(1) 経営方針
当社グループは、「創造と革新」を経営理念に掲げ、「音と映像で、世界に感動をクリエイトする」ことをパーパスとして、企業活動を実践しています。
当社グループは、経営理念、パーパス、ビジョン、バリューの4つの要素で構成される「ヒビノグループ理念体系」を定めています。この「ヒビノグループ理念体系」に基づく企業活動を通じて、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを深め、世界的な社会課題の解決につながる価値創造に取り組むことにより、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ります。
そのために、コーポレートガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと位置づけ、コーポレートガバナンス・コードの趣旨に賛同し、透明性・公正性を担保しつつ、迅速・果断な意思決定を行う仕組みの充実に努めています。
[ヒビノグループ理念体系]
経営理念:経営の根本的な考え方、創業の精神
「創造と革新(Creation & Innovation)」
パーパス:企業使命、存在意義
「音と映像で、世界に感動をクリエイトする」
ビジョン:ありたい姿、経営目標
「世界のヒビノへ」
音響と映像を中心に、販売・施工及びサービスを組み合わせたヒビノ独自のビジネスモデルを、アジア、北米、欧州の各地域に展開し、世界トップレベルのAV&ITグループを目指します。
バリュー:価値観、心構え
「ヒビノ10訓」
01 クオリティを最優先!
02 安全第一 現場事故、交通事故ゼロ!
03 現場主義経営 現場の意見を尊重!
04 とことんこだわるプロ集団!
05 業界初の製品、商品、サービスで常に先駆け!
06 お客様に感謝され、信頼度ナンバーワン!
07 オンリーワン ヒビノグループにしかできないことにこだわる!
08 大きな仕事にチャレンジ 目指せ世界ナンバーワン!
09 イノベーション 進化し続ける会社!
10 健康経営 心身が資本!健康が一番!
「ヒビノグループ行動規範」
「ヒビノグループ行動規範」については、当社ホームページをご覧ください。
https://www.hibino.co.jp/company/philosophy.html
(2) 中期経営計画「ビジョン2025」
当社グループを取り巻く経営環境は、アフターコロナにおける人々のライフスタイルや価値観の多様化、デジタル技術の加速度的な進展、サステナビリティに対する意識の高まり、またウクライナ情勢を含む地政学リスクの増大など、日々変化し、複雑さ・不確実さが増しています。一方で、大阪・関西万博の開催や都市再開発、メディア関連企業による投資の活発化、バーチャルプロダクション市場の拡大など、具体的なビジネスチャンスが生まれています。
このような状況のもと当社グループは、グループビジョン「世界のヒビノへ」を実現するためのマイルストーンとして、2023年3月期から2026年3月期までの4ヵ年を対象とした中期経営計画「ビジョン2025」に取り組んでいます。
① 期間
2023年3月期から2026年3月期
② 中期経営方針
イ.持続的成長を可能とする経営体質の構築
2つの成長戦略「ハニカム型経営」及び「イノベーション」への取り組みによって、持続的成長を可能とする経営体質を構築していきます。
ロ.健全経営の確立
適正な利益、財務の安定、人的資本の向上の好循環サイクルによる健全経営を確立していきます。
③ 中期成長戦略(経営の基本戦略)
イ.新領域への挑戦によるハニカム型経営の高度化
グループ内に収益を生み出す事業を多数有することで、外部環境の変化に強い事業構造を構築します。M&Aも活用しながら新領域に挑戦、事業領域を拡大し、ナンバーワンの技術やオンリーワンのビジネスモデルを持つ事業の集合体を形成するとともに、事業間連携によるシナジーを創出していきます。
ロ.イノベーションによる新規事業の創造と既存事業の革新
イノベーションが全従業員に浸透し日常的な活動となるべく、新アイデア提案制度を設け推進しています。外部の企業、研究機関、行政との連携(オープンイノベーション)も積極的に活用しながら、新規事業の創造と既存事業の革新に取り組みます。
④ 主要な経営課題
イ.高収益体質への変革
全部門共通の「一人当たり経常利益」最低目標値を設定し、部門ごとに収益力の向上を図りながら、ワンストップソリューション機能の強化と組織の最適化により、グループ総合力を発揮していきます。また、大阪・関西万博、メディア関連及び都市再開発の特需案件について、着実に受注・遂行していきます。
ロ.未来事業の創造
「騒音対策」と「バーチャルプロダクション」を戦略事業分野と位置づけ育成を図るとともに、新たなものづくりに挑戦します。また、ECを強化しB to Cビジネスの拡大を図ります。グローバル展開においては、海外M&Aを活用した世界4極体制(日本、アジア、北米、欧州)を確立し、海外売上高比率30%を目標とします。
ハ.DXの推進
ビジネスDXでは、部門ごとにデジタルイノベーションに取り組み、既存事業の高度化及び新規事業の創造を実現していきます。業務プロセスDXでは、グランドデザインに基づくグループ全体最適を追求しながら、バックオフィス効率化及び顧客関係強化を実現していきます。
ニ.サステナビリティマネジメントの推進
4つのマテリアリティを設定し、SDGsの達成に資する取り組みを推進します。音と映像に関する価値提供を通じて、音楽文化、映像文化、エンターテインメントの発展と安全・安心な社会の実現に貢献します。会社とともに成長し、持続可能な社会に貢献する人材を育成するとともに、一人ひとりが健康で安心して働ける職場環境を構築していきます。また、廃棄物削減や省力化等に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。
⑤ 財務目標
売上高 (2026年3月期):750億円、海外売上高比率30%以上
経常利益(2026年3月期):45億円(過去最高益の更新)、経常利益率6%
自己資本比率 :30%以上、目標40%
当社グループは、「音と映像で、世界に感動をクリエイトする」というパーパス(企業使命)のもと、事業を通じて社会課題の解決と人々のウェルビーイングに貢献し、誰もが感動と幸せを実感できるサステナブルな世界の実現を目指します。
(1)ガバナンス
