリティ推進体制図>


 

(戦略)

当社グループは、「あらゆる不動産シーンにおいて新たな価値と感動を創造する」という企業理念のもと、企業活動を通じた持続可能な社会の実現こそ世の中から求められる「新たな価値の創造」であると認識し、「トーセイグループESG方針・ESG行動指針」を制定のうえ、サステナビリティ推進におけるマテリアリティ(重要課題)を特定しています。また、2024年1月に公表したトーセイグループ中期経営計画「Further Evolution 2026」においてサステナビリティ経営に関する基本方針を策定しました。これらの方針・指針等に基づく、事業基盤の強化と事業活動の推進により、サステナブルな社会の実現に貢献すべく、総合不動産会社としてさらなる進化を目指してまいります。

・トーセイグループESG方針

トーセイグループは、グローバルな発想を持つ心豊かなプロフェッショナル集団として、あらゆる不動産シーンにおいて新たな価値と感動を創造することを存在意義としており、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)を経営の重要事項と認識し、不動産にかかわる社会的課題に真摯に取り組むことで社会に貢献するとともに、グループの持続的な成長を目指してまいります。

 

・トーセイグループの重要課題(マテリアリティ)

当社グループでは、従前より、環境、社会、ガバナンスに関するさまざまな取り組みを推進してまいりましたが、ESG経営をより一層推進するため、2022年11月期から、サステナビリティ推進における当社グループのマテリアリティ特定の検討を開始し、2023年11月期にマテリアリティを特定しました。気候変動問題をはじめとする環境、社会課題に対する企業への取組み要請は、今後ますます高まっていくことが確実となる中で、持続可能な社会の発展のため、環境、社会課題の解決に資するとともに、企業の持続的な成長に向けてESG経営を推進するべく、当社グループとして優先的に取り組むべき重要テーマを定め、より一層、取り組みを加速させてまいります。

トーセイグループの重要課題(マテリアリティ)

テーマ

マテリアリティ

主な取り組み

指標及び目標

SDGsへの貢献

環境との共生

気候変動への対応と

循環型社会の推進

・省エネ化、再エネ活用
・防災、減災対応
・資源の有効活用

「主なKPI・目標」

・GHG排出量削減 ※1
 長期:2050年度ネットゼロ
  中期:2030年度までに基準年(2022年度)比50%削減


環境配慮型のものづくり・

サービスの提供

・ハード・ソフト両面の環境性能向上、見える化
・不動産の再生、開発における環境負荷軽減

社会課題への対応

多様な人材が個性を生かして

健やかに働ける環境

・多様な人材の活躍
・多様な働き方の推進
・働きがいの追求
・人権の尊重
・心身の健康増進

「主なKPI・目標」

・女性管理職比率10%以上 ※2

・男性育児休業等取得率90%以上 ※2

・男女賃金差異(全労働者)70%以上 ※2


安心安全に配慮した商品・

サービスの品質向上

・お客様の安心安全
・従業員、サプライヤーの安心安全

地域コミュニティの創出・

再生・活性化

・地域コミュニティの再生や創出、活性化
・地域経済の活性化

コーポレート

ガバナンス強化

健全な企業成長を促す

ガバナンス

・ガバナンス高度化
・コンプライアンス
・リスクマネジメント強化


 

※1 トーセイグループのScope1・2(GHGプロトコルに基づく)を対象としています。
※2 トーセイ(株)を対象範囲としています。

 

(リスク管理)

当社グループでは、事業活動の推進及び企業価値の維持・向上を妨げる可能性のあるリスクを最小にするために、平常時より計画的に対策を立案、検証する体制を整備することにより、ステークホルダーの皆様からの信頼を得られる企業集団を目指しています。

当社グループでは、サステナビリティ関連を含む一元的かつ横断的なリスク管理を取締役会直属のリスク・コンプライアンス委員会が担い、グループ共通または各社ごとのリスク管理に関するプログラム施策の実践を通じて、グループの事業を取り巻く様々なリスクを統括管理するほか、リスクが顕在化した場合には同委員会が中心となって危機対応を行います。また、全社リスクの中で特に重要性が高く、TCFDの提言による枠組みに基づき管理すべき「気候変動リスク及び機会」については、取締役会の監督の下、サステナビリティ委員会が主管します。リスク・コンプライアンス委員会はサステナビリティ委員会による各種施策上の要請に応じて、その実践を補佐、支援することで、全社リスクの統合的な管理をしています

 

(2) 気候変動

当社グループは、「気候変動問題は自然環境と社会構造に劇的変化をもたらし、当社の経営とビジネスに重大な影響を与える課題である」と認識し、自然災害による不動産価値の低下や政府の環境規制強化等により、当社グループの事業活動や戦略、財務計画に大きな影響を与える可能性があると考えています

また、当社は2021年11月に「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言」への賛同を表明するとともに、国内賛同企業による組織である「TCFDコンソーシアム」に加入し、TCFD提言に基づく情報開示を行っております

 

(ガバナンス)

上記(1)サステナビリティ全般(ガバナンス)を参照ください。

 

(戦略)

将来にわたる気候変動が当社グループの事業に及ぼし得ると想定される影響を把握し、当該影響を当社の事業戦略に反映するため、国際的な機関等が定める将来的な気候変動シナリオを複数選択し、それぞれの世界像におけるリスク・機会の識別を行いました。シナリオ分析の詳細は以下の通りです

<主に参照した将来的な気候変動シナリオ>

分類

公表機関・組織

参考文献

移行リスク

IEA(国際エネルギー機関)

・WEO2020;

Sustainable Development Scenario (SDS)

Net Zero Emissions by 2050 case (NZE2050)

・WEO2023;

Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE2050)

・ETP2017;

Beyond 2℃Scenario (B2DS)

物理的リスク

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)

・第6次報告書;

SSP1-2.6

SSP5-8.5

 

 

<シナリオ分析の概要>

移行リスク/機会

分類

内容

規制/政策

<リスク>

・炭素税や炭素価格が導入され、GHG排出量に比例して操業コストが上昇する

・GHG排出規制強化により、新築するオフィスやマンション、戸建住宅においてZEH(M)/ZEBの義務化が進み、開発コストが増加する

・GHG排出規制強化により、既存ビルの脱炭素対応(ZEB Readyレベルへの改修)が義務化され、改修コストが増加する

・省エネ性能表示の義務化によって環境性能への意識が高まり、省エネ性能が低すぎる不動産の資産価値や賃料収入が減少する

<機会>

・ZEB化対応技術の普及により工事単価が低減されることが想定され、ZEB化対応によるコスト増を緩和できる可能性がある

環境不動産の需要が高まり、環境認証取得物件もしくは環境配慮改修を施した物件の資産価値や賃料収入が高まる可能性がある

 

