文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
ビジョン :「日本の食文化と『おもてなしの心』で世界中を笑顔に!」
店舗理念 :「たくさんのお客様に『ありがとう』と言われるお店でありたい」
基本コンセプト:「私たちは『挨拶』と『掃除』を基本として常に素直な心を持ち物事をプラス発想で考えお客様の笑顔のために『笑顔』と『元気』と『気くばり』で地域一番店を目指します」
(2) 経営環境
2020年から新型コロナウイルス感染症の拡大により、外食産業は一時的に急激に縮小したものの、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に位置づけられて以降は、経済活動は順調に回復しております。しかし、長引くウクライナ情勢等の影響により食材及び資源エネルギー価格の高止まりが続いており、また人口減少に伴う慢性的な人員不足は解消されておらず、先行き不透明な経済環境が続くとの想定から、依然として予断を許さない状況と判断しております。
外食産業市場規模(売上高)の前年に対する増減率
出典「一般社団法人日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査」
国内外食産業は、人口減少による市場の成長鈍化、少子高齢化による労働力人口の減少など、経営環境は今後さらに厳しさを増すものと予測されます。このような経営環境のなか、当社は「日本の食文化と『おもてなしの心』で世界中を笑顔に!」をビジョンに掲げ、「加速度的な店舗展開&収益構造の変革」、そして「食の総合企業」への飛躍を中長期的な経営戦略として掲げております。
当社は「京都北白川ラーメン魁力屋」ブランドを関東、東海、関西など三大都市圏を中心に店舗展開しており、当社の主力商品「京都背脂醤油ラーメン」は、三大都市圏に加えて、東北地方や中国地方、沖縄県にも出店するなど、地域嗜好性にあまり左右されない特長をもちます。この特長により、地方都市も含め、国内市場をさらに深耕できるものと考えております。
直営店は既存出店地域への出店を継続し、さらなるドミナント化を進めます。また、新商勢圏への出店はFC加盟店を中心に行い、その両輪で魁力屋事業の成長を加速してまいります。
海外市場において「ラーメン」は日本を代表する食文化として、広く認知されております。加えて、日本の伝統的文化を象徴する「京都」を屋号に冠する当社の「京都北白川ラーメン魁力屋」は、2024年12月末現在国内に151店舗を展開しており、「京都」を代表するラーメンチェーンとして国内で高い知名度を有するとともに、海外展開においても優位性を発揮するものと考えております。中長期計画に則り、海外進出の時期及び地域を積極的に検討してまいります。
魁力屋事業は店舗での「仕込み」「調理」にこだわり事業展開してまいりましたが、労働人口の減少や人件費コストの高騰、今後加速する国内フランチャイズ事業、海外事業においても、安定した品質の商品を提供し続けるために、店舗での「仕込み」作業の一部を外注化するとともに、「麺」や「スープ」「チャーシュー」など主力商材について、PB開発や製造機能の保有など、ノウハウの蓄積と収益力の強化に対して積極的に取り組んでまいります。また、これら商流機能の強化により、新たなBtoBビジネス(同業種への商材販売やコンサルティング)、BtoCビジネス(店頭や小売店、ECサイト等での自社製品の販売)の開発を検討し、中長期的ビジョンである「食の総合企業」への飛躍を目指してまいります。
当社は、「京都北白川ラーメン魁力屋」ブランドによる長期的な国内店舗数の目標を700店舗としております。
株式上場により、社会的信用力の向上、優秀な人材を採用する機会や店舗不動産の情報を得る機会が増加し、出店が加速する可能性がある一方で、魁力屋事業に次ぐ新たな事業の開発は中長期的な経営戦略において重要な課題の一つであります。外食事業を取り巻く環境の変化に応じて、新規事業の開発に取り組んでまいります。
今後の見通しにつきましては、足元の経済動向は、賃上げによる所得環境の改善により、個人消費は堅調に推移し、好調な企業業績を背景に設備投資が持ち直す等、引き続き緩やかな回復基調で推移するものと予想されます。しかしながら、世界各地で地政学的に不安定な状態が継続しており、米国新政権の政策如何によっては世界的な貿易摩擦が生じる可能性があり、先行きは依然不透明であります。
外食産業におきましては、所得環境の改善やインバウンド需要の拡大により、外食需要は引き続き堅調に推移するものと予想されますが、原材料価格の高止まりや人手不足の解消に対する対応が課題であります。