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社グループは、「創造と革新」を経営理念に掲げ、「音と映像で、世界に感動をクリエイトする」ことをパーパスとして、企業活動を実践しています。
当社グループは、経営理念、パーパス、ビジョン、バリューの4つの要素で構成される「ヒビノグループ理念体系」を定めています。この「ヒビノグループ理念体系」に基づく企業活動を通じて、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを深め、世界的な社会課題の解決につながる価値創造に取り組むことにより、当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ります。
そのために、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと位置づけ、コーポレートガバナンス・コードの趣旨に賛同し、透明性・公正性を担保しつつ、迅速・果断な意思決定を行う仕組みの充実に努めています。
② コーポレート・ガバナンス体制
(2)リスク管理
① リスク管理体制
当社は、当社グループの企業活動における健全性の維持、並びに企業価値の最大化の実現に向けて、強固な内部管理体制を確立し運営・維持することを目的に、内部統制委員会を設置しています。
内部統制委員会は、全取締役を委員、全監査役をオブザーバーとして構成されています。
また、内部統制委員会は、その機能を補完する下部組織として、リスク管理委員会、コンプライアンス委員会及びJ-SOX委員会を設置し、各委員会に対して指示を行い、報告を求めることができる仕組みとなっています。
リスク管理委員会は、当社グループ全体の各種リスクを統率・管理しており、傘下に実行委員会として、安全管理委員会、防災管理委員会・交通安全管理委員会・衛生委員会を設置しています。
② リスク管理プロセス
当社グループでは、各事業部、各関連会社に、サステナビリティ関連リスクを含むリスク種類(56項目)毎の「発生確率」「影響度」についてアンケートを実施し、アンケート結果を売上高に応じて加重平均を行い、リスク種類毎にポイント化し、それに内部監査や現在の対応状況等を勘案のうえで総合的に判断し、重点リスクを決定しています。
その決定された重点リスクを、以下のマネジメントサイクルにてリスク管理を行っております。
(3)戦略
当社グループは、中期経営計画「ビジョン2025」の策定に合わせ、SDGsの達成に向けた4つのマテリアリティ(サステナビリティ重要課題)及び15の取り組みテーマを特定しております。2023年3月期には、これらの進捗を管理するために、指標(KPI)・目標の設定を行いました。
当社グループは、持続的な成長と持続可能な社会への貢献を一体として捉えたサステナビリティマネジメントを推進してまいります。
①4つのマテリアリティと15の取り組みテーマ
イ.世界中に音と映像を届ける
ヒビノグループは経営理念「創造と革新」のもと、音と映像に関する価値提供を通じて、音楽文化、映像文化、エンターテインメントの発展に貢献してきました。
技術革新がもたらす産業の大きな変化を取り込みながら、常にイノベーティブなビジネスを構築し、社会課題の解決に取り組みます。
・あらゆる人に音と映像を届ける
・音や映像に関するイノベーションの創出
・音響・映像・音楽業界の発展に貢献
・地域とのパートナーシップのもと、音と映像を活用したまちづくりに貢献
・音と映像の技術を伝える
ロ.脱炭素社会への貢献
気候変動を地球上のすべての生物に関わる大きな課題と捉え、脱炭素社会移行に向けた、持続可能な企業活動の実現を目指します。
SDGsやパリ協定で示された国際的な目標達成への貢献を目指し、廃棄物削減や省力化等に取り組みます。
・エココンサートの実現
・事業活動上の廃棄物削減推進
・事業活動上の省力化推進
ハ.健康で働きがいのある職場環境の構築(人的資本の育成及び環境整備の考え方)
会社とともに成長し、持続可能な社会に貢献する人材を育成するとともに、一人ひとりが健康で安心して働ける職場環境をつくります。
多様な人材が互いの個性や価値観を共有し、協働することによって、新たな価値を創造し続ける企業風土を醸成していきます。
・働きがいの創出
・さらに働きやすい職場環境の整備
・健康経営の推進
・ジェンダーフリーの実現
ニ.安全・安心な社会の実現
すべての人が安全・安心・快適で暮らしやすい社会の実現を目指します。
自然災害やパンデミック、交通事故や騒音などの脅威から、人々の健康と暮らしを守るためのさまざまな取り組み、基盤づくりを進めます。
・音や映像技術を用いた地域の安全・安心強化
・安全・衛生対策の強化
・防災・減災対策の強化
(4)指標及び目標
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取り組みテーマ |
具体的な取り組み、アプローチ |
中期経営計画「ビジョン2025」 (2026年3月期)の 指標(KPI)・目標 |
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あらゆる人に音と映像を届ける |
・音・映像の提供拡大に向けた事業領域・地域・顧客層の拡大 |
・連結売上高 750億円 ・海外売上高比率 30% |
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音や映像に関するイノベーションの創出 |
・音・映像の先端技術への挑戦 ・ヒビノイノベーション活動 ・社外パートナーとの連携による |
・音・映像の革新的な製品・商品・ |
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・ヒビノイノベーション活動 |
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音響・映像・音楽業界の発展に貢献 |
・市場リーダー地位の確立・維持 ・音・映像の先端技術への挑戦 ・業界団体等の活動への参画 |
販売施工事業 ・海外売上高 96億円 |
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建築音響施工事業 ・騒音対策事業売上高 50億円 |
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コンサート・イベントサービス事業 ・コンサート市場売上高 65億円 |