・分析結果および当社グループのレジリエンス

移行リスクが及ぼす財務的影響に関しては、特に中長期的な時間軸で、脱炭素社会への移行に伴う社会変容、具体的には、政府の各種規制強化(炭素税導入やZEH/ZEB水準の義務化、省エネ性能表示の義務化など)により発生しうるという結果となりました。

 当社グループは、本社ビルや自社運営ホテルの電力を再生可能エネルギー由来の電力へ切り替えていくほか、社内の省資源、省エネルギーに向けた取り組みの推進により、自社グループのGHG排出量削減を進めてまいります。また、サプライヤーや請負業者等と連携・協働し、建築時のGHG排出量削減に向けて取り組むとともに、新築案件におけるZEH/ZEB開発の推進や、既存建物の環境仕様への改修、環境不動産認証の取得、テナントへの意識啓蒙等を進めていくことにより、バリューチェーン全体でのGHG排出量削減に取り組み、リスクの最小化・機会の最大化を目指してまいります。

 

物理的リスク/機会

分類

内容

急性

<リスク>

・洪水による浸水リスクが高いエリアに立地する物件において、投資家のリスクプレミアム上昇により価格評価(資産価値)が低下する

・洪水被害が頻発化し、修繕コストが増加する

<機会>

・建物のBCP対策の強化により、リスクが最小化し、商品の市場競争力が高まる

慢性

<リスク>

・海面上昇により、慢性的に既存ビルが浸水・水没する

・猛暑となり、屋外作業が主となる建設工事の生産性が低下し、建築コストが増加する

・異常気象の増加によるサプライチェーンの混乱や石油依存による資材価格の高騰、運輸コストの上昇により、建築コストが増加する

 

・分析結果および当社グループのレジリエンス

物理的リスクが及ぼす財務的影響に関しては、特に中長期的な時間軸で、気候変動対策が十分になされない社会における異常気象の激甚化やサプライチェーンの混乱等により発生しうるという結果となりました。
 当社グループは、物件の仕入時に浸水被害リスクを含めた総合的な観点で投資判断を行うほか、定期的にハザードマップで保有ポートフォリオの浸水リスク状況を確認し、ポートフォリオの見直しや保険加入、物件のBCP対策を適切に講じることにより、リスクの最小化・機会の最大化を目指してまいります。
 また、サプライヤーや請負業者等と連携・協働し、サプライチェーンの強靭化や、建設現場の安全衛生・生産性向上 に取り組んでまいります。

 

(リスク管理)

気候変動に関するリスク・機会を管理するプロセスは以下の通りです。

・気候関連リスクと機会を識別・評価するプロセス

気候変動に関連するリスクマネジメントを主管するサステナビリティ委員会は、グループ横断的なサーベイランスを年に1度定期的に実施し、その結果に基づいて気候関連リスク・機会を特定します。洗い出された気候関連リスク・機会は、国際的な機関等が定める将来的な気候変動に関する複数の想定(シナリオ)のもと、「発生可能性」と発生した場合の「影響度」の2つの尺度で評価され、分析結果は実施の都度、取締役会に報告されます。

・気候関連リスクと機会を管理するプロセス

特定されたリスク・機会のうち、トーセイグループが組織的に対応すべき項目について、サステナビリティ委員会は項目ごとに対応計画を策定し、取締役会がこれを承認します。なお、対応計画は、リスクマネジメントの基本的な枠組みである「回避」「受容」「低減」「移転」の考えに基づき策定されます。承認されたリスクの対応計画の実行については、取締役会の監督のもと、サステナビリティ委員会の指示に基づいてトーセイおよびグループ各社の各業務執行体制において実行されます。また、サステナビリティ委員会は、グループ各社および各社の業務組織への指示等を通じて、事業戦略等への連繋を主導します。

・全社リスク管理への統合状況

トーセイグループの一元的かつ横断的なリスク管理は、取締役会直属のリスク・コンプライアンス委員会が担い、グループのリスク管理に関する基本的事項の実践やリスク顕在化に伴う経営危機発生時の対応、グループの事業を取り巻くさまざまなリスクを統括管理しています。全社リスクの中で特に重要性が高く、TCFDの提言による枠組みに基づき管理すべき「気候変動リスクおよび機会」については、取締役会の監督の下、サステナビリティ委員会が主管します。リスク・コンプライアンス委員会はサステナビリティ委員会による各種施策上の要請に応じて、その実践を補佐、支援することで、全社リスクの統合的な管理をしています。

 

(指標及び目標)

当社グループは、世界全体の1.5℃未満目標達成のため、Scope1・2における2050年度温室効果ガス排出量ネットゼロを掲げています。また、中期的な削減目標として、2022年度を基準年として、以下のように削減を進めてまいります

基準年

2022年度(2021年12月~2022年11月)

削減対象(注)

Scope1

燃料の燃焼等、事業者自らによる温室効果ガス直接排出

Scope2

電気・熱・蒸気使用に伴う温室効果ガスの間接排出

目標年・削減割合

長期目標

2050年度ネットゼロ

中期目標

2030年度までに基準年比50%削減

Scope1+2実績値

2022年度(基準年)

3.8千t-CO2

2023年度

3.3千t-CO2

 

(注)当社グループから排出される温室効果ガスは、営業所・自社運営ホテルにおいて使用する都市ガス及び社用車等で使用するガソリンの使用によって当社から直接排出される温室効果ガス(Scope1)と、本社・営業所・自社運営ホテルの電気使用、本社の地域熱使用に伴って間接的に排出する温室効果ガス(Scope2)で構成されております。なお、2024年度の実績については第三者保証取得後、以下に掲載を予定しております。

https://www.toseicorp.co.jp/sustainability/data/

 

(3) 人的資本

当社グループは、「人を経営の根幹とし、心豊かな真のプロフェッショナルを育成し続ける」という経営理念のもと、多様な人材が個性を生かして健やかに働ける環境を構築することを人材戦略のマテリアリティ(重要課題)の一つとし、「多様な人材の活躍、多様な働き方の推進、働きがいの追求、人権の尊重、心身の健康増進」を実現するための人材育成に関する方針、社内環境整備に関する方針を策定しています。

 

(戦略)

①人材育成に関する方針(人材開発基本方針)