このような状況の中、当社の2025年12月期の売上高は、堅調な外食需要と積極的な出店の継続等により昨年を上回る水準で推移するものと予想されます。また、利益面におきましては、米をはじめとした原材料価格の高止まりや賃上げに伴う人件費上昇等の懸念材料はあるものの、売上高の増加等により各利益とも昨年を上回り、増収増益で推移する見込みであります。以上の状況を踏まえ、次期の業績につきましては、売上高は14,000百万円(前期比14.1%増)、営業利益は1,000百万円(前期比16.2%増)、経常利益は1,000百万円(前期比13.6%増)、当期純利益は620百万円(前期比15.8%増)を予想しております。なお、これらの予想及び進捗は今後の市場環境等、様々な要因により変動する可能性を含んでおります。
また、中長期的には経営ビジョンである「日本の食文化と『おもてなしの心』で世界中を笑顔に!」を実現するため、引き続き「加速度的な店舗展開と収益構造の変革」及び「食の総合企業への飛躍」を中長期経営戦略に掲げ、持続的な成長の実現と収益基盤の強化に取り組んでまいります。
具体的には、当社主力商品の「京都背脂醤油ラーメン」が地域嗜好性に左右されないという強みを生かし、直営店は関東・東海・関西の三大都市圏を中心に、それ以外の新商勢圏への出店はFC加盟店を中心に全国に出店数を増やし国内魁力屋事業の成長を加速してまいります。また、子会社である台湾魁力屋股份有限公司を海外展開の拠点とし、台湾での海外1号店の出店を足掛かりに海外出店についても加速してまいります。加えて、麺やスープ、チャーシューなどの主力商材についての自社開発や製造機能の保有、店頭や小売店、ECサイト等での自社製品の販売等々、商流機能の強化を図ることで食の総合企業への飛躍を目指します。その他、外食事業を取り巻く環境の変化に応じて、新規事業の開発にも取り組み、お客様に選ばれ続ける企業としてより強固な企業体質を構築してまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営ビジョンに掲げる「日本の食文化と『おもてなしの心』で世界中を笑顔に!」を達成するためには、財務の健全性を担保した上で、持続的な企業価値の向上が必要と考え、「ROE(自己資本当期純利益率)」「売上高成長率」「自己資本比率」を重要な経営指標とし、ROE8%以上、売上高成長率10%以上、自己資本比率50%以上となるよう努めます。当事業年度におけるROEは11.5%、売上高成長率は16.0%、自己資本比率は61.4%となり、それぞれ目標を達成いたしました。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は環境や社会の課題の解決に向けた企業活動に取り組むことで持続可能な社会づくりに貢献し、今後の持続的な成長と中長期的な企業活動を実現することを目的に「サステナビリティ委員会」(以下、同委員会という。)を設置しております。
同委員会は代表取締役社長を委員長とし、原則年4回開催され、サステナビリティに関する方針の策定や重要課題(マテリアリティ)の特定、重要課題に基づく分科会の目標設定と進捗管理、全社的なサステナビリティへの取り組み等を推進しております。また、同委員会にて審議された内容は定期的に取締役会に報告され、取締役会は重要課題の解決に向けた対応状況をモニタリングしております。なお、当事業年度は当委員会を8回開催いたしました。
当社は事業活動によって発生する環境負荷を低減し、循環型社会・脱炭素社会の実現に貢献するため、環境負荷低減に向けた取り組みを推進してまいります。また、人材の育成及び社内環境整備に関する方針につきましては、今後、少子高齢化や国内人口の減少等により労働人口が減少し、慢性的な人手不足が発生することが最大の懸案事項と認識し、「人」が重要かつ最大の資産であるとの認識のもと、人的資本に対する積極的な投資を行うとともに、人材育成に係る取り組みを強化することで、中長期的な企業価値の向上に繋げてまいります。当事業年度におきましては、サステナビリティ委員会において、サステナビリティの基本方針の制定、マテリアリティの制定及び分析を行いました。
当社はリスク管理を経営上の重要な課題と認識しており、代表取締役社長を委員長とし、取締役、執行役員、部長以上の役席者で構成するリスク管理委員会(以下、同委員会という。)を設置しております。同委員会では、リスク管理規程に基づくリスク管理方針、体制及び運営に関する協議とリスク管理事項の審議を行っております。また、審議された内容は定期的に取締役会に報告され、リスクへの対応方針や課題について、迅速に意思決定をしております。
当社では、上記「(2) 戦略」において記載したとおり、サステナビリティ委員会においてサステナビリティ基本方針とマテリアリティの制定を実施いたしました。基本方針及びマテリアリティを指標として今後活動を進めてまいります
<サステナビリティ基本方針>
当社のサステナビリティ方針は以下のとおりです。
「私たち株式会社魁力屋はビジョンである日本の食文化と「おもてなしの心」で世界中を笑顔に!を実現させるため、すべてのステークホルダーとのつながりを育みながら、環境や社会の課題の解決に向けた企業活動に取り組むことで、持続可能な社会づくりと企業価値向上を目指します。」