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取り組みテーマ |
具体的な取り組み、アプローチ |
中期経営計画「ビジョン2025」 (2026年3月期)の 指標(KPI)・目標 |
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地域とのパートナーシップのもと、音と映像を活用したまちづくりに貢献 |
・地域等とのパートナーシップ ・音・映像を活用したまちの賑わ |
・音・映像を活用したまちづくりの |
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音と映像の技術を伝える |
・当社グループにおける音・映像 |
・音・映像技術の見える化・教育、 |
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・音・映像技術に関する外部向け |
・音・映像技術に関する外部向け |
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エココンサートの実現 |
・エココンサート・イベントの |
・エココンサート・イベントの実現 |
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事業活動上の廃棄物削減推進 |
・廃棄物の排出減少 ・廃棄物の再利用 |
・バーチャルプロダクション事業 |
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事業活動上の省力化推進 |
・輸送に伴うエネルギー削減 ・省エネの推進 ・再生可能エネルギーの活用 |
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働きがいの創出 |
・働きがいのある仕事の創造・ |
・従業員エンゲージメントスコア (注) |
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さらに働きやすい職場環境の整備 |
・ワークライフバランスや多様な |
・男性育児休業取得率 80%(注) |
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健康経営の推進 |
・健康経営の推進 |
・健康経営優良法人の認定維持 ※当社は「健康経営優良法人2023」 |
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ジェンダーフリーの実現 |
・女性の活躍推進 |
・女性管理職比率 15%(注) ※2023年3月期当社の比率は ・女性採用比率 30%(注) |
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音や映像技術を用いた地域の安全・安心強化 |
・地域の音環境の整備 |
・騒音対策事業売上高 50億円 |
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安全・衛生対策の強化 |
・現場事故防止 |
・重大現場事故件数 0件 |
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・交通事故防止 |
・交通安全教育対象者の受講率 |
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防災・減災対策の強化 |
・防災・減災対策の強化 |
・有事対応計画に関する定期的な |
(注)健康で働きがいのある職場環境の構築(人的資本の育成及び環境整備の考え方)の取り組みテーマの2026年度3月期の指標・目標は、ヒビノ株式会社単体の数値であります。ヒビノ株式会社の達成を目指すとともに、連結会社ベースの指標・目標につきましても検討してまいります。
当社グループは、経営目標の達成を阻害するあらゆる不確実性をリスクととらえ、そのリスク管理を行う組織としてリスク管理委員会及び傘下の実行委員会(安全管理委員会・防災管理委員会・交通安全管理委員会・衛生委員会)を設置し、グループ横断的なリスクマネジメントサイクルを構築しています。
リスク管理委員会は、内部監査室と連携し、グループ全体を対象にリスクを洗い出し、経営への影響度と発生可能性等で評価を行い、優先的に対処すべき重要リスクを特定するとともに所管部門を定めます。重要リスクの所管部門は、リスクを低減する対策を検討・実行し、その進捗状況をリスク管理委員会に報告します。また、内部監査室は、このリスク低減活動についてモニタリング、助言を行っています。
当連結会計年度末現在において、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識している特に重要なリスクは「(8) 人材の安定的確保について」「(9) 情報セキュリティについて」「(3) 国際情勢の不安定化について」の3項目であり、それ以外の重要なリスクと合わせ、計13項目を主要なリスクと捉えています。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
(1) 災害・感染症等の発生について
地震、津波、台風等の自然災害、火災、停電、感染症(パンデミック)等が発生した場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、当社グループの主要な市場であるライブ・エンターテインメント市場に多大な影響を与え、当社グループの提供する製品、商品、サービスに対する需要減少が懸念されます。
これらに対し、当社グループは、災害・事故等の発生を防ぎ、また、万が一発生した場合の被害を最小限に抑えるため、リスク管理委員会を設置し、傘下の実行委員会(安全管理委員会・防災管理委員会・交通安全管理委員会・衛生委員会)における活動を通じて各種対策を検討しています。具体的には、事業継続計画(BCP)の策定、大規模地震及び新型インフルエンザ発生時におけるマニュアルの整備、安否確認システムの導入、定期的な防災訓練、テレワークの推進等の対策を実施しています。
新型コロナウイルス感染症に対しては、2020年2月26日付でヒビノGMC担当取締役を本部長とする「新型コロナウイルス対策本部」を設置し、国内外の当社グループ各拠点における影響等の情報収集を行うとともに、従業員の感染リスク低減のための必要な措置(テレワークや時差出勤等)を講じています。そのうえで、①財務の安定化、②収益改善、③経営改革による未来収益創造の3点をコロナ危機に対する方針として、対応を進めています。