・グループ企業理念に基づく人材育成
 中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、グループ企業理念(存在理念、経営理念、行動理念)及び経営方針の理解の下に、会社の発展に積極的に寄与する人材を育成していくとともに、自己においてプロフェッショナルとしての意識と知識と技術の研鑽をする人材を育成していくことを基本とする
・人材の多様性
 当社グループは、人材の採用、育成、登用においては多様性を重んじ、性別や国籍、採用の経緯等に左右されることなく、企業理念を追求し続ける者に対して、等しく成長と活躍の場を提供する

②社内環境整備に関する方針(健康経営方針)

 当社グループは、「人を経営の根幹とし、心豊かな真のプロフェッショナルを育成し続ける」という経営理念のもと、従業員の健康と安全を重要な経営課題と捉え、従業員がいきいきと働ける職場環境を整備し、健康維持・増進の施策に積極的に取り組む。

 

 

(指標及び目標)

当社グループでは、「多様な人材が個性を生かして健やかに働ける環境を構築する」という人材戦略のマテリアリティ(重要課題)に基づく計測指標(KPI)を「多様な人材の活躍、多様な働き方の推進、働きがいの追求、人権の尊重、心身の健康増進」の視点から下表のとおり設定し、「As is-To be」ギャップを測定することにより、中長期の課題を捉え、人的資本に関する施策を検討、実行しています。

マテリアリティに対する

主な取組カテゴリー

 

指標

目標

2024年度実績

多様な人材の活躍

1

女性管理職比率

10以上

5.0

2

男女賃金差異(全労働者)

70以上

71.2

多様な働き方の推進

3

男性育児休業等取得率

90以上

71.4

働きがいの追求

4

仕事の満足度

80以上

64.0

心身の健康増進

5

平均残業時間

30時間以下

23.3時間

6

有給休暇取得率

65以上

67.5

7

ストレスチェック受検率

90以上

100

8

自己都合退職率

10未満

7.9

 

(注) 1.当社グループは、不動産事業を中核とするポートフォリオ経営を推進しておりますが、連結子会社ごとに異なる事業セグメントを担っているため、現時点においては当社グループとして統一されたKPIを設定し、画一的な施策を推進することが合理的でないとの判断により、トーセイ株式会社のみの指標及び目標としております。

2.4は、定期的に実施している従業員満足度調査における「仕事の満足度」の評価尺度(5段階)の内、上位2項目を選択した割合。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価および財政状況等に影響を及ぼす可能性が考えられる事項には以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、リスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避と発生した場合の対応に努力する方針であります。また、以下の記載は、当社グループの事業もしくは当社株式への投資に関するリスクを完全に網羅するものではありません。

(1) 経済情勢の動向

当社グループが所有するオフィスビルや商業施設への需要は景気の動向に左右されうること、また住宅購入顧客の購買意欲は景気の動向やそれに伴う雇用環境等に影響を受けやすい傾向にあること、不動産市況の悪化による地価等の下落に影響を受けやすい傾向にあること、等から、今後、国内外の経済情勢が悪化したことにより、不動産への投資意欲の低下、不動産取引の減少、空室率の上昇や賃料の下落といった事態が生じた場合には、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、定期的に景気動向・不動産市況等のモニタリングを行うとともに、エリア・規模・用途・物件特性に応じたマーケット観の醸成、投資判断力・リーシング力の強化等により、リスクの低減を図ってまいります。

 

(2) 災害等について

将来発生が懸念されている首都圏における大地震をはじめ、暴風雨、洪水等の自然災害、戦争、テロ、火災等の人災が発生した場合には当社グループが投資・運用・開発・管理を行っている不動産の価値が大きく毀損する可能性があるほか、被災による需要減少に伴うホテル稼働率の低下等が生じる可能性があり、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、グループ主要各社においてBCP(事業継続計画)を策定し、被災時でも重要な事業を継続または早期復旧できるよう準備を行っております。

 

(3) 有利子負債の依存度および金利の動向

当社グループの事業に係る土地、建物取得費および建築費等は、主として個別案件毎に金融機関からの借入金によって調達しているため、総資産に占める有利子負債の比率が常に一定程度あることから、将来において、急激な金利上昇や金融機関の融資姿勢に重大な変化が生じた場合には、調達環境の悪化により、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、一部の借入金に財務制限条項が付されており、条項に抵触し一括返済をする場合のほか、案件の売却時期の遅延や売却金額が当社の想定を下回った場合には、当社グループの資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、定期的に金利動向や金融機関の融資姿勢についてモニタリングを行うとともに、借入における機動的な資金確保のための融資枠設定や金利固定化を行う等、安定的かつ経済的な資金調達に努めております。

 

(4) 法的規制

① 法的規制

会社法や上場会社としての金融商品取引法の規制のほか、当社グループの事業において関連する主な法的規制は下表のとおりであります。

今後これらの法的規制が強化される場合には規制遵守に向けた対応のためのコスト増加の可能性があります。

 

 

主な法的規制

・宅地建物取引業法

・国土利用計画法

・都市計画法

・建築基準法

・建設業法

・建築士法

・住宅の品質確保の促進等に関する法律

・金融サービスの提供に関する法律

・不動産特定共同事業法

・信託業法

・投資信託及び投資法人に関する法律

・資産の流動化に関する法律

・不動産投資顧問業登録規程

・住宅瑕疵担保履行法

・犯罪による収益の移転防止に関する法律

・マンションの管理の適正化の推進に関する法律

・建築物における衛生的環境の確保に関する法律

・警備業法

・消防法

・エネルギーの使用の合理化に関する法律

・貸金業法

・旅館業法

・食品衛生法

 

 

② 免許、許認可等

当社グループの事業は、上表の法的規制に基づく以下の関連許認可等を得て行っております。当社グループは、これらの許認可等を受けるための諸条件および関係法令の遵守に努めており、現時点において当該許認可等が取り消しとなる事由は発生しておりません。しかしながら、法令違反等によりこれらの許認可等が取り消される、あるいは一定期間の営業活動停止等の行政処分等がなされた場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。

また、今後これらの規制の強化、または新たな規制の導入により、事業活動が制約された場合、当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、関係法令の改廃情報および監督官庁からの発信文書の内容をリスク・コンプライアンス委員会等において共有、協議し、課題等の早期把握や対応に努めております。また、コンプライアンスに関する継続的な啓蒙活動や研修等により法令遵守の徹底を図っております。

 

(当社)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都知事

東京都知事免許(14)第24043号

2027年3月23日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

不動産投資顧問業登録

国土交通大臣

一般-第127号

2026年2月28日

不正な手段による登録や役員等の欠格条項違反に該当した場合は登録の取消(不動産投資顧問業登録規程第30条)

特定建設業許可

東京都知事

東京都知事許可(特-4)