<マテリアリティ主要テーマ概要図>

当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社はこれらリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(3) 法的規制等に関するリスク
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、持続的な賃上げに伴い雇用や所得環境が改善し、個人消費も持ち直しの動きが見られました。また、円安傾向が継続したことにより、インバウンド需要が拡大し、景気は全体的に緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、長期化するウクライナや中東での紛争の影響、中国経済の先行き懸念や欧米における高金利水準の継続等、海外での景気下振れリスクには注意が必要な状況であります。
外食産業におきましては、低価格重視の消費志向が強まる傾向はあるものの、経済活動の正常化に伴い各種イベントの開催や旅行者数が増加したこと等により人流が活発化し、訪日外国人も拡大したことにより外食意欲は堅調に推移いたしました。一方、原材料価格の高止まりや人手不足は解消しておらず、今後一層、価格転嫁と賃上げの実施が求められる状況であります。
このような状況の中、当社は「日本の食文化と『おもてなしの心』で世界中を笑顔に!」を経営ビジョンとし、「たくさんのお客様に『ありがとう』と言われるお店でありたい」を店舗理念に掲げ、全社一丸となって企業価値の向上に努めてまいりました。
商品・販売施策につきましては、1月から2月にかけて「焼きめし定食祭」、春休み期間中は「春祭りお子さまフェア」、6月は毎年恒例の「創業感謝祭」、7月以降の夏季期間は「餃子半額祭」及び「生ビール祭」を開催し、9月から10月にかけては「お好きなトッピング100円割引券」を配付いたしました。期間限定商品につきましては、「野菜たっぷり塩タンメン」、「背脂TKまぜそば」、「鶏白湯らぁめん」、「特製担担麺」、「冷やし醤油らーめん」、「背脂濃厚つけ麺」、「北海道濃厚味噌らぁめん」等々を一定期間ごとに販売し、多くのお客様にご好評いただくことができました。また、4月に一部商品の販売価格の改定を行ったほか、米等の食材価格の高騰を受け11月より各種定食及びご飯についての販売価格を改定し、原材料価格や人件費上昇の一部を価格に転嫁いたしました。
出退店の状況につきましては、4月に宮崎県に初出店となるイオンモール宮崎店、11月に福島県に初出店となるイオンモールいわき小名浜店、12月に高知県に初出店となるイオンモール高知店を出店し、国内出店範囲が拡大いたしました。これらの出店を含め、年間の出店数は18店舗(直営店10店舗、FC加盟店等8店舗)となり、やむなく2店舗を閉店した結果、ラーメン魁力屋151店舗(うち直営店112店舗、FC加盟店等39店舗)、中食事業等10店舗の合計161店舗となりました。
また、11月に台湾に子会社となる台湾魁力屋国際股份有限公司を設立し、海外への初出店に向け準備を開始いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は12,272,583千円(前期比16.0%増)、営業利益は860,265千円(前期比26.6%増)、経常利益は880,009千円(前期比29.0%増)、当期純利益は535,590千円(前期比37.2%増)、前事業年度と比べ増収増益となりました。
なお、当社は飲食事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
(資産)
当事業年度末の資産合計は、8,045,239千円となり、前事業年度末と比較して572,027千円の増加となりました。
流動資産は4,268,783千円となり、前事業年度末と比較して18,138千円の減少となりました。これは主に、売掛金が169,405千円増加した一方で、現金及び預金が109,982千円減少、その他(未収入金等)が90,614千円減少したこと等によるものであります。
固定資産は3,776,456千円となり、前事業年度末と比較して590,166千円の増加となりました。これは主に、新規出店等により有形固定資産が318,449千円増加、海外子会社設立伴う関係会社株式が209,986千円増加、敷金及び保証金が54,003千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は3,103,707千円となり、前事業年度末と比較して30,825千円の増加となりました。
流動負債は2,235,194千円となり、前事業年度末と比較して196,231千円の増加となりました。これは主に、未払金が185,946千円増加、買掛金が41,630千円増加、未払法人税等が33,208千円増加、短期借入金が30,000千円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金98,049千円減少、未払費用が48,173千円減少したこと等によるものであります。