(2) 景気変動について
当社グループの一部の事業は、日本国内の景気変動の影響を受けやすい傾向があります。企業の販売促進活動やその他のイベントは、景況に応じて広告宣伝費支出を増減させる企業が多いことから、開催数や規模が変動しやすい傾向にあります。また、景況感の悪化により企業の設備投資の抑制が進んだ場合や、政府及び地方自治体の方針により公共投資が削減された場合、計画されていたプロジェクトが中止や延期となる可能性があります。
これらの影響により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
これらに対し、当社グループは、「ハニカム型経営」によって事業の多角化を図るとともに、特定の顧客に依存することなく広範囲の業種にわたる顧客基盤を構築しています。また、海外売上高比率を30%にまで引き上げることを目標に、世界4極(日本、アジア、北米、欧州)での展開を進めることで、日本国内の景気変動リスクを最小限に抑えるよう努めてまいります。
(3) 国際情勢の不安定化について
当社グループは、商品販売及び役務提供を行うため、音響・映像機器等の多くを海外メーカーから仕入れています。米中対立やロシアによるウクライナへの軍事侵攻等によって国際情勢は不安定化しており、国内外の経済社会活動に大きな影響を及ぼしています。当社グループにおいても、世界的なサプライチェーン混乱に伴う商品の入荷遅延、メーカー仕入れ価格の上昇、輸送費の高騰といったリスクが顕在化しており、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
これらに対し、当社グループは、情報収集及び事業に与える影響の分析を行い、対策として、早期の商品手配、機動的な販売価格の改定等に取り組んでいます。
(4) 為替変動について
当社グループは、事業のグローバル化を推進しており、為替相場の変動は、外国通貨建ての売上高や仕入コストに影響を及ぼします。また、連結決算における海外連結子会社の財務諸表の円貨換算額にも影響を及ぼします。為替変動が想定以上となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
これらに対し、当社グループは、取引先企業との間で円建て等特定通貨による取引の交渉を進めるとともに、外貨通貨建て取引については、為替予約等のヘッジ取引により為替変動リスクの軽減に努めています。また、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時、経営会議に報告しています。そして、吸収できない為替変動に関しては、競合他社の動きも見つつ適切に売価反映を行うなど、関係部門は事業への影響を軽減する対策を講じています。
(5) 海外ブランド商品の輸入販売店契約について
当社グループは、海外メーカーと輸入販売店契約を締結して国内における輸入販売権を取得しています。これらの契約内容はメーカーごとに異なりますが、メーカーとの間で最低仕入額を設けるケースが多くなっており、輸入実績がメーカーの希望する金額を下回った場合は次回の契約に影響が及ぶ可能性があります。また、商品の開発・生産等に関しては、メーカーの事情に影響されるため、新商品の発表や商品供給に対する大幅な遅延や、メーカーの商品戦略に当社グループが考えているものと大きな乖離が発生する可能性があります。また、買収・統合等によりメーカー側の経営方針等が転換した場合、販売店が変更される可能性があります。これらの要因により、仕入先の海外メーカーとの取引関係が継続困難となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
これらに対し、当社グループは、多数の優秀なブランドの輸入販売権を確保することで、特定仕入先への依存によるリスクを軽減しています。著名なブランドだけではなく、まだ国内での知名度は高くなくても優秀であると当社グループが見極めたブランドの輸入販売店契約締結を推進し、優れた商品を直輸入販売することで業績拡大に努めています。
なお、現在、当社グループと仕入先の海外メーカーとの取引関係は安定しており、今後も良好な関係を継続する方針であります。
(6) 安全について
当社グループは、多数の施工現場、コンサート・イベント現場で業務を遂行しております。現場の安全確保に万全を期しておりますが、万が一、人身・施工物等に関わる重大な事故が発生した場合には、当社グループの信用、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
これらに対し、当社グループは、災害・事故等の発生を防ぎ、また、万が一発生した場合の被害を最小限に抑えるため、リスク管理委員会を設置し、傘下の実行委員会(安全管理委員会・防災管理委員会・交通安全管理委員会・衛生委員会)における活動を通じて各種対策を検討しています。具体的には、現場におけるヒヤリハット事例の原因究明と共有、安全教育の実施、工事を担当する指定工事業者への教育や指導を通じて安全の確保に努めています。
(7) M&Aについて
当社グループは、音響、映像、音楽、ライブの分野でナンバーワン、オンリーワンの企業が集まり連携する仕組みをつくる「ハニカム型経営」の推進を目的として積極的なM&Aを進めており、これを成長戦略の要と位置づけています。しかしながら、M&A後の事業環境の変化等により業績計画との乖離が生じる場合や、事業や人材等の統合が進まず期待するシナジー効果が得られない場合には、投下資本の回収に一定の期間を要する、または回収ができない可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、M&Aの実施に際して、対象企業の財務、法務、事業等について詳細なデューデリジェンスを行い、リスクを検討し正常収益力を分析したうえで機関決定しています。当社グループの経営戦略との整合性や将来における成長性、シナジー効果等についても、事前に十分に議論し進めるように努めています。
M&A後においては、シナジー実現に向けたフォローアップを行うとともに、業績が当初計画から大きく乖離していないかを月次で確認し、経営会議で報告しています。必要に応じて、関係部門は、今後の方向性や業績改善のための対策を検討しています。