第107905号

2027年12月9日

特定建設業に5年以上の経験を有する常勤役員・社員がいなくなった場合は許可の取消(建設業法第29条)

一級建築士事務所登録

東京都知事

(本社)

東京都知事登録第46219号

2026年4月9日

不正な手段による登録や一級建築士等の欠格条項違反に該当した場合は登録の取消(建築士法第26条)

貸金業登録

東京都知事

東京都知事(1)第31987号

2027年7月25日

不正の手段による登録や欠格条項違反に該当する場合は登録の取消(貸金業法第24条の6の5)

不動産特定共同事業許可

金融庁長官・

国土交通大臣

金融庁長官・国土交通大臣許可第102号

宅地建物取引業免許の取消や役員等の欠格条項違反に該当した場合は許可の取消(不動産特定共同事業法第36条)

金融商品取引業登録(第二種金融商品取引業、投資助言・代理業)

金融庁

関東財務局長(金商)

第898号

不正な手段による登録や資本金または業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥るおそれがある場合は登録の取消(金融商品取引法第52条)

 

 

(トーセイ・コミュニティ㈱)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

国土交通大臣

国土交通大臣(1)第10644号

2029年3月19日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

特定建設業許可

東京都知事

東京都知事許可(特-4)
第119534号

2028年3月10日

特定建設業に5年以上の経験を有する常勤役員・社員がいなくなった場合は許可の取消(建設業法第29条)

一級建築士事務所登録

東京都知事

東京都知事登録第49526号

2029年1月14日

不正な手段による登録や一級建築士等の欠格条項違反に該当した場合は登録の取消(建築士法第26条)

マンション管理業登録

国土交通大臣

国土交通大臣(5)第030488号

2027年5月21日

不正な手段による登録や役員等の欠格条項違反に該当した場合は登録の取消(マンションの管理の適正化の推進に関する法律第83条)

建築物環境衛生総合管理業登録

東京都知事

東京都19総
第273号

2025年10月3日

不正な手段による登録や役員等の欠格条項違反に該当した場合は登録の取消(建築物における衛生的環境の確保に関する法律第12条の四)

警備業認定

東京都公安委員会

東京都公安委員会認定
第30002591号

2026年10月14日

不正な手段による認定や欠格事由に該当している場合に認定の取消(警備業法第8条)

賃貸住宅管理業

国土交通大臣

国土交通大臣(01)第000240号

2026年7月29日

不正な手段による登録や賃貸住宅管理業者の欠格条項違反に該当した場合は登録の取消(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第23条)

 

 

 

(トーセイ・アセット・アドバイザーズ㈱)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都知事

東京都知事免許(4)第85736号

2026年4月7日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

不動産特定共同事業許可

金融庁長官・国土交通大臣

金融庁長官・国土交通大臣許可第70号

宅地建物取引業免許の取消や役員等の欠格条項違反に該当した場合は許可の取消(不動産特定共同事業法第36条)

金融商品取引業登録(投資運用業(不動産関連特定投資運用業)、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業)

金融庁

関東財務局長(金商)
第363号

不正な手段による登録や資本金または業務又は財産の状況に照らし支払不能に陥るおそれがある場合は登録の取消(金融商品取引法第52条)

取引一任代理等の認可

国土交通大臣

国土交通大臣
認可第52号

不正な手段による認可の取得や業務に関し取引の相手に損害を与えた場合は認可の取消(宅地建物取引業法第67条の2)

 

 

(トーセイ・ロジ・マネジメント㈱)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都知事

東京都知事免許(4)第88903号

2028年2月22日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 

(トーセイ・ホテル・マネジメント㈱)

 

<トーセイホテルココネ神田>

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

旅館業営業許可書

千代田保健所長

旅館業営業許可

構造設備基準又は衛生基準に反するとき等は認可の取消

 

 

<トーセイホテルココネ上野>

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

旅館業営業許可書

台東保健所長

旅館業営業許可

構造設備基準又は衛生基準に反するとき等は認可の取消

 

 

<トーセイホテル&セミナー幕張>

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

旅館業営業許可書

習志野保健所長

旅館業営業許可

構造設備基準又は衛生基準に反するとき等は認可の取消

飲食店営業許可証

(レストラン)

習志野保健所長

飲食店営業許可

2026年2月28日

人の健康を損なう食品の販売、食器の使用あるいは、公衆衛生上必要な条件を満たさない食品の販売、添加物・食器等の使用、虚偽広告をした場合は営業の禁止(食品衛生法第60条、61条

飲食店営業許可証

(カフェ)

習志野保健所長

飲食店営業許可

2026年2月28日

人の健康を損なう食品の販売、食器の使用あるいは、公衆衛生上必要な条件を満たさない食品の販売、添加物・食器等の使用、虚偽広告をした場合は営業の禁止(食品衛生法第60条、61条

 

 

<トーセイホテルココネ浅草蔵前>

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

旅館業営業許可書

台東保健所長

旅館業営業許可

構造設備基準又は衛生基準に反するとき等は認可の取消

 

 

<トーセイホテルココネ上野御徒町>

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

旅館業営業許可書

台東保健所長

旅館業営業許可

構造設備基準又は衛生基準に反するとき等は認可の取消

 

 

<トーセイホテルココネ浅草>

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

旅館業営業許可書

台東保健所長

旅館業営業許可

構造設備基準又は衛生基準に反するとき等は認可の取消

 

 

<トーセイホテルココネ鎌倉>

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

旅館業営業許可証

鎌倉保健福祉事務所長

旅館業営業許可

構造設備基準又は衛生基準に反するとき等は認可の取消

営業許可証

鎌倉保健福祉事務所長

飲食店営業許可

2028年9月27日

人の健康を損なう食品の販売、食器の使用あるいは、公衆衛生上必要な条件を満たさない食品の販売、添加物・食器等の使用、虚偽広告をした場合は営業の禁止(食品衛生法第60条、61条

 

 

トーセイホテルココネ築地プレミア

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

旅館業営業許可書

中央区保健所長

旅館業営業許可

構造設備基準又は衛生基準に反するとき等は認可の取消

飲食店営業許可書

中央区保健所長

飲食店営業許可

2029年8月31日

人の健康を損なう食品の販売、食器の使用あるいは、公衆衛生上必要な条件を満たさない食品の販売、添加物・食器等の使用、虚偽広告をした場合は営業の禁止(食品衛生法第60条、61条)

公衆浴場営業許可書

中央区保健所長

公衆浴場営業許可

構造設備基準等に反するとき等は認可の取消

 

 