固定負債は868,512千円となり、前事業年度末と比較して165,405千円の減少となりました。これは主に、長期借入金が238,497千円減少した一方で、資産除去債務が39,941千円増加、その他(預り保証金等)が21,360千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は4,941,532千円となり、前事業年度末と比較して541,201千円の増加となりました。これは主に、新株予約権の行使により、資本金が44,027千円増加、資本剰余金が44,027千円増加し、また繰越利益剰余金が当期純利益の計上により535,590千円増加した一方で、配当金の支払いにより82,350千円減少したこと等によるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末の58.9%から61.4%となりました。
当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,469,881千円となり、前事業年度末と比較して115,613千円の減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度622,105千円の収入に対し、943,361千円の収入となりました。これは主に、税引前当期純利益840,360千円、減価償却費244,909千円、減損損失69,166千円を計上し、未払金の増加128,227千円があった一方で、売上債権が169,405千円増加し、法人税等の支払額262,495千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度359,574千円の支出に対し、739,930千円の支出となりました。これは主に、新規出店に伴う有形固定資産の取得による支出496,738千円、子会社株式の取得による支出209,986千円、敷金及び保証金の差入による支出57,256千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度1,241,839千円の収入に対し、319,044千円の支出となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出336,546千円、配当金の支払額82,182千円があった一方で、ストックオプションの行使による収入88,054千円があったこと等によるものであります。
a. 生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため記載を省略しております。
当事業年度における仕入実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 当社の事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。
当事業年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注) 当社の事業区分は、「飲食事業」の単一セグメントであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況 ②財政状態の状況」に記載のとおりです。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
a.キャッシュ・フローの状況の分析
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b.資本の財源及び資金の流動性に関する分析
当社の資金需要のうち、運転資金需要は、原材料仕入の他、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、店舗の設備投資等によるものであります。運転資金は営業活動によって得られた自己資金を充当し、設備投資資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入金により行っております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。これらの見積及び仮定については、過去の実績等を勘案して合理的な見積り及び予測を行っておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成に際して採用する会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
「京都北白川ラーメン魁力屋」フランチャイズチェーン加盟契約
該当事項はありません。