当社は、2023年3月31日現在において、国内12社、海外9社の連結子会社があり、うち、国内12社、海外4社はM&Aによる子会社であります。子会社化した後に、過去最高売上高、過去最高益を更新した子会社も多く、連結業績に大きく貢献しています。
(8) 人材の安定的確保について
当社グループが提供する音響・映像機器のオペレートや、システム設計、メンテナンス等においては、専門的な知識や技術、ノウハウが要求されます。当社グループの持続的成長を可能とするためには、従業員一人ひとりの成長と活躍が欠かせません。今後、人材獲得競争の激化や人材の流動化が加速することが見込まれる中、従業員エンゲージメントの低下等により必要な人材の確保・育成が計画どおりに進まない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループでは、新卒社員の採用を強化するともに、高度な専門性を持つ人材の中途採用を進めています。また、教育研修の実施や自己啓発推進制度の導入により成長に資する機会を提供し、変化を先導するリーダーの育成に取り組んでいます。さらに、評価制度の充実、社内表彰制度の運用、ワークライフバランスを支える各種制度の整備、健康増進支援等の施策により、従業員がいきいきと働き、最大限の能力を発揮できるよう、環境整備に努めています。
(9) 情報セキュリティについて
当社グループは、業務の多くを情報システムに依存しています。コンピューターウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃によって情報システムに何らかの障害が生じた場合、当社グループの業務に重大な支障をきたす可能性があります。また、当社グループが保有する顧客や取引先、あるいは当社グループの機密情報や個人情報が、取扱いの不備や不正アクセス等により漏えいした場合には、当社グループの信用は低下し、損害賠償等を行う必要が生じることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
これらに対し、当社グループは、防御システムの多層化や情報システムの定期的なリプレイスなど、安定的に稼働できるよう対策を講じています。また、当社は、個人情報保護方針及び情報セキュリティ基本方針を定めるとともに、情報セキュリティに関する規程を整備し、情報管理の強化に努めています。具体的には、プライバシーマークを取得し、適切な個人情報の取扱いを実践することに加え、役員・従業員に対し情報セキュリティに関する研修やサイバー攻撃対応訓練を定期的に実施するなど、リテラシー向上に向けた取り組みを推進しています。
(10) コンプライアンスについて
当社グループは、事業活動を営むうえで、建設業法、製造物責任法、電気用品安全法、独占禁止法、下請法、労働基準法(その他 労務管理に関わる法令等を含む)等さまざまな法規制の適用を受けています。それらの法令の改廃、法的規制の新設・強化等が行われた場合、何らかの事情により法律に抵触する事態が生じた場合、当社グループの信用、経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、「ヒビノグループ行動規範」において法令を遵守することを定め、役員・従業員に対し研修等を通じて徹底を図っています。社内体制としては、代表取締役社長を委員長、全取締役を委員、全監査役をオブザーバーとする内部統制委員会を設置し、その機能を補完する下部組織であるコンプライアンス委員会に対して指示を行い、報告を求める仕組みとなっています。さらに、代表取締役社長直轄の内部監査室が子会社を含め内部監査を実施するとともに、内部通報制度を設置し、違法行為等の未然防止や早期発見に努めています。
(11) 資金調達について
当社グループは、事業活動に必要な資金調達を、金融機関からの借入等により行っています。金融市況及び景気動向の急激な変動があった場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
これらに対し、当社グループは、調達時の金利情勢、外部マクロ環境、当社グループの状況等を総合的に勘案し、資金調達を実施することとしています。また、金融機関との良好な関係を維持し、コミットメントライン等の活用により十分な流動性を確保するとともに、資金調達先及び期間の適度な分散等に努めています。
(12) 競合について
当社グループは音響と映像を中心とした製品、商品、サービスを多様な市場に提供しており、他の業務用音響・映像機器メーカーや、コンサート・イベントの音響サービス、大型映像サービス会社をはじめ、さまざまな企業と競合しております。今後、さらなる価格競争の激化や、当社グループよりも顧客のニーズに合った製品、商品及びサービスを提供できる企業が新たに台頭してくることも否定はできません。また、経済のグローバル化に伴い、欧米等先進国の企業だけでなく新興成長国の企業との競争も激化しつつあります。これらの場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの販売施工事業においては、競合他社との間で品質や機能・性能を含むさまざまな要素で競争しており、特に近年は、低価格化競争が激化しています。これらに対し、当社グループは、音と映像をコアとしたトータル・ソリューションの提供、顧客サービスの向上等によって競合他社との差別化を図り、競争力を維持・強化しています。
また、コンサート・イベントサービス事業においては、最新鋭かつ大量の機材を保有して競合他社との差別化を図るべく積極的な設備投資を実施していますが、今後、急速な技術革新により保有機材が陳腐化する可能性や、機材のコモディティ化、低価格化が進行した結果、機材での差別化が困難になる可能性があります。これらに対し、当社グループは、技術力やノウハウといった強みを生かすことはもとより、付加価値を生み出す源泉を機材等の有形資産から人的資産へとシフトするビジネスモデル変革を進めています。
(13) 技術革新について
当社グループの属する業務用音響・映像業界においては、技術の進化及び変化が著しく、当社グループが競争力を維持するためには、急速な技術革新に適時に対応していく必要があります。しかしながら、技術や市場ニーズの変化の読みと対応が遅れた場合、重点技術領域を強化するために必要な人材確保を含め適切な資源投下ができなかった場合などにおいては、当社グループの製品、商品、サービスの陳腐化、競争力低下等が生じる可能性があります。また、対応が可能な場合であったとしても、研究開発等に多額の費用が発生する可能性があります。かかる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。