(㈱プリンセススクゥエアー)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都知事

東京都知事免許(8)第59205号

2026年7月20日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

賃貸住宅管理業

国土交通大臣

国土交通大臣(01)第000376号

2026年7月30日

不正な手段による登録や賃貸住宅管理業者の欠格条項違反に該当した場合は登録の取消(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第23条)

 

 

 

(トーセイ・アール㈱)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都知事

東京都知事免許(1)第109753号

2028年8月25日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 

(岸野商事㈱)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都知事

東京都知事免許(2)第99269号

2026年6月3日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 

(磯子アセットマネジメント㈱)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都知事

東京都知事免許

(1)第107826号

2027年5月20日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 

(芝浦レジデンシャル㈱)

 

許認可等の名称

所管

許認可等の内容

有効期間

取消、解約その他の事由

宅地建物取引業免許

東京都知事

東京都知事免許

(1)第109140号

2028年4月7日

不正な手段による免許の取得や役員等の欠格条項違反に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)

 

 

 

(5) 会計基準・不動産税制の変更について

会計基準、不動産税制に関する変更があった場合、資産保有および取得・売却時のコストの増加等により当社グループの経営成績、財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、会計基準及び不動産税制の変更に関して適時に情報を収集することで、当社グループの経営成績、財務状況に与える影響を早期に把握するよう努めております。

 

(6) 新規事業について

当社グループは、不動産テックビジネスであるクラウドファンディング、セキュリティ・トークンやデジタルマッチングを活用した不動産事業を推進しております。これら事業の業績には様々な不確実性を伴うため、想定しうるリスクに対する内部管理体制の構築、人材の充実、保険の付保等を行っておりますが、想定を超えるリスクの発生、法令や諸規制の変更によっては、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、可能な限りリスクを想定した内部管理体制の構築、人材の充実、保険の付保等を行うとともに、事業戦略の進捗状況や事業環境の変化等について定期的にモニタリングを行い、環境変化に応じた戦略の見直しを適時に行っております

 

(7) 人事労務に関するリスク

当社グループの事業の特性に鑑み、人材は極めて重要な経営資源であり、事業継続、拡大のためには、優秀な人材を確保し、育成することが不可欠となります。

少子高齢化による人材確保難や労働市場の変化などによって、人材の流出、人材の継続的な確保や育成が不十分である場合には、当社グループの事業、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「人を経営の根幹とし、心豊かな真のプロフェッショナルを育成し続ける」という経営理念のもと、従業員の健康と安全を重要な経営課題と捉え、従業員がいきいきと働ける職場環境を整備し、健康維持・増進の施策を積極的に取り組んでおります。

 

(8) サステナビリティについて

サステナビリティに配慮したESG経営の重要性は、年々高まっております。当社グループの取組みが適切に行われず対応に遅れや不備が発生した場合、地域社会や顧客、取引先、従業員、投資家、市場からの信頼を損ない、当社グループの事業戦略や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、環境分野においては世界的に気候変動の影響がより一層顕著となり、気候変動に伴う物理的な被害や気候関連の規制強化、脱炭素・低炭素社会への移行に対する適切な緩和策と適応策の取り組みに遅れや不備が生じた場合、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、社会分野では人材の多様性の確保を含む人材育成や登用、社内環境整備等、人的資本経営に関する体制整備や実行計画、情報開示等に遅れや不備が生じた場合、企業価値創造の源泉となる中核人材の確保や市場からの評価など、当社グループの人材戦略および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当該リスクへの対応策として、「トーセイグループESG方針・ESG行動指針」、「トーセイグループ人権方針」、「トーセイグループ環境ポリシー」、「トーセイグループ健康経営方針」などを制定の上、「サステナビリティ委員会」を設置し、サステナビリティ推進体制を整備、強化するとともに、ESG経営の実践および地球環境の負荷軽減への取り組みの推進を通じて、サステナビリティ課題のリスク低減に努めております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 ① 事業環境と経営成績等の状況に関する認識

当連結会計年度(2023年12月1日~2024年11月30日)における我が国経済は、個人消費の一部に足踏みがみられるものの、景気は緩やかに回復しています。しかし、欧米における高い金利水準の継続や中国経済の停滞等に伴う世界経済の下振れが国内景気の下押しリスクとなっており、日銀の利上げ動向や地政学的リスク、今後の米国の政策転換等と合わせて注視が必要です。

当社グループが属する不動産業界では、2024年1月~9月の国内不動産投資額は3兆8,567億円(前年同期比40%増)となり、世界都市別投資ランキングでは東京が1位継続となっています。相対的に低金利環境が続くなか、各アセットタイプで大型取引が増加し、国内不動産への投資額が増加しました。また、金利上昇下においても金融機関の融資姿勢に硬化はみられておらず、欧米投資家の投資意欲が回復傾向にあることなども相まって、引き続き国内不動産への旺盛な投資は続くとみられています(民間調査機関調べ)。

首都圏分譲マンション市場では、2024年1月~10月の新築発売戸数は14,953戸(前年同期比17.7%減)、2024年10月発売の平均価格は9,239万円(前年同月比40.7%上昇)となりました。供給数の減少や高騰する建築費の価格転嫁などにより平均価格は引き続き高水準で推移しています。首都圏中古マンション市場では、2024年1月~10月の成約戸数は30,857戸(前年同期比2.4%増)、2024年10月時点の平均価格は4,864万円(前年同月比2.2%上昇)となりました。富裕層や海外投資家の需要が高い都心エリアの物件が平均価格を押し上げており、実需層が多い郊外エリアとで価格動向に二極化がみられています。また、首都圏分譲戸建市場では、2024年1月~10月の着工戸数は44,452戸(前年同期比9.4%減)と2022年より減少傾向は続いており、2024年10月時点の新築物件の平均価格は4,540万円(前年同月比1.0%上昇)となりました。住宅ローン金利が上昇する中、エンドユーザー向け市場は全体的に購買意欲の低下が懸念されています(民間調査機関調べ)。

2024年1月~10月の建築費平均坪単価は、鉄骨鉄筋コンクリート造が1,772千円/坪(前年同期比49.8%上昇)、木造が727千円/坪(同8.5%上昇)となりました。足元の鋼材・木材価格はやや下落したものの高値水準で推移しており、加えて人手不足等による人件費高騰もあり、建築費の上昇は続いています(国土交通省調べ)。

東京都心ビジネス5区のオフィスビル賃貸市場では、オフィス移転や増床等による旺盛なオフィス需要を背景に2024年10月の平均空室率は4.5%(前年同月比1.6ポイント低下)となり、平均賃料は20,178円/坪(同2.2%上昇)と緩やかな上昇が続いています。一方、2025年には大量供給が予定されているため、引き続き動向に注視が必要です(民間調査機関調べ)。