これらに対し、当社グループでは、常に最新のソリューションを顧客に提供するため、最新の技術情報を把握し、将来における顧客ニーズや業界トレンドを予測して、新しい技術への投資と事業化を継続的に行っています。
また、2018年より、代表取締役社長を責任者とする「ヒビノ・イノベーション活動」(アイデア提案制度)を開始しております。アイデアから事業化までのプロセスの構築と体制整備を行うことで、新規事業のスピーディーな開発を可能としています。
経営成績等の状況の概要
(1) 財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、36,864百万円となり、前連結会計年度末と比べ5,956百万円増加しました。これは、売掛金並びに商品及び製品が増加したことが主な要因であります。
負債合計につきましては、27,382百万円となり、前連結会計年度末と比べ5,378百万円増加しました。これは短
期借入金が増加したことが主な要因であります。
純資産合計につきましては、9,482百万円となり、前連結会計年度末と比べ577百万円増加しました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の利益剰余金への計上が主な要因であります。
(2) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る行動制限の緩和等各種政策の効果により、経済社会活動の正常化が進んだものの、海外景気の下振れによるリスクをはじめ、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響が懸念され、先行きが見通せない状況が続いています。
当社グループを取り巻く経営環境は、イベント開催制限の緩和、外国人の入国規制の緩和等を受け、コンサート需要の回復が顕著であり、また、顧客の設備投資計画も活発化しています。
このような状況のもと当社グループは、グループビジョン「世界のヒビノへ」の実現に向け、中期経営計画「ビジョン2025」(2023年3月期~2026年3月期)に取り組んでいます。本中期経営計画では、中期経営方針として「持続的成長を可能とする経営体質の構築」「健全経営の確立」の2つを掲げています。成長戦略である「ハニカム型経営」と「イノベーション」を加速させ、M&Aも活用しながら新領域を伸ばすとともに、適正な利益、財務の安定、人的資本の向上の好循環サイクルを確立していきます。
この方針に基づき、第3四半期には、IoT(コネクテッド)関連製品の開発・製造・販売等を展開する株式会社Cerevoを連結子会社化しました。また、中国(上海)の連結子会社Hibino Asia Pacific (Shanghai) Limitedについて、グループ経営の最適化の観点から解散及び清算することを決定しました。なお、従来非連結子会社であった株式会社サンオーは、重要性が増したため、当連結会計年度より連結の範囲に含めています。
当連結会計年度は、コンサート・イベントサービス事業における東京オリンピック・パラリンピック特需の剥落に加え、建築音響施工事業も前連結会計年度に大型案件が集中したことから、売上高は前連結会計年度を下回りました。また、販売費及び一般管理費が営業活動の正常化及び連結子会社の増加に伴い増加したことから、営業利益以下の各段階利益は減少しました。一方で、当第4四半期連結会計期間においては、複数の大型案件の検収及び工事進捗により、前年同四半期と比べ業績の大幅な改善を図ることができました。
これらの結果、売上高41,922百万円(前連結会計年度比1.2%減)、営業利益1,229百万円(同8.2%減)、経常利益1,400百万円(同27.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益607百万円(同43.5%減)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法及び名称を変更しております。業績における前連結会計年度比較については、前連結会計年度の数値を変更後の区分方法及び名称に組み替えて比較しております。詳細は、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項」の(セグメント情報等)に記載のとおりであります。
[販売施工事業]
販売施工事業は、主軸である業務用音響・映像機器等の輸入販売において、コロナ禍で凍結・先送りされていた設備投資が再開され、市場別に強弱はあるものの回復基調が続きました。世界的なサプライチェーン混乱に伴う入荷遅延をはじめ、メーカー仕入れ価格の上昇、円安の進行や輸送費の高騰といった影響を受けながらも、売上高及びセグメント利益は前連結会計年度を上回りました。
韓国においては、日本と同様に輸入価格上昇等の影響を受けましたが、コロナ禍からの需要回復を追い風に事業規模拡大を図っています。
LEDディスプレイ・システム販売については、スタジアム・アリーナ等スポーツ施設向けの納入が増加したことなどから、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
また、グループ連携によるトータル・ソリューション販売も拡大しており、都心の再開発ビルや企業ギャラリー、イノベーション施設等の大型案件を手掛けました。
これらの結果、売上高20,124百万円(前連結会計年度比12.3%増)、セグメント利益449百万円(同231.1%増)となりました。
[建築音響施工事業]
建築音響施工事業は、放送局の建替やスタジオの新設、都市再開発に伴う文化・交流施設の新築計画が中長期的に控えていることから、良好な事業環境にあります。しかしながら、前連結会計年度に大型案件が集中した反動に加え、一部で着工時期のずれ込みや工期遅延、計画縮小が発生し、案件の端境期となったことから、売上高及びセグメント利益は前連結会計年度を下回りました。
当連結会計年度より連結化した子会社、株式会社サンオーは、自社製の防音パネル、サイレンサーを活用した騒音対策工事を行っており、当社グループの戦略事業分野と位置づける騒音対策の事業成長を支える一翼を担っています。
これらの結果、売上高7,963百万円(前連結会計年度比17.6%減)、セグメント利益466百万円(同28.2%減)となりました。
[コンサート・イベントサービス事業]
コンサート・イベントサービス事業は、東京オリンピック・パラリンピック特需の剥落により、売上高及びセグメント利益は前連結会計年度に及ばなかったものの、コロナ禍前の業績を上回りました。
主力のコンサート市場では、海外アーティストの来日公演やドーム・スタジアムクラスの大型ツアー、音楽フェスが再開されるなど活況を取り戻し、従来閑散期である第4四半期にも数多くのコンサートを受注しました。
戦略事業分野と位置づけるバーチャルプロダクションについては、新スタジオをオープンし、既設の「Hibino VFX Studio」のほか、顧客の外部スタジオでの常設運用等を合わせて5拠点でサービスを提供しています。
これらの結果、売上高13,835百万円(前連結会計年度比6.8%減)、セグメント利益1,435百万円(同18.8%減)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度に比べ823百万円減少し、2,754百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は2,442百万円(前連結会計年度は6,018百万円の資金獲得)となりました。
資金の主な減少要因としては、売上債権及び契約資産の増加額3,303百万円及び棚卸資産の増加額2,371百万
円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,060百万円(前連結会計年度比61.2%増)となりました。
資金の主な減少要因としては、有形固定資産の取得による支出2,679百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は4,550百万円(前連結会計年度は4,438百万円の資金使用)となりました。
資金の主な増加要因としては、短期借入金の純増額5,054百万円及び長期借入れによる収入4,300百万円であり
ます。
生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
販売施工事業 (千円) |
2,402,116 |
88.5 |
|
建築音響施工事業 (千円) |
4,782,581 |
83.2 |
|
合計 (千円) |
7,184,697 |
84.9 |
(注)1.販売施工事業の金額は、当期完成工事高及び製造原価を記載しております。
2.建築音響施工事業の金額は、当期完成工事高を記載しております。
3.前年同期比は、前連結会計年度の数値をセグメント変更後の区分方法及び名称に組み替えて比較しておりま
す。
(2) 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
販売施工事業 |
4,755,661 |
107.6 |
2,229,852 |
104.4 |
|
建築音響施工事業 |
7,096,537 |
130.3 |
6,909,954 |
178.1 |
|
合計 |
11,852,199 |
120.1 |
9,139,807 |
151.9 |
(注)1.販売施工事業の受注実績は、建設工事及び映像製品に係る特注品を対象としております。
2.建築音響施工事業の受注実績は、建設工事を対象としております。
3.前年同期比は、前連結会計年度の数値をセグメント変更後の区分方法及び名称に組み替えて比較しておりま
す。
(3) 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
販売施工事業 (千円) |
10,927,535 |
144.3 |
|
合計 (千円) |
10,927,535 |
144.3 |
(注)前年同期比は、前連結会計年度の数値をセグメント変更後の区分方法及び名称に組み替えて比較しておりま
す。
(4) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
販売施工事業 (千円) |
20,124,497 |
112.3 |
|
建築音響施工事業 (千円) |
7,963,020 |
82.4 |
|
コンサート・イベントサービス事業 (千円) |
13,835,058 |
93.2 |
|
合計 (千円) |
41,922,576 |
98.8 |
(注)1.前年同期比は、前連結会計年度の数値をセグメント変更後の区分方法及び名称に組み替えて比較しておりま
す。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで
あります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
パナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社 |
5,202,439 |
12.3 |
- |
- |
3.当連結会計年度については、総販売実績に対して10%以上に該当する相手先がないため記載を省略しており
ます。
4.パナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社は、2022年4月1日付で、吸収分割承継会社とし
てパナソニックコネクト株式会社に社名変更しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において分析、判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして経営陣は、資産・負債及び収益・費用の計上、偶発債務等の開示に関連した種々の見積りを行っております。これら見積りにつきましては過去の実績や状況を勘案した合理的な仮定に基づき判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5経理の状況の1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しており、重要な会社の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「同注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 売上高及び売上総利益