首都圏賃貸マンション市場は好調に推移しており、2024年10月時点の平均募集賃料は11,791円/坪(前年同月比0.7%上昇)、J-REITが東京圏で保有するマンションの2024年8月末時点平均稼働率は97.4%(前年同月比0.1ポイント上昇)となりました(民間調査機関調べ)。

首都圏物流施設賃貸市場では、2024年10月時点の賃貸ストックは1,069万坪(前年同月比10.9%増)、空室率は8.6%(同1.5ポイント上昇)となりました。需要を上回る供給が続くなか、新築・築浅物件を中心にリーシング活動の長期化がみられており空室率は上昇しています。募集賃料は4,780円/坪(同3.9%上昇)と底堅く推移していますが、供給過多エリアでは弱含みもあり、首都圏内で格差がみられます(民間調査機関調べ)。

不動産ファンド市場では、2024年10月末時点のJ-REITの運用資産額は23.4兆円(前年同月比0.8兆円増加)、私募ファンドは運用資産額38.6兆円(2024年6月末時点、前年同月比5.2兆円増加)となり、両者合わせた証券化市場規模は62.0兆円まで拡大しています(民間調査機関調べ)。

東京都のビジネスホテル市場は、2024年1月~9月の平均客室稼働率は81.8%(前年同期比3.4ポイント上昇)、東京都の全施設タイプにおける同期間の延べ宿泊者数は8,150万人(同15.5%増)となりました。回復が遅れていた訪日中国人観光客数の復調が牽引し、今後も強いインバウンド需要は続くとみられています(観光庁調べ)。

このような事業環境の中、不動産再生事業や不動産開発事業において、物件販売ならびに将来の収益の源泉となる収益不動産や多種の開発用地の取得を進めてまいりました。また、ホテル事業ではインバウンド需要を取り込むとともに、不動産ファンド・コンサルティング事業における、アセットマネジメント受託資産残高の伸長に努めました。

以上の結果、当連結会計年度は、売上高82,191百万円(前連結会計年度比3.5%増)、営業利益18,488百万円(同13.7%増)、税引前利益17,364百万円(同13.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益11,985百万円(同14.1%増)となりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

 

(不動産再生事業)

当連結会計年度は、「T's garden西寺尾」(神奈川県横浜市)、「八丁堀トーセイビルⅡ」(東京都中央区)、「リエール市ヶ谷」(東京都新宿区)等40棟のバリューアップ物件及び中古区分マンション110戸を販売いたしました。

仕入につきましては、収益オフィスビル、賃貸マンション等を合わせて44棟、土地9件及び中古区分マンション88戸を取得しております。

また、保有する収益不動産の評価を見直したことにより、棚卸資産評価損16百万円及び棚卸資産評価損の戻入56百万円を計上しております。

以上の結果、不動産再生事業の売上高は37,221百万円(前連結会計年度比21.7%減)、セグメント利益は5,963百万円(前連結会計年度比32.8%減)となりました。

 

(不動産開発事業)

当連結会計年度は、物流施設「T's Logi青梅」(東京都西多摩郡)、商業施設「T'S BRIGHTIA自由が丘」(東京都目黒区)、賃貸アパート「T's Cuore浮間舟渡Ⅰ」(東京都北区)、「T's Cuore椎名町」(東京都豊島区)を販売いたしました。また、戸建住宅では「THEパームスコート学芸大学」(東京都目黒区)等において、28戸を販売いたしました。

仕入につきましては、賃貸マンション開発用地4件、賃貸アパート開発用地15件、133戸分の戸建住宅開発用地を取得しております

また、保有する収益不動産の評価を見直したことにより、棚卸資産評価損の戻入を361百万円計上しております。

以上の結果、不動産開発事業の売上高は16,659百万円(前連結会計年度比129.9%増)、セグメント利益は4,962百万円(前連結会計年度比378.9%増)となりました。

 

(不動産賃貸事業)

当連結会計年度は、保有する賃貸物件のリーシングに注力しました。

当連結会計年度末の賃貸物件数は、物件取得36棟及び賃貸開始9棟、物件売却31棟及び賃貸終了5棟に伴い、前連結会計年度末の114棟より、9棟増加し123棟となりました

以上の結果、不動産賃貸事業の売上高は8,088百万円(前連結会計年度比21.5%増)、セグメント利益は4,083百万円(前連結会計年度比26.4%増)となりました。

 

(不動産ファンド・コンサルティング事業)

当連結会計年度は、前連結会計年度末のアセットマネジメント受託資産残高(注)2,352,454百万円から、ファンドの物件売却等により209,882百万円の残高が減少した一方で、新たにアセットマネジメント契約を受託したことにより、301,237百万円の残高が増加し、当連結会計年度末のアセットマネジメント受託資産残高は2,443,808百万円となりました。

以上の結果、不動産ファンド・コンサルティング事業の売上高は6,819百万円(前連結会計年度比7.6%減)、セグメント利益は3,824百万円(前連結会計年度比16.1%減)となりました。

(注) アセットマネジメント受託資産残高には、一部コンサルティング契約等に基づく残高を含んでおります。

 

 

(不動産管理事業)

当連結会計年度は、新規契約の獲得及び既存契約の維持に努めました。当連結会計年度末での管理棟数は、オフィスビル、ホテル及び物流施設等で571棟、分譲マンション及び賃貸マンションで392棟、合計963棟(前連結会計年度末比105棟増加)となりました。

以上の結果、不動産管理事業の売上高は7,104百万円(前連結会計年度比9.8%増)、セグメント利益は1,039百万円(前連結会計年度比27.7%増)となりました。

 

(ホテル事業)

当連結会計年度は、国内需要の回復とインバウンド需要の取り込みにより、客室稼働率及び客室単価が向上し、売上高、セグメント損益ともに前年同期を大きく上回りました

以上の結果、ホテル事業の売上高は6,297百万円(前連結会計年度比51.4%増)、セグメント利益は2,206百万円(前連結会計年度比122.8%増)となりました。

 

 ② 経営成績等に関する分析・検討内容 

当連結会計年度の首都圏不動産市場は、低金利環境や国内金融機関の良好な貸出姿勢が継続し、国内外投資家による活発な不動産取引がありました。また、金利上昇による負担増が意識されつつも、オフィスは事業拡大等に伴う増床や移転を背景に賃料が底打ちし、さらにインフレによる賃料上昇圧力が強まっているほか、ホテルは円安環境を追い風にしたインバウンド需要の拡大により客室単価が引きあがるなど、不動産の収益性に上昇期待がみられています。

このような事業環境のなか、当連結会計年度の業績は、売上高は821億円(期初計画比10.8%減)、営業利益は184億円(同4.4%増)、税引前利益は173億円(同5.2%増)となりました。売上高は、不動産再生事業において高い利益率での物件販売が実現したことから、戦略的に当期販売計画の一部を翌期以降に変更したために期初計画比で減収となりましたが、利益については、不動産再生事業での利益率上振れに加えてホテル事業が好業績で推移し、期初計画比で増益となりました。税引前利益・当期利益ともに3期連続で過去最高益を更新するなど、当社グループの中期経営計画「Further Evolution 2026」の初年度は、好調な滑り出しとなりました。

事業セグメント別では、主力事業である不動産再生事業においては、当社の強みである多様な不動産ソリューション力を活かし、1棟物件・区分マンションともに、高利益率での物件販売を実現しました。不動産開発事業においては、大型物流施設や商業施設を投資家向けに販売したほか、建築費高騰への対策として木造商品のラインナップを拡充し、高価格帯戸建住宅や木造賃貸アパートの新築・販売を推進しました。

また、当社が安定事業と位置付けるストック・フィービジネスにおいて、不動産賃貸事業は、販売時期の先送りに伴う棚卸資産からの賃貸収益を継続して収受できたことや、賃料引上げの取り組みなどにより、期初計画を上回る実績となりました。不動産ファンド・コンサルティング事業は、国内外投資家からの新規受託は概ね計画通りに獲得できたものの、既存受託ファンドにおける物件売却が当社見込みを上回ったことにより、受託資産残高は2.4兆円(前期末比913億円増)と期初計画の2.5兆円に届かず、セグメント利益は期初計画を若干下回りました。不動産管理事業は、事業承継支援を通じて不動産保有会社の管理事業を承継したことによる管理受託棟数の増加などが寄与し、計画を上回る結果となりました。ホテル事業は、2023年9月に開業した「トーセイホテル ココネ築地銀座プレミア」を中心にインバウンド需要の取り込みを推進し、大幅増収増益を達成しました。

不動産とDXの融合による新たな収益モデルの創出を目指す取組みについては、トーセイ不動産クラウド TREC FUNDINGにおいて新たに2ファンドを組成し、累計運用実績が11ファンド・31億円となったほか、不動産セキュリティ・トークン「トーセイ・プロパティ・ファンド(シリーズ3)市ヶ谷」を発行し、2024年9月に大阪デジタルエクスチェンジ株式会社が運営する私設取引システム「START」における取り扱いを開始しました。また、最先端のデジタルプラットフォームを活用して購入者に適した投資物件を効率的に結びつける、不動産デジタルマッチングサービスTRESQを個人投資家に向けて提供しています。引き続き事業を通じたDXを推し進めるとともに、資金調達手法ならびに出口戦略の多様化、さらには投資家の皆さまの不動産に対する投資機会の多様化を図ってまいります。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当社グループは、不動産再生事業、不動産開発事業、不動産賃貸事業、不動産ファンド・コンサルティング事業、不動産管理事業及びホテル事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 

② 受注実績

当社グループにおいて受注生産を行っておりますが、グループ事業全体における重要性が低いため、受注実績の記載はしておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2023年12月1日
 至 2024年11月30日)

前連結会計年度比
(%)

金額(千円)

不動産再生事業

37,221,768

△21.7

不動産開発事業

16,659,822

129.9

不動産賃貸事業

8,088,698

21.5

不動産ファンド・コンサルティング事業

6,819,917

△7.6

不動産管理事業

7,104,472

9.8

ホテル事業

6,297,148

51.4

合計

82,191,828

3.5

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 2022年12月1日
 至 2023年11月30日)

当連結会計年度
(自 2023年12月1日
 至 2024年11月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

パライバ合同会社

10,326,440

12.5

トーセイ・リート投資法人

1,059,869

1.3

4,795,201

5.8

 

 

 

(3) 財政状態

当連結会計年度末における財政状態は、総資産276,815百万円(前連結会計年度末比12.8%増)、負債185,948百万円(同14.1%増)、資本90,866百万円(同10.4%増)となりました。また、親会社所有者帰属持分比率は32.7%(前連結会計年度末は33.4%)となっております。

 

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、190,330百万円となり、前連結会計年度末に比べ27,499百万円増加しております。これは主に、当社グループの主力事業であります不動産再生事業及び不動産開発事業において、物件の仕入が売却を上回ったことによる棚卸資産の増加(前連結会計年度末比28,565百万円増)等によるものであります。

 

(非流動資産)

当連結会計年度末における非流動資産の残高は、86,485百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,986百万円増加しております。これは主に、投資不動産の増加(前連結会計年度末比3,140百万円増)等によるものであります。

 

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、34,648百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,294百万円増加しております。これは主に、有利子負債の増加(前連結会計年度末比7,002百万円増)等によるものであります。

 

(非流動負債)

当連結会計年度末における非流動負債の残高は、151,300百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,643百万円増加しております。これは主に、有利子負債の増加(前連結会計年度末比12,310百万円増)等によるものであります。

 

(資本)

当連結会計年度末における資本の残高は、90,866百万円となり、前連結会計年度末に比べ8,547百万円増加しております。これは主に、利益剰余金の積み上げ、配当金の支払等によるものであります。

 

 

(4) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4,323百万円減少し、34,874百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は、13,045百万円(前連結会計年度は、5,722百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前利益17,364百万円、棚卸資産の増加29,310百万円、法人所得税の支払額5,624百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、5,608百万円(前連結会計年度比65.2%減)となりました。これは主に、貸付金の実行による支出8,840百万円、貸付金の回収による収入7,804百万円、その他の金融資産の取得による支出2,360百万円、投資不動産の取得による支出2,448百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は、14,329百万円(前連結会計年度比19.5%減)となりました。これは主に、長期借入れによる収入59,194百万円等があったものの、長期借入金の返済による支出42,352百万円及び配当金の支払額3,192百万円等があったことによるものであります。

 

キャッシュ・フロー指標のトレンド

 

 

2022年11月期

2023年11月期

2024年11月期

親会社所有者帰属持分比率(%)

34.3

33.4

32.7

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率(%)

31.4

35.5

42.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

25.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

3.6

 

親会社所有者帰属持分比率      :親会社所有者帰属持分/資産合計

時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 :有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ  :キャッシュ・フロー/利払い

(注1) いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2) 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