売上高は、コンサート・イベントサービス事業及び販売施工事業においてコロナ禍からの回復が進んだものの、東京オリンピック・パラリンピック特需剥落の影響を受けたことに加え、建築音響施工事業も前連結会計年度に大型案件が集中したことから、前連結会計年度と比べ減少しました。
売上総利益は、販売施工事業の増収効果と、コンサート・イベントサービス事業及び建築音響施工事業の売上総利益率改善により、前連結会計年度と比べ増加しました。
これらの結果、売上高41,922百万円(前連結会計年度比1.2%減)、売上総利益は14,207百万円(同5.3%増)となりました。
② 営業損益、経常損益
販売費及び一般管理費は、営業活動の正常化により人件費、旅費交通費等が増加したことや、連結子会社が2社増加したことに伴い、前連結会計年度比831百万円増の12,977百万円となりました。
営業外収益は、保険解約返戻金が増加しましたが、休業に伴う助成金収入及び中止案件の受取キャンセル料が減少したこと等により、前連結会計年度比495百万円減の335百万円となりました。
営業外費用は、前連結会計年度は業務委託費用及び輸送事故による損失の計上があったこと等により、前連結会計年度と比べ84百万円減少し、164百万円となりました。
これらの結果、営業利益は1,229百万円(同8.2%減)、経常利益は1,400百万円(同27.1%減)となりました。
③ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益
特別利益はなく、特別損失は、和解関連費用68百万円や、代理店契約解約損53百万円等を計上しました。
法人税、住民税及び事業税は398百万円、法人税等調整額は142百万円となりました。
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は607百万円(同43.5%減)となりました。
(3) 経営成績等に重要な影響を与える要因について
経営成績等に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に詳述したとおりであります。
(4) 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しは、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に詳述したとおりであります。
(5) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フロー
当社グループのキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」に詳述したとおりであります。
② 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、子会社取得に要する資金及び設備投資資金であります。設備(機材)投資資金は、最新鋭かつ大量の機材を保有し他社との差別化を図るために欠かすことのできないものです。また運転資金としては、売上債権の入金時期と仕入債務の支払時期に差異が出るため、一定の資金を常に保有しておく必要があります。
③ 財務政策
当社グループは、運転資金、子会社取得に要する資金及び設備投資資金について、必要に応じて借入による資金調達を行っております。運転資金につきましては、貸出コミットメント契約を締結し機動的な調達を行なっております。子会社取得に要する資金及び設備投資資金につきましては、長期借入金による調達を行っております。また、グループ全社資金の効率化を図るため、資金余剰状態にある子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うグループファイナンスを実施しております。
なお、貸出コミットメント契約の締結につきましては以下の財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、借入先の請求に基づき、借入金を一括返済することがあり(複数ある場合は、条件の厳しい方を記載しております。)、当社グループの財政状態、経営成績及び信用に影響が及ぶ可能性があります。
・各年度及び第2四半期の決算期末日において、貸借対照表(連結及び個別)における純資産の部の金額を、前年度決算期末日における純資産の部の合計額の80%以上に維持すること。
・各年度及び第2四半期の決算期末日における、損益計算書(連結及び個別)の営業損益及び経常損益においてそれぞれ損失を計上しないこと。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針は、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に詳述したとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、「創造と革新」を経営理念に掲げ、音と映像の事業を基軸としたプロ用AV&ITのトータル・ソリューション企業として、当社グループの持続的な成長の牽引力となるよう取り組んでおります。
当社グループは、レンタルシステムや常設型システム等の研究開発をしております。
(1)レンタルシステム
当社製LEDディスプレイ・システムを多数採用することによりクライアント等から好評を博しているコンサート・イベントサービス事業は、当該システムの広告塔にしてかつ最大のユーザーでもあることから、セグメントの枠を超えた厳しい要求や意見が非常に有効な助言となり製品開発はもちろん、効率的な研究開発の一助となっております。
(2) 常設型システム
あらゆる設置条件に最適な提案が行えるトータル・ソリューションシステムと同時に軽量、シンプルかつ堅牢で厳しい環境下においても耐久性に優れた全天候対応型構造について研究開発しております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
現在の主な研究開発テーマは、以下のとおりであります。
(1)より高精彩な、より臨場感あふれる「空間の演出に相応しい」LED表示装置
(2)高精彩(色調補正・輝度補正)の最適化
(3)LED表示装置用の映像信号変換装置及びLEDプロセッサーの操作性・利便性の向上
(4)現状の色再現性を超える次世代向けLED表示装置
(5)LEDを使用した表示装置以外の応用製品
(注) LED(エルイーディー): Light Emitting Diode(発光ダイオード)
プロセッサー: Processor(映像信号制御装置)