(注3) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。

(注4) 有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利息を支払っている全ての負債を対象としております。

(注5) 2022年11月期及び2024年11月期は、連結キャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについて記載しておりません。

 

(5) 重要性がある会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載されているとおりであります。

 

 

(6) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標について

中期経営計画「Further Evolution 2026」(2023年12月~2026年11月) の計画数値に対する当連結会計年度の実績については以下の通りとなっております。

当連結会計年度の経営成績の分析につきましては前述の「(1)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。

 

定量計画(連結)※下線部を修正しております。

業績動向並びに事業環境の見通しを踏まえ、以下の通り計画を修正しております(2025年1月10日発表)。

 

初年度

2024年11月期

計画

2年目

2025年11月期

修正計画

3年目(最終年度)

2026年11月期

修正計画

連結売上高

921億円

1,020億円

1,230億円

連結税引前利益

165億円

188億円

202億円

ROE

13.0%

13.5%

13.2%

安定事業比率
(営業利益ベース)

45%以上

45%以上

45%以上

自己資本比率

35%程度

35%程度

35%程度

ネットD/Eレシオ

1.4倍程度

1.4倍程度

1.4倍程度

配当性向

31.5%

33.7%

35.0%

 

 

<当連結会計年度までの実績>

 

2024年11月期

連結売上高

821億円

連結税引前利益

173億円

ROE

13.9%

安定事業比率
(営業利益ベース)

50.5%

自己資本比率

32.7%

ネットD/Eレシオ

1.45倍

配当性向

31.9%

 

 

(7) 資本の財源及び資金の流動性に関する事項

当社グループの事業活動における資金需要は、主に事業用建物および土地の仕入に関するものであります。当社グループはこれらの需要について、自己資金に加え、銀行借入を中心に機動性と長期安定性を重視した資金調達を実施しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年5月24日開催の取締役会(以下「本取締役会」という。)において、名古屋鉄道株式会社(証券コード:9048、本社:愛知県名古屋市、取締役社長:髙﨑裕樹、以下「名古屋鉄道」という。)との間で、同日付で資本業務提携契約(以下「本資本業務提携契約」といい、本資本業務提携契約に基づく資本業務提携を「本資本業務提携」という。)を締結することを決議し、同日付で本資本業務提携契約を締結いたしました。

 

1.本資本業務提携の目的および理由

当社グループは、「私たちは、グローバルな発想を持つ心豊かなプロフェッショナル集団としてあらゆる不動産シーンにおいて新たな価値と感動を創造する。」ことを存在理念とし、常に「モノづくり」へのこだわりを持ち、不動産と金融の融合を意識した多様な不動産関連事業の推進により社会に貢献し、グループ企業価値を向上することを目指しております。

当社グループは、6事業からなる不動産関連事業を通じて、不動産の潜在価値を顕在化する様々なソリューションを提供してまいりました。また、事業特性の異なる複数事業を組み合わせることにより、リスクを低減しながら事業領域を広げており、多種多様なアセットを取り扱うことが出来るポートフォリオマネージャーとして不動産投資技術の研鑽を続けております。また、アセットマネジメントの分野では、世界の不動産投資家に信頼される世界品質でのサービスを提供しており、これらの「不動産ソリューション力」・「ポートフォリオ・マネジメント力」・「グローバル・リーチ力」を当社のコア・コンピタンスとして更に発展させながら、事業成長と長期ビジョン2032の実現に取り組んでおります。

当社グループの主力市場である首都圏不動産投資市場は、低金利環境による円安進行やイールドギャップの厚み、地政学的リスクの低さなどから、海外主要都市に比べて相対的に高い優位性を維持しており、引き続き投資資金の流入が期待されています。一方で、2024年度はデフレ脱却に向けた政府の経済対策が推進され、日銀によるマイナス金利解除などの金融政策正常化に向けた動きが予想されることから、不動産投資家の投資意欲や金融機関の融資姿勢、住宅需要の変化、長期化する建築費高騰などに注視する必要があると認識しています。

このような状況のもと、当社は独自での成長戦略を描くだけでなく、上記のような環境変化への対応力の強化も見据え、財務的信用力が高く土地取得能力があるパートナー企業との提携を模索しており、ともに協働して不動産事業に取り組むことが最善の成長戦略であると認識し、業務提携先を検討してまいりました。

一方、本資本業務提携の相手先である名古屋鉄道は2024年3月に策定した「新・名鉄グループ経営ビジョン、2040年のありたい姿、中長期経営戦略及び中期経営計画(2024年度~2026年度)」において、2024年度~2026年度を「成長基盤構築・収益力強化期」と位置付け、コロナ禍を経てライフスタイル等の変化が加速し、人口減少、少子高齢化が確実に進展していく中でも、名古屋鉄道グループが持続的な成長と企業価値の向上を実現していくために5つの重点テーマを掲げ、「魅力ある地域づくり・まちづくり」や「稼ぐ力の強化・構造改革の推進」の観点から、沿線・地域の開発を通じてさらなる活性化を図るとともに、成長と財務健全性の維持を両立するべく不動産事業の複線化を進めるなど、成長が見込まれる分野である不動産事業のさらなる収益力強化に取り組んでおります。

当社と名古屋鉄道は、両社の不動産事業の協業の可能性について協議を重ねた結果、当社グループの企業価値の源泉である「不動産ソリューション力」・「ポートフォリオ・マネジメント力」・「グローバル・リーチ力」を活かし、名古屋鉄道の強みである名古屋鉄道グループの持つ顧客層や中部圏に根差した確かな提案力を併せて活かすことにより相乗効果を生み出すことが可能となり、両社の企業価値の最大化が期待できることから、資本業務提携を行うことについて合意に至りました。

 

2.本資本業務提携の内容等

(1)業務提携の内容

当社と名古屋鉄道は、これまでに培ってきた各々のノウハウ及び強みを相乗的に活かし、不動産事業の共同プロジェクト、不動産ファンドビジネスの強化および各々が強みとする事業エリアにおける不動産への共同事業を推進することによる当社と名古屋鉄道グループの企業価値最大化を目指します。

 

(2)資本提携の内容

本株式譲渡により、主要株主である筆頭株主の山口誠一郎氏が所有する当社普通株式のうち合計7,500,100株(2023年11月30日時点の発行済株式総数に対する株式所有割合 15.40%(以下、小数点以下第3位を切り捨てて表示)、2023年11月30日時点の総議決権数に対する議決権割合 15.50%)を市場外での相対取引により名古屋鉄道に対して譲渡することについて合意し、2024年6月4日付で本株式譲渡が完了いたしました。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。